2019年07月

2019年07月31日

かんぽ生命の問題

今朝も北朝鮮による飛翔体発射がありました。安倍首相は「我が国の安全保障に影響を与えるような事態ではないことは確認している。引き続き米国などと緊密に連携」と語ります。1年と少し前までは、北朝鮮ミサイルに対し、全国で避難訓練をするよう促していたのと、同じ口がそれを語るとは到底信じられません。であれば、何が1年前とちがうのか、はっきりさせるべきです。むしろ今回のミサイルは、低空飛行を確認するため、新型の試射とみられることから、より迎撃が難しいものになった印象が強いのです。むしろ、どうせ避難訓練をしても間に合わないのは自明だから、というのなら1年以上前の政府の判断を誤りとみとめるべきです。
むしろ1年以上前は北朝鮮への圧力路線で、国内向けに危機を煽る立場だった。今は拉致問題の解決のため、話し合いを求める立場だから、という事情しか考えられない。つまりそれは「我が国の安全保障」ではなく、「安倍政権の態度」と読み替えると分かりやすいのでしょう。米朝交渉がつづく間は、日本を攻撃してこないだろう。だから避難訓練しなくていい、という理屈なのでしょう。ただ、だからこそ1年前は何だったの? という疑問が安倍政権にはつきまとう。頭を抱えてその場にしゃがみ込む、ミサイルへの対応より、安倍政権の方針の差について国民が悩むからこそ、そういう訓練をしておいた方がよいのかもしれません。

かんぽ生命の不正契約の問題が、拡大の一途です。5年で18.3万件のといい、すでに判明していたものから倍増、3000万件ある保険契約をすべて見直す、としますが、民営化後からの述べ数は3000万件ではとどまらないでしょう。解約された分も含め、契約者への聞き取りをすすめない限り、全容解明はできません。それが半年やそこらでできるか? 甚だ疑問といえます。そもそも、ノルマが新規契約に偏り過ぎていた、などと語りますが、経営陣は新規契約が増えても契約件数全体が増えていないことは把握していたはずで、これは経営の失敗であり、組織ぐるみの犯罪と断じてもよいのです。郵政自身が調査するだけでよいのか? 第三者機関、もしくは国の機関が立ち入り調査するなど、厳しく対応するべきでもあるのでしょう。
これで小泉政権での、郵政民営化は誤りだったことが確定した形です。利益優先の態度がノルマにつながり、詐欺的行為にもつながった。そもそも契約件数により賃金の多寡が変わる。成果主義とも呼ばれますが、基本給により通常の生活が送れて、その先に成績優秀者がより高い報酬を得られる、という形でなければいけない。それが、ノルマを達成して初めて人並みの生活が送れる給与となる、まさに郵政がブラック企業である実態を浮き彫りにし、顧客目線ですらない異常な組織であることを露呈したのですから。

最低賃金が初めて1000円乗せ、などとも報じられますが、1000円だって1日8時間、平日のみ出社すると大体17万円ぐらいです。税金と社会保障、水光熱費、通信費、家賃を払っていたら半分以上がなくなります。そんなものが生活の安定につながるはずもありません。まさに郵政が生活の安定につながらない雇用環境をつくっていた。これが安倍政権のいう、雇用情勢の改善か? と言いたくなります。そしてこれは新自由主義にもとづく経済政策の失敗をも意味するのでしょう。民営化すれば何でもよくなるわけではありません。
新自由主義が成功するためには、資産をすべて没収し、人的繋がりもリセットし、つまりゼロの状態からスタートするなら、真に能力を評価された社会が成立します。しかしそうでない限り、初期条件が違うまま成果主義、能力主義など取り入れたところで失敗するのは目に見えています。つまり成立した社会では、どういう形で導入しようと必ず失敗するのです。経営難の郵政が、保険営業で失敗したツケは、郵政株の売却益を目論んでいた安倍政権を直撃しますが、むしろ自分たちの失敗の結果を自分たちが負う、というだけです。

もし野党が、次の選挙で安倍ノミクスに変わる経済政策をうちだすとしたら、それは新自由主義の失敗から、中間層の復活を訴えるべきなのでしょう。なぜか、安倍政権は就職氷河期世代の正社員化、などといいだしましたが、全世帯で基本は正社員化し、非正規は自ら望まない限り、そうした境遇になることはない。雇用環境が良好というのですから、それぐらい強気にでてもよいのかもしれません。まさにかんぽ生命による不正契約は、新自由主義にもとづく経済運営に失敗した象徴でもあります。国民が頭を抱えてしゃがみこむ、経済政策の失敗によりそうなる前に、国の基盤を強くする形をつくるしかないのでしょうね。

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2019年07月30日

日銀の金融政策決定会合は現状維持

日銀が金融政策決定会合を開き、現状維持となりました。ただ、一言でいえば必死で『緩和に前のめり感』を演出した、といえます。「物価安定の目標にむけたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合、『躊躇なく』追加的な金融緩和措置」などですが、『躊躇なく』をアピールするも、その言葉には何の意味もありません。ナゼなら『躊躇します』などというはずもなく、『躊躇した』という印象を市場が抱いたとしても、それを否定すれば済むからです。つまり『躊躇』という言葉自体、日銀がどうとでも解釈や意味付けを変えることができるものであり、問題は『モメンタムが損なわれる』自体を、日銀がどう想定するか、です。
例えば、この言葉を素直にうけとれば、景気が悪化しても物価安定が崩れない限り追加緩和しない、と読み解けます。ただ、モメンタムの意味合いに景気情勢が含まれるのなら、緩和することになる。景気が悪化してもインフレがすすむケースもあり、この言葉は曖昧すぎて日銀がどう考えるかを読み解けないのです。今回、記者の質問に答える形で黒田総裁が「予防的と言っていい」と言及しましたが、すでに経済情勢の分かれ目である50を下回る指標が多いので、経済動向から物価上昇のモメンタムは崩れていますが、日銀は「予防的」に動いているわけではない。一体、どこからが予防で、どこからが対症療法なのか、まったく曖昧なのです。

しかし日銀の展望リポートをみれば、そこにヒントもあります。『2021年度まで〜景気の拡大基調がつづく』『輸出は、当面、弱め〜基調としては緩やかに増加』『国内需要も〜増加基調』『消費者物価〜2%に向けて上昇率を徐々に高め』です。つまり日銀は、日本の景気は良い、物価は今のままで上昇していく、と考えているのです。正直、驚くべき楽観といえるでしょう。しかしこの見通しを維持しておかないと、追加緩和しない理由が成り立たない。自分たちの政策が正しい、というためにこんな楽観を並べた、ともいえるのです。
一方で、下振れリスクは4点、海外経済、消費税増税の影響、企業や家計の中長期的な成長期待、財政の中長期的な持続可能性、とします。3番目が分かりにくいですが、要するに国内で成長、後退、マインドが双方にぶれる可能性がある、というのですが、そんなものは当たり前で、それを防ぐのが政策であるはずです。リスクはむしろ、安倍政権、黒田日銀が失敗した、という点にある。しかも、これでは重大な問題を見落としています。

最近、日経新聞でも雇用環境と賃金、労働時間など、指標からこれまでとは異なる動きを指摘する記事があります。私もだいぶ前から指摘していますが、例えば今日発表された6月鉱工業生産指数も、予想を下回る前月比3.6%低下でした。5月を参院選対策で高めにして基調判断を上方修正した、その悪影響がでたとみられますが、例えば設備投資も企業が成長するため、設備投資を増やせば雇用も増えて景気には好影響、とされますが、省人化投資は国としての成長ではなく、企業のみが収益性を高める、という話です。自社株買いも、1株利益を高めるため業績が悪化しても株価が上昇する。つまり株価や経済指標などの読み方、その意義づけがここ数年、数ヶ月で劇的に変わってしまう可能性が高い。つまり、日銀がモメンタムとするものが一体どんな材料を重視するのか? それ次第では政策を誤る可能性が、今や極めて高くなっているのです。
最大のリスクは、安倍ノミクスは成功と言い張るために、景気は良好という言い訳のために、金融政策が躊躇なく行われない可能性です。海外経済の動向を最大のリスクといいますが、日本はすでに景気減速の気配が濃厚です。日本の事情からすれば、予防的であれば緩和していてもおかしくない。しかし緩和の手立ては少なく、これから本格的に迎える景気後退に、余裕がないのが実態なのです。すでに『躊躇する』材料満載、というのが日本の事情であり、最大のリスクということです。しかもそれが、経済指標の読み間違え、あえて間違えることで為されようとしている。それはすでに、日銀の展望リポートの異様な楽観にも顕著に表れてしまっています。昨日の経済財政諮問会議で、安倍首相も「リスクが顕在化すればマクロ経済政策を『躊躇なく』実行」と述べていました。安倍政権や黒田日銀の存在こそが最大のリスク、それを躊躇なく言えてしまうのが一番の問題なのでしょうね。

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2019年07月29日

雑感。管理体制を見直すべき?

菅官房長官が、韓国釜山市が日本との行政交流を中断、と発表したことに対して「国民間・自治体間の交流はつづけるべき」と発言しました。しかし日本の自治体とて、慰安婦像を設置した自治体との姉妹都市を見直すなど、これまで何度もあったこと。そのとき何も言わず、韓国の動きだけ指摘するのは何とも…。
世耕経産相が東アジア地域包括的経済連携(RCEP)で、韓国が規制強化の撤回を求めてきたことに対し、「適切な場ではない」と拒否した、と発言しました。ただ自由貿易といいながら、「国内の輸出管理体制の見直しの一環」により、日本の貿易環境が変わってしまう、ということなので、それはRCEPでも問題となるでしょう。何度もいいますが、安倍政権が指摘するようなことを韓国がしていたなら、むしろRCEP内でも問題視すべきでしょう。安倍政権の対応が中途半端すぎて、それを「国内の輸出管理体制の見直し」で留めていることに問題を感じます。逆に、意義を強調するため風呂敷を広げ過ぎて、それが安倍政権の態度への疑問として拡大している印象です。どんな場でも、相手が求めてきたらきちんと誠意をもって対応し、その理を説けばいい。WTOの場でも、RCEPの場でも、きちんと説明できるはずでしょう。それをしない、というのが理解できない。結局、安倍政権にはきちんと説明できる材料がないのでは? とさえ勘繰れてしまいます。

英国ではバークレイズ、JPモル、RBS、UBS、シティバンクが外国為替取引の不正操作疑惑で、集団訴訟をうけています。実は、同じようなことはどこの国でも行われているとみられ、要はその深刻度と、取り締まりをうけているかどうか、だけの差です。金融機関はわずかな収益でも上げるために、様々な手を駆使していますが、それが当局から規制されるかどうかは、やってみないと分かりません。新しい手法は、特に法律が追いついておらず、後から違法と認定されることもある。英国のケースはやや特殊ですが、為替にしろ株にしろ、今やどこかを操作することで別の市場で儲けをだす、といったことが常態化しています。
仏国ではデジタル課税をかける方針であり、米国はその対抗策として仏産ワインに制裁関税、といった話もでています。仏国はG7でも議論する、としており、G20でもイニシアティブをとったはずの日本が、どうするのか? 市場監視が機能すらしていない日本では、デジタル課税すらまだまともに議論されていません。正直、そんな国がどうして韓国の不正輸出の情報をにぎったのか? そのことが大きなナゾといえます。

かんぽ生命の不正保険販売の問題が拡大の一途です。しかしこれも、メディアによる報道が発端であり、しかも一旦は郵政がそれを否定し、後追い報道でやっと認めた、という体です。この国では規制や監視が、まったく機能していない。監視をするための組織がありながら、そこが主体となって真実が明らかになるケースはごく一部です。それは安倍政権が、監視される側とずぶずぶであるケースが大半なのですから、まともな監視など機能しなくて当然、とは言えるのでしょう。例えば、週刊誌で靖国神社の幹部がセクハラ、とも報じられます。毎年、靖国神社に玉串料を納めてきた安倍氏ですが、セクハラには相変わらず寛容な態度かもしれませんが…。
一連の動きでいえることは、安倍政権はもう経済最優先の旗は完全に下ろしている、ということです。そんな中、経済財政諮問会議で、19年度の成長率を1.3%成長から、0.9%成長に下方修正。20年度は1.2%成長と、民間からかけ離れた数字をだしてきました。まさに、市場監視もできなければ、経済指標さえ正しくだせない上に、景気予測ですらまともなものが出てこない、という事態です。民間が正しい、などという気はありませんが、民間の19年度、20年度、ともに0.5%成長ですら高すぎる、との指摘があるほどで、政府がそれをかなり上回るなど、どういう試算をつかったのか、細かく分析してみたくなるほどです。むしろそんなことをしたら、「適切な場ではない」と拒否され、「国内の経済体制の見直しの一環」とだけ言われてしまうのかもしれませんけれどね。

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2019年07月28日

吉本興業の問題と安倍首相

参院選の期間中、インターネットに出回った真偽不明の情報をファクトチェックする推進団体が、50件以上あったと発表しました。深刻なのは、安倍首相自ら「年金積立金の運用益は民主党政権時代の10倍」とくり返し、くり返し発言していましたが、それを『誤り』と判断されている点です。インターネットで匿名の誰かが発言したものだと、情報操作の目的や、ただの愉快犯とも考えられますが、公人がしかも演説の場でした発言であり、『誤り』で済む話ではありません。これは2012年12月26日に発足した第二次安倍政権ですが、2012年の株価上昇を安倍政権の成果として組み入れているためで、誰がどう考えても民主党政権時代のものでしょう。しかも、東日本大震災からの復興過程であり、安倍政権の実績など皆無です。
恐らく、安倍政権の誕生期待で2012年の終盤に株価が上昇したから、それも自分たちの成果だ、という言い分なのでしょう。しかし株価など期待で上がりもすれば、失望で下がりもする。政権の実績という意味ではまったくないのですから、『誤り』と判断されることになります。そういえば、民主党政権時代にはじまった観光立国の施策を受け継いだだけなのに、安倍政権時代の成果として喧伝するなど、よほど他人の成果を自分のものとするのが、安倍政権は好きなようです。ただそれを選挙期間中まで発言するのは、人間性すら疑われるレベルなのでしょう。年金2000万円不足問題で、嘘をついてでも…とでも思ったのかもしれませんが…。

吉本興業の問題が、未だに世間をにぎわせていますが、安倍氏と吉本の関係について報じるところが少ない。今年でも4月20日になんばグランド花月で吉本新喜劇に出演、6月6日にも公邸に訪れた吉本興業のメンバーと昼食を共にしました。しかも今年の4月には吉本興業に対して、クールジャパン機構から100億円の公金が提供され、事業が展開されることが決定されており、まさに蜜月といえます。しかもここにきて、維新と吉本興業との蜜月ぶり、選挙応援に吉本興業の芸人が登場することも問題を大きくします。つまり、もし吉本興業が反社会勢力とつながりがあれば、それは政権と維新にもち直撃する問題にもなってくるのです。
そもそも、芸能人などの公人が選挙応援などに駆け付けることの是非もあります。現状、ボランティアであり、かつ歌手だったら唄を披露しないなど、寄付行為、利益誘導とみなされない範囲では、芸能人も選挙応援をしていいことになっています。ただお笑い芸人はどうでしょう? 笑いをとるのが仕事ですから、持ちネタやギャグをしなければいい、という問題ではありません。しかも吉本興業の芸人、全員が維新支持ということもないでしょう。契約書がない、などともいわれますが、もしそれが会社による何らかの命令により、応援演説をしていたら? もしかしたら、闇営業と同等か、それ以上の問題になるかもしれません。

しかも、そんな吉本興業に安倍政権から続々と公金が投入されているとしたら? 安倍政権、維新、吉本興業の三角関係により、日本が蝕まれている構図となってくる。さらに、その吉本興業がある意味公然と、闇社会とつながっていたら? 以前も指摘したように、カラテカ・入江氏は異例の厚遇をうけ、吉本興業と別会社を立ち上げてマネジメントを行っていたようであり、そこが受け皿となり、会社として受けにくい営業を請け負っていたとしたら、間違いなく吉本興業が闇社会とのつなぎ役となっていたことになるのです。
吉本の芸人が全員、出演自粛などとなったら、今のテレビ業界はひっくり返るかもしれない。ジャニーズの問題と同様に、忖度や圧力といったことではなくとも、メディアの世界には追及しにくい雰囲気が蔓延している、とさえ言えるのです。今や吉本興業の裏番長、とまで囁かれる松本氏ですが、それは実家が創価学会と関係がある、なしに関わらず、安倍政権と維新、吉本興業の関係を知っていれば、政治の批判などできなくなるでしょう。吉本興業の問題に関わらず、国民は裏側にこういう事情がある、ということを頭においておくと、メディアの報道の仕方、そこには笑えない事情が潜んでいることも理解できるといえそうです。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2019年07月27日

ECB理事会と米GDP

立憲民主と国民民主の代表同士が、国会や次の衆院選にむけて連携強化を確認した直後、参院国民民主が維新と会派を組む? と報じられました。参院幹部から維新に打診、というので深刻です。組織としてまったく統制が利いていない。そもそも政策パンフでさえ、維新とは大きな乖離があったのに、参院選の余韻も消えないうちに維新と会派を組めば、国民のみる目も変わってきます。この参院幹部の意図は分かりませんが、国民民主を改憲派として確立させるためだとしたら、「生まれ変わる」発言の玉木氏と連携していた可能性もあり、そうなると国民民主は分裂必至なのでしょう。果たして、立民との連携を重視する議員が多いのか、自民との連携を重視する議員が多いのか、国民民主への関心はそちらに移っていくのかもしれません。

欧州中央銀行(ECB)理事会において、主要政策金利のリファイナンス金利を0.00%、限界貸出金利を0.25%、中銀預金金利を0.40%に据え置く一方、声明でインフレ率を中期的に2%弱をめざす、としていた文言を削除、インフレ目標のシンメトリーにコミット、に代えました。また政策金利を20年半ばまでに現状もしくはそれ以下、またそれ以外の緩和手法を検討と、一気に態度を転換しました。緩和は事前のコミット通りですが、この理事会で緩和策の実施をみこんでいた層の失望を誘い、市場は中途半端な受け止めになりました。ドラギ総裁の記者会見でも目新しい緩和策が出てこなかった点もあるでしょう。ただ緩和スタンスははっきりしました。
米4-6月期GDPが発表され、年率換算2.1%増で市場予想の1.8%増を上回りました。一見すると堅調ですが、個人消費の伸びが4.3%増の伸びとなったのは、米中貿易協議での制裁関税前の、駆け込み需要でしょう。G20中の米中協議で関税は先送りされましたが、もし発動していたら生活必需品の多くが高関税で数%の値上げになるはずでした。輸出が減少、輸入も鈍化と前期の伸びから反転したこともあって貿易全体は0.65%のGDPの押し下げ要因。また在庫投資もGDPを0.86%、設備投資も0.6%減となりました。気になるのは、個人消費以外にみるべき点がないこと。減税効果が剥落しつつある中で個人消費は上記した通りですが、それ以外の下支え役がない。設備投資はボーイングの問題が尾を引いているとはいえ、インフラ投資の減は少し気になります。

来週は日銀会合、FOMCが開催されます。日銀は動かず、FOMCでは0.25%の利下げがコンセンサスですが、FOMCで『予防的利下げ』という文言が飛び交います。まだ米国の経済指標はそれほど悪くないため、ですが、米国の景気悪化は米中貿易戦争から始まっているとすれば、すでに予防の段階は過ぎており、FOMCの施策は処方箋でなければなりません。つまりワクチンを注射する段階なのか、それともすでにこれは悪くなっているので、薬になるのか? GDPを見る限り、今のところFOMCではワクチンでも、薬でもない策しか出てこない、となります。
金融相場で上昇した市場が、現状を今年いっぱい維持できる見込みはありません。そもそも年後半には回復、10-12月期は企業業績も回復、というシナリオは、少なくとも米中貿易戦争が解決している前提です。減税や駆け込み需要で見えにくくなっていますが、中身は相当に悪くなっている。市場参加者が減っていることもそうですし、投資家層がまったく拡大していない。景気のいい状況とは決して言えない事態が進行しています。

こんなとき、日銀は打つ手がない。ワクチンも処方箋もない。景気悪化を食い止める術は何ももっていません。日銀も、インフレ目標を「シンメトリーにコミット」と変えないといけないのかもしれません。そしてそれは、安倍ノミクスが完全に崩壊したことも意味します。今や安倍政権は物価目標を語ろうともしませんが、その政策目標がまちがっていたことが露呈するからです。むしろそのときは「晋三メメントモリにコミット」した方が、新たに日銀が「生まれ変わる」のにも必須となるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(6)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 海外

2019年07月26日

玉木国民民主代表の「生まれ変わった」

日米両政府が、米軍機が基地外で事故を起こした際、日本側が『迅速かつ早期の立ち入り』を実現するとガイドラインに明記することで合意した、とします。しかし『迅速かつ早期』というタイミングを決めるのは米軍であり、このガイドラインは何も前進していません。もしこれが成果なら、参院選前に合意を発表しているでしょう。しかしトランプ米大統領が日米安保の見直しに言及するのですから、思い切った交渉ができたはず。結局、米軍機が事故をおこしても、未だに米側が協議に応じない限り、日本側は立ち入りもできませんし、有害物質の情報も米側が提供する意思をもたない限り、日本側には開示されない事態は何も変わっていないのです。
やはり、ホルムズ海峡の有志連合への参加を米側は日本に求めてくるようです。自衛隊をだせば、有事勃発となれば、否応なく自衛隊が初の参戦という事態になります。戦争がはじまりました、逃げます、は通用しない。これは既存の自衛隊法だろうと、新たに特措法をつくろうと同じ、海賊への対処ではなく、有事への警備のための出動なのですから有事が前提となります。先の日本船籍のタンカーへの攻撃も、米軍が日本への行動を促すために自ら仕掛けたとしたら、断ることもできないのでしょう。年内はこの問題で相当にもめそうです。

そんな中、国民民主の玉木代表が「生まれ変わった。改憲議論をすすめるし、安倍首相にもぶつける」と発言。今日になり、火消しに走っています。上記した通り、安保法制全体が今、大きな岐路にさしかかっているタイミングで、何で火中の栗を拾うのか? しかも野党共闘を確認した折ですから、尚更です。参院選で、無所属で当選した議員を国民民主に引き入れるなどし、何とか体裁を保ったことで油断したのか? しかし撤回された前言が本音、というのが定番であり、玉木氏は代表の座すら危なくしたことは間違いありません。
そもそも参院選後に「生まれ変わる」とは? これまでの態度を変える、ということであり、それは有権者を裏切る行為にも聞こえる。参院選の公約を守れない、守らないと述べているのと同じです。そんな人物を党の代表にかついでいたら、有権者からの信用も得られません。つまり改憲議論ばかりでなく、最大は選挙が終わった途端に「生まれ変わる」ような政治家は、有権者ばかりか政治家でさえ信が置けなくなるのです。

安倍政権が韓国のホワイト国認定のの取り消しを、来月2日も決定、政令改正は21日後なので、8月下旬に認定取り消しとなる見込みです。パブコメ(意見公募)でも大半が除外方針を支持、としますが、今や安倍系雑誌のほとんどが『韓国ざまあみろ』の一色であり、パブコメにもそれらの層がこぞって意見を寄せたでしょう。文政権の支持が上昇しており、戦略を変えるかとみていましたが、逆に強硬路線をさらに深めることで、文政権が頽れるのを待つ、という戦略のようです。安倍系メディアは『韓国が不利』と書き立てますが、これまで安倍政権が強硬路線をとって、上手くいった試しがないというのは忘れてはいけない事実です。
北朝鮮に対しても、世界に強硬路線を訴えて回るなど、率先して圧力をかけましたが、北朝鮮は全くぶれませんでした。今回の韓国への制裁とて、米国が協力するなら効果も高まりそうですが、今は米国も静観。米国にとっては北朝鮮の半導体製造が鈍化すれば、自国の半導体産業が有利になるのですから、日本側が圧力をかけるのを放置しておけばいい。米国がかかわって、韓国の『恨』を買うのは嫌なので、勝手に日本だけがやっている、というスタンスでしょう。こうした国際的な動きも弁えずに、ただ韓国を懲らしめれば満足する、といった支持層に支えられているのですから、安倍政権には救いがないのかもしれません。本来、「生まれ変わる」とは悪いことに気づいて、善人として出直すときに使うものであり、悪いことへ向かうときは「道をふみ外す」といいます。もう道を踏み外しまくっている政治家は、生まれ変わったところで改善も期待できない点は、残念ということなのでしょうね。

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2019年07月25日

雑感。石崎議員の醜聞と財務省

宮城県の高校野球、夏の決勝で最速163kmの大船渡のエースが投げませんでした。批判もありますし、球数制限を導入する話などもありますが、選手のためを思うなら試合間隔の中2日を徹底するべきです。グラウンドの確保や、日程の組み方が難しいという点はあれど、6月から大会がはじまれば余裕をもって日程をこなすことができる。球数制限や規制をかけると、結局は選手をあつめた強豪チームばかりが有利になってしまいます。泥に塗れ、血の汗流して奮闘する高校生に感動する、といった悪しき慣行は改めるべきなのでしょう。

北朝鮮が飛翔体を発射しました。米韓軍事演習の前に、米朝協議でイニシアチブをとるため、などとも語られますが、トランプ米大統領が長距離兵器でない限り問題視しない、とするのですから機会があれば撃つでしょう。メディアは大騒ぎですが、安倍首相は山梨の別荘でゴルフの日程を変えることもありませんでした。北朝鮮が気にするのは米国だけですから、日本を射程にとらえるミサイルを撃つことに躊躇いもありません。これでわかることは、拉致問題解決を標榜する安倍政権とは、交渉する気もないということだけです。
自民の石崎議員が、秘書への暴行、パワハラが報じられ、かつ買春疑惑までもち上がっています。石崎氏は暴言をみとめており、暴行は「捜査に影響」として明言を避けたものの、近く会見を開くとされますが、問題は自民の対応です。離党勧告とするだけ。議員辞職を促してもよいはずで、特に比例当選ですから、自民が困ることはないはず。それでも甘い処分で済まそうというのは、実は自民議員にはこうした議員が多くて、芋づる式になるのを恐れているか、もう一つは石崎氏が財務省の元官僚という事実があるかもしれません。

これだけ景気に不安がある中で、消費税増税を決行する。これまでも強引な国会運営で法案を成立させてきた安倍政権ですから、増税を止めることもできたはず。安倍氏のいう強い経済なら、増税を止めても歳入は確保できるからです。それ以上に歳出が増える、という問題とともに、森友問題で最大限の配慮をみせ、公文書改竄まで行った財務省に対して安倍政権が増税を確約したのではないか? だから今回の選挙でも、覚悟を決めたのではないか? そうでないと、財務省から暴露がある、それを恐れたともみられます。石崎氏は直接そこに関係しませんが、OBを守ることも省庁は率先して行うものであり、すでにこの問題が報じられてから数日が経過していることもあって、鈍い出足の間に根回しがあったのかもしれません。
統計不正に関して、内閣官房にチェック機関をつくるという話もありますが、その内閣官房が主導して統計不正が行われたのでは? との疑惑もあり、チェック機関どころか司令機関として、統計不正がさらに拡大する懸念もあります。吉本興業がブラック企業、という話もでていますが、自民党議員の方がよほどブラックであり、そんな議員ばかりなら自民党そのものがブラック、と認定してもよいのでしょう。それこそ就職氷河期世代への手厚い支援を謳う中で、その司令塔がブラックなのでは笑い話にもなりません。

自民党の統治手法は、まさに組織が腐っていく手法、そのものといえます。忖度ばかりでなく、阿諛追従するものを重用し、安倍政権のために犯罪に手を染めた者でさえ守る。組織として仲間を守るのは当然ですが、それは問題を抱えた者まで含んではいけない。それは周囲が納得しないようなことをすれば、規律が緩んで組織が壊れていくからです。むしろ高校野球でも、連戦連投などを促す行為をブラックと認定してもよいのかもしれません。ただすでに、安倍政権が行政組織を腐らせている点については、ブラックではなくもう壊れている、という意味でブロウクン組織と呼んでもよいのかもしれませんね。

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2019年07月24日

「強い経済」と2020年の日本

参院選後の日本株の動きは、22日が19日に日経225先物を大量買いした日系大手が、そのうちの少しを売って下落。その後、2日間は上昇しています。米国による華為技術への制裁緩和、の話でハイテクが堅調になったり、バルチック海運指数の改善から世界経済に楽観が広がったり。材料探しといった様相ですが、その後の2日間の動きは外国人投資家が主導した、とみられます。あくまで噂として。欧米の投資家は7月から夏休みをとることも多いのですが、欧州、米国の担当者は来週の中央銀行の発表まで動けない。逆に、日銀はどうせ動かないだろうとして、夏休みをとるために一部の売りを買い戻している。つまり日本の担当者はもう夏休みをとっていいから、今は上がっているというのです。それだけ日銀への期待値が下がっているのです。
FRBは利下げ、ECBも利下げ、LTROなどの材料があり、それを確認しないと動けませんが、日銀はどうせ手がないとみられている。IMFが世界経済見通しをだしましたが、日本は19年の成長率が0.9%、20年が0.4%です。消費税増税の影響は免れない、とするのですが、この見通しの重大な点は米中貿易戦争が終結している、との前提であることです。米中貿易戦争が来年まで長引けば、日本は間違いなくマイナス成長、この見通しはそういうことです。これが安倍首相のいう「強い経済」の正体、先進国で一番マイナス成長に近い国、です。

日銀に、本当に手がないのか? 一部ではETFの購入枠拡大も囁かれますが、むしろECBのT-LTROに似た仕組みを模索しているのではないか。これは融資を拡大した金融機関に、中央銀行がマイナス金利で資金を貸し付ける、というものです。しかし日本では資金需要が厳しいわけではなく、むしろ企業は内部留保を貯めこみまくるぐらいで、機能不全を起こすでしょう。唯一可能なのは、中小金融機関が合併・連携をすすめる際に、システムの更新などにかかる費用を、マイナス金利として貸し付ける。経済的にインフレを促す仕組みではありませんが、マイナス金利により疲弊した中小金融を救う仕組みであり、合併を促すことができます。
金融緩和とはいえないので、市場が好感するとしたら金融市場の安定といった形になるのでしょうが、日銀が何か動く、という期待をつなぐにはこれしかありません。ただこれをすると、日銀は損をすることになる。一時、新自由主義者が「金融機関は当座預金で丸儲け」などと、金融機関への批判につかっていましたが、マイナス金利はそれ以上に「丸儲け」のシステムです。果たして黒田日銀にそれができるかどうか?

IMFの見通しには、20年には五輪特需も含まれます。つまり五輪特需があっても0.4%しか成長しないのです。今日で後1年、五輪のメダルも発表されましたが、イメージは光の渦だそうです。ただ、私にはあれが津波にみえました。私の見方が悪いのかもしれませんが、波がくり返し襲う状態を円の形で表現すれば、ああした形になります。何で光の渦? との疑問もありますが、日本のクリエイティブな部分で質の低さ、配慮の足りなさが東京五輪では露呈しているようにも感じる。チケット販売の不手際、二転三転するところなどもそうです。本当に能力のある人たちが、能力に応じた立場で物事を決めていない。そんな不安が付きまとうのです。
五輪招致の場で、安倍氏が「福島原発はアンダーコントロール」と発言。今日になり、やっと東電が福島第2原発の全4基の廃炉を正式に発表、使用済み核燃料の貯蔵施設を新設する、としました。内堀福島県知事は「県内原発の全基廃炉に向けての大切な一歩」としましたが、まだ一歩です。未だにトリチウムの問題でもめ、地下水の流入もコントロールできていない。トリチウムを放出すれば、五輪にも影響するかもしれないので今はできませんが、五輪後は分かりません。消費税増税と五輪特需の剥落が襲うのに、安倍政権には特に経済を下支えするような策もない、という点が大きいのでしょう。むしろ福島原発どころか、経済でさえアンダーコントロールできていない。だからアンダーゼログロウスになっているのだとすれば、20年の日本は五輪後、火の消えたキャンプファイヤぐらい寂しい話ばかりになる、と想像されてしまうのかもしれませんね。

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2019年07月23日

若年層は改憲賛成?

英国でEU離脱強硬派のジョンソン前外相が、新しい首相に就任することが決まりました。ポピュリズム的傾向の強い人なので、10月末の離脱を延期する、という人もいますが、ジョンソン氏は合意ができなくとも離脱する、とみています。ことは英国のみならず、EUも返り血を浴びます。逆にポピュリズムであり、かつ強硬な発言で注目を集めてきたために安易な妥協はしにくい。死なば諸共、英国の要求を聞かないならEUも一緒に沈んでもらう、そんな考えに至り易いのです。10月末には離脱する、但しその形はまだ分からない、Brexitは現状そういう形であり、ジョンソン氏の就任は予断を許さなくなった、となります。
韓国が、竹島周辺に露軍機が侵入したとして、360発もの警告射撃を行いました。機銃掃射なら一瞬ですが、ほとんど威嚇にはならないので、なぜ360発も撃ったかは分かりません。ただ中国軍機がすぐに露軍機に合流しており、共同訓練だったとみられます。韓国軍がそれを知らず警告射撃に至ったのか? それとも日本への強硬な対応で株を上げた文政権が、さらに竹島でも強い態度にでることで支持固めを狙うため、あえて近づいた露軍機を標的にしたのか? 最近の外交の場は嘘がまかり通っており、嘘をついた方が国内の支持を得られる。日本も、米国でもそうですが、そんな事態が行き過ぎたときに戦争の危機が高まる、といえます。

日経が『若年層だけなら改憲勢力3分の2越え 接戦区、勝敗逆転も』という記事をだしています。確かに10、20、30代の自民支持率は高いですが、10代などは前回16年より15pt以上も投票率が下がっており、いわば投票に行くのは自発的要件より縁故、組織の締め付けによっている、ということが分かります。逆にいえば、自公維に投票したからといって改憲勢力か分からない。野党にめぼしいところがなく、また現状に特に不満がないから、投票にいかない人が多かったので、若い世代で低投票率だからこそ余計に目立つだけです。
共同通信が22、23日に行った世論調査では、安倍政権下の憲法改正に反対が56.0%、賛成の32.2%を大きく上回っています。もし日経の記事が正しいなら、10〜30代は世論調査に答えていないか、著しく少ない、もしくは自公維に投票したけど改憲には反対、ということになる。数字は一つだけみても正解を導けない。経済の常識ですが、日経がその基本を忘れたなら残念ですし、政治の常識は違うとでも考えているなら、日経に政治を語る資格もないのでしょう。以前から指摘していますが、自公維に投票したから改憲、という考え方が間違いです。実際、日経も『改憲勢力』とするだけですが、その言葉自体が誤誘導でもあります。

特に、ホルムズ海峡の有志連合に参加するかどうか? もし参加するなら、自衛隊が戦争に巻き込まれる可能性が、これまでと比べものにならないぐらい高まる。自衛隊駐屯地に被弾、というどころではなく、戦争海域に自衛隊がいるのです。かつて安倍政権が、海自艦と一緒に航行している米海軍艦が攻撃されたら、守れなくていいのか? と例を挙げました。かつてそれは日本の領海での話でしたが、ホルムズ海峡だと無視できる…はずもありません。新しく法律をつくるとしても、他国の船を無視するようなものは作れない。自衛隊をだすなら日本の商船だけを守る、というわけにはいかない。一方で自衛隊をださないなら、湾岸戦争のときのように金だけだすことになり、今の日本の財政上はかなり重い負担となってくることでしょう。
さらに気がかりなのは、日本海で中露が合同訓練をくり返す。海自艦をホルムズ海峡に派遣すれば、当然のように日本の防衛は手薄となります。そればかりか、米太平洋艦隊を日本に釘付けにすれば、仮に米イラン戦争がはじまったときでも、側面支援になります。つまりホルムズ海峡有事に備え、中露が動いているとすれば、海自艦をだすのは自殺行為とさえ言えるのです。元々、海自艦を派遣する想定もないので、新たに兵力を増強しない限りは、日本は隙だらけとなってしまうのです。こんなとき、自民改憲案に従って自衛隊を憲法に記載すれば、日本は通常兵力をもったとしてさらに米国からの要求は強まるでしょう。こんなとき、若年層が本当に改憲に賛成などと言っているのだとしたら、著しく想像力が不足していますし、自分たちが徴兵によって戦地に赴くことなど微塵も考えていないのですから、そうなって初めて現状への不満が一気に高まる、となるだけなのでしょうね。

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2019年07月22日

参院選後の動きについて

吉本興業の岡本社長が会見を行い、これで芸人側と双方の意見がでそろいました。ただ、メディアの評価も検討違いの方向に向かっていると思われます。この問題で重要な点は、カラテカ・入江氏が若くて実績もないのに、別会社を立ち上げるなど吉本興業から破格の待遇をうけていたこと。つまり、会社として受けられそうにない営業の話を、入江氏のところで受けるよう、会社主導ですすめられていたのではないか? それは若手への仕事斡旋であり、その中で目玉が、TVでの活躍が多い宮迫氏や田村亮氏だったのではないか?
そうなると、この問題は一件や二件の話ではなく、反社勢力との恒常的な付き合いがあった、と認定できます。そして入江氏は、いざとなれば足切りされることを受け入れた上で、そうした営業をしていたはずです。入江氏がかつて「TVなどに出ていないけれど、講演などで稼いでいる」と語っていました。しかし一般企業、団体が知名度もない入江氏に、それほど講演を依頼するはずもなく、逆からみれば反社勢力との付き合いの中で、収入を得ていたのなら、すでにその時点で吉本興業は情報をつかんでおかなければいけなかった。企業と芸人との契約の問題や、ブラック企業だとの指摘よりも、なぜ反社勢力とこれだけ多くの芸人が接点をもったのか? 組織としてどこまで関与していたのか? それをきちんと詳らかにしないといけません。

昨日の参院選、投票率は過去2番目の低さでした。結果からみると、盤石の支持基盤をほこる公明の伸張がめだった、となります。しかし比例で1.5万票の得票の候補者が当選するなど、公明への不信感が増長された、ともいえるでしょう。全国の票を掘り起こした、ともいえますが、投票率が低くなるほど輝く政党、というのは結果的に多くの国民から支持されてはいない、ということ。今回の悪役(ヒール)を一手に担ったとも言えます。
自民は結果的に単独過半数を失った。ナゼか安倍首相がほくほく顔だったのは、維新が伸びたことで安倍支持勢力が増えた、と考えたためでしょう。自民内には反安倍の動きがある。しかし維新との協力を考えるなら、安倍政権を継続するしかない、と党内を説得できる材料を得た、ということです。しかし早くも国民民主に秋波をおくり、草刈り場がはじまった。ただ国民民主も駆け込みで、ぎりぎり勢力を小幅減少にとどめましたが、自民に協力したところでジリ貧は確実です。今回、安倍支持勢力である維新が伸長したのも、G20を大阪で行うなど、めいっぱいの支援をしたことが影響しましたが、これは地域政党である維新だからできたこと。国民民主などは、どう考えても協力したところで見返りがないため、支持も得られないのです。それこそ細野氏のように、思い切って自民党になってしまうか? しかしすでに候補者が飽和している自民で、選挙区がバッティングすれば、地盤の弱い政治家だと現職でさえ、引退を余儀なくされるでしょう。

れいわの伸張、という話もでていますが、山本代表は最多得票ながら落選です。ただこれは計算通りでしょう。山本氏は次の衆院選を狙っている。この得票をみても、衆院選で勝てるとの算段がついたでしょう。政党要件も満たし、金銭的にも余裕ができた。言い方はよくないかもしれませんが、地方組織がない分、余計な経費が掛からなくて済む。政党助成金を次の選挙につぎこむため、貯めておくことができる。世論頼み、風頼みの選挙をしかけることが必須ですが、その流れを山本氏はつくれる、そんな自信にもなったはずです。
今回、最大の勝利は社民とN国でしょう。政党要件を社民は維持し、N国は新たに得た。そして、最大の敗者はNHKとなるのかもしれません。安倍政権に阿っていたら、いつの間にか国会にN国などという政党ができてしまった。国民の不信感が増幅していることを、ひしひしと感じているでしょう。湾イシューの政党が多数にあることはありませんが、もしN国が政局のキャスティングボートを握るような展開になったとき、NHKは一般の有料放送に転落です。むしろ、この低投票率をもたらした責任としても、最大の悪役はメディアであり、本質を報じないメディアに辟易して厭世的な人が増えるのだとしたら、むしろ安倍支持層が増える、といえるのかもしれません。未来を壊してでも今を充足させる、そんな安倍政権の態度ともよく合致するといえ、安倍政権の取り巻きが凋落するように、メディアも凋落が必須、ということになるのでしょうね。

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2019年07月21日

参院選について

第25回参院選の投開票がすすみます。現状、結果はまだ不明であり、自公が過半数、維新を含めた改憲勢力では3分の2が微妙、という報じ方が多くなっています。今回、九州地方が大雨で投票率が低下傾向であり、そうしたものも与党に有利に働いたのでしょう。しかし自民は前回に比べ、議席を落とすのは確実であり、何が勝利かは微妙でしょう。そっもそも、改憲に前のめりになった安倍首相の態度から、改憲勢力(自民の改憲案に賛成しそうな勢力)としたところで、公明がこのまま自民の改憲に乗ったらジリ貧です。創価学会がさらに分裂気配となり、東京選挙区で地盤も何もないれいわの新人が健闘したように、次の選挙では確実に苦戦するからです。この改憲勢力とやらの分類の仕方は、ある意味で希望的観測に過ぎる、といえるのでしょう。

今回、立憲民主は議席を伸ばし、国民民主は大きく減らす。政党支持率通りの結果ともいえ、驚きはありません。国民民主は次の国政選挙でも大苦戦することが予想され、戦略の見直しを迫られるのでしょう。小沢氏に取り仕切らせれば、恐らくは立民との連携がよりすすみ、のみこまれることにもなる。かといって玉木氏は戦犯になりますから、代表は辞任するしかない。一方で、党の顔になりそうな他にめぼしい人物がいない。大塚氏が再任される可能性もありますが、目端の利く政治家なら受けないでしょう。すでに民主党を解消し、また国民民主もそうさせるとなると、大塚氏に党解体のスペシャリストとのレッテルが貼られますから。しかし国民民主はどうにかしないと消滅の危機、それを今回の選挙でも嫌というほど思い知らされました。
注目だった広島選挙区、定数が2のところに自民が2候補、野党統一候補、共産の戦いです。面白いのは、無党派層は野党統一候補に半数近くの支持を入れている。自民の分裂という事態もありましたが、共産を含めない野党統一候補が議席をとれば、かなりの成果といえる。元々、広島は自民が強い地盤であり、ここで二議席とれないと自民の戦略も見直さないといけない。特に、この浮動票の動きは自民にとって脅威でしょう。つまり支持層が揺れると、浮動票の動きと合わせて一気にひっくり返ってしまう可能性を示すのです。

問題は、今回の選挙でも与党の支持層は揺れていない。年金2000万円問題があっても、与党支持層は固まっている。恐らくこの与党支持層というのは、嘘をつかれても、経済が失速しても、自分の年金が減らされても与党を支持しつづけるのでしょう。それは正しいことだったり、日本のためなどではなく、組織の指示だったり、企業の方針だったり、そうしたものを優先する、ということでもある。逆に言えば、個人の判断が利かないほど締め付けが厳しくなっているのも、警察が安倍氏の演説で聴衆を監視し、排除するのと似るのかもしれません。日本の中国化どころか、共産主義を色濃く残す露国のよう、といえるのかもしれません。
以前から指摘してきたように、選挙後の安倍政権は困難な状況に陥ります。日米貿易協定、ホルムズ海峡の有志連合、年金の財政検証から、消費税増税、円高株安も警戒されます。安倍ノミクスの限界、黒田バズーカの見直しも待ち構える。むしろ、だから改憲などという実現性の低い、夢物語で支持層をつなぎとめるしかない、となるのでしょう。ただ、その夢は誰もが同じようにみるものではない。時が経てば、その違いがさらに大きく広がります。果たして次の選挙も同じ状況なのかどうか? そして野党も、何の地盤もないれいわが議席をとったように、浮動票への働きかけが大事だと気づいたでしょう。今のままの形で次の選挙まで大丈夫かどうか? 恐らく次の衆院選は早いと予想されます。安倍政権が自らしかけた、未来の時限爆弾は次々に破裂するために、早めに4年の任期を確保して自民党総裁4選への道筋をつけるしかないからです。結果、議席を落とす自民。次の選挙ではまったく別の形で、与野党対決が行われるのかもしれませんね。

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2019年07月20日

雑感。かんぽ生命とサンマ漁獲枠

かんぽ生命保険の不適切販売で、日本郵政の株価も下落、上場来安値となりました。元々、郵政は民営化されたときから不安があった。成長産業でもなく、国内の縮小と企業の参入が相次げば利益は下がる一方であり、株を上場しても下がる一方ではないか、と。結果、利益を上げるために成果主義を取り入れ、かつそれを低い賃金に据え置くことで、成果を賃金に反映させるという最悪の手法をとらざるを得なくなり、問題が拡大した。これは経営の問題であり、明らかに失敗ですが、無理やり利益を追求すればこうならざるを得なかった。郵政株の維持のためだけに無茶をした、そのツケが回ってきたという印象です。
問題は4月に郵政株の売却を決め、それを復興財源に充てるとし、1.2兆円を確保するとしましたが、すでにその水準を割れていること。つまり復興財源が不足するので、事業を見直すか? 税金で穴埋めせざるを得ない。しかも売却しても、投資家が買わなければさらに株価が下落し、数千億円しか調達できない事態にまでなります。不適切販売の、当初の対応の不味さからも投資家が期待するとは思えず、下手をすれば解散価値すら下回ってくるかもしれない。それでも3分の1超を国が保有するので、すぐに買収される恐れはありませんが、秋の売却はほぼ不可能でしょう。安倍政権のいう復興加速が、絵にかいた餅になったのです。

サンマの漁獲枠の上限が2020年に55万6250tに制限することで、8ヶ国が合意しました。しかし中台の公海での漁獲枠を33万tとしたところで、各国に漁獲枠が割り振られているわけではありません。20年は18年の枠を超えないよう、各国が努めるとしたところで、罰則もないので守る、守らないは各国の判断次第です。言葉は悪いですが、合意だけした、という何とも情けない結果に終わりました。これも参院選前に、何とか形だけつくった、ということなら実際には20年になると、大混乱を生じることになるのかもしれません。
あくまで推測の話ですが、もしかしたら韓国へのホワイト国認定を取り消した件も、参院選が終わったら韓国との話し合いにすすむのでは? とも考えています。安倍政権の語る理由では、それこそ国連を巻きこんで韓国に制裁をかけないといけない。しかし一切、そんな動きをみせません。いつかどこかで、軌道を修正するしかない。韓国の文政権も、対日強硬で支持率アップをしているところなので、もう少し引っ張りたいところかもしれませんが、あまりやっていると国際的な日本の信用が落ちます。問題がこじれる前に、安倍政権は終息をはかろうとする。そう予想されるのです。今回、米国とともに文政権に圧力をかけるつもりが、文政権の支持率が上がっている、という戦略ミスもあるので修正が早そう、とも考えられるのです。

外交の問題も、先送りがめだつ安倍政権。経済面でも、やっと郵政株を売りだせると思ったら、日本の凋落と郵政の不適切販売という問題で、先送り失敗という事態にもなりそうです。というより、外交で先送りをくり返せば、問題がさらに大きくなって帰ってくる。日露外交でもそれを痛いほど感じているはずなのに、サンマ漁獲枠で同じ失敗をくり返すのかもしれません。漁獲枠のない上限なんて何の意味もない。制裁がない数量規制なんて、言葉は悪いですが、ただの目安に過ぎません。そんなもので喜んでいたら、いつまでたっても安倍政権の嘘を見抜けない、となってしまうのでしょう。復興財源も失った今、安倍政権がどういった説明をするのか? 秋になって、またぞろ国債増発を発表するとしたら、消費税増税の意義すら薄まるでしょう。しかし消費税増税は社会保障のため、郵政株の売却は復興のため、などという。昨年、税収は過去最高と威張っていたのに、何でそんなに財源を確保しないと日本の歳出が回らないのか? よくよく考えないと、安倍政権の下ではいくらあっても足りない、として国民へのツケ回しが増えるばかりとなってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2019年07月19日

雑感。エンタメとアポロと政治

明日はアポロ11号が月に着陸してから50年です。私はあの映像は本物ではなく、月からもって帰ったという石も、本物とは考えていません。例えば、はやぶさ2がリュウグウに2度目のタッチダウンをして内部の物質を採取したのも、表面は放射化されていて成分が変質している可能性があるから。月の石とされるものも、放射化されていないとおかしいのです。アポロが月に行っていない、と言っているのではなく、映像も石も、米国が誇大に成果を喧伝するためにでっち上げたもので、当時はそれだけ政治的に成果を求められた、ということです。NASA自身があの映像はおかしい、と間接的に証明するようないくつものデータを発表しており、当時映像制作を担当したCIAに、それを理解して映像化するだけの能がなかった、となるのでしょう。

今日の日本株は昨日の下げを一気にとりもどしましたが、日系大手による大量の日経225先物買いが炸裂した、というだけです。一昨年辺りから日系大手が先物を大量に商い、相場に大きな動きをだすケースが散見されました。ここ最近、大人しかったのが今日動いたのは、やはりマル政マネーを意識させます。一昨年から、この主体が動くときは政治との連携が疑われてきた。今日の動きなど、まさに参院選を意識したそれだと想像されます。こんな相場つきだから、海外勢から笑われ、買いも膨らまない。昨日の売買代金は2.2兆円弱、今日は1.9兆円強。下げても上げても大して売買が膨らまず、閑散なのが日本経済の現状、ということなのです。
ジャニーズ事務所がTV各局に圧力をかけた、として公取委から注意をうけました。擁護する意見を述べる人は、若いころに恩恵をうけた人でしょう。版権にうるさいジャニーズが冠番組を許可すれば、それだけで内容がつまらなくてもそこそこ視聴率がとれる。プロデューサーにとってはこんなおいしい話はありません。そうして甘い汁を吸い、放送局の幹部になった人物は圧力を否定する。むしろ自分たちが社内にかける側、なのですから。

エンタメでは、例えばAKB48や乃木坂46などのプロデュースで知られる秋元氏など、官邸で組閣ごっこをしていたことが報じられた。しかし追随記事がでなかった点をみても、圧力があったと推測されます。つまりこの問題、TV、出版業界には圧力や忖度が蔓延していることを露見させたのみならず、政治に毒された今のメディア業界全般にも言えることなのです。新聞が選挙広告で潤っていることは知られますが、自民など織りこみ広告まで打ってきた。しかも嘘満載で…。メディアは広告出稿の多い自民を無視できなくなり、忖度が増える。今や広告は、宣伝のためではなくメディアとの関係を良好にするためにある、とさえいえるのです。
そんなTV、出版業界から真実の欠片をさがすのは、月の石を持ち帰るより大変なのかもしれません。アポロの月面の映像では、重力が小さいと前方への推進力が得られないため、背中が突っ立ったまま歩いたり、ぽんぽんと飛び跳ねたり、は本来できないはずです。そんなことをしても、垂直ジャンプやちょこちょこ歩きにしかならない。思い切り前傾するか、めいっぱい脚力をつかって前に踏み出さないと、すすめないのです。

有名タレントが反社会勢力と深くつながっていたり、アニメスタジオの放火など、エンタメの世界には悲しい出来事もつづきます。夢を与えるはずが、醜悪な圧力で人を追い落としたり、広告に目が眩んで真実を伝えられないなど、これも悲しい出来事といえるのでしょう。そして、そんな世界に政治まで参戦している。悲しいというばかりでなく、何かを変えていかないといけないのでしょう。誰もが信じ、夢を託せるようなエンタメにしていかないと、悲しい出来事がこれからも起きてしまうかもしれません。政治は本来、そういう方向にするよう制度、仕組みを考えていかなければいけませんが、毒された世界を自分たちも利用しよう、と考えている時点で、この国は悲しい方向にしかむかっていない、といえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:57|PermalinkComments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 政治

2019年07月18日

安倍自民のいう「強い経済」とは?

京都アニメーションで放火テロ事件が発生しました。気になるのは、なぜ通常は販売しないはずのガソリンを携行缶とはいえ、40ℓも売ってしまったのか? 結局、日本のテロ対策など何の成果もあげていないことが、露呈したことになります。しかも、昨日も指摘しましたが、こんな事件が起きたとき、官邸はカラ、首相も副首相も官房長官もいない。クールジャパンなどといってアニメを世界に売り込もうとして、何の成果もだしていない行政の問題とともに、決して日本が安全で安心な社会など達成できていない、ということを思い知らされます。この事件は模倣犯をだす可能性もあり、注意が必要で、対策しなければいけないのでしょう。

株式市場は大幅下落で、一時21000円を割れました。一部の企業の決算発表をみて、今後本格化する企業業績に暗雲、と株安の理由も説明されますが、コトはそう単純ではありません。トランプ米大統領のTweetで米中貿易戦争が再び意識されたこと、参院選で自民党が勝利するなら消費税増税は確実、韓国も日本の制裁により悪化、つまり東アジアが総じて地盤沈下する恐れがでてきた。それを意識させたのが貿易統計で、1-6月期は前年同期比4.7%減、貿易収支は8888億円の赤字です。日本のアジア向けの輸出が滞るのは、アジア全体の経済圏の弱さを意味する。だから売りが売りを呼んで、下げ幅も大きくなったといえるのです。
安倍政権は、徴用工問題の第三国による仲裁機関設立に関する回答期限を今日に設定しましたが、これは参院選を意識したものでしょう。ただそれも悪材料視された。つまり韓国は拒否するだろうから、それがさらに安倍政権の支持につながる、と考えてのものだったのでしょうが、市場としては問題の長期化を意識させ、東アジア共倒れを意識させた。むしろ、安倍政権の姑息で露骨な対韓向けの態度が裏目にでた、といえるのです。

安倍自民は『強い経済』などと喧伝しますが、安倍ノミクスで確実に日本経済は弱くなった。耐性を失った。円高に怯え、金融不安に怯え、海外の動きに怯えるぐらい、弱くなってしまったのです。どうしてか? 安倍政権が「成果」と喧伝すること、すべてが弱体化の裏返しだからです。人口減少とマイナス金利で、もう青息吐息なのが日本経済です。それを「若者の雇用が増えた」「倒産件数が減った」「株価が上がった」などというから、安倍ノミクスは海外で酷評される。少し不透明感が強まると、株が一気に売られてしまいます。
世界経済が堅調なら、日本経済も何とか小康を得るのでしょうが、脆弱な経済基盤だから、世界経済の悪化の影響をもろに受ける。低金利で金融に不安が生じているから、下支えも利かない。これが安倍政権のいう『強い経済』の正体です。安倍政権がつづくなら、さらに日本経済は脆弱になっていく。人口減少とマイナス金利は、さらに悪化していくでしょう。なぜなら、金融政策はそれしかできない、人口減少には何の対策もないからです。そして、その裏でおきる雇用環境の改善などを、相変わらず「成果」と嘘をつきつづけるのでしょう。

ここにきてもち上がった、日本の治安問題。安倍氏は選挙戦の演説を、最後は秋葉原で占めてきましたが、果たしてこの事件があって、熱狂の演出などをすれば、それこそ場違い感ばかりが際立ってしまうでしょう。安倍政権下で日本は不安定さを増してきた。それを異常事態とすら認識できないとしたら、安倍自民のいう『強い』など砂上の楼閣であり、その「安定」は安全も安心も生まないことだけは、確かなのでしょうね。

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2019年07月17日

『自公が改選過半数で堅調』?

参院選で『自公が改選過半数に堅調』という見出しが目立ちます。それは自民が勝利宣言のボーダーラインを改選過半数に置いたので、数字自体に意味はありますが、もし改選過半数で留まるなら自民は大敗です。いくら安倍政権が「目標到達」と宣言したところで、党内政局は大混乱でしょう。選挙に強いことが自慢の安倍政権の、その力が衰えたとみなされるからです。安倍政権の賞味期限切れ、誰もがそう意識します。
例えば、株式市場では安倍政権はもう生ごみのレベルです。自民が勝てば消費増税なのですから、外国人投資家は買わずに売る。選挙期間中、外国人投資家が買うと予想して先回りした国内投資家が売りをだしているので下がってきた。大体、売買代金が2兆円割れがつづくなど、閑散続きなのをみても明白ですが、外国人投資家はもう安倍政権の下では買わない。安倍ノミクスなんて賞味期限切れ、「安定」なんて糞くらえ、の世界です。よく株式アナリストが「外国人投資家は安定を望む」といいますが、はっきり嘘と断言できます。

今回、改選121議席に3議席追加されたこと、また特定枠ができたことで票読みが難しい。さらに『れいわ新選組』『NHKから国民を守る党』『オリーブの木』『労働の開放をめざす労働者党』『安楽死制度を考える会』など、新興勢力の票読みも大切です。現状、議席をとれそうな予想がでているのはれいわ新選組のみですが、これらの勢力は与党批判票を確実に分散させます。どれぐらい票をとるか、それによっても結果は大きく変わるでしょう。票数では野党側が上回るのに、議席数では与党が多い、そんな結果にもなるからです。
しかもここに来て、台風5号が週末にかけて影響しそうです。自公としては「直撃して」と祈るばかりでしょう。どんな悪天候でも投票する、基礎票の多い自公にとっては浮動票が動かない方がいい。現状、西日本をかするぐらいの進路ですが、梅雨前線の活発化により週末まで天候不順がつづき、日曜に雨が降らないと投票率が上がる可能性もある。遠出はできないので、一先ず投票に行こうとする有権者が増える、と予想されます。

今回、まだまだ不透明要因が強く、かつ『自公で改選過半数で堅調』などという、何の意味もない言葉を多くのメディアがくり返し用いる、その違和感。メディアが使う『改憲勢力』などという言葉も何の意味もありません。「自民が主導する改憲案に賛成する勢力」と正しく書けばいい。しかも自民の改憲案そのものが、ただの改悪でしかないのであり、それに反対するだけで改憲そのものを否定する勢力は少ない。はっきり護憲をうちだすのは共産です。『改憲勢力』とすること自体、ミスリードといえるのです。それはこんな可笑しなことが蔓延する国ですから、警察が安倍氏の演説に野次を入れると、警察官に取り囲まれるといった異常なことも起きるのでしょう。であれば、国会で野次をとばす議員は与野党問わず、議会からしめださなければおかしい。国会でも認められた行為を、国民がすると警察がでてくる、そんな異常事態ともいえます。
要するに、自公が勝利して安倍政権がつづくと、こういう異常な事態が『安定』して起こる、ということなのです。異常事態といえば、首相と官房長官が、ともに官邸を開けるのも異常事態ですし、G7財務相・中央銀行総裁会議に出席するため、麻生副総理まで東京にいない。危機管理がまったくできていない政権が『安定』することも、異常事態といえるのでしょう。投票率の低下を訴えるメディアの空々しさも異常事態です。投票率を上げたいなら、演説する議員のファクトチェックをすればかなり面白い記事になるからで、選挙への注目も高まるでしょう。『自公で改憲過半数』が注目なのではない。今のような『異常事態の日本』が、このまま続くのかどうかが注目なのです。早くも株式市場では『異常事態』が常態化しつつある。日本全体に広がる『異常事態』、株式が半年先を映すなら、日本の『異常事態』がまだまだ続くと予想しているのであり、その『堅調』さはむしろ悪材料とうけとられている、ということになるのでしょうね。 

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2019年07月16日

雑感。MMTと暗号資産

FBが発行を予定している暗号資産リブラが、米当局から審査をうけます。米国が慎重なのは、これが決済通貨としての機能を持ちうるものだという点です。協会が管理し、国債や銀行預金などの裏付けがあるなど、これまでの仮想通貨とは一線を画すものであり、IMFのSDR(特別引き出し権)にも似ます。マネーロンダリングや税逃れのための資産隠し、どころではなく、為替取引の代替としても機能し、商取引においてもリブラで済ます、といったことにもなる。それは通貨の価値にも影響を与え、国家機能を崩壊させかねないほどなのです。
FBとしては個人情報の漏洩問題で巨額賠償など経営にも影響があり、リブラを乾坤一擲にするつもりですが、米国はこれが制限をかけた形で、米国を脅かさないところまで機能をしぼらせて、GOサインをかけるつもりなのでしょう。注意すべきは、同じような仕組みは各国、どのような組織でも可能であり、そのたび各国政府は規制をかけ、その影響力に怯えつづけるのでしょう。ドルが決済通貨から転落し、各国が米国債離れを起こしたら、米国は破綻への道を転がり落ちる。FBなら規制をかけられますが、中国の企業が始めたら…、オイルマネーが始めたら…。それこそ今話題のMMTなど、一瞬にしてふきとぶ破壊力をもつのが、暗号資産なのです。

同じことは日本にも言えます。MMT(現代貨幣理論)の提唱者、NY州立大学のケルトン教授が来日して講演しています。ケルトン氏は「日本がMMTを実践」とはいいませんが「理論の正しさを証明した」という言い方をします。「だから増税は必要なく、財政出動は紙幣を印刷すればいい」とする点や、「中央銀行による利上げが物価を押し上げる」など、異端とされる経済学ですが、米では野党議員などもMMTによる経済政策を訴えるなど、米国の経済政策にもとりこまれるかもしれない。日本ではすでに模擬的に採用された理論といえます。
しかし、恐らく新自由主義者にありがちな経済モデルを簡素化して考えているフシがあり、これが急激なインフレをもたらす、などという簡単な話ではない。MMTが成功する国と、失敗する国がある。それは国の債務が多くても、債権が相殺できる国は、それが相殺できる間はMMTのように債務の発行を増やすことが可能です。しかし債務と債券のバランスが崩れたとき、いきなり崩壊するのです。では、米国はどうなのか? 米国はドルが国際決済通貨の地位からスベリ落ちた時、国債を賄うことができなくなり、突然死する。つまり日米という二つの国で、MMTによる成否に至るなどの仕組みはまったく異なる、ということになるのです。

どんなに優れた理論でも、一義的に評価を与えるのは危険です。MMTはまったく評価していませんが、もしそれが成功したとしても、それは国の別の事情がそうさせた、と考えるべきなのです。どの国でも通用するような仕組みではない。例えば、米国は株高で最高値更新が相次ぎますが、決して経済が好調はわけでも、利下げをするから景気が再び拡大するから、そうなっているわけでもない。金利が低下すれば企業が資金を借りて、自社株買いをするからEPSが下がり、株を買える要因となる。つまり経済がよいから株が上がっているわけではない。日本は円安が株高を促す、という見立ても多いですが、今日は円安に動いたタイミングで株安が起き、それが更なる売りを誘った、という側面もある。多くの事象から、複合的な要因が入り混じった結果として、今の状態が形作られるのであり、安易なモデル化されたケースをみて評価するのは誤りなのです。
安倍ノミクスの経済政策を礼賛しているようでありながら、それを皮肉として批判するMMT。もしMMTが指摘するように、金利上昇がインフレを促すとしたら、安倍ノミクスは大失敗だったとなるのでしょう。株高も、決して安倍ノミクスで上昇したわけではありません。そして現状、外国人投資家がまったく買わなくなったのも、安倍政権が参院選で勝利すればつづいてしまう、との諦観がそうさせます。そして、もしリブラなどの暗号資産が承認されたら、MMTを採用している国ほど苦境となるのですから、日本は悪材料ばかり、となるのです。こんな世界が流動している時代に、「安定」などと言っている時代遅れ感が、すでに安倍政権に期待できない点でもあります。暗号資産やMMTが破壊する常識、それに対処できない国に成り下がった日本。それはMMTの成功例、とされながらこの程度の成長しかしていないことに、すべて表現されている。アホノミクスの集大成となるまで安倍政権がつづくのなら、日本はMET(現代疲弊理論)からの脱却を今から考えないといけなくなるのでしょうね。

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2019年07月15日

参院選、後半戦について考える

中国の4-6月期GDPが実質で前年比6.2%増となりました。四半期ごとの発表となった1992年以来最低、とされますが、中国の統計データに信ぴょう性がないのは、中国自身が認めていること。地方政府から上がってきたデータをまとめるとこんな感じ、というのが中国GDPです。今回、気になるのは製造業関連のデータは落ちていますが、消費や不動産投資が好調と示されること。不動産販売がにぶっているように、マインド面の悪化が想定されるなら消費にも利いてくるはずが、そうでない。そして不動産販売が低調なのに、不動産投資が伸びている。この辺りの読み方が、中国GDPの本質の見極めには重要、ということなのでしょう。

安倍政権が外交成果としようとしていた日露平和条約締結にむけた、2島返還協議を露国が拒否していたことが明らかになりました。2島なら返還してもらえる、と思ってバーターの平和条約をもちだした安倍政権の、完全な戦略ミスだったことになります。しかもソビエト崩壊から着実に積み上げてきた4島返還から後退させたマイナス面は大きく、失点であるはずなのに、主要メディアは事実関係のみ淡々と報じる、といったことが定着しているようです。それは『得意』でも何でもない外交、などと報じられるはずもないのです。
共同通信が行っている世論調査、第二回トレンド調査でも興味深いのは、政治報道が選挙ネタばかりとなり、与野党との比較、与党の政策の問題点を指摘しなくなると、自民の支持率が上がる傾向がある、という点です。年金2000万円不足を争点だと思う、が前回より減少。安倍内閣の支持率は1.1pt減も、不支持率が3.8pt減。比例の投票先も自民が上昇しています。つまり言葉は悪いですが、どんなに悪いことをしていても、その他大勢にまぎれると印象が薄まってしまう、ということです。原発の問題や外国人労働者の問題、それに日米貿易協議や外交、経済に関しても、一つ一つ単年に聞いていけば、恐らくは自民にとって不利になることばかり。しかし、与野党と並べてしまうと問題が希釈されます。今の選挙報道そのものが、与党有利になるような仕組みとなっている、これが安倍一強と呼ばれる選挙の強さへとつながってきた、といえるのです。

例えば、今日は海の日でしたが、福島原発の事故でばらまかれた放射性物質が川から海に運ばれ、恐らく海岸にも多く流れ着いています。ですが、日本では低放射性物質をばらまいたところで違法ではありませんし、それがあるからといって立ち入り禁止にすることもありません。高放射性物質は危険とされますが、低放射性物質とて量が増えると被ばくの危険は何も変わらない。法律に抜けがあるのも、政府がトリチウムの放出を画策するからで、こうした問題も掘り下げれば、今の日本は大丈夫なのか? との懐疑が増えるはずです。
そうした問題を薄めて、各党の比較しかしない。政策という点数をつけられる現与党への批判にならないようにそうしている。例えば産経の記者が、党首討論で朝日新聞の記者が項目ごとに正否を尋ねたことを批判しています。安倍氏も「二者択一で決められるものではない」と反論したことをうけたものですが、安倍氏にとっては政策という実績があるため、国民に不人気なことに賛成と言いたくない、イイワケしたい、というだけの話です。与党には本来、政権を担っていた間の政策について評価し、判断されるといった負の工程が必要です。しかし、今はそれがなくなってしまった。本来、メディアがそれをするべきなのに、です。トレンド調査をする前に、与党のみが受けるべきは前回の公約の達成度、問題点などの抽出です。今からでも遅くないので、政権与党に対してのみ行う成績表をださない限り、安倍一強ならぬ『安倍珍妙』、という政治状況がまだまだつづくことにもなってしまうのでしょうね。

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2019年07月12日

安倍政権の成果とは?

安倍首相によるハンセン病家族訴訟の控訴断念に関する談話、気になるのは「家族と面会」という点です。これまでもろくに謝罪もしてこなかった安倍氏が、なぜ今回? そう考えると、面会のタイミングを19もしくは20日に設定、投票直前にハンセン病家族と握手する写真を一面に掲載させれば、これほど有益な選挙活動はありません。『異例な政府対応』なので、各社とも報じないわけにはいかない。それが戦略なのでしょう。

安倍政権が成果としてきたものについて、少し考えてみます。外交、経済についてはこれまでも散々やってきたのでくり返しませんが、全くいいところがありません。今こそ安倍氏が民主的に選ばれたトップとして世界を主導すべき、などとユーラシアグループのブレマー氏は述べますが、6年経ってもできないことを今からできるはずもなく、その器にないことは明白です。経済については現状、日本がマイナス金利に陥っているように、全く経済は強くない。それどころか、はっきり弱い。株価で騙されている人もいますが、今日の相場はFリテが日経平均を押し上げていても、TOPIXは下落。TOPIXだけをみれば、2017、2018年の通年の平均値にも届いていないのが現状であり、成長とは程遠いのがはっきり数字としても示されるのです。
安倍氏は「雇用が改善」といいますが、この前も指摘した人口動態統計でもはっきりします。安倍政権になって加速する人口減少、生産年齢人口の過去最低水準、これが押し上げたのです。では、倒産件数の減少はどうでしょう。経済学的には、低金利にすると本来、市場から淘汰されるべき企業が生き残る、不正常な状態に陥ることが知られます。資金調達が容易となり、経営不安がかき消されてしまう。それは決して経済的によい状態といえません。また、一時期騒がれた後継不足で倒産、というのも眉唾に感じています。収益がでるビジネスモデルなら、それこそ企業や組織、個人がこぞって買収するでしょう。自分が高齢で引退しても、家内制手工業でもない限り、自分がつくり上げたものが財産となるのですから、そうした道をさぐるはずです。人に譲っても儲けがでない、誰も買い取ってすらくれない。タダでもいらない、だから倒産させるのです。ただし、アンケートにはそう書けないし、後継者不足と書いた方がイメージがよい。そうして数字が押し上げられたのであって、安倍政権のいう倒産件数の減少は、まったくよい意味ではないのです。

賃金上昇も、今年に入って毎月勤労統計はマイナス、という事情がすべてを説明します。統計のとり方により、これまでは数値を押し上げてきましたが、それが限界を迎えた。また円安傾向が止まり、円高に傾きつつある中で、企業の収益性が崩れたことも一つの原因でしょう。結局、安倍政権の成果としてきたものは、ほとんど金利の低下で説明がつくものであり、すでにマイナス金利となり、限界を迎えたのです。
米株は最高値圏ですが、これも金利低下により自社株買いが活発となり、EPSが上昇するとの思惑込みです。つまり発行株式が減少したとみなされ、収益が低下しても株が高くなるのです。こうした動きからも分かる通り、安倍政権が語っていた「成果」とは、ほとんど日銀による『異常な金融政策=マイナス金利政策』によって説明がつく、ということなのです。しかしそれすら限界がきて、欧米の金融緩和により、逆回転が起き始めている。円高もその一つであり、これからはそんな日本から脱出
する企業が続出するでしょう。何より今や工場の海外移転は節税対策でもあり、円高と内需低迷が予想される日本においておく必要がありません。資金調達はどこの国でもしやすくなるのですから、人件費ふくめて尚更でしょう。日本はこれから、安倍氏の後継という意味で悩むことになるでしょう。それは滅茶苦茶をしたツケを誰が払うのか? という意味でもそうであり、すでに国民にはその請求書が回され始めている。年金2000万円不足など、まだ序の口です。今後も安倍政権のせいで、増やされる国民負担を少しでも減らすためには、一刻も早く安倍政権が「成果」としてきたものの「正価」について国民が気づき、解決の道をさぐるしかないのでしょうね。

ひどい風邪をひいてしまい、明日と明後日はお休みしたいと思います。

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2019年07月11日

ペルシア湾の有志連合

米国ではFOMC議事録とパウエルFRB議長で、7月のFOMCで利下げを正当化する意見が表明され、米株はS&P500 が最高値更新です。7月に0.5%の利下げを織りこむ確率も増加しています。パウエル氏が「予防的利下げは正当化される」と述べていることからも、もう利下げをするのでしょう。ただ気をつけなければいけないのは、本当に0.5%の利下げが行われると、市場がそんなに景気が悪いのか、と悲観する恐れがあります。逆にいえば、今の市場はそれだけ下落する材料を探している、ということでもあるのです。
例えば、米株はサマーラリーで上がるケースが多い。欧米投資家は夏休みなので、アジア系が押し上げているのですが、先に発表された年金の運用比率をみても、外国株は28%、国内株は23%、米株が最高値圏にあることもありますが、GPIFは米株を買う余力がありません。それは多くのファンドなども同様でしょう。昨日、外国勢がポジション落としの売りをだすと、国内勢がすかさず買う。PKO(価格維持活動)がみられた、と話題です。参院選を前に、マル政マネーの動きも気になるところであり、21500円が防衛ラインかもしれない。ただし、本当に参院選まで維持できるのか? FOMCは7月末ですが、その前に重大な問題がもち上がっています。

ペルシア湾で有志連合、と米国がいいだしました。米国は2つの戦略をもっていることが分かります。ペルシア湾に西側の艦船を集めてイランに圧力をかける。あわよくば屈服させるか、戦争に至っても同盟軍として戦えば、圧倒的兵力で倒せる。そしてもう一つは、米軍が中東に割いている兵力を削減できる。後段はトランプ氏の主張ですが、イラン戦争で勝利できずとも、米軍にとってメリットが残る形になります。
これで大いに困るのは日本です。安保法制で国の存立危機であれば自衛隊はだせるので、米イラン戦争が起き、ペルシア湾の輸送路が途絶えると、備蓄石油があるとしても価格高騰などのかなりの影響がでます。長期化すれば、それこそ石油が足りなくなる。一方で、特措法をつくるとしても条件を絞りこむのが難しい。それこそ自民が主張していた、となりで米艦が攻撃されているとき、自衛隊が助けなくてよいのか? といった問題にも答えをださないといけません。そうなれば参戦ですから、日本が74年ぶりに戦争することになる。安倍氏は間違いなく歴史に名を残しますが、悪名となって後々まで喧伝されることでしょう。

自衛隊をださない、という選択をするとShow the Flagの下、巨額の戦費を日本が負担させられる悪夢の二の舞です。どう転んでも、日本にとってはデメリットばかり。しかもこの問題を、参院選で何もふれない、というわけにはいかない。米国からは答えを求められており、もしこの問題でも日米貿易協定のように結論を先送りというのなら、日本は米国の求めに100%応じることが確定してしまう、ということでもある。そうでない限り、米国が先送りをみとめるはずがないからです。日本の参院選ぐらいで、米軍のグローバル戦略が変えられるはずもない。恐らくもう高確率で、米イラン戦争は起こると見た方が良い、とさえいえます。
FRBの「予防的利下げ」も、戦争が始まるから、と考えると説明がつきます。日本が艦船を出せばイランとの蜜月が壊れ、それも安倍政権にとっては外交上の汚点となる。かといってださない、という判断はできない。せっかく良好な米国との関係が崩れてしまうのですから。相変わらず、安倍氏は外交が「得意」と言い張りますが、明らかに日本がババを引かされる公算が高い今回。安倍政権の存立危機事態といえ、選挙後の臨時国会を開くとしても大混乱が予想され、安倍政権がこの問題にふれない『無責任』さと同時に、選挙でも判断材料とされることになるのでしょうね。

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2019年07月10日

人口動態調査と毎月勤労統計

人口動態調査で、日本人は1億2478万人と43万人減、過去最大の減少幅です。安倍政権は少子化にまったく成功していないばかりか、悪化させていることが証明されました。しかも15〜64歳の生産年齢人口が7423万人と61万人減、全体にしめる割合が59.5%と過去最低。これが雇用環境を良好に見せているカラクリであり、これほど急激に労働に適した年齢の人口が減れば、人手不足が顕著になって当たり前といえるでしょう。
決して景気がよいわけではありませんが、多くの統計でも雇用を景気の判断材料としており、景気が悪くても統計だけが押し上げられるカラクリも、ここに隠れています。一昨日にとりあげた景気ウォッチャー調査もそうです。本来は人口減で日本の成長には寄与しないばかりか、むしろ悪材料でしかないというのに、統計がいいからそれを成果として喧伝する。これが安倍政権がいう「景気がよい」の実態なのです。しかし雇用が押し上げる景気ウォッチャー調査でさえ、景気判断の目安であるDIが50を大きく下回る44程度。日本は深刻な景気悪化の状態であることが、統計の裏側さえ知れば容易く読み解けてしまう、ということなのです。

日経新聞がまとめた夏のボーナスが0.37%減、これは名目なので、実質に直すともっと下落していることになります。昨日発表された5月の毎月勤労統計でも、現金給与総額は前年比0.2%減ですが、実質賃金は1.0%減です。5月はGWの影響で全体的に労働時間は減っており、パートタイム労働の減少が響いたとはいえますが、働き方改革で残業代を減らされた影響は、今のところでていない。一方で、一般労働でも実質賃金は0.5%減です。
サンプルデータの入れ替えの影響が大きく、データを継続した企業をみると実質賃金は上昇、などという人もいますが、昨年の数字を高くみせかけるため、賃金が高めの企業にデータをとった、というだけの話。逆からみれば、日本経済全体が底上げされていないから、賃金を抑え気味の企業が多く、2018年のデータを入れ替えると、常に前年比では下がってしまう、ということでもあるのです。そもそも統計不正を起こしたように、毎月勤労統計のデータをとる企業を、単年で小幅に入れ替えるように変更したのは安倍政権です。それで数字が悪くなったら、データを入れ替えたせいだ、などという説明はまったく通用しません。

この毎月勤労統計でも、『常用雇用』として雇用環境が判断の一つになっています。一般労働者は0.9%増、パートタイム労働は3.3%増。しかし当然のように65歳以上の再雇用もふくまれますし、パートタイム労働が増えていることからも、生活が苦しくなり、女性が働きにでている側面も指摘できる。さらに言えば、人口動態統計にみられるように267万人となった外国人労働者が、かなりの数含まれているはずです。
外国人は労働意欲が高く、就学ビザでもアルバイトやパートで働く。外国人は17万人も増えているので、5万人増となった数字にも合います。当然、5万人は単月の数字なので、年間に均すと60万人増となりますが、その3分の1近くは外国人労働者となるのでしょう。しかも、この労働人口は五輪関連の建設など、特需による押し上げという面が大きい。この数字が夏以降も継続するかは微妙といったところでしょう。むしろそのときは、人口減少に合わせるように、経済規模も縮小していかざるを得なくなるかもしれない。そのとき成果とされてきたものの、真価が問われるのでしょう。統計データの不正が相次ぐ安倍政権ですが、そこからでも読み解ける深刻な日本の現状と、全く未来に期待できない事情。安倍政権に任せていたら、解決するどころか悪化するしかない、ということがはっきりと示されているのでしょうね。

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2019年07月09日

選挙目当ての行動2つ

ハンセン病家族訴訟の熊本地裁判決を、安倍首相が「受け入れる」としました。明らかに選挙期間中のことであり、かつ自民が苦しいとみて大衆迎合的な判断に至った、が真相でしょう。そもそも訴訟を経ずに賠償に応じていれば済む話です。被害額の算定に第三者機関の判断が必要、だとしたら裁判所でなくても民間のシンクタンクでも済みます。つまり裁判に至った時点で、受け入れる気などなかった。その状況を転じざるを得なくなったのは、選挙で負けそう、との自民側の都合が働いた、ということが一連の動きで分かります。
またこの動きの中で、朝日が「ハンセン病家族訴訟は控訴へ」というトップ記事を報じ、後に誤報だとして謝罪しています。恐らく安倍氏側近がウソの情報を朝日に流し、「ほら、朝日は誤報ばかり」という安倍氏の主張を補完させるために打った、一芝居だったのでしょう。朝日はまんまとその詐略に嵌ったのですが、ここからみても安倍政権が戦略をもって、この問題を扱っていたことが分かる。逆にいえば、こんな姑息なことをしなければただの疑惑だったものが、確信をもってハンセン病家族訴訟を選挙に利用した、といえるのです。

安倍政権の姑息な動きはこれに留まりません。岩屋防衛相が米軍機の事故で、早期に日本側の立ち入りを受け入れるよう米側と協議、と発表しました。選挙で日米地位協定の見直しなどを野党がかかげることへのカウンターです。しかしこれまで一体、何度事故があったか。そのたび、交渉できるチャンスはいくつもあった。しかも日米地位協定の見直しにも踏み込んでいない以上、安倍政権で交渉しても大して成果が上がるとは思えない。むしろ相変わらずのやっている感の演出だけに終わりそうで、本気度は欠片もないのでしょう。
ナゼなら、ハンセン病家族訴訟の控訴断念については、やたら「首相が主導」という言葉がでてきますが、日米地位協定に関するものは、岩屋氏の記者発表だけ。すでに結果が決まったことには「首相が主導」を使うけれど、これからやります、には使わない。これで結果を出そう、などとはサラサラ思っていないからです。特に、日米貿易協定とのバーターになりかねず、もしこちらで成果をだしたければもっと貿易で妥協しろ、などと米側から言われかねないのですから、安倍政権が本腰を入れるはずもないのです。

そもそも、平成の時代までハンセン病とその家族をずっと貶め続けたのは、長らく続いた自民党政権下のことです。それは旧優生保護法でも同じであり、ではそちらの問題にはどう対応するのか? それこそ「首相が主導」で解決へと導くのか? それは安倍政権も否定しており、逆に言えば「筆舌に尽くしがたい」ことを同じようにしたのに、なぜハンセン病家族だけは「首相が主導」したのか? その説明がつかないのです。
一連の行動から読み解けるのは、安倍氏は自分のためだけに政策を弄する、ということだけです。しかも物事を解決するのではなく、一部だけを喜ばせ、それ以外の人々は貶められたまま、という恣意的な判断を下すことも安倍政権の不審へとつながってくるのでしょう。大企業と富裕層への優遇がめだつ安倍政権。結局、本人が困らないと「首相が主導」にならないのなら、一部への優遇が逆に怨嗟となって安倍政権を襲うでしょう。安倍政権は自分たちが困らないと、国民のためになることをしない。それが「首相が主導」の本質だとすれば、もっと安倍政権を困らせないと、国民にとっての不幸がつづくだけとなってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:49|PermalinkComments(9)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2019年07月08日

機械受注と景気ウォッチャー調査

イランが再び核合意で定められた濃縮ウランの上限、3.75%を越えて4.5%程度になった、と発表しました。選挙戦でも外交をアピールする安倍首相ですが、イラン訪問をした成果が全く出ていないばかりか、明らかに悪化、役に立たないばかりか、問題をこじらせてしまったかのような印象です。それは米国の意図を伝えるだけで、イラン側の要請には何も答えていないのですから、当然ンと言えばいえるのでしょう。
韓国の文政権が、日本による優遇措置の解除に「韓国企業に影響があれば必要な対応」と述べました。韓国が勘違いしているのは、日本側の動きは米国に了承済みである点です。しかも恐らくその了承はトランプ大統領ではなく、ボルトン氏などの強硬派にとっている。それは最近、米側にも素っ気ない文政権を打倒する目的をもって日本側に制裁をかけさせたのであり、日米の思惑が一致した。G20で最終的にGOサインがでて、今に至っているのです。安倍氏にとっては支持層向けのアピールにもなり、一石二鳥との判断もある。むしろ、だからG20で打診したのでしょう。日韓が仲たがいして一番困るはずの米国が無反応であることが、それを真実と明らかにします。米朝が交渉再開になったタイミングもあり、韓国パッシングには都合いい。安倍氏はこれを成果としたくとも、自由貿易を標榜している以上、それもできないのが痛い点なのでしょう。

5月機械受注が前月比7.8%減となり、衝撃が走りました。4-6月期は急回復、というのがこれまでのシナリオでしたから、米中貿易協議の不透明感がそうさせたとしても、日本経済には暗雲がただよいます。内閣府は基調判断を「持ち直しの動き」で維持しましたが、今の日本景気は設備投資とインバウンド消費で支えられている状況であり、その片輪が脱落したら、経済が迷走する恐れもある、、だから衝撃なのです。
6月の景気ウォッチャー調査は現状判断DIが44.0と前月比0.1pt減。先行き判断DIが45.8と前月比0.2pt増でした。しかし判断理由をみると、エコポイント制度で買った商品の買い替えサイクル、とみられるものが出ている。恐らく、増税前に駆け込みの側面もあるでしょうが、この動きはボーナス月である6月の特需ともみられます。しかも西日本は梅雨入りが遅れた後、6月後半からの長雨。関東もずっと長雨で、季節商品の売れ行きには大きな影響もでているでしょう。つまりもう景気の分かれ目である50を大きく下回っているため、それ以上の下落は一旦防げましたが、本当に先行きが上昇するかはまだ判断できない、となります。

韓国に対する制裁も、恐らくは日本経済に打撃となってきます。外交に貿易を武器としてつかうケースでは、総じて両国ともダメージを蒙ることが多い。それは米中をみても明らかです。つまり6月の景気ウォッチャー調査は、駆け込み需要を当て込んで先行きに楽観も広がりますが、甘過ぎる判断がめだつのです。ちょうど先行き判断は9月、消費税増税の直前であり、もし7月景気ウォッチャー調査がでてきたとしたら、先行き判断の基準が10月になるので反動減により急落することが、予想されてしまうのでしょう。
得意の外交では成果なし。特に、安倍政権がつづけば日米貿易交渉で、日本は大きな妥協を強いられるのが確実です。米国が他に成果を得られる国、地域がないのですから、メキシコやカナダにやったように、高圧的な態度をとってくるでしょう。トランプ氏との個人的な関係など、国益と天秤にかけられたら軽くて仕方ないレベルです。それが判明した段階で、さらに景気悪化を意識させられるレベルにもなるでしょう。安倍政権が成果として喧伝するものの正体、実は『害交と経罪』となっていることは努々忘れてはいけないのでしょうね。

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2019年07月07日

共産党の参院選公約

相変わらず安倍首相が「消費税10%からの再増税は10年不要」との嘘をばらまいています。そんなことを言いきれるはずもなく、また10年後の首相は安倍氏ではない。安倍氏が約束できるようなことではありません。結果としてそうなる可能性もありますが、安倍氏が言えば嘘になる。その道理が分からない人間だけに響く言葉、といえます。言葉は悪いですが、自分のためならいくらでも嘘をつく、嘘つき首相の面目躍如なのでしょう。

共産党の参院選公約、『希望と安心』がキーワードのようで、いくつかの項目で出てきます。毎回のように、共産党は細かい項目を網羅してきますが、今回は政策に対して財源規模を示してきました。「暮らしに希望をー三つの提案」1.8時間働けばふつうに暮らせる社会を(1.7兆円)、2.くらし支える社会保障を(2.4兆円)、3.お金の心配なく学び、子育てできる社会を(3.4兆円)です。細目も示されており、その財源まで考えて示すのは共産党が唯一、といえるでしょう。大企業に中小企業並みの負担、で4兆円などです。米軍への思いやり予算を廃止、というのも共産党ならでは。日米地位協定の改定、とはっきり打ち出すのも共産党の特徴です。
細かいことを言えば、多くの政党では選挙公約の文言は副詞の『に』で終わることが多い。後ろに『〜します』という意味を含みますが、共産党は副詞の『を』。この場合は『〜実現します』という言葉がつづかないと不自然であり、事実そういう意味をもたせているのでしょう。ただ1.の項目は、最初にでてきたときは『に』で終わっており、何らかのチェックが入って『を』に代えたと読み解ける。強い含意を示したのは、それだけ危機感があってのことだとすれば、この公約に賭けている共産党の意図が読み解けるのでしょう。

それは護憲の立場を強く打ちだした『平和外交』、日米の対等な関係をめざす、とする日米FTAの交渉の中止など、大胆な提案にも通じますが、最初に示す『市民と野党の共闘の勝利、日本共産党の躍進で、希望と安心の政治を』というスローガンに強くにじむ。共産党が他の野党に大きな妥協をしてでも勝利をめざす姿勢が、ここに示される。「財界中心」「アメリカいいなり」を変える、という安倍政権の問題点をしめすことでも現れ、ここまではっきりと公約に明記する政党は、いくら野党でも初めてといってよいでしょう。
恐らく、一番まっとうで一番現実味のある政策をうちだすのが、共産党でしょう。ただ、過去の問題もあって、共産党の主張は刺さりにくい。バズりにくいというのが問題なのでしょう。だから他の野党との共闘によって、これまでの印象を変えたい、という姿勢がにじみます。それに、共産党員の高齢化もあり、先細りの懸念からも現実路線に転じた側面がある。果たしてそれを国民に浸透させられるかどうか、が共産党の課題といえます。おかしな話、共産党にとっては大衆迎合的な立民、右寄りの国民、そこに左寄りの共産が入って、3党体制を訴えられるようになるのが一番の理想的な立ち位置といえます。ただ今は立民がやや左寄りとみられ、国民民主が大衆迎合的な部分をもつため、左寄りの共産がめだちにくい、という点もある。国民民主に小沢氏が加わり、共産としては期待値も高めなのでしょうが、今はまだ小沢氏の力が発揮できていない状況であり、参院選の次を期待して…という面もあるのでしょう。ある意味、共産にとっては試金石として参院選があり、今はまだ『希望と安心』は、共産党も得ていないということなのでしょうね。

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2019年07月06日

雑感。GPIFの運用実績

米6月雇用統計が非農業部門雇用者数で22.4万人増、失業率は3.7%、平均時給は前年同月比3.1%増、と極めて良好な結果となりました。ただ、これでFRBは判断が難しくなった。7月のFOMCでは利下げ確率が100%であり、0.25%より0.5%が支配的です。でも雇用統計をみると、利下げする必要は感じない。一方で製造業、非製造業とも景況感は悪化の一途であり、景気後退の懸念がただよう。むしろここまで景況感が悪いのに、どうして雇用を増やしているか? その説明がつきません。特に今回、運輸・倉庫が2万人増と牽引しており、景況感とまったく合っていない。日本ばかりでなく、米国の景気も非常に読みにくい状況です。ナゼか為替はすでに利下げなし、といった方向にすすんでいますが、この動きは非常に気になるものです。
日本の金融機関はヘッジをかけずに円売りをかけ、海外の資産を買っている。逆に、海外の金融機関は円を買って日本国債を買っている。金利差ばかりでなく、調達コストを考えると米国債より、日本国債の方が利回りが高くなっているからです。つまり思惑相場が行き着く先は、7月のFOMCで思惑違いのことが起きると、とんでもない急変動をひきおこす可能性があるのです。FRBが市場の要求通りに動くのか、今回の雇用統計をうけて利下げは一旦見送るのか。どちらにしろ、説明がつけにくいことにはなってきたのでしょう。

GPIFが18年度の運用実績を発表しました。恐らく、結果がよかったので安倍政権から「発表してよい」とのお墨付きがでたのでしょう。年金運用開始以降、年率3.03%をキープ、などと成果を強調しますが、昨年度の収益率は全体が1.52%。内訳は国内債券1.43%、国内株式-5.09%、外国債券2.70%、外国株式8.12%、短期資産0.02%、財投債1.93%。つまり国内株式の落ちこみを、外国株式がカバーした構図です。債券は金利低下により価額が上昇した面がこれまでは有利に働きましたが、米国債はまだ少し上昇余地があるものの、低いといっても消費者物価は1%半ば、物価よりも金利を低下させるのは難しい状況です。
米国株式も高値圏、しかもこれはQ4から米企業の業績が急回復する、という思惑込みです。その思惑もFRBが利下げする、という思惑込み。米経済が好調なのに、さらにFRBが利下げをして景気が一段と加速する、米中協議も米国の有利なように決着し…という思惑込みの状況なのです。これが如何に危険かは説明するまでもないでしょう。そうでなかったときの反動は、恐らくとんでもないものとなって襲ってくるはずです。

金融相場で、すべての市場が高くなっている今でさえ、1.52%しか稼げなかったGPIF。大きな損をだした国内株式も、日経平均をみるとほぼ横ばい。ベンチマーク投資では±ゼロになるはずでした。しかしTOPIXは7%程度の下落であり、TOPIX型に変更したことが影響した。しかもTOPIXの方が、一部の大型銘柄が押し上げる日経平均より日本経済の実力を示すとされており、日本経済の低迷が直撃しているのです。以前から指摘している通り、国債も今後は運用が厳しくなっていく。利子がつかない世界では、値上がり益がでないと運用は苦しい。世界はそうして、運用が厳しい時代に突入していく、それを日米ともに志向していくのです。
安倍首相は年金2000万円不足、という話にも野党にむかって「無責任」といいますが、GPIFを運用難に陥らせ、ここからは損失の方が拡大するかもしれない状況におく、どちらが無責任なのか? マイナス金利になっている状況は、むしろ次の金融不安を招きかねない事態であり、その引き金は誰が引いてもおかしくない。GPIFは世界最大規模の運用規模をほこります。運用難の影響を一番うける組織ともいえます。安定運用ができない世界で、一番の危機に晒されているのが年金というシステム、となるのでしょうね。

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2019年07月05日

経済統計に『留意』

昨日、公示となった参院選ですが、北朝鮮の金正恩委員長が安倍首相の「無条件で会う」に対し、「留意している」と答えた、と明らかになりました。G20で明かされていたことなのに、露骨なタイミングであり、逆からみれば拉致問題を政治利用しているだけ、という悪意がにじみ出ます。しかも、留意とは上から目線であり、やはり無条件では会わせてもらえない。日本から支援なり、制裁解除なりの条件をつけてやっと会える、というのも、これまでの強硬路線のせい。逆に安倍政権では会うことすら大変なのが分かります。
しかも新潟県村上市の街頭演説で、安倍氏は山形沖地震の支援として県内の旅行や宿泊に財政支援、と語りました。露骨な票買いであり、公示を待たずとも、また安倍氏の演説に合わせて発表する必要もなかった。国のお金を自分の財布と勘違いしているからこそ、こんな真似ができるのでしょう。大体、地震が発生したのが6月18日、2週間以上たって、自身の演説と合わせて発表する時点で、悪意を感じさせるというものです。

5月の景気動向指数が、一致指数で103.2と前月比1.1pt上昇し、基調判断を「下げ止まり」に上方修正しました。3、4月が「悪化」で景気後退が囁かれていただけに、無理やり高く誘導したような印象です。鉱工業生産指数などが改善したのがフル寄与していますが、在庫は積み上がっており、企業がなぜ5月にそうしたかもナゾです。消費税増税前の駆け込み期待だとすれば、今の消費傾向とは合致せず、説明がつかないのです。しかも先行指数は95.2と前月比0.7pt悪化しており、先行きは暗いのですから尚更、説明つきません。
5月の家計調査は消費支出が前年同月比、実質4.0%増、名目4.9%増となり、実収入も前年同月比、実質3.3%増、名目4.2%増と極めて堅調です。ただ世帯主収入が35.7万円、配偶者収入が6.9万円もある、日本のモデルケースとはかけ離れたものであり、支出も教育・教養娯楽が伸びるなど、実感ともまったく異なる。経済指標として使い物にならないものであり、他の統計との差も顕著に大きくなっています。

上記2つと全く異なる結果を示すのが、6月の日銀の生活意識に関するアンケート調査です。3ヶ月ごとに行われるものですが、景況感が『良くなった』3.7%、『悪くなった』28.7%、1年後は『良くなる』7.0%、『悪くなる』43.1%です。良い、は右肩下がり、悪い、は右肩上がりで、景況感の悪化は顕著です。現在の景気水準も『良い』『どちらかと言えば良い』合わせて12.5%、『悪い』『どちらかと言えば悪い』45.3%。しかもこれは、自分や家族の収入状況56.6%、勤め先や店の経営状況32.3%から判断されており、マスコミを通じて23.7%、経済統計10.4%と、肌実感としての景気悪化を誰もが意識しているとうかがえるものです。
安倍氏が成果のように語る「デフレでない」という状況を、国民も71.2%が感じている。ただし生活実感はゆとりが出てきた6.0%、ゆとりがなくなってきた40.5%です。収入が増えた13.2%、減った30.6%、支出が増えた39.3%、減った15.9%なので当然で、だから物価上昇を「困ったこと」77.0%となり、安倍氏が成果とするものを完全否定するのです。日本の成長力も「より高い成長がみこめる」3.0%、「より低い成長しかみこめない」56.4%となり、安倍ノミクスを失敗と断じる。政府が発表する統計より、日銀の調査をより実感に近いと感じることでしょう。むしろ政府発表の統計に感じる悪意、それが浮き彫りになるというものです。ただ、こうしたアンケートをうけても物価2%の旗を下ろさず、効果のない金融緩和をつづける日銀にも悪意を感じますが…。国民は、政府や日銀の行っているこうした悪意に、選挙のときも『留意して』おく必要がある、といえるのでしょうね。

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2019年07月04日

日本維新の会のマニフェスト

参院選が公示です。裏技で衆院解散、という手を使えなかったのはG20でも成果なく、大阪城エレベーター問題が直撃した面もあるでしょう。日本記者クラブ主催の討論会で、安倍首相が「消費税10%以上の引き上げは今後10年くらい必要ない」と語りました。同じ討論会で、自民は女性議員が少ないことを問われ、「次の選挙のときは(自民)総裁でない」と明言を避けましたが、今後10年は首相ですらないでしょう。それなのに、どうして増税は必要ないと言い切れるのか? またそんなものをトップ記事とし、印象操作をはかる大新聞はどうなのか?明らかに増税を明言して選挙に挑む安倍氏への、援護射撃としか思えません。
別の討論で、安倍氏が年金の運用が増えた、などと語りますが、リーマンショックと東日本大震災からの復興で株価が上昇した側面が強く、また国債は金利を下げると額面が増えるため、ここまで金利を下げたことで増えた。ただしここから、すべての資産が逆回転を起こす可能性…むしろ必然的に起こるのでしょう。金融機関が低金利で苦境、それと同じぐらい年金などの資産運用は苦しいのです。また憲法に関して「(議論もしないのは)議員の責任を果たしていない」としますが、国会で予算委も開かず、「議員の責任を果たしていない」のは誰か? 憲法など、それこそ委員会は何度か開かれており、意見がまとまらないだけのことです。

日本維新の会のマニフェスト、「創れ、新たな日本のかたち 目指せ、もっと自由で安心な社会」ですが、注目される年金問題は「賦課方式から積立方式に」と踏みこみます。しかし愚の骨頂でしょう。年金は利回りを約束して運用するのが一般的です。3%などとすれば、これほど高い利回りを約束するファンドは皆無なので、富裕層の積み立て依頼が殺到するでしょう。逆に、貧困層は積み立てる原資すらない。また運用益に達しなければ、税金で補填される。もし利回りを約束しないなら、誰も年金になど積み立てません。自分で運用した方がよいからです。亡くなった後も、個人資産ですから残債は遺族に返す必要がでてくる。それ以外でも、積立方式には大きな問題があって、これでは「自由で安心な社会」など達成できません。
これは「世代間再配分から世代内再配分」ということも同様ですが、大きなパイで再配分をするのと小さなパイでそれそるうのでは、明らかに若年世代の方が不公平感が強まります。少子高齢化対策なのか、子供の数が多いほど税負担が軽減されるN分N乗方式の導入、としますが、行政側の管理の複雑さと不正の温床になりかねない。全体的にいえることですが、制度をひねくり回し過ぎて、誰も得をしない制度にしかなっていない。言葉は悪いですが、変な学者の講釈を聞かされているような気分にさせられてしまいます。

NHK改革、と称してN国と同じような主張をするのも特徴です。その一方で、経済政策についてはびっくりするほどざっくりです。また『身を切る改革・徹底行革、国会改革』では、小政党にありがちな項目が並ぶ。大阪ではできました、は国会でもできます、につながらない。このタイトル自体が意味不明で、なぜ行革にだけ『徹底』がつくのか? 『身を切る改革』だけで十分では? 全体を通じてやたらマイナンバーがでてきますが、AIに行政を担わせれば一気にコストダウンできるのに、その話がこの項目で出てこないのもナゾです。
以上は、詳細版についてですが、概要版とは微妙にちがう。例えば上記のタイトルも『身を切る改革、徹底行革・国会改革』と、『、・』の使い方がちがう。事程左様に、概要版と詳細版ではうける印象がちがうのです。それは概要版が見栄えのいい弁論家だとすれば、詳細版はたちの悪い学者、という感じです。所属議員や候補者の不祥事など、政治家の質と同時に、政策の中身も問われる維新ですが、自民の補完勢力として、ちょっと自民よりハードに振った、というのが真相かもしれません。ただその結果、年金にしろ改悪にしかならない項目が並ぶ。結局、安倍氏が嘘つきである以上、その補完勢力としての維新も、傾向が似るということになりそうです。『身を切る』なのですから、むしろ国会の維新議員を切った方が、維新の総体としてすっきりするでしょう。その方が『自由で安心』に維新議員が暴言を吐けるというものであり、暴言が蔓延するような『新たな日本のかたち』を創られては困ることだけは、間違いないのでしょうね。

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2019年07月03日

国民民主の政策パンフ

九州地方の大雨が心配です。元々、日本は偏西風が南シナ海、東シナ海で湿気をふくんで日本に到来するため、雨が多い。そこに地球温暖化で海水温が上昇、梅雨の時期には梅雨前線が活発化しやすくなっている。九州に限らず、これは日本のどこでも起きることです。毎年、50年に一度の…などがどこかで起きるようなものは、もう常態化しているとみていい。対策を本気で考えないと、景気の下押し材料ともなりうるものですし、それは安全保障上の問題ともなるでしょう。何も国家間の問題ばかりで安全保障を考えるのではなく、国と家、個人との関係においても、きちんと考えておく段階に来ているのかもしれません。

国民民主の政策パンフ、『家計第一』を訴えるため、かなりのバラマキ型といえます。『新しい答え』がタイトルになっているものの、財源議論になると金融所得課税やGAFAへの課税など、かなり物足りない。所得控除から給付へと税体系を変える、としますが、正直首をかしげるレベルで、これが答え? と感じます。
年収500万円以下の世帯の家賃を10000円補助とする理由を、持ち家なら住宅ローン減税があるから、としますが、古い持ち家でローンを終っている世帯には恩恵がなく、むしろ高齢の年金世帯には多いはずです。しかも補助をだすより、公営住宅などへ受け入れた方が良い。かつて住宅公社などが4、5階建てで売り出したアパートが、今は上層階は空きだらけ、という話もある。エレベーターがないので、若い人でないと暮らせない。そういうところを格安で解放し、受け入れるなどした方がよほど予算的にも、有用だと感じます。

児童手当や年金の増額、農業の所得補償、高速料金の引き下げ、自動車重量税の当分の間税率を廃止、新自動車税など、とにかく財源が必要なものばかり。後半は、ほとんどが道路建設に消えるものなので、公共工事を減らすなら達成可能でしょう。自民党はむしろ道路を建設しようとするから、当分の間税率などをかけて増やしたのです。止めるべきものを止める、は事業仕分けを想起させますが、それができるか、が問われます。
気になるのが子育て支援、教育政策で、少子高齢化解消につながりそうな政策がない。子育て支援や待機児童解消、教育無償化などはありますが、子供を産みたくなる政策ではないのです。唯一、踏みこんだのは日米地位協定の改定を明記した点。一方で、憲法の考え方で『国が自衛権を行使できる限界を曖昧にしたまま、憲法9条に自衛隊を明記すべきではない』とする。明示すれば改憲派に転じる、というようにも読め、それは自衛権は海外でも発動できる、となっても改憲に同意してしまう懸念を生じさせるものとなっています。

参院選では野党が統一候補をくむので、出すぎた政策はだしにくい、という側面はあるでしょう。ただ結果的に、めぼしい政策もなくなっている。家計を潤せば経済が正しく循環する、というものではない以上、そこからの経済政策が見えてこない。安倍ノミクスの後は、誰がやっても大変な苦労が伴うので、そこには踏み込まないというなら、今の最悪の状態がさらにつづくだけです。野党に共通するのは、期待感の盛り上がりに欠ける、という点です。これは『新しい答え』というより、『現状の問題点に少しの改善』という程度でしかないのです。行財政改革をうちだす割に、森友問題も加計問題も一言もだしていない。『加計第一』にしろ、ということではありませんが、与党の問題点を洗いだすのなら、攻め手はもっとあるはずで、『苛政(追及)第一』という面も忘れてはいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2019年07月02日

リスクオフとエレベーター

米中首脳会談や米朝首脳会談で、市場にはリスクオフムードが蔓延しますが、真相はむしろ逆です。ここで米国が焦ったように『中朝と対話再開』に舵を切ったのは、イランとの開戦を意識しているから。そうでないと安全保障上の問題、とした華為技術への制裁解除に同意した、国防総省のメンツが立ちません。
つまり中朝と対立したままだと、陰に日向にイランを支援するかもしれない。表向きは両国との良好な関係を築き、イランの孤立化を図る。ナゼめざすイラン開戦か? それは中朝とは対話による解決をめざすため、成果は大統領選に間に合いそうもない。イラン戦争は早期終結、トランプ氏も強硬派の側近もそう考えているフシがあります。昨日、イランが核合意を破り、今は米国が欧州などと調整、説得している段階でしょう。私の周りでも7月中に開戦では? と噂されており、もし米イラン戦争が開戦すれば、中東全体に戦線が拡大する可能性がある。米国が急に中朝で対話路線に転じた理由は、よくよく考えておかなければいけません。

あくまで噂ですが、香港のデモにCIAが関与、という話もある。民衆扇動は諜報部隊のもっとも得意とするところであり、中国を内政に釘付けにするためにそうしている。これまで、過激な活動は控えていたデモが、急に暴力的な印象が増えたのも、そんな動きが陰にあるのかもしれません。また中東有事になると、世界的に危険な状態になります。それは原油の輸出が滞るばかりではありません。今や中東は政府系ファンドが乱立しており、世界に投資する投資家の側面ももつ。むしろそういう国を巻きこむことが、最大のリスクといえます。
つまり、イランの支援をうけたテロ組織などがサウジやUAEなどを巻きこむと、世界的な市場が確実に動揺します。米国は原油、天然ガスが内製できるため、影響は軽微と踏んでいるのでしょうが、中東の投資先として米国が拡大しており、最大の打撃をうけるのが米国かもしれません。世界的に原油供給が滞れば、イランが裏ルートで原油を卸しても利益がでやすくなる。OPECが減産を3月まで延期したのも、嫌な流れのように感じます。

安倍首相が、G20の夕食会で大阪城のエレベーターは「大きなミス」と語り、波紋を呼んでいます。バリアフリーを否定した、とみなされるからで、今日になり萩生田幹事長代理に自ら「遺憾」と語ったと伝わります。国際社会の重要な舞台での発言なので、少なくとも本人がでてきて、きちんと真意を語るべきです。そもそも「遺憾」は謝罪ではありません。本人が失敗した、と感じていることを表明しているのみです。「うけとりようによっては…」などと付けますが、「大きなミス」とは誰がどう聞いてもそれが存在することは間違いだ、と述べているのであって、どう受け取ってもバリアフリーのことは念頭になかったことがうかがえます。それが誤りなら、G20各国に連絡して真意を改めて伝えるべきで、そうでない以上言葉は空しいばかりです。
安倍氏の発想は、再建するなら昔通りに、という短絡的なものでしょう。しかしバリアフリーにしろ、リスクは想像力によって補わないと、未来に大きな禍根を遺してしまいます。安倍氏には圧倒的にその想像力が欠如している。多くの人に、リスクを感じずに暮らしてもらうには、相手の立場にたって考えないといけませんが、その想像力が皆無なのです。中東有事が起これば、愈々自衛隊法を改正して海外活動を増やしたことで、自衛隊が危険地帯に派遣されるでしょう。当時の小泉元首相は、自衛隊の活動が危険地帯かどうかを問われ「私は知らない」と、ケンカ腰で啖呵を切りましたが、安倍氏も同様にそうするでしょう。ナゼなら想像力がなく、自衛隊がどういう状況に置かれているか、報告をうけるまでは認識できないからです。何が「大きなミス」なのか、そう遠くない時期に、改めて問われる場面がでてくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:25|PermalinkComments(6)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2019年07月01日

雑感。6月日銀短観と自由貿易

G20で「自由貿易の基本原則を確認」とした安倍首相が、その舌の根も乾かぬうちに韓国への徴用工判決に対する対抗措置を発表しました。韓国に対する優遇を外す、というだけなので、自由貿易とは関係ない、とでも考えたのなら早計です。そもそも特定の国に優遇を与えていること自体が、それを受けられない国からみれば特権であり、自由貿易の原則から外れるのです。そして日本が貿易を外交の道具にする、と見なされれば、日本の自由貿易の姿勢にも疑義が生じるので長期的にもマイナスでしょう。韓国がWTOへの提訴をチラつかせますが、負けたら日本が2連敗となる。何でそんな賭けを、このタイミングでするのかもわからない。外交オンチの安倍政権が立てた戦略、相変わらずのチグハグ感で、正直首を傾げざるを得ません。

6月日銀短観、大企業製造業の現状判断DIは7と前回より5pt悪化です。中小企業も-1と7pt悪化するなど、日本の製造業の低迷が顕著です。5月の鉱工業生産指数が105.2と2.3%上昇し、小康とみられただけに意外な数字です。ただ6月は低下する見通しでしたし、そもそも在庫の積み上がりが寄与しているとみられ、消費税増税前の駆け込みを想定した動きもあり、その押し上げがあっても大して寄与しなかった。また先行き判断DIは大企業で横這い、中小企業で4pt下落など、製造業には当面、期待できないことが分かります。
非製造業では大企業の現状判断DIは23と前回より2pt改善、中小企業は10と2pt悪化です。これを受け、内需が底堅いなどという人もいますが、大きく上昇したのは物品賃貸と宿泊・飲食です。つまりGW特需と夏休み期待が乗っかった。卸売りと小売りも改善はしていますが、不動産が悪化しており、増税前の駆け込みとも考えにくい。先行き判断DIをみると、大企業が6pt悪化、中小企業が7pt悪化するなど、9月でも駆け込み需要がのりそうですが、そうでないと判断していることになる。日本経済は瀕死の状態で、安倍政権は増税を模索している。外交オンチであり、経済オンチであることが、この時点でも明らかです。

ナポレオンと同じ時代に活躍した独国人のフィヒテは、通商と交易によって平和が保たれるのではなく、諸国家の衝突する商業利益が諸々の戦争の本当の原因、とする『封鎖商業国家論』を著述したことで有名です。国民は国産品を是とし、もし外国産品が欲しい場合でも、内製によってそれを賄うべき、とします。彼が傾倒したカントが、『永久平和のために』で通商と交易による国際平和をめざしたのとは、真逆の態度といえます。
カントは永久平和の条件として、常備軍の撤廃、民主的な法治国家、国際法、国際平和機関だとしましたが、その中の常備軍の撤廃ができていないから、世界は混乱状態にあるのか? それとも民主的な法治国家とは名ばかりだからなのか? 国際法に抜けがあるからか、国際平和機関が有名無実化しているせいか。いずれにしろ永久平和とは程遠い世界だということは、間違いないでしょう。その結果、自由貿易すら形骸化し、フィヒテ流の封鎖商業国家をめざす国が増えている現実が、哲学に現実が近づくような印象すら与えます。

むしろ日本は(名目上)常備軍はないのですが、民主的な法治国家という点に疑義があるため、フィヒテ流の方針に近づいている、といえるのかもしれません。フィヒテの時代は英仏の圧力にさらされ、独国が厳しい時代であり、フィヒテは反動分子といった側面でみられがちで『ドイツ国民に告ぐ』などをみると、独国民を礼賛して反ユダヤ主義を唱える、ナチスの先駆と捉えられることもあります。ただ、教条主義に陥ると似た主張になるという点では、興味深いといえます。世界が今、封鎖商業国家になろうとする中、日本もそれに倣うのは政権の態度としては整合的といえ、その点でも興味深いといえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:48|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済