2018年07月

2018年07月31日

日銀の金融政策決定会合

注目された日銀の金融政策決定会合。変更点としては、イールドカーブコントロール(YCC)による短期金利を-0.1%、長期金利をゼロ付近に抑えこむため、±0.100%としていた許容範囲を拡大する柔軟化。ETF購入の6兆円の枠を柔軟化し、日経225型からTOPIX型の比率を増やす、という2つの柔軟化でした。これは当初語られていた『副作用の緩和』にはまったく寄与しないばかりか、逆に『副作用を助長』する結果になりかねません。
日銀は物価見通しを引き下げ、20年度でさえ1.6%と、2年で2%に達成のはずが、永遠に達成できそうにありません。YCCは無理やり金利を押さえつける政策のため、本来は成長やインフレ率を織りこんで動く長期金利まで、無理に押さえつけられる。その結果、物価上昇の期待も盛り上がらず、結果として日銀が物価を押さえつけているのです。

それを柔軟化により、0.数%に膨らませて運用したとて、結果として短期金利-0.1%、長期金利0.0%に縛りつけるなら、国債で運用する意義は薄れます。確実な収益がみこめない、価格の変動幅も小さく、ある水準に近づくと日銀トレードが発生し、意図しない動きに巻きこまれる。金融機関も仕方なく国債でトレードしているだけで、積極的にトレードする市場でなくなっている。日銀当座預金のうち、マイナス金利が適用される残高を、平均10兆円から減少させる方針を示し、これは金融機関も小康を得られます。
しかし、金融機関は今、国内が低金利と日銀の市場占有率の高さにより、国内での運用難となり、海外で運用することを余儀なくされています。それでも利ザヤが少ないことからヘッジなし、となっている。これがここ最近の円安をうながす要因ともなっており、しかも金融機関の経営の不安定化にもつながっている。円高や海外景気の変調があると、金融機関は大きな損失を被るばかりか、一気に強烈な円高を引き起こしかねない。今は、それでも世界経済は堅調だから、として多少のリスク要因があってもまったく動じていませんが、動揺が走るほどの要因があると、金融機関は大量の負債を抱えるばかりか、円高によって輸出企業も大きな打撃を受けかねない。日本経済を一気に奈落へと突き落とす要因が、今は着々と積み上がっているような状態にある、ということなのです。

ETF購入の柔軟化も、期末になって消化しきれない分でヤキモキすることがなくなった、という程度の変化です。しかもTOPIX型の購入が増えると、時価総額の小さな企業などは、すぐに日銀が筆頭株主となる。日銀はETFを通じた間接支配なので、議決権を有することはできませんが、日本は着実に社会資本主義体制に近づいている。しかもこの株主は、今のところ絶対に売らない。安定株主である一方、日銀の施策が変更された途端、経営が不安定化するリスクを抱える。ますます政治、日銀による変動に怯え、既存の体制を維持して欲しい、という欲求も働く。ある意味、自民党支援策にもなってしまうのです。
市場を活性化させたければ、YCCを止め、ETF購入を止め、市場に委ねるべきです。しかしそれはしない。日銀が失敗を認めるようなものだから、です。さらに、ここで小幅な手直しにとどまったことで、次に手直しする時期、タイミングを失った。もし世界経済が変調したら、日本は無防備なまま、暴風雨に晒されるだけの脆弱な状況になった、ともいえるのでしょう。4-6月期、米GDPをみても堅調でしたが、貿易戦争を見越してかなり先食いした印象もあり、年後半の景気には不透明要因もただよいます。

黒田バズーカの号砲も、今や時報ぐらいの効果しかなく、また鳴っている、ぐらいの当たり前のものとなってしまった。最近では、黒田総裁の会見も注目度が低かったのですが、それは黒田バズーカではなく、『黒田ハズーカしい』姿をさらしているだけ、であって、約束も守れず、失敗もみとめられず、さらに自分が始めたことにケジメもつけられない黒田氏にうんざりしてきたからでもあります。口が悪い人は、黒田東彦(はるひこ)氏のことを黒田ハレンチ彦と呼ぶ。それはその厚顔への嫌悪であり、今回はさらにその印象を強めるだけに終わった、といえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(6)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2018年07月30日

日本の迷走、社会人の学び直しと国交省の政策集

日銀が23日、27日につづいて今日も指値オペを入れました。長期金利が0.110%をつけたことで、抑制に動いたことになります。23日は0.110%、27、30日は0.100%で入札するなど、政策決定会合の当日でもあり、より防衛意識を高めてきたといえます。日銀はイールドカーブコントロールをつづけ、長期金利を0.100%に張りつける、との意思表示に思えますが、それだと当初語られていたような『副作用の緩和』にはつながりません。今、市場で語られているETF購入枠の見直しや、金利見通しを低下させるのも同様、政策の小幅な手直しにはなっても意味あるものではありません。結果、それ以上のものが何もでてこないのなら、この一週間の市場の混乱は一体何だったのか? という話にもなるでしょう。

台風12号が迷走し、九州地方に停滞する気配です。関東地方では東から西へ、通常と異なるルートによる被害はありましたが、あっさりと通過し、西日本では速度が遅くなり、被害が大きくなる。まるで西日本は雨の通り道にされてしまっているようです。元々、地球規模で吹いている偏西風がヒマラヤ・チベットにぶつかり、大きく迂回して東南アジア方面の温かい海水から十分な湿気を得るため、日本に湿潤な気候をもたらす、とされます。地球温暖化で気温の高低差が広がったことで、日本に吹く風も西から東へ流れるのではなく、より急角度で南西から北東へ、西日本が通り道になっているのかもしれません。
社会人の学び直しを支援、という話があります。資格所得のための支援、というのはまだよいですが、学び直しをしても日本では意味がありません。米国などでは専門性が重視され、経理なら経理を、プログラマーはその仕事をしつづける。なので採用も人というより、経歴や経験を基にします。しかし日本は『人』を採用するため、企業側の都合によって経理や設計をしていた人が、現場に出たりもします。米国のような学び直しが、採用に有利となるわけではない。色々なことをしていると、逆に厭き易いとみなされ、マイナスにもなります。これは雇用保険が余り、使い道を考えたらおかしくなったケースです。

国交省の若手キャリアが政策立案集を公表し、2030年に一般道でも渋滞する道は課税、と大胆な提案をしました。自動運転になれば『爆発的に』通勤に使う人が増えるため、鉄道への代用を促すから、とします。これなど頭はよくても世間を知らない官僚が、よく犯すミスの典型です。そもそも多くの企業で自動車通勤などみとめませんし、駐車場も必要です。政府がすすめる働き方改革では在宅勤務を推奨していますし、人口減少社会で、車をもたない若者が増えるのは維持費を払いたくないから、です。そんな状況が十数年で転換するとしたら、税制や国民の意識が大変革されたとき、ぐらいでしょう。
渋滞がおきるのは、橋や踏切など他にルートがない、信号が多くてタイミングが悪いなど、むしろ行政の不手際によって引き起こされることが多い。それは橋をもう一本かけたり、高架、立体交差を考えるなど、行政の仕組みで改善できる部分もある。交通量が減っていくなら、そうした公共工事は無駄になりますが、増えるというならそういう解消法が適するのです。しかし前述したように、自動車利用はますます減る。そのとき、予算をかけずに不便をいかに解消するか? を考えるのが官僚の役目であり、こんな提案しかできない若手官僚しかいないのなら、日本の未来には暗雲しか垂れ込めないのでしょう。

政府がビッグデータを活用した人口減対策や地域活性化のアイデアを、民間から募集します。それは若手官僚がこんな為体なら、民間の知恵を頼るしかないでしょう。というよりこの募集は4回目、大した知恵も集まらないのは、ビッグデータは人がより多く集まる場で機能するものであり、それを人がいない人口減少対策や地域活性化に用いる、という課題の矛盾が、そもそもの問題でもあります。世界の気候変動が大きくなり、将来に亘って日本がどういう形になっていくのがベストなのか? 例えば西日本には豪雨が増えるとしたら、より対策が必要であったり、住民の移動を促すなど、そうしたグローバルな視点での政策提案がまったく出てこない。この国の迷走は日銀や台風だけのことではない、となるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2018年07月29日

雑感、自民党総裁選は先行か、追いこみか。

防衛省が96式装輪装甲車の後継車の開発を断念します。建機大手コマツに依頼していましたが、防弾や軽量化で要求性能を満たせない、という。不自然なのは、今時は瞬時硬化性をもつポリマーなど、軽量で防弾ぐらいの性能をもつ素材は山ほどある。この96式装輪装甲車は兵隊をはこぶものなので、装甲と踏破性さえ満足すれば十分なはずです。
戦闘機の開発も、米企業との合同になったように、この程度の装備さえ、今の安倍政権では日本の独自開発がみとめられないのかもしれません。日本は貿易戦争を回避するために、実戦の米製兵器を高額で買う。そのために日本の独自開発は邪魔。そんな構図が見え隠れします。しかしこの程度の装備が内製できないなんて、モノづくり日本の名が廃る、というものでしょう。本当に安倍政権は何を守りたいのか? よく分かりません。

自民の石破氏が戦前に反軍演説を行った斎藤隆夫記念館を訪れました。1940年に日中戦争をめぐり政府、軍部を批判する演説を行い、政党からも衆院からも除名された人物です。しかし石破氏は安倍氏より右、むしろ軍事、防衛にはより肯定的であるので、石破氏が重なるのは強力な安倍一強に反旗を翻す、世の趨勢に竿さす部分だけなのでしょう。
ただ石破氏にとって有利な話もちらほらある。竹下派は参院が反安倍に、などという話もでてきたように、自民OBで反安倍を標榜する人物が、その影響力を行使しはじめました。安倍氏の戦略は、競馬で例えるなら先行逃げ切り、つまり早めに大勢を決して総裁選を消化試合にする、というものです。しかしこの戦略には一つ問題があって、追い込みや差しの強い馬に当たるとプレッシャーが強く、不安に駆られるということです。

作戦が当たれば左団扇でいられるものの、一つでも計算が狂うと、安倍氏が最も嫌う精神面への負担が大きいのです。石破氏にとっては、反安倍のOBが党内をまとめ、後半に勢いがでてくることに期待できる。そして勢いが出てくると、雪崩を打つ可能性もある。最後のダメ押しは、小泉氏の肩入れとなるのかもしれません。世論調査をしても、安倍氏よりも次期首相の声を多く集める。何より、安倍氏よりも集票力があり、統一地方選にむけて小泉氏に応援演説に入ってもらいたい地方議員は山ほどいる。この総裁選で、小泉氏が応援する側につけば可能性も高くなりますし、実際にそう主張するかもしれません。
旧希望の長島氏が、保守系野党の結成も視野に会派をめざす、としました。お山の大将になりたくて、他人の意見には従えない、それが保守の特徴としてあるため、野党になると利権も票も稼げず、巨大なまとまりにはなりにくい。一方で、自民党内は利権とポストという形で、今は安倍氏一本になっていますが、選挙の強さにも疑問符がつき始めた安倍氏、都議選で大敗した記憶さえ呼び覚ませば、集票力が一つの力にもなってくるのでしょう。自民党総裁選はまだ始まってもいませんが、石破氏は焦って動き回るより、今は根回しによって後半戦に力を溜めておけば、あるいは…もあるかもしれません。安倍氏を守ろうとする一部議員たち、ただ防弾性能は著しく劣り、装甲車としての性能もないので、追われると脆いことだけは間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(6)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2018年07月28日

雑感。国民民主のユーチューバー

国民民主の玉木共同代表が「永田町のユーチューバーになる」と宣言し、専門チャンネルを開設しました。第一弾は「あなたのお悩み何でも聞かせて下さい」として、東京表参道でインタビューする、というもの。ただ突撃インタビューにみせて、事前に仕込んであったか、現地で調達しても演出について打ち合わせ済みだったか、いずれにしろインタビューに応じた人が非常に協力的で、予定調和の匂いしかしない点はマイナスです。
ただしテレビの街頭インタビューでも、ほとんどが事前に打ち合わせ済みで、歩いている人にいきなり質問することはありません。玉木氏の番組ではその裏側が透けてみえたのは不慣れなため、でしょう。素人臭さも味、とうけとられるユーチューブですが、政治の素人臭さまでかもしだすようでは、マイナスといえるでしょう。政治家が、町で「あなたのお悩み」を聞く。むしろそういう場にも来られないような、日々の生活に窮していたり、公の場にも現れたりできないような人の悩みに耳を傾けるのが仕事でしょう。東京表参道…偶々遊びに行く人もいるでしょうが、大抵そこにいるのは日々の生活にはあまり困らない人たちです。政治家が待ちの姿勢で意見を求めてどうするのか? 声すら上げられず、悩みを抱えた人々の声に気づくのが、政治家としての務めでもあるのでしょう。

米国ではFacebook株が急落し、一晩にして13兆円が蒸発しました。翌日もTwitter株が急落、7000億円がとんだ。偽アカを削除するなど、アクティブユーザーの減少が意識されたためですが、明らかに米国発SNSが変調を始めています。SNS疲れ、などともされますが、個人情報の駄々洩れ、不適切な広告の規制、偽アカウントなどの不正利用の撤廃など、SNSが成長期から成熟期に入っていることの裏返しとして、成長株として収益に見合わない高い期待の乗った株価だったものが、収益に見合う株価へと転換する。成長性に疑問符、というのはそういうことで、それが13兆円の消失という巨大なものとなったのは、金余りで市場に大量の資金が流れこみ、株価が大きく押し上げられていた証左なのでしょう。
しかし今、40代でもテレビよりネットという総務省の調査もありますが、SNSにしろネットでやることが増えているのは事実でしょう。しかも昨今、パソコンでもGPUの搭載が増えているように、ネットゲームとは言わないまでも、動画をより精彩にみたい、という層も増えていることは間違いないのでしょう。その点でも動画配信に注力する、という政党の方向性は正しい。ただ、それを使いこなせるかどうか、はまた別の話です。

しかし、どうして『たまきちゃんねる』なのか? 国民民主の共同代表でもあり、これを個人の活動で…というのも変な話なのでしょう。国民に向けて情報発信をする前に、党内の政治家にむけて、きちんと行動の整合性を訴える方が先、なのかもしれません。支持率が1%にも満たない政党、「永田町のユーチューバーになる」前に、「永田町に優等生」になろうとして「対決より解決」として、「対決より採決」を優先する姿勢を何とかしないと、『たまきちゃん、ねる』と句読点を打たれ、お休みしているだけにしか見えなくなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:41|PermalinkComments(6)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2018年07月27日

官僚の処遇と総裁選の行方

空席となっていた財務次官に岡本主計局長、国税庁長官に藤井国税庁次長が、それぞれ就任しました。違和感があるのは、岡本氏は財務省の次期エースとして省内では温存しておきたい、との空気があった。それに文書改竄の問題では、文書による注意をうけるなど、決して岡本氏も無関係というわけではない。金融庁とて、情報請求の内容を当該人物である野田総務相にバラした、その責任者が藤井氏です。言葉は悪いですが、脛に傷もつ二人が財務省の1、2になったのです。野党の攻撃対象になりかねない人事であり、むしろ政権から守って欲しければ、より忠誠を尽くせ、という巨大与党という政権側の余裕が為せる、省庁への圧力ともうけとれます。官<政の構図をより如実に示したものといえるでしょう。

JAXAに出向していた文科省の川端前統括官が、災害対策事業に伴い医療コンサル会社元役員の谷口氏に便宜をはかり、見返りをうけていた疑惑が報じられます。谷口氏は先の佐野前局長の不正入学にも関与していた、とされるので、芋づる式に検挙されたとの見方もありますが、もう一つの見方は林文科相の間に膿をだしておく、との政権の思惑も見え隠れします。林氏は総裁について色気をもつ相手、いわば安倍首相にとってはライバルです。汚点をつけて追い落とそう、との側面ももつ。総裁選後の組閣で、次期文科相にはきれいな状態で引き渡し、第6次安倍政権を後顧の憂いなく始めたい、そんな思惑もあります。
しかも、官僚不正を咎める高潔な政権、との印象を与えることもできます。実際、政権不祥事であり、本来は政権が責任をとらなければいけませんが、安倍政権では官僚不祥事はあくまで官僚の問題、として切り捨てます。むしろ政治家の責任自体を咎めるケースも少ない以上、官僚の不正は政権浮揚の材料にする、という行動がめだつのです。

しかしこの動きで、岸田派は面白くない。林氏は岸田派、これは仮に自民党総裁選で安倍氏を応援しても、岸田政調会長が後継指名されることもなければ、派閥としても冷遇されることが確実。竹下派も安倍氏に乗る、という話もでてきましたが、面従腹背の岸田、竹下派の両派を、安倍氏が厚遇する必要ももうないのです。何しろ自民党は3選まで、次の総裁選はないので、安倍氏としては党内に気をつかう必要がなくなります。選挙にさえ勝てば、基盤は盤石なのですから、むしろ党内敵性勢力として牙を剥くことになるでしょう。
岸田派も竹下派も、二心をもってこの総裁選で安倍氏を支持したところで、何のメリットもないどころか、デメリットしかない。反安倍勢力は結集し、一発逆転を狙うしかないのです。そのカギを握るのが二階幹事長率いる二階派でしょう。ここは利害が合致するので安倍氏を支持しますが、二階派が動くと情勢が変化する場合、動くこともあり得ます。8月上旬には細田派、麻生派、二階派で選対を…と、安倍氏が出馬表明する前からこうした動きが活発化するのも、二階派を取り逃がさないようにするための、安倍氏の戦術です。

官僚の処遇をみても明らかなように、『安倍氏のため』に行動した人間は、論功で引き上げられますが、圧倒的勝利が予想される中で、今さら岸田派も竹下派も乗ったところで、それは『安倍氏のため』ではなく、『自分のため』の行動とみなされる。それでは冷遇されること請け合いです。世界は分断がすすみ、二極化される中で、日本だけは主義主張をかなぐり捨て、勝ち馬に乗りたいとして一極集中がすすむ。チャレンジャーならぬアベンジャー精神が自民内でおきるかどうか、そうでないなら4年は冷遇される議員が少なくない数でてきても、不思議ではなくなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:03|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2018年07月26日

米中欧の経済の動き

トランプ米大統領と、ユンケル欧州委員長が会談し、自動車分野を除く工業品の関税撤廃などを協議することで合意。また大豆やLNGなどの輸入品を欧州側が増やすことで、貿易不均衡の是正をすすめる、としました。また協議する間は自動車への関税はかけない、とします。米株は引け間際に『合意』と伝わり、一段高しましたが、この内容だけだと単に先送りしただけですので、ヘッドライン取引の弊害ともいえるでしょう。
ただ、国際的な通商ルールを重視する、としてきたEUが目先の安寧だけに走った印象はぬぐえず、米国の土俵に乗ったことで、トランプ流の手法について、ますます自信を深めたことでしょう。日本はすでに交渉入りを約束し、しかも負けを認めているため、米国の高圧的な態度は見受けられませんが、負けの規模は拡大することになるでしょう。自動車関税を武器にした交渉、日本にとって厄介なことこの上ない交渉になります。

しかし今週、相場を下支えするのは中国による景気刺激策の発表です。米国による2000億$の輸入関税を検討、という報道をうけて、中国のカウンターが懸念されていましたが、そこにでてきたのが財政出動を伴う景気刺激策、ですから一気に楽観が広がりました。
さらに、中国は借金をしての景気浮揚はもう厳しい、とみられていた。借金漬け経済は、個人から企業にまで蔓延しており、資金需要が活発である一方、大型の破綻などが起きないよう流動性の供給も増やしている。人民元の下落も顕著ですが、まさに政策総動員をして人民元安を促している状況であり、為替操作などしなくても人民元安になる理由は満載です。ただし、中国からの資本流出のリミット、とされる水準に近づいており、週初の景気刺激策の発表はぎりぎりのタイミングだったのでしょう。もう少し遅れたら、人民元安がさらにすすむのを恐れ、景気刺激策もうちだせなかった。むしろリミットを越えないよう、中国は為替操作による安定をはかる可能性があり、中国の動きは要警戒です。

日本株は日銀によるETF買いを日経225型からTOPIX型を多くする、との観測報道で、TOPIXが大幅上昇する一方、日経平均先物は小幅に下落しました。しかし今日の動きはイレギュラーであり、もうしばらくかかるかもしれませんが、投信などの組み入れ比率を変える必要もあって、大きな動きになりました。下支えが期待できるTOPIX型の比率を上げ、値嵩株に偏っていた日経225型のポジションを落とす。今はそうした思惑が働いています。
ただし、今は日銀のETF購入は『およそ』6兆円ですが、それを『最大』6兆円にする、との観測もありますが、その程度の引き締めで米国が納得するはずもなく、数円の円高にするためには、国債購入枠を引き下げざるを得ないでしょう。すでにステルステーパリングとされる日銀ですから、枠を削ること自体は容易ですが、問題は市場の受け止めです。

いずれにしろ日銀の資金供給枠は、確実に減る。長期金利が一時0.1%をつけたように、市場は思惑が先走るものであり、ステルスが外れたテーパリングのスタートは、効果が物足りないとなれば、さらなる引き締めを促すよう思惑が働きます。まだ日銀は副作用に関して、具体策を示していない。それが来週の決定会合でどうなるか? 市場のボリュームも下がっているように、様子見が広がる日本。米中欧の動きが活発化する中、蚊帳の外だと思っていたら、いきなり鉄火場の中だった、ということもあり得る。日銀に何ができて、何ができないのか? 来週にかけて見極める段階に入ったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:05|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2018年07月25日

雑感。自民の情報の扱い方と、ラオスのダム決壊

自民党の杉田議員の週刊誌への寄稿が未だに波紋を広げています。「LGBTは生産性がない。税金を使いたくない」というものですが、自民としても厄介なのが、党内で根幹にもっている差別思想を、杉田氏を抱えることでずっと突かれる、という点です。特に杉田氏は細田派で、安倍首相の派閥。保守傍流の清和会は、『清い』という字と異なり、思想はかなり歪んだ保守であり、むしろ『せ違和会』ともされる。正統保守からすると異端、という立ち位置が強いのです。極右も、差別主義も混じる、そんな集団に安倍氏もともにいる、そんな印象が強まる前に、何らかの手を打ってくるでしょう。今のところ、自民は一人二人減ったところで痛くもない。ただし、安倍氏にとっては痛手になります。
杉田氏は元維新で、安倍氏から請われて自民の公認をうける形となった。稲田前防衛相につづいて安倍氏の見る目がない、ということを露呈します。しかも自民に入って趣旨替えしたわけではなく、元の主張を繰り返しているだけなので、安倍氏すらそれと同じ主張? との目で見られ続ける。杉田氏の問題は、安倍氏の3選とも密接にからむ問題といえます。それは杉田氏の背後関係、付き合ってきた人物や団体などとも重なり、安倍氏としては切るに切れない。痛い腹を、さらに痛くして探られる問題、といえるでしょう。

しかも、ここに来て野田総務相に対する金融庁の情報開示請求の漏洩が、大きな問題となっている。金融庁が朝日に情報開示請求をうけ、それを朝日に説明する前に当該者である野田氏にバラした、というものですが、金融庁の説明も歯切れが悪い。そして、それを野田氏が記者懇でバラさなければ何の問題もなかった話です。つまり野田氏も金融庁も、二重に情報の扱い方を間違えた結果であり、情報公開の在り方すら危うくします。
杉田氏も元は週刊誌への寄稿から起こったことであり、自民党と情報に関して、極めて不適切といえるでしょう。むしろ、杉田氏の場合は本音を語っているとみられる点からみても、政治家としてふさわしい人材か? という問題かもしれませんし、野田氏も自身の関係者がかかわる問題で、秘書が金融庁と調整している時点で、政治家としての資質の問題、とも言えそうです。これまでも安倍政権で誕生した『魔の3回生』という言葉、今や自民党そのものが『魔の政治家』ばかりで、痛い腹がバレないように、そこを探られないようにすることに長けた人物と、そうでない人物とで構成され、後者は続々とこれからもトラブルメーカーになっていくのかもしれません。ただし、そんな組織全体の腐敗を是正もできない安倍政権を、誰も批判しないという情報操作によって、安倍政権はつづくのかもしれませんが…。

話は変わって、ラオスで韓国西部発電とSK建設がタイ、ラオスの企業との合弁で受注したダムが決壊、大きな被害がでています。暴風雨の影響で、手抜き工事でないとしますが、9割方完成したとはいえ、まだダムに水は溜めていないはずで、それなら決壊と言わない。暴風雨なら、ダムに流入してくる水を迂回して下流に放出するシステムがオーバーフローした、ということであり、ダム決壊と報じられるだけの何かがあったのでしょう。
韓国政府は被災地へ救援部隊を派遣、としますが、そうする時点で何らかの問題を韓国政府もつかんでいるのでしょう。最近、中国の一帯一路でも工事計画がすすまない、という問題もありますが、東南アジアで発生してきた大型事業が、こうした動きでも停滞する恐れがでてきました。そもそも新興国では大型の公共工事を行うだけの予算がなく、海外の企業がペイするだけの収益を上げるのが難しい。それを無理に受注すれば、どこかでしわ寄せがくるのです。日本も対岸の火事、と笑っていられる状況ではありません。豪雨災害もあったように、今後もダムなどの公共工事には、より高い安全性が求められる時代といえます。日本で造られたダムも、一向に水が溜まらず壮大なムダ事業と揶揄されるものもある。さらに海外案件のリスク、その土地の事情についての無知、無理解という問題も抱える中で、より慎重にみていかないといけないのでしょうね。


analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2018年07月24日

岸田政調会長の総裁選不出馬

東京五輪まで2年です。イメージキャラクターの名前が『ミライトワ』と『ソメイティ』に決まりました。「ロシア人みたい」という意見もありますが、露国の名乗りは家名に対して男性と女性は異なり、例えばフィギュアスケートのアリーナ・ザギトワ選手の男の家族はザギトフですし、テニスのマリア・シャラポワ選手も男の家族はシャラポフになります。なので正確には「ロシア人の女性家名みたい」となり、ミライトワは女の子になります。恐らく違和感の多くは、日本には意味を二つ重ねて名乗りにするような文化、伝統はほとんどない上に、未来と永遠、染井吉野とso mightyと、滅茶苦茶な点にあるでしょう。
未来と永遠は意味が近く、染井も吉野も地名であり、分断して染井だけ使う意味が分からない。しかも『力強い』を意味するso mightyを合わせる、というセンスも疑う。発音的に-tyをつけたかっただけでは? としか思えません。商標等、被らないよう工夫したら、馴染みのない名前を無理やりつくりだした、という結果に終わったようです。

岸田政調会長が総裁選への不出馬と、安倍首相の3選支持を表明しました。これで岸田氏が総裁になることは完全に潰えた。外相就任要請を固辞し、政調会長に就任してから1年近く、次の総裁にふさわしい人との世論調査では一桁前半、まったく支持を増やせなかったのです。安倍氏の後継指名を待つ、そんな態度が影響したのは間違いなく、またその戦略で居続ける以上、安倍氏から裏切られたら終わり。むしろ、安倍氏が後継指名をしたとて、お鉢が回ってくることはないでしょう。岸田氏のように、人柄の良さをアピールする戦略では、谷垣氏と同じで、自民党が解党的危機になった時しか用をなさないのです。
ただ岸田派がすべて安倍氏に乗るか? はまだ不透明で、林文科相のように岸田派でありながら総裁に意欲をみせる人物もいる。岸田氏が不出馬なら…と動きだすのが確実でしょう。こうしたものは、出馬する意思を示しつづけていないと、党内で埋没するのですから、常にそういう気配をみせておかないといけない。泡まつ候補になることを覚悟しつつ、それでも出馬するのはそれなりに理由もあります。岸田派の動向は今後も注目です。

ただ福田派、麻生派、二階派、菅官房長官がまとめる無派閥、それに岸田派が乗ると、議員票の7割は固めたことになる。勝ち馬にのる、と考えるなら安倍氏の圧勝でしょう。ただし統一地方選を控えた地方の判断はどうか? 安倍政権は不支持率の方が高く、地方には好ましくない政策が多い。例えば地上配備型イージスは、一基2000億円どころか3倍の6000億円もかかる、という費用面以上に、高周波のレーダーによる障害や、いざ攻撃をうけるときは真っ先に狙われる、という不安。それでも安倍政権はごり押ししてきます。
国は国民を守るもの、などと考えている人がいたら、とんでもありません。近いところでは東日本大震災のトモダチ作戦で、米軍は兵士の被爆を黙認し、作戦を遂行しました。米軍は第二次大戦以後、何度も兵士を故意に被ばくさせ、経過をみるといった実験をくり返しており、国家が国益を優先するなら、国民の被害は度外視する傾向があります。日本とて同じ、すでに迎撃ミサイルを搭載したイージス艦にのる自衛官に、何らかの影響がでているかもしれない。しかしそうした情報は隠ぺいされます。秋田や山口に設置するとき、そうした情報があると不都合だからです。東日本大震災後の子供たちに増えた甲状腺がんの問題も同じでしょう。国は絶対にそうした不都合な情報はみとめようとしないのです。

地方議員にとって、安倍政権の不支持が多い、というのは非常に気になる。そして地方に押し付けられる不都合な状況は、沖縄の悲惨さをみれば、明日は我が身と感じるでしょうし、西日本豪雨被害への対応でも、自分とは関係ないとばかりに平然と酒席を開く、その薄情さが、住民に密着した地方としては不快にしか感じないのでしょう。それこそ安倍政権の『未来とは?』『(悪に)染められティ』という結果がみえているなら、中央vs.地方という構図は、まさに一部の支持者vs.住民、という構図に置き換えることもできるのでしょうね。


analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(12)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2018年07月23日

G20と日銀の動き

暑い日がつづきますが、これで心配なのは食料品の値上がりです。しかも、猛暑で出かけない、また屋外に長くいない、などの影響で、今年の夏の景気下押し圧力は相当なものとなりそうです。しかも西日本豪雨災害が重なり、広範囲の消費減退が起きそうでもあり、安倍ノミクスの真価が愈々問われそうです。本当に経済は強くなったのか? 安倍政権はずっと『緩やかな回復』と使いつづけましたが、その文言を使いつづけられるのか? それを問われる材料が、国内外から聞こえてきます。

G20財務省・中央銀行総裁会議では、「貿易の緊張の高まりで世界経済の下方リスクが拡大」との文言を盛り込みながら、具体的な対策はなし。なので、下方に引きずられることは間違いない、ということです。さらに中国人民元安について、麻生財務相が中国側に説明を求めた、などとしますが、日本では債券安、金利高、円安を招いた今日、日銀が指値オペを行って防衛に動いた。他国を非難できる立場にないことが明らかです。
しかも、「新興国は市場の過度の変動、資本フローの反転に未だ直面」としますが、当たり前です。先進国が大量の資金供給を行い、その資金が新興国に流れこみ、逃げていくのですから、新興国で対応できる問題ではありません。それを起こさないようにしたければ、過剰流動性相場を二度と発生させないことです。そして米国の引き締めにより、過剰流動性が収まっていく段階でこうなることは、むしろ自然な動きであり、それを新興国に何とかしろ、というのが無理があります。自国の経済規模を上回る動きになど、対抗できるはずもないからです。G20はこの問題でも、具体策は何も示していないのです。

そして日銀が来週の金融政策決定会合で、副作用を議論と伝わり、円高と金利急騰を招くのも過剰流動性相場の徒花です。日銀がどんな策を打ち出したとしても、次の水準をさぐりに行くのが市場であり、今は思惑で動き、早く自分たちがその水準にいることで儲けをだそう、という渦中にあります。それを強引に抑え込んだのが今日の指値オペです。
しかし日銀が市場を抑えきれるのか? 大量の国債を保有してしまったばかりに、日銀が動くと国債安となり、日銀が損失を抱え、その規模は莫大です。急激に金利を上げるわけにはいかないものの、逆に市場が日銀の経営不安を起こさせたいなら、債券先物を叩き売ることもあるでしょう。日銀はそのたび、半ば強引でも市場を抑えつけていかなければいけない。そしてそうすれば、日銀が保有する国債はさらに増え、変動に弱くなる、というチキンレースがこれから始まるのかもしれません。

今日の株式市場は、金利上昇で銀行や保険などの株が上昇しましたが、こうした動きも次の水準をさぐるため、ポジションの変更を迫られた動きであり、高々0.数%の動きで経営が改善するものではありません。ただ、日銀が副作用の緩和に動くことで、収益機会が増えるとの期待、それを煽って仕掛けただけのことです。市場の暴走と、それに右往左往しても、何もできない中央銀行と。「金融政策の緊張の高まりで、世界経済の下方リスクが拡大」という中で、何ができるか? どう備えるか? 経済の分野が、冷たい暑さを伴ってきた今年の夏、今後の動きには様々な面で警戒も必要になってきたのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(5)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2018年07月22日

自民党総裁選について考察

通常国会が閉会し、これで政局は政党間から政党内に移ります。まず代表選を行う国民民主ですが、共同代表のうち玉木氏は出馬、大塚氏は不出馬を表明しており、他に適当な人物もいないことから、玉木氏でほぼ決まりとみられます。そうなると「対決より解決」路線で、野党内の不和を生むのが確実です。日本の若者は協調性を重視するため、対決路線の野党は支持しない、という人もいますが、解決路線の国民民主も支持されていない。そもそも、世論調査に答えている層が本当に若者か? もありますが、国民民主のやり方が決して『解決』ではないことを、国民も見透かしているのが現状でしょう。
カジノ法案でも、国民民主は付帯決議をとることに拘り、野党分断を生みましたが、付帯決議をとっても決して『解決』ではない。ただの自己満足であり、国民のためにならないことなら、最後まで反対しないとおかしい。今は与党補完勢力のゆ党として、対決より採決になっているだけです。これで代表選が玉木氏ですんなり決まるようなら、浮上の目すら捨て去ることになる。愈々「対決より埋没」となりそうです。

自民党総裁選では、安倍一強が囁かれます。安倍氏が閉会に伴い、行った会見では「蝉しぐれが聞きながら」出馬表明を考える、としました。政治の世界では、出馬表明は遅い方がいい、というのが常識であり、かつ災害対応という錦の御旗があり、早期に出馬表明をして安倍政権を攻撃すると、復旧や復興を邪魔するのか? という批判に結びつきかねない。出馬を考えていた他の候補は、より戦略が難しくなった、といえます。
現状、出馬を考えているのは石破氏、岸田政調会長、野田総務相ですが、野田氏は金融庁トラブルに見舞われ、タイミングからも出馬が難しくなった。石破氏はすでに対決姿勢をみせ、無投票再選にはしない、という発言からも出馬。問題は岸田氏です。岸田氏が出馬しない、となれば安倍氏に乗るので、議員票をがっちり固めた安倍氏圧勝で終わりです。つまり今、野党の弱さを指摘することで安倍一強を説明する記事はよく見かけますが、実は自民党内ですら、反安倍が結束していないことが、安倍氏の余裕につながるのです。

つまり安倍氏を脅かすためには、反安倍勢力が結託するしかなく、岸田派が麻生派を巻きこんで大宏池会とした上で、石破氏がそれを応援する。もしくは石破氏に大宏池会が乗る、という形でない限り、安倍3選にしかならない。地方に強い石破氏、議員票を集められる大宏池会、その二つが手を結ばない限り、安倍氏の勝利で終わることでしょう。
蝉しぐれは、多くの蝉が鳴く様子ですが、猛暑の影響からか、今年はもう蝉しぐれの状況です。しかし安倍氏は余裕をもって、党内の動きを眺めているところでしょう。本来は、与党議員から安倍政権のリスクをかき鳴らさないといけない。与党議員の力も落ちてきて、公明・創価学会の協力も得られにくくなり、ますます支持率の高い政権に頼らざるを得ない。つまり安倍氏に協力せざるを得ない、という状況がつくられており、では安倍政権の支持率が落ちたとき、自分たちが目も当てられない状況になります。創価学会の協力が得られない理由は、安倍政権が滅茶苦茶をすることで、創価学会婦人部もうんざりし始めているためであり、何かのきっかけがあれば、まったく選挙協力が得られない事態にもなるでしょう。そのキッカケ、日銀の動きにカギがあるかもしれません。

日経の世論調査で、政権支持率が大きく下がり、不支持が上回ってきました。前回、日経だけがやたらと支持率が上がり、驚いて今回、調整したものとみられますが、政権支持率が40%台だろうと、不支持率がそれを上回ったら、安倍政権で行う選挙にはリスクが高いのです。蝉は成虫の状態で飼おうとしても難しく、一週間しか生きませんが、野生のままなら一ヶ月ぐらい生きている、とされます。安倍氏は蝉しぐれの出馬表明から、総裁選まで一週間もあれば十分、とでも考えているのでしょうが、埋伏した議員たちが反安倍の声で鳴き始めるのか? 野党の問題以上に、自民党内の結束が問われるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(11)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2018年07月21日

円高の動き

円が対ドルで急伸です。といっても、ここ数日の円安は特に説明がつくものではなく、米企業の4-6月期決算は好調が予想され、米株市場が堅調であり、かつ米国の強さからドル高になる、というシナリオに沿ったものだったと推測しますが、そんな為替市場の動きはトランプ大統領にとって好ましくない。それがドル高牽制につながりました。
一方で、日銀が7月30、31日に開かれる金融政策決定会合で、大規模緩和の副作用への対応を検討、という話が円高転換のきっかけとされており、円高を促す材料が同時にでてきたことは奇妙です。むしろ、トランプ氏が最近のドル高に怒っている、という話を聞いて、その是正に安倍政権、日銀が協力した、という見方が正しいのかもしれない。米MMFをみても、ドル売り円買いがふたたび目立ち始め、それを超える円売りが入っていたことになる。米国としては円売りを牽制したい、米国が為替で損をださないようにしたい、との動機があったことになります。米国は口先介入、日本は実際の行動で、円高へと誘導するというのが、両国の合意としてあったものと推測できるのです。

では、日銀が悪影響を減らす方策とは、何があるのか? イールドカーブコントロール(YCC)を維持したまま、長短金利を今より少し上方に修正、としても大して影響がないでしょう。すでに企業の資金需要は乏しく、金融機関からの借り入れに頼ることもないので、経営改善にはつながらない。むしろ不動産など、個人の借り入れに影響がでてくる可能性もあり、単純に金利をあげると、それこそYCCが機能不全に陥る可能性すらあります。
日銀が国債を放出し、市場の金利調整機能を回復する手法はとれない。そんなことをすれば国債が下落局面になり、誰も手をださなくなる。恐らく、市場の金利調整機能を回復する前に、金融機関と共謀する形でYCCを展開しながら、金融機関に収益をださせる仕組みをつくろうとするでしょう。これまで、新自由主義の識者が「金融機関はタダで儲け過ぎ」としての根拠として用いていた付利、それを調整する形で金融機関に国債を買わせる動機とし、日銀がオペを調整して少しずつ金利を上げるしかない、と想定しています。

つまり日銀が金融緩和から、引き締めに転じるということ。この手法なら、時期は早くに始められる。もしトランプ氏が中間選挙を前にドル高を牽制したいなら、なるべく早く始める必要があります。円売りに賭けた層は、未だに半信半疑で、1日で1円程度の動きにとどまっていますが、下手をすれば欧州より日銀の動きの方が、引き締めに転じるタイミングが早くなるかもしれない。そうなると一気に円高がすすむ恐れもあります。
しかもこれが日米での合意事項であるなら、今後は政治からの援護射撃もなくなり、円安に向かわせにくくなる。またそうした思惑が、不測の事態を招くのかもしれません。企業もそうした事情に敏感に反応し、想定為替レートを105円程度にした、ということも考えられます。いずれにしろ、日米でどの水準で合意したのか? それが現状、貿易戦争において言及の少ない日本が、米国に提案したこと妥協案だとしたら、対ドルの水準は100円では済まないのかもしれません。日銀の金融政策決定会合の報も、海外の方が先だった。不自然なこの動きの向かう先、円の水準感とともに不透明感が強まったのは確かでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2018年07月20日

国会会期末

昨日もとり上げた野田総務相の秘書が、金融庁から調査をうけた企業関係者と金融庁で面会していた問題で、朝日が金融庁に情報公開請求をした内容が、野田氏に漏れていたことが発覚しました。野田氏は「情報源は定かでない」と答えていますが、複数のメディアとの懇談の場でその話を披露しており、確証がないと話せないはずです。
朝日が自民党総裁に立候補する可能性のあった野田氏をつぶせば、安倍首相を利する、との見方もありますが、朝日の意図を忖度するなら、安倍氏の対立候補を減らして集中させることが重要、という見方もできます。今のところ派閥の領袖である岸田政調会長か、石破氏が対抗馬として有力。岸田派が安倍氏に乗ると、議員票の趨勢が決まってしまいまるから、朝日としては保守本流、宏池会の流れをくむ岸田氏に頑張って欲しい。保守傍流の滅茶苦茶な清和会系の安倍氏より、よほど岸田氏の方がマシ、と考えているのかもしれません。野田氏を追求すれば、安倍政権のダメージにもなるので、ある意味で野田氏を潰して岸田氏なりを総裁選の対抗馬として立てる、が朝日の戦略なのかもしれません。

国会は明日の会期末を前に、事実上の閉会です。内閣不信任もだされましたが、これだけ毎国会で不信任を採決する政権も珍しい。しかも、その内閣不信任に対して自民党で答弁に立ったのが、共謀罪のときに滅茶苦茶な説明でトラブルメーカーとなった金田前法相。これが今国会を象徴的に示すのでしょう。論理的な反論ではなく、我田引水的な独断、いい加減な論法で逃げ切ってしまえ、という与党の戦略です。論理で対抗するのはリスクがある。整合性を問われるためで、整合性をつけられない、もしくは面倒くさい場合、論理など度外視した方が楽。これが今国会、というより安倍政権がずっととってきた、愚者の政権運営のスタンスといえます。政権自体がそういう態度なので、それを支持、もしくはそういう態度に何の疑問ももたないのは、愚者の支持者ともいえそうです。
問題は、カジノ法案も成立しましたが、やっとメディアが全国で3つだの、細かい内容について伝えだした。成立してからでは遅い、国民がその是非について議論することすら、今のメディアにとって好ましくないらしい。2025年に万博を誘致しようとしている大阪の、その万博の広告に米国のカジノ運営会社が名を連ねているのも、出来レースだったのでしょう。大阪は万博と同時に、カジノ誘致にも熱心で、維新は安倍政権への貢献度も高めてきた。安倍、米国、カジノ、維新、そこにメディアも協力することで、実際にどんな影響があるか、国民に知らせることもなく決まってしまった、といえます。

よく「野党がだらしない」という人がいますが、言葉は悪いですが、野党がだらしなかろうと、国民への影響は少ない。ただし、「与党がいい加減」だと、国民のうける被害は甚大です。西日本豪雨災害について、補正予算すら検討せずに国会を閉めてしまう。明日だって会期内なのですから、野党とて被災地への補正予算であれば、喜んで審議に応じるでしょう。どうも安倍氏は、今回の被災に関しても後ろ向きとしか思えないのです。
恐らく、来年の消費税増税をみこんで、予算をとっておきたいというのもあるでしょう。そしてもう一つは、総裁選にむけて大々的な補正を組む、というアピールにつかうには、少しタイミングが早い。8月に補正をくんで、西日本の党員票などをがっちり固める、という算段でしょう。現状、苦しんでいる人もおり、また生活基盤だったり、事業継続で不安を抱えている人のことは犠牲にして。むしろ安倍氏が総裁選で負ける、という不安を解消する、その道具にするつもりなのです。東京五輪のスケジュール、なども発表されましたが、早朝スタートが増えたのも、猛暑対策という側面の他に、米国のプライムタイムに寄せる、そんな思惑も透けて見える。チケット代も、日本選手が活躍しそうな競技は高い、というのも、逆からみれば米国などの外国勢が活躍する競技は、安くみることができる。日本国民のうける被害は甚大、こんなところにも表れてしまっているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(7)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2018年07月19日

雑感。問題山積みの国

野田総務相の秘書が、金融庁から無登録で資金決済法に違反していた会社の関係者から要請され、金融庁と調整し、話し合いに同席したことを野田氏がみとめました。「圧力には当たらない」としますが、金融庁が調査していた会社の関係者が、金融庁と面会するのは容疑者が警察の人間と議員秘書の立ち合いで面会するようなもの。圧力か、そうでないかの前に、そんなことがあっていいはずがない。議員の看板、肩書きによって面会が達成されている時点で大きな問題であり、「違反の疑いは把握していなかった」などというのは論外です。もしそれを伝えず、秘書に面会を要請していたら、それは詐欺的な組織、企業であることが間違いなく、そんな相手と付き合っている時点で、問題があるのです。
そしてこの会社には、自身の夫や芸能人であるGACKT氏も関わっている、とされるので「私は知らない。秘書が…」という説明が極めて不自然であり、「把握していない」こと自体も虚偽の可能性がある。しかも、この話題についてテレビなどがほとんど詳細を報じない点も怪しい。政治家、芸能人、両方が絡んだスキャンダルであり、ふつうなら垂涎のネタです。どこがリークしたのか? 政治的に利用できる、と考えたのなら、それは総裁選出馬を検討している野田氏への牽制として、それでも出るというなら、夫や秘書への追及と、報道も加熱させるぞ、という圧力、脅しとしても使える点が事態を複雑にします。

赤坂自民亭に参加しても災害対応は問題なかった、と言い張っていた小野寺防衛相ですが、参加中に「指示はなかった」と防衛省がみとめました。飲酒の事実についても調査中、としますが、写真からは飲酒しているように見えますし、問題は参加中以外にも、参加前にどういう指示をだしていたか? 参加後に判断を仰ぐようなことがあったか? です。外交や国防と異なり、隠すようなことでもないので、すべて詳らかにすればいい。そのとき、小野寺氏が防衛相としてふさわしい態度、行動だったのか? が問われます。
肱川の氾濫に関して、野村ダムと鹿野川ダムを管理する四国地方整備局が、豪雨の際は警報が伝わりにくい、といった「課題がみつかった」と語りました。窓や雨戸を締め切っていても、テレビの音すら聞こえない、そんなことは誰でも経験がある。もしその「課題」に気づけなかったら、それは不作為という罪です。本来、知っておくべきことを知らずに過ごす。それで被害がでたら、それを賠償する責任があります。薬害の問題でも、何度も国が敗訴してきたことであり、もし『異常洪水時防災操作』のようなことをする場合、洪水の恐れがある住民の家に、直接知らせるような仕組み、パトランプなどを点灯させるようなことをしておかなければいけなかったのです。「伝えたことと、伝わったことは違う」という前に、「伝えようという努力もしていない」ことが問題なのです。

厚労省が裁量労働制のデータを捏造していた問題で、「政治家の関与はない」「担当者の確認不足」とする検証報告がだされました。だとすれば統計法違反であり、いい加減な結果をだしました、ごめんなさい、で済む話ではありませんし、職員の処分は戒告程度で済むような話でもない。なぜなら、その統計資料により国の制度、政策が決められるのであり、それだけ影響が大きいのです。しかし大した処罰もされない、という。
安倍政権では、本当に『何が問題』で『どういう対策、対応』をすればいいのか、ということが狂っているとしか言いようがありません。なので問題が多発するし、くり返されます。そして最大の被害をうけるのが、国民です。カジノ法案が委員会で成立しましたが、これなどまさにそうでしょう。『何が問題』で『どういう対策、対応』するかは後回しで、とにかく成立させてしまう。しかもそれを今後も検証していくのが、その能力もない政権では、どうしようもありません。今日一日だけでもこれだけ問題がでてくる、三流の国に転落した、それが実感できるような幾つもの出来事でもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(13)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2018年07月18日

米大統領選に新たな疑惑

円が独歩安です。「改めて金利差に注目して…」などとも語られますが、現状、金利が動いているわけでもなく、この円安を説明しきれない為替アナリストが苦肉の策で語っているものでしょう。特に、日本時間の朝8時にすっと円安に動くなど、日系の金融機関がちょうど動きだすタイミングでもあり、手の内を明かせない事情もあるのでしょう。
サッカーの本田選手と米俳優のウィル・スミス氏が、110億円のファンドを立ち上げ、米ベンチャーに投資、という報道も一役買ったでしょう。日本で資金を調達し、米国で投資するので円売り需要が発生します。というより、今そうした動きが多い。また西日本豪雨災害により、日本経済に期待がもてないのと同時に、復興には国債増発懸念もある。今、安倍政権は矢継ぎ早に対策をうちだしているようにみえますが、実際にはほとんど歳出が含まれておらず、中身がスカスカですが、実際には多くの予算を獲得しなければいけません。そんな日本から資金が逃げだしている、当然と言えば当然の動きでもあります。

しかしドル独歩高になりつつある米国は、大変な問題が発生しています。米露首脳会談で、露国による選挙介入はなかった、と述べて訂正を迫られるトランプ氏ですが、その選挙はとんでもない茶番だった、という話です。全米でトップシェアをもつ投票機メーカーのシステムに、リモートアクセス用のソフトウェアがインストールされていた。通常、クローズで運用されるはずが、インターネットに接続していたことも確認されたことから、いくらでも数字を弄り放題だった。しかも、元々WindowsXPベースでシステムが設計されているため、脆弱性が指摘されていたものが、そのソフトウェア自身も脆弱で、ハッキングされていた場合は勝手に第三者がその数字を操作することもできた、というのです。
メーカーとしては、システムの更新にも利用していたようですが、露国や北朝鮮のように国家ぐるみでサイバー犯罪を仕掛ける国であれば、こうした脆弱性をみつけたら、利用しないはずがない。まだデータ改ざんがあったかどうか、介入があったか、それは不明ですが、これから捜査が始まることは間違いなく、もしそれで先の大統領選の不正がみつかったら、一体どうなるのか? 実は国民が選択した大統領でなかった…となったときの米国のダメージは計り知れないものがあり、今後の動きには要注目といえます。

日本では紙の投票券なので、脆弱なシステムで…ということはありませんが、今回の公選法改正で入った『特定枠』は、かなりスジが悪い。国民が投票した人物ではなく、党が勝手に指定した人物に国政を委ねるばかりでなく、ますます党総裁へと権力が集中し、特定枠に選定してもらえるよう阿り、すり寄りが強まることでしょう。安倍政権で強まるオトモダチ政治が、これによってさらに強化されるため、総裁選にも影響するはずです。
演出家の浅利慶太氏が亡くなりました。中曽根元総理の演出もつとめ、政治にショウ的要素を付加した人物としても有名です。しかし今や政治にショウマンシップすら必要ない。メディアが法律の問題点やその影響を正しく報じないため、国民がその弊害に気づくまで政治の問題とは考えないためです。演出すら必要ないほどの茶番劇、しかし観客ですらない国民はみていなくても、政治をじっとみつづける経済の分野では、じわっと円が逃げだしている。円安で株高、といっても売買高は2兆円強とまったく盛り上がっておらず、これが現状の日本を映すのでしょう。安倍政治という壮大な舞台、そのエンディングがいつになるのか? ただその終幕がどうであろうと、悲劇に見舞われるのが国民、という事態だけは変えようがないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:38|PermalinkComments(7)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2018年07月17日

雑感。国会の終盤戦

自民党の古屋衆院議運委員長が、政治資金収支報告書の虚偽記載と報じられます。政治資金パーティーの収入を記載していたノートが流出、申告額は約半分だった、とのこと。古屋氏側はノートは事務所のものとみとめる一方、帳簿ではないと否定します。この強気の姿勢には、安倍政権になってから自民党議員の不祥事はすべてもみ消してくれる、との安心感もあるのでしょう。しかしそこから腐敗は広がっていくものであり、自民党議員の不祥事が止まらないのも、こうした政権の態度もあるとみて間違いありません。
これは朝日のスクープですが、参院6増法案について衆院本会議で採決する予定が、古屋氏から説明文が提出されず、延期されました。しかし自公と維新で理事会を開き、古屋氏の職権で明日の本会議開催を決める、という後味の悪さ。朝日の戦略としては成功でしょう。最近では、与党の醜聞はほぼ朝日が一手にスクープをだすのも、朝日でないと報じてくれない、という情報提供者の焦りもあるのでしょう。

国会は山場と報じられますが、メディアがほとんど報じないため、その山は低い。そんな中、公明の山口代表が内閣不信任の提出に関して「災害対応、復旧、復興があるから、その点を十分に考慮して」と述べました。しかし根本は、安倍政権にそれを任せて大丈夫か? という点であり、今日の内閣委での安倍首相の発言を聞いても、一生懸命とりくんでいます、災害当日の飲み会も「万全の体制を築いた…」というばかりで、一向に具体的なものがない。どういう指示をだし、どういう体制を築いたから、ちょっと離れて飲み会に出席した、というのならまだしも、そういうものが一切ありません。
それに、国会ではカジノ法案や参院6増法案を優先するようでは、誰も災害対応に一所懸命に取り組んでいる、とは思わないでしょう。一番は、今日の委員会でもすくすくと立ち上がっていた安倍氏は、股関節周囲炎なのでは? もう治ったのなら、今から被災地を回ることだって可能でしょう。本会議はあっても、欠席も可能なので、被災地と一体どちらが大事なのか? それが安倍氏の態度からもうかがい知れるのです。

西郷隆盛の言葉に「人を相手にせず、天を相手にして己を尽くし、人を咎めず、我が誠の足らざるを尋ぬべし」というものがあります。これを安倍氏に当てはめると「被災者を相手にせず、党内を相手にして総裁選のために尽くし、野党を咎め、我が嘘の足らざるをメディアに補ってもらうべし」となるでしょうか。なるほど明治維新の際も、山口・長州藩は西郷のとりなしで事なきを得ましたが、最終的には西郷を裏切る側に回りました。
安倍政権が、自民党議員に手心を加えれば、その分それを恩義として、安倍氏に議員票が回る。組織を腐らせる仕組みが、こんなところにも見え隠れします。特に、古屋氏は安倍氏とも近く、ここで恩を売れば、総裁選で身を粉にして働いてくれるでしょう。組織を腐らせる仕組みがいくつもある自民党、それをこれまでは政治家の矜持と、国民の目という部分で防止してきた、といえます。それが安倍政権になってすべて外れてしまった。被災地ではゴミが腐敗臭という話もありますが、政治の腐敗臭は耐え難いほどになってきていることが、このヤマ場ではしているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(6)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2018年07月14日

トリチウムの海洋放出について

安倍首相が股関節周囲炎により、西日本豪雨災害の視察を断念しました。初動で赤坂自民亭に参加し、かつ土日は私邸に引きこもって、明らかに政府の対応が出遅れた。その遅れをとりもどそうと、現地視察に力を入れようとしたところですから、泣きっ面に蜂です。しかも総裁選に向けて健康面をアピールできたのに、むしろ映像では顔色の悪さしか目立たなかった。外遊にいくつもりだったのに、それが叶わず意気消沈、という面があったとしても、被災者を前にして神妙な面持ち…という以上の顔色の悪さです。やっぱり安倍氏も歳…そんな印象は、総裁選でも波乱要因になることでしょう。
ただもう一つの可能性は、豪雨災害の初動遅れを被災者から詰られることを倦み、被災者に会いたくないから仮病かもしれない。確かに足を引きずる場面もありましたが、股関節周囲炎だけど、日常生活に支障がない、という。日常生活に支障がない程度なら、現地視察はできるからです。それこそ視察初日のように、ヘリを多用してもよいですし、いくらでも歩かなくて済むやり方もあります。一方で、安倍氏が現地視察を億劫に思う理由は山ほどある。総裁選に自信を深めつつある今、やりたくないことを無理してやる必要もない。中途半端なこの病気の公表は、まるで仮病をつかう子供のようにも感じます。

福島原発の汚染水、トリチウムを含んだまま海洋放出、という案が政府の有識者会議で提案されました。世界的にも1ℓ辺り6万㏃であれば海洋放出できる、としますが、取り切るのが難しいのでそうなっているだけで、各国ともとれるものならすべて除去しています。それを根拠に「だからいい」というのは、結果的に原子力行政の失敗をみとめるようなものです。原発を動かせば、とりきれないトリチウムが出てくるのを分かっていて、それを続けるのですから。問題は、1ℓ辺り6万㏃でも問題ない、という根拠を示すこと。
海洋生物にどれぐらいの汚染があり、それが巡って人間の口に入るのがどれぐらいか? 英仏でもそうしている、といいますが、魚介類を多く摂取する日本とは事情が異なります。ワカメなど、日本人にしか分解できないとされ、こうした海藻類など海中で多くトリチウムに接し、取りこむこともあるでしょう。そういう地道な研究の結果、放出しても問題ない、というならいざ知らず、単に敷地がタンクでいっぱいになりそうだから、というだけで放出に舵を切る。一番、してはいけない判断といえるでしょう。

しかもこの政治判断は、10月の福島県知事選まで先送り、という。真に必要なら、政治日程など無視してすすめればいいし、きちんと説明がつくならできるでしょう。そうできないから政治日程が優先される。そんなものを認めていいはずがありません。安倍政権ではこうしたことがよく起こりますが、正論で国民を納得させるのではなく、誤魔化して国民が気づかないうちに悪事を済まそうとする。説明がつかないから、政治的に決着させるために、政治日程を優先し、都合のよい体制をつくって事を為そうとします。
トリチウムの海洋放出がはじまったら、福島の震災復興はさらに遅れがでるでしょう。宮城では牡蠣の養殖も盛んですが、風評被害もでるかもしれません。いいえ、むしろ牡蠣の安全を担保する、と政府が明言する必要があるのでしょう。それは検査体制をしっかりと構築し、これまでとコストが変わらず出荷できるよう政府が助成すべきで、他の海産物も同様の措置が必要となるはずです。現状、いくつか出されている報告も、日本の原子力行政が嘘ばかりだったことで、信用を失っている。トリチウムの知識についてすら、正しく理解できていない今、ますます原発を推進する正当性も失っている、といえます。原発を動かしたいなら、まず政治がきちんと動いて国民の理解を得なければいけないのでしょうが、仮病をつかったり、政治日程を優先している時点でそうする気もない、となるのでしょうね。

明日から二日間、お休みしたいと思います。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(12)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2018年07月13日

株式市場の大幅反発

麻生財務相が自民党各派閥で予定されていた研修会を自粛する動きに「宴会するわけでも何でもない。勉強会だ」として、麻生派は実施する方針を示しました。しかしこうした研修会は宴会とゴルフがセットのお遊びであることぐらい、誰でも知っている。メディアが報じる気になったら、袋叩きになるのが分かり切っているから中止するのです。
うがった見方ですが、西日本豪雨災害があっても安倍氏が国会日程を重視し、IR法案や参院6増法案の審議をすすめるのも、閉会後のこうした研修会の日程がつまっているから、とも揶揄される。今は審議を止めて、とりあえず国会を再延長し、被災地の対応が一区切りついた段階で改めて審議すればよいのに、そうしない。早く国会を閉じて、何かやりたいことでもあるかのようです。そしてその一つに、自身が総裁選の選挙活動をする、というのも含まれるのでしょう。研修会にしろ、毎年行っている割に政治家の質が上がっていない。そんな政治家ばかりいる国では、国の質が上がらないのは当然といえます。

今日の日経平均は大幅上昇しました。ただしこれは、22000円割れを主導した短期の売り方が3連休を前にして手仕舞ったためです。今の株式市場は、相場が下げても買い方が利益確定であったり、手じまいの売りを入れないことで、下値が限定的となってそこから急速に切り返すことが、多々起こります。これを底堅いという人もいますが、事情はやや異なる。買い方としては、仮に利益確定で株を売ったとしても、他の市場に回したところで利益をとれる見込みがありません。それなら、多少下落しても株をそのまま保有していた方がいい。そんな戦略です。しかしこれも、まだ大きな下落を促す要因が顕在化していないためにとれる手法であり、最大の問題はそうした買い方は大抵、逃げ遅れることです。
米中貿易戦争があっても実害は生じていない。企業業績が堅調なら、株高も正当化される。国債はイールドカーブのフラット化が顕著で買えない。不動産市場も各国ではふつうに働く人が暮らせない水準まで上がってしまい、今はマネーゲームで買っている層がいるだけ。こんな市場に怖くて資金を置いておけません。社債市場は低調、企業はカネ余りで資金は潤沢であり、社債を発行しない。しかも、減税で得た分を自社株買いするぐらいです。結果、株式に資金が流入する間は、まだ資金を置いておいて大丈夫。だから買い方は安心して資金を置いておきます。しかしアクティブに動かしていない投資家ほど、不意の動きには弱い。何が相場の転換点になるか、見極める力は著しく低い、といえます。

買い方が損失拡大を嫌気して売り向かうタイミング、そこで相場は大きな転換を迎えるのでしょう。それまでは売り方の打診売りと、巻き戻しの動きで当面、相場は動くことになります。それが終わるのは外国人投資家の夏休み明け、になるでしょう。そのタイミングまで、米中貿易戦争の実害もでないでしょうから。つまり、それまで買い方は安泰との見方が今は支配的です。しかし日本株の事情としては、23000円を上抜ける材料もなく、安倍政権の経済政策も期待できない中、西日本豪雨災害がさらに足を引っ張るはずです。
もし今回の西日本豪雨災害のようなことが、五輪開催中の東京を襲ったら…。恐らく大パニックとなるでしょう。後2年では到底、対策工事なども間に合わない。今は起きないことを祈るしかありません。株式市場も同じです。今は大きな調整が、起きないことを祈るしかない。どんなものでも、人智を越えた動きに人は無力であり、今はどれだけ備えをもてるか? それを試される時代といえるのでしょうね。


analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2018年07月12日

人口減少社会

急速に円安がすすみます。米中貿易戦争で米国の輸入物価が上昇し、米金利上昇で…という説明はもっともらしいですが、ピンと来ません。今回はドル独歩高ですが、昨日の段階で米金利は下落しており、動きに整合性がないからです。しかもトランプ減税と歳出拡大、そこにFRBの引き締めで米国債はダブつく、と噂される中で、米金利は上昇しやすいとはいえ、ここに来て円安の水準をブレイクしたのは、裏で思惑があったのでしょう。
リスク時の円買い…とするべきところ、西日本豪雨災害により円が買えなくなった。まずは予備費の活用ですが、これだけ広範囲に被害がでると、復旧にもどれだけの予算が必要か? 日本も安倍政権のバラマキにより、国債増発の懸念があっても人為的に日銀が金利を低く抑えるため、円売りを引き起こしやすい。しかし有事の円買いが発動しにくくなると、逆に円が一気に弱くなる可能性が高まった、ともいえる。むしろ今回は、対外投資を解消せずに日本勢が思いとどまったことで、ドル高に引きずられたといえそうです。

昨日発表された人口動態調査で日本の人口は1億2521万人と、前年比37万4千人減で9年連続減少です。出生数は94万8千人と過去最少。少子高齢化がますますすすみ、日本は危機に向かっているというのに、相変わらず報道も小さいですし、政治の動きも鈍い。このままでは間違いなく、日本は十数年後には崩壊的危機を迎えることでしょう。
一方で、外国人は249万7千人と前年比17万4千人増です。それに加え、安倍政権が新たに外国人労働者の受け入れを標榜しているので、ますます増える方向です。未だ2%とはいえ、外国人が増えたとき、改めて社会保障などを始めとした諸制度を変えないといけない。それこそ健康保険や年金などですが、もう一つ医療体制についても考慮しないといけません。日本ではあまり知られていませんが、人種の多い国なのではすでに人種差医療が一般的です。地域により遺伝的特徴が異なり、病気の罹り易さも異なる。当然、治療方法も変わってくる、という考えです。

例えば、外国で流行ったダイエット法だからといって、安易に日本人がすると危ない、というのが糖質制限ダイエットです。日本人は欧米人に比べ、インスリンの分泌量が半分から4分の1しかなく、糖を吸収しにくい。逆に、それだけ豊富に糖をとってきたため、それを減らすと膵臓に負担がかかり、糖尿病になり易くなる、とされます。体質がまったく異なるので、こうしたダイエット方法ばかりでなく、治療でも人種差を考慮しないといけない。日本はおもてなし、と言いながら、外国人の居住者が増えたり、外国人観光客が増える中でも、中々こうした人種差についての認知度が高まっていません。
安倍政権は、こうしたことよりIR法案でカジノをつくる方が先、とでも考えているようです。被災地であふれるゴミも、これから伝染病を蔓延させる恐れがあり、注意が必要です。世耕経産相が「安倍氏が来るからエアコンがついた」というツイッターに猛反論していますが、被災から4、5日後に取り付けられたから、そんな風聞が立つのです。しかも安倍氏が訪れる場所を優先したのでは? との懸念もあり、決して威張って「優先度に応じて対応」といえる状況でもありません。被災者の健康状態を気遣うのは、政府として当然の務めです。そして、それは海外から日本を訪れる旅行者でも同様といえます。

しかも、外国人を呼びこめば経済成長、と安倍政権は安易に考えている。それは人口が減少する中で、外国人労働者を招くのも同じ。しかしケアをしなければ、そんなものはすぐに逃げていくだけでしょう。被災者も同じ、健康、安全を担保して初めて国家としての機能が成り立つのです。今は円安を囃す向きも多いですが、この円安が日本経済に深刻なダメージを与え始めたとき、安倍政権にどんな対処療法があるのか? 日本が罹患している『安倍』という病の根治、まずはそこから始めないと安全の担保は難しいのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2018年07月11日

雑感。災害対応と米中貿易戦争

縄文人のDNA解析が行われ、東南アジア系に近いとされました。琉球やアイヌなど、南方系文化と近いところもあり、かつ耳垢のウェットタイプの遺伝子ももつなど、日本には早い段階で南方系の人々が移り住んでいたのでは? という仮説がこれで証明されたことになります。その後、弥生人が入ってきて混淆がすすみ、今の日本人になった。多様な人々が集まってきて、日本人という形を構成した、ということなのでしょう。

自民党の西村官房副長官が赤坂自民亭に関する投稿で「不快な思いをさせてしまい申し訳ない」としました。しかしBSの番組で「大雨特別警報はでていない」として、開き直っていた。ただ、土砂災害や大雨警報はでていたわけで、注意が必要なことに変わりなかった。またこの謝罪の仕方では、不快な思いをしなかったら問題なかった、と言わんばかりです。災害が起こる可能性のある中、その対応に当たるべき政治家、情報発信できる立場にある者がそれをしなかった、というのが問題であり、謝罪の仕方を間違えています。
今日の安倍首相の被災地視察も、メディアに一切公開されず、批判の声が上がるのを警戒していたというのなら、その警戒をどうして飲み会参加前にできなかったのか? しかも自民赤坂亭にはこれまで参加しておらず、明らかに総裁選前の票欲しさ、という自利が見え隠れする。今日の参院6増案の参院可決や、IR法案をごり押しするなど、そこには『国民のため』という姿勢がまったく見えない。安倍氏の本性が見え隠れするのです。

米国ではトランプ政権が対中貿易制裁として、2000億$の追加関税の品目を公表しました。市場が反発していたので危ないとみていましたが、市場が米中貿易戦争を楽観し、相場が上昇をつづける限り、トランプ氏は自信をもって貿易戦争にまい進します。しかし例えば大豆市場など、制裁関税を報じられてから大きく下落し、かつ人民元安により、中国はほとんど打撃をうけず、負担はすべて米国の大豆農家がかぶる構図です。米国の大豆相場を中国が操作したのでは? とも噂され、人民元安によって中国国民に影響がでないよう操作している、ともされており、こういうところに中国のしたたかさを感じます。
中国は事実上、中国共産党の一党支配ですが、国民の離反により政権が転覆してきた歴史もある。しかも完全に自由主義経済に移行したわけでもなく、市場もコントロールしようとする。むしろ中国のような国体は、そのコントロールが不能になったときが一番怖い。一方で、米国のように選挙が重要視される国では、何が何でも国民の支持が得られるような政策をうちだし易い。今回の貿易戦争は、自由主義型の経済をとってきた米国が、社会主義型の政策をとることで、市場主義を導入しようとした中国と対抗している。そんな構図です。なので、まったく出口が見えないのであり、影響の大きさも計り知れません。

日本の場合、社会主義的体質を色濃く残しながら市場原理主義を標榜するため、対応もとれません。しかも政治体制は、選挙対策よりもメディア対策を重視していればいい、という問題があり、国民生活を重視してはいません。なぜなら、日本では国民運動によって政権が転覆した事例はなく、あくまで天皇を頂点とした貴族国家→武士国家→特権化されが議員国家としてつづいてきたのであり、政体が弱体化しないよう、国民の不満を溜めないようにしてきただけです。不満を溜めない、それが生活の向上ではなく、メディアをコントロールして政治から目を逸らさせる、ということが重視されてきた歴史があります。
縄文人は狩猟、漁労、採集という古代人の姿ばかりか、栗の木を集落の近くに植えるなどの農業の考えをもち、定住を可能としました。そこに様々な人々が集まり、日本となった。元々、多様性をもつのが日本なのです。安倍政権による米国に追従して受け売りの価値観を押し付ける姿勢、自利に基づく行動など、実は全く日本的でない、とさえいえるのでしょう。日本をとりもどす、というのは、結果的に『日本』とはまったくちがう形をめざしている、とさえ言えます。縄文人はほとんど争いもなく、数千年を同じ場所で定住した、とされます。そこに学ぶところから始めるべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(9)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2018年07月10日

雑感。英政局と米中貿易戦争

今日も広島で榎川が氾濫しました。どこかで止まっていた水が、堰を切って流れ出したとみられ、未だに被害の大きさを感じさせます。今日、八ッ場ダム建設予定地で、浅間山の噴火時、発生した泥流で死亡したとみられる遺体が発見されました。溜まった水は、時として脅威となる。それはダムも同じです。特に活火山である浅間山が噴火したら、泥流の流れ込む恐れのある八ッ場ダムは、できた瞬間から関東屈指の危険なダムとなることでしょう。安倍首相は、11日に岡山入りといいますが、欧州・中東歴訪をとりやめたことでやっと確保した日程なのですから、被災地を歴訪するぐらいのことが必要なのでしょう。

英国ではデービスEU離脱担当相につづき、ジョンソン外相も辞任し、メイ首相によるEU離脱柔軟路線への反対が広がります。メイ氏は経済界などからの要請をうけ、激変緩和措置をとりたいところですが、EU離脱を訴えてきた政治家にとり、柔軟路線を容認することもできない。結果、政局が混乱すれば有無をいわさずハードブレグジットになります。経済界も、そういうことは起きないだろう、と高をくくっていますが、先の英国選挙とてまさか、と思うことが起きたのであり、ハードブレグジットの可能性はまだ残ります。
それより混迷しているのが米中貿易摩擦です。先週末、米国は340億$規模の制裁をかけ、残りの160億$も早期に発効、とします。中国も即座に対抗措置をうちました。さらに米国は5000億$規模まで制裁対象を増やす、としており、そうなると対中貿易の大半に制裁関税をかける、ということ。片や中国は1000億$程度しか、米国から輸入しておらず、勝敗は明らかだ、という声も耳にします。ただ、中国には対米投資への制裁をかける手があります。正確な規模は分からないものの、米国不動産、株、債券など、中国から米国には大量の資金が流れている、とされます。そこに規制をかけると、5000億$の制裁関税にも対抗でき、むしろそれ以上の効果を発揮するでしょう。ただしそれをすれば、米国のあらゆる市場が大混乱し、世界大恐慌を引き起こす。そこまで米中貿易戦争が拡大するなら、これは世界中が敗者となるような結果となるでしょう。問題はそこまでいくか、どうかです。

もう『まさか』は通用しない時代。何かが起きても、それによるダメージを最小にできなければいけない時代です。だからこそ、豪雨の最中に災害対策の当事者が宴会をしていたり、被害が続々と判明する中、対策室から離れて自宅に帰ってしまう、などということがあると、本当にこの国を守れるのか? という疑問もわく。米中貿易戦争でも、日本は大きな被害をうけるし、ブレグジットの影響だって日本がうけるのです。しかし安倍政権はそれについて、具体的にアクションすることも、仲裁に動く気配もまったくありません。
中国では人民元安、株安。英国もポンドが下落。米国では国債の多くが額面割れで、弱気相場入りも示唆される。世界は今、まさかではなく、現実に危険な兆候がいくつもあります。それでも何も起こらない、として傍観していれば、いざそのまさかが起きたとき、それは人災ということになるでしょう。世界における『まさか』、すでに米中貿易戦争の始まりなど、着々と現実になっていることをみてもそうでしょう。英国のことわざで『儲かる戦争より痩せた平和』というものがあります。世界が儲かると思って互いにしのぎを削りだしたら、まさかの坂を転がり落ちることもありうる、といえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(6)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2018年07月09日

安倍政権の危機管理

西日本豪雨災害で、今回も治水目的のダムが逆の効果をもたらしたことが伝えられます。ダムは閾値を越えるまでは治水できますが、それを越えた途端に凶器となる。局地的豪雨が長引く現状では、ダムを治水目的で建設するのは不適当です。安倍政権の対応の遅さ、まるで無関心でもあるかのような振る舞いも問題ですが、ダム行政についての見直しの議論もしないようでは、この国の安全をまったく考慮していないとなるのでしょう。

内閣府が6月景気ウォッチャー調査を発表し、現状判断DIは前月比1.0pt上昇とします。しかし今年に入ってから景気判断の分かれ目となる50はずっと下回ったまま、特にサッカーW杯の影響はテレビなどが高く推移したものの、飲食業では早めに帰宅する、として傾向が分かれた。深夜の放送なので、早めに帰って一旦眠ってから…という人も多かったのでしょう。景気全体を押し上げるだけの効果は、残念ながらなかったようです。
先行き判断DIは0.8pt上昇、こちらは50を上回るケースも目立ちますが、現状になると50以下に落ちるので、期待が現実に即していない傾向もみられます。さらに、この西日本豪雨災害は確実に景気を下押しします。物流網の寸断から、工場の操業停止なども相次ぎますが、最大は個人のマインドが落ちること。これだけ広域だと、影響が出ないはずがありません。内閣府は「しっかり注視」としますが、早期に手をうつ必要もありそうです。

安倍首相が11日から予定していた欧州・中東歴訪を断念し、欧州とのEPA署名は17日にユンケル委員長が来日してもらう日程に変更しました。この歴訪、計画時点で物見遊山だ、国会が長引く中、余裕がありすぎる日程には疑問もありました。しかもそのスカスカ日程を埋めるために予定したイラン訪問も、トランプ政権のイラン制裁をうけて断念せざるを得なくなるなど、ケチのついたもの。最終的には、自民の稚拙な対応により断念、という結果です。しかも野党が歴訪中に内閣不信任案、の動きを警戒したこともあるでしょう。
いくつか世論調査もでていますが、内閣支持率は微増という結果がめだちます。まさにサッカーW杯効果、政権の不祥事が報じられなかったことで、元々政権を支持するバイアスのかかった層がもどった、というのが真相でしょう。この世論調査を採る層、かなり強い政権を支持する意識が強く、それこそネガティブ材料がない限りそうする、という特徴があります。安倍政権が人命軽視をしても、それは変わらない、ということなのでしょう。

しかし麻原氏の遺体引き受けを四女へ、と語ったとされます。しかし公判でも不規則発言を繰り返していた麻原氏が、正常な判断ができたかどうか? 妻や娘たちの指摘は、概ねその通りなのでしょう。しかし法務省はそれをみとめない。なぜなら、精神疾患があった状態で刑を執行した、とは本来の刑罰の意味を失うからです。そして公安も、遺体を宗教的に利用される恐れがあり、宗教とは決別した四女に渡したい。法務省の思惑は完全に一致しており、刑務所内のできごとを捏造するなど造作もない、というところでしょう。
そして法務省のそうした行為は、安倍政権の手法ととてもよく似ています。国のため、として平気で嘘をつく。実はそれが、保身であったり、自利のためであったりしても、です。景気がいい、と言い続ける安倍政権。国を守る、と言い続ける安倍政権。いずれもそれが嘘になりつつある、というのが現状なのでしょう。『雨湿炎感(うしつえんかい)』という言葉は新井白石の『兵器考』という中に登場しますが、弓矢を入れる筒は雨や湿気、炎天下にも耐えられるよう作られている、という意味です。日本をそういう国にしてこそ、初めて国を守ることになるのです。それが安倍政権では『嘘つき、宴会』となる。国を守るとは到底言えない状況なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(6)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2018年07月08日

自民から上がる国会改革の声

オウム真理教の教祖、麻原氏が死刑になった前日、安倍首相が議員懇として自民党議員らと宴会していたことが、問題視されます。ただ安倍氏は報告をうけていたでしょうが、この案件を仕切っていたのは菅官房長官辺りで、安倍氏は重視すらしていなかったのでしょう。もし安倍政権がこの件で、何らかのアクションを考えていたなら、安倍氏がすぐにコメントを残すはずで、死刑という特殊な事象ではあっても、安倍氏が何もふれないのは不自然です。逆からみれば、人の死に対して鈍感とも思える行動の多い安倍氏ですが、それが如実に表れたのが、西日本豪雨災害における対応です。
7日の午前、10時からの関係閣僚会議を開いて午前まで官邸にいたものの、午後には自宅にもどった。休むな、とは言いませんが、少なくとも公邸に待機するぐらいはしてもよかったのでしょう。自然災害はそれこそ何が起きるか分からず、自衛隊派遣も相次ぐ中、そのトップたる安倍氏が自宅で休む。今のご時世、携帯ですぐに連絡をとれるとしても、公邸であれば危機管理上も様々な事象に即応できるはずです。北朝鮮がミサイルを撃つ前だけ、これ見よがしに公邸に泊まっていた安倍氏が、この豪雨災害は自宅でOKと考えたのだとしたら、その判断の差については説明する必要もあるのでしょう。北朝鮮のミサイルは、少なくとも被害は出ていないわけで、今回は甚大な被害があるのですから。

そんな認識を問われるのが、河野外相です。「予算委で7時間すわり、答弁時間は7分弱」と文句をいい、米国で行われた条約審議の出席に間に合わず、定期便ではなくチャーター便をつかった、とします。しかし重要な国際会議であれば、欠席届さえだせば議運で調整してみとめられたでしょう。外相が出席するレベルの会議だったか? 事務方で済ませられる話だったからこそ、閣僚が全員出席する予算委にいたのであり、答弁時間の長短は関係ありません。むしろ河野氏がそれを口実に、海外出張の日程を入れたことが、この問題の発端ではないか? とすら思えます。しかもこの問題で国会改革が必要だ、としますが、本心は「外相にもチャーター機を」である点も、不信感がある点といえます。
最近、小泉進次郎氏も「首相の国会出席が長すぎる」として、国会改革を訴えます。いわば、今の自民は『国会改革ブーム』。しかもそれは、自民にとって有利になるよう改変したい。小泉氏など、将来自分が首相になったとき、を考えて今行動しているのであり、そこには楽をしたい、との思惑しか透けて見えないのです。元々、日本は議院内閣制であり、内閣は議会の信任により成立します。国会に出席する、とはその信任を得るための作業であり、それが形骸化しているのは多数党が内閣を構成するため、です。

しかも内閣の構成員は多くが議員であり、専門性はほとんど有していない。なので、官僚が代理として答弁する機会があるのであり、もし閣僚の出席がほとんどいらない、というのなら、そもそも内閣自体の必要性が問われるでしょう。やりたい政策は官僚に丸投げし、答弁にすら出てこないのでは、何のために閣僚がいるのか? それに安倍政権では責任をとらない体質となっており、ますます閣僚の存在が希薄化しているのです。
閣僚の不祥事を追及する、専門の委員会をつくる、という案もありますが、そんなことになれば安倍政権など、そちらの委員会にでずっぱりでしょうし、その委員会の運営、議長を与党がにぎればそれこそ形骸化しますし、野党がにぎれば議長特権で毎日でも開催を要求するでしょう。大事なことは、内閣と国会に正しい緊張が生まれること。今のように与党が内閣と向き合わないようでは、どんな改革をしても意味がありません。むしろ緊張を失っているからこそ、自民から国会を変えた方がいいよね、という声が上がるのなら、その前に自分たちが何とかする方が先、と言えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:46|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2018年07月07日

日米の雇用と労働

西日本の豪雨災害は未曽有の広域にまたがっています。線状降雨帯が長崎から関西圏までを広く覆いつづける、という異常事態であり、毎年繰り返されることからも、こうした線状降雨帯のような災害は起こり得ること、として考えた方がよいのかもしれません。ただ今回も「大丈夫だろう」と家にとどまった人が逃げ遅れるなど、防災の考え方は今一度考え直す必要もありそうです。そして、奇しくも千葉県沖で大きな地震もありましたが、日本でもっとも懸念されるのは、豪雨と地震のような複合災害です。
長雨によってゆるんだ地盤が、大きな地震で揺さぶられたとき、軟弱な土地は液状化によって大きな被害もでるでしょう。今回、関東は雨も少なく、地震と大雨とが関連した影響はありませんでしたが、地震と津波、ばかりでなく地震と大雨、という新たな組み合わせへの対応も、災害への備えとして考えに入れておくべきなのでしょう。

米6月雇用統計は非農業者部門で21.3万人増、失業率は0.2pt増の4.0%となりましたが、堅調さを示したといえ、時間当たり賃金の伸びが抑えられ、賃金インフレがすすんでいない状況でもあり、適温経済はまだつづきそうです。ただし、米中貿易戦争の影響はまだ読み解けず、ISM製造業指数などでは先行して在庫を積み上げる傾向もありましたが、そうなると先々の雇用は抑えられるかもしれない。まだ様子見という感じです。
日本では5月毎月勤労統計が発表され、現金給与総額が前年同月比2.1%増の27.5万円、実質でも1.3%増でした。これを好感する報道もありますが、総実労働時間が0.8%増なので、単純比較はできませんが、単位労働辺りの単価が大きく増えたわけではありません。それに入職率が下がっており、労働者が減ったのでその分を賃金に回した、というのなら国民総所得は増えていないかもしれない。さらに、夏のボーナスについて減る、と答えた人が50%に迫るなどの異なった結果の調査もある。一時金より月の給与に振り分けた、ということなら、これは安倍政権の要請に従い、賃金上昇を見せかけただけかもしれません。

それを裏付けるのが5月家計調査で、変動調整済みの実収入が前年同月比0.5%増しかない。またこの調査で実質の消費支出が前年同月比1.4%減と、3ヶ月連続の減少であり、かつ加速している。それは一時金が減ると考えるのですから、大型のローンを組んだ人などは今から身構えるでしょう。個人のマインドは最早ガタガタ、とさえいえる結果です。
年金積立金管理運用独立法人(GPIF)が17年度末の運用状況を公表し、株式が基本ポートフォリオとする25%を越えてきました。安倍政権は日銀、GPIF、ゆうちょなど次々と株式の用を増やし、市場に資金を流入させてきた。上昇を促してきたのですが、そこに限界も見えた。悪いことは重なるもので、今の市場は貿易戦争の影響は軽微、もしくはほとんどない、というスタンスです。なので、実害が報じられると大きな下げを促します。悪化分を織りこまなければならず、これが株価の上値を重くしています。そこに、GPIFなどクジラと呼ばれてきた、相場を吹き上げる主体が続々とその役目から下りてしまう。むしろ今年入ってから、株式市場が元気のない原因が、GPIFの手控えだったとも言えそうです。

それに最近の大型の自然災害は、物流網を一気に壊してしまう影響がある。今回の西日本豪雨災害とて、企業は特損計上が相次ぐことでしょう。クジラの中には、海中で垂直に立ったまま眠るものがいます。株式市場が大きな調整を迫られたとき、日銀もGPIFも一定程度の下支えはできますが、すでに潮を吹く元気もなく、大きな流れに逆らうことさえできないでしょう。むしろトランプという白鯨の登場によって、世界は不確実性をつよめており、それは雇用環境すら怪しくしかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2018年07月06日

米中貿易戦争がはじまる

オウム真理教事件で死刑判決をうけた7人の刑が執行されました。ナゼこのタイミングか? 法務省は政治的なスケジュールは関係ない、としますが、間違いなく政治日程をにらんだものです。一つはIR法案や参院6増案から目を逸らせたい。もう一つは、先の文科省受託収賄罪とのニコイチだった可能性。文科省の不祥事を論い、2日間はそれを報じさせ、それで幕引きをはかる。こうすれば林文科相に汚点となるだけで、同じ補助金を加計学園系列の大学がうけていた件へ波及するのを防げる。昨日、サッカーW杯の日本代表が帰国するタイミングを外したのも、まさにメディアジャックを狙ったものであり、これで週末の報道番組の特集は、文科省不正からオウム真理教事件へと差し替えられるはずです。
そしてもう一つ、安倍政権としては報道を小さくしてもらいたい問題、それが米中貿易摩擦です。米国は340億$分の制裁関税を発動し、また追加分も2週間以内に、とします。中国も対抗措置を打つ、としていることから、いよいよ実体経済への波及が警戒されます。そしてこれは単なる経済戦争というばかりでない。ポンペオ国務相が訪朝していますが、ここで協議されるのは非核化のみ。拉致問題は俎上にものぼらない、とみられます。米中が貿易摩擦を抱える中、北朝鮮にモノが言えるのは過去も未来も中国だけ。つまり米国にお願いしても、拉致問題は前にすすまず、中国に頼らざるを得ない日本としては、米国べったりのまま中国にお願いをしても、受け入れてくれないことが必定なのです。それを隠しておきたい、まさにポンペオ訪朝、米中摩擦は隠しておきたい項目ともいえます。

ではその米中貿易摩擦、中国製造2025を狙い撃ち、とされます。これは中国の製造業に対する中期計画ですが、ここからみても分かる通り、これは知財保護への中国への取り組みを促すものではなく、米国覇権主義の一環です。経済面で成長著しい中国の頭をおさえ、米国が世界一の経済大国の地位を守るためのもの。もし世界一、の地位を下りることになれば、ドル基軸通貨体制が崩れ、人民元ペッグ制度などがアジアを中心に広がるでしょう。もしそんなことになったら、米国はオールドエコノミーの国として凋落します。
中国ではアリババが始めた信用スコア、設置のすすむ監視カメラ、キャッシュレス化など、新しいシステムをどんどん取り入れており、中国発のネットサービスなどが出てくるのもそう遠くない。そうなれば中国に基準、基本ルールをにぎられる可能性が高く、米国の収益構造が崩される。シリコンバレーが世界を主導することも困難になるのです。

トランプ氏がそこまで考えて行動しているわけではないでしょう。ただ、米国にとっての譲れない戦いがあり、そう考える人物らがトランプ氏に協力し、この動きを主導している。欧州との自動車関税をゼロに、などという話もでてきましたが、日欧のように米覇権主義を認めた国々とは、一定の協力を得ておく必要も感じ始めたのでしょう。ただし、トランプ氏の本意とは別、トランプ氏は傀儡にすぎず、うまく踊っている間は貿易戦争の仕掛け人として前面に立つでしょうが、ある日唐突に不要となる可能性も残されます。
今回のオウム真理教事件の死刑執行を、米中貿易摩擦と重ねるのはムリがあるかもしれない。しかし臨時国会まで先送りするのは、せっかく総裁選を勝った後でもあり、安倍氏としては面白くない。ここまでの国会はサッカーW杯で帳消しにでき、実行できるタイミングが限られてきた中でのここだったのでしょう。しかしその結果、7人同時執行という形となり、教祖と殉教できた…というある意味、オウム真理教の後継団体にとって都合よく解釈されかねない結果となったのでしょう。オウム真理教は殺人をポアとよび、正当化することで信者にそれを実行させました。ただし今の日本は、貿易戦争でも負ける政治のプア、が深刻であって、正当化もできない事態ともいえるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:52|PermalinkComments(16)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2018年07月05日

雑感。昨年度の税収と幸福

昨年度の国の税収総額は58兆7875億円で、前年比6.0%増で、1991年度に次ぐ過去3番目の高さとされます。法人税が16.1%増の約12兆円、所得税は7.2%増の約19兆円、消費税は1.7%増の17.5兆円。安倍首相は安倍ノミクスが成功し、税収が回復…地方にも波及、としますが、ここから透けてみえる状況は少し異なります。まず法人税ですが、東日本大震災から約7年たち、当時うけた損失、赤字を繰り延べてきたものが、7年で繰り延べできなくなってきた。
さらに日銀短観でも示されたように、土地投資が減っている。設備投資は増えていても、大型の案件が減ったことで、節税効果が薄くなっている状況です。海外の大型投資案件がちらほら出ているのも、実は国内で投資する機会がなく、企業が手をこまねいているからこそ、海外に資金が向かうのであって、投資して成長をめざすより、税で払っておく方がマシ、というのが現状です。

所得税も、株式の配当課税の増加が寄与している面が大きく、決して賃金が上昇した結果ではない。消費税はインフレになると、その分上乗せされます。今の消費者物価は0.8%程度ですが、これはコアコアであり、生鮮食品やエネルギー価格は含まれない。昨年、大きく上昇したのは生鮮食品やエネルギー価格であり、ここが消費税収を押し上げたのです。つまり国民にとって、あまり有難くない結果として税収が増えた。安倍ノミクスの効果としては、日銀が買い支える株高が寄与したぐらい、といえるでしょう。
経済財政諮問会議でも提出された、経済財政運営と改革の基本方針2018でも、基礎的財政収支は2012年度の5.5%の赤字、から18年度は2.9%の赤字に改善、とします。しかし東日本大震災の影響が直撃した2012年度と比べること自体が誤りですし、実際に安倍政権は黒字化目標を先送りしている。安倍ノミクスで来年度に黒字化、といっていたにも関わらず、です。さらに消費税増税がこの間にあったので、改善するのは当然であり、さらに問題は、今後は昨年度の税収をはるかに高く上回っていかなければいけない点にあります。

法人税は今後も減税の話がでてくるでしょうし、GDP以上の高い伸びが今後もつづくと思えない。物流費の上昇などもあり、コスト削減は利きにくい。所得税は、今後も株式配当が増える可能性もありますが、株式市場自体が上がりにくくなっており、ストックオプション型の報酬も忌避される方向となり、ますます企業に増配を促す材料がなくなります。株式市場が下がれば減配となるでしょうし、増加するとはとても考えにくい。
消費税は、来年どうするのか? この状況では消費減退を起こすことが間違いなく、見込み通りの税収確保すら危ういでしょう。そして今月末、物価状況を点検するとした日銀の動向も気がかりです。なぜなら、ネット通販の拡大を問題視しますが、先進国では日本だけそれが重し、などということもできず、昨年度の消費税が増えている点をみても、消費は底堅いと言えなくもなく、ネット通販を悪者にはできません。もし日銀が頓珍漢なリポートをだしてくると、それこそ消費税再増税すら怪しくなるでしょう。

経済財政運営と改革の基本方針2018は、それこそ安倍ノミクス礼賛と頓珍漢な認識のオンパレードです。安倍政権は来年度の成長率を1.5%上昇としますが、民間予測ですら0.8%上昇で、それでも高すぎると言われるぐらいです。ゲーテは「喜んで行い、そして行ったことを喜べる人は幸福である」とします。安倍政権はある意味、幸福なのでしょう。ただしそれは国民にとってではない。自分の行為を自画自賛し、未来をひたすら希望あるかのように装い、反省することがない。これを『愚者の幸福』というのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(6)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2018年07月04日

文科省の受託収賄事件

文科相の佐野科学技術・学術政策局長が、私立大学支援事業の選定で便宜をはかる見返りに子供の受験点数を加点させた、として受託収賄容疑で逮捕されました。東京医科大も事実をみとめており、疑いようもありません。問題は官房長時代の17年5月に要請をうけ、東京医科大は支援事業として選定され、それを今年の受験で見返りを果たしている。東京医科大としては安いもので、無能な生徒を一人あずかるだけで、数千万円が手に入る。官僚も国のお金を横流しするだけで、不肖の息子を医科大に入れることができる。両者にとってほとんど損のない取引である点です。そしてこれは、安倍政権が根本で抱える問題、身内への見返りを手厚くする、という構図でもあり、より問題の根は深いといえます。
それはモリカケ問題などを裏で見ていれば、自分も…と考える輩もでてくるでしょう。しかもモリカケ問題でリークが相次いだ文科省への、官邸の意趣返しとの見方もできる。前川前文科事務次官は未だに政権批判をくり返しており、その前川氏の出会い系バーを内偵し、リークした組織が、今回の収賄についても情報をにぎっていたでしょう。教育行政を牛耳りたい安倍政権にとって、文科省の不祥事はまさに願ったり叶ったりです。

しかし本来、官房長時代におこした事件なら、安倍政権が責任をとらなければいけません。そうならないから、安心して官僚リークを流せ、これも一つの政治主導となるのでしょう。ただし林文科相に限ってみれば、ある意味で微妙です。現職官僚の逮捕であり、詰め腹を切らされる恐れがある。なぜなら、彼は岸田派であり、岸田氏が総裁選にでるとなれば林氏は敵、官僚を辞任させてダメージを与えることが、安倍政権にとって都合よいからです。逆に林氏を閣僚にとどめる見返りに、岸田氏に出馬を思いとどまらせ、尚且つその恩をもって安倍氏の支持に変えさせる。そのための摘発ともみられるのです。
しかも林氏、岸田氏が出馬しないなら自分が…として、総裁選への出馬にも常に色気をもつ。つまり岸田氏を懐柔し、岸田派をとりこんだとしても林氏が出馬し、岸田派の一部が流れることを警戒した可能性もある。つまり文科省の不祥事により、岸田派を完全に掌握できる。そのために安倍政権の都合よいタイミングでリークした、ともみられるのです。

もしこれが政権へのダメージになるなら、サッカーW杯にぶつけたはずです。しかしわざと外した。延長国会の最中であることも、ある程度は織り込んでいるでしょう。林氏を追及する場面をくり返し報じさせれば、林氏へのダメージになるためです。すでに延長国会で重要法案はIR法案のみ。逆に、IR法案隠しをする上でも、この問題で林氏を晒し者にすることで報道を分散できる。まさに安倍氏にとって都合よい、といえそうです。
しかも、安倍政権は不正をゆるさない、というアピールになり、さらに官僚統制に利用できる。安倍政権の内偵は、不正を働いた官僚にとって、恐怖でもあるでしょう。官邸に逆らったら、いつ自分も…という恐怖です。本来、安倍政権が官僚の人事権をにぎり、その官僚を任用したのですから、責任は安倍政権がとるべきです。しかし人事権の掌握自体が初めてのことであり、そうした文化がない。それをいいことに、官僚を統制する手段として不正も利用している。誰が一番の巨悪か? それは言うまでもないでしょう。モリカケ問題の不正追及は遅々としてすすまず、今回の件は密室で行われたようなものなのに、まるで計ったように全員が罪をみとめ、詳細が明らかになる。今回の事件、受託収賄罪ではなく、(安倍政権の要請を)受諾(して)収賄罪として摘発した、としてもよいのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:56|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2018年07月03日

エネルギー基本計画について

サッカーW杯で日本代表がベルギーに敗れました。安倍首相は「感動をありがとう。2週間いい夢をみさせてもらいました」と語りました。それはここ2週間、国会で滅茶苦茶なことをしても、大きく報じられない。日本が活躍すると、勝手に政権支持率が上がるのですから、それはいい夢をみたでしょう。しかし「寝不足です」とも語っていますが、LIVEで見ていたとしたら、危機管理はなっていません。大きな震災があったら、首相は不眠不休で対応しなければいけないからです。ただ内容について深くないことから、俄かでほとんどサッカーを知らないか、本当に『夢で』みていたレベルなのでしょう。

そんな危機管理のレベルでも疑問符がつくのは、6月29日まで日本海にイージス艦を展開する常時警戒態勢をとっていた点です。米朝首脳会談から2週間以上もつづいていた。米国はすでに米韓合同軍事演習まで中止したのに、です。しかも、常時警戒態勢をとっていた間も、安倍氏はちょくちょく官邸を離れていた。菅官房長官や麻生副総理がいれば手続き上は問題ない、とは言えますが、その上さらにサッカーW杯をのんきに見ていたのか? 現場の自衛隊員は常時警戒という緊張状態を強いられていたにも関わらず…。
今日閣議決定された『第5次エネルギー基本計画』でも、原発を「重要ベースロード電源」とし、電源構成比率を原発20〜22%、再エネ22〜24%、石炭火力26%としました。この目標を達成するには原発30基分が必要ですが、老朽化した原発は続々と廃炉方向ですし、新増設がなければ不可能ですが、そんな計画がすすむはずもありません。つまりこの計画は、できてもいなければやる気もない計画を並べているに過ぎない。しかも、安倍政権になって策定された前回とまったく同じですから、反省も何もない、となるのです。

さらに核燃料サイクルは『推進』ですが、青森県六ケ所村につくった再処理工場は、一度も稼働しないまま、老朽化により各設備にガタが来ている状態。3兆円もかけた工場は、改めて設備を入れ替えないと使えない状況です。しかもそこで再処理されて製造されたウラン燃料をつかう場もなければ、でてきた高レベル廃棄物を捨てる場所もない。『推進』するというなら、そうした問題にも答えをだしていかなければいけません。
47tまで膨らんだプルトニウムの保有も『削減に取り組む』とはしますが、その方法すらないのが現状です。米国に怒られたから文言として入れました、という程度で、中身がありません。エネルギーという基本的なことなのに、将来の展望もなければ、非常に場当たり的な計画しか立てていない。これでは危機管理のレベルとして赤点です。

いい加減、夢みたいな計画を立てるのではなく、きちんと現実に即した計画を立てなければいけないのでしょう。原油が上がってくると、火力の燃料の価格も上がってしまう。結果として家計から体力を奪い、経済面ではマイナスです。一方で、原発は高コストでリスクも高い、として世界的に敬遠される中、日本だけが推進するのは奇妙な話です。
再生エネと蓄電の仕組みづくりだったり、地熱や波力など安定して供給できるものとのベストミックスを考えていかないと、日本の成長をいつまでも抑えつづけることになります。夢から醒めたとき、日本がおかれている現状に気づいたとき、世界から随分と遅れてました、では政治として失格なのです。日本が本選に出場できることとなったフェアプレーポイント、安倍政権ではレッドカードだらけで、予選にすら出られない状況でもあり、早く現実に即した政策をとらないと、危機が現実化しかねなくなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(10)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2018年07月02日

日銀短観と株式市場

日銀が6月短観を発表し、大企業製造業の現状判断DIが21と3pt減、先行き判断DIが21と±0、非製造業が24と1pt増、21と3pt減、中小企業製造業が14と1pt減、12と2pt減、非製造業が8と2pt減、5と3pt減でした。辛うじて大企業製造業の現状判断DIがプラスですが、他はすべて減少。しかも中身はこの数字以上に悪く、日本の景気に暗雲です。
貿易戦争や人材不足、などと報じるところもありますが、問題は仕入れ価格判断が現状28、先行き22と非常に高く、販売価格は現状4、先行き4と価格転嫁しにくい構図がつづく。これは今年度の売上高計画が、小幅にプラス修正されているにも関わらず、経常利益はマイナスに修正してきたことでも分かります。売るためには価格転嫁せず、企業が吸収する、というスタンスが鮮明です。一部で、企業の想定為替レートが円高にふれてこの結果だから、と好材料にうけとる向きもありますが、先に日銀から企業の為替感応度は低下、とするレポートもあり、市場が喜ぶほどの好材料でもなければ、日銀がいうほど影響がない、というわけでもない。この日銀短観から、唯一のよい点は設備投資の計画が大幅に増額されている点です。ただし、土地投資が大企業製造業では低下するように、新たに工場をつくって…という形でなく、あくまで省人化、省力化投資がますます加速することを示すのでしょう。

今日の株式市場は大幅下落です。ただ、売買が盛り上がらなかったように、今やアノマリーとなった月初高を意識して買い進めていた層が、後場の急変に慌てて投げ売りを入れた、というだけの動きです。そこに22000円キープで下落局面をのりきれば、次の上昇波動で一段高という思惑もからんでいたものが、一気に戦略の見直しを迫られました。
キッカケはメキシコ大統領選で左派系のロペスオブラドール氏が勝利したこと。メキシコのトランプ、といわれるほど過激な発言をくり返す人物で、NAFTA再交渉にも影響するのは必定です。メキシコに進出する日本企業も多く、当然その影響をうけますが、これと連動して米国による対中制裁期限を迎える今週、という警戒も加わった。貿易戦争はトランプ氏が見直さない限りいつまでも続く問題であり、トランプ政権がつづく限り、反トランプ、反米勢力が海外で育ってしまう、というジレンマが最大の問題でもあります。

7月2日は1年のちょうど中間、折り返し点です。今年前半の株式市場は、トランプ減税でぎりぎり支えられた相場、といえます。トランプ氏は追加の減税も用意、としますが、関税障壁によりその効果が相殺され、それ以上の下押し効果があるのは必定。中央銀行の引き締め効果と合わせ、年後半の景気にはまったく期待できないのが現状です。
しかも日本は中央銀行に緩和の余地なく、政府に策がない。景気に期待できるどころか、政府は景気がいい、と言い続けているのですから、景気対策を打つ動機もない。来年の消費税増税前の大盤振る舞いの予算を確保したいがため、今年に限っては予算を抑えたい。年明けからでないと何も出てこないと予想できる。相場もそれを織りこまざるを得ないのでしょう。新たな材料がない限り、上には抜けにくい状況が想定されます。

気になるのは、中国が対米貿易戦争の反撃として何を行うか? 米国債の売却は、双方への打撃が大きすぎるので現実的ではありませんが、個人による対米投資に規制をかけるのではないか? とみています。国内向けにもアピールでき、富裕層叩きの側面もあって、腐敗防止の習近平政策ともマッチする。そしてそのとき、米国の資産価値にどれだけのインパクトがあるか? その辺りがカギにもなってきそうです。
世界中で拡大する個人債務、中国で懸念される地方債、一つでも弾ければ、世界経済を奈落の底に突き落としかねない問題を抱えながら、世界経済はずっとふらふらと飛行をつづけてきたのが現状です。今年はじけるかどうかは、まだ分かりませんが、日本には打つ手すらないのが現状であり、警戒だけは失ってはいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 |