2018年06月

2018年06月30日

雑感。労働法制の成立

昨日のサッカー、日本対ポーランド戦の波紋が広がります。ただ、スポーツの試合なら往々に起こるもので、いわば消化試合をどうするか? です。勝つことに意味をみいだせず、一方がやる気をなくしたとき、それを叩きのめすのが大人げないのか、スポーツだから最後まで全力を尽くすのか? 日本では後者が尊ばれ、負けても美学などとされます。恐らくこれが外国人監督だったら、まぁ仕方ないで済んだでしょう。日本人監督だったからこそそれを『日本的でない』として批判する人もいます。一方で、勝負事は結果がすべて、と考えるのなら、他力本願であっても結果を残したことを評価する人もいます。
個人的には、そういう監督を選んで託したのであって、それ以上のことではない、と考えます。つまり「日本的」などという価値観は、それこそ外国人監督に当てはめたところで通用しない。日本人監督であっても、そういう判断をすることがある、ということです。ただ一つ今回の件で分かったのは、ポーランド側との密約はなかった、という点です。サッカーにも八百長はつきものですが、一所懸命に戦っているようにみせて、実は裏でにぎっていることなど、プロ選手なら造作なくできるでしょう。しかし残り10分、双方が無気力になったので、演技するシナリオを準備していなかった、と分かるのです。

国民民主の玉木共同代表が、労働法制の参院決議に対して「反対の印象を残して終わるのがいいのか、1つでも2つでも付帯決議をとって解決策をとっていくのがいいのか」と語り、野党が「割れた」とするのは割れさせたい勢力だ、とします。しかし、もし国民民主がそう考えるのなら、参院第一党としてその方向で野党をまとめていかなければいけない。それができていないから「割れた」のです。しかも、例えば悪い部分が100あったとして、1だけ挽回したから…などという結果が、果たして国民のためなのか? 99の悪い点があったら、やはりそれは問題のある法案なのです。「反対の印象を残して…」ではなく、全面的に賛成できないものを、自己満足だけで成立させた、としかみなせないのです。
安倍首相は「70年ぶりの大改革だ。長時間労働を是正し、非正規という言葉をなくす」と述べましたが、繁忙期なら100時間も残業できるので、長時間労働を是正するわけではない。人間は一度でも体調を崩すと元に戻りにくいのであって、半年の平均で80時間も残業をして体を壊す人だっている。それに、非正規がなくなり、高プロを拡大させて低賃金労働でも成果型に変えるつもりでしょう。安倍氏は『…年ぶり』や『初…』という言葉が大好きですが、制度が悪ければその言葉、そっくり悪評に置き換えられてしまうのです。

ブリは出世魚ですが、高プロに出世はない。自分を高く売りこめるかどうか、そのために『嘘』ついてでも、遮二無二成果をだそうとするでしょう。ハツは動物の心臓として焼肉などで食されますが、この法律に魂が入っているのか? ブリでもハツでも、やはり国民にとって好ましいものでなければ、何も意味がないのです。こういう首相を選んでしまった、スポーツならそれ以上のことはない、と割り切れますが、我々の生活にかかわるものは、実害が及ぶのです。裏でにぎってばかりいる安倍政権、八百長国会では国民民主とにぎっているなら、ここからは消化国会どころか、八百長国会になってしまうのでしょうね。

明日は一日、お休みしたいと思います。

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2018年06月29日

働き方改革と有効求人倍率

サッカー日本代表が本選進出を決めました。ただ、安倍政権が期待していた盛り上がりに欠けたのは、残り10分以上を無気力試合にしたためです。重要法案が成立してしまえば、残り1ヶ月が同じ状態になるのは必定。労働法制、TPP、そしてカジノ法案。後は参院6増法案をやったふりだけして、最後は強行採決して終わりでしょう。残りはだらだらとボールを回し、味方(自公)と敵(国維希)とで消化試合にするつもりです。

6月の消費動向調査、消費者態度指数が前月比0.1pt減の43.8となりましたが、雇用環境以外の暮らし向き、収入の増え方、耐久消費財の買い時判断、資産価値のどれもが下落する、かなり悪い結果です。特に収入の増え方は4ヶ月連続の減少で、安倍政権が成果をほこる恩恵など、国民は一切感じていないことがうかがえます。気になるのは資産価値で、やはりバブル崩壊の足音が、消費者側からも聞こえてきたのかもしれません。
5月の一般職業紹介状況も、有効求人倍率が1.60倍と前月比0.01pt改善しています。ただ、求人は増え、求職は減る。就職件数はさらに右肩下がりなので、そうなっているだけで、労働人口が高齢者と女性の増加に支えられているように、日本の労働市場は飽和です。企業が日本からの脱出を考えるタイミングであり、注意も必要。さらに産業別の求人をみると、前年同月比で製造業が9.2%増。高いようにみえますが、昨年は二桁の増加がつづいており、今年に入って低下がめだつ。つまりピークを越え、これまで求人を満たせなかった企業が、今は残りを消化している状況といえるかもしれません。

唯一よかった雇用環境でも、気になる動きがあります。国家公務員の総合職試験で、申込者数が982人減の19609人でした。民間の採用意欲が旺盛、といったところで親方日の丸、民間とはけた違いの福利厚生など、民間にはない魅力がある。それでも志願者が減ったのは、やはり政治による忖度強要と、政治の都合で振り回される姿をくり返しみせられたことでしょう。言葉は悪いですが、頭の悪い政治家にアゴでこき使われ、嘘までつかされ、挙句に責任をとらされる。全く理不尽な職場であるとの認識が広がります。
労働法制の改悪案が今日成立しましたが、それを主導した行政のトップによる官僚の働かせ方が最もなっていない、ということにもなりそうです。高プロがそんなに良い制度なら、公務員はすべてそうすればいい。すぐに制度の問題点はうかび上がるでしょう。何しろ官僚は自分たちの利害には敏感で、悪い制度はすぐに改定しようとするでしょうから。

そんな中、日本の国債市場の不正操作で証取が三菱UFJモルスタ証券に課徴金を命じました。見せ玉をを立てた相場操縦であり、言い逃れもできませんが、こうした指摘は初めてのことです。そしてこの影響からか、証券市場でも見せ玉をだしにくくなっており、これがまた市場から活性化を奪っている。さらに言えば、高プロの対象になるディーラーが、今回のように損失を穴埋めするために、こうした不正に手を染める可能性が高い。なのでそれを事前につぶしておく目的だったのでは? とも語られています。
しかも、世界の経済指標では1-3月期がピークを示唆するものが多い。トランプ減税で盛り上がり、息切れしている状況です。米国ではリパトリ減税による自社株買い効果も出尽くした。個人投資家が入らない限り、市場は下落圧力を強めている。ますます不正に手を染めるディーラーが増えるかもしれず、そんなときに高プロで自己責任になったら、とんでもない市場が生まれてしまうのかもしれません。今の世界経済は、貿易戦争に怯えているのでも、欧州の政治不安を懸念しているのでもない。トランプ減税後の成長に対する原資が何もない中で消化試合に入っていること、が問題なのです。これから経済がちぢむ不安から、まともに活動できない状況。まるでボールを回し、攻める気もなく時間が消化するのを待っていたら、大きなブーイングを世界の為政者、プレイヤーすべてがうけることでしょう。高度プロフェッショナル…政治にこそそうした人材が必要ですが、そうでないからこの業種には適用されないのなら、働きから改革、をしないといけないのでしょうね。

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2018年06月28日

重要法案の参院委採決について

無所属の細野豪志議員に公選法違反の疑いです。先の衆院選直前、証券会社から5000万円を借り入れ、すでに利子分をふくめて返却した、といいます。しかし返却はこの証券会社に証取が入った後、利子分もしばらく払っていなかった、などと正規の借り入れとは思えない。またこの証券会社の取締役には元民主議員が2人もいる。いわゆる政治のタニマチ的なポジションでもあり、裏献金だった疑惑さえもちあがっています。
この証券会社は投資信託などを組成し、販売する会社。しかし親会社からの増資を細野氏に融資しており、運用先として適切だったかどうか、もあるでしょう。当時はまだ希望に対して期待があった時期。見返りを期待して、無理に資金を捻出して貸し付けていたとしたら、そこには様々な思惑もありそうで、まだまだ裏がありそうです。

働き方改悪法案が、参院公労委で可決しました。しかし直前にだされた委員長の解任決議案を、自民、国民が本会議でとりあつかわないと決めての、今日の可決です。早くも参院で野党第一党を国民が占める、その弊害がでてしまいました。自民としては万々歳で、国会運営が極めて楽です。そもそもこの法案は、元となる厚労省のデータが杜撰で、かつ労働者側への聞き取りもたった1人、それなのに政権は「労働者にはこの高プロを望む人がいる」という答弁をつかっていたなど、未だに大きな問題が解消されていません。
国民は「解任というほどではない」としますが、信頼できるデータもない、誰のためなのかも分からない法案を、審議も尽くさずに採決するのが正しい有り様か? ここで抵抗しなければ法案が通ってしまい、二度と審議もされなくなるのに、それを放置するのか? 結局、国民の無抵抗主義がつづく限り、自民から高笑いが聞こえてきそうです。

TPP関連法案も、参院内閣委でTPPを上回る米からの市場開放要求は断固拒絶という政府への付帯決議つきで、可決しました。しかしいくら付帯決議をつけようと、今の日米関係から拒絶できないのは明白です。国会が、一応仕事をしたように見せるためだけの付帯決議、むしろ不逞(不埒な様)決議と呼んだ方がよさそうです。国会が政権の請負仕事しかしていないのに、政権へ何かの拘束力があるはずもないのですから。
立民の枝野代表が一昨日、「代表の限り合併せず」の方針をうちだした。それをうけ、国民が今日になって衆院の公認を一部、発表しました。また先に複数区には候補者を立てるとしたので、これで次の選挙の構図はシンプルになったのでしょう。与党、ゆ党、野党であり、自公、国維希、立共自社。国民が立共自社側に入る、という形は現時点ではえがきにくい。国民がかなり妥協しない限り、ゆ党という形で切り分けられます。支持母体である連合も、今や自民と半年ごとに協議する、という。国民のじり貧ぶりは、ここに来て致命的になってきた、ともいえそうです。

審議が尽くされていたり、その法案が真に国民のためになる、と思うのなら、審議拒否などせずに堂々と論戦に臨めばいい。しかし労働法制もTPPも、一体誰のためなのか? 国民のためになるのか? それすら不明な中で、時間が来たから採決に応じる、という。それでは「対決より解決」ではなく、「解決より採決」です。国民民主のありよう、次の参院選まで自民はウハウハでいられることだけは、はっきりしてきたのでしょうね。

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2018年06月27日

党首討論について

富山の警察官襲撃事件や、新幹線の中での死傷事件など、最近は刹那的な、理不尽な事件が多い。その理由の一端となりそうなのが、給与手取り額を比べた世界的なデータで、日本が8位、韓国より下でした。当然、これは税金や社会保障などが天引きされた後ですので、低負担低福祉の韓国と単純比較はできません。事実、最低賃金を上げた韓国では、給与水準は上がりましたが、若年層の失業も増えている。賃金が高いので雇わない、というケースが目立ちます。しかも家計債務の多いお国柄ですから、幸福度も上がらない。
ただ、日本はこれまで中負担中福祉でしたが、方向性は高負担低福祉にむかってまっしぐらであり、これでは国民のマインドなど上がるはずもありません。給料も上がらず負担ばかり増える。必ずしもそれが事件の引き金、ということはできませんが、日本に漂う閉塞感は、政治家が給料が増えた、と嘘をつきつづけ、実際には負担が増えることで相殺され、国民は実感が得られない。そんなモヤモヤした気分も影響しているはずです。

党首討論が開かれました。枝野立憲民主代表が「F15の墜落事故で飛行中止を申し入れ、としたが米軍は否定」との質問に、安倍氏は「結果としてそうなった」と語りました。この前後で色々と語りますが、まとめると一言『嘘をついた』ということです。
大塚国民民主共同代表から移民の定義を問われると、「一定程度のスケールで、期限を定めず受け入れること」としました。しかし国が人数を定めなければ外国人労働者があふれても制限がかかりませんし、何年かおきに申請をだせばよいので、なりすましもやり易い制度です。むしろ諸外国より大甘な制度運用も可能です。PBの黒字化を先送りしたことで、安倍ノミクスの失敗との指摘には、「デフレ脱却しなければ財政健全化できない」と述べました。これだけ明白な『嘘』もないもので、緊縮財政をとればインフレもデフレも関係なく、財政は健全化します。安倍政権では成長して健全化、の前提をおくので、歳出拡大圧力が止まらないだけで、しかも成長とインフレが同時発生する、という認識なので、そんなおかしなことを語るのです。安倍氏の経済認識は子供レベルといえます。

安倍氏は「歳出の点検」としますが、志位共産委員長が指摘したように、詐欺的行為を働いた加計学園に補助金をだしているようでは、点検が機能していない。森友学園への値引きも同じ、これが違法でない、という認識のこの国が「歳出の点検」をしているとは、とても思えません。片山維新共同代表も、参院の定数増に苦言を呈しましたが、安倍政権が歳出に関して厳しくチェックしているとは、到底思えないのが現状です。
岡田無所属の会代表が、時間をオーバーして質問をしたとき、安倍氏は「ルールは守りましょう」と語りましたが、そのルールを無視してきたのが安倍政権です。公文書の管理や会計検査院の調査への妨害、そして国会答弁での度重なる『嘘』。そして今日の答弁でも関係ないことをだらだら答弁する。枝野氏が前回の党首討論後「歴史的な使命が終わった」と語ったことを引き合いに、安倍氏が「本当に歴史的な使命が終わってしまったと思った」と語りました。つまり安倍氏は制度が形骸化していると指摘されたら、それを改善しようとするのでも、対案を考えりするのでもない。NHKで選挙前に行う党首討論でもいい。何か新しい形にしよう、という気などさらさらないのでしょう。

人は『嘘』をつくとき、言葉数が増えたりする。安倍氏の答弁が長くなったときは、ほとんどが『嘘』や『ごまかし』の意図を、多分に含むといえそうです。党首討論の歴史的な使命は終えたのかもしれない。ただしそれは、党首という責任ある立場にある者が、姑息な『嘘』をつくことによってそうなるのだとしたら、政治全体が大いなる茶番、虚構の状況にある、という意味で、歴史的な意味合いは異なってくるのでしょう。国民のもやもやとした気分、それを生んでいる元凶といえるのかもしれませんね。

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2018年06月26日

雑感。トランプ貿易戦争と勝手競争

二階自民幹事長が講演で「女性が子供を生まない方が幸せ、というのは勝手」と述べました。あなたがそう思うのは勝手だけれど、公人として公の場で語れば、そこには責任が伴います。しかもこれは少子化の問題として語ったものですから、政策の失敗を女性の「勝手のせいにして言い逃れする、という勝手な言い分でしかありません。

トランプ米大統領が仕掛ける貿易戦争で、負の影響が目立ち始めてきました。独ダイムラーによる業績下方修正で、自動車業界の業績に不安がただよいます。欧州車に20%の関税がかかるので当然ですが、トランプ氏は「米国で組み立てろ」という。ただすでに欧州車の多くは米国で組み立てており、業績悪化はそのまま賃金の下落として米国にはね返りそうです。しかも消費者は関税により負担も増え、何重にも悪影響があります。
またバイクメーカーのハーレーダビッドソンが、米国での生産の一部を海外に移転、と伝わります。米国内では部品や資材の調達が上昇するので、欧州の制裁関税ばかりでない。しかも安い労働力をつかえるメリットもあり、海外移転のよい口実になったのでしょう。トランプ氏は恨み節ですが、思いつきで品目を定めているから、米国内で生産するメリットを失うのであって、逆輸入したら高い関税をかけるぞ、などと脅しますが、その影響はすべて米国民が負うことになります。一体誰のための政策か? それが問われる事態であり、さらに全世界の景気を暗転させかねないだけに、大きな問題もあります。

そんな中、日本株は意外な底堅さですが、これは配当分の再投資を事前にすすめておく動きが影響します。海外は四半期ごとの配当が多く、日本は3、6、12月が多い。3月決算企業は配当1回で3月のみ、12月決算企業は配当2回で半年ごと、というケースが多い。またそれを利用した投資戦略を立てるところもあり、買いスタンスが多くなります。
ただし、日本が貿易戦争の影響をうけないはずがない。最大の圧力は、日銀の金融政策にかかる可能性が高い。安倍首相がいくら否定しても、円安誘導とみなされるからです。しかも日賃が最近、日本企業の為替感応度はゼロ、つまり円高でも業績をいじできる、というレポートをだし、円高でも問題ないというスタンスを取り始めたのは、その布石ともみられます。引き締めに転じ、円高になっても企業業績は維持できる、そうイイワケをして自分たちの責任を回避しようとする、日銀のそうした動きともうけとれるのです。

安倍ノミクスの幻想は、すべて日銀の黒田バズーカの恩恵ともいえるもので、それが止まれば景気失速ははっきりする。だから安倍政権は止めたくないけれど、米国に言われたら止めざるを得ない。いつまでトランプ氏を欺きつづけられるか? ビジネスマンと言いつつ、全く経済のことを知らないトランプ氏に通用する期間は、そう長くないでしょう。
安倍政権からは「インフレにならない方が幸せ、などというのは勝手」との声も聞こえてきそうです。しかし貿易戦争がもたらす企業収益の悪化、賃下げ圧力のある今は、インフレになったら困る家計が山ほどあるでしょう。インフレをめざした安倍政権が、最近では日銀にその責任を丸投げしている。ただ、今や自分勝手度合いでいうと、トランプ氏、安倍氏の順になる現在、「円安にした方が幸せ、とは勝手だ」と言われたとき、対抗する術もなく日本は円高圧力にさらされることになるのでしょうね。

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2018年06月25日

参院予算委について

W杯でサッカー日本代表が好調です。「一将功成りて万骨枯る」という言葉は、一人が名声を得る陰では多くの兵士が亡くなっている、という意味ですが、スポーツの世界では「一将功成りて老骨枯る」という場面が多くみられます。ベテランが活躍するとチームは好調、というほどの意味ですが、ベテランが短い時間で集中してプレイすると、長く培った技が光りますし、体力面の衰えも目立たない。ベテランが頑張っているんだから、自分も…と、チームに好影響もあります。逆に、ベテランに結果がでないと意気消沈して、すべて上手くいかなかった可能性もある。今回、その賭けには勝ったのでしょう。

日経が昨日の世論調査で、自分たちだけやたらと高い政権支持率になった、そのイイワケを今日になって一所懸命にしています。しかし本当にランダムに調査をしていたら、一社の調査だけ支持率が高め、などという傾向は絶対に表れない。これは読売ならY層、朝日ならA層、毎日ならM層、産経ならS層、日経ならK層に調査しているのであって、そのK層の動向を知る、ということであり、K層は安倍政権支持層が多い、というだけです。
またK層は日経の購読者が多いとみられ、経済に関心のある層、となります。一銭にもならず、ただ時間をとられるだけの世論調査に協力するほどのお人好しで、電話をかければ2人に1人は応じる気前のよさ、おまけにネットにその情報を投稿しない口の堅さ。そんな世論調査の結果を100%信じる人はよほどオメデタイのであり、『各社とも傾向は同じ』などとわざわざイイワケせずとも、K層の構成は大体わかっている、ともいえます。

参院予算委の集中審議、安倍首相は「うみをだす」の意味を問われ、「再発防止に全力を傾注」としました。すでに起こったことには蓋をして『再発』だけしません、という。しかも安倍政権の『全力』は、毎回上滑りの、得意の安倍誇張語の一つであり、何でもかんでも『全力』をつけたがります。しかし大阪北部地震の復旧に『全力』とした震災の日に料亭通いなど、全力感はまったくありません。起こったことは追及しないで、という感じはモリカケ問題の答弁拒否からも明白で、膿んだ患部は治すことすらしないのです。
それは加計氏の会談について述べた「会見は独特の雰囲気。…時には質問の趣旨を取り違えて答える」とする点にも現れます。柳瀬氏の国会答弁とも齟齬があり、趣旨を取り違えた、という話ではない。共産が取り上げた2枚のメモも、またしても怪文書扱い。どれほど体裁を整えていても、行政がみとめない、調べようともしない、むしろ事実と分かっても対応が決まらないうちは、絶対に事実とみとめない、そんな政権には膿んでいる患部がどこか? それすら分かっていない、といえるでしょう。そう、膿んでいるのは幹部、政権中枢そのものであり、自分たちのことを改めるのに『全力』なんて要らない。心構えと自身を律する精神さえあればよく、それすら持ち得ないということをこれは示すのです。

今の安倍政権は、一首相公ならず万人枯る。一人の首相の巻き起こす様々な問題、それは公の立場としてふさわしくないことをするのに振り回され、多くの人が犠牲になっている、といった状況です。これでは日本がチームとして機能できるはずもなく、弱体化してしまって当然、といえるでしょう。ベテラン、悪い言葉をつかえばロートルが中心に居座って、チームに悪い影響を与えている。今の国政はそんな状況といえるのでしょうね。

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2018年06月24日

雑感。世論調査で支持率回復

各社の世論調査で、安倍政権の支持率が急回復しています。日経など10ptも回復しており、この間に寄与した材料といえば、米朝首脳会談ぐらい。トランプ米大統領が米TVで「私は日本ではヒーロー」と述べたのも、むべなるかな。ただし、その日本とは安倍首相のことであり、米朝首脳会談で支持率回復のタナボタは、まさにトランプ様様です。高い米兵器をバンバン買った効果がでた、と安倍氏もほくそ笑んでいることでしょう。

ただ麻生財務相によると、新聞を読まない世代は全部自民支持、だそうです。要するに、情報はネットだけで、特に見出ししか追わずに中身や読まず、情報を精緻に分析をしない層が自民を支持している、となるのでしょう。しかし昔に比べ、今の新聞の分析力がかなり低下していても、記事をまともに読まれるのは嫌なのでしょう。なぜなら、国会の場でさえまともに説明できていない法案がごろごろあり、国民に知って欲しくないから。知らない層だけが安穏と自民を支持してくれる、そう考えているのでしょう。
この見出し効果をもっとも用いているのは産経、安倍政権が良く見えるよう、野党が劣っているように見えるよう、様々な工夫を用いています。でも、麻生氏にとって産経は眼中にない。産経が支持するのはあくまで安倍氏であり、麻生氏にとって毒にも薬にもならないからです。だから「新聞」の中には、産経も入っていることになります。

しかし日朝首脳会議を早めに、としながら拉致は解決すると世論調査はみていない。この期待値の低さが、安倍政権を支えているともいえます。つまり、これだけ実績がでなくても支持が落ちないのは、安倍政権が何かを為すとみなしていないから。さらに、自民党議員が暴言を吐いても、不祥事をおこしても、そのトップである安倍総裁は責任をとらなくてよい、というバイアスもかかっている。日大の問題ではあれほど田中理事長への圧力があったにも関わらず、安倍政権だけにはそういう指摘がありません。
つまり安倍政権は、部下の不祥事でも責任をとらず、他人の手柄を横取りした上で、自分たちは何の成果もあげていなければ、自分たちでさえモリカケ問題を抱えながら、安倍氏でなければ嫌、という層によって支えられている、といえるのです。そしてそれは、個人的には経済界に多い、といえます、なぜなら、安倍政権が退陣してしまえば、すぐにでも日銀が態度をひるがえし、金融政策を引き締めに転じるだろうから。そうなると株高に浮かれてきた層にとって、致命傷になりかねません。日銀が引き締めを始めると、世界的なバブルさえ弾ける恐れがあり、それが怖くて仕方ない。日経の調査がもっとも支持率を回復させたのも、こうした層による後押しが大きいといえるのでしょう。

しかしOPECの増産が、数量を決めていない、物足りないということでWTIが急騰したように市場は何かのきっかけで変動を起こしやすくなっています。中国が預金準備率を0.5pt下げたのも、最近の不良債権の拡大を懸念したものでしょう。世界に生じる不安定な動き、日本が無策のままでいたら、それこそどんな被害があるか…。安倍政権を支持することと、日本がよりよくあろう、とする態度とは大きな乖離がある。そのことだけは、忘れてはいけないのでしょうね。

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2018年06月23日

沖縄慰霊の日

安倍首相が大阪北部地震で、ブロック塀が倒れて亡くなった少女の現場に赴いたことを、ふだん批判的な中国人が絶賛、という記事があります。震災でも死亡者の数をごまかす、中国政府を当てこすったものですが、そんな中国人も、安倍氏が虐待で亡くなった少女の現場を訪れたことがない、と聞くとどうでしょう? 一方は天災とはいえ、どちらも行政による人災もからむ。安倍氏がそうした行政の不手際を詫びるために、謝罪行脚をしているならいざ知らず、訪れる、訪れないの線引きがあるのは、やはり違和感もあります。

今日は沖縄の慰霊の日です。そんな中、安倍氏は挨拶で「できることはすべて行う方針の下、全力を尽くす」とし、米軍の使用地が一部返還されたことを成果、としました。しかしこの言葉、裏を返せば「できないことはできない」と開き直っているだけです。その言葉はその後、記者団に語った言葉でも裏付けられます。
キャンプシュワブに隣接する農作業小屋で銃弾のようなものが見つかった件に関し、安倍氏は「米軍に事実確認と、当面射撃場を使用しないことを申し入れ」とします。つまりできるのは「申し入れ」だけ、ということ。米兵が犯罪をおこしても、日本には裁く権利がない。いつまでも敗戦国待遇を改善することすら「できない」もしくは「する気がない」ので、銃弾がどこに撃ちこまれても、米軍に「申し入れ」しかしない、それが「全力」の限界です。基地負担の問題ばかりでなく、日米安保の差別状態の負担も、沖縄県民はかぶっているのです。その解消は「できないことはできない」ので、しないのでしょう。

独国とて、敗戦国として米軍が常駐し、基地がありますが、今では不平等な部分は解消がすすんでいます。米軍駐留を止めたフィリピンが、他国から攻め込まれた、という話も聞きません。もし安倍政権が本気で「全力を尽くす」のなら、米軍がいてもモノが言え、米兵の犯罪を抑止する日本の法律を適用できるようにする、それが優先されるはずです。
安倍氏は維新にシンパシーを感じている部分もありますが、幕府が1858年に結んだ不平等条約の解消に、岩倉使節団を送ったのは1871年末、つまり14年で改定し、不平等を解消したのです。戦後73年、日米安保は旧の時代をふくめると67年、日米地位協定なら旧の時代から66年、不平等のまま改定されることもなくつづいてきた。しかも、未だにこの日米地位協定の運用について、月2回の日米合同委員会により協議している。解消するどころか、一部ではこの日米合同委員会の方が安倍政権より力がある、と噂されるぐらいなのです。

全力を尽くしたところで、この日米合同委員会にはね返されて終わり。さわらぬ米軍に祟りなし、それは辺野古移設も同じことです。もうそこで決まったから、地元の反対があろうと、それより怖い米軍の意向には逆らえない。安倍氏が祟りをうけたくないからです。
任期満了にともなう沖縄県知事選が11月18日に決定しました。しかし米軍の意に反して抵抗をつづけた翁長県知事は、祟りをうけることなく任期満了まで勤め上げます。病との戦いはありますが、決して米軍の意向に逆らうことが「できないこと」ではないのです。朗読された『平和の詩』の一節「戦力という愚かな力をもつことで、得られる平和など本当はないことを」 その方向で「全力を尽くす」のでない安倍政権が、一体どこに向かっているのか? 死亡現場に出向く、出向かないも自らの政治的利用を重視している時点で、安倍氏は「(自分のために)できることを全て行う」ということでしかないのでしょうね。

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2018年06月22日

雑感。安倍政権の危機対応

政府が北朝鮮の非核化、廃炉にむけて専門家派遣の用意と米国に伝えていた、と報じられます。しかし北朝鮮は黒鉛炉で、軽水炉の廃炉技術などほとんど使い物になりません。日本が欲しいのは北朝鮮の原発の運転記録。それがあると、北朝鮮がどれだけのプルトニウムを保有しているか? それが大体でも分かります。しかし上記した通り、黒鉛炉の廃炉について日本に知見はなく、受け入れてくれる見込みはありません。それに、廃炉は仏国の方がよほどすすんでいるのであって、福島原発の事故のときも技術を売り込みに来ていた通りです。日本が入りこむ余地は少なく、思惑通りにすすむ公算は小さい。
安倍政権はやっと住民参加のミサイル訓練を中止する、と発表しました。警報が鳴ったら頭を低くする、建物の陰に隠れる、といった無意味なのに国民を恐怖に貶める効果は絶大、というものでしたから、中止は当然です。何より、これから話し合いをする相手に、私たちはあなたからのミサイルを警戒して訓練しています、などといえるはずもありません。しかも問題は、日本の核シェルター普及率は低く、訓練したとて撃たれたら助かる見込みが少ない、という現実を相手に見透かされて笑い者にされることです。学校のブロック塀の点検に補助金、といった話もでてきましたが、訓練するぐらいの危機感があったら、核シェルターの設置にも補助金をつけた方が、安全という意味では整合します。

地上配備型のイージスアショアについて、候補地の山口県や秋田県側が懸念を伝え、小野寺防衛相は「北朝鮮の脅威は何も変わっていない」と述べました。ならば訓練を中止するのがおかしく、小野寺氏の説明には矛盾があります。訓練などをしたから説明がつかなくなったのであり、安倍政権の対応のまずさがこんなところでもでています。
そんな安倍氏が7月、イランを訪問する計画と伝わります。米国がイラン核合意から離脱する中、日欧はイラン核合意にとどまっており、ロウハニ師と会談するにしろ、非常に難しいものとなるはずです。そんなイラン訪問を決断した理由、それは1978年の福田赳夫氏以来、40年ぶりという肩書にひかれたのかもしれません。ただ、中東ではサウジとイランが対立を強めており、米国のエルサレムへの外交使節の移転でも、イスラム諸国が一枚岩になれなかったほど険悪です。安倍氏がイランに行くなら、スンニ派の国には入国すらできなくなるかもしれません。しかも、この週末のOPECで減産緩和について話し合われますが、それを主導するサウジと、反対するイランという構図もある。欧州・中東歴訪のついで、と考えたのなら、手痛いしっぺ返しをくらうことになります。

世界は今、微妙な均衡の上で安寧を保っていますが、少しでも狂うと一気に悪化する可能性もあるほど、脆弱な状況です。中東の対立、欧州のポピュリズムの台頭、米国第一主義、北朝鮮情勢、経済面でも欧米の金融引き締めで新興国不安、さらに中国ですすむ債務不履行、一帯一路の頓挫。世界はきな臭い動きであふれている。単なる40年ぶりだから、などとして売名気分で中東の火薬庫に手をつっこむと、藪をつついて核ミサイルが飛んでくる、などという事態もあり得るのであり、さらに核シェルターが必要となってくることになりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:01|PermalinkComments(6)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 中東

2018年06月21日

雑感。謝罪の仕方2

安倍首相が大阪北部地震でブロック塀の下敷きになり、女の子が亡くなった現場で黙とうを捧げました。震災の当夜、料亭で岸田氏と会食したことでも詫びたのか? 今一つ解せない行動です。むしろそうした批判をかわす目的もあるのでしょう。何しろ、大阪は維新と近い安倍氏にとって鬼門であり、総裁選の協力が得にくい地域です。それが震災で避難者がいる中、料亭通いとなったら総崩れになりかねない。恐らく大阪入りして、総裁選の協力を得るための行動の一環として、被害者のでた現場を訪れたものでしょう。
河村衆院予算委員長が、安倍氏の発言として「集中審議は勘弁してくれ」としたものを、今日になって「予算員会よろしくね」だった、と訂正しました。しかし内容がまったく違い、訂正どころか差し替えです。身内だからと安易に漏らしたことを、河村氏が口を滑らせた、ということだったのでしょう。しかし訂正したとて発言が事実だったのなら、それは批判されて然るべきであり、なかったことにはできません。

自民党の穴見議員が、参考人として招いた肺がん連絡会の代表に「いい加減にしろ」と発言した、と報じられます。大分1区で九州地盤のジョイフルの創業家一族、喫煙問題は飲食業にとっては切実だった、という事情があるにせよ、参考人は国会が招いているものです。不快な思いを与えた…と自身のHPに謝罪文を載せているようですが、意見を聞くために招いた参考人にヤジをとばすことが問題であり、国会の品位を貶める行為です。
こうした貴人とされる地位にある人物の謝罪が、最近問題になることも多い。日大、加計学園、そして政治家。自分が特権的地位にあり、謝罪も社会的に必要であるから形式的に済ますけれど、本質的な部分ではまったく反省もなく、内容も薄っぺらい。こうしたことがつづくのは、安倍政権になってから、といえます。安倍氏は「責任がある」と言いながら、「責任をとる」ことがない。薄っぺらい謝罪だけして、幕引きというケースが多い。政治がそんなことをしていれば、社会的にそうした傾向が広まって当然です。

サルトルの『実存主義とは何か』で「人間は定義不能である…人間は最初、何ものでもないからで、自らつくったものになるのである」とします。つまり、人間は前もってこれと定められたものではなく、実存することで自ら決定し、そうなっていく存在である、とするのです。翻って、地位のある人たちによる空疎な謝罪も、彼らがそうすることを決定して為されたのなら、彼らは本性をそうした矮小で狭量なものに、自らした、ということなのです。
この言葉は「実存は本質に先立つ」という短いフレーズで語られることも多いですが、日大の理事長、加計学園の学園長、首相、政治家、という実存に対して、彼らは自らその本質を『形式的に謝罪すれば事足りる』ものと決めてしまった、ということになります。それがいかに立場と責任において相応しくないものか、多くの人がそれを指摘しつづけない限り、彼らの本質は変わらないし、変えようともしない、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(7)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2018年06月20日

日経平均は反発も…

国会会期が32日延期される方向です。安倍首相としては総裁選の準備もあり、国会がつづけば答弁に立つ機会も増え、モリカケ問題でも追及される。IR法も労働法制も参院の6増も評判はあまりよくない。議論の矢面には立ちたくないけれど、労働法制は自ら重要法案と位置づけ、IR法はトランプ氏に約束した手前、成立させないデメリットの方が大きい。この延長は『やりたくないけど、やらざるを得ない延長国会』となります。
安倍氏は全国信用金庫大会での挨拶で「何人が日本が勝つと思っていたか? やればできる」と語りました。しかし勝負事ですから、勝つと思っていた人は少なからずいるはずですし、「やればできる」ではなく、「やればそういう結果になることもある」が正しい。こういう何かと奇跡っぽい表現、感動を誘うような物言いをしたところで、確率論で説明すれば現実の数字で割りだせるのです。こうした物言いは宗教家がよくするもので、一国の政治家、特に首相がそれをするのは国を誤った方に向かわせかねません。

今日の日経平均は反発していますが、国内大手の先物買いが鮮明です。ただ最近のこの主体は、小口で売り建てておいた分を、一気にこうした上昇で解消する、というパターンが目立ちます。相場の流れを変える、そうした意図をもった取引とみられ、ここが下げ相場の抵抗力として機能している。日経平均の動きにTOPIXがついてこれなかったのも、日経平均偏重で買ったためであり、この取引はNT倍率拡大を促しやすい、といえます。
しかし中国市場が落ち着いたにしろ、落ち着けばトランプ政権がさらに追加の対中制裁関税をかけやすくなり、そのたび市場が動揺をくり返します。正直、ダウが数千ドル下げるような危機的状況に陥らない限り、トランプ氏がこの高めのボール作戦で、相手に圧力をかける動きを止めることはないでしょう。市場では中間選挙まで、と考えているようですが、その先には次の大統領選も待つ。外交成果は1、2年ででるものではないので、トランプ政権が続く限り、こうした外交がつづき、市場はそのたび動揺することになります。

問題は、この動きが上値を抑えること。四半期ごとにプラスを維持し続け、それが市場への資金流入を促し…という好循環をうみだしてきましたが、それが止まる。ダウが昨年末の水準まで下がり、投資対象としてふさわしくなくなる。今はハイテク株高によって、そうした懸念は広がっていませんが、株価と現状の価値との乖離がいつまでも大きくなりつづけるわけにはいかない。そもそも景気敏感株の側面があるハイテク株が、貿易戦争という局面で上がり続けることの方が異常です。今は資金循環によって動揺を避けられている市場が、トランプ政権とのチキンレースにどこまで耐えられるか? それが問われます。
すでにラマダン入りし、中東の買い手も減少する中、懸念するタイミングは欧米が夏休みをとる7、8月です。トランプ政権の不透明感から、中間選挙が終わるまでに買いのスタンスは入りにくい。上値が限られるので、尚更です。そして日本株は、特に景気低迷が鮮明であり、日銀の先行き不透明感もあり、欧米に先んじて資金を置いておく理由がない。安倍政権で買うことはなくとも、政局も不透明なので、日本株買いは入りにくいのです。

安倍政権は総裁選まで株高を保ちたい。しかし円売りも株高も、国内勢が主導している現状では、海外勢の大きな売りが入ると支え切れないのが必定です。9月までに特に好材料がない限り、2万円割れを試す場面もありそうです。今は上値が重い、のではなく、上値を追う理由がない。「上げたくないけど、上げざるをえない延長市場」では、活力があるはずもなく、「やればできる」との掛け声すら空しく響くばかりなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(9)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2018年06月19日

雑感。謝罪の仕方

トランプ米大統領が、2000億$規模の中国製品に10%の追加関税を米通商代表部(USTR)に指示、と伝わり、米中貿易戦争の懸念が強まります。これまで市場は500億$規模の対中制裁関税でも大したことない、とほぼ無視してきましたが、市場に悪影響がないのなら、もっとできるとトランプ氏が勘違いし、さらに追加の制裁を加える、という悪循環に陥っている気がしてなりません。市場が大きな調整をし、トランプ氏もこれはマズイ、と認識を改めない限りはこの貿易戦争はつづく。米中ばかりでなく、市場ともトランプ氏はチキンレースをしている、そんな状況であり、非常に危険な状況といえます。

昨日の決算委でモリカケの質問をした共産議員に「震災の日もモリカケか」と批判の声もあるようですが、委員会の開催は与党が決定し、問題ないとしたのですから、何ら批判されるイワレもありません。しかも震災の日の夜に、安倍首相は岸田政調会長と料亭で会食しており、こちらの方が言語道断です。政府対応の責任者であり、逆にいえばそれが官邸を抜けて料亭に入り浸れるぐらい余裕があった、という裏返しでもあります。
そして今日、加計学園問題で加計理事長が地元の記者のみ集めて、会見を開きました。しかし言葉は悪いですが、ふざけた会見であり、「申し訳ない」という発言のときも顔は前を向いたままで、ふてぶてしさしか感じさせない。国会会期の延長を前に、証人喚問を求められる加計氏が会見をして禊を済ませよう、という官邸の戦略に基づいたものでしょうが、日大会見以上に問題を感じます。まず立ちの会見だったことで、長くやる気がない、と示している。事務方責任者が勝手にやったこと、として減給としますが、その程度で済む問題か? しかも問題発覚からここまで一切の発言もなく、今回も説明を尽くしていない。正直、こんな会見ならやらない方がマシで、官邸と加計学園側とのズレを感じます。

河野外相が7月に欧州歴訪し、そこでオーストリアにあるIAEAで北朝鮮の完全非核化について協議する可能性、と報じられます。しかしIAEAは原子力施設のトレーサビリティは行えますが、施設に立ち入り調査したとて、はっきりしたことは分かりません。北朝鮮が継続して協力するなら、今後は管理できるというだけで、これまでのことはグレーゾーンです。しかも、北朝鮮は段階的非核化により、その都度見返りを求めているのであって、IAEAの査察でさえ、一体いつの段階に実現できるのか、すら不透明と言えます。
それは拉致問題も同じ。NHKの番組で、河野氏は「拉致問題を解決し、国交正常化したら経済支援」と述べますが、北朝鮮がそんな先までずっと協力し続けるはずもない。安倍政権が本気で拉致問題を解決したいなら、その段階で見返りが必要になるはずです。むしろ、安倍政権は本気で拉致問題を解決する気がないのでは? とすら感じさせる発言です。

安倍政権の立てる滅茶苦茶な戦略のため、周りが迷惑している感じが一連の行動からもよく分かります。そもそもモリカケ問題さえ、泥沼に陥っているのは初動の失敗もありますが、その後の鎮火に失敗し続けた結果です。今回の加計氏の会見も、むしろ火に油をそそぐようなものでしょう。戦略性のない、安倍政権の場当たり的な対応が、国益を害す場面がより目立つようになってきた。カジノ法案が衆院を通過しましたが、日本全体を丁半博打にさらすような安倍政権は、仮に失敗しても首だけ下げて、顔は正面をむけたまま「申し訳ない」という程度の覚悟、認識しかもっていないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(5)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2018年06月18日

決算委が開かれる

大阪北部でM6.1の地震がおきました。淀川は寄泥川から名づけられた、という説があるほど軟弱な地盤が多く、特に直下の地震には弱い傾向があります。東京もかつては湿地帯だったので、似たり寄ったりですが、日本の大都市圏が地震に脆いという傾向は、日本の弱点にもなりかねません。しかも今回、問題なのは震源地近くの活断層がノーマークだった点です。30年の間の発生確率…などと語られたところで、信ぴょう性を感じません。自然のこととはいえ、それに依拠した判断がどれだけ危険か? それを示すのでしょう。
菅官房長官がブロック塀の点検を指示、と伝わりますが、ヒビが入っていたら近づかない、などとしても道路をふさぐことになりかねない。違法建築は撤去、などとしてもそれにかかる労力が今はない。事象に対して脊髄反射しても、それは余計な人手が割かれ、別の方面の対策を遅らせることになりかねません。今、必要なのはまずインフラの復旧。ブロック塀や擁壁の確認は、その後の安全対策として行うべき課題、ということになります。

午後には決算委が開かれました。野党から「震災対応に支障が…?」と指摘されたにも関わらず開かれたのは、会期延長をにらんで日程的なモノが影響したのでしょう。米トランプ大統領と約束したIR法案の成立のためには、1ヶ月は延長が必要。震災があっても国会会期を遅らせるわけにはいかない。ただ、一義的には地方自治体の対応も多いですが、自衛隊の災害救助が必要か? その判断が午前のうちについたとは思えません。また震災でニュースが割かれ、決算委を開いてもとり上げられない、と考えたのならゲスです。
共産が森友問題における応接録の公表について、財務省や国交省内のメモを入手し、追及しました。安倍政権はこれまでも、こうした爆弾に「架空」「事実か疑わしい」「質問通告がない」を理由とし、答弁を拒否。後にその文書を事実とみとめる、ということをくり返してきた。今回も「最高裁まで争う覚悟で非公表」などという発言が記載され、事実ならとんでもない話です。非公表にしなければいけない事情、それだけでアウトです。

北朝鮮問題では「チャンスを逃すつもりはない」「信頼の醸成」としますが、圧力をかけていて信頼が築けるか? チャンスが訪れるか? あり得ないでしょう。しかも先の読売TVでは「核・ミサイル・拉致問題を『包括的に』解決した後、経済協力」と述べていた。ではそれが解決する前、圧力を解除するのか? 圧力を解除して信頼を醸成し、チャンスが訪れるのを待つ、という段階なら、一体いつになることやら、見通しすらたちません。
しかも『包括的』とは、抽象的なものを一括りにするとき用いられるもので、実際の解決を意味していない。何となくそうなりそう、で経済協力できてしまうことになります。そしてこの経済協力には、非核化費用はほとんど含まれないでしょう。真意は分かりませんが、日本は北朝鮮に戦時賠償、非核化費用、経済協力と、莫大な負担を強いられることになりかねない。それは安倍氏がずっと北朝鮮を敵視してきたことで、その信頼回復のための費用にしかならないのです。「北朝鮮と解決に資する会談」と安倍氏は語りますが、ならば『包括的に解決』したら経済協力、では心もとないといえるでしょう。

安倍政権は鉄筋の入っていないブロック塀と同じ。見てくればかり気にして、中身はスカスカ、いつ倒れてもおかしくない。本来、ブロック塀は倒壊防止用の直角にまじわる支柱を必要としますが、それすらも入っていない。激震がきたら、それこそ大きな被害が出ることは間違いありません。「全力で取り組む」軽々しくそうした文言を用いますが、だったらモリカケ問題の解明、北朝鮮問題でも「全力で取り組む」べきであり、スカスカな対応をみるにつけ、安倍政権の違法建築ぶりが最大のリスク要因に見えてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(6)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2018年06月17日

支持率と株価と為替

共同通信が16、17日に行った世論調査で、内閣支持率が44.9%と5月から6.0pt増となり、不支持率を上回ってきました。時事通信が8〜11日に行った世論調査では、35.5%と2.6pt減だったので、単純比較はできませんが、12日の米朝首脳会談により改善された、とみなすこともできます。ただ、あれほど北朝鮮に有利な共同声明がだされた上で、さらに安倍氏が刺しておいたクギがすっぽ抜け、調整力不足を露呈した中で安倍政権の支持率が上がるとしたら、単純に世界が平和に向かう、というだけで楽観したのか、もう一つ考えられるのは安倍氏を支持しているのは北朝鮮寄りの意見をもつ層、ということになります。
しかもこの間、IR法案の衆院委員会での可決だったり、参院6増案を国会に提出したり、かなりやらかしているので、尚更です。モリカケ問題も解明する気がなく、なし崩しで終わらせようという中ですから、さらに質が悪い。これで支持率がアップするなら、ますます国民無視の政治につきすすむだけでしょう。最近、支持率下落を意識したのか、これまで無視してきた虐待緊急対策などを、やっとやる気になった。安倍自民はこれまでも家父長制の復活を目論見、父親に家族を『支配』させる方向だったのであり、虐待にも後ろ向きだったのです。それがあの反省文がでてきて、国民が涙した。それと支持率下落が相まって、やっと重い腰を上げるようになった。政治が危機感を失ってきたからこそ、これまで虐待の問題が軽視され、犠牲者がでてしまった、それを忘れてはなりません。

もう一つ、支持率アップに寄与したのは日経平均が再度23000円にタッチするなど、上昇基調にあったこともあるのでしょう。ただ、15日などは米国による対中制裁の報があったにも関わらず、日本市場は上昇したように、ただ上昇を目的にした層により理由なく上げていることが多い。理由なき円安も同じ、日本市場に入ると円安となり、株高の材料にされる、というパターンを繰り返しています。様々な理由が語られますが、個人的にはこの前発表されたインド太平洋地域への3年で5.4兆円の投資、単純に1年で1.8兆円の円売り、ドル買い要因が発生するので、それに準じた動きが起きているのでは? とみています。
ただ、米IMMの12日までの動きをみると、僅かですがドル買いが発生しているため、米FOMCやECBの動きを事前に織りこもうという流れがあったのは間違いない。それが消えた今週からはちがった動きが出てくるはずです。そしてそこに出てきたのが、日韓で北朝鮮の非核化費用を賄う、というもの。10年で220兆円との試算もありますが、韓国の財政から見てだせるのは年4兆円程度、すると日本が年18兆円も負担しなければならない、となります。つまり単純に、莫大な円売り要因がそこで発生することになってしまうのです。

安倍氏は非核化支援の資金負担は「機構で…」と、国債増発を回避するかのような発言もしますが、騙されてはいけないのが機構だろうと日本政府の連結対象である、ということ。それが国債なのか、機構による起債なのか、そんなテクニック上の差異はどうでもよく、日本に非核化の費用を捻出しつづけるだけの余力があるのか? ということです。
日本は東京五輪の崖が待つ。すでに東京タワマン市場には変調がみられ、不動産広告にも『価格改定』が並び始めた。さらに来年には消費税増税、本気で景気を考えなければ、歳入減が国債増発を招き、機構による資金調達すらままならなくなるでしょう。そして安倍政権は、その景気対策にまで国債を増発して当てようとしているのですから、さらに質が悪いといえるでしょう。ここに来て、日本には歳出増の圧力がかかってきた。円売りがそれをみているとしたら、下手をしたら日本の破綻や日銀の無能まで織りこみ始めているのかもしれず、深刻な流れとなる可能性も捨てきれなくなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:55|PermalinkComments(12)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2018年06月16日

雑感。エンタメと政治

米国が中国に対して知的財産権の侵害に対する制裁として、500億ドル1102品目に25%の課税をするリストを発表しました。中国も報復として500億ドル659品目に25%の課税と発表、7月6日に340億ドルを発動、とします。これで中国が米国と約束した輸入増の話もオジャンですし、対北制裁の足並みも乱れるかもしれない。これもトランプ流、相手の出方は気にせず、自分がいいと思うことだけしてしまう。そんな弊害といえそうです。
市場のうけとめは『影響は軽微』ですが、米中ともインフレ昂進がボディーブローとなって利いてくるでしょう。しかも米国は欧州、カナダからも報復されるため、25%とは言わずともかなりインフレがすすむと予想されます。長引くと4%以上となり、FRBも利上げせざるを得なくなる。そのときは適温経済が崩壊してしまうことになるでしょう。

安倍首相が読売テレビの番組に出演して「北朝鮮と信頼関係を醸成」と語りました。また読売グループか? とオトモダチメディアに親和的な態度は置いておくとしても、つい2ヶ月前まで「最大限の圧力で北朝鮮の方から対話を求めてくる」と語っていたのは、すっかりなかったことにされたようです。しかもIAEA査察の費用を、日本が拠出するのは平和を享受できるので「当然」だそうです。安倍氏の理屈では、北朝鮮のためにいくらでも体のいい財布になる、と述べているようで、相変わらずの軽挙妄動ぶりです。
IAEAの査察はあくまで核・原子力施設向けであり、つくった核弾頭を隠していたら、削減にはなりません。どうして安倍政権はイラン核合意の前後のことを研究しないのか? CVIDも同じ、安倍政権のやることが頓珍漢なのは、前例に学ぶところがなく、ユニークなことばかりしているためなのでしょう。IAEAの査察はあくまで運転の履歴を調べたり、継続して調査して意味のあるものであり、それ単体が平和に資するものではないのです。

最近、RADWIMPSの楽曲が右寄りだと指摘され、謝罪したとの話題があります。感じるのは、右にしろ左にしろそこにアピールして商売する輩がおり、それは宗教に依拠したり、思想によるものと同じ。文学でも雑誌でも様々なものがあり、今回この問題が大きくなったのは、音楽で人気グループがそうしたものをあからさまにしたケースが、これまでほとんどなかったため、でしょう。人気のないグループがそれをするケースは多々ありますが、今をときめくバンドが色つきになった、そのインパクトが大きいのでしょう。
批判、攻撃するのはおかしい、という人もいますが、色がついたらそれに反対する人がいて当然です。例えば「日本滅びろ、安倍死ね」などと歌う人がいたら、同じように反対の色を持つ人が批判、攻撃するでしょう。愛国だからいい、という問題ではなく、色がついたらそういう問題を自ら招くのです。それでもその道に踏みだしたのですから、今後はファン層も変わり、その手の人たち向けの商売に転じる、ということだと推測されます。

問題は、この国のすばらしさ、美しさを謳えば愛国か? という点です。それは全体主義に結びつき、利用され、結果的にこの国を醜いものに変えていく。真にこの国を愛する者なら、ただすばらしさを謳うばかりでなく苦言を呈すこともあるでしょう。未来に亘ってよくなることを願って、はじめて愛国であるはずです。決して戦争を想起させることが問題ではない。いつの時代も国が間違った方向にすすもうとするとき、エンタメからもそれを後押しする動きがでてくる、それに利用されてしまう、ということなのです。
それを理解した上で、確信犯として行っているなら、利用されているのではなくむしろ積極的に協力していることになる。最近、ゆずをはじめ、音楽業界に輩となる層も増えてきたのはCDが売れなくなり、収益減少に悩む事情もありそうです。特定の支持層にアピールして売り上げを確保、才能の枯渇がそうした動きを招くとしたら、そのとき初めて懐疑的な目を向けられるのであり、その行為を批判すべき、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:55|PermalinkComments(12)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2018年06月15日

日銀の金融政策決定会合

米欧日とつづいた中央銀行の金融政策会合を通過し、市場は一先ず落ち着き、小康といったところです。ほぼ予想通りですが、それぞれの違い、差が大きく開いた印象です。米FOMCは利上げし、年4回の利上げとなることが確実、フォワードガイダンスも廃止し、今後はFOMC後に常に会見する、と緩和モードから通常モードへの転換が鮮明です。
ECBは今年いっぱいで国債買取を終了し、再投資をして引き締めには転じず、少なくとも夏までの利上げに転じない、と緩和モードの終了を決定。日銀は緩和モードのまま、現状維持を決定しました。北朝鮮問題では安倍政権の『置いてきぼり』が疑問視されましたが、金融政策では日銀の『置いてきぼり』がはっきりした。しかも、日銀は欧米に比べてETF購入など、ふみこんだ金融緩和をしていて、置いていかれるのですから尚深刻です。

毎回、自信満々に記者会見をしてきた黒田氏も、元気がなかった。何しろ物価が下がってきており、2%の目標は遠くなるばかり。その原因として挙げるのが、失業率が低下しても低賃金労働が多い、グローバリゼーションの影響、ネット通販の普及、というもの。しかし先進国共通とするので、欧米から出遅れる日本の理由にはなりません。
日本はデフレマインドが…と言ってみたところで、それを大量にお金をばらまき、マネタリーベースを拡大すれば改善する、といって始めた黒田バズーカで改善できなかったのですから、今の政策を継続する意味を失います。黒田バズーカを止めて別の方策にするか、さらに新たな方策を付け足さない限り、2%の物価目標を政策として達成することは不可能でしょう。しかしすでに国内の金融機関が長引く低金利で疲弊し、機能を低下させている現状では何をやっても逆効果。まさに自縄自縛、出口がまったく見えません。

日本の最大の問題は労働人口の減少であり、国内で購買力が落ちる。再雇用などもありますが、給料を大きく下げられ、生活水準を下げざるを得ない家庭が多い。マインドではなく、収入の低下を引き起こす要因が大きすぎるのです。賃金上昇の恩恵をうけられる層が減るのですから、賃上げ→インフレの経路も否定される。しかも、安倍政権もインフレを唱えなくなり、物価情報にむけた協力もない。この前、再雇用で同じ仕事をしているのに給与の引き下げはおかしい、という裁判がありましたが、本来は国がそうした再雇用について、制度面から家計を潤す制度をつくっていかなければおかしいのです。経団連が夏のボーナス6.71%増、といってみたところで、その恩恵をうけられる層は限られるのです。
利上げ局面の米国に資金がひきつけられ、米経済は堅調。一方で新興国経済は不安。次の経済危機は、個人債務の破裂にともなうとみられていますが、その引き金がよく分からなかった。しかし日銀の引き締めが、その引き金になりかねなくなってきた、といえるのでしょう。それが緩和モードのアンカーになった日銀の責務、ともいえるでしょう。

骨太の方針でも、低金利による財政規律の緩みが鮮明になってきた。ますます日銀は自縄自縛に陥った、といえるでしょう。引き締めモードのインパクトが、政府、企業、個人に与える影響が大きすぎるのです。市場では安倍グジット、総裁選で安倍氏が再任されないと大変だ、などとも語られますが、海外からそうみられている、という話は聞いたことがありません。安倍政権が退陣するより、黒田日銀がバズーカからバキュームになる方が、よほどインパクトが大きいのです。バキュームは真空、空虚、孤立を意味する。今の日銀は、すでに黒田バキュームになっているかのような、今日の記者会見の黒田氏の表情。日銀の事情、自爆によって世界経済を暗転させかねないとしたら、遅れれば遅れるほど、黒田氏の苦悩はますます深まっていくといえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:59|PermalinkComments(9)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2018年06月14日

日朝首脳会談は8、9月か?

安倍首相が拉致被害者家族と面会しました。「期待感」と語る人もいますが、私のところには少しきな臭い話も聞こえてきます。安倍トモメディアである読売や産経が、日朝会談の記事を一面で上げてきました。読売はふみこんで8、9月の日朝首脳会談との推測まで。これはばっちり総裁選にかぶってきますので、安倍氏もそこがデッドラインとの認識があり、安倍トモメディアにそうした情報を流し、機運を盛り上げたいのでしょう。

金正恩氏は「会ってもよい」と上から目線ですが、これは安倍氏が北朝鮮に対し、「完全、かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」という敗戦国待遇を受け入れろ、と迫っていたのですから、カウンターとしては穏当です。しかし北朝鮮が日本と交渉する条件は、戦時賠償を示して、謝罪を、というもの。そこに拉致問題は入っていません。G7サミットの首脳宣言でも「拉致問題」の文言は入りましたが、具体的な解決法は明記されていません。つまり日本政府は、拉致問題の解決の仕方について、何ら示していないのです。
北朝鮮も、これまで拉致問題は解決済みと言い続け、ここで実はまだ被害者が残っていました、などというのは、より大きな見返りがあってのこと。元々、戦時賠償もあって、さらに上乗せできるなら認めるでしょうが、日本政府にもそれだけ巨額の拠出をできるだけの余裕はありません。日朝両国が合意できる内容は、非常に限られてきます。

8、9月に日朝会談を開催し、北朝鮮が拉致問題の再調査を約束。日本政府はその時点で金銭的な支援に応じる、という策が実しやかに語られます。両国とも、拉致被害者はもう残っていない、という結論になるのは了解済み。ただし安倍氏は、自分が結んだ約束だから、それを聞くまで…として総裁選を乗り切る。北朝鮮は、再調査を約束するだけで多額の金銭的な見返りがある。拉致被害者は残っていない、といった時点で、支援は途切れることを見越した上で、そこまでは何もしなくても日本からお金が流れてくる。これだと日本と北朝鮮にとって、否、安倍氏と北朝鮮にとってウィンウィンとなるのです。
金銭的支援にするのも、非核化の支援という形だと使途が限定されますし、モノが動かないとお金が流れない。お金だけ先に払ってしまう形でないと、両者にとって不都合な部分が多い、という意味です。安倍政権が北朝鮮と接触し、交渉するのはその金額の多寡、ということになるでしょう。それは勿論、戦時賠償とは全く別の支援となるはずです。

以前も指摘しましたが、日本が本当に拉致問題の解決をはかるなら「完全、かつ検証可能で不可逆的な解決(CVIS)」でなければおかしいのです。非核化でだけそれを要求していた安倍政権が、その旗を下ろした途端に、拉致問題まで中途半端な解決でもよいかのように、その最終的な姿を示さないのは、相手があることとはいえ、おかしな話といえるでしょう。それなら非核化でも、そんな要求はできなかったはずなのですから。
あくまで噂、憶測も多分に雑じるので、この通りではないかもしれない。しかし圧力路線に失敗し、遅きに失した対話路線への転換で被った多大なロス、それをたかだが2、3ヶ月巻き返して日朝首脳会談にもちこめたとしても、決められるのはその程度、米朝首脳会談の失敗をくり返すだけでしょう。それこそ2、3ヶ月前まで圧力で北朝鮮が対話に応じた、と自慢してきた安倍政権が、未だに接触すらできない現実。そこには「期待感」どころか、「危殆(非常に危ないこと)感」しかない、となってしまうのでしょうね。

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2018年06月13日

米朝会談後の円売り、株高?

昨日の米朝首脳会談、トランプ大統領は金正恩委員長を激賞していましたが、1年半前に同じように激賞されたのが、安倍首相でした。それが今では頻繁に連絡はとれるものの、体のいい財布としか見られておらず、刺したはずのクギもすぐ抜けてしまった。早くも菅官房長官がIAEAの査察再開に向けた初期費用を負担する用意、としましたが、そもそも核不拡散に同意していない北朝鮮が、IAEAの査察をうけるかどうかも疑問です。
しかも問題は、北朝鮮原発はソ連型黒鉛炉である点。日本でも廃炉に向けた研究もすすみますが、すべて軽水炉です。つまり非核化にむけ、原発を廃炉にするとしても日韓にはその技術すらなく、お金をだすだけになりかねません。非核化のコスト…毎年の財政負担を求められるとしたら、それは日本の財政上の懸念になりかねません。

米国では軍需産業の株が急落したように、意外なことに市場は和平にむけた動きとして好感しています。株も為替もほとんど動きませんでしたが、これは中央銀行Weekということも影響したとみられます。ただ最近の為替は、謎の円安ともされる動きをくり返しており、材料がないのに時おり対ドルで大きな円売りが入る。短期スジという話もありますが、株と連動したいつものCTAではないので、その説明には違和感しかありません。
あくまで憶測と噂を交えた個人的な感触では、FOMCで年4回の利上げは織りこみ済み、ただ来年の利上げ見通しを引き下げる、その観測に賭けた動き。もう一つは、欧州は9月で緩和の期限を迎えますが、欧州は再び景気が鈍化しており、年末まで緩和を引き延ばす、という観測に賭けた動きではないか? ただし、これらもピンとこないのは、欧米勢というより国内勢によって、今回の動きは引き起こされていると思われるからです。 

気になるのは、以前取り上げたインド太平洋地域に5.4兆円、という話もドル建てでの調達です。ドルで調達してドルで支払うのだから、問題ないと思われがちですが、ドル建ての方が金利が高くつくので、低金利の円建ての方が安く調達できるはずです。元々、こうした資金調達は国内勢が出資するのですから、円建てでも構わないはず。それをドル建てにしたのは、日本の金融機関への支援の名目があるのでは? そして、3年で5.4兆円を用立てるため、せっせと日本の金融機関が円を売ってドルを買っている、と噂されるのです。
またそれに、北朝鮮支援の資金調達が加わるなら、巨大な円売り需要が発生するのかもしれません。しかしこうした動きに持続性はない。ただし、それを裏付ける動きもある。日本は4月機械受注が良好でしたが、法人企業景気予測では4-6月期が悪かった。元々、日本では1-3月期は一過性で悪いものの、4-6月期は回復するシナリオだった。7-9月期には上向く、といっても回復が四半期一つ分、ズレるかもしれない。国内景気は弱く、円が強くなりようがない。原油高も一時より下がったといえ、WTIは65$台なので、これも経常黒字の分を下げてくる。何より法人企業景気予測でも原油をはじめとするコスト高を問題視しており、その解消がないと7-9月期も怪しい、となってしまうのかもしれません。

運用難だから株高、皮肉な結果が今は株価を押し上げる要因なのかもしれません。それは円売り材料も同じ、市場原理には基づかない取引が、今後も増えるのかもしれません。しかしそうしたものも、海外の中央銀行の動きによって覆されるかもしれない。そのときは日本が大きな痛手を被ることでしょう。今は説明のつかない動きが増えており、それが正しい価値なのか? 今の市場は非核化ならぬ非価格化という事態が起きてしまっているのでしょうね。

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2018年06月12日

米朝首脳会談について

読売が「トランプ氏が『安倍のいうことには従う』」という記事を上げました。大した話ではなく、G7で孤立化を避けたいトランプ氏が、日米ですり合わせをして安倍氏に語らせ、合意文書のとりまとめの中身を詰めさせた。しかしトランプ氏が署名しない、と怒ったようにその文書の内容が、日米ですり合わせた中身とちがい、欧州から「保護主義との戦い」との文言がねじこまれたのですから、トランプ氏は「安倍はつかえない」と感じたことでしょう。会談の場の会話なので、政府関係者が漏らしたとしか思えず、オトモダチの読売にスクープとしてG7の成果を語らせた、というのが実情のようです。

米朝首脳会談、最初に握手したときにトランプ米大統領が英語で語りかけ、完璧にペースを握りました。逆の手で相手の体にふれる、また握手した手を力強く引き寄せる、なども相手を従わせる高等手段であり、まるでホスト国のようだった、というより金正恩氏を下にしかみていない、という態度を存分に世界にみせつけることに成功したのです。
ただし、合意文書になると『米国は安全を保証、北朝鮮は完全な非核化』にみられるように安易な妥協を米国が強いられている。CVIDが盛りこまれなかったのは、敗戦国が主権を渡すのでもない限り、そんなものを受け入れる国はどこにもない。これはミサイル廃棄も同じ、国防はどの国にも認められた権利であり、過ぎた軍事力は軍拡路線をうながす、という相互の抑止力が働くのみ。敗戦国でもない北朝鮮に、また核不拡散に同意していない北朝鮮に非核化や、非武装化をみとめさせるのは、基本的に根拠がないのです。いざ、それをめざしても困難を極める。「プロセスは非常に時間がかかる」はその通りです。

しかも非核化の費用は日韓、という。問題は、合意文書には拉致問題が一行も入っていない点です。議題にはした、という日米会談の約束を守っても、それ以上のことはしなかった。これは悪い観測ですが、日朝の首脳を米国に呼びよせ、そこでトランプ氏の仲立ちで拉致問題を話し合う、ということもあり得るのでしょう。それは解決済み、で両国に合意させ、日本がお金をだす形で非核化プロセスをすすめるため、になるのかもしれません。米国で行うのは、日本がゴネないようにするため、米主導をアピールするため、です。
安倍氏はこの会談を「支持する」としましたが、米国のやり方を「支持しない」という言葉を聞いたことがない。米朝会談を開かない、となったときも「支持する」とした安倍氏は、ただ乗りするのもおこがましいレベルなのでしょう。米国人の捕虜や行方不明者の遺骨捜索が入ったのに、拉致問題は入っていない。それを「支持する」のですから、拉致問題は再び動きだしてすらいないことを、支持したも同じなのです。それは日本政府がやるべきこと、と言っても日本にはその戦略がない。米中間選挙前の、トランプ氏のパフォーマンスに突き合わされ、NYで拉致問題は何の進展もないまま、日朝が笑って握手。そんな事態が現実味を帯びることになるのでしょう。

日本が提起したCVIDも外れ、拉致問題も入らず、ミサイル削減はどこ? というレベル。それでも「支持する」し、お金だけは要求される日本。まさに「トランプ氏のいうことには従う」といった状況なのでしょう。しかも、トランプ氏はそれが気に食わなければ拒否する権利もありますが、日本にはありません。朝鮮には「着物の乞食にもらいはあるが、裸の乞食にもらいはない」という諺があります。今回、誰が着物をきて、誰が裸なのか。これほど明白なことはなく、その裸なのが日本では『王様』で、かつ子供(メディア)すらその過ちを指摘できない、というのがさらに悪い事情といえるのでしょうね。

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2018年06月11日

インド太平洋地域へ3年で5.4兆円の投資

G7首脳宣言では「自由、公正で互恵的な貿易と投資…保護主義との戦い」との文言が入り、トランプ米大統領が嫌った理由がよく分かります。恐らく欠席裁判、米国にとって不都合な文言が入れられた、と感じたのでしょう。結局、すべての国が合意を得るというG7の仕組みでは、トランプ氏のような特異な大統領には対処しきれません。
日本にとって重要な点のいくつかは、『G7海洋プラスチック憲章の承認』は、日本も対応を迫られるでしょう。北朝鮮には『拉致問題の即時解決』という文言も入りましたが、解決の仕方が問題であって、日本政府が頑張ってこの程度の文言しか入らなかったとしたら、外交上は失敗です。今、核問題では「完全、かつ検証可能で不可逆的な核廃棄(CVID)」との文言が入りますが、拉致問題も「完全、かつ検証可能で不可逆的な拉致問題の解決(CVIA)」を確約しなければ、それは如何様にもうけとられてしまうのです。

首脳宣言でも『発展途上国における経済成長を促進』するための『シャルルボワ・コミットメント』との文言が入りましたが、安倍氏が日経主催の国際交流会議『アジアの未来』で、今後3年で5.4兆円をインド太平洋地域に投融資、と表明しました。国際協力銀行(JBIC)が市場からドル建てで調達するのと、政府も外貨準備から最大半額を支出、とします。欧米の新興国投資が伸びない中、日本だけが新興国投資を伸ばしており、それをさらに加速させる、というのです。世界経済が傾き、新興国に不安がただよえば日本は大きな負担を強いられることになる。最大の問題は、『質の高いインフラ環境成長ファシリティ」として、新興国に過ぎるモノを無理やり押し付けようとしている点にあります。
出資するのは風力、地熱発電やスマートシティーなどとしますが、聞こえはよくても新興国が本気でそんなものを求めているか? 非常に懐疑的です。つまり安倍氏の目線は、大企業の技術や、大都市部にしか向いておらず、未だにきれいな飲み水の確保すら厳しい住民だったり、学校に通うのも困難な子供たちがいる。これは投融資なので、リターンを考える必要があるにしろ、安倍氏の語る「ライフタイムコストは日本の方が格安」との理屈にあらわれるように、中国との対抗を念頭においているとしか思えない。つまりインド太平洋地域で日本のコミットを増やす目的がある、というのなら、益々その国の実情にあったものを届けた方が、金額の多寡をほこるより、よほど効果的に心をつかめるはずです。

安倍氏がトランプ氏との電話会談をした、と語りました。安倍氏は従来通り『お願い』をくり返した、としますが、このタイミングの電話は恐らく日本がお願いしていたシンガポール会談後に、日本に立ち寄ってもらうかどうか、の確認、それをトランプ氏が断ったということだったのでしょう。すぐに帰国を表明したトランプ氏、もしかしたらG7首脳宣言を「とりまとめに尽力」とした安倍氏に、怒り心頭でパスしたのかもしれません。
今回、米朝会談の舞台となるシンガポールは、資源もない小国ですが、各国との関係をうまく築いて成長してきた。今となっては、日本が学ばなければいけない国です。安倍氏のように、お金だけばらまいて歓心を買うのではなく、心で付き合って信頼関係を築く。それができている国、ということです。日米会談でも、早くも米兵器を買う、としてお金で歓心を買っている安倍氏では、到底マネできないことでしょう。「完全、かつ検証可能で不可逆的な外交関係(CVIDipromacy)」、日本にはそれが求められるのでしょうね。

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2018年06月10日

雑感。プルトニウムと安倍政権

G7サミットで首脳宣言を採択したはずが、トランプ米大統領は「承認せず」と呟きました。困ったのは安倍首相で、取りまとめに尽力した、と語っていたのにトランプ氏が承認しなかったら、安倍氏の努力は水の泡、どころか本当に調整したのか? という疑問すら湧く。安倍氏の調整力など所詮そんなもの、とみなされることになります。
しかも日本政府は、トランプ氏に迫る安倍氏の写真まで公開した。安倍氏が迫っているように見えますが、トランプ氏の視線はメルケル独首相へ向けられ、ここでも『置き去り』です。さらに傍らに立つボルトン大統領補佐官が象徴するように、トランプ政権で脇においやられつつあるネオコン勢力が、安倍氏をテコにして諫言するのに利用されている。だから、『膝つめ』などをアピールできるのですが、トランプ氏相手では空振りすることも多い、となるのでしょう。ちょうど読売がアーミテージ氏を招いて懇話会を開いていますが、安倍氏もこの辺りとたっぷり調整したのかもしれませんが、トランプ政権で傍流においやられている現状では、大して意味がないことになりそうです。

そんな米国からプルトニウムの削減を求められ、日本が窮地です。日本は何百発もの核ミサイルをつくれるプルトニウムを保有していますが、それも高速増殖炉やプルサーマルで消費できる、減らしていく、ということで認められたものです。しかしどちらもほとんどが計画倒れで、すすむ気配すらない。しかも核燃料を再処理をすれば、必然的にプルトニウムは増えていく。再処理しなければ核燃料は溜まっていくばかりか、貯蔵施設も増やさないといけない。いずれにしろ、日本の原子力事業は行き詰まりが確実です。
米国がこれまで許容してきた日本のプルトニウム保有に見直しをかけはじめたのは、米国のネオコン勢力の失速も影響するのでしょう。日本が未だに原発を推奨するのも、このネオコンの指示とされます。ネオコンが隆盛した時代と、原発が世界的に伸長した時代が重なるように、多くの組織、利権でむすびついてきたことも想像できる。しかしネオコンが力を失えば、そうした組織や利権に配慮する必要がなくなります。つまり日本が大量のプルトニウムを抱えるほど、原子力政策を維持させる必要性もなくなるのです。

北朝鮮には「完全、かつ検証可能で不可逆的な核廃棄(CVID)」を求めておいて、日本が転用可能なプルトニウムを大量に抱える、というのも説明のつかない話です。さらに、日本は青森県六ケ所村につくった再処理施設さえ、未だ稼働の見通しが立たず、これまでに3兆円近いお金をドブに捨てたようなもの。米国としては日本の原子力政策を見限り、諦めてプルトニウムを処理しろ、という方に舵を切ったとて何の不思議もありません。
新潟県知事選は、与党の推す花角氏に当確がでました。柏崎刈羽原発はこれで再稼働に一直線でしょう。元々、明治維新をみても分かりますが、攘夷を訴えていた討幕派が、幕府を倒した途端に開国派に転じた。そんな明治維新にシンパシーを感じる層は、目的のためならどんな嘘をついても平気なのです。大河ドラマが放送中の西郷隆盛も、南洲翁遺訓において『政府首脳たちは立派な家屋を建て、洋服を着飾り、蓄財のことばかり考えている。これでは維新の功業は成就しない…国に対して、戦死者に対して面目立たない』と嘆いています。ただ、その米国の言いなりにしていたら、その米国の状況が変化し、日本の立場すら失ってしまうのは、北朝鮮問題も原子力政策も同じなのかもしれません。西南戦争のとき、西郷が掲げたのは『新政厚徳』、今もその旗が必要なのかもしれませんね。

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2018年06月09日

来週の中央銀行の動き

G7でトランプ米大統領が露国の復帰を提案、親露派のイタリア首相は同調しましたが、安倍首相は「露国との対話と関与は必要」と、どっちつかずでした。すでに北方領土の返還は諦めたけれど、親安倍派としてのプーチン氏とはお付き合いをつづけたい。安倍氏のそんな思惑が滲むような対応です。もし北方領土の返還が前にすすみそうなら、むしろ安倍氏は積極的に露国の復帰を訴えたでしょう。今回のG7、安倍氏はこのどっちつかず、の戦略を貫くようで、通商問題もそう。日本語の『中庸』がキーワードのようです。

来週は経済的に重要な日程が目白押しです。米朝首脳会談を始め、日米欧の中央銀行が会議を開く。米FRBは0.25%の利上げ、欧ECBは10月以後の金融政策において、何らかの示唆を与えるとみられる。しかも、欧州からはタカ派の声が聞こえ、恐らく金融緩和は止まるとみられます。日銀は無風とみられますが、黒田総裁は物価が上がらない原因を再点検、として政策転換をさぐっている。もし仮に、金融緩和をしても物価上昇効果は低い、と判断されたら、それを根拠として金融緩和を止めるような判断をするでしょう。
なぜこのタイミングでそんなことを黒田氏が言いだしたか? それはECBの動きと歩調を合わせたいから。先進国で引き締めの最後尾になると、より負荷がかかることが確実なので、ECBは3ヶ月かけて市場に織りこませようとする中、日本は多少出遅れても、1、2ヶ月で引き締めの根拠づくりをし、秋には金融緩和を止めようとするはずです。

欧州ではドイツ銀の経営不安が囁かれる。景気がいい、とされる独国の金融機関がナゼ? という疑問は、自国の金利が低すぎる影響があります。ECBの緩和で独国債を買い漁ったために、ドイツ銀は経営がぐらついた。今の日本も同じ、自国の金利が低すぎて金融機関は苦しんでいる。金融機関が苦しんでいるのに、貸し出しを増やすはずもない。これが緩和をしても引き締め効果、といわれる現象です。ここで出遅れれば、自国の金融機関が世界的な競争に負ける。それは中央銀行として容認できず、手を打たねばなりません。
海外の投資家は日銀が動くだろう、として今年3月まで円を買ってきた。しかし3月後半ぐらいから急にそれをゼロにもどした。日本人投資家が海外の資産を買い漁る時期だから、という理由もあったでしょう。しかしECBが動くと、日銀も動かざるを得ない。その織りこみが来週から始まるのなら、ふたたび円高を模索しやすくなるでしょう。今年、日銀がECBの会合の後に、日銀の金融政策決定会合を当てているのも、ECBの動きに歩調を合わせるため、です。それが来週でるか、でないか、ということになるのでしょう。

ECBが引き締めに動くだろうことは相場も織り込み始めた。逆に、10月以後も引き締めない、というとインパクトがあるでしょう。日銀が引き締めに動くのは、まだ相場も織りこめていないので、いずれその動きを織りこまざるを得ない。金融政策に中庸はありえない。もし安倍ノミクスに遠慮していたら、また消費税増税までは…などと考えていたら、日本は出遅れることになるでしょう。日銀が中庸銀行となったら、日本はとんでもない負の遺産を抱えることになりかねないのでしょうね。

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2018年06月08日

日米首脳会談について

内閣府が発表した5月景気ウォッチャー調査、現状判断DIが前月比47.1と1.9pt下回り、先行き判断DIも前月比49.2と0.9pt下回った。これを受け、内閣府も消費マインドを下方修正せざるを得ず、1-3月期GDPの改定値も速報と変わらず0.6%減でしたが、4-6月期は回復するとの市場の見立てを、この景気ウォッチャー調査は否定する数字です。原油高、円安による資源高騰の煽りを受けており、賃金も伸びていないことから消費にはしばらく期待できない。世銀も日本の成長率を下方修正するように、かなり景気は悪いかもしれません。

日米首脳会談が行われました。トランプ大統領は拉致問題を「必ず、必ず議題にする」とし、安倍首相が「提起してもらえることを嬉しく思う」と語った。その後で自身が日朝会談で解決する、と述べた。つまりこれは、拉致問題を解決するのは日朝会談まで先送り、という意思表明です。トランプ氏は交渉カードとして拉致問題をもちだせばよく、低いハードルになった。拉致問題を米国に解決してもらおう、という当初の目論見のせいで、国内で盛り上がった期待を下げるために今回確認し合った、という質の悪い話です。
しかも安倍氏は「完全に一致」とする圧力も、トランプ氏はその文言を使わないことからも「完全に一致」しているとは思えない。日本を無視しても、米国が制裁解除に動いてしまう可能性を残した、といえます。そもそも『あらゆる射程の弾道ミサイルを放棄』など、北朝鮮に武装解除しろ、というようなもの。それがないと制裁解除しない、などと要求するのは敗戦国でない限り難しいのです。核の「完全、かつ検証可能で不可逆的な廃棄」も、そんなことができれば苦労しない。もしそれを最終ゴールとするなら、北朝鮮が暴発するか、本当に敗戦国のようにひれ伏すか、どちらかの道をたどることになります。

しかも、ここに来て焦点は朝鮮戦争終結になってきた。これは単純に、今後戦端を開くのが停戦合意の破棄から、宣戦布告になる、というばかりでなく、米軍が韓国に駐留する理由を喪失するものです。再編をめざす米軍にとっても渡りに船、脅威の去る北朝鮮にとっても望ましい。今後、延坪島への砲撃や艦船への攻撃など、挑発的戦闘行為がやりにくくなりますが、北朝鮮にとってメリットがある。最大は、韓国との経済活動がしやすくなることで、実質的な制裁解除の効果が得られることも北朝鮮は想定しているでしょう。
安倍氏の語る「圧力で完全に一致」も、どこかで一穴が開いてしまえば、後は堰を切ったようになし崩しになるのです。もし日本がその戦略を維持したいのなら、米国ばかりでなくアジア諸国を巻きこまなければいけません。しかしその努力を一切怠り、米国にすがって何かを為そうとする。今回のように、米国が梯子を外しかけると、慌ててご機嫌取りに向かわなければならない。記者会見でトランプ氏が「日本は10億$の兵器や航空機、農産品の購入を約束した」などと、トランプ氏の守られるかどうかも分からない言質を得るために、それだけのバラマキをしてこなければならない、との理不尽に遭います。

今回も「日朝平壌宣言に基づ、不幸な過去を清算し、国交正常化し、経済協力を行う用意」と安倍氏は述べます。しかし『不幸な過去』に拉致問題は入っていないのです。それは戦時賠償の話だけ。この宣言にこだわる以上、安倍氏は拉致問題を解決する気ゼロ、とみなすことができます。米国から拉致問題を『提起』してもらうだけで、安堵してしまう安倍氏は、むしろ『埒が明かない』ことを望んでいる、といえるのかもしれませんね。

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2018年06月07日

4月の毎月勤労統計

中米グアテマラのフエゴ火山の噴火、被害も甚大ですが、これだけ巨大だと火山灰による土石流や、気象の悪化で農作物にも被害が拡大するかもしれません。地球は間違いなく大きな変動期にあり、どこで起きてもおかしくありません。そんな中、土木学会の検討委員会が南海トラフ地震で20年の経済被害として1410兆円、と試算をだしました。
ただ恐らくここに、労働人口の減少による作業員不足、という問題は含まれていない。復興の人手に割かれる分、日本の商業活動にも影響する。それは企業の海外移転を促し、経済のパイは縮小する。さらに問題は、短期で多くの資金を必要とするため、財政上の懸念を生じます。借金過多の日本の財政を支えるには、日銀の協力が不可欠ですが、その日銀はすでに大量の国債を抱え、いつギブアップしてもおかしくない。むしろ、不意の変動に対するバッファは少なく、その時までにどれだけ余裕をもつかがカギとなります。

厚労省が4月の毎月勤労統計をだしました。現金給与総額は前年同月比0.8%増ですが、実質に直すと横ばい。しかしここ最近、一般労働者は0.3%減、パートタイマーは0.8%減なのに、それを足したはずの数字が横ばい、という不思議な現象が起きています。また春闘で妥結した分はまだ反映されていないとみられ、今後の推移は注目されます。
ただ、もう一つの注目なのは総実労働時間で、前年同月比1.0%減。実は、この労働時間の減少は今年に入ってからずっと続いており、所定内も所定外もともに減っている。過労死の問題で残業に厳しい目が向く中、所定外が減るのは分かりますが、所定内も減る。しかも月により休日要因で変動するのだとしても、今年に入ってずっと続く、というのは企業が出勤日を減らしていることが要因とみられる。つまり今、本当に日本経済が活況で、仕事があるという状況なのか? それがこの毎月金路統計からは見えないのです。

安倍首相はこれから日米首脳会談ですが、シンガポールでの米朝首脳会談はお呼びもかからず、トランプ大統領が帰国する前に、日本に寄ってもらう計画を立てている、とされます。それで『置き去り』批判を回避したい、というのですが、そのために米国の兵器をまた大量購入する話を、今回の会談で提案してくるのではないか? とされます。
しかしそうやって北朝鮮の脅威を煽り、最新鋭だけど国防には何の意味もない兵器を買いまくったとて、大きな震災で国全体が地盤沈下を起こしてしまえば、それは国を守ることにはならないのです。オスプレイのような、被災地の近くまで物資を運べない兵器はいらない。ステルス戦闘機なんて、モノの役にも立ちません。安倍氏が語る「国を守る」は、あくまで仮想敵にむけて、のこと。老朽化したインフラや、災害に強い町づくりは、厄介な手続きが多かったり、自民の支持母体である建設業があまりおいしくないため、ほとんど手付かずの状況です。それでいて、安倍政権が成果としてきた雇用関連の指標でさえ、総実労働時間が増えていない、という点からみても仕事が増えたわけでないことが明らかとなっています。安倍氏が守っているものは何か? その虚実をしっかり見極めておかないと、自分の身のみならず、国も守れないことになってしまうのでしょうね。

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2018年06月06日

人手不足と議員定数増

安倍首相がG7前にワシントンに向かいました。出発前、「核、ミサイル、何よりも大切な拉致問題が前進するよう、トランプ氏とすり合わせを行い、米朝首脳会談を成功させたい」と語りました。最近、このフレーズを固定で用いますが、何よりも大切なはずの拉致問題について、政権に返り咲いてから5年、ほとんど動かず、言及すらしなかったのですから、何をかいわんや、です。しかも「成功させたい」と述べますが、希望により成し遂げる希望、を意味する「〜たい」では、まるで日本が主導して何かをするようです。むしろ、そう誤解させようとするものなら、あざと過ぎるといえるのでしょう。
さらに「貿易制限措置の応酬はどの国の利益にもならないことを訴えていきたい」と語りました。「訴える」に希望の「〜たい」がついても意味的に問題ありませんが、「訴える」が願望だと、到底この問題で日本が主導して調整に当たる、という決意表明とはほど遠いものです。また、単に「訴える」だけでその希望は叶ってしまうので、何とも低いハードルといえるでしょう。特に、日本の立ち位置は難しく、制裁をすでに発表している欧州、カナダなどと日本が歩調を合わせることもできず、米とも貿易協議では対立する。むしろ安倍氏は、「訴える」だけで終わり、との表明のつもりかもしれません。

昨日の経済財政諮問会議で、安倍氏が外国人就労の拡大を表明しました。在留資格のある人が現在250万人いますが、5年後には300万人まで増やすとします。しかも人手不足の業種は建設・農業・介護であり、決して景気により左右されるものではない。建設業は不動産バブルの影響もありますが、東京五輪やリニアなどの特需を賄うものであり、今おきている人材不足もまた、政治の失敗による結果として生じたもの、といえます。
自民党が急に参院定数6増とする公選法改正案について、合同会議で了承しました。合区により漏れる議員を救済するため、定数を増やして対応しようとするものですが、スジ悪です。民間では人手不足で問題が生じているのに、さらに議員定数を増やして、人手を国会に回してしまう。これは議員ばかりのことではなく、秘書やスタッフを含めてのことですから、スジ悪なのです。むしろ議員定数を減らして、人手を不足する業種に回すべきタイミングであり、こんな自分勝手な与党の決定を『自公都合』といいます。

財務省の問題では、麻生財務相に対して苦言を呈する公明にも、あまりふれられない汚点がある。それは森友問題は国交省も関与しており、その国交省には代々、公明党が大臣を送りこんできた。つまり今、国交省も資料の提出を渋っている、という現状は、公明が麻生氏を批判できる立場にない、ということを示すのです。これも『自公都合』であり、公明は麻生氏に責任をなすりつけ、自分たちをクリーンに見せかけようとする、あざと過ぎる対応といえ、麻生氏がそれに怒りをぶつけないのは、合意済みのことだからでしょう。
新潟県知事選の応援に、小泉進次郎氏が入らないことが話題です。安倍氏への意趣返しとされますが、原発争点化をずらしても、新潟県知事選では原発にふれないわけにはいかない。すると、父親とのズレが問題視されることが確実、そんな事情もあるのでしょう。むしろこの問題に触れないと、小泉氏はずるい、と言われるのを気にしたのかもしれません。人寄せパンダ、ともいわれる小泉氏に頼らざるを得ない自民、しかしその小泉氏は反安倍、反自民の動きを強めており、票寄せパンダにならない事情もありそうです。

人手不足どころか、日本は人材不足、未だに安倍氏の首相に推す最大の理由は「他よりよい」で分かる通り、安倍氏以上が見当たらない、という最底辺の人材すら与党から払底しているのが現状です。それは自公都合などで、勝手に議席数を増やそうとするぐらいの与党、都合の悪いことは必死で隠し、国民に必要なことを成し遂げようとする気概もない。そんな政治では何かを解決できる力もない、ということにもなるのでしょうね。

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2018年06月05日

雑感。罪と罰

トランプ米大統領が「自分を恩赦」と述べ、批判されています。現職大統領を訴追できないため、特別捜査官はあくまで報告書を議会に提出するまで。それをうけ、議会が弾劾の手続きに入ります。弾劾は恩赦に影響をうけませんが、ロシア疑惑による刑事罰となったら、そこに恩赦が適用できる。ただそれが、日本でいうところの公選法違反なのか、それともロシアに介入をゆるした国家反逆罪なのか、によっても恩赦の意味は変わってくるのでしょう。しかも恩赦とは、犯罪行為を認定して罰をうけた状態でだされるもの。その前に大統領は罷免されているでしょうから、恩赦をだせるかもナゾです。

昨日、公表された財務省の調査報告書に、早くも共産党からカウンターです。会計検査院や国会への対応として、財務省と国交省が協議した内容が記されたメモがでてきました。重要な部分は「官邸との調整」との文言がでてくること。官房付き秘書官なのか、どういうルートをたどったかは分かりませんが、実際に「調整」が行われていた場合、官邸もある段階で事情を把握していたことになる。自民党内からも、昨日の報告書に異論がだされるなど、まだまだ幕引きには程遠い状況であり、官邸の思惑は外れたといえます。
会計検査院が昨日の報告をうけ、財務省自ら資料の提出を拒んでいたことをみとめたため、懲戒処分の要求を検討、と伝わります。昨日も指摘したように、違法な行為であることは明らかなのに、佐川氏の暴走に財務省の職員が、何の反発もせずに行動したのは、明らかに異常です。そしてこの懲戒処分の要求にどうこたえるのか? 外務省のロシア課長がセクハラで停職9ヶ月、と報じられる。何があったかも分かりませんし、罪の軽重を一概に論じることもできませんが、佐川氏の停職3ヶ月がいかに軽いか、浮き彫りです。

内閣府の少子化克服戦略会議が、政府への提言をまとめました。男女とも1回しかとれない育休を複数回に、ベビーシッターを利用すると税優遇措置、有給休暇を1時間からとれる、不妊治療の負担軽減、などです。しかしすぐに気づきますが、ほとんどが生んでからの措置であり、生みたくなるような施策はありません。不妊治療の負担軽減は、生みたくても子供ができない人向けではありますが、この施策をもってじゃあ子供を…と思う人はまずいないでしょう。つまりこれは名前からも分かる通り、少子化を『克服』するものであって、少子化への対策を行って人口増を促すものではないのです。
しかし少子化により克服しなければいけないのは、様々な制度破綻です。年金、財政、経済成長など、様々なものが影響をうける。一部で、人口減でもイノベーションで克服できる、とする記事も見かけましたが、日本は研究開発費をけずり、企業は保守的になり、イノベーションとは縁遠い国になりました。規制により既存のシステムを温存し、新しいものが生まれない国、早晩それは『克服』できない日本の枷となってくるでしょう。

神戸製鋼への強制捜査も、米国により処罰されたら多額の賠償金を支払うことになるかもしれず、日本企業を守るために介入した、という見立てでよいのでしょう。しかしエアバック問題のタカタもそうだったように、日本企業は米国からの厳しい制裁をうけないと、中々態度が改まらないのかもしれません。日本の守られたシステムでぬるま湯につかっていた企業には、克服すべき課題が山ほどある、となるのでしょう。こうした駆け引きをするより、安倍氏が本当にトランプ氏と親しいのなら、恩赦でも要請すればうけてくれるかもしれません。その前に、罪と罰の判断すら歪んでいるこの国では、まともに司法が機能するとは思えず、克服するより国策の方により問題がでてしまうのでしょうね。

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2018年06月04日

財務省による森友改竄報告書

財務省が森友問題で文書改竄が行われた経緯を調査した結果、を報告書としてまとめました。しかしこれは不正を働いた側が、自分たちを調査した結果。話題の日大アメフト部に喩えれば、内田前監督やコーチ陣が「こんなことをしていました」と言ったところで、誰も信じないように、この報告書に国民を納得させる信用はありません。

その上で、大きな問題がある点がいくつもあります。まず『政治家関係者との応接録の廃棄の経緯』で、総務課長は昭恵夫人本人からの問い合わせでなく、特段問題ないと判断し、政治家関係者からの紹介にしぼりこんだリストにするよう指示したものの、理財局長から文書管理ルールに従って行われる」と考え、総務課長は応接録を廃棄するよう指示されたと受け止めた、というものです。問題は、昭恵夫人付きの秘書からの問い合わせを「本人でない」として排除していること。どの政治家でも、秘書の問い合わせは代理であり、記録に残すはずですが、それをしていない。次に「問題ない」という理由が不明。そして最後に、応接録を廃棄する指示が違法と認識していたか、この報告書では不明です。
『森友学園側との応接録の廃棄の経緯』では、佐川理財局長が、書面でも、答弁でも「(事案終了につき)残っていない」としたが、総務課長と国有財産審理室長は残っていることを知っていた、という。しかも佐川氏が(ルールに従って)廃棄しろ、と指示したとうけとめ、廃棄したという。『廃棄されなかった応接録の取り扱い』では、国会審議で「不存在」としたものを「ある」とは言えない、として不存在とした、という。つまり嘘だと知って、不正を行っていたという話です。しかも3月15日の委員会で提出を求められ、断るのもムリがあると考え提出した。ただし中身が詳しすぎるので、作り直した、という。中身が詳しすぎるのなら猶よいのに、つくり直す意味が分からない。余計なことをする意味が不明ですし、そもそもこのタイミングで「ムリ」とした理由も不明です。

『「特例申請」「特例承認」の改竄の経緯』では、政治家関係者の記載が問題になると問題提起されたものの、理財局長が「文書の位置づけなどを十分に把握しないまま」外にだすべきでないとした、という。そしてそれに多くが従い、動いている。「貸付決議」「売払決議」の改竄の経緯でも、佐川氏が「外にだすべきでない」と判断、という。つまり佐川氏が無法で無能であり、その無法で無能な指示に、多くの人員が盲目的に従っていた、という報告書になっている。財務省丸ごと、佐川氏の暴走に付き合ったとしています。
『総括』では、『文書を十分把握しきれず』『精査する余裕がなかった』『国会が紛糾することを懸念』が動機とします。前の二つは無能、最後は神戸市の教育委員会と同じ理由であり、到底受け入れられない。職員は反発した、というけれど、立場を慮り協力したのなら、同罪です。犯罪と知ってそれを止めないのも同じ、実行犯でなくとも、同罪になるのです。ためらった、反発した、などは情状の範囲ですが、責任は免れません。

しかも、こんないくつもの不正行為と無能に伴う誤った判断を下した佐川氏が『停職3ヶ月』で済むはずもない。分限免職、及び国家損害賠償請求の対象でしょう。国会を空転させた首謀者なのですから、その間の国会運営費、及び会計検査院への非協力に伴う事業の停滞、それらを協力者すべてに請求しなければおかしな話です。さらに文書開示請求を行った者は、虚偽により情報が開示されず、受けた損失を請求してもいい。問題の大きさと、国家的損失に対して、あまりに軽すぎる処分は日大アメフト部の幹部と同じです。
しかも麻生財務相は「場の雰囲気、空気ってやつ」で、何となく大掛かりな改竄に発展してしまった、という。それを『忖度』というのです。では、多くの財務省職員が、佐川氏のために忖度したのか? そんな馬鹿な話はありません。「佐川氏からの指示がない」としますが、もっと高所からの指示があったら? そしてこれは、あくまで財務省内の調査であり、財務省に限った調査です。財務省に、内閣府や国交省を調査する権限がないのですから。ただでなくとも片手落ち、かつ不正をした実行犯による、ただのイイワケに過ぎません。しかも自分たちが処分を下すためのこの調査の結果ででてきたのが、『停職3ヶ月』という軽微な処分であり、かつもう佐川氏は辞職しており、大した痛手でもありません。信用を失った財務省、晋三を失うのを懸念したためだったとしたら、その代償は国家的犯罪への『抵触』であり、甘い処分では国民の怒りを買うだけなのでしょうね。

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2018年06月03日

地銀再編を促す動きか

G7財務相・中央銀行総裁会議で、議長声明に「米国の一方的措置がもたらす負の影響」との文言が入りました。共同声明は見送られているので、議長声明が唯一のものですが、名指しの批判は異例です。それだけ6ヶ国の怒りが激しく、米国の手法を疑問視している、ということでもあります。逆に、米利上げやECBの引き締めがどこまで議論されたのか? またドイツ銀行の経営不安や新興国経済の不安定化など、議論すべきことが多すぎるのに、米国のこの問題に隠されてしまったとしたら、大きな問題です。
中国は米国との閣僚級協議で、具体的進展があった、とします。ただし「米国が制裁を発動すれば合意は無効」とし、農産物や米シェールオイルの大量購入をみとめた、と伝わります。中国は制裁で大豆が輸入できなくなる、などと噂が広がっていたこともありますが、食料供給に問題のある中国で、農産物の輸入は渡りに船。問題は天然ガスです。中国は天然ガスが豊富で、シェールガス型の採掘では最大の埋蔵量と伝わる。それが米国から輸入するのは、米国がそうだったように中国は将来的にエネルギー供給を確保するため、今の採掘を見送っている側面があります。シェールガス、シェールオイルの採掘は難しくありませんが、まだ技術的には道半ば、今後の最新の設備を導入する、との思惑もあるかもしれません。中国はささいなことで難癖をつけ、合意を見直してくることも多い。米中の合意、世界の対米戦略マニュアルになるのなら、世界は脆弱さを増すだけでしょう。

金融庁が福島銀行に業務改善命令をだしたことが話題です。福島銀は7期ぶりに最終赤字となりましたが、将来発生する恐れのあるコストを先に計上したのが理由とされ、正直この程度で業務改善命令などだしていたら、多くの金融機関でそうなります。島根銀にも業務改善命令を検討、と伝わりますから、業績が悪化した地銀に乱発するつもりかもしれません。それは日銀によるマイナス金利により収益性が低下する中、経営破綻が頻発するのを避けるため、地銀再編を促したい、という金融庁の思惑があるとされます。
しかしこれほど本末転倒な話もありません。人口減少社会と大都市部への集中を生む、その政策の犠牲として地銀の体力が削られた上、日銀の政策で収益性すら低下し、国から再編を促されるのですから。国の政策がまともなら、地銀はそのままでも生き残れたはずです。かつての不良債権問題で、大手銀が再編を迫られたときとは事情がちがう。金融政策と少子高齢化、地方創生策、そうした失政のツケを地銀が払うのです。

しかも日銀のイールドカーブコントロールが成果をだしているなら、まだ地銀へ負荷がかかっても致し方ない面もありますが、物価は上昇しない、金融機関は大手でさえリストラに至り、仕方なく新興国投資を増やした結果、米金利上昇で損失懸念にさらされる、など踏んだり蹴ったり。今では円安に維持したいがため、続けているだけではないか? とも揶揄されます。黒田総裁も「ナゼ?」と首を傾げる。ならば止めたら、というのは誰もが思うことでしょう。それで地銀が再編せざるを得なくなるなら、尚更です。
これまで、今回のバブルに日本はあまり乗れていないので、弾けても軽微な影響で済むだろう、という見方が大半でした。しかしここで噴出する様々な問題は、日本も対岸の火事では済まない、そう感じさせるものばかりです。しかも日銀が金融緩和のアンカーになってしまった今、日銀が見直しをかけると、世界経済へのインパクトも大きくなってしまうことが必定です。一番、業務改善命令をださなければいけないのは、安倍政権だったり、黒田日銀である、ということになるのでそうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(14)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2018年06月02日

雑感。米朝交渉は日本にとって好ましくない結果か?

米5月雇用統計が非農業部門の雇用者数で22.3万人増、失業率も前月から0.1pt下がった3.8%となり、米経済の底堅さを示しました。また平均時給は前年同月比2.7%増と、伸びが小幅にとどまり、強すぎて利上げ加速とならず、弱すぎて景気後退懸念、という両面を回避した、まさに絶妙な数字をだしてきた、ともいえます。ただ、ここには原油高によるシェールオイル関連や、鉄鋼・アルミ関税に伴う米鉄鋼業界への回帰、といった思惑も働いているとみられ、原油は下落局面に入り、また関税は各国からのWTO提訴が相次ぐ。米製造業に吹くこうした逆風を今後、織り込んでくるとしたら厳しくなってきます。

イタリアの政局不安も、とりあえず組閣できたことで小休止。米国では米朝会談に注目も集まりますが、ここにきてトランプ大統領は「最大限の圧力はつかわない」「複数回の首脳会談」「12日に合意文書をかわすことはない」と、相次いで日本を置いてきぼりにするツイートをくり返します。しかも朝鮮戦争の終結についても話し合うかも、といい、米朝の親密ぶりが際立つ形となってきた。北朝鮮の主張をかなりの部分、取り入れることになるのかもしれません。トランプ氏の12日会談見直し発言でで、北朝鮮が慌ててすり寄った、という見方もありますが、北朝鮮ペースで交渉が進んでいるようにも感じます。
しかも北朝鮮への支援は日中韓で、とトランプ氏はツイートする。シンガポールで飲み食いしたツケ、伝票は日本に回ってくるようです。これで困るのは日本です。拉致問題が解決していない、として断ったら、朝鮮半島の非核化が達成できなかった責任を日本に押し付けられます。日本の立場を理解してもらうには、かなりの時間と説明を要するでしょう。逆に直前とされる日米会談が、かなり重要なものとなってしまいました。

しかも、その後のG7での日本の立ち位置も問題です。麻生財務相は「流れをみて」WTOへの提訴を考える、としますが、欧州やカナダはすでに提訴を明言しており、日本も加われば米国包囲網が完成です。そうすれば関税障壁を撤回させられるかもしれない。逆に、日本は米国側につき、媚びをうることもできる。自動車関税を引き下げてもらったり、それこそ拉致問題の解決をお願いしたり、といったことも考えられます。
さらにもう一つ、安倍氏は訪米すると必ず市場関係者を前に講演し、日本への投資をお願いしてきた。日本株が上値を抜けず、停滞気味でもあり、外国人投資家の買いもほとんど入らない現状を、何とか変えてもらおうとするのかもしれません。日本ができる裏取引は、日銀の金融政策をリークすること。これまでも米金融機関は、まるで米政府の動きを知っていたかのような、怪しい動きをしていたこともある。日本に資金を置いておくと、それだけ儲かる、というイメージを与えるために情報を売るかもしれません。

それをするのも、短期の成果を求めているから。それが解散、総選挙となるのかもしれません。米朝会談で日本の要求が何も通らなかった時、安倍政権は逆風にさらされるでしょう。それを覆い隠す株高、解散シナリオはやはり根強い、といえます。ただし弱気相場入りした今、米国株は調整を嫌って右往左往していますが、日本株はかなり調整色も強くなってきた。来週のメジャーSQを越えた後、新たな戦略を立てようとするとき、日米の関係には要警戒、という状況がつづいてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:55|PermalinkComments(12)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2018年06月01日

人口減社会と新興国投資

2017年の出生数が94万6千人と統計をとりはじめた1899年以降、最小となりました。死亡数は134万4千人で戦後最多、安倍政権では人口減、少子化はさらに悪化していることが人口動態ではっきりしました。この5年、ほとんど手を打っていないのですから、当然の結果といえるでしょう。これでは経済の下押し効果が強く、高成長などを前提とした財政、経済運営をするとした安倍政権では、その時点で失敗している、といえます。
アイススケートの羽生結弦選手に国民栄誉賞、という話がでてきました。もはや政治の人気とりの道具でしかなく、こんな中途半端なタイミングなのも、政権が支持を上げたかった時期が今、ということ。恐らく安倍政権も、会期末解散をする、しない、の二面作戦の最中ということでしょう。それは党内を固めきれず、30%台の政権支持率では不安、その裏返しでもある。しかし日大の理事会で扱いが小さくなるのは誤算です。

米朝首脳会談が6月12日に開催されるかどうか、が注目の的ですが、明らかに事務方の調整の日程が足りず、顔合わせで終わりそうです。しかしその間にも、米国から欧州に鉄鋼、アルミの輸入関税という話もあり、逆に欧州からWTOへの提訴、米共和党の強い選挙区を狙い撃ちしての制裁課税、という話もでてきました。米国の規模が小さくなった鉄鋼業界を守るために、多くの業種が犠牲になる、そんな状況にもなりそうです。
日本では米国の鉄鋼・アルミ、それに自動車関税の引き上げに関して、WTO違反という言葉はでてきますが、WTOへ提訴という話がでてこない。来週、安倍首相が訪米という話もありますが、安倍氏には調整力がないのでトップ会談では解決できない。一体、どうやって解消するのか? その目処すら立っていません。日本の景気はその意味でも危機的状況、といえるでしょう。米国に依存し過ぎた結果、米国に文句もいえません。

しかし今、新たな問題になりそうなのが、国内金融機関による新興国投資です。国内が低金利で収益性も低い。そのため高金利の新興国投資を拡大してきました。しかし今、米金利上昇局面で新興国経済に不安がただよい、かつ円高がすすむと金利収入など吹き飛んでしまうほどの損失を被るかもしれない。バブル期に抱えた不良債権問題のように、新たな金融不安を引き起こしかねない、と今や噂されるほとになっています。
まだ新興国経済も、ごく一部しか不安も広がっていませんが、米国の金利上昇はまだ続きますし、欧州も引き締めはじめると、より新興国から資金を引き上げられる。そんな中、日本の金融機関が資金を残しておけば損失は拡大するでしょうし、引き上げたら新興国経済はさらに不安が拡大するでしょう。欧米が、新興国投資を手控えて拡大させない中、日本が拡大させたのは安倍氏による対中包囲網を始めとする、新興国外交が影響したとみて、ほぼ間違いないのでしょう。縮小する国内経済に、生き残る術として海外進出せざるを得ない企業も多く、欧米との違い、人口減の影響がこんなところにも透けるのです。

企業が「国内経済の規模が縮小するから…」などという理由を語る時点で、経済政策としては失敗しているのです。海外で稼ぐ企業のおかげで株価も高いですが、海外経済を日本が主導しているわけではない。つまり株価と、政権の評価とはまったくイコールではないのです。しかしナゼか、安倍政権は株価を成果として喧伝し、それを信じる人も多い。しかし海外の変調に脆く、日本経済のそれが弱点にもなっているのです。そうして日本経済を縮小させても、評価されて長期政権を担う。その間、様々な不正や不祥事があっても政権がつづき、今や安倍政権には国民栄耀(驕り高ぶり、贅沢する)賞が似合ってきた、といえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(10)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治