2017年08月

2017年08月31日

北朝鮮による対日の変化

日本サッカーが6大会連続、W杯進出を決めました。まだ予選を通っただけなので、そこまで嬉々としていいのか、という話もありますが、昨日まで残暑が厳しかったのに、今日になって急に秋冷えのする陽気になったことも、日本にとって追い風だったのでしょう。しかし3年後の東京五輪は、開催地特権で予選は免除されるものの、真夏の開催になります。日本サッカーは、なぜか慣れているはずの日本の夏で体力を消耗し、すぐに顎が上がってしまう。W杯本戦も大事ですが、今から暑さ対策も必要なのでしょう。
逆に、まったく熱くないのが民進党代表戦。野党だから、という以前に2人の候補の主張に魅力がない。2人ともお行儀がよくて、それこそトランプ氏並みの大風呂敷を広げ、メディアの注目を集める、といった戦術もない。最後の演説でも票が動く、とされるので、まだ結果は分かりませんが、野党として大事なことはよくも悪くも注目を集めること。自分たちの主張を国民に聞いてもらう、が第一歩なのです。注目されない、支持されない、と嘆く前に、まず自分たちから見つめ直さないといけないのかもしれません。

省庁の概算要求もでてきていますが、防衛予算は5兆5221億円と過去最大になる見込みです。そこに含まれる陸上配備型のイージスアショア、その到達高度は1000kmとされるので、愈々米国へと向かうミサイルの一部には届くことになる。ここに来て、北朝鮮が日本を目の敵にするのも、日本の壁を越えないと米国を狙えない。そして日本が安保法制を改定したため、事実できるようになった。つまり安倍政権は自ら米国の盾になる、ということで的として狙われやすくなったことを意味しています。
海保も2300億円と増額ですが、北朝鮮が最近、日本海の経済水域において漁をしている。しかも軍が関与しているとされ、それを日本から富を奪う作戦、として国内向けに喧伝もしているのです。海保はそれと対峙しなければいけない。これも、今まで日本が眼中になかった北朝鮮の目を、安倍政権が向けさせた。食糧難の解消のためにも必要、ということはありますが、北朝鮮の嫌がらせが増えるのは、安倍政権がとってきた態度の結果、ということもあるのです。

しかし安倍政権が、北朝鮮にとって圧力一辺倒だったか、というとそんなこともない。中国と北朝鮮との関係が悪化したおり、対話にむけた「千載一遇のチャンス」などとされ、制裁を一部、解除した経緯もあります。そうしたことがあった、という黒歴史を封印するかのように、突出して圧力一辺倒になり、尚且つまるで自ら矢面に立つように、率先して北朝鮮に対しての強硬路線を訴えるようになった。だから北朝鮮から目の敵にされるようになってきた、ということなのです。
最近の米国のコメントに「周辺国に対して…」と、これは自国の問題ではなく、北朝鮮の周辺国、つまり日本や韓国の問題に、米国はコミットしているだけ、といったものが多く聞かれます。安倍氏がここに来て、自らの政権延命のために打ちだした手段、それが北朝鮮との緊張を煽ること、であるのは明白なのでしょう。これまでもアプローチし続け、やっと北朝鮮が自分たちに目を向けてくれた。だから国内向けに緊張を煽り、現政権への支持に変えたい、といったところなのかもしれません。

これまで米国しか眼中になかった北朝鮮が、日本に目を向けるようになった。その結果、北朝鮮への対策費用がかさみ、さらに財政健全化とは遠のく結果になりました。米国に向けられていた敵意を、日本が引き受ける。これも親米、媚米ゆえの行動だったのかもしれません。安倍氏が北朝鮮問題に熱を上げれば上げるほど、その暑さによって日本は危機に陥っていく。その暑さ対策の方が、喫緊の課題といえるのかもしれませんね。

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2017年08月30日

経済指標とリスク

昨日のミサイル発射について、北朝鮮は107年前の朝鮮併合と、2年前の朝鮮時間への変更、をその日に選んだ理由としました。特段のイベントデーとは思えず、こじつけでしょうが、「日本が慌てふためく大胆な作戦」としていることからも、今回のターゲットは日本と言いたいのでしょう。米国を刺激しない、という意味に推察できますが、「グアム島牽制の前奏曲」ともしており、次は米国をターゲットにした行動、とします。
しかし河野外相は衆院安保委員会で「米国が強行させないと強い姿勢」だったから、グアムへの発射はなかった、とします。先の「ひるんだ」発言といい、北朝鮮を暴発させたいのか? と勘ぐれるほどの挑発ぶりです。麻生財務相といい、「ヒトラーの動機は正しい」などと言い、安倍政権は戦争をしたいのか? と思わせます。戦争突入のプロセスを容認しているように見え、かつ人殺しさええいなければ民族優位主義、差別主義すらも「正しい」と言っているようにしか聞こえないからです。

昨日は経済指標の集中発表日。有効求人倍率が43年ぶりの1.52倍、とされますが、昨年7月と比べて求職者数が8万人減、求人数が15万人増、就職件数も6万人減。人が減っており、人が減ってくるので、これまで確保できない企業が継続して求人をだす一方、就職が決まらないのは、やはりミスマッチが多いといったことがあるのでしょう。気になるのは、新規求人が多いのは医療・福祉、卸売・小売、サービス業と並びますが、こうした業態はパートタイムの求人も多い。つまり正社員でも規制緩和で短時間でも働けるようになったため、パートタイムで働く意義が失われつつあることを、これらは示すのでしょう。
しかし労働力調査でみると、実はこの3業種の就職数は多い。求人数の多さをみても、やはり離職率の高さもあって、ここは継続して高い労働力不足の状況に陥っていることがうかがえる。就職しても辞める、なのでまた求人が出てきて…のくり返しになっているのです。これは募集で、基本給+残業代といった形で給与を示しており、実際に働くとそこまで稼げない。おかしい、となって辞めるといったケースがあることも影響するのではないか? これは法律の改正によって、きちんと人材募集の表記をする形で、企業と人材のマッチングをはからない限り、改まらない問題かもしれません。

家計調査では実質の消費支出が前年同月比0.2%減、住居費の下落が大きい、と報じるところも多いですが、規模でいえば交通・通信の伸びが高く、逆に食料品の下げがきつい。固定費の増加を食料品を抑えて乗り切った形です。実質収入は3.5%増、と大きな伸びで、こちらは好感できますが、他の指標と合わない部分もあり、詳細に推移を追っていかないといけないのかもしれません。
昨日の株価、為替はリスクオフの動きでしたが、米国の堅調さで落ち着きを取り戻した形です。ただし、米国の落ち着きというのも、ハリケーン・ハービーでも、北朝鮮のミサイルでも、まったく動じない強さ。むしろリスクに鈍感すぎるほど鈍感なゆえ、とさえ言えます。本当にこのまま、米国がリスクに目をつぶっていられるのか? リスクによる下落も、タスクに変えて淡々と、といった話もあります。ハービーによる災害で、実は債務上限問題がさらに難しくなった、ともされます。リスクをリスクとして意識できない米国、リスクを騒ぎ立てて、結果的に米国にいさめられる形となった日本。どちらが正しいのか? というアスクが今、重要となっているのかもしれませんね。

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2017年08月29日

北朝鮮によるミサイル発射

北朝鮮が5:58ごろ、中距離ミサイルを発射しました。いきなり撃った、ともされますが、あれだけ嫌がっていた公邸に安倍首相が前日から宿泊したことで、事前に日米韓は情報をつかんでいたことがバレバレです。火星12号とみられ、液体燃料だから注入時に分かるともされますが、昨晩から燃料を注入する、といったことはないでしょうから、それ以外の、確信的な情報を得ていたからこそ、安倍氏も公邸に泊まったのです。

しかし今回、安倍氏は「これまでにない深刻かつ重大な脅威」としますが、日本上空を通過も、事前通告なしも「これまでにあった」ことです。何が「深刻かつ脅威」なのか? ミサイルの性能なのか、核搭載が可能となったことなのか、そこを曖昧にするから、国民は不安になります。しかも日本は電車を止める、Jアラートで危機を煽る。世界はテロでも平静を装うことで対抗しようとしていますが、日本だけは真逆の対応をしていますが、政府がそれを主導しているのですから、笑い話にもなりません。
やはり、Jアラートは役立たずである、ということが今回はっきりしました。寝ていた人は寝ぼけ眼で携帯電話をとり、眼鏡をかけて内容を読もうとした時点で、頭上で破裂しているぐらいの間に合わなさ、です。仮に寝起きが良い人でも、頑丈な建物に逃げこむためには、自宅の庭に核シェルターでもつくっておくしかない。さらに、世界では地下鉄をシェルター代わりに利用できるよう建設されていますが、日本はそうなっていないため、仮に地下鉄に逃げ込んでも直撃を避けられるだけで、生き埋めになる可能性は十分に高い。偶々近くにコンクリ造りで窓の少ない建物があったらラッキー、程度です。Jアラートは警報というより、こんな事例がある、というお知らせにすぎないのです。

安倍氏はミサイルの軌道を確実に把握、としますが、それにしてはエリアが広すぎる。1分と少しで発射の方角も落下地点も分かる、という割に北海道から長野まで警報がでた。これもJアラートの信頼性を著しく損なう、といえます。世界各国は、今回の発射を冷静にとらえている。日本だけが、言葉は悪いですがお祭り騒ぎをしているのです。
今回のミサイル発射は、多弾頭の確認や、ロフテッド軌道ではなく、通常軌道の発射実験との見立てもありますが、大事なことは、これまで北朝鮮は対外的なアピールであっても、国内のイベントに合わせてミサイル発射や核実験を行ってきた。つまりタイミングが計れたのですが、こうしたイベント絡みで実験を行わないのなら、より諜報活動を強めない限り、北朝鮮の行動を事前に把握することはできない、となります。

今回、安倍政権は北朝鮮のミサイル発射を事前に知っていた。それでも国民に伝えず、撃ってからJアラートをだした。今回、被害がでなかったからよかったようなものの、仮に海洋で漁をしていた船に犠牲がでたら、安倍政権は知っていたのに警報をださなかった、として袋叩きに遭っていたことでしょう。普段から公邸に暮らしていない、それで危機管理など、そもそもムリだということが今回もっともハッキリしたことだと感じます。
日本は「国連決議違反」としますが、北朝鮮は「国際法上認められた行為」とする。ならば、日本だけが今回、他国の上空を通過するのに一報がないのは何事か! と怒る権利をもっていることになる。なのに、対話の道を閉ざし、安倍政権では圧力強化しか訴えない。圧力強化の先に、本当に解決の道筋がみえるのならそこに猛進することもよいでしょう。しかしそうでなく、出口戦略も描けていないまま、圧力強化だけをつづける。安倍政権が猛進ではなく、妄信によって意味のないことをしている。剰え、国民の不安を煽るだけ煽ることも、意味のないことと言えるのでしょう。Jアラート、一番の警報は無策のまま北朝鮮を追いこむだけ追い込んだ先に、何がおこるか? という政治の失敗を告げるときなのかもしれませんね。


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2017年08月28日

投資家と保守層の安倍政権評

鳥貴族が値上げを決めました。鳥貴族は串打ちも外部発注ではなく、各店舗にて串打ち専門のアルバイトを雇い、行ってきた。人材確保は必須であり、そのための値上げであるなら、これはコストプッシュ型のインフレの典型であり、誰にとっても嬉しくない値上げです。一方でイオン、IKEAが仕掛けた値引き合戦。二極化する要因は、国内は人件費高騰、一方で一時期より円高となったことで余裕のでた輸入品、そう考えると、ここから安倍ノミクスは輸出を増やすのではなく、輸入を増やす方向となっていくのかもしれません。

産経に英投資家のピーター・タスカ氏が「安倍ノミクスの成功は明白」という記事を載せています。しかし内容は薄く、6四半期連続の成長で、かつ直近では潜在成長率を上回っている、株価も上昇したから『成功』とします。しかも、安倍ノミクスは安倍氏にしかできず、後継の総理には経済成長なんてできないから、安倍氏が長くつづけるべき、という結論に達する。彼は英国人ですが、米国に多い拝金主義の投資家と同じ意見にみえます。要するに、市場を上昇させてくれれば何でもいい、という態度です。
しかしタスカ氏がふれないのは、安倍ノミクスは『脱デフレ』を目標にしていたものであり、株価の上昇に言及していたのは発足当初だけ。そもそも株価は政策効果だけで上がるものではないので、それを成果とするのがおかしい。経済の面で、安倍政権が続いて欲しい、という主張をする理由は一つ。現在のマネタリーベースの拡大を続けて欲しい、ということです。日銀がETFを購入する、などといった市場対策をつづけるのもそう、異常な経済、金融政策をつづけ、もっと儲けさせてくれ。安倍政権以外で、こんな異常なことをしてくれそうな政権はどこにもない、ということなのです。

同じ産経に10日前に載った保守の評論家、西尾氏の寄稿文に関して、叱咤激励かと思って見過ごしていましたが、週刊誌に載った記事によると、安倍首相を自己保身をはかる臆病、失望したと語り、安倍氏を見限ったともする。これは大きな流れの変化です。これまでも保守とはかけ離れた主張をする安倍氏を、どうして保守層が支持するのか? と不思議な面もありましたが、その保守層も分断し始めた。「安倍氏も自民も保守ではない」という明白な決別宣言に、同調する保守層もでてくることが予想されます。
安倍氏を支持する保守層、というのはそれが保守的な主張かどうか、整合性がとれた正しいものであるかどうか、という評価は度外視し、安倍氏のすることなら支持する、という態度が多かった。西尾氏が主張しているように、9条に3項を追加する、という改憲案は、正常な判断力のある人なら誰がみてもおかしい。正常な判断力を失った、安倍氏のすることなら全部正しい、という人でないと支持できない代物です。

安倍氏が失いつつある支持層、それは正常な判断力のある人なら、こんな政権を支持できない、というまっとうなレベルの発想から始まっているのかもしれません。奇しくも産経が並べた記事、一方は支持、一方は不支持、という両極端なものですが、実は安倍政権の弱点をよく示しているともいえる。当初安倍氏を支持していた市場関係者、そして保守層も離れている安倍政権。当初の期待が高かっただけに、ここが離れると串打ちならぬクサビを打ち込まれるのと同じ、息の根を止められることになるのでしょうね。

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2017年08月27日

茨城県知事選と国政

茨城県知事選、新人の自公推薦、大井川氏が当選確実です。自公は国政並みの選挙戦を展開し、公明も創価学会をフル稼働。東京都議選での大惨敗から、内閣改造を経てのトリプル補選前、として重視した結果でもあるのでしょう。これで安倍政権も小康、との見立てもありますが、ここまでしないと勝てないのか、との見方もある。確かに現職と新人、という不利な側面もあるものの、相手は7期目をめざす71歳と高齢。多選批判の追い風をうけても、閣僚や自民党議員を大量投入して、やっと接戦を制した形です。
これが国政なら、一つの県、選挙区にこれだけ政治家を大量投入できないのですから、総選挙になれば苦しいことは確実です。これだけ政治家を投入したのですから、組織票もフル稼働したのが確実。つまり自公の組織票は、ぎりぎり勝てるぐらいの数しかそろえられない、ということを露呈した。それこそ与党に逆風が吹けば、敗北するリスクを露呈したことになります。与党の逆風、それはモリカケ問題が再燃すること、です。

内閣改造後も、恒例行事のようにおこる新閣僚の不祥事。公選法違反や政治資金規正法に関する問題などが取り上げられても、支持率にはほとんど影響しない。自民党議員に法律順守、規律厳守といった道徳心が希薄であることは、もう多くの国民が知っていることです。与党議員に注目が集まりやすい、といってもここ最近ではゲス不倫や、秘書への暴言なども与党議員。もう与党議員の道徳心の低さ、には驚きにくいのです。
しかしモリカケ問題は異なる。安倍氏に直接かかわる問題、という以上に、政権が一部の人物や団体に利益誘導していた、という問題です。特に、加計学園の設計図面で、最上階に宴会場とワインセラーという話になると、政治家のパーティーにも利用される。若しくは便宜をはかってくれた政治家を自慢のワインでもてなす、といった使い方も考えられる。利益誘導し、見返りを得る。そういうシステムができているのだとしたら、もう道徳心どころの話ではなく、不正、汚職といった類の話にもつながってきます。

自民党内にできた反安倍勉強会。安倍氏にとってこれが非常に厄介です。安倍氏はこれまで「民主党政権のころは…」「野党の支持率は低い」というフレーズで、野党を攻撃してきた。しかし与党内に抵抗勢力ができると、そういう攻撃の仕方はできない。もしそんなことをしたら、自らの首を絞めるようなものです。これまで選挙に強い、を支持基盤にしてきましたが、茨城県知事選で露呈した『それほど強くない感』。これは安倍政権の基盤を根底から揺るがすものです。お金でも、地位でも党内をまとめ切れない。政権交代をした反省から、党内はそれほど意図せずとも引き締まってきましたが、5年経ってそれも崩れてきた。安倍政権にとって、すべてが逆風に転じる恐れが強まったのです。
安倍政権の支持率低下は、経済政策の失敗の結果、という意見もある。脱デフレどころか、小売りで始まった安売り競争。これも明確に経済政策の失敗を意識させる。世界のどこで不測の事態がおこっても、日本に直撃してしまうという不安。乾坤一擲はやはり臨時国会の冒頭解散、ということになるのでしょう。しかし今日の巨人-阪神戦で、藤浪投手がたった一球のDBで崩れたように、暴投解散になる恐れも十分に考えられます。コントロールに不安のある安倍氏、党内のコントロールも利かなくなった党首(投手)となるのかどうか。10月のプロ野球は日本シリーズで盛り上がる時期ですが、総選挙になったときは与野党ともに党首の能力が問われることになるのかもしれませんね。

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2017年08月26日

ジャクソンホール講演と日銀

ジャクソンホールでのイエレンFRB議長による講演、金融政策には言及がなく、むしろ「金融危機以後のFRBと私」といったタイトルでも似合いそうなものでした。金融危機以後に行われた改革に関して、批判はあるものの金融システムの安全性を高めた、と自画自賛し、改革による様々な影響については今後も検証する、という。一方で、トランプ政権がすすめようとしている金融規制の緩和については、苦言を呈すといった内容でした。
ドラギECB総裁による講演、こちらは「回復する世界」というタイトルです。量的緩和は成功し、世界的に回復しているが、緩和はまだ継続する必要がある。潜在成長を上げないと低成長のままとなり、産出ギャップが縮小するとインフレは目標にむけて近づく。保護主義のリスクが高まり、世界の中銀は情報交換をしてコミュニケーションを高める、です。

市場の反応としては、ドラギ氏が金融緩和の継続を示唆し、ユーロ安がすすみ、イエレン氏も金融政策を示唆せず、少しドル安となりました。ただ米株が反応薄だったように、想定されていたうちの最も影響の少ないパターンだったからで、結局は拍子抜けという形に終わりました。しかし、実はもう一つ日本勢が気にしていたのは、参加した黒田日銀総裁の発言でした。もし黒田氏がインフレがすすみ、実績を誇ることがあったら、日銀による緩和縮小を意識され、急激に円高にすすむのではないか? というのです。
7月の消費者物価も0.5%増と、徐々にですがインフレがすすむ。黒田氏がこれを金融緩和の成果としなければならないのは、任期も迫り、自らが始めた黒田バズーカの縮小にむけて何らかのキッカケとしたい。そうしなければ黒田バズーカは失敗で、後任に引き継いで解決してもらう、という政策担当者としては恥ずかしいことになる。FRBもECBも、インフレが目標に達成していないにも関わらず、引き締めに転じているように、0.5%でも金融政策を見直すことは、世界的な流れとしても特に問題ない流れでもあります。

しかしここに来て日本の小売りはイオン、IKEAなどの大規模値引き販売をすすめている。政府の2%目標と逆行する形で、最近の小売りが動き出したのも、販売の不調ということばかりでなく、政府からお墨付きがでたのではないか? つまりこのタイミングで日銀が引き締めに転じたら、景気の腰折れが深刻になる。そこで日銀が緩和をつづけざるを得ないよう、インフレがすすまないよう、小売りの値引き販売を容認したのでは? ここに来て格安SIMやSIMフリースマホなども消費者物価に算入しよう、との動きも、そうした政府の動きを表すものと言えるのかもしれません。
これまでも政府は「もうデフレでない」と曖昧な説明をくり返してきました。それは0.5%もあるなら、後0.5%ぐらい下げてもいい。デフレでさえなければいい、という判断にも思えます。8月になって続々と小売りに値引きの発表が相次いだのも、黒田封じという側面が強かったのかもしれません。ただし、そうなると黒田氏は逃げられなくなった、との見方も強まる。黒田氏は交代せず、日銀総裁をひきつづき担当する、との観測です。

自分で始めたことを、自分で決着つける、という意味では妥当な選択でしょう。しかし黒田氏がそれをしたいか、というと別の話です。黒田氏はイールドカーブコントロールを通じて物価を上げる、と説明してきましたが、どうも上手くいきそうにない。米国とも欧州とも異なるアプローチであり、それで物価が上がらなかったら、その責任の一切は黒田氏が担わないといけない。今なら逃げだして「自分のせいじゃない」といえる、最後のタイミングといえます。しかしそれを許さない政府の姿勢。それは「イールドカーブコントロール」ならぬ、「言い逃げさせずコントロール」といえるのかもしれませんね。

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2017年08月25日

雑感。北朝鮮と写真

北朝鮮は先軍節でも動きませんでした。一応、様子を見守るとした前回の発言を守った形になりますが、私はいずれ撃つだろう、とみています。なぜなら、北朝鮮は一度言い出したことをしなかった、ということがないからです。ただそれが、今ではない、ということなのでしょう。核実験をするのでは? という話もありますが、北朝鮮は核拡散防止条約も批准していませんし、グアム沖へのミサイル発射も、国際法には違反していない、という立場です。つまり北朝鮮としては、この理屈でいる限り実行には何ら障害はない、としているのであり、国際的な動きと、国内の記念日などとの兼ね合いで行動をとるのでしょう。
しかし北朝鮮が公開した写真、日本がこれだけ取り上げてその中身を分析してくれるのですから、北朝鮮としては楽しくて仕方ないでしょう。火星13にしろ、北極星3にしろ、形のないものを一生懸命分析して、ああでもない、こうでもないと報じる。アナウンス効果は相当に高い。どうしてこの写真を公開したのか、どうしてこのテレビ番組でアナウンサーが過激な発言をするのか、それらもすべて海外で取り上げられることを計算し、北朝鮮はしているのであり、日本はその計算通り、もしくは期待以上の過剰反応をしていることになります。

日本財団の笹川会長が、安倍首相、森氏、小泉氏、麻生氏など歴代首相が会食し、大笑いしている写真を掲載しています。違和感があるのは、恐らく出前でお寿司を握っているのでしょうが、写真撮影者はお寿司をにぎる側にいる点です。すでに寿司が並んでいるので、握り始めた後、撮影者が回りこんだのか、もしくは寿司を握りながら撮影した、としか思えない。どちらにしろ衛生面で不安が残ります。しかも構図から、安倍氏の発言で全員が笑ったとみられますが、恐らく発言内容が伝わらないところをみても、小泉氏が大喜びしているところをみても、下ネタか、かなりの自虐ネタとみられます。
そんな安倍氏が公務に復帰しました。休暇を早めに切り上げた、といっても公邸にいるわけでもなく、ジム通いをつづけた。これが診療、治療目的ではないか、との見方もありますが、確かに体を鍛えたといった様子はありません。一方で、韓国の文在寅大統領と電話会談をしていますが、徴用工の問題で何か話をしたかどうか、は報じられません。

北朝鮮問題で、日韓も連携を強めるべきタイミングででた発言だけに、本来であれば厳重に抗議し、逆に会談をとばす、といった覚悟を示すべきだったといえます。言葉は悪いですが、効果の薄い「圧力強化」を確認し合った、という程度の電話会談なら、尚更です。米国の言いなりである安倍政権が、このタイミングで韓国と距離を置けるはずがない、と足元をみられており、その通りに電話会談に応じたのでしょう。
グアムに修学旅行を予定していた学校が、続々と取りやめが相次ぎます。それは政府がこれだけ危機感を煽り、ミサイルが飛んできたときの訓練などをしている中、近くに落ちるという場所に行くのを躊躇うのは当然です。つまり日本政府の過度な反応が、経済的にも悪影響を与え始めた、という一つの事例でもあるのでしょう。これだけ危機を煽って、経済が楽観して上がるのだとしたら、それはもうバブルでしかないのでしょう。政治が煽る危機、いつ撮られたかも、どんな意図で流されているかも分からない写真を一生懸命に分析し、新しいミサイルが開発されているかも…などと報じる。政治が描いていた楽観による景気回復、という青写真はすでに崩れている。写真の読み取り方ばかりでなく、邪心というものまで図らないと、今の世界は落ち着かないということかもしれませんね。

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2017年08月24日

雑感。株式市場は様子見

トランプ米大統領が、メキシコとの国境の壁が予算措置されなければ、政府機関が停止しても大統領令をだして拒否する、と述べ、俄かに米国債のデフォルトリスクが高まります。債務上限問題と、予算案の成立がともに9月末を期限としており、米民主党が債務削減と同時に歳出削減を提案しているからで、両者はともに連動する。形式的にデフォルトになっても、すぐに影響するとは思いませんが、長期化すれば当然、米国債の売り圧力も強まることとなり、世界的に米国債保有国の動揺を誘うことになるのかもしれません。
トランプ氏の警護で、SPの予算を使い切った、という話もある。毎週のように別荘でゴルフをし、夫人は別行動。家族も多く、これも別行動。そして議会とも別行動。また支持者を喜ばすための言動、ともみられますが、コアな支持者向けの施策のために、米国全体を犠牲にしようとする姿勢には、リーダーシップの欠如を感じさせます。

米株もこの発言をうけて下落、日本株も明日の先軍節を前にして様子見。さらにジャクソンホールでのイエレンFRB議長講演、ドラギECB総裁講演も、確認したいところです。市場はここまでドル売り、ユーロ買いの流れを強めてきましたが、直近ではそのポジションの手じまいもみられる。手じまいが、ポジションの巻き直しにまですすむのか? それも米欧の中銀代表による発言次第、というところでもあります。
しかし世界的な流れと日本の事情が少し異なるのは、円ドルでは円が売り越しだったこと。中央銀行の方向性の違いから、円は売られていた。ただ最近気になるのは、日本市場に入ってから9時すぎに円安にすーっと動く。外国人投資家は円売りのポジションを外したいところなので、国内勢とみられますが、今の国内も円売りを入れるような材料はない。経常収支が黒字の日本は、恒常的に国内勢は円買いの要因が強く、円売りを入れるのは海外に投資資金をもちだすケースが多いのです。9時過ぎの円売り、株式市場への仕掛けだとしても、あまり成功しているようには感じられません。

しかもジャクソンホールの講演後、市場がどう受け止めるか? 最近では都合よく、一方的な受け止めも多く、発言そのものよりその後、トレンドを決める主体がどう動くか? それを受け止め、として全体も同じ動きに転じることも多くなっています。ヘッジファンドも保有資産が拡大しており、それは投資資金を回収していないため、市場の上昇に合わせてそうなってきた。どこかで利益確定を入れたいところであって、今回はそれを誘発する可能性もあります。
9月は一旦ポジションを整理し、年末にむけてもう一度、戦略を考え直す時期に当たります。そこに降って湧いた、米国債のデフォルトリスク。米国は絶対にデフォルトをみとめないでしょうが、利払いが遅延したりすれば格下げとなり、格下げとなれば今のアルゴリズム取引で、最上位の投資としては不適格と認定され、売りが嵩む。今の市場が、ほとんどプログラムで取引されていることを考えると、不測の事態を引き起こすのは、人間が予見しない何か、となる可能性も高いのです。相場の格言に「天井三日、底百日」というものがあります。天井をつける時期は短く、後はずっと低迷、ということを表す言葉ですが、今の市場は「天井百日」であるかのように、金融緩和の状況を満喫してきた。トランプ政権の底知れない政治手腕のなさ、それがこの格言をもう一度意識させるとしたら、9月以降の相場まで底打ちを待たなければならない、となるのかもしれませんね。

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2017年08月23日

雑感。臨時国会は9月下旬から?

東芝の半導体事業の売却が、日米韓連合から米WDに方針転換、と報じられます。金融機関が難色を示して早期解決をめざす、といいますが、まさに迷走です。しかし背景には、安倍政権で強い権限を有する経産省が「技術の流出」を理由として、産業再生機構に売却を委ねようとしたところ、米国から怒られて、見直されたのでは? という噂もあります。
そんな事例を疑わせるものが、ジュネーブの国連欧州本部で開かれる軍縮会議で、高校生平和大使の演説がみとめられなかったこと、が挙げられます。政府は「問題視する国があった」としますが、どこの国かは言わずもがな。核兵器禁止条約に参加もせず、まるで日本が属国であるかのように振る舞うかの国の方針に、逆らえるはずもありません。雇用改善を訴えるトランプ政権が、WDによる東芝半導体事業売却を日本政府に要請しないはずもなく、それに従って経産省の方針が見直された、といったところなのでしょう。

臨時国会が来月の25日からの最終週のいずれかの日に開会、で自公幹事長が合意、と伝わります。微妙なのは、開会して解散をすると10月22日とされる補選に、衆院選をぶつけることができる点です。加計学園による獣医学部新設における建設図面がでてきて、まるで接待のため、でもあるかのようなパーティールームまでそこに入っていることが分かり、教育機関としてふさわしくない、との指摘もでている。建設費の高さについても、依然として何の説明もなく、審査だけがすすんでいるということも異常事態です。
また朝日新聞が報じた森友学園の建設費値引きに関する、土地に廃棄物があったとされる証拠写真。実際にはそれを証明するものではなく、値引き根拠になり得ない、との指摘についても国交省は公開拒否の姿勢をつらぬく。臨時国会を開くと、相変わらずモリカケ問題で政権が追及されることになり、安倍首相としてもお腹の痛い問題がつづく。ならばいっそ解散に打ってでて、国民の支持を得た、というお墨付きと考えたいのも自然です。

しかもカジノ法案が主要議題で、補正予算も…となると、実は困った問題もある。補正予算を打つにも予算がないので、4-6月期GDPが良かったことから、緊急事態のように赤字国債を発行してまで…という議論になりにくい。予算をどこかから捻出、といってもこれまででほとんど出し尽くしてきたため、少額にしかならず、それなら補正予算を組まない方がマシ、という程度の効果しか得られないことにもなりそうです。
カジノ法案は、すでに米企業などが名乗りを上げているように、日本の富を米企業に拠出するようなことになりかねず、いくら経験があるから委ねた方がいい、といっても、日本固有の法律の制限をかけるのなら、海外の経験値が通用しないことにもなりかねず、ならば国内企業でよいのでは? という議論になる。米国から怒られて、無理やり米企業の参入を促すような形になると、それこそ国会は紛糾することになります。

さらに安倍氏がメディアで公言した「臨時国会に改憲案を提出」が達成できない。自ら「新聞を読め」とまでしたのに、それが達成できないと政治家としての傷になる。スケジュールには拘らない、と軌道修正してもそれは同じ。そうした諸々のことが、解散の手を打つことで帳消しにできます。当然、負ければ終わり。しかし経済政策で行き詰まり、外交でも何の成果もないのに批判も少ない。今なら辞めたとしても傷が少なくて済む、という判断もある。選挙に負けて勇退、ならまだ恰好がつきます。
トランプ政権もレイムダックが見えてきて、逆にここから支持を回復させるためには、さらに日本への要求が高くなりそうです。防衛省は概算要求で、5.3兆円近い予算を計上します。北朝鮮防衛のため、などともされますが、その実態は米国の軍事兵器を買うため、です。最初に媚びへつらって外交をしたため、トランプ氏にとって安倍氏はまさに手下、金づるです。いつまでもタカられて、お小遣いを渡す関係から逃れたい、そんな意識も働くところでもあるのでしょうね。

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2017年08月22日

民進党代表選における経済政策

民進代表選について、前原氏と枝野氏、経済政策の違いについてみてみます。ただ、昨日の会見をうけて、これほど意見が異なるなら別れた方がいい、という意見もありますが、私はそうは思いません。例えば自民党の総裁選でも、安倍首相と河野外相が一騎打ちになったら、前原氏と枝野氏以上の意見の相違があるでしょう。
米共和党だって、トランプ氏とは政策の隔たりが大きいものの、共和党の代表として大統領になったのなら、その政策を実現するために努力します。つまり政治とは、相違があってもそれをすり合わせていく作業であり、また多数をとった側に政策を遂行していく優先的な権利が与えられる。なので、例えば民進党を離党した細野氏のように「やっていることがおかしい」などと言って離党するのは、政治家としておかしいのです。多数でもない、仲間もいない。それで政治のすり合わせ、という大事な作業を放棄してしまうからです。そうした政治家が大成しにくいのは、政治家の資質として疑問符がつくからなのです。

上記を踏まえると、前原氏の共産党とは理念、政策が合わないから、として協力できないとする姿勢は、政治とは言い難い部分があります。衆院選挙は政権選択選挙だから、と言いますが、全面合意しなくても政策の一部で協力する、部分連合という形もある。一から十まですべて合っていないと協力できない、などと言っていたら、どことも協力できないでしょうし、支持団体すらまとめ切れない、となるのでしょう。支持団体が理念、政策で一致できないなら協力しない、といいだしたとき、それを否定できないからです。
枝野氏は「お互い様の支え合いの社会」を標榜し、低賃金労働である看護、介護、保育などの分野に公的資金を投入してでも賃上げとし、その財源は国債の増発で賄う。一方で前原氏は「All for All」を標榜し、様々な世代に現物給付を行うとし、地域は農業、漁業、林業、観光で活性化としますが、財源は示しませんでした。ただし、消費税増税を明言しているので、暗にそれを充てる、ということかもしれません。

枝野氏は勉強不足、前原氏は官僚のペーパーの朗読したような回答、とどちらも魅力に欠けます。前原氏は「安倍ノミクス三本の矢は失敗」とも述べますが、その代替案が現物給付なのか? 増税して現物給付なら、増税しない方がマシです。そこには必ず負担側と、受益側とで不満が溜まることになり、また前原氏はそれをボトムアップ、としますが、増税と給付では、差し引かれるコストも含めて給付側が少なくなってしまうのです。
そして枝野氏のやり方では、日銀は金融緩和を止められない。安倍政権はすでに日銀の信用を食いつぶし、日銀はこれから国債購入を減らしていかざるを得ない。そのとき、国債増発に頼るのなら、金利上昇に備えないといけない。それが景気を下押しすることになりかねません。つまり安倍政権の後は誰がやっても大変であり、それは安倍政権が食いつぶした分まで考慮し、政策を考えていかないといけない、ということでもあるのです。

残念ながら、両者にみるべき点がない。例えば、天下りが規制された結果、現役出向という形で官僚が外部組織に移り、そこで多額の報酬を得ている。国がそうした組織に事業を発注し、高い契約を行うことで人件費を捻出させているのです。そういう仕組みを改めれば、歳出の削減ができる。前原氏にしろ、枝野氏にしろ、反省に立つというのなら、官僚機構にくいこんで、無駄を抽出するという作業が中途半端に終わった、事業仕分けを見直して、改めてムダ削減に寄与する仕組みを提案、その財源をもって景気回復にむけた施策を打つ、という提案をしなければいけないのでしょう。
それができない、難しい、というのなら、政権をとったとて自民と同じことしかできません。お金がないからです。本当は自民党がやらなければいけない、でもやっていないことを民進党がやります、というしか、国民の期待も高まらないのです。「お互い様の差がない政界」では、選択肢にもなりえない。早く独自の経済政策をもつよう、多くの経済ブレーンと話し合うことから、始めないといけないのでしょうね。

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2017年08月21日

民進党代表選が告示

民進党の代表選が告示されました。前原氏と枝野氏の一騎打ち、となり、共同会見が行われています。それぞれが似たり寄ったり、の提案に陥っていますが、同じ言葉でも異なる意味で用いていたりもします。例えば前原氏が先んじて語った「All for All」。前原氏は高齢者を最優先にかかげ、若者を含めた国民全体のAllです。一方で、枝野氏は民進党としてのAllであり、党としての一体感をうちだす。
これは「ボトムアップ」も同じで、前原氏は安倍ノミクスのトリクルダウンに代わるボトムアップであり、枝野氏は党の下部組織を育成し、そのボトムアップで党を再生する、という形です。つまり前原氏は国民全体を意識し、枝野氏は党という組織を意識している、となります。しかし、これは前原氏の施策が主に保守系の立ち位置であり、国民理解が得られそうにない、という面が影響するのでしょうし、枝野氏は最初から「草の根」を意識し、国民向けの施策を意識している、という面が何を重視するか、と問われたときにその逆がでてくる、ということにもなっているのでしょう。

前原氏は驚くほど、Little安倍とでもいうべき、若かりし頃の安倍氏の主張と似通う部分もあります。今の政治は選択肢がない、と言いながら、もし前原氏が代表になっても自民と疑似自民しかない、という選択肢のない状況を提供する、という。つまり前原氏のいう選択肢とは、自民党がダメだったときに同じような政策である前原民進を選択してもらう。保守層向けに「こっちの水は甘いよ」と誘っていることになります。
しかしそもそも自民と比べ、支持団体の少ない民進が、ごくわずかな保守層を自民から奪い取ったとて、基礎票である支持団体の数では圧倒的に不利なのであり、この戦略で政権をとれるとしたら、よほど自民の支持が低下し、自民の支持層でさえ民進に流れるとき、となります。前回の政権交代を教訓に誕生した安倍政権、また自民にとって、そこまで悲劇的な結末になることが分かった凋落を演じるか? その可能性は低いでしょう。

枝野氏は低賃金層への底上げ、という点をみてもリベラルを意識しています。ただし、原発問題もそうですが、非常に歯切れが悪い。官僚を敵に回し過ぎた、ともいい、あくまで現状の政策を、大きく変えるといった提案はない。唯一は、消費税を上げられる状況ではない、という点ですが、代わりの財源については語っていません。
前原氏は消費税を上げるとしますが、高々再増税分は2%、5兆円もないにもかかわらず、社会保障などの使い道をばんばんかかげる。内需は大事、といいながら、それでどうやって内需を底上げするのか? 国がとって配る、というのなら、最初からとらない方がいい。増税するなら、例えば高額消費の分を上げるなどしないといけないのに、そうでない提案をするので、これでボトムアップと言われても俄かに信じられません。

この共同会見から滲むのは、未だに「政権をとったらどうしよう?」病から、民進党は脱し切れていない、ということです。政権をとったら官僚とうまくやらなきゃ、できないことをできる、といって嘘つき呼ばわりされたくない。端的には沖縄の辺野古移設の質問がでてくると、二人とも謝罪と話し合い、で具体策がない。それを語れば、できなかったときに責任をとらされる、だから言及しないという姿勢なのです。
米国ではバーナムの法則、というものがあります。これはサーカスの興行主であったバーナムという人物が「大衆が支払ったお金に見合う楽しみを得たなら、何ら悪いことではない」と述べたことに由来します。いかさま王子、とまで呼ばれましたが、法を犯すことには厳格で、一方で大衆の興味を惹くことをしており、それを一言で「カモは毎分生まれる」と述べた言葉に由来します。今の民進に足りないのは、民衆を惹きつけるだけの言葉。最終的に嘘になっても、それまでの夢を見させるような提案です。残念ながら、二人からもそうしたものはなかった。これでは例え自民に醜聞が重なっても、民進党は漸進しかできず、政権交代さえ難しい。それなのに「政権をとったらどうしよう?」病に冒されているのですから、未だにつける薬が見当たらない、となるのでしょうね。

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2017年08月20日

安倍ノミクスについて考える。

昨日の選挙、という話に関して、これまでの安倍政権は常に安倍ノミクスを争点にしてきました。前回の参院選では「安倍ノミクスは道半ば」でしたから、もし年内に総選挙になれば「安倍ノミクスの集大成」とならなければいけません。5年も経って一体何が変わったのか? について少し考えてみます。

2012年度に比べて、名目GDPは40兆円以上増え、昨年度は速報ベースですが537兆円でした。しかしリーマンショック、東日本大震災とつづいた経済下押し要因の色濃く残った2012年度は、それまで500兆円をこえていたGDPが、それを切っていた年です。つまり、40兆円の内訳は復興の部分が大半であり、5年かけて戻った、というに過ぎません。
しかもその間、一般会計は7兆円拡大しています。それは歳入面で、大体15兆円の税収入が増加しており、公債金による調達を減らした中で、歳出を増やす分に割り当てたのが7兆円ということになる。しかしここにはからくりもあって、消費税増税がその間に行われており、年金負担が増えた分を公債で賄い、特別会計に回していたものが減った、ということです。そう考えると、実質的には消費税増税の7兆円を除くと8兆円程度の税収入分を、そのまま歳出に回していることになり、増税以外の財政として考えると、ほとんど改善はされなかった、ということになります。

ではその間、円は対ドルで85円から一時的には120円まで低下しているので、実に3割も価値を低下させている。法人税収の増も、海外売上の円ベースでの上昇を考えると大体説明がつきます。しかもその間、日銀はマネタリーベースの拡大をつづけ、当座預金残高は47兆円から370兆円へと一気に拡大した。つまり5年間で平均しても、毎年60兆円以上を市場にお金をばらまきつづけたのに、GDPはたった40兆円しか増えていない、となるのです。
結論をいえば、日銀の大量の資金供給と、増えた歳入を歳出に回す、という経済成長をモデルを描いた安倍ノミクスは、そのかけたコスト分ほどの効果が出ていない。どころか、そのかけたコストは日銀の信用を犠牲にして成り立つもの。それを代償として得られた果実はまったく小さかった、となります。一言でいえば失敗、個人的には大失敗、というのがその本質でもあるのでしょう。FRBは資産圧縮の工程に入りますが、日本はそれすらできない。資産を圧縮した途端、経済規模はみるみる急減速していくからです。

では、安倍ノミクスで成功とされる雇用について、毎月勤労統計でみると12年12月は4600万人、17年5月は5000万人と400万人の増にすぎません。しかもアルバイトなどの短期就労が入っていないことを考えると、アルバイトをパートなどに切り替えたり、働き方の多様化で2社、3社で働いていることなど考えると、実は微々たるものでしかない。
さらに季節調整を考え、13年5月と17年5月の現金給与総額を比べると、26.7万円と27.0万円。わずか3000円の上昇でしかないのです。これでインフレになどなるはずもなく、安倍ノミクスの「脱デフレ」の試みは完全に失敗した、ともいえるのでしょう。しかし常用雇用が増え、賃金も僅かながら増えたなら、家計は潤っているのでは? とも言えますが、その分は消費税増税で吸い上げられており、また年金支給の遅れ、介護保険の増などと相殺してしまう分もあり、恐らくこれが日本の景気がよくならない原因、とも考えられます。

総論として、安倍ノミクスは国家総動員法のように、老人は死ぬまで働け、女子供も時間を見つけて働け、日銀は金をばらまけ、といった戦時の緊急事態のような施策により、経済を下支えしてきたものの、その限界が近づいている、ということになるのでしょう。間違いなく「安倍ノミクスは道半ば」ではなく、「安倍ノミクスは無知なバカ」によって日本を危機に貶めるだけの愚策だった、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(14)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2017年08月19日

雑感。年内解散の噂について

トランプ政権でバノン主席戦略官が辞任しました。白人至上主義との決別を示さないと、議会対策上も行き詰まることを理解したのでしょうが、民主党からは問責が提出されます。可決される見込みは小さいですが、問責に反対すると、共和党議員も白人至上主義者とみなされる。この問責の幕のひき方は、共和党にとってかなり難しいといえます。先にバノン氏を辞任させたら、それによって問責を撤回という交換条件もつかえないからです。こういうところにも、政治家でないトランプ氏の未熟さが露呈するのでしょう。

自民・長島議員が逝去しました。これで補選は愛媛3区、青森4区、新潟5区のトリプル補選となる見通しです。しかしここに解散して衆院選挙をぶつける、という話があります。安倍首相としては、自民党総裁選で3選を果たすためには選挙に強い、という印象をさらに強める必要があります。一強とされたのも、力の源泉はそこだからです。
安倍擁護派のメディアは、やたらと「安倍氏が休暇を短縮した」を強調しますが、その間も自衛隊は警戒をつづけていたのであり、最高命令権者が休暇をとって、公邸を離れていた方が問題です。しかしここにきて、やたらと失点を意識するようになったのは、選挙の近さを意識させるもので、少しでも好印象を与えたい、とするものです。

しかしここで補選をしても、自民党が議席を減らすのは確実です。それでも過半数さえとれれば、逆境でもそこまでとれた、と言える。その賭けをするため、山梨の別荘で森元首相、小泉元首相、麻生財務相を集めた、とされます。違和感があるのは、福田元首相は安倍氏を批判したため、呼ばれなかったのだとしても、これでは清和会の集まりに麻生派のトップがゲストで呼ばれた、という体裁になります。
元首相だから、という前に自民党全体の総意、とするには些かメンバーが物足りない。いくら解散は首相の専権事項だから、といってもこれだけ偏ったメンバーで解散を決めた、となれば、負けたときは清和会全体の責任に帰されることにもなるでしょう。それでもこの会合を設けたのは、安倍氏の心の弱さだとみられます。逆境に弱い安倍氏は、このタイミングでの解散に踏み切れない。それを後押しさせるためだったのかもしれません。

ジャーナリストの田原氏が、安倍氏と面会したときに提案した、とされる内容。もしかしたら「解散」だったのかもしれない。そのときの大義は消費税増税を絶対にするなのか、それとも別の提案か、それは分かりません。ただ自民にとって議席を減らす提案、安倍氏にとっても窮地ではあるものの、モリカケ問題を吹き飛ばすには総選挙で、過半数維持というお墨付きが必要、という提案なら安倍氏が受け入れるのかもしれません。
しかし政治家一家に生まれ、世襲して何度も当選をくり返してきた政治家でも、その未熟さを露呈してきたことも間違いない事実です。政治家として、モリカケ問題に蓋をしようと強引に解散・選挙にうってでるのなら、安倍氏が自分で幕をひく、という意味で自民党ならぬ自沈党にしかならないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:38|PermalinkComments(20)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2017年08月18日

雑感。無人化とトランプ政権

スペインのバルセロナで自動車をつかったテロがありました。スペインは歴史的に、イスラム圏からの侵入、支配、欧州側が巻き返す、ということをくり返してきました。文化の中にもイスラムとの融合がみられます。ただ南欧と同様、スペインも景気低迷から金融機関の不安は続いており、その分テロの素地はあった、といえます。
日本でも秋葉原で車でつっこむ事件もありましたが、人が多く集まるところに自動車で…という手法は、今後も増えることが予想されます。自動運転が一般化されたら、システム自体を乗っ取って書き換え、手軽に兵器とできるからです。今は運転手が必要ですが、そうなったら自爆テロ、とさえ言われなくなるでしょう。

しかし自動車の自動運転もそうですが、今企業では設備投資といえば無人化、省人化という方向ですすみます。かつての設備投資は企業の拡大、雇用の増進を意味しており、減税をして企業に促してきました。しかし無人化、省人化の設備投資では、景気にも雇用にもよい効果を与えず、減税がただの企業優遇策となっており、問題があるといえます。
米国ではトランプ減税がとん挫し、共和党が主導しての減税が、民主党との間で議論されています。しかし民主党では9月末の債務上限問題で、合わせて歳出削減も議論する、としており、減税の議論もそれに合わせて変わってくる。そしてさらに問題は、債務上限が9月末までに採決できるのか? 9月5日に議会は再開されますが、極めてタイトな日程の上に、歳出削減の議論までしていたら、間に合うことはほぼ不可能とさえ言えます。

しかも気になるのは、9月19、20日のFOMCで資産圧縮が決定される、とみられる点です。FRBが米国債の再投資をやめ、債務上限引き上げに失敗した場合、米国債は形式上デフォルトになり、一気に売られるといった事態も想定されます。そんな馬鹿なことが起こるはずない、とも思いますが、問題は今がトランプ政権であり、何がおこっても不思議ではない、ということです。企業幹部が逃げだし、市場関係者である証券幹部、証券会社出身者もにげだす、という噂だけで、米株は大きく下げた。1年と経たずにレイムダック化する、などの異例な経緯をたどるトランプ政権では、何がおきても不思議はありません。
トランプリスクに備え始めた市場。それは米国で、暴徒化したデモなどが頻発する恐れ、KKKなどの犯罪すら厭わぬ集団が跋扈する恐れ、なども含まれるのかもしれません。米国では政治自体を無人化、自動運転した方がいい、という話もいずれ出てくるのかもしれません。トランプ氏の周りからどんどん人がいなくなる状況、このままでは無人化がすすみ、嫌でも米国が少人数の、極めて歪んだ考えで運営される恐れがあり、米国そのものがリスク化する恐れの方が強まっているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(11)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2017年08月17日

日米2+2と北朝鮮

トランプ米大統領が、白人至上主義を擁護する意見を述べ、全米で批判が集まっています。トランプ氏としては支持率低迷で、自身を支持する団体に配慮しただけ、のつもりでしょうが、米国で人種差別はタブー中のタブー。例えばKKKに関して言えば、隆盛と弱体化をくり返し、今は第三次KKK運動として、過去とのつながりのない組織が活動しています。第一次は南北戦争後、南部で残る黒人差別の集団として過激化したため、5年で法律で禁止されます。第二次は世界恐慌の前の1915年〜1928年で、金満による腐敗と堕落で消滅。
1940年代以降に生まれた今は、より理念が強まり、過激なテロ組織とそん色ないレベルで、実際に度々事件をおこすほどになっています。しかし組織が細分化されて取り締まりが難しく、また結社の自由、言論の自由などもあってKKKとして力をもちつづけている。米国民に、棘のように刺さった問題に、トランプ氏は火を点けたのです。

日米2+2が開かれ、急に陸上配備型のイージス・アショアの導入が決まりそうです。2、3基で日本全国をカバー、設置費が安い、など喧伝されますが、もし本当にそうならイージス艦4機で日本をカバーできているので本当は不要、となります。イージス艦搭載のSLBMと性能が異なるのなら、話はまだ分かりますが、そうなるとイージス艦が不要、となる。
恐らく本音は、イージス・アショアのカバー率は低く、かつ固定式であるため、狙い撃ちされて破壊されると、後は防衛網が総崩れになるのは必定。それでも米兵器を買う、と安倍首相が日米首脳会談で約束してしまったため、北朝鮮の緊張の折、何となく役立ちそうなものとして選択されたとしか思えません。しかし実際は真っ先に攻撃されて破壊されるか、破壊されるのを防ぐため、イージス・アショアの周りをPAC3で固める、という本末転倒なことが起こるのでしょう。しかし3、4発の同時発射で狙われるだけでアウトです。

北朝鮮問題の解決方法として、あまり語られないことを提案するなら、米朝で話し合うべきは朝鮮戦争の終結です。今は休戦状態であり、いつ戦争が再開されてもおかしくない。だから米韓軍事演習の斬首作戦に北朝鮮は怯え、過激に反発をくり返します。ならば、朝鮮戦争を終結させ、韓朝で平和条約の締結にむけた話し合いにすすむ。
そのとき、北朝鮮は非核化と中長距離ミサイルの廃棄。韓国は在韓米軍の撤退と軍備の縮小をともに約束する。その監査役に日中、及びまったく利害のない第三国の監視員を派遣し、軍縮について着実に履行させる。両国の軍備が縮小されると、他国の侵略を受けやすくもなりますが、韓朝同盟をむすんでニコイチの軍事力とすることで、対処する。そこまでいけば、大団円が得られるでしょう。これは誰も損をしない仕組みである一方、利害関係や過去からの遺恨は、一切考慮していません。逆に、それを断ち切れるかどうか、にその成否はかかっているといえるのでしょう。

日本では佐藤外務副大臣が、日本会議系の集会の講演で「ミサイルがグアムに行く。撃ち落とさなくてどうする。親友としての覚悟が問われる」としますが、幾つも嘘がある。グアム沖であってグアムではないこと。それに自衛隊では高高度のミサイルを撃ち落とせません。こんな嘘を喜んでいるようでは、質が低いと言われても仕方ないのでしょう。
質が低いといえば、自衛隊は厳重警戒の中、最高責任者の安倍氏は夏休みです。どうせ米韓軍事演習までは動きがない、と考えているのだとしても、自衛隊員はお盆休みもなく、警戒態勢をしいているのですから、公邸にいてイザというときに備える、ぐらいはしてもよいのでしょう。どこかの都知事でもあるまいし、別荘にいてもいつでも連絡が入るので問題ない、というレベルではなく、ことは国防に関わる問題です。佐藤氏の煽り、安倍氏のお気楽ぶり、この政権には本気で自衛隊のことを思いやれる人はいないようです。私は英霊という言葉が好きではありません。国のために生き、亡くなった人がいても戦死者以外はそう呼ばないからです。戦死者は、国の誤った施策で犠牲になった、哀悼の意を示すべき対象であるものの、殊更にそれを美化しているような印象をうけることも、英霊という言葉が好きではない理由です。しかし安倍政権の誤った施策で、自衛隊に犠牲がでてもうかばれないことは間違いなく、安倍政権が「英霊」などと使うと、余計に懐疑的に聞こえてしまうことにもなりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(12)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2017年08月16日

雑感、米国の小売売上高と個人債務

米国ではNAFTA再交渉が始まります。昨日発表された米7月小売売上高は前月比0.6%増。市場予想(0.4%増)よりよいばかりか、6月も0.2%減から0.3%増に上方改定されていますから、尚強い数字といえます。しかし気になるのは、自動車が7月は1.2%増、6月は0.9%増と、全体の数字よりも強いことで、自動車部品も合わせるともっと強い。つまりその分、一般消費の部分は抑えられているのであり、自動車の強さも、自動車サブプライムローンや販売奨励金の一服で、一時落ち込んでいたものの、ここにきて回復したのはNAFTA再交渉により、輸入車の価格が上がる前の駆けこみ需要ではないか? とみられます。
住宅価格も、カナダからの木材輸入に関税がかかるようになれば上がる、とみられますが、すでにカナダの大規模森林火災があり、NAFTA再交渉がなくても上がっている。住宅は投機マネーも多く、上がる分には購買意欲が下がらない点もあります。一方で、自動車は課税されれば影響は甚大です。しかも、ここにきて売れなくなった自動車の大幅値引きも目立つようになり、一方で中古車市場の崩れもあり、価格は低下している。今が買いやすく、将来に買いにくくなるので、ここで買っている面が強いのではないか? そうなると消費が堅調、との見方も一時的なものにすぎない、ということになります。

心配な情報は他にも、4-6月期の米個人債務が前年同期比5520億$増え、13兆$弱と過去最高となった。住宅や自動車の販売が好調なら、高額消費であり当然増えるものですが、賃金上昇が限られる中で、本当に返済していけるのか? 世界的な傾向として、超低金利が生み出したあだ花、金利上昇局面で、それがどう変化するかは予断を許しません。
米株式市場が割高、と答えた投資家が46%と過去最大、という記事もあります。これまでも指摘してきたように、今の市場は『買うから上がる、上がるから買う』で成り立っています。昨日の日本市場でも『北朝鮮リスクの緩和』として株が上昇しましたが、もう一つ特徴的なのが為替が円安にもどしたこと。今のドル円は108-115円のレンジ相場であり、108円を割って更なる円高にいく動きを拒絶しようとした、そんな動きといえます。

株も為替も、下の動きに一旦傾くと、ロスカットも含めた動きが大きくなることから、それを防ぐ動きが活発です。しかしそれで支えられているうちはよいですが、想定以上に大きな動きとなると、予防保全的な動きの分も下げをきつくしてしまう。今はまだ北朝鮮の問題にしろ、想定の範囲にとどまっているので切り返しますが、いずれこうした動きも限界を迎えます。9月は需給的に下がりやすい月、そのタイミングで何か起こるのか? それともまだまだゴルディロックス相場をつづけるのか?
注意すべき水準とはいえますが、何がキッカケになるかは不明であるため、断言はできません。しかし種々の危険を示すバロメータだけは、どんどん上昇をつづける。いつそれが弾けるのか? 今はそのタイミングだけが問題といえるのでしょう。いつまでも続けることができない形で、市場は上昇をつづけてきました。それが正常化するだけで、下落のキッカケになりかねない。今、気になるのはトランプ政権への見せしめ的な相場の下落であり、企業経営者が逃げ出し始めていることでも分かるように、相場関係者まで逃げだすようだと、米国の終わりの始まりが見えてくるのかもしれませんね。

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2017年08月15日

終戦記念日と北朝鮮への対応

終戦記念日に、各党が談話やコメントを発表しています。興味深いのは社民と日ここで、社民は「憲法改悪を阻止」、日ここは「自主憲法を制定」とする。終戦記念日と関係ありそうにはないのですが、ともに憲法に言及する。民進の蓮舫代表も談話で「立憲主義、平和主義を無視した憲法の改悪」に自民がつきすすむ、としますが、安倍氏が示した改憲案は少し異なります。9条に3項を付け足す形だと、自衛隊がすこぶる危険に晒され、かつ自衛隊員への負担が過剰に増すことが問題であり、論点がずれています。
ただ自民の改憲案が、安倍氏の提案通りになる可能性は著しく低くなり、今やどんな形になるか分からない。そんな自民の談話は「積極的平和主義」をアピールしますが、この言葉こそ空しいものはありません。危険な場所に自衛隊を派遣し、それを「衝突」と言い繕い、また武器さえ使わせない。この言葉の裏には「自衛隊的危険主義」が付きまとうのであり、それを語る政治家は、危険とは無縁で国内におり、外交はせずに安穏と時を過ごす、といった態度があるのです。例えば、PKO部隊を派遣するなら監視役、報告役として指揮命令権のない政治家が帯同し、毎日のように国会へと日報を上げる。戦場随行記者のように、淡々と報告を上げることで、自衛隊の労苦も広く知れるところとなるでしょう。

そんな終戦記念日で、かつてないほどの緊張が高まります。安倍首相は今朝、米トランプ大統領と電話会談し「ミサイルを強行させないことで一致」とします。正直、いくら短期的な目標とはいえ、内容が薄っぺらいといえるのでしょう。今回はロフテッド軌道と呼ばれる高く打ち上げ、日本海に落とすという手法ではなく、日本を飛び越してグアム沖30〜40kmのところまで飛ばす、というだけのこと。その発射を強行させなかったからといって、何が変わるわけでもありません。しかも、北朝鮮は少し様子見、としているのは対話について米国が言及したからであり、強行させない=話し合いをする、です。
つまり安倍氏は、世界が包囲網を築くことが大事、としていますが、今回の話し合いは包囲網によって北朝鮮が疲弊し、行われるものではなく、日米が発射させないため、として行われる話し合いです。ステージが二つも三つも前にもどっている。包囲網を築くことが必ずしも解決に導かないことを、今回の件はみとめるようなものなのです。

ただし、これは当然の帰結です。包囲網によって北朝鮮が屈服するような事態は、中露にとって容認できないものです。そうならないよう、あの手この手を尽くすでしょう。つまり中露を上回って、裏工作を防いで成果をだすのは、途方もない労力と知恵が必要となります。どこの国も、そこまでして北朝鮮包囲網を強固に構築するような努力をしていないのであり、結果が伴わなくて当たり前です。言葉は悪いですが、安倍政権のやっていることはただの時間稼ぎに手を貸しているようなもので、北朝鮮との関係において生かさず殺さず、という従来の形を踏襲しているだけにすぎないのです。
トランプ氏も、安倍氏も、支持率回復の特効薬に北朝鮮、という共通の認識があるように思えてならない。つまり安倍氏が「米国と完全に一致」したのは、北朝鮮の利用方法ではないか? トランプ氏が北朝鮮に強硬な発言をくり返し、政権内の要人が火消しに回る。やり口は日本とも似ます。将来的に朝鮮半島の非核化や挑発を止めさせること、その長期的な戦略と、ここで撃たせること、がどうリンクするのか? それがよく見えない限り、日米と北朝鮮、そこには阿吽の呼吸ならぬ、ア日北の呼吸がある、と疑わざるを得ない、といえるのでしょうね。

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2017年08月14日

4−6月期GDP速報値について

安倍氏が閉会中審査が終わった後、桃の贈呈をうけて「ジューシー」と使いました。かつて何を食べても「ジューシー」としか言わない、との批判を受けて、官邸の贈呈ではスピーチライターがコメントを考えていた時期もありましたが、そんな余裕もなくなったのかもしれません。味覚オンチは政治の能力とは関係ありませんが、言葉が拙いことは政治家としての能力として、疑問符がつくというものです。

4-6月期GDP速報値が発表されました。内需の寄与度が1.4%増で、外需の二期連続のマイナスを補って余りある結果となり、前期比で実質GDPは1.0%増、年率で4.0%と良好な結果です。名目でも前期比1.1%増、年率で4.6%増で、実質の予想が年率で2.5%が中央値だったことをみても、予想を上回る結果といえます。
ただ中身でみると、やや首をかしげる結果もあります。家計消費支出が0.9%増で、エコポイント減税に伴うテレビの買い替え需要、といいますが、家電量販店に出向いても、そうそう賑わった感覚がない。一部、ドンキの5万円4Kテレビが即位り切れ、といった記事もありましたが、家電全体に盛り上がりはあまり感じられません。さらに以前から指摘しているように、今の4Kテレビを買っても、将来の4K8K1放送が始まると、新しくチューナーを買い替えないといけない。買い替えるインセンティブはそう高くなく、一体誰が買っているのか? 不思議という他ありません。

企業の設備投資も好調で、3四半期連続の高い伸びですが、機械受注が落ちてきており、今後は伸びも限られそうです。公的資本形成は5.1%増となるなど、補正予算の影響といいますが、逆からみれば補正予算に関わらない個人消費や設備投資がこれほど伸びるのなら、どうして補正予算を組んだのか? という話にもなる。今回の予想を大幅に上回るGDPの結果も、実は今年、補正を打てる予算的余裕がないため、4-6月期を高くみせかけて補正を打たなくてもよいようにするための仕掛け、などという声も聞かれます。需要が弱いわけではありませんが、こんなに強いのか? という疑問が大きいのです。
そもそも賃金が伸びていないのに、消費が増えるということは家計の負債が増えている、ということ。これは世界的な傾向でもありますが、日本にも愈々その波が訪れた、とするなら、世界の景気も最終局面といえるのかもしれません。日本人ほど慎重な国民性のある国で、借金依存の消費に頼るのなら、世界はもう借金まみれの国民が増えた、ということにもなりかねないからです。

外需が落ちてきているように、トランプ減税期待の消費が剥落し、今はまだ共和党減税への期待が残るものの、増やした分を減らさないといけない局面です。なぜなら賃金の上昇率が低く、ここまで消費を増やせる状況でないにもかかわらず、税金を払わなくてよい、ということだけが消費を押し上げてきたからです。
世界は4-6月期がピークだった、となるのか? 株価も調整色を強めます。本気で北朝鮮との軍事衝突を意識するにしては、金や資源価格の相場がほとんど動いていないので、あくまで夏休みをとるファンドマネージャーのイイワケにすぎないと考えますが、ボラが低下し、とにかく投資を増やしてきたファンド勢も、こうしてリスクを意識するようになったことで、今後はボラの上昇に怯える市場が現出するのかもしれません。誰が買っているのか? それは市場も、消費も同じであり、何か説明がつかないことが、世界的におきている可能性があります。いつまでも「ジューシー」というばかりで、本当の価値が分かっているのか? ジューシーには『お金がもうかる』という隠語的な意味も含みますが、その実態を知ったときは、世界がひっくり返ることになるのかもしれませんね。

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2017年08月10日

日報問題と北朝鮮のミサイル

自衛隊PKO部隊の日報隠ぺい問題に関して、衆参で閉会中審査が行われました。しかし任命責任があるはずの安倍首相、稲田前防衛相、黒江前防衛事務次官、岡部前陸幕長の出席は与党が拒否。結果本位の仕事せん内閣、疑惑を解明しません内閣が、早速その仕事しないぶりを発揮しました。「特別防衛監察で調査したもの以上はない」と森山自民国対は述べますが、どこの組織でも不正があったら第三者委員会を設置します。しかも、今回は防衛相の関与が疑われる。防衛相下の組織である防衛監察で済むはずがありません。
しかも証言が食い違っていたことは認めながら、これ以上は調査する気はない、という。まさに『仕事せん内閣』です。党内でさえ擁護の声は少ない中で、稲田氏をこれだけ隠すのは、やはり安倍氏の意向なのでしょう。秘蔵っ子が無能、というばかりか、議員不適格の烙印を押されたら、人をみる目がない、とみなされる。毎回のように組閣に失敗し、早々と辞職する閣僚をだす安倍氏に、人をみる目など最初からないのかもしれません。しかしそう見做されないために払う代償は『疑惑隠しをする』内閣、との印象です。

北朝鮮がグアム沖に4発のミサイルを撃つ、との警告をだしました。今日の閉会中審査でも、小野寺防衛相は対応をはぐらかしていましたが、実は日本にとって頭の痛い問題です。安倍政権となり、これまで自民党が示してきた方針と、大きく変わった防衛上の、特筆される点は「核の傘の下にあるから核廃絶の動きには参加できない」と「日本上空を通過し、米国を攻撃するミサイルを迎撃する」です。前者は、なぜできないのか? といった説明もなく、これまでの自民との方針とも違えた。恐らくは首相本人の考え方一つであり、できないということに理由はありません。本人がそう考える、というだけです。
後者の問題が、今回は浮き彫りになります。しかし北朝鮮からグアムに攻撃する場合、日本の領海、領土の上を通過するときは、すでに高高度であり、現実問題としてPAC3では迎撃が不可能でしょう。それは日本海で、日本の領海に巡洋艦を並べても同じです。存立危機事態、なるおかしなことで迎撃をする、としてきましたが、実際に上昇するタイミングで撃ち落とすには、韓国の領土か、韓国の領海においてしかない。それが今回の北朝鮮のミサイルで、詳らかにされるかもしれない、ということなのです。

しかも、ミサイルとは言っていますが、自国に落ちない限り、撃ち落とす権利は本来、他国にない。米国の領土に落ちる、ということを軌道から計算し、それから迎撃ミサイルを撃つことなどわずか10分でできるはずもない。つまり出来もしないことを、あたかもできるかのように語り、軍事傾斜させようとしていた安倍政権の方針が、実際の北朝鮮の行動によって、実際にできるのかどうか、はっきりすることにもなるのでしょう。
安倍政権になって、急にできること、できないこと、の線引きが変わった。その虚実がここで鮮明になる。そしてもう一つ、北朝鮮がもし仮に失敗し、日本に落ちてくる場合、それを撃ち落とさなければいけない。しかし失敗は軌道が読みにくく、成功する確率も低くなる。PAC3が本当に機能するのか? それも試されるといえるのでしょう。

防衛省の隠ぺい体質も、今回ではっきりした。国防を担うにふさわしい組織なのか? 北朝鮮のミサイル発射は、色々な意味で日本の問題を浮かび上がらせるのかもしれません。被爆者からも厳しく詰め寄られた安倍氏、夏休みにだされた宿題は、これまでの態度、言動が問われるものです。閉会中審査は結果をだせなかった、そして北朝鮮の問題では、結果本位というからには『失敗即退陣』といった厳しいことにもなるのでしょうね。

明日から3連休をとり、再開は14日となります。

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2017年08月09日

雑感。米北の緊張

茂木経済再生担当相に、公選法違反の疑いが報じられます。地元の有権者に衆議院手帖やカレンダーを配っていた、とされ、茂木氏は「党員や政党支部に資料として配った」と説明します。しかし党員とて有権者であり、また党員だからよい、などと公選法に規定されているわけではないので、茂木氏の説明はイイワケにもなっていません。
しかしこれまでも安倍政権では、団扇を配った閣僚が公選法違反に問われましたが、閣僚辞任で済まされました。もし公選法違反なら、政治家すら辞すべきにも関わらず、です。そうしたごまかしは、支持率の高いうちは通用しましたが、支持率の落ちた今はどうなるか? 早速と週刊誌では身辺調査が行われており、女体盛りの話なども含め、醜聞まみれになるかもしれない。仕事人内閣が、仕事せん内閣ともなれば、国民の失望も早いでしょう。茂木氏について「人づくり」どころか「人潰し」が得意、ともされます。人生100年計画などという会議を立ち上げ「人(使い)尽くし革命」なのか、「人潰し革命」なのかは分かりませんが、醜聞により「人雪崩革命」となるのかもしれません。

米国と北朝鮮の緊張が高まっています。北朝鮮が核弾頭の小型化に成功、とすればトランプ大統領は記者会見で「炎と怒りに直面」とするなど、言葉だけみれば一触即発です。支持率の低下に悩むトランプ氏が、強硬策に打ってでる可能性も残されている一方、北朝鮮もグアムへの威嚇射撃に言及する。言葉同士がエスカレートすると、実際の行動に移す可能性も高くなり、俄かに国際的な緊張が高まった形です。
ただ中露は微妙な情勢です。経済的には何とか小康を保ちますが、中国ではなりふり構わぬ人民元高誘導が功を奏し、資金流出を防いでいますが、また情勢が変わると人民元が売り込まれ、資金が逃げるといういたちごっこに陥りそうです。露国はWTIが50$/バレル近辺にもどして小康ですが、国内の物価上昇で国民経済は疲弊。戦争で国内の不満を逸らす、ということをしようとしても、ぎりぎり保たれていた経済が底割れする可能性がにじみます。戦争をしたくない中露、戦争を煽って国内を引き締めたい米国、大国の間で立ち回って大きな利を得たい北朝鮮、という構図がさらに事態を複雑にしています。

株価は久しぶりに1%を大きく超えて下落。ただ北朝鮮問題は口実にされただけで、実際は外国人投資家が夏休み前に、ポジションを落とす動きだったのでしょう。気になるのは久しぶりに先物も大商いですが、日経ミニでずらりと国内証券会社が買い方に並んだこと。恐らくすぐ切り返す、とみての買いでしょうが、外国人投資家がポジションをもどさない限り、新たな買い手は現れず、もどさない可能性もあり、外国人投資家の夏休みの状況次第では、日本人投資家による投げでもう一段下げる可能性もあります。
米国はシリアで反政府組織への支援を止め、事実上見捨てた。米国が北朝鮮問題で見捨てるのは何か? 今はまだそこまでの準備も、心構えもできていないとは思いますが、それは日本や韓国ばかりでなく、世界経済の行方も含まれるのかもしれません。トランプとは元々切り札、という意味で、カードゲームで遊ぶ外国人が「トランプ、トランプ」と言っていたことから、日本人はそのカードをトランプというものだ、と誤解してその名称がつけられた、とされます。誤解というボタンの掛け違え、双方が切り札を切るようなときの影響は甚大であり、夏休みなどとっている暇もなくなるのでしょうね。

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2017年08月08日

7月景気ウォッチャー調査と人づくり革命

7月の景気ウォッチャー調査がでて、現状判断DIは49.7(前月比-0.3pt)、先行き判断DIは50.3(前月比-0.2pt)でした。好調だった6月から企業部門が大きく落ちたこと、家計部門が微減で両方が足を引っ張った形です。気になるのはアンケートの内容で、人材不足で売り上げが落ちている、との意見が目立つこと。通常、人材不足なら賃金を上げたり、条件をよくしたりして人材確保に努めますが、現状の日本ではそれができません。
業況拡大に伴う人材確保なら、人件費増などのコストアップを賄えますが、今は引退する人材に対する穴埋め。特にそれが、高齢で安価に雇えていた人の代替ですから、パイの維持にしかならず、人件費増のコストアップが業績を悪化させてしまいます。それなら人材を補充せず、売り上げ減少に任せる。日本企業が縮小、均衡をめざしている様子がうかがえるのです。需要が変わらないなら、1人辺りの売り上げが多少アップし、それで十分。それがゼロ成長、人口減少の日本では最善な判断だと、企業が認識しているのが問題です。

家電は液晶テレビやエアコンが好調、これは猛暑の影響もありますが、エコポイント減税の買い替え需要がきているためで、特需の類です。しかしボーナスの減少か、家電の大きな買い物が響くのか、夏物セールの売り上げが落ちている、とされます。安売りしないと売れない、20〜30%の値引きでは売れない、とも。つまり国内需要が著しく落ちており、引退して大きな買い物がしにくくなった層も、家電の買い替えで夏物セールの買い物を控えざるを得ない、という深刻な事態が、ここから読み解けます。
そんな中、茂木経済再生担当相が人づくり革命にかかわる会議を『人生100年時代構想会議』とする、と発表しました。人づくり革命とは、死ぬまで働け、ということか? 誰もがこの名称からそれを連想するでしょう。若者のスキルアップや、専門教育といったことは連想させず、まるで社会保障でも検討しそうな会議名です。こうしたところにも政権の本気度、どういう方向に日本を向かわせたいのか、が分かるというものです。

安倍政権は、縮小均衡に向かう日本で、少子化を解消してそれを変化させるのではなく、今ある人材を使い尽くし、しゃぶり尽くして終わり、とでも考えているのでしょう。そしてそのときは、年金の受け取り年齢も伸ばし、働いている限りは年金受給額も減らし、そうやって最期まで働かせて人材不足を解消する、そのための会議にしか見えません。
人づくり革命、むしろ『子づくり革命』とでもして、新しい婚姻関係の築き方や、子供が生まれたら行政が責任をもって育てる、金銭面の不安は与えない、というような施策を打ち出した方が、よほど将来の日本にとって有益である、とさえいえるのでしょう。どうやら『人づくり革命』とは、高齢化社会に伴う国の形を変える『国づくり革命』に終わりそうで、安倍政権がそこにしか向かおうとしていない現在、日本は縮小均衡にむかってただひたすらに国力を落としていく、ということが鮮明になってきたのでしょうね。

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2017年08月07日

ワイドショーと政治

ノロノロ台風5号の被害が拡大しています。偏西風に乗らないこともそうですが、上陸してもそれほど威力が弱まらない。ここまで陸地に近づくと、これまでなら熱帯低気圧に変わるものですが、そうならない。これも地球温暖化の影響なのかもしれません。

プレミアムフライデーの経済効果は5000億円、と試算したEY総合研究所が、設立から僅か4年の今年6月末、解散しました。官公庁のご用達、注文通りの試算結果をだし、政策の効果に対してお墨付きを与えるため『だけ』に存在した研究所ですから、長く続ければ試算と結果が大きく異なる、といった膿も溜まる。こういう組織ができては消え、そして新たな組織がまた意味のない試算をだし、政策の正当性を補完する。こういうことをくり返すから、日本の政策は効果がないばかりか、負の影響がある政策ばかりとなるのです。
仕事人内閣、を標榜した第三次安倍再々改造内閣、早くも江崎沖縄・北方領土担当相の失言がでました。「役所の答弁書を朗読」「私は素人」と述べました。深刻なのは、沖縄も北方領土も、安倍政権が重点政策に掲げているにも関わらず、江崎氏に二度も就任要請をしたこと。一度目は断られ、二度も要請した。三顧の礼とまでは言いませんが、そうまでして請い願った人材が「素人」か? 安倍政権の本気度が疑われます。

最近、安倍ライトの層を中心に「ワイドショー=害悪」説が流されます。安倍政権を攻撃するから、というのがその理由ですが、ワイドショーについての誤解もあります。ワイドショーは「情報番組」ともされるように、雑多な情報を報道番組とは少しちがった形で、時には掘り下げる形で取り上げます。しかし報道番組と異なり、視聴率が重視され、話題の切り口も国民の興味をひくことができるよう、味付けがされています。
重視されるのは3点。奇抜な事象、事件。特異なキャラ。そして未解明であること。このうち特異なキャラは、例を挙げれば松居一代氏、上西議員、籠池夫妻、キャラが立つとどんな話題でも注目されます。そして今、安倍政権を悩ましているのは「未解明である」こと。つまり日報問題も、森友学園の問題も、加計学園の問題も、すべて謎の状態のままであり、国民にモヤモヤ感が溜まる。そうなると人はどんどん興味が湧き、注目度が上がる。それを取り上げた方が視聴率が上がるので、自然と放送時間も長くなります。

野党に「証拠をだせ」などというのは論外です。捜査権もない以上、証拠はリークに頼るしかない。一方、安倍政権ではそれを「怪文書」などと呼び、後に省内の文書だと認める。それが証拠になり得るのかどうか、それすら判断するのは政権なのです。そして行政の監視機能をもつのは国会であり、その国会では与党が最大勢力として、調査を拒む。これでは野党が調査できるはずもありません。そして安倍政権が、与党がそうして調査を拒むからこそ、謎として残り、ずっと国民の興味をひきつづけます。
つまり安倍政権が実態解明をこばみつづけるから、ワイドショーに飯のタネを与え、取り上げられるからさらに苦境になる。苦境だからワイドショーを攻撃するも、攻撃されるということがさらに注目を集め、視聴率がとれる。そのくり返しをしているのです。その流れを変えたいなら、安倍政権が未解明のまま残すのではなく、国民が納得する形で結論をだせば、この話題は2日で終わるでしょう。仕事人内閣、本来は『仕事師』とすべきですが、仕事しない閣と揶揄されるから、『仕事人』に替えたともされます。しかしナゼか、字面と音、そして政権の態度から『非国民内閣』に聞こえてしまう。結果本位というのなら、醜聞とされる問題にも結果をださないといけませんが、それをできずに未解明のままなら、まだまだメディアの追及は止まらないのでしょうね。

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2017年08月06日

雑感。政治のこと

豪国でオスプレイが墜落し、小野寺防衛相が米軍に自粛を要請しました。しかし米軍が受け入れるかは不明ですし、何よりそんなオスプレイを日本は購入しようとしています。事故の原因次第では、購入計画の見直しも必要であって、これは重要な問題です。
安倍首相が広島の平和祈念式典で演説を行いましたが、核兵器の廃絶にむけた国連の決議に日本は不参加、「核兵器のない世界の実現」を訴えても、空々しいばかりです。しかも「国際社会を主導していく決意」とも。安倍政権で、核廃絶にむけた世界の流れに日本は出遅れてしまったのであり、決意を抱くのは勝手ですが、国際社会からすれば笑い者です。自分からその地位を下りたではないか、と思われるだけだからです。

国家戦略特区WGのH27年6月の会議に、加計学園の関係者が3人出席、しかし説明補助者として議事録には出席の記載がなく、また発言の記載もないことが分かりました。WGの座長である八田氏は、安倍首相も出席する国家戦略特区諮問会議にも出席します。今治と加計は一体、そういう認識は当然、八田氏ももっていたでしょうし、それを安倍氏に伝えない方がおかしい。1月20日まで知らなかった、という安倍氏の説明がますます怪しくなった、といえるのでしょう。しかも、今日になって政府が設けたHPで明らかにするなど、後々ばれたら大変だから、今のうちに掲載しておこう、という魂胆がミエミエです。
八田氏はこれまでも議事の公開をもって透明性は高い、と説明しており、その議事要旨に載っていないことがあるとなると、説明そのものの価値が下がります。そもそも議事も要旨であって、発言のすべてが記載されるわけではありません。どの会議でも、都合の悪いことはオフレコにするものであり、必ずしも透明性を保てるものではないのです。八田氏の説明、認識に問題があり、信用性については今後も議論の対象となるのでしょう。

安倍氏が来年10月に予定されている消費税再増税について番組内で言及し、デフレ脱却により税収が安定的に増える。デフレ脱却が最優先。ともしました。しかしこれは嘘です。インフレと景気後退が起こるスタグフレーションになれば、デフレ脱却を達成しても税収が増えるどころか、減ります。成長の結果としてインフレにならなければならず、優先するのが逆なのです。しかも、お金をばらまいて円の価値を下げ、インフレにするという手段はこの5年で否定された。他の手を示さないのなら、安倍政権では達成不可能となります。
また同番組内で、加計学園の問題について「驕りがあった」としましたが、今問われているのは「奢りがあった」ことです。1月20日まで奢り、奢られ、という関係だったことを認め、一方で認可申請を「知らなかった」という。閉会中審査で新たにでた疑惑を「謙虚に丁寧に説明する」気は、今のところないようです。10日の閉会中審査は安保委なので、自衛隊の日報問題のみに焦点が当たりますが、稲田前防衛相の出席も拒否する。安倍氏や菅官房長官が「謙虚に丁寧に」と言いますが、態度でそれを示す気はないようです。言動と行動の不一致、それがもっとも信用を落とす行為であり、そんなことをくり返していたらオスプレイ政権として、墜落しやすさを指摘されることになるのかもしれませんね。

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2017年08月05日

来年にかけての経済

米7月雇用統計が非農業部門雇用者数で20.9万人増となり、失業率も0.1pt改善。良好な結果となり、利上げを意識されて金利が上昇、円安になって帰ってきました。しかし賃金上昇率は前年同月比2.5%増と、金融危機前にとどかず、インフレに加速感はない。それでも利上げせざるを得ないのは、過熱感の方が強まってきたからです。
世界の不動産市場は、日本のバブル期並みの上昇を示し、個人債務も拡大。お金を借りて投資をする、という状況が世界で蔓延しており、新規に資金が流入するため市場が上がる。上がるから資金が流入する。その循環で押し上げられてきた。株式市場は国のGDPを大きく越える時価総額となり、正当化できる範囲を超えている。ネットの個人取引など、国が関与しない部分もあるため、株式市場でも必ずしもGDPを目安にする必要はないかもしれませんが、世界全体の株式市場が上昇する、といった異常な状況が今ですから、これが問題ない状態です、などという理屈は相当程度、懐疑的な目を向けておいた方がよいでしょう。

問題は、来年の市場に警戒信号がともる点です。米欧の中銀で、引き締めが今年中には開始される見込みです。ECBの利上げと、FRBによる資産縮小。恐らく後者の方が資金の流れに与える影響が大きく、米国債に金利上昇圧力がかかる。と同時に、少しでも利回りの高い債券を求める動きから、米国債は変われ、金利はそれほど上下しないかもしれない。しかし不動産市場に流れ込んでいた資金の一部が、米国債へと向かうことになります。
日本のバブルがはじけた後の住宅市場を例にだすまでもなく、世界各国で深刻な消費低迷と、金融不安を引き起こすことでしょう。これはバブルを深化させつづければ、さらに弾けさせたときのダメージが大きくなるので、いつかは通らなければいけない道です。しかしそれが起こりそうなのが来年、というのが問題でもあるのでしょう。

政治的混乱も年末から来年にかけて、大きくなりそうです。米国ではトランプJr.への大陪審が決まりそうです。米共和党としても、トランプ政権で中間選挙を戦えないことは自明。仮に年末までトランプ政権が続いても、来年には共和党内から引きずり下ろす動きが出てくるでしょう。露国との共謀を根拠とした弾劾の可能性があります。
日本も改造はほとんど失敗。支持率もすぐに危険水域に落ちるでしょう。欧州では選挙イヤーでしたが、何とか極右の台頭を防げそう、との認識も広がります。しかし誕生した政権の支持率は低く、欧州でも経済が堅調なので、デモなども鎮静化していますが、不動産市場がコケると一気に政治不信が広がる公算も高い。日本ではほとんど不動産価格が上昇していないので気づきにくいのですが、今や不動産市場の行方が世界経済、ひいては世界の政治情勢すら揺るがしかねない、とも言える事態にまでなっているのです。

これまではオイルマネーの変調、中国経済の不安、などがあっても資金の流れが変化しなかったのは、中央銀行が緩和をつづけてきたからです。それが今年の末にかけて止まる、変化する。まだ緩和の手段、規模も分からないので、影響については推し量れませんが、とにかく来年、変化を示すサインがいくつも出ていることは間違いありません。
日本の問題は、世界経済が変調したとき、緩和の手段も、政府による景気対策の手段も限られる、という点です。安倍ノミクスで5年間、無為無策のまま緩和だけをつづけ、余裕を失っている上、引き締めにも出遅れている。来年はあらゆる意味で試される一年、となるのかもしれません。まだ今年、5ヶ月も残していて来年の話をすると鬼に笑われそうですが、鬼も裸足で逃げだす、そんな経済情勢が近づいていることだけは間違いないのでしょうね。

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2017年08月04日

雑感。民進・細野氏の離党と改造内閣

GPIFが発表した4-6月期の運用成績が、5兆1153億円と発表されました。国内株、外国株がともに25%に接近し、今後新規の買いは難しいレベルに達しました。国内株は日銀のETF買いで2万円近辺を維持、ダウは現在、最高値を更新中であるほど堅調ですが、その株高を支えるのがバブル、との指摘が多くなってきました。海外の不動産市場は、日本のバブル期並みの上昇を示しており、株価は各国でもGDPの規模を大きく超えている。中国でも米国でも、個人債務が拡大しており、低金利の環境の中、お金を借りてでも投資した方がいい、とのムードが蔓延し、その結果として新規資金が流入、上昇が止まらなくなっています。
米欧の中銀が引き締めに転じたのも、バブルを封じないと国家が破綻するレベルまで個人債務が肥大化する、との懸念がそうさせます。これまで日銀は「国内の物価上昇を目標」として緩和に理解が得られた、と説明してきましたが、それは欧米でも緩和している中、日銀を非難するわけにはいかなかっただけのこと。しかし世界がバブル潰しをしたい中、日銀がそれを阻む状況は、そう長くつづけられるはずもありません。ダウは7日続伸、いつもバブルの最後は、華々しく連続上昇、最高値を連続更新、などという文言が並び、そして弾けてきました。そのタイミングが徐々に近づいている、そんな不穏な空気を感じます。

民進党の細野氏が離党を表明しましたが、同じグループの誰もついてきませんでした。これで小池新党に合流するなら、国会議員が5人となり、政党要件を満たすことができます。その5人目を狙って焦ったこともあったのでしょうが、これから代表選というタイミングは政治センスのなさを感じさせます。誰がみても裏切り、逃避にしか見えず、大義の立たない行動は、今後あらゆる場面で政治家・細野氏を苦しめることになるでしょう。もしかしたら解散を意識したのかもしれませんが、それこそ小池新党の国政進出を望まない声が多い中、東京以外で本当に戦えるのか? その判断も問われることになります。
しかしこれで小池新党の立ち位置は極右となり、自民と合流した日本のこころの後継という形になる。極右の雑誌は図書不遇の現代においても、未だに廃刊にもならずに存続していますが、極右政党は発生、消滅をくり返す。そこから国民の大多数ではないものの、熱心な層がいる、ということが分かります。その中から政治をめざす人物も多いため、政治家にもそうした主張をする人が多いですが、一人になって本音を吐き始めると、途端に人気を落とす。それはどこか、うさん臭さを感じさせるからでもあるのでしょう。

第三次安倍再々改造内閣、もっとも面白い評価はやくみつる氏の『強力消臭内閣』です。しかし悪臭を放つ原因である安倍氏が変わっていないので、消臭剤が切れるとまた匂いが漂う。世襲(臭)という匂いもする。しかも、ノダという強力なフレグランスをつかっており、野田総務相の映像や発言が多く流れたことも、悪臭をかくす効果があったのでしょう。しかしこれはただの悪臭ではなく、腐臭です。
ジャーナリストの田原氏が、安倍首相に提案したのは消費税減税ではないか? との考察もあります。ただし、田原氏は「安倍氏にも自民にも嬉しくない」としており、減税なら人気とり策であり、安倍氏にとっては僥倖ですから、発言と必ずしも合致しません。しかも今は減税とセットで増税も適用され、財政を均衡させようとするため、効果も限定的。逆に増税を外すと、財政上の懸念が高まり、金利に上昇圧力がかかり、余計に日銀依存を強める結果ともなるのでしょう。そしてそれは、世界からみて更なるバブル化を意識され、米欧からの批判が高まることにもなるのかもしれません。

北朝鮮との首脳会談で、米朝首脳会談への露払いで、ノーベル平和賞狙い。という見方にしろ、実現するために必要な国民の支持が、もうないのです。それでも流れに抗って足掻くとしても、臭さは止められません。臭さの元を断つための実態解明を拒み、支持率の下げ止まりを喜んで何もしないのなら、死して生きるゾンビ政権とも呼ばれるでしょう。それをいくらラベンダーならぬ、アベノダーでごまかそうとしても、ごまかしきれるものでもないのでしょうね。

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2017年08月03日

第三次安倍内閣第三次改造について

第三次安倍第三次改造内閣が発足しました。森元首相が助言した「遠い人を」とのことで野田総務相や河野外相を起用した、といいますが、それほど「遠くない」と感じます。野田氏は事前に安倍氏に協力する話はしていますし、河野氏は第一次改造時の行革担当相で、かつほとんど持論を封じたのであり、両者とも閣内にとりこめばそれほど批判的な言動、行動をとるとは思えないからです。そもそも一強とされた時代に批判を封印していた政治家に、遠いや遠くない、という定義が当てはまるのか、さえ不明といえます。
安倍首相は「結果本位の仕事人内閣」としますが、残念ながら『仕事人』という言葉の定義はなく、時代劇の必殺シリーズしか想起させません。社会悪となった人物を、お金をもらって殺す作品ですが、その安倍政権が様々な問題を抱え、社会悪ではないか? との疑念をもたれているのであり、第二次改造時の閣僚を刺す、ということならこの言葉も何となく受け入れられるのでしょう。恐らくやり手を意味する『仕事師』の間違いか、それとも安倍氏お得意の造語、新たな意味を付加した、といったところかもしれません。

この組閣を評するなら、安倍氏の精神安定をはかるためのメンバーであり、答弁安定本位で再入閣組を多用した、といったところです。ざっとみて気になるのは、石原派がゼロ。麻生派が3人、額賀派が2人。二階派、石破派がそれぞれ1人。細田派(安倍氏を含む)、岸田派が4人。このうち、入閣待望組は派閥からの要請を受け入れた結果であり、新たな火種になりそうです。党内バランスとして岸田派が多い。特に、文科相、法相、防衛相に岸田派をもってきたのは尻拭いを任せるのと同時に、党内にむけて「もう暴走しません。主張の異なる岸田派と調整しながら物事をすすめます」との意思表示でもあるのでしょう。
当選3回の斎藤氏が農水相、というのは驚きですが、農協との交渉を務めた論功というより、石破派でもあり、石破氏への牽制という面が強いのでしょう。TPP11や日欧EPAなど、否応なく農水相は調整役として大きな負荷がかかる。それは農水族として、石破氏が関与して対応するように、とのお達しにみえる。入閣は叶わなかったものの、影の農水相として忙しくさせておけば、倒閣運動など起こせないだろう、との読みです。

今回、もっとも気になったのは安倍氏が会見で「最優先すべき仕事は経済の再生だ。経済最優先」と述べたことです。5年も経って「再生」? 経済は死んで復活するわけではないので、この「再生」はあくまで廃物を再び使えるようにする、という意味と思いますが、5年経っても日本経済は廃物のような状態なのか? だとしたら、これまで安倍ノミクスの成果としてきたものも、実際にはまだ評価するに値するものではない、となります。
デフレ脱却は達成できず、日銀は手詰まり。緩和を止めた途端に経済が失速することは自明であり、廃れていくことになる。そこで茂木経済再生担当相となりますが、経産相時代も目立った活躍はなく、むしろ自らの懐についての問題も指摘されるなど、経済に明るい印象はほとんどありません。市場も反応薄、むしろ世界全体のバブルで株価は高いものの、政治とは切り離されたように、政局とは無縁の動きをつづけます。

むしろデフレ脱却、雇用増、賃金上昇、などをずっと繰り返しつづける。経済の再生どころか、録音の再生のような文言が5年間ずっと続けた、ということは達成できていない、ともなるのです。『人づくり革命』も掲げますが、この内閣は『一溜まり革命』ともいえるのでしょう。一溜まり、はほんのちょっと持ちこたえる、という意味で、否定を伴うと一溜りもない、となります。ちょっとの延命にはなるでしょうが、むしろ安定をめざしたつもりが、いつ暗転になるか? 存外早くそのタイミングがくるかもしれない。一溜まりの長さが問題になってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(30)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2017年08月02日

自民党役員人事について

自民党改造人事の話が漏れ伝わってきます。安倍改造内閣については明日、考えたいと思いますが、その前に党役員人事と、確定とされる一部の閣僚について考えてみます。注目された岸田外相は政調会長につきます。岸田氏としては、禅譲を狙って安倍首相に協力してきましたが、どうやら幸福のうちに禅譲、という形になりそうにない。安倍氏が細田派をまとめきれそうもない。自分の力で何とかするしかない、となってきて、政調会長職で党内に顔を利かす、という選択をし、安倍氏もそれに同意したものでしょう。
安倍氏としては自らの力の衰えを自認するようなもので、受け入れがたいものの、そこは岸田氏との関係、岸田派の協力を優先せざるを得なかったのでしょう。閣内にいると、安倍政権が退陣の憂き目にあったとき、素早く行動できない。特に、10年前と同じで9月に退陣などされると、外交日程も立て込んでいるため、身動きできない公算が高かったのです。

それと逆の判断をしたのが野田聖子氏。無派閥、無役のまま総裁選にでても、今一つ説得力がない。安倍政権のまま総裁選、と考えるなら、役についておきたいところで、かといって党役員には基盤がないのでつけない。ならば閣僚で、との判断とみられます。
さらにそれと逆の判断が、石破氏なのでしょう。水月会という基盤があるため、安倍政権下では無役のままの方がいい。むしろ安倍政権が悲惨な最期を遂げるなら、距離を置いていた方が得策。党役員なら引き受けても、閣内入りは拒絶したとみられます。この辺りはそれぞれの政治家の読みもあるので、何が正解かはなってみないと分かりません。

幹事長は二階氏が留任ですが、幹事長代行には加計問題の渦中の人、萩生田氏を当てました。気になるのは、斑ボケともされる二階氏の状態で、幹事長が務まるのか? その保険として萩生田氏を置いたのなら、この人事は党内を安倍氏に都合よくまとめるための布陣、といえます。最高齢幹事長としての二階氏に何かあったら、何かなくても萩生田氏が実権をにぎり、安倍氏を支える。総裁選の前倒しなどさせないためのものでしょう。
その布石は塩谷選対委員長もそうです。当選8回、というと選挙に強そうですが、二世議員で当落をくり返すなど、かなり選挙に弱い。文科相を務めたこともありますが、とにかく地味な印象で、公選法違反の疑いを問われたこともあり、どうみても不適格。しかし日本会議に属し、安倍氏との一体感はだせる。これは総務会長の竹下氏も同じで、国対として安倍氏の意向を存分に忖度しようとした、その功績とともに、日本会議の意を受けて、安倍氏を支える党内体制をととのえた、ということでもあるのでしょう。

文科相に林芳正氏、と伝わります。農水族の林氏を当てて、獣医師会と文科省とをなだめながら、何とか加計学園の獣医学部認可を通そう、との意欲もみえる。結局、加計学園の問題、自衛隊の日報問題等、何ら疑惑の解明に向けた行動をとることなく、内閣改造にいたったことは、問題をずっと引きずる内閣ともなります。この改造のキャッチフレーズは「人づくり革命」だそうですが、安倍氏が心の安寧をはかるために、閣外にいたら反抗的だけれど、閣内にいたら大人しくなる、という人ばかりを集めた「一括り閣僚」の再就職という面が強くなっているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(13)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2017年08月01日

米トランプ政権の混乱と市場

先週末の北朝鮮のICBM発射に関して、安倍首相がトランプ米大統領と電話会談を行い「さらなる行動をとっていかなければならないとの認識で完全に一致」と述べました。誤解してはいけないのは、これは『何かをする』で一致しただけで『何をする』で一致したわけではない、ということです。「完全に一致」などというおかしな文言を、最近の安倍氏は北朝鮮問題に関して日米の結束を強調するときに用いますが、ほとんど意味のない言葉です。

そんな米トランプ政権が迷走しています。スカラムチ広報部長が、就任から10日で辞任ですが、スカラムチ氏の就任に反対したスパイサー報道官は辞任しており、プリーバス首相補佐官も更迭された。そしてプリーバス氏の後任としてケリー氏が就任、そのケリー氏がスカラムチ氏の解任を要請する、というめまぐるしい展開です。
こうした混乱はオバマケア代替法案でさえ成立できなかった点にも表れます。法人税を35%から15%にする、との公約も成立は風前の灯火で、共和党内では25%にする案も出ていますが、財源なき減税になれば、財政規律の緩みを嫌気される可能性があります。そもそも、現在の世界経済の好調の一端は、トランプ減税に対する期待もあって、それがすすまないと米経済も一気に弱含む公算が高い。これは個人も同じで、減税を当てこんで納税額を低く抑えたりしており、それが個人消費の堅調にもあらわれており、減税の行方と今後の米国経済は、かなり密接に影響し合うといえるほど、重要なものです。それが、政権の迷走で今やどうなるか分からない。日本では消費を手控えそうなところですが、米国ではそうでないからこそ今は好調。そんな危うさを感じさせる状況です。

最近の株価はETF投資が活発で、逆にオプションと組み合わせたアクティブな動きが激減しています。為替との連動も薄れ、ETFに資金が流入するから上がる、というだけの相場となっている。米国ではハイテクと、ディフェンシブ株とが相互に上げ下げをくり返すなど、極めておかしな相場になっている。政治の混乱が影響しないのは、ETFなどに資金が流れ込み、個別をみることが少なくなったから、とも言えそうです。
日本の株も、ほとんど値動きがでず、水準感を大きく変えることがない。これも投資信託などが大きく幅を利かせ、個別株の扱いが減ったことも影響するのでしょう。残念ながら今の市場は完全に機能が壊れており、不測の事態には脆い状態になっている、ということは間違いないようです。しかしトランプラリーの実相が減税に多くの期待があってのことなら、今後の米議会による税制改革には要注意なのでしょう。日米の株価の動きが「完全に一致」することがないはずなのに、今の世界はとにかく高値という状況のみで一致している。政治の混乱が経済へどう波及するか、も日米で「完全に一致」することはない。日米とも政治が脆弱となり、経済政策の実現性にも疑問符がつく中、市場だけはこれまでずっと無視してきた。いつ織りこむのか? 織りこむ前に政治がもっと混乱するのか? 政治の混乱と経済の混乱が「完全に一致」したときは、要注意となるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(17)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 経済