2018年08月

2018年08月31日

労働力調査と鉱工業生産指数

来年度の一般会計予算の概算要求が102兆円台後半となりそうです。政策経費の4割は厚労省から、として削減対象としますが、社会保障を削ってきたからこそ、日本の個人消費は減退するのです。今は高齢者層が増え、その高齢者にお金が回らないので、消費にボリュームが出なくて当然です。しかも今の年金は、お金のある人に多く支給される仕組みであり、そこを削ると生活困窮者が増えてしまいます。年金システムをバランスのとれたものに変え、総量を削るようにしない限り、削減がそのまま景気低迷につながるのです。

7月労働力調査では、完全失業率が2.5%と前月比0.1pt上昇、就業率が60.0%と前年同月比0.9pt上昇、と結果だけみれば良好です。しかしここ最近、拡大しているのはこれまで人手不足が顕著だった医療・福祉、飲食・宿泊などの分野であり、さほど待遇改善がみられない中、就業率が上昇したのは外国人労働者の受け入れが寄与しているのかもしれません。就業者でみても男性30万人増に対し、女性67万人増、15〜64歳に限ってみれば男性9万人増、女性56万人増。女性の方が外国人就労が多いため、この数はそれを示すのかもしれません。
7月の鉱工業生産指数速報は0.1%低下し、4年ぶりに3ヶ月連続の低下となりました。経産省も「緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さ」と基調判断を下方修正しました。ここには西日本豪雨災害の影響もあったとはいえ、米中貿易戦争で先食いした分の供給を消化している面もあるでしょう。そしてここに、来週6日に米側で聞き取りが終了する、2000億$の追加関税分の先食い、を織りこんでいるとしたら、ここより先はさらに悪化する可能性がある。鉱工業生産はブレ易い指数ですが、これからになる日米経済対話にしろ、企業として読みにくい部分もあり、計画の立てにくさも生産活動を抑える要因となるでしょう。

問題は、米経済は個人消費が堅調でも、不動産市場や生産の分野でも変調がみられる。世界全体では製造業購買担当者のマインド低下が目立つ。新興国から資金が引き寄せられ、しかもこのタイミングで減税を打った米国は堅調でも、それ以外の世界全体ではかなり危険水準にある、ということです。先進国の株価は、新興国から引きあげられた資金が回るので好調ですが、実体経済はいつ後退してもおかしくないレベルになってきています。
ベネズエラ、アルゼンチン、トルコ、南ア、今や新興国不安はいつ世界経済を腰折れさせてもおかしくない。規模は小さくとも、ここに貸し込んでいる先進国の金融機関への不安が、影響を拡大させる懸念です。そして、こういう国は中露が助ける、という文言も聞かれますが、実はそれこそ中露の貸し込みも大きく、助けられるのか? との不安も漂う。グローバル化は一蓮托生化、ということでもあり、新興国の崩れは風と桶屋のように、先進国も無傷ではいられない。そのとき、先進国経済も試されることになります。

日本の株価は、外国人投資家が休暇の間に日系の頑張りによって一気に上昇してきましたが、23000円をつけると日系の売りが目立つようになった。誰も上につける、という自信をもてずにいて、かといって下を叩きにいくほど弱くもない。そんな気分を映すようです。ただ指標の弱さも目立ち、特に消費に関しては目を覆うほどの悪さ。それでも日本企業の業績は、海外の動向に左右される面が大きく、米国消費が堅調なら、ある程度は支えられるでしょう。しかし米国経済とて、いずれ斜陽を迎える。そのとき、世界で景気がよい国はどこにもなくなった、となるのが必定です。金融と製造業と、個人とのマインドの差。今はそれを先進国の株高で、何となく辻褄を合わせていますが、そのバランスが崩れたときが、次の大きな動きを引き起こすタイミングとなるのでしょう。
『利息』というのは中国古典で『息は利の如く』というところから生まれた言葉ですが、『息』とは『息子』のこと。息子は利益と同じ、という意味なのです。しかし今、世界が高齢化を迎えつつある中、この言葉がより意識されそうです。脆弱なところに貸し込んで、その利息で潤ってきた経済、『息』が利を生まなくなったとき、途端に世界全体が脆弱さを露呈することになりかねないのでしょうね。

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2018年08月30日

経産省の公文書

経産省の内部文書で、公文書管理について「議事録のように細かい発言まで記録する必要なし」とし、「四月以降、政治家の発言や省庁間のやりとりは一切記録に残すな」と指示されたとします。本来、公文書は官僚が自らの身を守るために残すもの。それをこう指示をだした、出せるというなら、それは身を守る必要がない。つまり政権から不正や隠ぺいをしても問われない、というお墨付きを得たのか、もしくは職員が足切りされる恐れを感じます。
指示をだした情報システム厚生課は「いつ、誰と、何の打ち合わせかが分かればよく、一言一句残す必要はない」とします。しかしどんな内容が語られたか、それが重要なはずで、残りは記憶で補うなどとしても通用しません。政治家から指示されて不正に関わることをしても、指示された記録が残っていないので職員の責任になる。ヤバいことを官僚に押し付けて政治家が逃れる、そのための詐略とも思えます。奇しくも指示をだしたのは情報システム『厚生』課、やはり安倍政権に問われるのは『公正、正直』というところかもしれません。

菅官房長官が、29日に行われた日本の外務事務次官と中国外相との会談で、産経が取材拒否をうけた、として中国に抗議したと述べました。しかし言葉は悪いですが、日本でも三流、タブロイド紙並みの記事しか書かない産経が、国際的に広く取材することがそもそも困難な話です。メディアを名乗れば誰でも要人に接触できるのか? そんなこともなく、メディアの信用もまた、取材を許可されるには必要です。中国にとり、あることないことを書く産経が信用ない、としても仕方ないでしょう。中国のようにメディアをコントロールする社会では、そもそもタブロイド紙みたいなものが存在しないのです。
ただ、この程度の話に菅氏が反応した点が問題です。恐らく、これが産経を『中国と戦うメディア』的な扱いにし、保守層のさらなる信用を得られる、との算段もあるでしょう。そしてそれは、中国も合意した上でのお芝居かもしれない。過剰反応する中国、それに過剰反応で返す安倍政権、ここもとの親密ぶりからしても、強ち空想でもなさそうです。

政府の有識者会議が、福島第1原発のトリチウム放出に関する公聴会を開きました。ニュースでちらりとみたら、担当者が「トリチウムは放射性物質を出し…」と述べていて、目を丸くしました。トリチウムは放射線をだすのであり、トリチウムそのものが放射性物質です。ただの言い間違いでないなら、担当者の能力を疑うところです。しかも薄めただけで海洋に放出できる、というなら、揮発してもよいはずです。水蒸気にしてしまえば、そもそも濃度は非常に薄まるのであり、一日の量を決め、風向きが海洋に向いたときに放出すれば、環境負荷という点では一番低くなるはずです。しかしそうしない理由も存在する。
大気に放出されれば、いつまで滞留するか? 下手をすれば拡散し、太平洋を越えて米国まで届くかもしれない。だから希釈し、近海に放出する。あくまで日本周辺の海洋で滞留する、が前提でないと他国との軋轢を生むからです。しかし逆にみれば、日本近海にとどまり続けるなら、漁業関係者にとっては溜まりません。風評ばかりでなく、それが魚介類の体にどう留まり、どういう影響があるか? それを詳らかにしない限り、納得はムリです。

しかしこの有識者会議、経産省の下にある。もしかしたら、この有識者会議も「一切記録を残すな」と言われているかもしれません。何しろ参加した14人のうち、13人が反対を表明したのですから。それとも、沖縄の辺野古基地のように、地元の合意を無視して作業をすすめるのか? それとも佐賀県知事のようにトップを抱き込んで、オスプレイ配備を認めさせるのか? いずれにしろ、安倍政権では地元へのごり押しが目立つのであり、頃合いを見計らってトリチウム水も放出されるのでしょう。何しろ、公文書すらその体を為していないこの国では、誰が指示を出したのかも分からず、誰の責任かも曖昧なのであり、不正の濃度だけは希釈されずにどんどん高まり続けているのですからね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2018年08月29日

中朝に近づく安倍政権

北朝鮮と安倍政権の事務官が接触、という報道があります。なるほど、北朝鮮に拘束された邦人が解放されたのは、こういう裏があったのか、と理解できます。救う会の人物が、北朝鮮の拉致に対して、安倍氏は積極的だが、石破氏はむしろ邪魔してきた、と語りました。この救う会は、ただの安倍支持団体と化しており、拉致被害者家族にもそうした言説を吹き込んでいるのでしょう。北朝鮮を殊更に攻撃し、対話を避けていた安倍氏は少なくとも拉致問題に関して非協力だったとしか思えず、核問題を優先していたことが鮮明です。ナゼならウクライナへの攻撃やクリミア併合を行った露国には、北方領土の解決にむけて人道を無視してまで協力してきたのであり、核があっても北朝鮮とは拉致の解決で動くことと、大義の上では同じだからです。つまり北方領土は優先、拉致は後回し、が安倍政権です。
ここ最近、中国へのすり寄りも顕著です。電気自動車への充電規格で、中国と協力という話も、市場規模の大きい中国による決定を優先する、という。つまりチャデモ方式は捨てた、ということになるでしょう。さらに人民元との通貨スワップも再開の方向という。米中貿易戦争で、中国からの資金が流出し、危機的状況を迎える前に円が下支えしてあげる、そんな配慮です。中国の外貨準備はドル偏重なので、それを緩和する意味もあるでしょう。日中首脳会談を前にしたサービスだとしても、ナゼここまで? 弱みでも握られているの? というぐらいの大盤振る舞いで、安倍氏の行動には首を傾げる点が多いのです。

拉致問題の解決にしろ、すでに米国が交渉ルートをもった以上、中国頼みになる必要はない。それ以上に、米中貿易戦争を仕掛けている米国にとってみれば、中国に塩を送って協力しているようにしかみえず、日本が裏切ったとしか見えないでしょう。しかし一部で報じられたように、トランプ大統領から「真珠湾を忘れない」と言われ、日米の関係が怪しくなっているとすれば、上記の動きも理解できます。米国頼みの拉致問題解決は難しくなり、日本独自で動かざるを得なくなった。この前の日米電話会談でも、非核化については連携、としながら拉致問題に関して安倍氏は「協力を要請」に、トランプ氏も「協力する」と語った、と一向に前にすすんでいない。つまり拉致問題は事実上、日米の重要案件ではなくなっていることを、これは示すのです。だから中国にすがりつき、お願いするのでしょう。
しかしそれで本当に拉致問題が解決に向かうなら、まだ納得できます。しかし安倍外交といえば、ネコナデ声で近づき、互いにファーストネームで呼び合い、個人的な関係を良くしてから…と、何とかの一つ覚えしかできません。しかしプーチン露大統領は山口会談以後、ウラジミールと呼ぶことはなくなり、トランプ氏もドナルドと呼ばなくなった。つまり個人的な関係が悪化した、となり、外交関係さえ危うくなった。そのうち中国では「近平」、北朝鮮では「正恩」と呼ぶために、今はネコナデ声で近づこうとしているのかもしれません。

中朝とは、それほど頻繁に会うこともできないので、交渉自体は一発勝負といった側面も大きい。安倍氏のこれまでの外交手法は、ほぼ通用しないと思った方がいいでしょう。日本が捨てようとしているチャデモ方式、まさに「茶でも」といって中朝とは付き合えないだけに、安倍政権では交渉自体が難しいことになってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(6)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2018年08月28日

雑感。『働かないアリ』の話

岐阜のY&M藤掛第一病院で、エアコンが故障した病室にいた入院患者が熱中症とみられる症状で4人が亡くなっていました。他人事でないのは、私も今年の夏はエアコンなしで過ごしたからです。ただ、今年はエアコンの修理を依頼しても待たされる。だからと言って、入院患者を自宅に送り返すのか? 他の病院に受け入れる余力があるか? など様々な問題がこの一件で浮かび上がります。『働かないアリ』の話、つまり経済合理性で考えれば、常に病床が稼働し、利益を得ることがよいとされますが、病床をフル稼働していると異常時への対応がまったく利かなくなる。エアコンの設置、修理の人員も平時のマンパワーを維持するだけになると、猛暑などにより需要が増えた途端、対応がつかなくなる。今回、様々な面で『働かないアリ』がいなかったことで引き起こされたような、そんな気がします。

省庁による障害者雇用の水増しは、3000人以上と異例の拡大をみせます。民間には罰金を含む処罰が下るのに、官には監視機関も、罰則もないというのですから、お手盛りとの批判は免れないでしょう。それと、この問題で閣僚が「第三者機関の調査を…」と述べるのは、明らかに怠慢でしょう。三権分立の中で、行政のトップに一部の民間人を除き、国会議員が就くのは行政機関の監視の意味をもつためです。つまり行政に問題があれば、それを三権として国会が調査、監視する役目を負う。そのために国会議員が閣僚として、行政機関を率いているのです。第三者機関ではなく、国会による調査でなければいけません。
しかし安倍政権は、西日本豪雨災害の補正予算でさえ、国会を開こうとしない。国会を開かなくとも、各委員会さえ立ち上げれば調査はできるはずですが、それさえしない。国会嫌いと断じても、強ち間違いではないでしょう。そういう人物が首相であり、最大与党の党首だというのですから、この国の三権分立さえ危うい事態といえるのでしょう。

言葉は悪いですが、国会議員は閉会中、ほとんど仕事はありません。地元にもどって有権者と…などというのは、本来の議員の業務とは関係ないのであり、いつ国会を開いても議員の職務としては問題ないはずです。国会には1年のうち3分の1ほどの期間も『働いていないアリ』がいるのであり、税金をつかって第三者委員会などをつくるより、委員会を開いて働いてもらえばいいのです。それができない理由もないのですから。
そして障害者にはどうしても得手不得手があり、雇う側にも工夫が必要な部分もある。行政がそうした工夫を知見としてもてば、民間の雇用においても指導もやり易くなるでしょう。行政にはまるで『働きたい人を働かせないアリ』がいて、邪魔をしているようです。

障害者雇用の問題でも感じるのは、こんなことをしていた行政が『働き方改革』などを掲げていた、その偽善ぶりです。『働かせ方』すらできていない安倍政権、しかも第三者機関という、行政が依頼した弁護士などによる結果で、処分のお茶を濁そうとする意志が見え隠れする。一番『働き方』を考えなければいけないのは、安倍政権そのものなのかもしれません。『働かないアリ』の話は、余力をどう確保しておき、危機時に対応できるようにするか? という政治に必要な根本的な話であり、その点においては『働いていない安倍』ということにしかなっていないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(6)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2018年08月27日

自民党総裁選と株価

自民党の石破氏が総裁選にむけて、政策を発表しました。しかし経済政策は石破ビジョンを達成するために日本創生会議を立ち上げ…と、何だか安倍政権で行われている経済財政諮問会議との違いも分かりませんし、安倍政権で乱立する各種会議ともかぶります。多くの知見を集める、という意味で会議を行うのは分かりますが、名前を変えるのは独自色をだしたいから名前を変える、というのなら、それは安倍氏との違いを見出しにくくもなります。
キャッチフレーズとした「正直、公正」が安倍氏への個人攻撃だ、として一時撤回する意向もにじませました。しかしそれが党内でさえ、安倍氏への個人攻撃と認識されてしまう点が大きな問題です。むしろ政治家として、こんな常識的なことですらキャッチフレーズになるほどに、今の政界は腐っているということなのでしょう。最終的にこのキャッチフレーズは残りましたが、これが個人攻撃になる人と、それを掲げるのを躊躇う人との戦い、そう考えると、この総裁選は政治家としての資質に疑問のある二人の戦い、といえるかもしれません。

そんな中、株式市場は絶好調です。嘘か真か、「安倍氏が出馬表明したから、ここから日系の証券会社が株価を落とさないようコントロールするはずだ」などの噂も流れる。株高を成果としてきた安倍政権の援護射撃を、財界が行うというのです。それは日経新聞の世論調査で、次の総裁にふさわしい人、として安倍氏が39%、石破氏が31%となったことでも裏付けられます。これまでの多くの調査では、「自民党支持層に限って」安倍氏が圧倒的にリードとされ、無党派も含めると石破氏が上回っていました。それを安倍氏がこれだけ明確に、無党派層もふくめて上回ったのは、いよいよ安倍氏の側からムチが入って、安倍氏礼賛の記事を大量に流すよう、要請があったためかもしれません。
安倍氏が圧勝に拘るのは、総裁任期を3期までから無期限にしたい。接戦ではまた次の総裁選を厳しくするためです。そして、それに財界も協力する。よく証券アナリストが「政治の安定が株高をもたらす」なる言説を用いるのも、ほぼ同じです。しかし前回の米大統領選でも大方の予想を覆して、トランプ氏が大統領になると、一気に株高がすすんだ。株高をもたらすのは『政治の安定』ではなく『政策』です。両氏がどんな経済政策を訴えているか? が重要で、結果がみえたときにその政策により次の株価の居心地のよい水準を決定することになる。それだけのことでしかないのですが、榊原前経団連会長と、メディア幹部によって財界の流れは安倍支持で固定化している、だからこんなおかしな言説をとる人がでてきます。安倍政権が継続するなら、特に経済政策はでてきていないので、よくて横這いのBOX相場を継続、悪くて失望売りが嵩む、という感じにしかなりませんが、そうなっては困るので、外国人投資家が夏季休暇の間に…と頑張って上げておくのです。

しかし米中貿易協議の再開から弱いリスクオン相場になっていますが、それを覆すのが米朝協議の先送りです。トランプ流のディールの一環ですが、今はまだ北朝鮮の暴発というシナリオの確率は高くないとしても、猛暑と干天、それにこの前の台風19号が直撃した北朝鮮が、この交渉先送りにどこまで耐えられるか? それ次第では、中国が先に動いてくる可能性は高い。今、米中貿易協議は人民元の切り上げで、プラザ合意並みの水準をめざすのでは? とも囁かれますが、私はその見立てには疑問を感じています。
それは米共産党幹部による、対外資産を目減りさせるのであり、中国からの米国投資を激減させる可能性を秘めるからです。NAFTAの交渉でも、メキシコと近々合意と伝わるのも米国の軟化が理由です。2000億$の追加関税も、公聴会が立て込んでおり、規模が大きくて調査に時間がかかり、結論が先送りされる可能性が高い。むしろ中間選挙の敗北がみえてくるトランプ氏のレイムダック化、が懸念されるのです。トランプ氏の交渉能力の欠如、それを意識されたとき、リスクオン相場も限界を迎えるのでしょう。

その前にさっさと総裁選を終わらせ、リスクオンで株高のまま安倍3選、が財界と安倍周辺が望むメインシナリオです。ただし、外国人投資家がもどってくる来週辺りから、異なる動きもでてくるでしょう。「常識、高低」で判断したとき、果たして今の株価は? 政治が安定してもめぼしい経済政策がない。日本が抱える不幸は、日本のリーダーを決める選挙なのに、「正直、公正」を問われるのは、経済の分野ではあり得ない、暴落してもおかしくない状況であるにも関わらず、誰もそれを指摘しない点に凝縮されるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:39|PermalinkComments(9)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2018年08月26日

安倍首相による総裁選出馬表明

安倍首相が鹿児島県垂水市で、総裁選の出馬表明をしました。ナゼ鹿児島? ナゼ日曜日とニュース番組の少ない日に? といえば、NHKの大河ドラマ『西郷どん』で、薩長同盟が成立する日だからです。山口地盤の安倍氏が、鹿児島にのりこんで出馬表明する。明治維新の後継者を自任する、これが演出なのでしょう。西郷どんも、明治になってからの方がエピソードも多いはずなのに、やたらと進行が遅い。総裁選に合わせた、といったら言い過ぎかもしれませんが、これから薩長で手をとり、討幕にすすむタイミングで総裁選を戦うわけですから、安倍氏にとっては援護射撃となります。鹿児島での出馬表明と言い、より田布施システムを意識した結果としてNHKと共同戦線を張った、ということなのでしょう。

安倍氏は争点を「どのような国づくりをしていくか?」としましたが、6年近くも政権の座にあって今から国づくり? 安倍氏の方向性はもう示されているはずで、逆に示されていないとしたら、6年も何をしていたんだ? という話が争点でしょう。第一次政権から合わせると7年近く、未だに「国づくり」で迷走していて、それを総裁選で議員や党員に問う、というのなら、逆に自民党議員や党員は、一体そんな安倍氏の何を支持していたのか? という話にもなる。
これまでとこれからは違います、というのなら分からなくもないですが、そうなると今、安倍氏支持を表明している派閥は、ナゼ支持を表明したのか? について改めて問われることになるでしょう。何をしたいのか? それすら不明な人物を支持するのですから。人柄? というのなら、国の首相をただの感覚で委ねていることにもなる。自民党議員は本当に国のことを考えているのか? という話にすらなりかねません。安倍氏に問われるのは第二次政権からでの6年近くの総括と、今後にむけた目標でなければならないのでしょう。

しかし安倍氏が前のめりの改憲が、実は大きな足枷です。すでに会合などでは改憲について言及し、安倍氏に投票するからにはそれを容認した、と見なされる。すると公明から総スカンを食うのが必定ですから、選挙に厳しい議員ほど再選が難しくなります。創価学会婦人部はただでなくとも安保改定など、いら立ちを募らせている。改憲して自衛隊派遣を正当化すると、歯止めが利かなくなる恐れも感じている。改憲は阻止したい、そして改憲を推す議員は支持できない、とすらなりかねなくなります。つまり安倍氏が再選しても改憲には手を付けて欲しくない、が本音です。ではそうなるか? その可能性は低いでしょう。
どの道今の自民党の規定では4選はムリ。安倍氏はレイムダック化するのが必定で、言葉は悪いですがやることがありません。求心力を維持するには、改憲という大きな目標を掲げてまい進するしかない。その結果、まだまだ安倍氏に任せるしかないよね、として党の規定をまた改定して4選、5選をみとめさせるしかありません。つまりもう安倍氏の3選と改憲はセットであることが必定、それを自民党議員が知りませんでした、は通用しません。

長州藩出身の山県有朋は、陸軍大輔のときに「山城屋事件」を起こしました。元奇兵隊の隊士だった山城屋和助が公金を回してもらう代わりに、山県に賄賂を送っていたとして糾弾された事件です。その山城屋は陸軍内で割腹自殺をし、事件はうやむやになりました。明治維新の不都合な話、西郷どんがそんなものに切り込むとは到底思えず、放送日程から考えても萩の乱や西南戦争ですらまともに取り上げるとは思えませんが、薩長同盟がもたらしたのは新時代などではなく、ただ徳川の世を終わらせただけ、ということだけは憶えておいて、総裁選もみていく方がよいのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:06|PermalinkComments(7)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2018年08月25日

トランプ氏とマスク氏

米テスラ社のイーロン・マスク氏がTwitter上で株式非公開化を発言、それを17日あまりで撤回しました。サウジの政府系ファンドと株式公開買い付けで合意、としたものの、実際には合意しておらず、資金繰りがつかなかったものです。株主にとって非公開化のメリットは薄く、マスク氏の暴走が招いたとも言えますが、これから失った信用と、高額の損害賠償請求と、SECによる調査次第では罰金も科せられるでしょう。軽率さが招いたツケは、マスク氏の火星移住計画すら頓挫させます。むしろ自らが火星にとんずらしたい、とさえ考えているかもしれません。何しろ、テスラは負債が大きく、これから株式転換社債の償還も相次ぐ。株の暴落ともなれば、破産申請が待つかもしれないのですから。

トランプ米大統領が、中間選挙で共和党が敗北し、自分が弾劾されれば株価は暴落、と発言しました。トランプ氏の語るように経済が本当に強いのなら、大統領が弾劾されても暴落しないでしょう。しかしこの文言、どこかで聞いたことがあると思ったら、安倍支持者が選挙になると「自民が負けたら株暴落」とつかっていました。なるほど、トランプ氏の手法は安倍政権のそれと似て、それはトランプ政権が安倍政権にお目こぼしする事情と不可分ではないでしょう。
クリントン氏の当選に賭けた安倍政権は、トランプ大統領の誕生に一番焦った。そこで就任前にトランプタワーに駆け付ける、という異例の対応もとった。恐らくそこで、安倍政権がとっている政権運営手法を、トランプ氏に伝授するという手にでた。メディアには高圧的にでて屈服させ、情報操作に利用する。支持層は集票マシーンになるので徹底的に守る。外に敵をつくり、内政の問題から目を逸らさせる。国民には誇大広告で夢を与え、嘘をついてでも自分の過失は絶対にみとめない。トランプ氏がBig安倍なのか、安倍氏がSmallトランプなのか、いずれにしろ日米が同じ政治手法をとっていることは間違いありません。しかしスケール感では圧倒的にトランプ氏が強いこともまた、間違いないことです。

もしトランプ氏が弾劾をうけ、大統領の職を辞すことになれば、安倍氏は再びトランプ氏と面会する必要が生じるでしょう。それは自分が政治手法を教授した、ということの口止めをしなければならず、自分が再帰した体験を話し、トランプ氏に口外しなければ再帰の目がある、と伝えなければならないからです。もし安倍氏が、トランプ氏に政権運営の方法を伝えた、などと知られれば、米民主党から目の敵にされるだけでしょうから。
しかし安倍氏のとってきた手法は、上記した通りまさにナチスの手法です。恐らくこれが政治手法の中で、最も安易で確実な方法でもあるのでしょう。しかし米国はそのナチスに虐げられたユダヤ人が手を貸してつくってきた国、メディアは手ごわく、司法も金融も表向きは独立を保っています。トランプ氏が権力を手中に収める前に、弾劾によってとん挫してしまうのか? むしろ、世界中の政治家がナチスから学び、政権運営をしている、などということが判明したときは、世界の株価も暴落する懸念を生じるのでしょう。それはマスク氏も同じ、嘘つきは泥(沼)暴(落)のはじまり、になるかもしれませんからね。

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2018年08月24日

雑感。政治の他人事

安倍首相が、省庁による障害者雇用の水増しを「スピード感をもってしっかり対応」と、加藤厚労相に指示をだした、と報じられます。それだけ? と素朴に感じますが、当然責任者は遡ってでも処分が必要でしょう。安倍政権になって、行政の不祥事はすべて他人事、ほとんど罰もない、という状態がつづきます。それは処分など下してしまえば、政権にも飛び火するからであり、まさに役人天国。不祥事し放題といった事態です。

台風19号、20号とつづく関係当局者の会議で、安倍氏が手元のメモをみながら「万全の対応を」と指示しました。第一次から通算して6年以上も政権の座にあるのですから、台風への対応はメモを見ずとも指示をだせるようになるべきでしょう。そうしないと、自身で過不足がないか? チェックすることもできないからです。政権の座にいることだけを目的とし、実際の業務には興味なし。なので、いつも他人事だし、無責任なこともできるのでしょう。
例えば内閣府の『国民生活に関する世論調査』では、現在の収入に『満足』『まぁ満足』とした人が51.5%で前年比0.2%増、とします。どの数字も改善、という方向ですが、野村証券のインターネット調査では働き方改革によって収入が減った、と答えた人が多く、内閣府の調査とは矛盾します。単純比較はできませんが、肌感覚としても野村の調査の方が、的を射ているとも感じます。安倍政権の示す指標には、すでに不備、捏造が指摘されているものもあり、特に働き方改革の元になったデータもそうです。この内閣府の調査も、それと同じ類ではないかと疑われ、こうしたことができてしまうのも、安倍政権では行政の不祥事には、特に政権にとってプラスとなるものは甘い処分しかしてこなかった。安倍政権のだしてくる数字は、常に疑惑がつきまとうのであり、他人事で無責任だからできる、ともいえるのです。

沖縄県知事選は、翁長氏の遺言にも捏造の疑惑がありますが、自由党の玉城氏が出馬要請を受ける意向を示し、構図は決まってきました。一方で国民民主の玉木氏は選挙協力の構図として「共産党を外して…」と述べました。国会では自分たちから結束を乱すことをしておいて、選挙のときだけ自分たちも仲間に入れて、という胡散臭さです。それなら国会運営でも、独自色に拘らず野党との協力を推し進めるべきだったのでしょう。「共産党は信じられない」としますが、一番信用がないのは国民民主です。それは行動により導かれた帰結ですから、国民民主はまず自身の行動を見つめ直す必要があるのでしょう。
公明党も9月に代表選ですが、こちらは山口代表が無風で通過しそうです。「なっちゃん」イメージ戦略が奏功し、主婦層にウケがよく、創価学会婦人部からの支持も篤い。ただし、その行動は安倍政権を阿諛追従するだけで、かつては自民政権の打ち出す政策に対して公明色を付加する、ということに拘っていましたが、今やそれもない。存在価値はゼロであり、「なっちゃん」は「(必要)なしちゃん」の略としか思えなくなりました。

近代の思想家で英国人のコリングウッドは「人間は他人の経験を利用するという特殊な能力をもった動物である」とします。残念ながら、動物でも仲間が襲われた場所には近づかない、など他人の経験を利用するので、この説は誤りです。ただ、他人の経験を実際に目にすることがなくとも、それを伝播して広め、そこから学ぶことができる動物であるとは言えるでしょう。政治は特に、経験を生かすことの多い分野、といえます。しかし政治家にそれを学ぶ気もなければ、それらはすべて他人事で、だから自分には関係ないとして無責任になってしまう。政治家に必要な能力の欠如、だからスピードをだして対応したとしても、見当違いのところにしか答えを導けない、とはいえるのでしょうね。

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2018年08月23日

菅官房長官が「携帯料金高すぎ」

菅官房長官がいきなり講演会で「携帯電話の料金は高すぎ。4割程度下げる余地」と発言しました。管轄である総務相を飛び越えて、官房長官がいきなり言いだしたことで、憶測を呼びます。当然、これは安倍ノミクスに実感がない、来年の消費税増税前に負担感を減らして理解を得たい、という思惑はあれど、政権全体の取り組みであれば野田総務相がぶら下がりなどで、記者向けに軽くふれる程度でもよかったはずです。
総裁選で安倍氏が再選された場合、菅氏は官房長官から幹事長へ転身したい。それは安倍政権で不正の隠ぺいなども担当してきて、このまま政権にいたら連座されるのが必定です。その前に政権から逃げだし、安寧をはかりたい。それには手柄を上げ、安倍氏から論功で厚遇してもらう必要があります。無派閥の菅氏にとって、総裁選では貢献度が低いことにもなるため、こうした形で安倍ノミクスを援護射撃するしかありません。しかし手柄を焦った結果、越権行為や民間への介入など、安倍政権の全体主義的思想を露骨に示してしまった。菅氏にとっては何度か口にしていることで、持論でもあるのでしょうが、安倍政権の異常さばかりを示した今回、安倍氏にとってこうして無法なこともしてしまうダークな人間が官房長官にふさわしい、という認識をさらに深めたのかもしれません。

最近、公取がiPhoneの販売方式に対して不当との認識を示すなど、携帯電話各社をめぐる問題は山積みです。iPhone専用の契約などがあるのは、そもそも端末を電話会社が売る、という形態だからです。SIMロックを外し、端末独自の契約方式は止める、とすれば負担感はかなり軽くなります。むしろiPhoneの割高感がより浮き彫りとなるでしょう。しかし米国の顔色をうかがう安倍政権は、これまで手をつけてこなかった。それが公取の動きからも、徐々に態度を変えている。それは携帯電話各社も、契約者を増やすための戦略的な優先販売、という体制をとりにくくなってきたこととともに、軍需関連の購入で大盤振る舞いをしている間に…といった思惑もあるのでしょう。いずれにしろ携帯電話会社は激変期にあります。
5G通信になれば、さらにトラフィックが増加し、通信料金が増える懸念もあった。その前に引き下げておけば…というのもあるでしょう。しかしむしろ、トラフィック量の増加にはWifi環境の整備が必要なはずです。今、固定電話はメタルから光通信へ、と移行を促していますが、こちらも通信料金の高止まりによって、思うようにすすんでいません。携帯電話も光ケーブルも、設備投資をすすめる段階では料金も高額ですが、普及期になれば本来、価格は下げないといけない。しかしそれが競争原理も働かず、高止まりをゆるす背景があります。光ケーブルの価格を下げ、Wifi環境を充実させ、かつ無料スポットを増やす。光ケーブルのトラフィックは余り気味なので、こうすれば国民の負担感は減るはずです。

しかし携帯電話料金を大幅に値下げすると、間違いなく1年間は物価が下がります。それは安倍ノミクスの成果を台無しにする、といえるものです。しかし安倍首相が賃上げにまで言及しても、可処分所得が上がらない中では二択しかない。それでも2%のインフレ達成にこだわるか? 物価を下げてでも国民の満足度を優先するか? 菅氏が後者の道をえらんだ、というのなら、逆からみれば安倍ノミクスの否定となるのかもしれません。
しかしそこに言及するなら、固定電話も未だにナンバーディスプレイが有料だったり、基本料が下がらなかったり、そうした不便さを残す点にも問題があります。高齢者など特に詐欺被害を考えれば、ナンバーディスプレイは必須のはず。そうした時代遅れのまま、BtoBに依存し、BtoCを蔑ろにする固定電話各社にも大きな問題が残されているはずです。

さて、菅氏は安倍政権の中で、沖縄対策を一手にになってきました。翁長氏の葬儀にも駆け付け、さらにそこで保守分裂になりそうな候補の一本化にも、強権を振るったといいます。携帯電話各社にも強権を振るうのか? それとも沖縄県知事選での敗北を見越して、別の方面に目を向けさせる目的か? いずれにしろ4割は、菅氏の意向が通る確率、とみておいた方がよく、ぽろりと出てしまった数字なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:57|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2018年08月22日

米中貿易協議

7月の全国百貨店売上高が前年比6.1%減と、悪いとはみていましたが、これほど落ちこむとは思いませんでした。西日本豪雨と猛暑、というばかりでなく、インバウンド消費で潤ってきた百貨店にとって、今夏は転換点になるかもしれない。つまり、これまではよく知らない日本に行ってみたい、という外国人旅行者も、日本の夏は暑さと湿気、それに豪雨で交通が乱れて予定通りにいかない、との認識が広がれば、わざわざそんなときに日本を訪れたい、と思わなくなるかもしれないからです。海外では夏に長期休暇をとる人も多いですが、そんな稼ぎ時の夏に、日本は敬遠される恐れを今夏の異常気象は生じさせかねないのでしょう。

事務方の米中貿易協議が始まりますが、米中とも怪しい話が聞こえてきます。中国はP2Pと言われる個人間融資の規制が広がり、中小企業などが資金繰りに苦しむ状況です。P2Pは高リスク高リターンを売りに、個人の資金を集めて膨張してきたシャドーバンキングの一端ですが、仲介業者の資本基盤がぜい弱なものが多く、規制によって閉鎖が相次ぐ。資金をあずけていた人は取り戻すこともできません。社会不安が広がりそうな状況を、摘発によって強引に押さえつけており、中国共産党そのものが詐欺的、ともいえそうです。
しかも中国はふたたびインフラ投資を活発化させ、景気低迷を打破しようとしていますが、すでに過剰設備であり、景気浮揚効果は低い。政府が財政のバラマキをつづけている間だけの下支えで、その先の展望がまったくない状況です。欧米が金融の引き締めに転じ、中国からの資金引き上げも起きており、それを何とか預金準備率の引き下げによって対応しようとしていますが、30兆円を越えるともされるシャドーバンキングをカバーできるとは、到底思えません。中国には、米中貿易協議をうまくまとめたい動機もあります。

米国ではトランプ大統領の元弁護士、コーエン氏が司法取引に応じ、選挙資金法違反を含む8つの罪をみとめ、さらにトランプ氏に関する情報を提供する意思を示しています。またトランプ氏の選対本部長を務めたマナフォート氏が脱税や詐欺など、8件の罪で有罪となっています。マナフォート氏はトランプ氏の問題と直接関係ありませんが、ロシア疑惑の捜査の過程で判明した事実であり、特別検察官にとっても捜査の追い風となりそうです。
米国は金融を引き締めても、海外に移していた資金がもどるので、逆にしばらく景気がいい状態がつづきます。特にリパトリ減税もあり、今は絶好調です。そんな米国の大統領が弾劾される可能性…そればかりか、中間選挙を前にして勢いづく司法側により、選挙結果が民主党勝利に終わったら、間違いなくトランプ政権はレイムダック化するでしょう。そのとき北朝鮮問題や、米中貿易協議などでリーダーシップを示せるか? むしろ中朝ともトランプ氏が妥協し、自分たちに都合いい判断を下してくれるなら、中間選挙を前に結果をだすことを約束するでしょうが、そうでない場合は逆にトランプ政権にとって不都合となるよう、交渉決裂などによって中間選挙で敗北するよう仕向けてくるでしょう。

米国ではオンラインの選挙システムの脆弱性が、高校生でも数十分でセキュリティーを突破できるレベル、ともされます。ネット社会における選挙介入、米国にとって頭痛の種になりつつあり、そんなトランプ氏は介入しかねない国々と今、対していることになります。世界中で深刻な猛暑という話もありますが、その裏で行われるドライな交渉の現場は、新たな冷戦構造とよんでもよいのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2018年08月21日

雑感。沖縄県知事選

第100回大会となった高校野球、大阪桐蔭の優勝となりました。金足農を応援する人も多かったですが、注意すべきは両者とも同じ高校生ということです。大人の事情でよい選手が集められた、といっても選手は一生懸命やるだけです。大阪桐蔭も、金足農もそれは変わらない。ただ、その中でやはり優劣がついたのは選手層の厚さ、でしょう。
今回の大会は猛暑の中で行われた、非常に過酷な大会でした。投手一人で連投させるのは無理があった。残念ながら、もっとも『選手層』が影響する大会だったのであり、大阪桐蔭にはその時点でツキがあったといえます。勘違いしてはいけないのが、高校野球は初めから関西圏が有利な仕組みなのです。金足農にしろ、遠距離になれば移動、宿泊にお金がかかり、また地元との環境の違いもある。そういう理不尽さがあり、優勝だけを目標とするなら、関西の強豪校に進学した方が有利なのです。ラグビーの花園、サッカーの国立競技場も同じですが、条件には最初から差がある点を踏まえておいた方がいい。その上で、関西圏以外の高校が優勝すれば、その健闘を称えればいいのであって、判官贔屓などで余計なプレッシャーをかければ、それもまた条件を変えていることになります。高校野球にしろ、学校それぞれに事情がある、ということだけを踏まえ、純粋に両チームを応援すればよいのでしょう。

沖縄県知事選で、翁長氏が後継指名した二人のうち、自由党の玉城衆院議員が立候補に前向きと報じられます。沖縄では圧倒的な知名度をほこり、ここ数年の圧倒的に自公候補が有利な選挙においても、当選を重ねてきた。今回の件知事選でも、立候補を表明している佐喜真宜野湾市長にも対抗できる唯一の候補、といえるでしょう。それはオール沖縄も一枚岩になれる候補であり、安倍政権としても最も手ごわい相手、とみるはずです。
何より、小沢自由党代表と民主党と袂を分かって以来、ずっと行動を共にしてきた。その政治手腕、選挙手腕も学んできた。オール沖縄という強い基盤とともに、自公に対抗できる体制がつくれる。安倍政権は辺野古への土砂の搬入を見送りましたが、知名度的にも劣る佐喜真氏で戦えるのか? 翁長氏が後継指名をしていたことで、一気に流れはオール沖縄の推す玉城氏に向かっている、といえます。今回、小沢氏と相談して出馬表明を見送りましたが、むしろタイミングを見計らっている、というのが実情なのでしょう。

ただ玉城氏の懸念は、自身が国政を離れたとしてもすぐに補選があるわけではなく、自由党の議席数が5に落ちてしまう点にあるでしょう。政党要件は満たしていても、政党の立ち位置として厳しくなります。前回の衆院選で小池希望の党に乗ろうとして、結果は希望の党の惨敗の煽りを食いました。それでも勝利した玉城氏が離れれば、それだけ党勢は低迷する。いずれ消滅するかもしれない党だとしても、立憲民主に自由党を委ねられるか? その見極めをしているところかもしれません。小沢氏の神通力の低下と同時に、自由党の先行きを考えた場合、玉城氏ほどの有力な議員を失うのは、自由党としては痛手です。
今のところ、立憲民主が次の参院選、また同時に行われるかもしれない解散総選挙にむけて、選挙戦術が見えない点も大きいのでしょう。小沢氏の提唱するオリーブの木構想なのか、それとも立民が小政党を飲み込んで、共産と連携して事項に立ち向かうのか? 後者の方が議席はとれますが、感情的には飲みにくい話ですし、立民にも色がついてしまう形となる。その辺りの判断がついておらず、自由党や社民はやきもきしているところです。

しかし沖縄県知事選が、その壁をとるかもしれない。オール沖縄+立民、自由、社民、共産という構図は、国政選挙でも同じ構図で戦えます。そして自由党から議員がでれば、政党連携という点でも要となるかもしれない。沖縄県知事選、国政の代理戦争となりつつある現状で、その結果が国政にもつながることだけは間違いないのでしょうね。


analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2018年08月20日

ベネズエラのデノミ

アジア大会で金メダルラッシュ…と報じられますが、アジアで通用しなければ世界を相手にして戦えるはずもなく、これまでのアジア大会はそもそも扱いが小さかった。それが今回、やたら報道されるのは東京五輪を盛り上げるため、との心根が見え隠れし、正直うんざりします。高校野球では、金足農の快進撃を『雑草』とし、『全員地元の中学』であることを強調します。しかし越県して高校に入ることも禁止ではなく、問題があるわけではありません。対立の構図を煽りたい、もしくは判官贔屓の類で『全員地元…』をアピールするなら、それは選手に対して失礼でしょう。選手はどんな立場でも、どんな大会でも勝利にむけてプレーするものであり、余計なイメージは逆に試合そのものをつまらないものにさせかねません。

ギリシャが金融支援の枠組みから脱却、と報じられます。ただ財政赤字は続いており、債務を返済できる目処が立った、という程度です。これまでに約36兆円の融資をうけ、破綻の懸念からは脱したといったところです。そんな今日、ベネズエラがデノミを慣行します。ハイパーインフレが昂進しているためで、よく「デノミは効果に疑問」という人もいますが、通貨そのものが価値を喪失している以上、新たな通貨の価値を改めて作り直さないといけません。デノミを実施して、数年後には多くの国が経済を安定させているのは、何も偶然ではないのです。問題は、デノミそのものというより、国が積極的に経済に関与し、混乱を抑える決意を示せるか? それ次第ともいえるでしょう。
読売が、ベネズエラのデノミに関して『中南米ではポピュリズムが台頭』と関係ないことをあたかも意味があるかのような記事を上げています。しかしポピュリズムを否定したら、民主主義など成り立ちません。デノミは決して国民ウケする政策でもない。むしろ、少し前に行ったドルにペッグした仮想通貨をベネズエラが発行、などとした政策の方が、よほど迷走と呼べるものです。

ベネズエラも、リラ急落で経済不安に陥っているトルコと同じように、チャベス政権時代から反米で、マドゥーロ政権もそれを踏襲しています。裏を返せば、反米政権に対しては売り方とされるCTAスジも、安心して攻撃を仕掛けられる。今や小国ぐらいなら簡単に吹き飛ばせるほどのマネーが市場には唸っており、先進国では株も不動産も債券も高値をつけていて、投資妙味がない。売りで崩してとる、という手法が収益を得やすいのです。
今はこうして小国を少しずつ蝕みながら、こつこつ収益をだして満足していますが、この売り方が猛威を振るうと、世界全体がコントロール不能な状況に陥ります。今はこそこそと日本株や国債を売り建て、それを日系の反対売買で支える、という構図ですが、日本ほど経済規模が大きいと売り崩すのは難しいですが、キッカケさえあれば日本も…となります。

日銀はすでにステルステーパリングに入っているのでは? ともされます。前回の会合でフォワードガイダンスを導入しましたが、フォワードガイダンスは先々の政策を市場に織りこませながら…という政策であり、それとステルステーパリングは矛盾する行為です。日銀は言っていることと、やっていることが違う、そんな印象をもたれることも、キッカケになりかねません。それでも日本は売り方の攻撃にさらされないために、親米でいつづけなければならない、とするなら、日米の関係はポピュリズムどころかポピュレイション(植民)という意味の方が、強まってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:54|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 海外

2018年08月19日

立憲民主と国民民主の動き

国民民主の前原氏が京都府連の会長に就きました。『平成の壊し屋』の異名をもち、政党一つを大混乱させた張本人ですが、党勢が低迷する中、選挙に強くて当選回数も多い前原氏が適任、というか、前原氏以外にいないのが現状でしょう。前原氏は「現実的な政策を掲げた政党が競い合う二大政党制を実現するために、身を粉にして…」としますが、野党第一党を粉にしてしまった反省もないようです。
そもそも、野党の人間なら「与党を倒して政権交代をめざす」ことを目標にしていないとおかしい。前原氏の言では「自民と共存」と言っているのと同じです。自民を壊滅させて圧倒的多数となり、いずれ国民民主を分割して二大政党にする、というなら大きな目標ですが、自民と共存する二大政党が「現実的」なら、前原氏についていったとて、大した成果もあげられない、となります。妻が創価学会員ともされる前原氏は、自公政権との共存が家庭での「現実的」なところなのかもしれません。

そんな国民民主の代表選は玉木氏と津村氏の一騎打ちになりそうです。玉木氏ならゆ党の道を、津村氏なら野党の道を歩むことになります。ただ、津村氏だとゆ党の立場でいたい、玉木氏や前原氏らが不満を抱えるでしょう。一度でもゆ党になりたい、と表明した政治家は、野党の中でも毛嫌いされます。いつ与党に寝返るか分かりませんし、野党の中でも破壊工作をしかけるかもしれない。国民民主の態度がそうだったように、野党共闘をわざと崩すようなことをするからです。
国民民主はもはや野党でもないので、反自民票も乗らない。次の選挙では壊滅するかもしれない。それでも選挙に強い、前原氏などは政治家として残るのでしょうが、それが前原氏のめざす「酷い政党制」なのかもしれません。自分の身を自分で守れない者は淘汰され、与党とうまくやっている者だけが生き残る、そんな政党をつくるということ。国民民主に残っている議員は、須らく次の選挙で自分の見は自分で守らなければいけないのでしょう。何しろ、どちらが代表になっても大した選挙の顔になるわけでもなく、応援演説すら頼めないのですから。

立憲民主は9月29、30日に開く党大会を「立憲フェス2018」にすると発表しました。この名称だと、ただの「憲法を制定する祭り」です。立憲民主とするか、立民にしないと、意味的にはおかしなことになるでしょう。自民党にあげ足をとられたら、立民も憲法制定を祝っているから改憲に賛成しているはず、と揶揄されるでしょう。
立民が「野党は反対ばかり」は正しくない、とする意見を表明しました。それに対し、維新の足立議員は「対案もないのに反対ばかりしているからだ」と、反論にもならない反論をしています。間違った政策に対案をだす必要はなく、成立を阻止すればよい話。目指す方向性はよいが、中身が悪い、というときに初めて「対案をだす」となるのです。何でもかんでも対案をだすのは可笑しな話です。そして、安倍政権では対案をだすまでもない、おかしな政策ばかりだからこそ、対案が必要ない、となるのです。ゆ党の人々の主張はどこか抜けていて、ユーモラスですから漢字を当てるなら愉党でよいのかもしれません。

「立憲フェス2018」は、どうせなら「Let's(リッツ)憲民主フェス2018」などと、遊び心を入れてもよいのでしょう。ゆ党のユーモラスさは、滑稽や奇妙といった類ですが、どこかで遊び心の入ったユーモラスさは、国民にアピールする上でも必要でしょう。そうやって健全な野党を育てていかないと「現実的な政党政治」すら、今は風前の灯なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2018年08月18日

雑感。障碍者雇用の水増し

米中の首脳が11月にも会談の方向、と米紙が報じました。約3ヶ月で事務方の協議をまとめ、首脳会談で解決、という筋書きもあるでしょう。ただ問題は、本当に3ヶ月でまとまるのか? であり、中国は米国の要求をどういった形で解決するか。逆に、この3ヶ月をただの時間稼ぎでつかう可能性もあり、まだまだ予断を許さないところです。
トルコ国債の格下げが相次ぎましたが、こちらは米側との調整がまったくつかない状況です。リラ急落でインフレが急上昇するとの観測もあり、それでも利上げはしない、というエルドアン大統領の意向もあって、解決策がありません。格下げによって金利も上昇し、額面との差も大きくなり、さらにそういう取引を呼びこんでしまうかもしれない。ある意味、米国とケンカするだけでなく、市場ともケンカしているので、トルコはやせ我慢する未来しか待っていないのかもしれません。

各省庁で障碍者雇用を水増し、という話があります。一般的な企業なら、行政指導や改善命令、ひどい場合は営業停止などの処分を下せますが、省庁ではそういった措置が難しい。関与した職員を懲戒処分したとしても、長期に亘っていた場合はすでに退職しているでしょうし、職場を移っていた場合には責任をとらせない、が省庁の慣行です。それを破って、今回の水増しを処分できるか? しかも、安倍政権では公文書の改竄をしても処分しない、などと行政の仕組み自体が揺らいでいる。今回も、本気で処分する気なら、閣僚も含めた処分にならざるを得ませんが、その閣僚はさらに処分をされた試しがない。閣僚が自身の不祥事で処分をされたことがあっても、行政の問題で処分をされたら、それは安倍政権の失点になるため、処分はされないのです。
直近では、野田総務相が金融庁から情報開示要求をされた資料を、開示前に見せてもらったとしても、自身が閣僚給与を自主返納しただけで、処分をされたわけではありません。意外なほど安倍政権は、閣僚には処分を下さないのです。そして官僚の場合、問題を切り離すタイミングで処分を下しますが、だからといって刑事事件にはしない、という確約もあるのでしょう。安倍政権では罪と罰の考え方が、すでに崩壊しています。

ソ連のスターリン時代に活躍した作曲家に、ショスタコーヴィチという人がいます。彼はソ連共産党から酷評されたり、称賛されたり、その身が常に危険に晒されながら、それでも国際的な評価もうけ、スターリン時代の大粛清を生き抜いた人物です。彼自身が語った言葉と証言されるのが、「ファシズムとは単に国家社会主義(ナチズム)を指しているのではない。この音楽(レニングラード)が語っているのは恐怖、屈辱、精神的束縛である」とするものがあります。ドイツ軍に奇襲をうけ、第二次大戦に参戦したソ連の国民を鼓舞するための音楽、としてレニングラードが作曲され、演奏されました。
…というのが通説ですが、その後の研究で、レニングラードは開戦前には着手されており、実は戦争の忍び寄る恐怖、とされる部分を描いたのは「スターリンへの恐怖」だったのではないか? とされます。スターリンの死後、「世の中はよくなるか?」と問われたショスタコーヴィチは「時代は変わったよ。しかし密告者は以前と同じだ」と答えたといいます。スターリンのような恐怖政治を布くのは、今の時代は難しいかもしれない。しかし『法の支配』を外し、『政治の支配』を適用し、罪と罰の考え方が歪んでいるこの国では、すでに「恐怖、屈辱、精神的束縛」が支配している、といえるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加

2018年08月17日

米中貿易協議に関して

中国商務次官が訪米し、22日から協議入りするとのことです。しかし事務方の会議であり、23日には米国からの160億$の追加制裁措置が発動されることから、まずはその話し合いから始まるものと予想されます。中国としては景気減速が鮮明になってきて、財政出動による景気下支えと、住宅価格の再上昇を容認するなど、なりふり構わなくなってきており、米中協議でも中国側が妥協する、というのが一般的な見方です。しかし米中貿易戦争の発端である中国の知財などの問題は、そう簡単に片付くものではありません。
口先だけ約束して、とりあえずやり過ごす、ということも中国の対応では多いですが、対米貿易黒字は毎月発表されますし、知財の問題を先送りしても、すぐに貿易問題に切り替わるだけでしょう。米国の要求が多いからこそ、ハードルも高く上げているのであって、それが一度の話し合いで解決できるはずもありません。中間選挙の前に成果の欲しいトランプ大統領が、どこを妥協点としているかも見極めにくく、折り合いがつけられるかも予断を許しません。今回は互いに腹の探り合いになるだけでしかないでしょう。

そんな中、米国防総省が中国軍事動向の年次報告書で、海兵隊にあたる陸戦隊を2020年までに3倍の3万人規模に増強、とします。ただし、これを尖閣と絡めて考えるのは早い。中国はその前に、アジアやアフリカ、南米などで条件付き投資をすすめ、数十年先までの使用権を確保してきた。港や軍事基地など、お金をだして整備した上で、中国がつかう権利を得てきたのです。しかし新興国不安が起きる今、嫌が上にも相手国の政変によって、その権利を何の補償もないまま奪われかねない。つまり中国は、自国の権利を守るためにも陸戦隊を用いてそれらの無為に奪われる権利を、守っていかなければいけません。
一帯一路に代表されるように、中国は様々な国に手を広げてきた。未だに先進国投資が細る新興国から、融資を頼られるのも中国です。逆にいえば、リスクをとって投資してくれるのが中国だけであり、その中国にとっては自分たちの使用する権利など、実利も伴っていなければいけなかった。それを守る戦いを、今後強いられることになるのです。

そうした動きは、恐らく同時多発的におきるため、中国としては陸戦隊を増強するしかない。ただ、中国でも人件費が上がり、人民解放軍のなり手も減少する。何より急速に高齢化がすすむので、徴兵制にしなければ間に合わなくなるかもしれない。人件費や福利厚生の手厚さで人を集めることがムリなら、強制するしかないのです。しかしそうすると士気は低下する。今後、人民解放軍の質の低下が、国際的な問題になるかもしれません。
尖閣諸島周辺に向けた漁船も、今年は日本の領海への侵入は少なそうです。10月後半にも日中首脳会談、という話もでてきましたが、中国としては米中貿易戦争の中で、日本とも関係を深めておきたい。7月貿易統計でも対中貿易が堅調だったように、日本の販路を失うわけにはいかない、というところでしょう。漁民の不満を逸らすより、経済全体の落ち込みをより意識していることが、中国共産党の判断の中に見え隠れするようです。

シャドーバンキングの規制も、締め付けすぎれば景気を悪化させる。地方の債務拡大も、すでにいつデフォルトしてもおかしくない水準、とされる。今はまだ、中国リスクは然程意識されていませんんが、米中貿易協議が頓挫すると、改めて中国の抱える様々な問題が意識されることでしょう。そして新たに浮上する中国の軍事費拡大、という懸念。負債大国が抱える闇、中国では『一万を恐れず、万一を恐れる』とも言われますが、今の中国はまさに『万一』が起きかねず、そのときは新興国不安を加速度的に悪化させる恐れがあることには、注意しておかないといけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 経済

2018年08月16日

雑感。株価の急変動と別荘で休暇

相場が荒れています。朝方に日経平均で300円超下げていたものが、中国商務省長官が渡米という話で昨日の終値近辺まで値をもどしました。大した材料ではありませんし、手口をみてもこうした急激な動きをおこすような主体も見当たらなかった。今後何か大きな動きが起こる、そんな予兆なのかもしれません。その引き金になりそうなのは、某証券会社がだした、今期の企業業績が減益になる、というリポートです。
4-6月期は絶好調でしたが、むしろ貿易戦争を回避するため生産や荷動きを前倒しした可能性があることは、これまでも指摘してきました。しかし多くの証券関係者は、今期も増益を主張し、予想EPSを高めに見積もり、その水準で株価を語ってきました。実際、どちらも予想ですから、結果がどうなるかは分かりませんが、どちらかが間違っているので、どちらかの予想に基づいて投資していた層は失敗することになります。しかしいずれにしろ、急激な動きでは調整が間に合わないのであり、買い方が不利にもなります。上値は限られるのに、下値は底なしであり、しかも高値水準にある現状からみると、下方に急激な動きが起きやすい。下方への動きを牽制したい、そんな流れが今日だったのかもしれません。

しかし株価が下落すると、安倍政権には打撃です。通常、政治と株価は連動しませんが、第2次安倍政権発足以来、甘利越えなる言葉も生まれたように、株価への言及が目立ったことで、安倍政権のへ評価が株価との相関性を高をめたためです。実際、市場関係者でも安倍政権を評価する人間は、株高を成果としてみる向きがあり、そういう層は総じて今期も業績が好調、と訴えてきた。つまり株高至上主義をとり、それこそ安倍政権を支持する理由としてきた。業績が悪化すると、それが尽く否定されることにもなるのです。
ただ、数年前の米国のように、業績不安があっても株価が底堅い、というケースもある。実際に今期の米企業業績も、元が高いだけにそれ以上の結果は望めない、という話もある。米国では必死で減税などのカンフル剤を打ち続けようとしていますが、米財政悪化との兼ね合いであり、数年ともたないでしょう。業績が悪化しても株価が底堅くなるには、その先に成長が期待できるときですが、現状の環境はそうしたものが描きにくいのです。つまり業績がそのまま株価に反映される素地ができつつあります。

話は少し変わりますが、北朝鮮で拘束された日本人、保守系でスパイ的な活動も担っていたのでは? との話もあります。実際は分かりませんが、ただ安倍政権は困ったことに、中東で拘束されているジャーナリストの安田氏には『自己責任』を押し付け、北朝鮮で拘束された人を助ける、という二重基準がとりにくい。金銭的にしろ、交渉するにしろ、なぜ安田氏にはそうしないのか? が問われます。対国と対テロ組織、との違いはあれど、交渉するぐらいのことはどちらもできるのであり、片方だけそうする理由がないのです。
安倍首相は夏休みで、別荘でゴルフや食事会など、優雅な暮らしです。片や山口県で行方不明の男児を発見した尾畠氏は、休むことなく西日本豪雨災害のボランティアに向かうそうです。安倍氏の方が一回り以上は下、志の差を感じます。人を助ける、という基本的なことを蔑ろにしてきた安倍政権、経済すら怪しくなってきた今、自分を助ける、とばかりに総裁選を戦う様をみて、国民が何を感じるか? 本来、総裁選は国の行方を決める、首相を決める場でもあるのに、政策論争すら予定にないという。自民党が何をめざしているか? 少なくとも国民の方を向いていないことだけは確実であり、株価もどちらを向いていいか分からない、そんな状況が今の日本ということなのでしょうね。

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2018年08月15日

雑感。終戦記念日

山口県の周防大島町で行方不明になっていた2歳男児が発見されました。驚くのは、大分からボランティアで来ていた男性が、独自に歩いて発見したこと。地元の人間は、まさかこんなところに…と頭から決めてかかってしまい、判断が鈍ったのかもしれない。純粋な視点、客観的な判断が一番大切なのかもしれない。改めてそう感じさせられます。

平成で最後の終戦記念日です。安倍首相の戦没者追悼式の式辞は、毎年フォーマットされた文を読むだけ。原爆の日の挨拶も同じですが、自分の言葉を乗せようともしません。やはり安倍氏には戦争や原爆に対する強い思い、といったものはなく、あくまで首相として、式典があるから参加する、というに過ぎないのでしょう。
安倍氏の単独訪問が68ヶ国で歴代首相として最多、とも報じられますが、小国でお金をばらまき、歓心を買うのが大好きで、自尊心をくすぐられるから…そう考えると評価も一変します。そもそもそれをすることで、日本にとってどう国益につなげられるか? が大事で、それが国際社会で日本への支援を得るためだったり、その国の成長を自国にも還元させたり、といったことがなければいけません。現状、新興国が成長し、先進国はその成長をとりこまない限り、経済規模が維持できないのはどこの国も同じ。グローバル化が進展した今は、どこの国でも新興国とのつながりが大事なのです。つまり今、新興国の位置づけが上がったからこそ、そういう国との付き合い方も変わったのであり、何も特別なことではありません。それが安倍氏の趣味と合致した、というのが68ヶ国の単独訪問であり、それを評価するかどうかは、上記した通りの結果が残せたとき、となります。

そんな新興国は、今や不安が襲います。円借款とて債務であり、金利は低くともその国が財政破綻してしまえば、償還は困難となります。むしろ国際的な圧力で債務放棄を迫られるでしょう。橋や道路など、インフラ拡大がその国の成長に寄与すれば、返済を滞りなくすすむでしょうが、そうでなければ過剰設備となり、その国の負担になる。そういう視点でも、安倍外交の成果というものは評価しないといけません。
今や戦争は、武器でドンパチやるより、貿易『戦争』や経済『紛争』とされるように、マネーの世界で起きるものが常態化しています。こちらは血を流すことはありませんが、貧困や混乱を通して、その国を疲弊させる。この戦争は、不幸のバラマキという点においては世界全体に及ぶ可能性を秘めており、悲惨さが実感されにくいだけに注目もされませんが、より厄介であることは復興を難しくすることでも、顕著なのでしょう。

論語では『疏食を飯らい、水を飲み、肱を曲げてこれを枕とするも、楽しみ亦その中にあり、不義にして富みかつ貴きは、我において浮雲の如し』とあります。そこまで達観できれば、貧困でも幸福でしょうが、人はそう簡単ではありません。浮雲のような人々が社会、経済を混乱させる。それはいつの世も変わりないのかもしれませんね。


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2018年08月14日

雑感。自民党総裁選は「改憲を争点」?

今日の日経平均は大幅に切り返しました。ただ売り方が買い戻したのではなく、日系大手が新たに買いポジションを組んだ、というのが話題です。しかもこの証券会社は4-6月期の業績が純利益で90%減となり、経営難を囁かれていた折ですから、憶測も呼びます。ホールセールという金融商品を取り扱う部門が赤字であり、ここ数年は相場の流れを変えるための大量売買なども目立つことから、ホールセール部門の損失をカバーするためか? などと揶揄されていたこともあり、今日の動きとともにこの大手から目が離せません。
昨日は阿波踊りにおいて、総踊りを分散開催するよう要求する市側に対し、踊り子の団体が反発して総踊りが強行されました。分散されれば、それぞれに収益がでる、と考えるのは机上の空論で、総踊りという盛り上がりがあって、初めて祭りのクライマックスとなります。ただし、この混乱で阿波踊りが注目されたことも間違いなく、宣伝効果を狙ったとしたら、この鉛筆を舐めた人は、むしろほくそ笑んでいるところでしょう。

自民党総裁選は安倍氏と石破氏の一騎打ちの公算が高まりました。ただ、安倍氏が「改憲を争点」とするのは違和感もあり、石破氏は生粋の改憲論者、安倍氏との差は「現行の自民案でそのまま推すのか?」だけです。安倍氏は自民案のまま、臨時国会提出を目論見ます。何しろ、そうしないと自身が総理総裁でいる間に、改憲できないためです。一方で、石破氏は自民案そのものに疑問を呈すので、これは自民の内輪の話で、改憲に対する考え方の差に過ぎません。安倍氏の狙い通り「改憲を争点」などと報じ、国民にも改憲機運を盛り上げようとするメディアの手口でもあり、総裁選の争点ですらありません。
この総裁選の争点は、ずばり『安倍氏に乗るか、反るか』だけです。安倍氏は敵に冷たく、身内に甘い。特に、身内となれば怪しい事案がもち上がっても刑事訴追もうけない特典つきです。言葉は悪いですが、スネに傷もつ政治家ほど、安倍氏に逆らって敵とみなされたら、政治家生命すら頓挫する。そうして国会議員では7割が安倍氏支持といいますから、よほど探られたくないお腹が黒い政治家が多い、ということかもしれません。

特に、岸田派や石原派、竹下派の一部など、支持表明が遅れた派閥などは閣僚ポストすら与えられないでしょうから、尚更ここで安倍氏を支持するのは冷や飯を食いたくない、という以上の理由があるのでしょう。そして、この動きで注目すべきは、安倍氏はよく「自民党は結党以来、改憲を訴えている」という点です。つまり今の自民案でいい、というのなら、結党以来の改憲政党というのは、単に改憲したいだけの、中身の薄い政党だったということにもなる。自民こそ右から左まで集まった、意見集約のできない政党、ということを露呈することになります。自民改憲案は、まさにそうしたものでしかありません。
むしろ総裁選は、自民党議員、党員による「見解を争点」となるのでしょう。それは、国民が納得していないモリカケ問題を、まったく無視して総裁選をすすめて、国民に対して理解が得られるのか? 安倍氏を守るため、公文書の改竄まで行ってお咎めなし、こうした刑事訴追もうけない、独裁国家のような体裁を容認するのか? その見解を、自民議員、党員には問われる、ということです。安倍氏へのハッシュタグをつけ、応援する動きもありますが、安倍支持層が総裁選にむけ、仕掛けたネット戦略でしょう。しかしこうした動きも含めて、「同じアホなら踊らにゃ損々」とばかり、安倍氏に乗っかるメディアや政治家がこの国を腐らせていく、そんな構図は戦前から何も変わらないのでしょうね。

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2018年08月13日

株式市場の変調

日本ではお盆休みに入っている人も多いですが、世界の市場はトルコ不安に怯え、動揺しています。引き金はクーデターに関与した、としてトルコが拘束した米国人牧師がトランプ米大統領の支持層でもあるキリスト教福音派とみられ、対立が激化。報復のし合いになっている。また、トルコのエルドアン大統領は中央銀行に介入、金利引き上げを否定しつづけることから通貨リラが急落しています。それに伴い、トルコに多く貸し付けている欧州銀に不安が波及、金融資産の巻き戻しの動きが顕著となってきました。
ただ違和感があるのは、リラ急落はしばらく前から起きており、水準として何かをブレイクしたわけでもない。それなのに先週末からリスクオフの動きが活発になったのは、夏休みで取引参加者が減った事情と無縁ではないでしょう。そして、これまでの世界経済が『資金流入』という事情で牽引されてきたため、これが『資金流出』に転じると、一気に脆さを露呈することも、これは意味します。そして、世界経済がこれまで『資金流入』により借り入れが楽になり、経済が潤った反面、これから償還を迎える債権を捌ききれるのか? という不安も重なった。複合要因が今回の急落の要因ともなっています。

そしてこれは、日本も無縁ではありません。三菱重工がトルコへの原発計画参入をすすめていましたが、リラ急落でコストが急騰し、ペイしなくなる可能性が高い。そればかりか、日本はトルコへの貸付は少ないですが、アジアには多い。新興国不安が波及すると、世界的に景気が悪化する可能性があり、損失は貸付の多い順、逃げ遅れた順に大きくなっていきます。昨年辺りから急速に増えた日本からの貸し出しは、戦略の見直しを遅らせる可能性を多分に秘めており、日本の金融機関の損失が拡大するかもしれません。
そして問題は、この不安は折にふれて市場を動揺させる原因たりえること。FRBとECBが資金吸収のサイクルに入り、減ることはあっても市場にマネーが増えることはない。弱い市場から淘汰されていきます。今回のトルコは、強権政治家同士の衝突が引き金となり、市場が準備する間もなかったことも、動揺を大きくする一因ですが、どこの国でも極右、極左の政党が議席を伸ばしており、どこでもそうした衝突が起こり得るのです。

トランプ大統領は中間選挙を控え、エルドアン大統領は選挙に勝った直後の自信、つまりこれらは経済リスクというより、政治リスクです。翻って日米貿易交渉は協議がまとまることもなく、次回会合まで持ち越しとなりました。安倍首相は強権政治家とみなされがちですが、内弁慶なだけであり、外交ではからっきし、最弱の交渉しかできません。しかし米国が結論の先送りを容認してくれたのは、別の提案をしたためなのでしょう。
米国による宇宙軍創設への貢献。日本の宇宙ビジネスは弱く、宇宙軍に参画することで信用を高める、との計算もあるでしょう。しかし宇宙関連の後進国である日本の劣った技術など、米軍が必要とするか? 『はやぶさ』による小惑星探査で日本は湧きますが、ナゼ他国はそれに追随しないのか? 簡単にいえば、火星移住計画をすすめる米国にとって、小惑星探査を飛び越えて、次のステップにすすんでいるからなのです。

その火星移住計画をすすめていたテスラのイーロン・マスク氏は、テスラ株の非上場化をTwitterで公表。捜査機関から資料の提出を求められ、集団訴訟も起こされています。宇宙ビジネスの曲がり角と、証券市場の曲がり角、偶然との見方もありますが、この一致は決して偶然ではありません。そんな中、日本だけは資金供給をつづけ、宇宙ビジネスで一儲けを考えている。前回の政権時、安倍氏はKY(空気読めない)ともされましたが、今回は世界的な規模でKYぶりを発揮し、その結果、日本がどんな状態に導かれるのか? お盆は死者の魂がこの世にもどってくる時期ですが、日本そのものが現世を彷徨うことにすら、なりかねない状況といえるのでしょうね。

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2018年08月10日

4-6月期GDP速報値について

4-6月期GDP速報値で、実質で0.5%、年率換算1.9%、名目で0.4%、年率換算1.7%となりました。市場予想よりは良い数字ですし、1-3月期はマイナス成長だったこともあって、高い値がでていますが、楽観できる数字ではありません。個人消費は0.7%増ですが、自動車や白物家電が回復とします。しかしこれらは買い替え需要であり、偶々それが気候もよく、買い物にでかけるタイミングで発生した可能性があり、継続性には疑問です。
設備投資は1.3%増ですが、機械受注をみても7-9月期は横ばい、と示すように伸び率が期待できない。民間住宅が2.7%減と4四半期連続の減少となったのも、賃貸アパートの建設バブルが終焉したことを意味します。一巡したことになり、次の四半期からは低いラインが基準となるので、下げは限定されるかもしれませんが、当分この分野には期待できない。何しろ、もう造り過ぎているのであって、過剰供給の解消を待たねばなりません。

GDPデフレーターは2四半期連続のマイナスで、これで「デフレでない」と安倍政権が使うことにも違和感が生じるようになりました。また雇用者報酬が1.9%増と、1-3月期の1.2%増からさらに伸ばしてきた。6月は一時金が乗っているので、高めに出ている可能性もありますが、国民総所得(GNI)が下がっても報酬が伸びた前期と異なり、GNIも伸びており、これが本物だとすればよい数字といえます。ただし、輸出入ではこれと異なる数字もある。
輸出が0.2%増、輸入が1.0%増だった。米中貿易戦争で、制裁発動前の荷動きが活発だったので、日本から中国への部品輸出が好調かと思いきや、輸出は大して伸びなかった。円安の動きが限られたこともあるでしょうが、もし4-6月期がこの程度の伸びだと、7-9月期はかなり悪いのかもしれない。海外の景気は好調という話もありますが、それは米国ぐらいであって、新興国不安も直撃しているかもしれない。そして、輸出より輸入が伸びているのに、海外からの純所得が伸び、GNIが改善しているのは、海外投資を増やした結果かもしれない。その場合、新興国の不安が顕在化したときは、日本は大きな負の要因を抱えるのかもしれない。そして、その米国との日米貿易協議の行方も気になるところです。

自由(Free)、公平(Fair)、相互的(Reciprocal)の頭文字をとってFFRとも呼ばれますが、米側は自由貿易協定(FTA)を要求、日本はTPPなど多国間の枠組みを提案し、「一定の理解」を得られた、とします。しかし安倍政権が用いる、この相手が「一定の理解」をしたとの文言には注意した方がいい。相手にFAX一枚送っただけで「厳重に抗議」と言ってしまう安倍政権ですから、「一定の理解」ほどの弱い文言なら、それは単にそのとき反論がなかったというに過ぎず、FTAを要求する米国が、日本の提案を「理解」するはずもないのです。
今日の株式市場は大きく下がりましたが、25日線と75日線がゴールデンクロスするよう、仕掛けてきた層が、夏休みをとるためポジションを落とさざるを得なかった、とみられます。逆にいえば、買い方への援護射撃が少なく、仕掛けに失敗したということです。それは日米貿易協議の行方次第で、上に行くことはなくとも下に行く可能性は十分に高いのであり、ここに大きなポジションをかけておけない、となるのは自然です。GDPでも、4-6月期の先食いと7-9月期の低迷がどれぐらいか? それを確認しない限り、買い材料にすらできなかったのです。しかも以前から指摘のある通り、安倍政権では『その他』の項目がGDPでも増えており、数字の信ぴょう性も問われている。それを市場に対して「一定の理解」を求めたところで、納得する人は少ない、ということでもあるのでしょうね。

2日間、お休みしたいと思います。

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2018年08月09日

景気ウォッチャー調査と景気をウォッチしない政府

昨日、7月の景気ウォッチャー調査がでてきました。現状判断DIは46.6で前月比1.5pt減、先行き判断DIは49.0で前月比1.0%減。今回、気になっていたのは西日本豪雨災害の影響で、交通網の混乱で消費減、農産物の被害で価格高騰、などの影響がでている。また猛暑関連でもエアコンや冷蔵庫の売れ行きはいい、との声がある一方、来店客数の減少や秋物への移行がすすまない小売りなど、少なくない影響もでています。また原油高の中、豪雨災害によりJR貨物が不通となったことで、物流網の再構築などが迫られるなど、家計からも企業からも悲鳴に近い声が寄せられています。現状が悪いことはある程度想定されましたが、西日本豪雨と猛暑のダブルパンチで、先行きまで悪化するのは短期でこの影響が終わらないだろう、誰もがそうみていることも影響するのでしょう。

長崎原爆の日で、安倍首相の演説はやはり広島でのそれと変わらないし、毎年同じことをくり返すばかりです。本気で核廃絶に意欲があるなら、自分の言葉で少しでも前進するよう、言葉を尽くすでしょう。被爆者からも核禁止条約を批准しなかったことへの説明を求められましたが、安倍氏はまともに答えなかった。安倍氏は「現実的な策…」として、核保有国も納得できる合意を、としますが、そんな合意がとれるのか? また安倍氏はそれに向けて何らかの手立てがあるのか? その動きを何もしていないのですから「現実」には、安倍氏はまったく無策のまま無為に過ごしている、という結論にしかなりません。
西日本豪雨災害でも、悪影響が目立ち始めているのですから、早く補正予算をとりまとめて被災地を安堵させ、景気の下押しを食い止めなければいけないはずなのに、まったくそれをする気配もない。このままお盆を越し、先に予想した通り、総裁選の成果として補正をとりまとめるつもりなのでしょう。今、無為無策であることを棚に上げ、私は一生懸命にやっている、とアピールする。実際には遅れに遅れているのに、です。サマータイムなども、その影響や効果についてどこまで知識があるのか? 不明なように、安倍氏の行動原理は、自分にとって都合よいことを、都合よいタイミングで行う、に終始するのです。

4-6月期機械受注は前期比2.2%増だった。7-9月期もほぼ横ばいであり、内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏み」と下方修正しました。7-9月期は従前から心配しているように、猛暑と西日本豪雨災害で計画を下振れると予想され、不安は増します。しかも米中貿易摩擦の影響をうけないよう、4-6月期はかなり需要を先食いした印象もあり、その影響もこれから出てくるでしょう。いずれにしろ景気は先行き、弱含みが予想されます。
注意しなければいけないのは、景気ウォッチャー調査で「良」と答えているその多くに、人手不足による効果が乗っている、ということです。それを差し引けば、実は日本の個人、企業のマインドは大きく低下してしまっている。しかも人手不足は少子高齢化の結果ですから、むしろ日本全体からみれば悪影響でもあるのです。そして今、猛暑ばかりでなく、水不足による農作物への被害も顕著になってきた。安倍政権は、不足するところに充足することなく、景気減速を甘受するつもりなのでしょう。なぜなら、米国さえ景気が堅調なら、株高は持続され、安倍政権の失敗とはみなされないためです。しかしこれが安倍氏の、景気対策における「現実的な策…」というのなら、その対応は『現実をまったくみていない的外れな策』の略語としか、思えなくなってくるのでしょうね。

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2018年08月08日

雑感、不健康な日本

翁長沖縄県知事が亡くなりました。膵臓がんは発見が難しく、みつかったときには手遅れともされるので、予後も心配していましたが…。ただ、安倍自民は沖縄県知事選にむけて、警戒を強めていることでしょう。辺野古移設に反対しつづけ、その心労が祟ったとして弔い合戦にもちこまれるためです。11月の県知事選、自民沖縄県連は佐喜間宜野湾市長に出馬を要請していますが、弱った翁長氏なら与しやすい、と踏んでいたでしょう。
反基地派は「翁長氏の遺志を継ぐ」として、一つにまとまれば十分に対抗できる。問題は、その象徴的立場だった翁長氏の後継に誰を据えるか? それ次第でしょう。翁長氏は無念だったはずですが、すでに選挙を戦う体力もなかったはずで、むしろここで亡くなったのは最期の抵抗だったのかもしれません。自民党の肝は十分に冷やせたはずで、これを反基地派は熱に変えられるかどうか? それ次第で弔いを果たすことも可能です。

日本ボクシング連盟の山根会長が辞任しました。子供の口座に代金をふりこみ、などを『私物化』と呼びますが、組織として対処すべきことと、身内を巻きこむこととの差を弁えることができない以上、組織としては弊害しかありません。暴力団関係者との交際、も語られますが、実はこうした反社会勢力とのむすびつきは、至るところで垣間見られるものです。つまり暴対法の抜け穴、杯はかわしていない、暴力団員ではない、でもその威光を笠にきて、社会的地位を得てきた人物は意外と多くいるものです。
本来は公安がそうした組織をピックアップし、補助金の支給などにも制限をかけないといけない。しかし今や半グレなど、暴対法の対象外の組織もでてくるなど、規制をかけるために暴力団の定義を確定したため、そこから外れることもできるようになった。まさにそうした隙間で、組織をのっとられたのが日本ボクシング連盟でもあったのでしょう。

最近、菌活なる言葉が流行っています。腸内細菌は大きく善玉菌、日和見菌、悪玉菌に分けられ、そのバランスで健康や体の状態が変わってくる。だから菌活し、善玉菌を増やして健康になろう、というものです。そしてこれは社会にも当てはまる。組織として正しいことをしようとする善玉、組織を悪い方向に導く悪玉、そして日和見です。ここに強い悪玉が入ってくると、日和見はそちらに靡き、組織全体が不健康な状態となる。それは日本ボクシング連盟然り、そして日本の政治についても同様でしょう。
今は悪玉が優勢になり、不健康極まりなくなってきた。日和見はそれこそ忖度などを通じて、悪玉に協力している。善玉はますます劣勢になり、数を減らしている。今はそうした状況でしょう。辺野古に基地などつくるべきではなく、国防に何の役にも立たない米海兵隊など、嘉手納に統合すれば十分です。しかしそうした正論は消され、基地建設という利権を目当てに、建設業などが推す候補に票が集まっていく。それがどれほど日本を不健康にしているか? それに気づけないようなら、日本は内部から蝕まれていくだけなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:05|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2018年08月07日

6月の経済指標について

中東のテロ組織に身柄を拘束されている、とみられているジャーナリストの安田純平氏ですが、政府の冷血な対応がめだちます。前回、後藤健二氏のときはヨルダンの交渉ルートに拘り、無策のまま殺害されてしまったため、今回は「自己責任」を盾に、何もしないつもりなのでしょう。安倍政権にありがちな、どうせうまくいかないのだから、真面目にやるだけ無駄、という発想なのでしょう。そういう態度が、日本のインテリジェンスを低下させる主因であり、外交の安倍、の肩書すら寒々しく響きます。
安倍氏がサマータイム導入にむけて検討を指示、とします。やっぱりマラソンや五輪の競技時間を、米プライム帯に寄せる提案をしてきたか、というレベルですが、東京五輪に間に合うはずもありません。しかもコストは企業や民間が負担し、健康被害を始めとした問題もある。日本人の命など守る気もないのでしょう。そもそも酷暑の中、スポーツをさせるのが問題なら、すべて深夜に行えばいい。マラソンは観光を兼ねる、という恣意的な問題もあって昼間に開催したい、という時点で、すでに命を軽視しているのです。

6月の毎月勤労統計がでて、現金給与総額は前年比3.6%増となりました。ただ、特別に支払われた給与が7.0%と伸びており、ボーナスの6月支給が増えた結果か、ともみられます。また一般労働者の所定内給与が0.9%しか伸びていないなど、賃金上昇率でみると物足りない。本当に2%以上の賃上げがされたのか? 疑問符がつく内容といえるでしょう。
しかも賃金が増えているはずなのに、6月家計調査では消費支出が1.2%減です。賃金が上昇しても消費が増えない。それは物価に含まれない生鮮食品などの値上がりが顕著で、影響した可能性もあります。6月は猛暑の前なので、特需も発生していないでしょう。ただ、猛暑が顕著になった7月以後も、エアコンなどは伸びが限定されています。家電量販店では、エアコンを設置するまで数週間かかり、それは取り付け作業員のボトルネックが原因です。今、購入を希望しても設置は8月後半、暑さの盛りは過ぎていることになり、エアコン本体は今や値引きして売らざるを得ない。事実、エアコン売り場は閑古鳥です。

私も7月後半に寝室のエアコンが壊れ、家電量販店を回って感じたのは、エアコン特需は7月で終わり、ということなのでしょう。日銀の資料でも、個人の金融資産は増えていないので、資産効果も日本では低い。個人消費はこのまま伸び悩みがつづくのかもしれません。内閣府の景気動向指数もジワリと下がり、半導体製造装置の納期延期など、嫌でも米中貿易摩擦を意識させます。米中双方との取引が大きい日本だけに、無傷ではいられない。そんな不安も、個人消費に影響しているのなら、この問題は長引きそうです。
しかも、西日本豪雨災害もあるため、7月以後の統計の数字にはブレも生じてきます。働きたくとも職場が被災したり、自宅の清掃に時間がかかったり、個人消費にも影響するでしょう。下手をすれば、消費税再増税まで一段と悪化するかもしれない。安倍政権の経済政策は、どうせうまくいかないのだから、真面目にやるだけ無駄、になりつつあるのかもしれません。統計の数字さえ弄って、好調であると見せかけておけば国民は満足するのだから、それで十分、というところかもしれません。しかしその数字の中に見え隠れする不安な材料、最近の株式市場は上海市場に引きずられることも多いですが、一体この国の主体性とは? 日本人を守る気もない政権では、日本経済とて自主独立した形での強さを身に着けることなど、到底ムリといえるのかもしれませんね。

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2018年08月06日

雑感。豪雨被害と原爆の日。

関東に台風が直撃する恐れがあります。これまで関東は台風の被害を避けてきましたが、いずれ必ず起きることです。長雨+ゲリラ豪雨、東京は窪地で谷になっているところも多いため、未曽有の被害になるかもしれない。シミュレーション結果通りにいくかどうか、それを試されるのだとしたら、東京五輪を前にして、新たな防災対策をとらなければならず、今回は一つの実例として記録されることにもなるのでしょう。

野田総務相が政策集をだし、総裁選に意欲をみせます。しかし推薦人を集めるのも大変で、もし集まったとしても、それは安倍首相の側が反安倍票を分散させる目的があって、推薦人を融通してくれたとき、に限られるのでしょう。第5次安倍政権に、総務相として就任しましたが、いわばこれは官僚というスパイを周りにおいているようなもの。野田氏の一挙手一投足は逐一、菅官房長官に連絡されていたでしょう。そこで仮に秘書にしろ、軽率な行動をとった。そして金融庁が情報漏洩をしても、それを問題視しなかった。
その二つの失態により、安倍氏の側に弱みを握られたも同じです。永田町では『運も実力のうち』ということがより顕著ですが、野田氏にはその意味で実力不足かもしれません。そもそも、閣僚就任要請をうけるべきだったのか? というところから判断を問われるのかもしれません。むしろ要請をうけたなら、より慎重に行動しなければならなかった。今年になってから安倍氏の側に弱みを曝した、その時点で野田氏の負けは確定です。

今日は広島原爆の日です。安倍氏はその前に広島の豪雨被害を訪れ、「応急仮設住宅の建設を急ピッチで」や支援策も「直ちに実行」とします。しかし行政は予算がつかない限り、動かないのが道理であり、いずれも規模が決まらない限り、着手できるはずもありません。相変わらずの安倍語である「急」や「直ちに」と、強調する言葉を用いますが、中身はぺらぺらです。それは原爆の日の演説も同じ、定型文を読むばかりでやる気も、中身もありません。なぜそうなのか? は豪雨被害への対応も、原爆廃止も、安倍氏にとってやる気の出るものではない、ということなのでしょう。
西日本豪雨災害といっても、安倍氏の地元である山口県の被害は少ない。よほど失敗しない限り、災害対応は政府の手柄になります。つまり一所懸命に災害対応をする必要はない。従米の安倍政権は核放棄など、主張できるはずもない。最近、メディアでも「米国の核の傘にいる日本は…」と平気で用いますが、トランプ米大統領が日本のために、反撃の核をつかうなど想像もできません。言及はしても、実際に撃つことはないでしょう。米国にとってメリットがないからです。だとすれば、日本は核廃絶に向けて動く、という脅しをかけて米国に約束させつづける、という手ですら、安倍政権はとろうとしません。

「運も実力のうち」という意味では、安倍氏の強運は目をみはるものがあります。東日本大震災からの復興を「成長」と言い換えることができた。度重なる自然災害も、寄らば大樹の陰で、政府への信頼を増すことにつながった。しかしその間、国防費と自然災害への対応で、財政は火の車になってきたのです。しかし実際、東京で豪雨災害に見舞われたとき、同じ理屈が通じることはないのでしょう。数々の不祥事も、その時々の豪雨災害で火消ししてきた安倍氏ですが、財政の火だけは燃え広がったままです。度重なる豪雨が、安倍政権の築いてきた防波堤をつきくずし、燃え上がる火を白日の下にさらすのか? いずれにしろ国民が求めていることにやる気をださない安倍政権は、火だねだけは方々に抱えていることになるのでしょうね。

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2018年08月05日

雑感。栃木小1女児殺害事件の控訴審判決

一昨日、栃木小1女児殺害事件の控訴審判決が、東京高裁でありました。かなり異例なのは、録画・録音での自白から事実関係を認定したのは法令違反で破棄は免れないが、被告が母親にだした手紙や車の走行記録など、状況証拠で「合理的な疑いをさしはさむ余地はない」として無期懲役の判決を下した点です。これまで、警察は自白をとることに躍起となり、自白さえとれれば有罪にできる、という形が多かった。それを法令違反として断じたのです。逆にいえば、録画・録音について警察の恣意的な利用をゆるさない、ということでしょう。ただもう一方で、この程度の状況証拠で有罪か? との疑問もわきます。

今回、一審と二審では検察の主張する殺害場所が変わるなど、かなり異例の経緯をたどりました。つまり自白をとっても、殺害場所や方法について、秘密の暴露がほとんどなかったことになります。なので、自白そのものは価値がなかったのでしょう。なので、状況証拠に頼らざるを得なかった。しかし母親への手紙が状況証拠か? 甚だ疑問といえます。
ロスタフという心理学者による実験で、人の記憶は簡単に捏造できる、ということは証明されています。取調官が誘導する形で、本人の記憶にないことでも、それを事実として認識するようにもできる、ということです。そしてこれは、弁護人にも同じことが当てはまる。つまり勝又被告は、警察によって偽の記憶によって罪を自白し、母親にも謝罪の手紙を送り、それを弁護士によって否定される記憶を植え付けられた、とも考えられるのです。つまり言葉は悪いですが、検察の主張も、弁護士の主張も、記憶によって説明されているものは、すべて虚偽である可能性を捨てきれない、ともいえるのでしょう。

だからこそ状況証拠には、客観的事実としての信ぴょう性が必要です。その中で、疑問なのは遺体に残されていた粘着テープから、被告のものは発見されず、第三者のものが発見された、という点です。検察は「捜査過程で混入した可能性」を指摘しますが、であればそれを証明する必要があるでしょう。証拠を取り調べた鑑識官であったり、現場保全に努めた警察官、それに発見者のDNAなどを丁寧に集め、一つ一つ発見されたDNAをつぶしていかなければいけません。粘着テープの表なら別の人間がさわった可能性もありますが、粘着部ならさわった人が限られるのですから、証明はできるはずなのです。
こんな判決をだしているようでは、死刑反対論者が用いる「冤罪が多い」という言葉も否定できなくなるでしょう。状況証拠であっても、有罪にして構わないと思いますが、今回それを認定するには無理があります。検察は今回、重大な箇所を訴因変更する、という異常な手段にうってでたのですから、上告審までにきちんとした筋道を立てた状況証拠を提出し、事件のシナリオを示すべきでしょう。今のままなら、安倍政権に忖度した政治家や官僚への捜査が行われない、という司法への疑念とともに、その信頼はゆらぐばかりといえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 社会

2018年08月04日

雑感、野党の動き

米国の7月雇用統計で非農業部門の就業者数が15.7万人増となり、予想にとどきませんでした。しかし市場は反応薄、それもそのはずで米国の経済を大きく崩すような材料が重ならない限り、市場も一過性のものだろうとして楽観がつづきます。米経済が複数の指標で、景気減速が意識されない限り、もはや雇用統計単体で材料視されることもないのでしょう。逆にいえば、それぐらい米経済の強さは際立っているといえます。

衆院会派『無所属の会』の岡田代表が地域政党『三重民主連合』を立ち上げました。『民主連合』の呼称は、旧民進勢力の地域政党として統一感をだすことを目的としており、野田氏の『千葉民主連合』と合わせました。この動きは国民民主にとっては脅威で、支部を丸ごと奪われることにもなります。ただし、これは国民民主が民進の後継勢力である、という前提の下でのことであり、分裂したと考えるなら国民民主は文句もいえません。
そんな国民民主では玉木共同代表が出馬の意向、と伝わりますが、支持率1%、党員・サポーターは民進時代の3分の1、となった原因でもある玉木氏がつづけたとて、さらに党勢は減退がつづくだけでしょう。最大の問題は「対決より解決」として、付帯決議に2、3の項目を追加してもらうことを成果とし、野党分裂を招くその態度です。法律として機能するもの、方向性として正しいものならそれでもよいですが、そうでないものに付帯決議をいくつつけたところで、国民への悪影響は避けられなくもなるのです。国民民主にその判断ができているかどうか? ただ自民の補完勢力になっているだけでは? その疑問にまず、玉木氏が答えを出す必要があります。無投票再選になったら、国民民主はそれこそ国民から呆れられるでしょう。他に適当な人材もいない、とみなされてしまうからです。

そんな野党では、立憲民主の枝野代表の国会代表質問が、書籍化されて話題です。ただし通常国会で、立憲民主が存在感を示せたか? というと疑問です。参院では野党第一党ではない、という難しさはありますし、そもそも衆院でも自民の5分の1程度の議席しかないのですから、抵抗したところで高が知れています。また国民民主や維新など、ゆ党の存在も邪魔をしているといえるでしょう。しかし立憲民主にはまだ、政局全体を見渡して効果的に攻撃をしかけたり、情報戦をしかけたり、が圧倒的に足りないと感じます。
今、政治の話題を取り上げるメディアも少なく、以前なら与野党の議員が討論する番組もかなりありましたが、今ではほとんどありません。そういう意味で、情報戦を仕掛けにくくもなっているでしょう。ただ、今は枝野氏か、蓮舫氏、辻元氏ぐらいしかメディアに顔をだすこともなく、情報発信力が不足しているようにも感じます。例えば、維新の足立氏など悪い意味でよく目立ちますが、情報発信力はある、といえるでしょう。立憲民主に足りないのは、神話学でいうところのトリックスター。いいことも悪いこともす、ハチャメチャをしても憎めない、神話全体を面白おかしく盛り上げてくれる、そんなキャラかもしれません。言葉は悪いですが、優等生ばかりでは面白くないので注目もされません。

これは能力的な高さと同時に、人間的魅力も兼ね備えている必要があり、しかも口が悪いというかなり難しいポジションです。しかし政界全体を巻きこんで、盛り上げてくれるキャラがいれば、メディアも嫌でも取り上げざるを得なくなるでしょう。個人的には自由党の山本氏などは適任に思いますが、もう少し感情面をコントロールし、発言にユーモアと風刺が利くようになると完璧でしょう。今は安倍氏とその取り巻き、に牛耳られている政界ですが、牛を否定して善行を守って政権交代をめざすより、牛を馬に乗り換えてもらえるような、そんな暴れ馬のような存在をめざした方が、近道なのでしょうね。

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2018年08月03日

経済財政白書

平成30年度、経済財政白書が閣議に提出されました。「白書」:今、Society5.0の経済へ、と題したものですが、中身をよんでも表題の意味がよく分かりません。社会が変革したのでそれに合わせた経済財政政策を、ということなら遅きに失した感があります。

2002〜08年と比べ、12年以後は実質より名目の成長率が高い、と自慢げに語りますが、マネーサプライを増やしているのである意味、当たり前です。しかも企業収益は増えている、というデータでは製造業の伸びはほぼゼロ、非製造業しか伸びていない。後段でも出てくるように、サービス消費の伸びはほぼ通信料の増加と、アプリの課金で説明できます。
それまでのiモードはトラフィックの増加を抑えるための仕組みであり、パケットという概念が頭を押さえていた。スマホが普及し、通信量も膨大となり、通信料も増え、端末代金も跳ね上がると同時に、買い替えサイクルも早まった。買い替えサイクルが製造業を押し上げないのは、Appleなどの海外勢が強い分野だから、というのもあるのでしょう。とにかく今は大胆な言い方をすれば、GDPの伸びもほとんど説明できてしまいます。ということは、安倍ノミクスがあろうとなかろうと、成長していたことにもなります。しかも、通信料が多い消費者はそれ以外の消費額が下がっている、という傾向も顕著であり、これが最近の安倍政権が大手キャリアへ圧力を加えている理由ともなっているのかもしれません。
しかも1章のまとめとして『利益、生産性、人手不足感が高まるとベア実施確率が上昇』としますが、1章をかけて上記3つが高まっている、と説明しておいて、現状のベア実施確率がそれほど高まっていない状況を『将来の業績懸念も影響』とする。この辺りに安倍政権の誤算が見え隠れするようです。つまり『今だけ』政策の安倍ノミクスでは、持続性に疑問があるために、企業の賃上げがすすまない。長期に亘って日本が成長できる形でない安倍ノミクスは、この時点で失敗する要因を内包させていた、といえるのでしょう。

2章では『人生100年時代の人材と働き方』では、定型的な業務が減り、技術職や接客が増える、としますが、製造業の業績が伸びていないことは1章で示しており、技術職が増えるのか? また『学び直し』や『自己啓発』で『年収が増加』としますが、そのデータの出典は曖昧です。IT人材は大学で学んでいない傾向がある、とするのですから、情報系の大学を増やすべきですが、認可されたのは加計学園の獣医学部ですから、方向性が滅茶苦茶ともいえます。広義では獣医師も接客業になるのかもしれませんが…。
3章でやっと『Society5.0』が出てきますが、第4次産業革命がすすんでいるが日本には一部遅れ、とします。ネット販売の利用が低い、電子決済の利用が低い、としますが、日本に限ってみれば大手が独自に参入し、乱立している状況が利用を阻害しています。しかも日本は起業が少ない、としますが、それも大手を優遇するため隙間産業ぐらいしか参入できないことが影響します。安倍政権が大企業を優遇する以上、この傾向は変わらないでしょう。つまり、この経済財政白書を総覧した結果として言えることは、安倍政権があらゆる面で日本の成長に対して足枷となっている、という事実です。ただし、安倍ノミクスとしてマネーサプライを上昇させたことだけは安倍政権でなければできなかった、という意味でいうなら、見かけの成長だけしたとなるのでしょう。Society5.0、社会という形としては捉えにくいものを、ver.をつけて何か違うものであるかのように表現する。ただしそこにもっとも不要なのは、そんな見せかけばかりの安倍政権、となるのでしょうね、

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2018年08月02日

ワイドショーを騒がす問題と、安倍政権の立場との類似

日銀が2日午後、予定にない国債買い入れオペを行いました。指値オペと異なり、額を決めて行う通常のオペは、予定日に行うのが通例です。今回のことは「不意打ちオペ」などと渾名されていますが、長期金利は0.145%をつけたとはいえ、黒田総裁の示唆した0.200%とはまだ乖離もあり、昨日と比べても0.025%しか動いていない。単に、日銀の会合から2日で日銀の許容する上限がネタバレするのを恐れた、としか思えず、ますます日銀への信用が揺らぐ事態といえるのでしょう。まだまだ日銀の動き、余波がありそうです。

突然、厚労省の分割案という話がでてきました。安倍政権の方向性がはっきりしてきたのは、財務省は公文書改竄があってもお咎めなし、財源をひねり出させるのに、協力は不可欠ということでしょう。文科省は安倍政権に逆らったので、徹底的に叩き潰す。厚労省は分割して閣僚と委員会ポストを増やすのに利用し、経産省利権は肥大化。今井補佐官は最近、安倍氏と距離をおいているとされますが、まだ強固な関係のようです。
自民党が同党の杉田議員の「LGBTは生産性がない」発言について、自民党がHPに「理解不足と関係者への配慮を欠いた表現」と載せました。しかし約半月、杉田氏から発言の修正は行われておらず、もしこれが「理解不足」なら、依然として「不足」していることになり、HPに載せる前に杉田氏の理解を促す方が先でしょう。そして、関係者に配慮していたらよいのか? 急に安倍氏も「多様性は大事」などと、やっと発言しましたが、遅きに失している。同党の谷川氏は「同性愛は趣味みたいなもの」と発言し、火に油を注ぎ、二階幹事長は「大げさに騒がない方がいい、この程度の発言」とするなど、党の考えが『差別的であること』は露呈しています。自民党の議員の多くに「理解」した上で、LGBTを差別的にみる土壌があることは、杉田氏が「応援された」と語っていたことでも明白です。

しかし安倍政権が焦りだしたのは、この問題に限らず、最近おきている日大アメフト部の危険タックルから始まる、田中理事長の独裁の問題。日本ボクシング連盟の山根会長の問題など、『長期独裁体制による弊害』が意識されだしたことも影響するのでしょう。どこの組織でも起こりうる、それは政党という力関係が歴然と現れる場ですから、尚のこと強まります。安倍政権が9年続き、何かおかしなことが覆い隠されているのではないか?
その一端が垣間見えるのが、今回の省庁に対する恩賞と懲罰の使い分け、にも強くでているのです。そもそも文科省不正の仲介役、とされる谷口氏は医療コンサルを勤めており、文科省ばかりでなく厚労省にも顔が利いたでしょう。厚労省は不問に伏すから、厚労省分割という目くらまし、省庁再編は折にふれて記事になるから、政治の不祥事の際は御用メディアがこちらを記事にすることで、国民の目をくらますこともできる。そんな利用をすることで安倍政権と厚労省が手を打ったのかもしれません。まさに御用メディアが、厚労省は分割した方がいい、といった記事を並べるのも、その意義を後付けするものです。

しかも、明らかになった東京医大の女性受験者の点数を低く抑えていた問題も、「女性は出産や子育てで職場を離れるから…」とした理由も語られますが、出産は仕方ないとしても子育ては男性でもできる話です。これなど、古い考えを基にした根拠づけをしたことで東京医大はその権威を著しく貶めた、といえます。そして、この問題も安倍政権に波及するのを恐れたのかもしれません。性差別、LGBT差別が日本では蔓延している、しかもそれを主導するのが安倍政権、与党である、などとなったら外交、内政に支障がでることにもなります。『差別、長期独裁の弊害、そのトップリーダーが安倍政権』、日本が何かおかしくなっている…そんな印象を重ねられることに、今の安倍政権は恐れを抱いていることの証左が、HPの掲載なのでしょうが、むしろ逆効果ともいえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2018年08月01日

雑感。日銀会合後の動き

日銀の柔軟化に対して、様々な動きも出ています。国債は0.115%をつけた時点で、緊急取引証拠金を発動しました。これは先物取引で、想定を超える変動があった場合などに業者に追加で預託を求めるものです。ただ昨日と比べて0.070%程度の動きであり、緊急性があったかは疑問です。結局0.120%まで上昇しており、アナウンス効果としての抑止力は大して働かなかった。一昨日は0.100%で指値オペを入れたのに、今日は0.120%まで容認したのは、政策による変更かもしれませんが、これについても説明が必要です。
何しろ、会合で決定がでるまでは事前の決定に従う、としても、27日にも介入を入れた水準と比べ、30日は大して動いておらず、緊急性があったとは到底思えない。30日には1.6兆円の応札がありましたが、日銀の最後のプレゼントとも言われる。そんな形で指値オペをつかったのだとしたら、日銀の信頼にも関わります。今回、大した変更もなかったのに、円が対ドルで1円近く動き、国債市場もこうして動く。市場との対話には失敗したようにもみえ、今後の日銀のアナウンスメントにも問題が生じかねなくなったのでしょう。

経団連が夏のボーナスの調査で95万3905円、前年比8.62%増と発表しました。労働法制を通す見返りとして賃金上昇を求めた、その結果といえるでしょう。ただし、今後はボーナスの出ない高プロなどが増えることからも、支払わない分を上乗せした、といえるかもしれない。もしくは、政治から圧力をうけたので、数字を捏造したのかもしれません。
何しろ、先々月に発表された日銀の資金循環統計で、家計の投信保有残高が109兆円から76兆円に33兆円も下方改定しました。また中小企業保有投信残高も、7兆円から44兆円に上方改定した。これは家計から中小企業へ移した、というわけではなく、単なる算出方法の見直しで30兆円以上のぶれが生じたことになる。こんな無茶苦茶な統計を公的機関・日銀がだしておいて、経団連が統計で数字を誤ったとて誰が責められるというのか? 安倍政権ではすでにGDPの算出方法の改定を行っており、その数字にも疑問がもたれている。経団連が自分にとって都合のいい数字を捏造したとて、驚くようなことでもないのです。

しかも、日銀が示した資金循環統計では、家計が『貯蓄から投資へ』動いたのではまったくなかったことを示し、つまり安倍ノミクスの恩恵で、株高で家計が潤ったのでもない、ということを示してしまった。むしろ日本の個人はより防衛的になっており、安倍ノミクスへの信用はほぼゼロ、という状態にあることになります。安倍政権は経済政策が評価されている、という人もいますが、日銀の統計が事実だとすれば、それは否定できます。
中国も、景気減速に対応するため、財政出動も伴う景気刺激策をうちだしてきた。米国では更なる減税としてキャピタルゲイン減税もうちだすようです。世界は現状の良好な状態を維持するために、どこもムリを重ねており、それがさらなる不安を生じさせている、ともいえるのでしょう。政府や中央銀行の言うことが信じられなくなったとき、この信用によって構築された世界経済が大きく崩れるきっかけともなり得るものであり、今はオオカミ少年のうち、誰が最初に本物のオオカミにかみ殺されるか? の競争にもなり始めているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般