2019年10月

2019年10月31日

日米の金融政策

沖縄の首里城で火事です。木造の建物でスプリンクラーもない。一度燃え上がったら、消すのが難しい構造だったのでしょう。再建に向けた動きがでてくるでしょうが、今度は伝統の中に安全対策を盛りこんで、燃えにくい塗装を施す、屋根裏に配管を通して消火設備を設けるなど、色々な工夫が必要なのでしょう。
河合法相が辞任です。文春報道2発で、2人の閣僚が討ちとられた。今回の件では、妻の疑惑で自分はあずかり知らない、ということのようですが、支持者にジャガイモを送ったともされているし、自身の公設秘書の関与も報じられる。決して無縁ではありません。実際に、妻の問題で自身が関与していないのだとしたら、捜査にはタッチしないとして法相にとどまってもよかったはずです。説明責任を果たす、ともしますが、閣僚の座を退いてから病欠し、説明もせずに復帰するのを『甘利式』といいます。菅官房長官案件でダブル辞任。党内の動きも気になりますが、まずはこの2人の前閣僚がそれ以上の雲隠れ、『甘利越え』となるか、注目でしょう。

日米の金融政策、ある意味で想定通りにFOMCは0.25%の利下げと、予防的措置の打ち止め。日銀は緩和姿勢を強めたものの、現状維持でした。市場の反応が薄くて、一先ず成功とする意見もありますが、月末ドレッシングの影響もあって見えにくくなっただけで、相場がこの結果を織りこむのはこれからです。チリで開催予定だったAPEC自体、国内の混乱で会議自体が開けなくなりましたが、米中貿易協議の合意をめざしていたトランプ政権が、そこでの首脳会談で合意、とする方針を断念しました。中国としては合意をずるずると先送りした方が都合よい。完全決裂はまずいですが、12月の第4弾の発動を先送りさせるだけでは物足りないので、プラスの条件が得られない限り、このまま協議をつづけて12月を迎えた方が都合いいのです。
米国では12月にも利下げ、との期待もありますが、景気は緩やかに下降をたどるとしても現状維持に近く、今回のFRBの判断を否定するほどでない限り、利下げは難しいでしょう。日銀は副作用を封じ込められる、というだけの絶対な自身がないと踏みこめない。逆にいえば、日銀の利下げは賭けでしかないので、バズーカなどといって呑気に緩和していたときとは異なり、度胸と決断が必要です。その条件をそろえたと思えるほど景気が悪化しているとなれば、それはもう多少の緩和では効かないかもしれず、いずれにしろ賭けです。

今が不況時の株高であることは間違いありませんが、気になるのは昨日もそうですが、特殊な事情で現物株の商いが増えているのに、先物の取引はふくらんでいない。売買の傾向が、明らかに以前と比べて変化がみられる点です。恐らくそれは、為替でも債券でも、同じようにこれまでの相場の常識とは異なる傾向の取引、予想外の動きが起きることも頭に入れておかないといけないのでしょう。いずれ各国の中央銀行も、市場の期待を裏切ることになります。それは緩和の限界、副作用の防止など、様々な要因もあるのでしょうが、一番は期待値ばかり高めてしまう市場と、現実との乖離を修正しなければいけなくなるからです。今がそのタイミングでなかったことは証明された。果たして、そのタイミングがいつなのか? それが世界の景気の分水嶺になるのでしょうが、個人的には景気後退がはっきりした後でないことを祈るばかりですね。

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2019年10月30日

災害と景気

愈々明日、FRBと日銀の金融政策の結果がでますが、その前にS&Pが『日銀がマイナス金利を0.1%深堀すると、地銀の本業収益が21%減少』という、衝撃の試算結果をだしました。海外での収益を増やす大手は6%減少にとどまりますが、だからといって国際基準に満たない地銀では、海外で活動することもできない。日銀は「副作用にも配慮」としますが、どうやっても地銀はさらに苦境に陥る。地銀を犠牲にしてでも実施するのかどうか、です。
そんな中、日銀が保有するETFを来春にも貸し出し、との記事があります。自分で買い占めておいて、貸して儲けるとでもいうのか? 確かに流動性は確保できますが、投資家がそのETFを借りて売ると、相場は下落圧力が強まります。すると高値で買った日銀は損を抱えるだけで、一方的に日銀が買うから相場が支えられましたが、この動きは下手をすると日銀の動きをあざ笑うかのように、致命傷を与える可能性もあります。

商業動態統計によると、9月小売販売額は前年同月比9.1%増と、明らかに駆け込み需要もみられます。しかも問題は、そうして大きな買い物をした後で台風19号の被害が広範囲にでた点です。購買力を落とした状態で、家の修理や家電などの買い替えが発生している。メディアでは「増税の影響は軽微」といった報道が専らですが、明らかに最悪のタイミングの増税だった、メディアが画策する再増税への道筋を数字で否定されることになりそうです。10-12月期は日本の景気にとっても試練のときになるのかもしれません。
結局、今回の大雨被害で激甚災害指定もされましたが、補正予算をくんでも執行は数ヶ月後、消費の減退を補えるわけではありません。また企業も多数被災したとみられますが、再開には時間もかかりますし、問題は中小企業への貸し手であるはずの地銀が、マイナス金利の深堀などすればさらに体力を失い、貸し出しを渋ることにもなってくる点です。金利が低くなれば企業が借り易くなる、安倍政権はそういって憚りませんが、実体はそれと乖離した貸し渋りも起きそうです。特に被災して体力が落ちた企業は、その分信用も落としてしまうのであり、地銀などが貸し出しに二の足を踏むことは容易に想像できてしまうのです。

安倍ノミクスは失敗、とこれまでもくり返してきましたが、端的にそれを示すのが安倍政権発足後にできた官民ファンド、9組織の損益をみると323億円の赤字になる点です。安倍首相は「(累積で)5800億円の利益」としますが、安倍政権誕生前からある3つのファンドが6000億円以上の利益をつみあげた結果であり、しかも損益を非公開の科学技術振興機構もふくめると、さらに損失が大きくなる可能性もあります。安倍政権が「景気がいい」と言えば言うほど、ならどうしてファンドの失敗が目立つのか? その説明がつかないのです。
民間が行わないような事業だから、長期的視野に立った投資だから、などとも説明されますが、多くが5年も経って収益が出ないのなら、それは事業として成立していないことを示します。世界的な株高の状況でこの成績なら、本来は投資を引き上げないといけないのに、その決断ができない。それにいくら累積の数字をだしても、単年度で損失をだしていたら、国民が税金からその損失を負担しないといけないのです。安倍ノミクスに失敗しているから、マイナス金利の深堀を日銀が検討せざるを得ない。しかしそれは、実際には景気にさらに打撃となる。日本経済にとって、真の災害は安倍ノミクスということになるのかもしれませんね。

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2019年10月29日

河野防衛相の「雨男」発言

緒方貞子氏が亡くなりました。何度も外相への就任要請をうけながら、固辞したとも報じられるほどの気骨の人でした。個人的な利益を考えれば、外相をうけていた方がよかったのでしょうが、日本政府の方針に従わないといけない。難民救済に尽力したその方針が、日本政府と合わないことは火を見るより明らかです。世界的に名を知られた人が、日本政府の方針とそぐわなかったことは、記憶しておいてよいのでしょうね。ご冥福をお祈りします。

河野防衛相が自身の政治資金パーティーで「私は雨男。防衛相になってからすでに台風が3つ」と語り、今日の参院外交防衛委員会で陳謝しています。「自衛隊員の苦労をねぎらう話」でとり上げたとしますが、明らかにお金を払って来てくれた出席者に、サービス精神を発揮したものとみられます。立民の安住国対が「迷惑をかけていると思うなら辞めるべき」としましたが、住民への多大な被害と、自衛隊員の苦労を自身の責任ととらえるなら、即辞任するのがスジです。ねぎらうどころか、被災者に対して同じ言葉を言えるのか? 考えるまでもなく言葉の軽さが指摘されるところであり、まさに『パー』ティートークです。
そんな自衛隊を、航行の安全を確保する目的で中東の海域に派遣、とする方針の安倍政権ですが、有志連合にも入らず、ホルムズ海峡が派遣先に入るかも明示していません。米軍がホルムズ海峡に展開するのですから、同盟国としてそれに参加しないのは説明がつきませんし、また米軍から苦情も聞かれない。ということは、明示せずともホルムズ海峡が入り、かつ米軍をサポートする方針ではないか、と危惧されます。つまり密約により、物資の補給やレーダーなどのサポートは行う、と米軍と合意しているのでは、ということです。

そもそも嘉手納基地で米軍がパラシュート訓練を強行したことに、河野氏は「遺憾」としかしていない。中止要請を無視されて、「残念です」としか言えない、残念さです。そもそも日米同盟では、米軍は日本のどこで、どんな訓練をしようと日本政府に報告する義務はありませんし、被害が出たところで保障する必要はありません。96年に伊江島で訓練を実施することで合意、としたところで、大枠の日米同盟を変えない限り、米軍は自分たちに都合いいところで訓練するだけ。それぐらい、両者の力関係には差があるのです。
中東に、航行の自由を確保するため自衛隊の艦船を派遣しておいて、その地域の米軍と連携しないことなどあり得るのか? あるはずがありません。今回の動きの問題は、もしそうして自衛隊の艦船がホルムズ海峡で後方支援をしても、国際的な評価もうけられなければ、もしそれで被害がでてもほぼ自己責任、勝手に危険海域に入っていて巻き添えを食った、ということにされてしまう点です。つまり、改憲の理由として「自衛隊員の誇り」だのと、明記の理由を語っておきながら、安倍政権のやろうとしていることは自衛隊員に、尻拭いの下働き、小間使いのようなことを隠密でさせる、ということなのです。そんな作業に従事させておいて、果たして河野氏は「ねぎらう」などと言えるのかどうか? 自衛隊が真に誇りをもつのは、世界的に評価される仕事をしたとき、だけでしょう。憲法に書くのか、書かないのかでゴタゴタする安倍政権は、むしろ自衛隊にとって「雨男」と同じぐらい、厄介な存在となるのかもしれませんね。

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2019年10月28日

雑感。補正予算と日銀

常陽銀行のグループ会社の調査で、茨城で55.7%の企業が人手不足、と答えたといいます。今年の豪雨災害の前の調査ですが、今後は安定した住環境の確保も、企業が人集めをするには大切かもしれません。例えば堤防を高くするのではなく、嵩上げした住宅地をつくり、そこに従業員を住まわせる。一度水害がでた土地でも、4、5m嵩上げした地盤改良した土地だから大丈夫。そんな人集め方法が今後、流行るかもしれません。気になるのは、一時期まったく聞かれなかった廃品回収業者の声を、最近また耳にするようになった、という話です。五輪の建設ラッシュも一服し、人が余り始めていることが影響しているのかもしれません。
日経の世論調査で堤防やダムの建設に賛成が80%以上、などとしますが、堤防があるから排水が滞る、という話をメディアもまったくふれませんし、防潮堤のせいで被害が拡大した、なども扱いは小さい。日経の調査は財界の意向を反映しやすいので、そういう面があるとしても、あまりに無知というしかないのでしょう。さらに消費税増税後も支出は「変わらない」が76%としますが、変わらないのなら増税分の消費は減退している、ということ。増税分が増えていないのなら、間違いなく日本の消費は減速していることになります。

菅官房長官が「19年度補正予算」に言及しました。しかし東日本豪雨災害の復興に多くが当てられるとみられ、景気面での大きな影響はない、と予想されます。さらに問題は、補正予算を編成する元手であり、大規模になれば間違いなく赤字国債発行が視野に入ります。埋蔵金を掘りまくってきて、それ以上の元手を安倍政権ではみつけられていないからです。本来、こうした観測がでると国債は金利が上昇するはずですが、今はほとんど動いていない。月末の日銀金融政策決定会合で、追加緩和の見通しが強いためです。
それが追加緩和なのか、微調整なのかは予断を許しませんが、市場期待が高まっているので追いこまれ感も強まっている。米国のFOMCも、利上げ確率90%以上と、利下げしないと逆サプライズになるため、やらざるを得ない。果たして今の市場から催促されて金融政策が右往左往するのが、正しい方針の立て方なのかどうか? 市場主導型の金融政策が、今後もつづくのかどうかが、今月末にも試されているといえます。

実際、市場が懸念としていたものは、徐々に晴れつつあります。EUがBrexitの期限を最長1月末まで延期することで合意しました。協定案の再交渉はしない、などとしますが、もうEUは何度「期限延長しない」「再交渉しない」と述べてきたかを考えれば、大した意味はありません。ジョンソン英首相の協定案でも、これで決まれば合意ありの離脱です。EUは英国離脱は防げなかったものの、合意の上で離脱してくれるのなら御の字、という形での決着を望み、この合意となったのでしょう。米中貿易協議も、トランプ政権発表によると11月半ばで部分合意の見通し。そうなると、「予防的」との文言はもう使えません。つまりもう、景気後退か最低でも減速ぐらいは認めないと、金融緩和の正当性が得られなくなってきたのです。
ここから月末にかけて、次の流れを決めるタイミングに来ているのは確かです。楽観の中で、すべての好材料は織り込んでしまっている金融相場の現状、さらに相場を押し上げる材料はあるのかどうか? 聖書には『黄金の仔牛』の話がでてきます。モーゼが神から十戒を授かる間、帰りが遅いことで民たちが黄金の仔牛の像をつくって大騒ぎした、というのです。『黄金の仔牛』は偶像崇拝の象徴とされますが、今がその『黄金のブル相場』なのかどうか。そのときモーゼは十戒の石板を叩き割り、ふたたび神と契約を結び直しています。中央銀行との信頼関係を築き直す必要が生じるのかどうか、試されてくる場面といえるのでしょうね。

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2019年10月27日

大学入試改革は「身の丈に合わせて」?

埼玉参院補選、上田前埼玉県知事が当確です。今回は知名度、実績とも抜群の上田氏の独擅場とみられており、N国党主の立花氏は序盤から海老名市長選への出馬も匂わすなど、結果は見えていました。既得権益打破や消費税5%も訴えていましたが、与党系候補との対立軸ならそれも分かりますが、野党系である上田氏には通用しません。また「善と悪の戦い」などとも演説していましたが、首を傾げざるを得ないものでした。しかしこれで分かったのは、N国党は比例なら何とか勝てるレベルであるものの、選挙区ではからっきし、ということです。しかも党首の裁判沙汰や、政策がよく分からないなどの点も評判を落とした原因でしょう。元ライブドア社長の堀江氏を招聘、と言った話もありますが、国政選挙では考慮する必要性も薄れたのでしょう。
上田氏は与野党相乗り、などとも報じられますが、埼玉県知事選で対立した与党は、勝てそうな候補もみつからずに乗っただけ。安倍政権の選挙強さ、というのも懐疑的な見方が強まってきました。特に、野党がまとまりだしてきて、産経などは特に野党への悪口が止まりませんが、確実に野党の選挙体制はできつつあります。安倍氏が選挙に強いのか、ただ野党が弱かっただけなのか、ここに来てその評価も変わりそうです。

萩生田文科相が、テレビ番組内で民間試験の導入に関して「身の丈に合わせて頑張って」と述べ、反発をうけています。そもそも今回の入試改革、すこぶる評判の悪いものであり、身の丈に合わせると確実に家計の状態や、生活環境に大きく左右されることになってしまう。安倍政権の悪しき点でもある格差拡大の、これは最たるものとなりそうです。この入試改革は大学の入試を一度の試験で評価するのではなく、予備校などで開催する試験なども評価基準に加える、というものです。それはその予備校に通う生徒の方が有利になることが必定で、予備校にも通わず頑張っている受験生は、制度によって不利が生じるのです。
私も学習塾というものには通いませんでしたが、やはり家庭の状況です。今後、そういう生徒は良い大学への道が狭くなる。予備校とて商売ですから、通っている生徒のために集中講義や試験対策などに力を入れるでしょう。逆に、街にある小さな学習塾などは、一つの入試ではなく各予備校で実施される試験にむけた対策をとらざるを得ず、その分負担が増しますし、生徒ごとにきめの細かい対応も必要となる。これは生徒にとっても負担増で、学習塾経営者にとっても優勝劣敗、特に全国規模の模試を開けるほどの大規模な予備校にとって有利な、つまり格差の拡大しか生まない制度改悪といえるような内容なのです。

これまでも様々な制度改悪をすすめてきた安倍政権ですが、まさに極みともいえるのでしょう。富裕層優遇、格差拡大、弱者圧迫という安倍政権の方針、そのものだからです。しかし今回、対象が有権者でもある高校三年生という点が、これまでと大きく違う点なのでしょう。むしろ、これでも安倍政権を支持する、という富裕層が庶民を従わせるから、問題ないとでも考えたのかもしれません。しかし身の丈どころか、能力に見合わない立場、地位にいる人たちが国をいじくり回した結果、国がおかしくなっていく。それを止めるのは、これからを担う若い力となるのかもしれません。身の丈どころか、高校生の中に広がる思いの丈、それを受け止められない安倍政権、そして萩生田文科相に任せる
わけにはいかない、となるのでしょうね。

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2019年10月26日

雑感。安倍政権の防災対応は…?

米中が閣僚級の電話協議を行い、米通商代表部(USTR)が「前進、完了に近づく」と発表しました。しかし米国からしか、こうした発表はないですし、相変わらず詳細は全く不明です。米国がオオカミ少年にならなければよいのですが、トランプ大統領への弾劾調査で、共和党議員が立てこもりなど、右に倣えと化したトランプ政権の本音は、ただ現状の株価下落が怖い、というだけにしか感じません。しかし11月半ばのAPEC首脳会議で米中合意、というシナリオが崩れると、逆に市場の反応が怖い、ということにもなるでしょう。
そんな米国で、19年度の財政赤字が9840億$になったと発表されました。米国では共和党が悪化させた財政を民主党が立て直す、という循環があり、トランプ政権でもその通りになった。これは共和党がバラマキで景気浮揚をはかり、おかしくなって支持が落ちると民主党政権が誕生する、という循環でもあった。今がそうなら、弾劾の行方も気になるのでしょう。日本には米軍の駐留経費の負担や、日米貿易協議でさらなる条件を追加してくる可能性もあり、注意も必要です。すべては減税と、それでも景気がそれに見合うほど拡大していないことが原因ですが、大量の国債発行が伴うので、さらにFRBに対して利下げ要求を強めるとみられ、月末のFOMCはどうなるのか? そこが今の楽観相場の終わりともされるので、要注目なのでしょう。

安倍首相が官邸の非常災害対策本部会議で「救命救助活動に全力」としました。これはおかしな話で、被災した人全員に対して、もれなく全力で当たるべきでしょう。避難所では高血圧になることが知られており、せっかく命が助かっても避難所で亡くなる人も多い。そうしたケアにも全力で当たるべきです。被災者対応に全力のものと、全力でないものなどないのですから、「全力」と表現すること自体が間違いです。
その大雨被害で、注目されるのは千葉で遊水地をいくつか設けていたものの、その貯水量を越えたために、結果的に浸水被害をおこしてしまったケースがあったことです。今も減災、防災の検討が行われていますが、どこまでの想定をするかによっては莫大な工事費になって、国家財政の負担になります。全国一律にそんなことをすることはできない。いつ、どこで、どれぐらいの災害が発生するかは想定できず、過剰防災に陥る可能性すらあります。必要なことは、もっと詳細な災害マップをつくり上げることだと考えます。

防災マップを詳細にし過ぎると住民への周知が大変ですが、どれぐらいの降雨でどこまで浸水被害を受けるのか? それを詳らかにして、住民に配る。そんなことをしたら、資産価値にも影響するかもしれませんが、日本の場合は家を買ったらそのままもち続ける、が基本なので、むしろそれに基づいて税率を変えるなどすれば、住民にメリットもでてきます。台風19号のときも感じましたが、私の実家は避難準備でしたが、実家は高台にあって水害の心配は皆無です。それでも一律で避難準備がでてしまうのは、明らかに不自然です。きめ細やかで、自分たちがどれぐらいで避難が必要なのか? 地域ごとにきちんとダムの状況、遊水地などの有無、すべてを記した一軒一軒ごとのマップを配ることが必要だと感じます。
ダムにしろ堤防にしろ、結局はどれも限界があり、限界を超えた途端にそれは凶器になる。その凶器になるタイミングを正確に知っておくことが、最大の防災だと考えます。そして後は、避難所の充実です。日本の避難所は、海外に比べても設備が貧相といわれて久しい。そういうところに、政治力を発揮するべきともいえるのでしょう。国土強靭化、などといっても、結局のところ50年に一度や100年に一度の災害には、何の役にも立たないどころか、むしろそれが凶器にもなるのですから、公共工事にばかり注力するのではなく、本当に『全力』をだすべきところは、間違えてはいけないのでしょうね。

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2019年10月25日

菅原経産相が辞任

千葉、茨城、福島などで大雨被害です。台風21号が連れてきた雨雲ですが、乾いていない土地に再度の雨であり、被害が心配されます。毎年、どこかがこうして雨の通り道のようになり、一度ならず二度、三度と大雨が襲うようになる。地球温暖化の影響とはいえ、寒暖差がはっきりするからこそ、そんな事態が起こるのでしょう。米国では、一日にして80℉から30℉まで気温が急落したことも話題です。これは華氏なので、摂氏に直すと約27℃から氷点下まで、たった一日で下がったことになります。北海道でも気温急落などが報告されていますが、この振幅の大きさが熱波と、寒波と、様々な被害を拡大させているのでしょう。

菅原経産相が辞任し、梶山氏が後任と決まりました。安倍首相は「任命責任はある」としますが、安倍政権は「個人の説明責任」とし、突き放す態度ですが、明らかにおかしな態度です。週刊誌報道では明らかな公選法違反、会見で菅原氏は「秘書ももっていったが、翌日には自分で弔問」とします。ただ元秘書はまったく異なる証言をメディアに寄せており、これは調査が必要な検察案件といえるでしょう。つまり安倍氏は「与党も調査に協力」と「検察の捜査に手心は加えない」の二つを約束しないといけないのです。
逆に、これまでもそうしなかったように、選挙という場で不正や違反があったかもしれないのに、時の政権としてみて見ぬふりをするというなら、安倍政権下で悪事は止まらない、と断言できることにもなるのでしょう。そして菅原氏の後援会や支持層にも、この疑惑は及んでいる。公選法ではお金を渡した側だけでなく、受け取った側も罰せられるのであり、調査しなければいけません。そしてこれは、菅原氏の選挙区内にいる創価学会への疑惑ともなってくる。創価学会婦人部は票の掘り起こしの役を担いますが、幹部に公選法違反の疑いともなれば、票の取りまとめの疑いにも繋がり、それは選挙協力にも楔が入るかもしれません。今回、リストも明らかで、捜査は簡単であるだけに為政者が「やらない」ということに説明つかないのです。

経産省はキックバック問題の関電を所管する担当官庁ですが、就任する梶山氏は、動燃に勤めたこともある典型的な原発政治家。原発推進をすすめる関電と、親和性が高い。関電のキックバック問題に対応できるか、かなり疑問があります。原発の推進者が、原発政策の息の根を止めかねない調査を、無私の心でできるはずがないからです。むしろ安倍政権が関電の捜査をやる気がない様子を、この人事はよく映すのでしょう。
菅原氏は関電のことを「言語道断」などとしていましたが、当の本人が「言語道断」だった、となります。ちなみに、言語道断という言葉は本来、言葉に尽くせないほど素晴らしい、という意味になります。しかし仏教用語は多くがそうであるように、一般化されたときに意味が転倒していることが多く、言語道断も「呆れて言葉もでないほどひどい」に変わりました。しかし呆れて言葉がでないからといって、いい加減な説明で逃げ果せる、となったら、この国の法律、仕組み自体が『言語道断』となるでしょう。今回、菅原氏隠しでないのなら、安倍政権が言葉を尽くして今回の件を説明、疑惑の追及をしないと、まさに『言語道断』と糾弾されるのは安倍政権となるのでしょうね。

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2019年10月24日

雑感。日本人の海外投資

日銀が公表した金融システムリポート、ローン担保証券(CLO)への投資残高が12.7兆円と3年前の2.5倍に拡大しており、注意が必要としました。しかしCLOでもAAA格付けの商品に投資しており、リスクは少ない、とします。CLOはサブプライムローンと似た仕組みであり、当時もAAA格付けの商品が紙くずになった。世界同時景気後退などとなれば、いくら金利が低くとも倒産は頻出するのであり、問題は格付けの低い企業は、ナゼ格付けが低いのか? です。それは債務だったり、収益性だったり、どこかに問題を抱えるからそうなのです。そうした企業への融資をまとめて、上澄みをすくい上げたからといって安定性が高まるわけではない。農林中金、ゆうちょ銀、三菱UFJ銀など、こちらも何だか脛に疵あるメンバーが並ぶ。海外展開に不慣れな機関が、怪しげな商品に手をだしている構図が見え隠れし、要注意ともいえるのでしょう。

同じ構図はSBGのWeWork投資にもみられます。アリババのジャック・マー会長に投資したときのように、経営者をみて投資を決めた結果、その経営者を追いだして約1兆円の融資を迫られました。一部ではWeWorkは4000人規模のリストラと、選択と集中をすすめるとします。しかしそもそもレンタルオフィスという仕組みが世界的に馴染むのかどうか? そうしたものを利用する企業はベンチャーだったり、小規模事業者だったりします。つまり景気の波に左右され易く、安定した収益を上げられる可能性は薄い、といえます。
日本人が海外の目利きをするとき、成功例は多くない。例えば、これまで成功していた自動車業界も、東京モーターショーが開かれますが、『未来の車』はそうなるのかもしれないが、誰も欲しいとは思えないものばかり。自動車はこういうもの、という形が決まって、そこに創意工夫を盛りこんでいく間は好調でも、新しい車の形を提案する、となったら途端に魅力をなくす。「おもてなし」を標榜した車を買うのは、企業や法人だけでしょう。そんなものが展示されたとて、面白みは皆無です。顔認証により健康診断も、車には要らない。未来を創造し、新しいものを生みだす能力が、圧倒的に日本人には欠けている。だから未来を見据えた投資、という項目も苦手で、企業買収などに成功例が少なくなってしまうのでしょう。

最近、気になるのはシカゴ日経平均先物が高く返ってきても、日本市場の寄り付きがそこにサヤ寄せできず、上値を抑えられる点です。金融の事情で、先物を買ったところで現物の株がついてこない。11、12月は株高のアノマリー、企業が自社株買いをすすめる、といった煽りもありますが、もうそんなものはとっくに市場に織りこまれている。つまり株の高いは百難隠す、として市場に楽観ムードを漂わせるものの、現実の景気との乖離が大きくなり、現物株の買いがすすまないのです。結局、誰もがここから景気悪化を迎えると、世界同時景気後退が見えてきて、システミックリスクに陥ることを恐れるから株高を促しているともいえ、危機意識が高いということを今の株高は示すのでしょう。何より、まだ市場のメインシナリオは今年の第4四半期から業績も改善、来年には成長軌道、であってそのシナリオを崩すわけにはいかないのです。
それを促さなければいけないのは、CLOなどのリスク資産の保有を日本の金融機関も高めているからであり、リスクをとった投資をしないと収益が保てない。リスクが現実になったら、そうした投資が一気に負債となる。だからリスクが顕在化しないよう、景気を上向きであると見せかける必要がある、ということなのです。最近、米政府要人がやたら米中貿易協議に楽観の見通しを示すのも、同様の流れといえるでしょう。日本は未来の姿を描いて投資していくのが苦手、そこにもってきてリスクを覆い隠されている現状は、日本人の苦手分野をより一層、落第点にまで押し下げる要因となりつつあるのでしょう。サブプライムローン問題のときも、日本ではやたらと「大丈夫」「問題ない」などとされ、問題が破裂して初めて「大変なことだ」と報じられるようになりました。今もそれに似ています。『未来』という字は『未だ来ず』ということです。しかし『やがて来る』ことであり、想像力を働かせて、自分もそのときの姿を描いておかないと、見通しの悪い人たちに騙されることにもなりかねない、ということでもあるのでしょうね。

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2019年10月23日

菅原経産相が公選法違反か?

国民民主の森参院議員の質問を、内閣府が漏洩したとの疑惑について、北村地方創生担当相が「(内閣府から直接漏洩なら)責任をとる」と発言しました。原氏はその経緯を、内閣府が国家戦略特区WGの原座長代理に関する質問を本人にメールで送信、それを原氏が第三者である高橋嘉悦大教授に電話やメールで内容を伝えた、とします。その高橋氏がネット番組で批判してコトが明らかになったのですが、原氏にしろ高橋氏にしろ、この程度の人物らに政府の重要な仕事を委ねているのが誤りです。情報の扱いもなっていなければ、ネットでばらすというマヌケぶりです。この程度の人物らに国の大事な情報を任せられるはずがない。
内閣府に問われるのは、「参考人招致を調整するため已むを得なかった」としますが、そうなると参考人招致自体が、本人が質問内容を知った上で、出席するか否かを決められることになっている点です。国会が必要だと判断されるなら、本人に内容を通知することなく招致すべきで、特に重要な会議の座長代理という重要な役割を担う人物です。WGは内閣の下にあり、国会のあずかり知らぬものであるからこそ、そこで語られる話を国会でも共有するのは重要であり、内閣府が拒絶する理由は本来ないはずです。逆に、国会には教えられない内容なのか、座長代理が質問内容を知って招致を拒絶できるような状態がおかしい、ということです。

菅原経産相に、公選法違反の疑いです。というより、これまで公選法で禁じていた『地元の有権者に香典を配る』という問題であり、これを安倍政権が擁護すると、公選法がなし崩しになる恐れもあります。しかも、これまでも文春砲がいくつも直撃しながら、見て見ぬふりをしてきた。有権者にお金を直接配る、などとも報じられていますから、菅原氏の疑惑は底なしで、そんな人物を放置してきた責任が問われることになります。
そして問題は、菅原氏は菅官房長官の懐刀とされていた点です。今回の組閣でも、菅氏案件として入ったはずで、当然それは安倍政権内の菅氏の立場にも影響してくるでしょう。菅氏は小泉環境相を次期総裁候補とかついで幹事長ポストを狙うとみていましたが、小泉氏も評判を落としまくっており、ここに来て菅氏のシナリオにも微妙な狂いがみられる。菅原氏の醜聞などは、自民党内から刺されたとみられており、ここに来て党内政局が激しくなってきた。ポスト安倍レースは混とんとしてきた、といえそうです。

経済的には安倍ノミクス後は誰がやっても大変、と言ってきましたが、政局的にも安倍後は誰になっても大変、となってきた。それは自民党にろくでもない議員が多く、菅原氏の問題など氷山の一角に過ぎないため、なのでしょう。大体、安倍政権は検察の動きを抑えて、起訴させないようにしてきたため、党内の順法意識が著しく低下してきたことが、問題を拡大させているともいえる。それはとにかくお金をばらまけば、経済がよくなると勘違いしてきたのと同様、自分さえよければと党内の不祥事を隠ぺいしてきたことで、自民党自体が不祥事まみれになったのです。まさに安倍後はどんな形であれ、自民は苦労することでしょう。
そして原氏や高橋氏もそうですが、安倍政権の周りにもろくでもない人物らが集まっている。そのため政策に失敗し、それも安倍後を大変にする要因となっている、といえます。安倍氏そのものがこれまでも「責任」を口にしながら、まともに責任をとってこなかった人物であり、北村氏もどこまで本気か分かりません。『責』は貝の字をふくむようにお金にまつわ語であり、『せめとる金』というところから『責める』になった、と伝わります。メディアから守られ、司法から守られ、責められることがなかったからこそぬるま湯になってしまった自民、お金の問題がでてくるのは必然、ということになってきたのでしょうね。

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2019年10月22日

雑感。即位の礼と政教分離

即位礼正殿の儀が行われました。内外に即位を宣言する、という意味では重要ですが、皇位継承でもっとも重要なのは大嘗祭です。ただ大嘗祭は秘中の秘、報じられるものが少なくて注目度が低い。しかし人間として一度『お隠れ』になって、再生する行為ともされ、それで初めて天皇として即位する準備が整う、と言われます。ある意味、こうした儀式めいたことは児戯にも思えますが、伝統という形では重要なのでしょうし、それが天皇の権威付けに利用され、日本への認知という面で好影響もあるのでしょう。
一方で、安倍首相が各国の要人と会うことを『即位礼外交』などとしますが、15分程度の会談では通訳を介すると半分以下、つまり表敬訪問の枠を大きく外れないものです。むしろ各国要人も、安倍氏より今上天皇との面会を望んでいたことでしょう。国際感覚が豊かで英語も堪能、人柄も慕われるからこその来賓の多さであり、決して安倍氏と面会して成果を得たい、とするものでない点には、注意も必要なのでしょう。

ただもう一つ考えるべきは、即位までの準備に追われ、天皇陛下が被災地を訪問する日程にも変化が生じている、という点です。平成天皇のころは、被災して5日も経たずに被災した場所に訪問されていることが多かった。今回も、恐らく陛下としては被災地訪問を優先させたかったでしょうが、各国要人が訪日するため予定を変えられなかった、と推察されます。確かに、各国から祝賀に訪れる人々を受け入れるのも、外にむけて喧伝するという意味では重要かもしれませんが、もうそんなことをする時代ではないのかもしれません。
今回も即位の礼を始めとする神道系の儀式に関して、政教分離に違反する、という意見もあります。しかし現行憲法における天皇は象徴性、実は政治と分離されたところにあります。むしろ即位礼外交などと、政治が天皇を利用する行為の方が、問題は大きいのです。ネットが一般的になってから、初の即位礼であり、例えば要人が訪日せずとも参列することができたり、祝賀の意を表明することができたりするような仕組みを整えれば、予算をかけずとも式が遂行できる。また今回のように豪雨災害などが起こったときも、日程調整がよりやり易くなる。伝統を守りつつ、より広く世界とつながりながら、国民や世界が広く参加できるような仕組みを整えることが、実は政治の力であり、求められるはずともいえるのです。

安倍氏の寿詞をみると、「心を新たに、平和で、希望に満ち溢れ、誇りある日本の輝かしい未来、人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ時代をつくり上げていく…」など、そこかしこに安倍色がみえ隠れする。これも天皇制を政治利用する試みに思えます。「誇りある」は保守層のよく使う言葉ですし、「美しく心を寄せ合う」もそうです。「文化が生まれ育つ時代」というのも意味が分かりません。文化は勝手に生まれ、独自に育つものであり、美しく心を寄せ合うから起こるものでも、希望に満ち溢れているからそうなるものでもありません。平和で豊かさが享受できる時代に、主に花開くものです。安倍氏をはじめとするその支持層は、自分たちが都合いいような文化を、この国に根付かせよう、とする意図が透けてみえるのです。宗教を母体とする支持層をその地盤にもつ安倍氏、むしろそこに政教分離の覆しがたい問題があるのであり、今回でもそれが垣間見えた点では、安倍氏がこの式典を台無しにしている、とさえいえるのでしょうね。

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2019年10月21日

貿易統計と外為法改正案

貿易統計で、今年度上半期の輸出が38兆円(前年同期比5.3%減)、輸入が39兆円(同2.6%減)となり、差し引き8480億円の赤字でした。問題は輸出も輸入も減少がつづいており、9月単月でみても輸出が5.2%減、輸入が1.5%減となっている点です。輸入に関しては原油価格が2割近く下がっているので、その影響も大きいですが、円高にもなっており、本来は上がるはずの購買力、その全体が落ちているようにも感じます。
米中貿易戦争の影響とされますが、米国向け輸出は上半期2.3%増と絶好調です。逆にアジア向け、特に中国向けは9.1%減と落ち込みが目立つ。しかも半導体製造装置の落ち込みが大きいですが、今の市場は半導体の在庫調整の一巡感を、年後半への回復の兆しとして楽観視する向きもあります。ただこの貿易統計では、まだ底打ち反転は一切確認できません。5Gにしろ、まだ本格普及には遠く、市場の先走りが気になります。

そんな中国で、銀行保険監督管理委員会が2017年以後、処理した不良債権は約75兆円と発表しました。ただし今年6月まで、昨年末と比べて不良債権残高が2000億元以上増えた、としており、全体的には減少していない。第2四半期のGDPが6.0%ともされますが、景気が減速する中で融資を増やしている中国の現状は、かなり危険とみていい。しかも不良債権化しそうな融資で支えられても、日本からの輸出が9.1%減というのは、中国の銀行がいつ突然死してもおかしくないレベルで、リスクを抱えているといえるのでしょう。
日本では外為法が改正案が閣議決定されました。外資が国内企業の株式を取得するのに、これまで10%から届け出としていたものを1%にとします。中国資本による買収を懸念したものであり、米国で規制をうけたり、制限をうけた企業でも日本企業の経営権をにぎれば、日本企業として活動できる。また技術などの流出させることを防ぐ、そんな目的もありますが、結果的に財界の意向に沿った、ふたたび内向き経済へと舵を切ったことにもなります。このタイミングでの決定は、今後外資による直接投資が激減するかもしれません。この改正案が施行されるのは2020年末ごろとみられ、五輪後の景気にまた一つ暗雲が漂った形です。

一方で、ソフトバンクグループ(SBG)増税とも揶揄される、企業増税を画策もしています。SBGはグループ内の取引で巨額の赤字を発生させ、納税を逃れるといった形で巨額の利益を上げながら、納税を免れている。かねてから問題視されていましたが、やっと重い腰を上げて海外で活動する、国境をまたいだ企業にも課税という網をかけることになります。これによりSBGの空疎な経営の闇が明らかとなり、巨額な投資会社としての真の実力が浮き彫りとなるかもしれません。ただし、SBGが座して死を待つとは思えず、事業実体を他国に移し、日本を脱出するかもしれない。そしてそのとき今回の外為法改正が利いてくる、ともされます。SBGが外資となれば、SBを始めとして国内の企業への投資がやりにくくもなるからです。
今や融資は低金利で苦しく、投資はふわふわと上がるばかりで、逆に投資ファンドなどからは資金の流出がつづき、まともな値付けができていない状況です。世界的におかしなことをしてきたツケ、愈々その払いを求められる時期が来ているのかもしれません。経済の用語は、意外と仏教から来ているものが多く、利益、出世、所得、勘定なども仏教用語でした。そして『火の車』も仏教用語であり、責め苦を与えたり、地獄に送る際の『火車』を訓読みしたもの、とされます。まさに世界は今、『火の車』に乗せられた状況であり、これも仏教用語である『正念場』を迎えつつある、といえるのでしょうね。

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2019年10月20日

雑感。パレードの延期と恩赦の判断

Brexitはやはり予断を許さなくなってきました。離脱関連法案が成立するまで採決を保留、との法案が先に可決され、19日に離脱延期を要請する法的義務が生じましたが、ジョンソン英首相は署名せずにEUに送付しました。ジョンソン氏はよく「英国のトランプ」とされますが、トランプ米大統領と根本的に異なるのは、国会議員としての経験が豊富だということです。議会対策の手を知り尽くしているため、一筋縄ではいきません。離脱延期交渉はしない、ともしており、追いこまれたのは英議会と野党、という形になりました。

祝賀御列の儀、つまりパレードが22日から来月の10日に延期となりましたが、安倍政権は台風19号の被害がでてから5日もかかって延期を決めました。安倍氏が17日の福島視察で、初めて延期を表明しましたが、延期した理由は明らかにされていません。12日の台風上陸から17日まで、政府が被害状況を把握できていなかった、とするなら大問題ですし、把握していたのに実施するとしていて17日に突如変えたのなら、理由を説明すべきです。むしろ、安倍氏が確認するまで誰も判断できなかった、というのなら安倍政権の構造的問題は、深刻なレベルなのでしょう。誰も安倍氏に意見できず、判断を変えさせられなかったことになります。
今年は3連休が多く、消費にも好影響が期待されていましたが、東日本は尽く雨でつぶれ、むしろ消費を減退させる要因となっています。22日も、休日並みの収益をみこんでいた店舗が、逆に仕入れを減らしたり、予約が解約されたりするなど、経済環境にも悪影響となった。しかも判断が遅れたことで、それに拍車をかけた可能性があります。10日は逆に、元々休日だったので交通の不便さなど、逆にパレードがない方が経済的には効率が上がった可能性もある。当日にならないと分かりませんが、いずれにしろ安倍政権の判断の遅れは、経済的にはマイナスしかない。消費増税の判断といい、このところの安倍政権の判断は優柔不断で、かつそこに正当性も、何らかの説明がつけられるほどの合理性も感じられなくなっています。

上記した通り、安倍氏の判断が克ち過ぎていて、周りが安倍氏の顔色をうかがうばかりで、物事を決められない事態が安倍政権には蔓延しているとしか思えない。経済的にも、こんな状況で世界から批判もされる中、増税などできるはずもない。しかし安倍氏が表明してしまった手前、誰もそれを止められない。誰も「やめましょう」と言えない事態が、今後もつづくのでしょう。それが一強とされる弱点でもあるのです。
そもそも本当にやりたい政策など、何もなかった安倍氏ですから、ここに来て特にやる気を失ってきた。改憲とて、安倍氏は支持層向けのパフォーマンスであり、本気度は低い。やる気がないので、台風19号の対応も遅れた。それを取り戻すため、福島につづいて長野も視察しますが、だからといって安倍氏から何か妙案が出てくるとも思えません。福島では防潮堤が、逆に浸水被害を拡大させ、野放図な「復興」の掛け声も空しくなってきたのです。歴史に名を残したい、という名誉欲だけで首相をつづけてきて、愈々在職率が最長となり、歴史に名を残せるのでやる気も停滞してきたのでしょう。そして、議員の経験も長いのに起こる事象に対してまともな判断もできないから、今後も誤った判断を下しがちにもなるのでしょう。これから世界は何が起こるか分からない、不透明な時代に突入するというのに、政治の中枢は無能な個人に判断をゆだね、誰もそれに意見ができないといった、極めて危険な状態にある。それは恩赦の判断も同じです。むしろ自らの罪深さに、恩赦したくなったのだとしたら、「犯罪をした人の改善更生の意欲を高める」のが、実は自分のことだったのかもしれない、と勘ぐることもできてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:37|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2019年10月19日

月例経済報告「緩やかに回復」?

水産庁は能登半島沖で北朝鮮漁船と衝突した際の映像を公開しました。ただ、編集されているため前後の事情がよく分かりません。「退去警告に従わないから撮影開始」としますが、放水を開始する前後の判断は不明ですし、衝突するときも北朝鮮漁船が左に切っているようにも見えますが、放水を当てるために水産庁の「おおくに」も当然、接近していたでしょう。退去警告がどれほどの法的根拠に基づき、海洋上で強い権限をもつかは分かりませんが、後方から高速で接近していたことの説明が、どれほどつけられるのか? 映像からは違法操業を確認できないですし、日本政府もそれはなかった、という。この映像をみても、なぜそれほど危険な航行をしてでも放水し、追い立てていたのか、不透明感が残ります。どうせHP上に公表するのですから、全映像を公開すべきともなってきたのでしょう。

政府の月例経済報告で、景気の総括判断は「弱さが続いている」から「弱さが長引いている」と下方修正したものの、「緩やかに回復」との文言は残しました。しかし景気ウォッチャー調査をはじめとするマインド面の悪化は顕著であり、直近の景気動向指数も悪化を示します。輸出を始めとする生産などの景気と一致する指数も弱い。個人消費が堅調なことを、政府は「緩やかに回復」の理由としますが、多少の駆け込みと、元々消費は景気に遅行する傾向があるためです。賃金は景気に遅れて増えたり、減ったりする。しかもここにきて、物価が下がっていることも消費には好影響でした。しかしそれを覆したのが消費増税だったのです。
このタイミングで、月例経済報告で景気悪化をみとめるわけにはいかなかったでしょう。それは政府の判断が誤りだった、と認めるようなものです。しかし食料品には値上げがみられる。増税によりコストの上がった農畜産業などが、値上げせざるを得ないためです。むしろそうした方面が、景気を冷やすかもしれません。増税対策をとったつもりでも、生鮮食品の値上げと、食料品以外の増税によって景気を腰折れさせ、結果的に「緩やかに回復」という文言を撤回させることになるのかもしれません。

株価に関しては、先物買いで支えられていますが、一方で外国人投資家全体でみると、先物ぶん回しの欧州CTAスジの大量売りによって、差し引きでは売り越しに見えます。しかし為替市場、債券市場でみられるヘッジなし取引が増えており、将来的には大きな動きを誘発するでしょう。問題は、多くの市場から資金が流出している点。流出しているのに市場が上昇している点にあります。リスクヘッジにかけるコストを削り、それで相場が上昇するため、市場から資金が逃げていく。相場が上昇すれば新規の買いの資金が入ってくる、という相場関係者の思い込みにより、常に上向きの予測をだしたりもしますが、現状をみてもそうした意識を転換させる必要もありそうです。
結局、価格にはそれに基づく裏付けが必要なのですが、今はそれが壊れている状況なのでしょう。債券市場も不動産市場もバブルが発生していますが、それも裏付けがなくなったことによります。債券市場は中央銀行による金融緩和で金利という裏付けを失い、不動産市場は金融緩和により流入した資金で裏付けを失い、今や資金が流出することになっても、一線を越えた後の次の水準をみつけられずにいる。株式でバブルが起きていないのは、評価基準がある程度残っているからで、低金利と量的緩和という現状で、一体どういった水準が落ち着きがいいのか、を探っているような状況なのです。但しその背後で、実体経済の景気後退が迫ってきて、資金は引き上げをはじめている。本当に安倍政権や日銀がいうように、景気は回復していくのか、「緩やかな回復」を続けるのかどうか? ヘッジをかけない取引が横行する世界での裏付け、それを見定めるまでは相場の落ち着きは得られない、ということにもなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2019年10月18日

雑感。神戸の教員イジメ事件と、空気感

Brexitに関して、EUのトゥスク大統領が「心より(英国離脱が)悲しい」と語りました。メイ前首相との合意案のときはそう言わなかったので、当時の合意案では英国が離脱しない、と確信していたことになります。しかしそんな政治的策略を企てたばかりに英国は混乱し、今回の合意案でも議会を通すのが難しくなった、と言えるのです。ジョンソン英首相は、もし議会が否決すると総選挙の実施を迫って、離脱延期をEUに申請しないかもしれない。まだ2週間、何が起こるかは分かりませんので、用心が必要なのでしょう。
バッハ五輪会長が、東京五輪で「選手の健康を守る」としてマラソン、競歩を北海道開催とするよう要請し、大会組織委は合意しました。米TV局の都合で7、8月に開催しておいて、「選手の健康を守る」などとどの口が言う? というレベルです。だったら全種目、北海道にすべきでしょう。日本の7、8月がスポーツに適さないことぐらい、万人が承知していることです。米TV局の意向を聞いて日程を強引に押し付けるのなら、招致条件に7、8月に開催できる都市、と明記すべきでしょう。五輪の運営側も、大会組織委も、結局のところ選手ファーストではなく、巨額な放映権料や、建設業との繋がりから暑さ対策として予算を執行し終わったら、人道的見地などといって開催地を移動することによる影響など、何とも思っていないのでしょう。

神戸市立東須磨小学校で、教員4人が後輩の教師をイジメていた事件。しかし私には教員5人でイジメていた、と思えます。5人目は前校長、彼がインタビューに答えている映像をみましたが、無理やり飲み会に参加させた件で「彼のためを思って…」と発言していました。これはイジメをする側がよく使う「嫌がっているとは思わなかった」と同じ。参加を渋っている時点で、強引に要請すればパワハラとなるのに『こいつなら受けるだろう』として更なる圧力をかけたと見なせます。そうした前校長の空気を感じとり、4人の教師が『こいつなら大丈夫』と考え、イジメを加速させたと思えるからです。つまり上の人間が『こいつなら…』という空気感を醸した時点で、それはもうイジメのレールを敷いた、下の人間の同調を生んだも同じなのです。
前校長が「昨年末までハラスメントの報告はなかった」と市教委に説明しているようですが、これも加害側に自分が加担していた証拠かもしれません。一部では、主導した女性教師と関係…などともされますが、そうでなくとも在籍率が長くなれば、二人きりで話をする機会も多かったでしょう。その中で被害教師の悪口を言ったり、卑下する発言をすれば、それが助長したことにもなるのです。全容解明が待たれるのでしょう。

産経新聞が、八ッ場ダムに関する旧民主党議員の発言に『過去の亡霊の払拭に必死』とする記事を載せています。恐らく、次に八ッ場ダムが緊急放流などをして、下流側に大きな被害がでたとしても、旧民主党叩きに利用する気満々でしょう。『工事を再開させたのは民主党政権』と。産経新聞をはじめとする保守系の雑誌などは、平気で口汚く相手を罵り、かつ理論的でないことが多く、嘘も多分に雑じります。こんなものが世に氾濫していたら、この国からイジメはなくならないのでしょう。まさに『こいつなら…』という空気感を醸成し、叩けるだけ叩いていい、という誤った行動を世に蔓延らせる原因ともなるからです。
正論で相手をやりこめるなら、それはいくらでもやればいい、と思いますが、一度敵だとみなした相手、与し易いとなったら、それが嘘だろうと屈服させるまで叩く、というのが彼らのやり方であり、イジメと同じ構図をつくっている、といえるのです。そしてそんな層が支持する人物が、今の首相なのですから、この国からこうした構図は止まらない、といえます。神戸市の小学校のケースも、決して特異なものではない。では、安倍政権はそれを払拭するために何か動いたか? というとほとんど何もしていないのが現状なのでしょう。『過去の亡霊』どころか、『現在の暴戻(ぼうれい:乱暴で、正道から外れること)』を蔓延させている責任。もう一度、考えてみるべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:30|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 政治

2019年10月17日

安倍首相の福島視察

英国とEUが離脱案で合意、と伝わります。残念ながら内容の詳細が不明であり、断定的なことは言えませんが、英国内で合意を得られる可能性は現時点で低くなっています。ジョンソン案では北アイルランドがEUの関税同盟に残る、というものでしたが、そうなると脱法的に北アイルランドを通して英国との物資を流通できるかもしれない。英国と北アイルランドとの間に、関税や人の往来など、余計な負担がかかるのなら北アイルランドとしても納得はしにくいでしょう。議会が今週、この合意案を否決するようだと、合意なき離脱にむけて一気に流れるかもしれません。何より、ジョンソン氏がそうした道を歩む条件が整うからで、また否決のまま離脱延期などで時を経ると、ジョンソン政権そのものがレイムダック化するためです。

安倍首相が台風19号で被災した福島を視察しました。しかし今回のような広域被害の場合、一ヶ所を視察したとて大した意味はありません。雰囲気を知る、ということだけでしかなく、それならもっと近場でも良かった。何も福島に行く必要はありませんが、選挙の際に演説を福島ではじめる、といった自身の事情によって福島が選ばれたのでしょう。しかし福島やそれ以外の地域でも、福島第一原発の事故ででた放射性物質を含む汚染土が、今回の水害で流され、ばらまかれています。たびたび、大雨によって中間貯蔵場所が流され、汚染土の流出がくり返されていますが、安倍政権は抜本的措置をとろうともしないし、また流出した汚染土の調査をしようともしない。メディアもほとんど後追い記事をださず、放置されつづけています。
低放射線の汚染土は、それほど影響ない、と安倍政権は考えているフシがある。それはトリチウムの海洋放出を検討するぐらいですから、低放射線の汚染土ぐらい、どうってことないと言いたいのかもしれませんが、だとしたら多額の予算をかけて、汚染土など集めたのは何のためか? ムダだったのでは? ということになります。ろくな管理もせず、破れそうな袋に入れて空き地に放置したり、大水に流されても気にしない、というのは説明のつかない話です。福島で雇用をつくり、仕事をつくるためにやっていた、というなら汚染土の中間管理などやめて、袋にも入れずに地下に埋めた方がよほど合理的といえるでしょう。

その福島原発は、地下水の流入が問題となっていますが、この大雨でさらにそれが強まるかもしれません。地下水の水位が上がるためです。また建物のどこかに亀裂、隙間があると、今回のような大雨で染みこむケースもあるでしょう。なぜそうした検証、報道がないのか不思議です。もしかしたら、台風19号の報道をつづけていると、関電のキックバック問題が報じられず、原発への逆風を回避できるため今は原発関連の報道を控えている、というなら最悪です。直接の水害は襲っていなくとも、福島原発と汚染水の問題は密接であり、こんなところで情報発信を渋るから、トリチウム水の理解もすすまず、処理もままならなくなります。
実は、原発に汚染されているのは政治やメディアであり、だから汚染土が流出しようと大して気にならない、ということなのかもしれません。しかしその汚染土は拡散されたとはいえ、どこかに溜まって放射線量を上げている。そうやって日本は、知らず知らずのうちに住みにくくなっていく、となるのでしょう。目にしたニュースで、住民が「福島原発の事故よりひどい状況」と語っているものがありました。その人物にどんな背景があるのか、分かりませんが、東日本大震災と比較するのではない点に怪しさを感じます。汚染土はすでに、至るところにばら撒かれ、国民が知らない間にすぐ隣にきている、台風19号はそんな実態も垣間見せた、といえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2019年10月16日

日経平均が年初来高値

自民の松山議員が八ッ場ダムが洪水を回避できた、として「住民の安全な暮らしに寄与する」と述べました。こういう底の浅い議員がいるから、自民の不祥事は止まないのでしょう。八ッ場ダムは試験運転を始めたばかり、つまり水をゼロから貯める状態だったから、多くの水を止められた。しかし通常運転となれば、水はある程度溜まった状態からとなり、恐らく台風19号クラスの台風では、緊急放流が行われて下流で大きな被害をだしたでしょう。利根川水系は水の緩やかな流れであり、大量の放水には耐えられないのです。
例えば神奈川県の相模川上流にある城山ダムが、緊急放流をしても下流に被害はでませんでした。ただしその近くにある支流の宮ヶ瀬ダムも緊急放流を検討しており、そうなったら神奈川県中央部から南部にかけて壊滅的な被害を蒙ったはずで、東名高速も寸断されたかもしれません。これまでは50年に一度でも、これからは毎年かもしれない。西日本の豪雨災害を毎年くり返す様をみるにつけ、ダムはむしろ凶器にしか感じません。それより、国土強靭化の進捗度合いと、なぜこれほどの被害をくり返すかを問い質すべきでしょう。

日経平均が年初来高値を更新し、昨年12月3日以来の高値です。しかし当時のTOPIXは1689pt、今は1631ptです。値がさの指数株が押し上げただけであり、Fリテの最高益で売り方が買戻しを迫られた側面が大きい。また日本では「米中が部分合意」で押し上げ、としか報じられませんが、米ホワイトハウスでさえ「合意」とはしていないのです。あれは「合意しよう」と合意しただけで、合意する内容も決まっていない。市場もそんなものを評価はしていません。それよりFRBが量的緩和(仮)を決めたことで、マネーの流れがよくなると考えた市場関係者が、相場を押し上げたことにより、指数が上昇している側面が大きいのです。
なぜFRBの件が大きく報じられないか、といえば、日銀に遠慮しているからでしょう。金融緩和は出口が難しい、引き締めに転じたFRBが、正常化に程遠い状態で再び緩和に迫られた、となったら世界中の金融市場が動揺しかねない事態となります。そして日銀は困った事態になる。月末には日銀も追加緩和、という話もありますが、出口への道のりを一層遠くし、さらに難しくするので市場に意識されたくないところです。

ただIMFが世界経済見通しで、世界の成長率を3.0%と0.2pt下方修正しました。しかしそれ以上に注目なのは「世界的な金融緩和が金融システムの脆さを助長」とした点です。債務が膨張する中で、金融システムが脆弱になっているのですから、景気が悪化して不良債権比率が高まると、世界経済が頓死しかねない状況といえる。特に金融機関は低金利で収益を確保するため、リスクをとった投資をすすめた。まさに世界は今、未曽有のリスクを内包しながら、株をはじめとして債券、不動産市場はぐんぐん上がる状況なのです。
よくマネーは水の流れに喩えられますが、今は世界の中央銀行が、緊急放流をしているようなものです。もっと水を流せば下流側でそれを有効につかう、としますが、今や上流でそれを泡立てるばかりでスカスカの中身となり、下流側では洪水となってその水が滞留、床下浸水を起こしている状況です。ダムは、正しい量の水を正しいタイミングで流さないといけないのですが、その調整機能が壊れている。そのうち床上浸水となって、初めて世界はその害に気づくのでしょう。しかし気づいたときにはもう遅い。水は低きに流れるものですが、一番下流にいる、その低いところで暮らす人々の生活を破壊するのですから、早く止めないといけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:47|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2019年10月15日

雑感。スジの通らない話

北朝鮮船と水産庁の取り締まり船が衝突した事件で、北朝鮮から「意図的な行為」で沈没したとして賠償と再発防止を求められた件、相変わらず日本側の説明は意味不明です。「EEZ内で違法操業したら拿捕」とした上で「漁労とは確認できなかったが、準ずる行為だから放水」とします。拿捕と放水の区分は一体どこにあるのか曖昧で、「北朝鮮船が急旋回したから衝突」としますが、ということは追いかけていたことになる。追いかけてまで放水したのですから、準ずる行為だとしてもかなり確信的に違法操業を認識していたはずです。
逆に、そうでなければ過剰反応、何もしていない相手に放水するという異常な行為をしていたことにもなります。しかも、救助した後で『準ずる行為』をしていたのに事情聴取もせずに送り返す? もう何もかも滅茶苦茶です。映像の公開を検討、としますが、さっさと公開すればよいのです。南シナ海で衝突してきた中国漁船と、一体何が異なるのかもそれで検証できるでしょう。あのとき、自民は民主党政権の対応を批判していましたが、それ以下の対応だった可能性もある。とにかく安倍政権の説明が支離滅裂すぎて判断もできません。

参院予算委で、安倍首相が自民の二階幹事長の「まずまずに収まった」発言に対し、「中身は承知していない。コメントは控える」としました。よく安倍氏は民主党政権時代の発言をあげつらいますが、それは中身を承知しているから、発言するのか。そうであれば、二階氏の発言も中身を承知したら、コメントしなければいけなくなります。逆に、中身を承知することを怠るなら、公党でもあり、最大多数の議席をもつ政党の幹事長の発言すら無視するのですから、野党の発言を批判できなくなります。意図的に野党のみ、中身を承知することに注力している、と認めることになるからで、これは遅くなろうとも二階氏の発言の中身を承知し、コメントをださなければなりません。それができなければ恣意的との誹りをうけるでしょう。
韓国ではチョグク法相が辞任を表明、日本では文政権に打撃、問題閣僚を任命した文在寅氏の責任、との報道が専らですが、安倍政権とて改造するたび、閣僚が2、3人は辞任しますが、そうした報じ方はしません。確かに文政権では司法改革が最重要案件だった、という面があるにしろ、安倍ノミクスの主要閣僚だった甘利元経済再生担当相が辞任したときでも、それで安倍政権は終わってもいません。韓国とは政治の構造そのものが異なりますが、韓国とて野党は弱体化しており、この問題だけで政局が動くとは思えません。韓国では今、朴槿恵政権への評価で野党が割れていてまとまりに欠けるし、政権支持率はまだ40%もあります。

上記した幾つかの話は、スジが一本通っていない、というものです。そしてその中心には、常に安倍政権がいる。結局、安倍氏そのものが道理に合わないことばかりしているから、周りもそれに合わせるしかないのでしょう。そもそも「先手先手の対応」って何? というレベルですが、萩生田文科相などは安倍氏の発言をなぞるように、被害がでた後でもそれを発言します。スジが悪い人間たちが政権の中枢にあるのは日韓とも同じですが、だからといって政権交代の道スジはまだ両国とも見えない、ということです。北朝鮮の漁船の問題にしても、安倍政権のスジの通った説明が今は求められますが、自分が追いこまれるとすぐに青スジ立てて喚きちらすだけなのですから、この国は今まさに「無理が通れば道理がひっこむ」状況であり、だから道理(人として行うべき正しい道)を失っている、ということになるのでしょうね。

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2019年10月14日

台風19号への安倍政権の反応

米中貿易協議が部分合意、と報じられますが、合意したのは中国が大豆と豚肉を大量購入するのと、米国が15日から予定していた制裁関税第4弾を先送りするだけ。後は色々と語られていますが、条件は詰めておらず、合意は難しい状況です。トランプ米大統領は楽観を示しますが、これは中国がよく使う手で合意を得たいときはニコニコと笑って手を結び、実をとるところっと掌を返す。今は両国とも手を結びたいだけです。
それと同時に、FRBが月600億$の規模で資産買入を発表しました。短期債のみで量的緩和でないとしますが、バランスシートは再拡大するし、償還後に再投資することになればその規模が維持される。ほぼ量的緩和と同じ効果です。来年の4-6月までつづける、としますが、景気次第では長期化もあり得るのでしょう。そして今回、約1年程度で量的引き締めを断念したのは、日本にとっても量的引き締めが如何に難しいかを示します。一度、その道に踏みこんだら最後、出口は遠くて険しい。そんなことがうかがい知れます。

台風19号、神奈川の降水量が多かった割に、長野や埼玉、北関東や福島などで大きな被害をだしたのは、水の滞留時間の長さでしょう。神奈川は海が近く、水が駆け下るために一ヶ所に留まる時間は短い。しかし氾濫が起きたところは平らで、普段は比較的流れが緩やかな場所が多い。そんなところに緊急放流などで水が一気に増えたら、溢れるのも早かったとみられます。未だにダムの治水効果を訴える人もいますが、一定の量を越えたら凶器でしかない。緊急放流は、下流がどうなっても知らない、ということなのです。
そんな中、安倍政権の対応が問題視されています。8日には情報連絡室を設置、11日には先手先手で対応と指示、などと伝わりますが、12日には安倍首相は公邸にいて動いた気配がない。災害対策本部も設置されませんでした。普段、私邸から通う安倍氏が公邸にいたのだから…という人もいますが、いくら敷地が同じとはいえ、公邸と官邸はちがう。官邸にいて、逐一入る情報をうけて指示をだす、というのでもないので、公邸では大した情報も入らず、ただ連絡をうけていただけ、でしょう。政権をとってから数年は、やたら災害のときにしゃしゃり出て、大臣は視察と称して長靴も履かず、オンブされて問題視されていた頃と比べると、ここ1年の災害における安倍政権の対応はまったく異なる状況です。むしろ冷淡で、やる気のない様子がうかがえる。気象庁が事前に警戒を呼び掛けるなど、異例な対応を呼びかけたのですから、数年前の安倍政権なら安倍氏がそれをしていたはずです。これは安倍政権の戦略が変わった、とみなせます。

数年前は、日本経済は低迷でも世界的には再バブルの状況で、好調だった。いくら日本国内で不安を煽っても、打撃は少なかったといえます。だから北朝鮮の脅威を煽り、ミサイル訓練までさせていたほどです。しかし最近は世界経済も不安定になり、国内で不安を煽り過ぎると景気を腰折れさせるかもしれない。過剰な防災の煽りもできなくなり、だから安倍政権が背後に隠れるようになった。責任をとりたくないからです。
自民の二階幹事長が党の緊急役員会で「(被害が)まずまずに収まった」と発言し、批判されると「日本がひっくり返るような災害と比べれば…」とイイワケしています。政治は1人でも被害をだせば政策の失敗なのですから、「まずまず」などという表現はどういう理由にしろ、不適切です。しかしそれが今の安倍政権の方針、態度とも合致するのでしょう。人が数十人死ぬぐらいなら「まずまず」で、事前に災害対策室などをつくると、被害が大きくなったときに責任をとらされるから、事後対応だけしていればいい。それが「国土強靭化」などと称してから7年、一向に強靭となっていない、止まない被害などの政策の失敗を揶揄されたくない、安倍政権の見て見ぬふり戦略、ということなのです。被害が拡大して「まずいまずい」とならなければいい、今は陰に隠れて批判をかわしたい、そんな安倍政権の態度にも現れるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:15|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2019年10月11日

雑感。小売りと金融の動き

米中貿易協議が進展する、との期待で盛り上がっていますが、大豆や豚肉の輸入と、華為技術の制裁一部解除、という形で『進展』とする可能性もあります。品不足で輸入したい中国と、現状を追認するだけの米国と、最大は経済に不安を抱えて楽観をばらまきたい、という事情が両国にあります。異常な進展期待がある中ですから、失望を与えるわけにもいかない。二日目の協議になったのも、そんな事情がありそうです。

国会の予算委で、安倍首相と玉木国民民主代表とが、日米貿易協議の自動車を巡る問題で対立しました。英語の原文である『〜will be subject to further negotiations〜』の『be subject to』を「条件とする」と読むのか、「次第だ」と読むのか、です。茂木経産相は「関税撤廃を前提に交渉」とし、安倍氏はトランプ大統領に確認済み、などとしますが、次の「さらなる交渉」という点をみても「次第だ」とするのが正しい。茂木氏のいう通り「条件とする」だとしても、「さらなる交渉を条件とする」では、決して関税撤廃を約束していない、日本側が「関税撤廃を前提に交渉」するのは自由ですが、確約はない、ということです。
イオンの岡田社長が消費税の還元策について「ほとんど暴力」としました。大手には恩恵がなく、中小企業対策として打たれているからで、何のための差か、説明が一切ないためです。一方で、セブン&アイHD店舗閉鎖や整理を含めて、リストラを発表しています。明らかに日本の消費には大きな転換が起きており、小売り業界は今後もリストラが増えそうです。それは政府が中小企業を優遇するからで、大企業は一方で多くの従業員を抱えるのです。そごうなどもそうですが、このタイミングで整理・縮小をすすめるのも有り体にいえば、政府への当てつけでしょう。安倍政権が成果とする雇用を自分たちは犠牲にする、という形です。

自動車関税で、安倍政権がウソの成果を喧伝しても、自動車業界が騒がないのは現状維持で御の字、という意識が現れています。安倍政権の交渉では実がとれない。そんな諦観です。しかし財界でも、小売りのように反旗を翻すところが増えてきた。金融業界もそうです。安倍政権の滅茶苦茶ぶりに、被害を受ける業種が続出しているのです。安倍ノミクスで自営業者の廃業が相次いだ。今さら小売りで中小企業を優遇するのは、遅きに失しているのです。廃業がでないよう、対策を打つなら分かりますが、縮小した後で対策を打ったところで、効果が小さくなってしまうのは論を待ちません。こういうところが滅茶苦茶なのです。
キャッシュレス決済も、小売りとしてはただの負担増です。それで購買者が増えればよいですが、他に流れるのを防ぐだけ。逆に、レジは複数の支払い方法に対応しなければならず、導入すれば決済会社に手数料を支払うことになる。システムがエラーを起こせば、レジを一つ止めて、修理を待たないといけない。キャッシュレス決済のメリットはほとんどないどころか、小売りにも消費者にもデメリットの方が多いのです。今はシェアをとりたいためにサービスも多いですが、それがなくなればいずれ小売りはキャッシュレス決済分のコストを、消費者に転嫁するようになるでしょう。キャッシュレス決済企業、という一つの業態が膨らみ、一つ手順が増えることによりかかるコストを小売りがかぶるか、消費者がかぶるか、という話なのです。

ZHDとSBIHDが金融事業で包括提携、と報じられ、ヤフー経済圏ともされます。どう考えてもSB経済圏というのが正しいですが、金融部門でも再編や規模を拡大して生き残ろうとする動きが、今後加速するかもしれません。出生率の低下も報じられ、緩やかに死へと向かう日本経済。それを食い止める手を安倍政権が何も打たないばかりか、滅茶苦茶なことばかりして、さらに死期を早めている。今の日本は教師の間ばかりでなく、政府からも「ほとんど暴力」がまかり通るのですから、安心して生活などできないのが現状なのでしょうね。

明日はお休みします。台風次第では2、3日休むことになるかもしれません。皆さんもくれぐれも注意して、大型台風に備えましょう。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2019年10月10日

ノーベル賞と米中貿易協議と

リチウムイオン電池の開発に貢献した吉野旭化成名誉フェローが、ノーベル化学賞を受賞しました。恐らく全固形燃料電池が開発されたら、燃料電池のステージが一つ上がってしまい、受賞を逃したことでしょう。逆にいえば、だからこのタイミングの受賞だったのかもしれません。世界中でこれほど広がった技術に対し、受賞を逃したとなったらノーベル賞の権威にも関わる。そんな判断が働いたとしても不思議ではありません。
ただ、毎年思うことですが、ノーベル賞をとったから凄いのではなく、受賞していなくとも凄い技術、研究、作品は山ほどあります。偶々、一つの評価基準としてノーベル賞があるのであり、言葉は悪いですが、日本人は大騒ぎし過ぎにも感じます。海外の権威付けに弱い、といった日本人の特質が関わるのだとしたら、逆に興ざめです。安倍首相まで記者会見を狙って電話しているのを見ると、他人の幸福には乗っかるだけ乗っかろう、という浅ましさと、大した知識もないから言葉もでてこない残念さと。日本はもう一度、権威付けという問題を考えないと、話題性だけで本質を見失うような気がして仕方ありません。

香港紙が「米中貿易協議は1日で終了、11日には交渉団は帰国」と報じ、その後Bloomberg紙が「米交渉担当官は否定」と報じて、市場は右往左往しました。しかし中国が部分合意を提案、というのはもうすでに交渉をまとめる気がなく、中国が変化球を投げているのも同じです。大豆も豚肉も、中国が必要だから輸入する。それで米国が何らかの妥協をしてくれたら…というのが部分合意です。それを米国は認めない。中国がそんな提案をしている限り、交渉をまとめる気もないのであり、本当に11日には帰国するかもしれません。
市場の動きをみても、今が楽観の極にあるために、その楽観を揺るがされると脆い、という点が顕著にでています。この水準で? と思われるかもしれませんが、米国ではVIX指数の大幅な売り越しになっており、日本では日系証券によるTOPIX先物の大幅な買いが継続しています。どちらもヘッジをかけない取引のためではないか、と読んでいますが、相場の下落に備えない。だからネガティブ材料に慌てます。しかも日系証券のTOPIX先物買いは、以前は4000枚規模でしたが、2000枚台に低下しており、玉不足なのかもしれません。現物と先物の両方を買いでとると、それこそ下落したときは目も当てられない。ヘッジをかけない取引の代償は、相場の急変動、特に下落の際に大きな動きを引き起こし易い、ということにもなります。

FRBが短期国債の買いを増やすことを検討するが、量的緩和でない、と不思議なことをいいだしました。オペの範疇ということかもしれませんが、金利急騰という事態への対応には、それをするしかありません。逆にECBは、マイナス金利の副作用に言及するようになった。日経新聞には『影の金利』で、日本は欧米よりも低い7.7%ぐらい、などとも報じられる。これらも物事の読み方、評価を変えないといけないものであり、本質を見極める必要があるのでしょう。金融政策に頼りすぎて、楽観に傾く世界は危険かもしれません。
8月機械受注は前月比2.4%減で、2ヶ月連続の減少ですが、基調判断は「持ち直しの動き」で据え置きました。6月に大幅な増となった反動ともみられますが、内閣府が4-6月期の機械受注を高くみせるため、6月を異常な上昇にした可能性があり、そのツケを払っているだけだから、基調判断を変えないのかもしれない。ただし、安川電機の決算発表をみても明らかに機械受注は危うい状況にあり、読み方や評価を変えた方がよいのでしょう。日本人が海外の権威付けに弱いのも、結局は自国の評価、権威ある者による価値の付け方に懐疑的だからであり、海外の方が信ぴょう性をもてる、となるのだとしたら悲しいことです。経済指標さえ信用できない国では、それも仕方ない。一番日本人が評価を変えなくではいけないのは、安倍政権の存在そのものとなるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:30|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 海外

2019年10月09日

雑感。関電と北朝鮮船との衝突問題

米国ではシリア撤退で、トランプ政権が苦境に陥っています。アフガンの二の舞、という意識が強く、これまで協力関係にあったクルド人勢力が、今後米国の敵になりかねない。トランプ氏は兵器の提供はつづける、などとしますが、その兵器が米国を攻撃するかもしれない。身内の共和党も反発しており、またCIAを始めとする諜報機関さえ、トランプ氏を敵視するでしょう。意外とこういうことが政権の首を絞めます。

衆参で代表質問が行われていますが、その中で安倍首相が「(関電は)第三者の目を入れて、徹底的に全容解明」と語りました。突き放したような物言いなのも、稲田氏や世耕氏など、自民にも献金という形で資金がバックしていたことが判明しているからです。森山元高浜町助役のような人物が、関電のみで関係を終らせるはずがない。政治にも深く食い込んでいるからこそ、関電に対しても強い力をもち得た、といえます。つまり高浜町に原発誘致が決まった後、森山氏と政治がどうつながっていたかを明らかにすれば、原発マネーの一端は垣間見えるでしょう。なので、責任をとることを渋っていた関電の八木会長を引責辞任させ、幕引きをはかったのが今日です。ただし遅きに失しており、それでは収まりそうもありません。
海保の船と北朝鮮船籍が衝突した事件があります。不自然なのは、違法操業は確認されていない、としながら警告と放水などはした、といいます。それで衝突しているのですから、言葉は悪いですが、海保が北朝鮮船に賠償を請求されてもおかしくない案件、といえるでしょう。EEZ内といえど、漁船が通過することはみとめられており、違法操業していないなら適法だからです。しかし北朝鮮も反応していない。もしかしたら、安倍政権はこれを交渉材料にした可能性もあります。衝突の一報をうけてから、乗組員を救助する間に北朝鮮に連絡をとり、乗組員を返すから交渉を、ともちかけた可能性です。別の北朝鮮の船に引き渡した、というのも不自然であり、そんな都合よく60人とされる乗組員をうけいれるだけの、大型船がいたとは思えない。北朝鮮から連絡をうけて、引き取りにきた船だったのかもしれないのです。

関電の話は、関電のみではなく高浜町、吉田開発などの森山氏が関わっていた企業、組織、すべての幹部クラスの参考人招致が必要です。北朝鮮船籍との衝突問題では、海保の職員を参考人招致、できれば証人喚問する必要があるでしょう。今回も、森友学園や加計学園の時と同じように、あやふやで済ませていたら、日本の沈鬱とした空気はずっと晴れない、停滞はつづくことになります。電力料金などは公共料金とされますが、多くの税金がそこから徴取されている。補助金を含めた税金の使途をごまかしているようでは、増税の理解など到底すすみません。試されているのは、日本の不透明感の払拭でもあるのです。
米国では諜報機関など、大統領という一極集中の権力の中でも、それとは異なる動きをするところがでてきます。それは国家である『星条旗』にも示されるように、米国では大統領に仕えるというより星条旗の旗の下で活動している、という意識が強いためです。今の日本は、安倍政権の情報隠蔽に加担するばかりで、まるで安倍氏に仕えているかのようです。日本は改憲どころか、その前にもう一度行政の仕組みを見直さない限り、国民の疑念が深まるばかりとなるでしょう。関電の問題を、森友・加計問題の二の舞としないためにも、情報公開の在り方から安倍政権に問うていくことが必要なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2019年10月08日

経済指標には増税の影響

8月家計調査で、実質消費支出が1.0%増となりました。しかし家具・家事用品が13.2%増、被服及び履物が4.7%増、教養・娯楽が3.5%増と、増税前の駆け込みが顕著です。一方で実質収入は2.1%減。今年に入ってから、家計調査の実質収入はプラス圏の推移が多かったのですが、これは消費に利いています。しかも可処分所得は2.5%減と、より大きな減少となっている、消費税増税前でこれでは、増税が重しになって当然です。
8月毎月勤労統計で、現金給与総額は実質で0.6%減。特別に支払われた給与の大幅な減少が利いています。こちらは今年に入って、一貫して減少。所定外も所定内も労働時間は一貫して減少しつづけ、働き方改革だとしても、これが賃金の減少に利いているのは間違いありません。平均でこれですから、それを守る企業と、守らない企業との賃金格差は開く一方かもしれません。所定内給与の上昇が追いついていない印象です。

9月景気ウォッチャー調査は、増税の駆け込み需要を強く意識させるものとなりました。現状判断DIは46.7と前月比3.9ptの上昇と、2ヶ月連続の改善です。小売り、飲食などが跳ね上がっており、まさに駆け込み需要。一方で先行き判断DIは36.9と2.8ptの急落で、今年に入ってから悪化の一途でしたが、さらに下げに勢いがつきました。地域別でみると、先行き判断でプラスなのは北海道と北陸、つまり冬の到来で恩恵のある地域です。ただしこれらの地域でも、日韓関係の悪化、中国人民元安などで、インバウンド消費にも陰りがみられる中、警戒が必要なのでしょう。ただこのアンケートで影響が微妙なのが、ラグビーW杯です。
日本の快進撃で盛り上がり、とされますが、あくまでスタジアム周辺だけで広がりは感じられません。試合間隔が長いので、全試合を見ようと思えば滞在も長くなりますが、そこまでのラグビーファンも多くなさそうです。何よりスタジアムでみても、後方の人は何が起きているのか、よく分からないという欠点もある。ラグビーがもう一歩、メジャースポーツとなるためには、主審の動作で素早く電光掲示板に今のホイッスルがどんな反則なのか、次にどんなプレーが起きるのかを表示できるようにすることなのでしょう。そうでないと、テレビで見ていた方がよほどマシ、ということにもなりかねなくなります。

8月国際収支では、経常収支が2兆1577億円の黒字となりました。ただ貿易収支では輸出が前年同月比8.6%減、輸入が12.7%減。輸出より輸入の方が大きく減ったから、黒字になったという話です。米中貿易協議で、輸出が減るなら分かりますが、内需の方がしぼんでしまっているから輸入が減るのです。気がかりなのは、訪日外国人旅行者数は前年同月比2.2%減、出国日本人数は3.7%増、これだと本来ならサービス収支が赤字となるはずですが、訪日外国人旅行者は、数は減ったけれど1人当たりの消費額が増え、出国した日本人は消費単価が下落した、だからサービス収支は黒字幅を拡大、と説明されている点です。中国人は人民元安により、爆買いをしにくくなったのに、消費額が上がった? 日本人は旅行しているのに、消費しない? 何だか都合よく鉛筆を舐めたようにも感じ、本当にこの数字なのか、ちょっと疑わしいとも感じます。
8月は増税の影響が見え隠れし、評価しにくい点もありますが、増税から1週間経った時点で、売上高は11%減とも伝わります。キャッシュレス決済の場合、還元が1ヶ月後になるものがあるなど、いくらポイントがついても消費に好影響がでにくい、といった側面もあります。果たして、日本の消費傾向がこれによって変わるのかどうか。小売りなど、無理して料金据え置きにしているところもあり、そうしたところが利益を確保し、賃金への悪影響をもたらさずに済むのか? 実は日本経済、見極め要因がてんこ盛り、ということもできます。ラグビーでは、前にボールをこぼすとノックオンという反則になりますが、日本経済は増税により、前向きにはなれないのにボールをこぼし、ノックオンを起こしている状況なのかもしれません。それこそ経済指標についても、主審がきちんと笛を吹けず、どんな反則が起きているのか、次に何が起きるのかを正しく国民が知らないと、それこそ気づいたときには日本経済がノーサイドで試合が終了している、そんな事態が起きかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:54|PermalinkComments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2019年10月07日

米朝協議は決裂か?

野村證券が、GPIFの7-9月期の運用が2兆円の黒字、と試算しています。違和感があるのは、日経平均は6月末と9月末を比べると21275ー21755で480円のプラス。TOPIXは1551−1587で36ptのプラス。為替はほぼ横ばいですが、ダウも300$程度の上昇にとどまるので、そこまでプラスか? という点です。今、株式市場にはバブルがくる、という人もいますが、すでにバブルは国債と不動産市場で起きていて、株式でそれが起きないのは、買い一辺倒ではなく、売りにも資金が流入するから。じゃぶじゃぶにしたところで、株式でバブルは起きにくいのです。むしろ国債バブルで、GPIFがそこまでの利益を稼いだとしても、今はそれがプラスですが、将来的には利回りの低下、日本国債はマイナス金利の深堀となっているので、マイナスの影響の方が強まります。米国債も、円調達コストの高止まりで投資はしにくい。運用難の時代が近々到来しそうです。
そんな中、安倍首相が日経ビジネス創刊50周年記念レセプションで「日本が世界経済をけん引」「経済最優先でとりくんで…」と語りました。日米、TPP11、日欧EPAで日本は中心にある、としましたが、自由貿易圏だからといって、発展するなどという保証はありません。今やマイナス金利が常態化など、経済の教科書には書いていないことが起きています。いみじくも、8月景気動向指数では一致指数が99.3と0.4ptと悪化し、基調判断を4ヶ月ぶりに「悪化」としました。けん引どころか、日本が世界経済の重荷になりつつあります。

米朝実務者協議が終わり、米国が2週間後の再協議としたのに対し、北朝鮮は「手ぶらできた」「不快」とまでして、年末までに米国に再考を求めました。主導権をにぎる目的や瀬戸際外交ともされますが、明らかに中国と連携し、ここでトランプ政権に得点を与えることはない、との判断が働いたとみられます。来年の大統領選前となれば、嫌でも成果が欲しくなる。つまり年明けにもっと良い条件がとれる、との算段とみられます。なので週末、米中貿易協議も決裂の恐れが強まってきた、といえるのでしょう。
そんな中、トランプ米大統領が民主党のバイデン氏の息子について、中国も調査すべき、と述べました。これで中国はカードを一つ手に入れた。バイデン氏の息子は投資会社を運営しているので、中国にも投資している。もし中国が、トランプ氏と取引して無実の罪をでっちあげたら、それは米側が妥協する材料となります。これまでも中国は『でっちあげ』で、外国人を逮捕してきた。そんなことは朝飯前です。

ただ、トランプ氏に協力してでっちあげると、それこそ内部告発によって中国の信用も毀損するかもしれない。ウクライナ疑惑で二人目の告発者がでてくるように、反トランプはどこにでもいて、暴露を覚悟しないといけません。もしかしたら、日米貿易協議も、それこそ安倍-トランプ会談の内容も暴露されるのかもしれない。しかし日本にとっては、その方が都合いいかもしれません。成果をでっちあげる安倍政権で、外交や経済の細かい事情を内部告発されたら、一発で政権が終わってしまう可能性もあるからです。
北朝鮮の「手ぶらできた」はまさに安倍氏のいう「条件をつけず交渉」にも当てはまるでしょう。一先ず米朝、米中は協議がうまくいかなそうであり、安倍氏も内心気が気でないかもしれません。拉致問題も、経済も悪影響をもろに受けるからです。むしろ日本は、対米追従の首相が大旦那である米国より巧妙に嘘をつく。それに官僚が協力し、内部告発もないといった『丁稚腰抜け』問題の方が大きいのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:53|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2019年10月06日

厚労省の方針と全世代型社会保障

厚労省が65歳以上の高所得世帯で、介護保険サービスをうける際の自己負担の上限を引き上げる方針です。現状、44000円の上限額に対し、年収1160万円以上は14.1万円、770〜1160万円は9.3万円、770万円までは4.4万円、非課税世帯は現状通り。ただ770万円以上稼ぎながら介護保険をうける、というケースは稀です。
一方で、厚労省は65歳以上で月収47万円以上の収入がある人は、年金が減額される仕組みですが、それを62万円にまで引き上げることを検討、と伝わります。これは差し引きゼロどころか、高所得の高齢者が得をする仕組みです。62-47で15万円、介護サービスの自己負担は14.1万円、微妙に数字は近いですが、これは数字を近くして誤魔化す目的です。介護サービスは使わなければ自己負担も必要はなく、一方で62万円プラス年金が満額で入るのです。安倍首相は「全世代型社会保障」などとしますが、高所得高齢者への優遇が鮮明なのです。年金は払った分がもどってくる仕組みではなく賦課方式、つまり現役世代が年金受給者を支えるのであり、若者は月収20万円でも、そんな所得のある高齢者に年金を通じて、お金を渡していることになるのです。むしろ安倍政権がめざすのは高額所得高齢者優遇型社会保障、とするのが相応しいのでしょう。

所信表明のときにも指摘しましたが、安倍ノミクスになって自営業者の廃業がめだち、国民年金しかない世帯が、収入の元を断たれた形になっているのが現状です。むしろ月収25万円以上で年金減額とし、その分の年金をそうした高齢者に回した方が「全方位型社会保障」となるでしょう。そもそも、65歳以上で月収25万円以上もある層は、会社の幹部クラス、または腕に覚えのある職人ぐらいでしょう。稼ぐ手段があるのですから、年金に頼らず生活できます。また月収62万円以上もある層は、会社の役員クラスであり、莫大な退職金を手にする。しかも年金の掛け金も多くなるので、その分受けとりも多くなっているのです。
むしろそんな高所得高齢者が、貧困の高齢者を支える。それだけの収入のある人は、高齢者になっても年金を負担して、年金のみで生活せざるを得ない人を支える。それこそ「全方位・支え合い型社会保障」となります。厚労省は「働く高齢者を後押し」などとしますが、自分が働くことで誰かのためになる、というのもまた、働く意欲を喚起するでしょう。47万円以上働くと、年金が減額されるから…などといって、働く意欲を失うような人は後押しする必要もない。そういう人は勝手に、自分のために稼ぐのですから、後押しせずとも働きます。生活に困窮する人、その背中を後押しする仕組みづくりが社会保障に求められるのです。

厚労省の動きで、やはり安倍政権は若者や子育て世帯ではなく、自分のオトモダチである高所得高齢者層を優遇する姿勢であることが鮮明です。今の富裕層を喜ばせるために、若者が将来、年金をうけとるころには年金財政が破綻、もしくは規模が縮小して、社会保障全体が壊れていることにもなりかねないのでしょう。「全世代型社会保障」の言葉の裏にあるもの、実は「前世代」つまり現役世代ではないものを優遇する仕組みのことをさすのが、安倍政権の目的であり、「前世代優遇型社会保障」が真相ということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:40|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 年金

2019年10月05日

米9月雇用統計について

法務省が臨時国会に提出する会社法改正案の骨子で、企業の役員が業務上の賠償責任を負った際、弁護士費用や賠償金を企業が補償、と明文化されることが明らかとなりました。タイムリーに関電の問題がありますが、被害者面して会見した、などとも揶揄されています。脅されて金銭を受けとり、地元との調整をとっていたと主張したら、業務上の問題となるのか? 役員の『業務上』とはどこまでの範囲かも分からない。それこそ不正な取引、例えば政治家に闇献金を送っても、それが企業のためとしたら、その企業が丸々負担しなければいけない、となったら従業員はたまったものではないでしょう。そんなこと頼んでない、という話です。少なくとも『業務上』の前に『違法、脱法でない』とつけるべきではあるのでしょう。そうでないと、ただ富裕層を守る、富裕層コミュニティーを守るための法律、ということにもなりそうです。

9月米雇用統計が非農業部門の就業者数で13.6万人増と予想に届かず、ただ失業率は3.5%と0.2pt改善、一方で平均時給は前年同月比2.9%増と、3%台を割り込んできました。弱めの指標をうけ、10月の利下げ確率が上昇、それが株式市場を心理的に支えました。しかし3回連続の利下げとなれば、もはや「予防的」とは言えず、FRBは景気悪化をみとめないといけない。次のFOMCは米中貿易協議を経た後になるので、マインドの悪化は顕著になっているかもしれない。次の利下げは、それこそ市場がどう捉えるか分かりません。
そもそも利下げは効果が低い。2%を切ったら、ほとんど誘導の効果はありません。問題は、量的緩和に踏み切るかどうか? です。金利急騰という一時的な動きもありましたが、FRBは資産買入を終えた後、償還後の再投資の規模を減らしているため、引き締めの効果がでています。ここで量的緩和に舵を切れば、その流れは変わる。それは市場も好感するかもしれません。ただし、やはりそこまで景気が悪いのか、と意識することになるので、中長期的にはマイナスとの受け止めも大きくなってくるでしょう。

実は、ドラギECB総裁がECB理事会で大規模緩和を決めた際、最後っ屁のように「後は財政政策」としたことが、市場の重しになっているのです。金融政策は出尽くした、とのメッセージと受け止められ、限界を意識させた。FRBは利下げ、量的緩和にも余地はありますが、金利を引き下げたら貸し渋りが起きている、との話もある。利率が低すぎて、倒産リスクとペイしなくなり、貸せなくなったというのです。実際、製造業は雇用統計でもマイナスになっており、不安が拡大している。いくら米国が非製造業中心の経済といえど、大統領選とからんでくるので、製造業の衰退は米国にとって大きな影響をもたらすでしょう。
何よりウォール街は米民主党のウォーレン候補が嫌い。製造業の復活を訴えて当選したトランプ氏が失脚すれば、市場も織り込まざるを得なくなります。トランプ氏が滅茶苦茶をしたことで、次期大統領が同じことをしても、些かも不自然ではなくなります。企業に大増税をかけても、企業に社会的貢献を求めても、それにより業績が下がっても、強烈な左派とされるウォーレン氏が自らの主張を実践しても、共和党も批判しにくくなるのです。しかも米共和党はトランプ氏の主張を踏襲し、中間選挙で当選した議員も多く、トランプ氏の失脚は米共和党にとってもしばらくダメージが残る可能性があって、ウォーレン政権が続く恐れもあります。

米国がそんなとき、日本は会社法を改正して経営陣を利することを明記する、という。国連が提唱するSDGsとも反する動きです。安倍政権をみても、関電をみても、責任ある地位にいる者がその責任をとらない国、そんなものに持続可能性はありません。日本では金融政策の持続可能性は失われてしまいましたが、米国頼みの安倍政権、日本経済は、米国の雇用統計にまで一喜一憂しなければならず、『一葉落ちて天下の秋を知る』となるのかどうか。米国が『雇用落ちて天下の秋を知る』となったら、日本も大変なことになるのは覚悟しておくべきなのでしょうね。

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2019年10月04日

臨時国会における安倍首相の所信表明

浜田内閣官房参与が安倍首相と昨日面会し、「(さらなる消費税増税は10年不要としたことで)消費者の心理的な不安をうまくとっている」と自画自賛した、と述べています。これまでも指摘したように、消費者マインドの悪化を示す経済指標は枚挙に暇がありません。駆け込み需要が起こらなかったことを指しているなら、『愚劣』とさえ断じられるでしょう。そもそも消費税は上がらずとも、社会保障費の負担などが増えれば意味がない。事実、安倍政権では社会保障費が増えているのです。それでも財政均衡できないバラマキ財政をつづけ、年金2000万円不足とされる中、心理的な不安がとれるはずもない。認識が可笑し過ぎます。

第200臨時国会が召集されました。安倍氏は所信表明演説で、『65歳を超えて働きたい。8割の人がそう思っている』としましたが、働かないと生活できない人が半数以上でしょう。安倍ノミクスで自営業者の廃業が相次ぎました。厚生年金のない層であり、国民年金では生活できないのです。年金財政検証で500万人支え手が増えたので、所得代替率が改善、としましたが、将来はその500万人が年金をうけとる側となります。そのとき人口減少社会では、支え手は減るばかり。相変わらず、この所信表明にその改善提案はありません。
『コーポレートガバナンス改革をすすめて対日直接投資残高は10兆円以上増加』としますが、生憎とどこのデータか、不明です。逆に、もしそうなら外国人は10兆円以上日本を売る余力がある、となり、市場インパクトは強まります。市場では、外国人投資家はもう安倍ノミクスで買った分はすべて売った、との認識もある。これは直接投資と必ずしも合致するものではありませんが、むしろ外国人投資家は、まだまだ日本を売るでしょう。それは安倍政権という、経済政策に信用できない政権が続く限り、ということになります。

正社員が130万人増えた、雇用は改善などとしますが、補助金で支えられている側面があります。就職氷河期世代の支援などがこれからもあり、補助金頼みで改善したとて、継続性のない話です。経済最優先として、『自動車や住宅への大胆な減税』などとしますが、富裕層向けの話であり、軽減税率を景気対策とする段に至っては、失望を禁じ得ません。悪くならない、というレベルの話です。プレミアム商品券も、それを使ったら貧困層だと自ら明らかにするようなもの。よほど生活に困った人か、気にしない人しか使わないでしょう。しかも数万円つかうと数千円のバック、という怪しさであり、その数万円すら使えない人のことは何も考慮されていません。経済最優先どころか、富裕層目線の経済の考え方でしかないのです。
外交・安全保障、地球儀を俯瞰する外交、新たな時代のルール作り、といった項目では、失敗を失敗と言えず、言い繕うのに終始します。廃プラの問題など、やっとレジ袋有料化に手をつけたばかりで、個別包装の多い日本では規制をかけられない。電気自動車も出遅れ、再生エネなどまったくすすんでいません。外交上、安倍政権の7年で出遅れた分をとりもどすのは相当に大変なレベルで、特に日露では日本が譲歩して交渉を後戻りまでさせたのに、平和条約締結の道のりは遠のいた、という赤点レベルの失敗となっています。

最後に『憲法審査会』のことを『調査会』と呼び、やっぱり真剣にやる気もないことを露呈しました。安倍氏が勝手に「改憲は国民への責任」と考え、それを「果たそう」と呼びかけたところで、誰も納得はしません。特に、安倍改憲私案は明らかに改悪なのですから、尚更です。『現状に甘んずることなく、未来を見据え…』としますが、現状に甘んずる…? これだけ経済指標が悪化する中、何に甘んずるのでしょう? 甘い見通しと現状認識の怪しさと、その2つを併せ持つ稀有な政治家に、未来を見据えられるわけがありません。憲法審査会の前に、まずは違憲審査権が正しく機能しているかどうか、その辺りから徹底的にやらないと、この国の不正、不祥事などは絶対に改まらない、憲法すら蔑ろにしている連中が、何を議論したところで自家撞着にしかならない、ということになるのでしょうね。

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2019年10月03日

日経平均の下げと情報と

自民党の岸田政調会長が「与野党は立場を越えて国会で議論を」としますが、安倍政権はその前に明らかにすべき情報があります。それは関電側は返却した、とするお金は森山元助役にとっては一時金となるので、税負担が発生します。もしそれが資金の出元とされる企業、団体に返却されたなら、同じように税負担が発生します。つまり税務署の情報を明らかにすれば、資金の流れがある程度解明できるのです。返却が年内だと、まだ税務調査が入っていない可能性もありますが、過去のデータはすぐに出せるはずなので、安倍政権はすぐにでも公表すべきでしょう。関電は裏金、との認識もなかったとしますが、返すつもりだろうともらったときには一時金であり、税金を払わないと脱税です。そこは詳らかにする必要があります。

日経平均は大幅安ですが、配当権利落ち日から外国人投資家は、明らかに買わなくなった。日本市場は底堅い、などともされますが、日系による買い支えが相当に入っていることが影響します。今回、ISM製造業指数が下がったこと、ADP雇用統計が予想にとどかなかったこと、などが原因として挙げられますが、そもそもは株式市場が第4四半期以後、企業業績が急回復とのシナリオを織りこみ過ぎていたことがあります。そしてもう一つ、日本では海外の情報に誤った部分が多い、といったことも市場のかく乱要因となっています。
まず新たなEU離脱案を提出した、英国のジョンソン首相。離脱先送り法案が議会で可決されると、日本ではメディアがこぞって『追いこまれたジョンソン政権』との報道が相次ぎました。しかし先送りばかりの野党にも支持が集まっておらず、今選挙をしたら確実にジョンソン氏の保守党が第一党の座を死守するのですから、まったく追いこまれてなどいません。むしろジョンソン氏は新たなEU離脱案が通らなかった場合、合意なき離脱にすすむでしょう。アイルランドが今年、成長率を上方修正しましたが、明らかに英国からの工場移転などが支えた格好です。新たな提案である北アイルランドが関税同盟に残るのなら、英国への打撃も少なくなるかもしれない。技術的に難しい、とEUはつれない態度ですが、ジョンソン氏は意外と策士です。

次に米国のトランプ大統領の弾劾ですが、日本では米民主党のバイデン候補にも打撃だから、トランプ氏を利するのでは? という意見が専らです。しかし米民主党はすでに、バイデン氏を見限ってウォーレン候補シフトを布いた、とみなすことが可能です。勢いは明らかにウォーレン氏が勝る。サンダース氏が病気療養で、サンダース票もウォーレン氏に移り易い。つまり米民主党が弾劾に踏み切ったのは、こうした背景を読み解けるのです。なので、米民主党にとっては戦略通り、そしてトランプ氏が分かり易く過剰反応を示すのも、世論調査で弾劾を支持する声が50%を越える勢いとなり、共和党も無視できなくなってきたからです。
ウォーレン氏は金融・ビジネス界から不評、だからそんな論が日本で喧伝されるのでしょうが、トランプ氏とて就任前は警戒されていたはずです。エアバス制裁で、米国がEUに制裁関税をかけますが、このままトランプ氏に任せていても世界経済は失速が確実です。いずれにしろ、どちらかを選ぶしかなくなる流れですが、それが嫌だからといっておかしな論説をばらまいているようでは、お里が知れるというものです。

8月から下がった相場が、9月に切り返して、10月にまた下落局面に入ったとしても相場循環としてはまったく不自然ではありません。今晩のISM非製造業景気指数が支えとなるのか? 10月はイベントも多く、中々来年の期待を盛り上げるのも難しそうです。米国では、シェールガスの採掘が滞り始めた。それは景気が失速するから、というより予想以上に早く枯渇しそうだから、とも言われています。そうなると、来年のWTI原油指数などが跳ね上がってくるかもしれず、ますます景気に期待もできなくなるでしょう。今はとにかく、メディアの虚言に惑わされず、一つ一つの事象を確認していくしかない。ムードや期待ばかり煽る政治家の存在と、それに手を貸すメディアと、今や株価そのものが情報ツールとして、国家による操作が入っているような状況ですが、いずれも上手くいっていないことで禍根を残す、それもまた不安材料となるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:17|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2019年10月02日

雑感。税金や公金の使い道

北朝鮮が潜水艦からとみられるSLBMの可能性のある弾頭ミサイルを発射し、日本のEEZ内に落下しました。短距離ミサイルの実験は問題ない、というトランプ米大統領の意向にそって、SLBMなら大丈夫との判断もあったのでしょう。日本は北朝鮮に首脳会談をもちかけ、などとしますが、歯牙にもかけられていないことが鮮明です。米朝協議の前に圧力か、などとも報じられますが、米国が圧力と感じていない以上、無意味です。それより今のうちに実験できるものはしておく。技術をすすめておく、という北朝鮮の事情が透けてみえます。

自民党の甘利税調会長が「内部留保をM&Aに活用したら減税」と、共同通信とのインタビューで答えました。異業種や大学との連携をめざす、と意義を強調しますが、それはM&Aとは言わない。本当にこの人は経済を知らない、とがっかりします。ベンチャー投資や共同研究は、M&Aによるシナジーをめざしたものではないからです。恐らくM&Aを口走ったのは、国内より海外の企業を買収させて円安をめざす目的でしょう。
消費税増税で幼保無償化になったはずが、保育料の値上げで実質的な還元が限られる、といった話もでてきています。値上げの理由は様々でしょうが、問題は今回の増税でも影響が少ない、という主張の中には「今回の増税は還元率が高い」というものがあります。それが中抜きされる状況では、消費に影響がでるのは確実でしょう。申請をしたのに認定がうけられていない、対応レジが間に合っていない、自分がつかうキャッシュレス決済が買い物した店では対応していない、など混乱の声も聞こえる。安倍政権は増税対策は万全、としていましたが、やはり何度やってもダメなものはダメ、というのがよく分かります。

心配になるのが、9月消費者態度指数が35.6(前月比-1.5pt)となり、12ヶ月連続の悪化。これは前回の消費税を上げたときより、さらに悪い数字です。耐久消費財の買い時判断が28.1(-3.6)と大幅に悪化していますが、これがキャッシュレス決済への5%還元で買い控えたのか? そうでないなら消費マインドは大きく冷え込んでいることになります。増税前の判断がこれなら、増税後にはもっと落ちこんでいるかもしれない。しかも、物価見通しが上昇と見込む割合が88%弱もあるのに、購買意欲にはつながっていないのですから、インフレがすすむと消費性向が高まる、という経済学では定説の理屈さえ覆しかねないものとなっています。
関電の問題にしろ、今はまだ高浜町の元助役と関電の関係に注目が集まりますが、いずれ高浜町への補助金の問題も絡んでくるでしょう。というより、絡まないと不自然な話です。これは税金の使い道、電気料金という公共料金の使い道、という点で大きな問題を孕むものです。この国では圧倒的にそれが足りていない。公金の監視、という大きな問題です。それができていないのに、税金で財政を賄ったところで、何もなりません。底が抜けている器に、どんどん上から水を注いでも満杯になることはないからです。
安倍政権では企業からお金をもらって口利きをした、と指摘された議員がいる。まさに甘利氏などその類です。関電のことを、菅官房長官は「言語道断。第三者による徹底調査が不可欠」などとしますが、安倍政権自身がその例に漏れず、むしろ同じ穴のムジナといえます。それは政府がそんなことをしていたら、民間企業も同じことをするでしょう。電力会社は寡占で、監視・監督が必要だから政府は文句をいえますが、一般の民間企業なら、ただ企業体として経営陣への背任の罪しか問えないのです。安倍政権が『隗より始め』られない以上、今回も全容解明にはほど遠いのでしょう。そんな日本では、いくらM&Aで減税といったところで『買いより始める』といった決断は中々しにくくなってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:34|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2019年10月01日

日銀短観と株価

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、年金の運用計画を変更し、為替ヘッジをかけた外国債券も国内債券と同様に扱う、と発表しました。国内はマイナス金利のため運用が難しい、としますが、ヘッジをかけたら国債の利率が高かろうと儲けは薄い、若しくは損をするとの評価が専らです。つまりこれは、GPIFによる円安誘導でしかない。しかしこれまでも同様に、GPIFの影響力は為替市場では大したことない。一時的には円安になっても、長期的にはそれ以外の要因の方が強いので、短期的な円安をはかるためにこのタイミングで発表したのなら、やはり年末に政治的な動きがある、との予想とも合致してしまうのでしょう。

9月の日銀短観、現状判断DIは大企業製造業が5(-2)、非製造業が21(-2)、中小企業製造業が-4(-3)、非製造業が10(0)、先行き判断DIは大企業製造業が2(-3)、非製造業が15(-6)、中小企業製造業が-9(-5)、非製造業が1(-9)となりました。()内は変化幅です。これは衝撃的な内容で、今日からスタートした消費税増税ですが、それ以前から景気は落ちこみ、増税後にはもっと落ちこむ、とこの短観は示しています。どの業種も深刻で、日本経済復活には何の光明もない。そんな中で増税してしまった、というのが今日の動きでもあります。
さらに在庫は積み上がり、販売価格判断は下落がつづく一方、仕入れ価格判断は上昇がめだつ。これでは企業マインドが上がるはずもありません。売上高は今年度、上昇をみこんでいたものの横這いに修正、経常利益は元々悪化する見通しが、さらに下方修正です。設備投資計画は、中小企業がプラス圏ですが、これは消費税増税対応といった面も含まれるとみられ、補助金頼みの側面もある。雇用人員判断ではさらに先行き、人手不足感を強めるので、これは明らかに不景気の人手不足。仕事があっても儲からない、悪い循環に日本が陥っていることを示します。かなり深刻で、しかもまだ底がみえない、暗黒状態といえるでしょう。

今日の日経平均は上昇しました。トランプ政権が検討と伝わった対中投資制裁を、政府要人が否定して安心感が広がった、というもっともらしい理由も語られますが、これは打診的にリークされたもので、一旦は取り消しただけです。ただ何らかの形で、対中投資には規制がかかるのでしょう。圧力しか知らないトランプ氏が、10月10日の交渉前に、さらなる圧力材料をだしたくなったとて、何の不思議もありません。
ただそれ以上に相場を支えたのが、日銀の追加緩和期待です。政策決定会合の議事要旨をみても、緩和に前向きな意見がめだった。この短観をうけて、手を打たないとインフレ期待が壊滅するのは必定です。相場にくすぶる緩和期待、それに火をつけた面があり、22000円オーバーで売っていた日系大手が買戻しを入れ、相場全体を支えたのです。ただ、どんな緩和にしろそれが景気や物価を下支えする見込みは皆無です。

利下げをしたら円安となり、景気を支える。インフレになる。それが一般的なシナリオですが、ここまで実現していないのに、ここからは実現できる、という話に信ぴょう性がないのは論を待たないでしょう。なりふり構わずGPIFが円安誘導の手を打ったのも、安倍政権から「円安、株高にしろ」と大号令がかかったことが、容易に想像できます。月末に日銀が緩和の手を打てば、年末解散までは株価を維持できる。そうしたものを市場が意識した可能性もあるのです。ただし、そんな国内の事情など、海外からの逆風で簡単に吹き飛ばされてしまうでしょう。増税しておいてすぐに景気対策、といった財政出動もしにくいだけに、崖っぷちどころか崖からすでに落ちかけて、何とかしがみついているだけの日本経済は、逆風がそよ風であっても崖下に転落しかねないのですが、どれも暴風になりかねません。日本の風前の灯は、消える前にパッと燃え上がるだけなのか、政治の動きと株の動きとをこれからは注意深くみていかないといけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:25|PermalinkComments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 |