雑感、各国の動きについて経済の話。インフレと金融不安

2008年07月04日

年金積立金が5.8兆円のマイナス

年金積立管理運用独立行政法人(GPIF)の07年度の運用が、5.8兆円減となったことが今日発表されました。GPIFに関しては先週辺りから少しずつふれてきましたが、悪い予感が的中した形です。-6.4%という数字はGPIFが預かる91兆円分のものですが、まだ5年間の累積収益が7.4兆円ある、というのは間違いで、年金給付は複利計算されますから、利息に対して利息がのらなければ年金原資は給付水準が納付実績を越え、常に毀損していく形となります。

今年の4-6月期をみると、NYダウは-8%、日経平均は+5%という形ですので、証券市場の収益はあまり期待できないことになります。運用目標の割合は証券は国内、国外合わせて20%程度と低くとも、再び下落局面に入れば再びマイナスを計上する可能性もあります。日本でも配当利回りが上がっているので、インカムゲインまで含めると4-6月期はややプラスにも見えますが、それとて運用が目標に達しなければ原資を毀損していくことになります。
年金は通常の保険と元本に対する補償の考え方が異なるので、一概には捉え難いのですが、原資の毀損は結果的に国民が被る形になります。国庫からの支出は税金からの補填なので、給付を減らすか税率を上げて国庫負担分を増やすしかありません。そんな中、与党PTから出てきた10兆円の日本版SWF構想で、一つの考え方を示したいと思います。

与党PTが真に『プロの運用』でリスク管理が出来て、収益を上げられるというなら、国会議員の議員報酬から金融保証として、一定額を積み立てる案があります。仮に10%とすれば月13万円、ボーナスも含めれば200万円近い額が一人の議員から集まり、国会議員720名とすれば14億円が一年で集まります。それを運用の失敗に備えて積み立てる法案を作れば、仮にマイナス運用となってもその損失分の穴埋めに寄与します。
運用でプラスとなれば年金利回り分を除いた額の数%を配当として回し、マイナスになればそこから補填される。積立なので、議員が失職するときには一月単位で運用実績を出して、その分を相殺して支払う。当然、マイナス幅が大きければ受け取りがゼロということもあるわけです。

先にも書いたように、年金は本来国民の財産であり、強制的な資産運用でもあるわけです。資産運用の手法に国民の選択肢が用意されていない以上、運用損失をそのまま国民や国庫に被せるだけではダメなのです。10兆円の14億円では1%にも満たない額ですが、文書費などを含めて議員報酬から一年で5%が消えるかもしれない、という提案を議員がすれば本気度が分かります。
公益法人に関しても、幾つ削減するかで議論するのはムダで、幾つ残すのか?つまり削減に体力を使うようでは絶対にうまくいかず、残すなら理由を示させる、ゼロからの積上げにしなければ、無駄ゼロを謳おうと会議を幾つ作ろうと、結果が期待できないことになります。本気度を示したいなら、会議を複数つくることではなく結果に繋がる手法、そうしたものから見直すべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:07│Comments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 年金 | 政治

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この記事へのコメント

1. Posted by おるおる君   2008年07月04日 23:35
やはり日本株の運用では、ダメだったということでしょうか?政府系ファンドができて、プロが運用したらパ―フォ―マンスの悪さを乗り越えられるでしょうかね?手足を縛って運用を託すというのも酷でしょう?
2. Posted by 管理人   2008年07月05日 00:08
おるおる君 さん、コメント有り難うございます。

昨年度は証券で運用する投資は軒並み悪く、特にこうした年金運用は
短期で効率よく回転させる運用と少し異なります。証券が下がると持分の
調整に入るため、債券を売るか、下落した分を買い増さなければならなく
なり、損失覚悟でも買いや売りを入れるということもあるのですね。
政府系ファンドも国の意向というヒモ付きでは、片翼飛行が決定しており、
参加する『プロ』と称する人も少ないでしょう。毀損しても責任をとらず、
解散を前提とした組織であれば尚更でしょうね。責任の所在、という形で
金融保証を提案していますが、失敗して終わりの組織なら作るべきでは
ないのでしょうね。
3. Posted by ハンバーガー   2008年07月05日 00:50
とうとう12連敗です
4096万分の1です

作られた株価なんでしょうけど
なんでこんなことしたのですかね
4. Posted by ろっし   2008年07月05日 09:40
 平成19年度は、辛い年になりましたね。目標運用利回りは、名目賃金上昇率プラス1.1%とせ設定されており、実質0.96%に対し、過去5年分で平成19年を含めると、4.03%と目標を大幅に上回っています。(単一だと−4.59%)

 確かに、指摘の通り通常は、複利計算ですよね。想定からして複利で無いので、そのあたりは間違いでなく、変というか通常の想定とは違いますね。財投債の引き受けで、複利計算出来ないので、平均値をとっていると思われます。

 http://www.gpif.go.jp/kanri/pdf/kanri03_h19_p04.pdfの55ページを再度、ご覧になればと思います。
5. Posted by LAN   2008年07月05日 16:05
思うに年金運用で必要なのは、国内の景気と税収が落ち込んでいる時に、運用実績も一緒に落ち込まないようにすること。
つまり国内の景気が良く税収も伸びている時は、そこから補填する。逆に落ち込んでいる時は年金の運用益で賄う形にすべきです。

例えば世界の自動車産業のリターンと、世界の石油等資源産業のリターンをスワップする。
そうすれば、資源価格の高騰による盛で、高騰による製造業の衰を補えます。
6. Posted by 管理人   2008年07月05日 23:24
ハンバーガー さん、コメント有り難うございます。

恐らく10日連続下落が見え始めた段階で、人間の意識として未踏の地に
チャレンジしたいという冒険心が芽生え始めたのでしょうね。過去にWTIが
100$乗せしたときも、一人の人間がかなり無理をしたことが分かっています。
人間は不思議な生き物で、やってみようと多くの人間が思うと、そうなって
しまうものなのですね。ただ来週はSQがあるので、相当抵抗の意思も出て
くるでしょう。後はどちらの思惑が強いかで下落を続けるのか、反発する
のかが決まってくるのでしょうね。
7. Posted by 管理人   2008年07月05日 23:37
ろっし さん、コメント有り難うございます。

年金は財政運営基準があり、利回りで3.2%を約束しながら、一方ではご指摘のように
名目賃金上昇率を運用の基準において、それより高いから良しと考える部分もあります。
この仕組みでは、原資を毀損していくのはお分かりだと思いますが、年金は賦課方式
ですから、就労世代が減れば過去に貯めた原資が毀損するのは当然ですし、04年の
改正でもそう認められています。公的年金の給付はおおよそ40兆円ですが、納付は
30兆円もありません。国庫負担分を含めても、現在は150兆円を取り崩す方向にあり
ます。年金は仕組みが難しいですが、運用基準を上回れば給付に耐えられる、という
のとは、少し異なるのです。続きます。
8. Posted by 管理人   2008年07月05日 23:55
続きです。

04年の改正時でも批判が高かったのは財政再計算です。5年ごとに見直されるこの計算は
結果的に給付を低く抑える効果を指摘されています。例えばパートタイム労働者にも
負担を拡大しましたが、そうなれば名目賃金上昇率はマイナスとなります。ですが
実際に納付される額は増えているので、年金原資にとってはプラス、給付は低く抑え
られることになります。細かいことをいうとキリがありませんが、この運用利回りで良い
とする根拠は、給付を低く抑える仕組みがそうさせているのであり、国民にとっては何の
利もないのです。悪い観測では後10年も経たないうちに毀損率が高くなって年金制度は
納付と給付が均衡する、すなわち運用原資はなくなるというものもあります。むしろ
国はそうする意向が強い、と考えておいても良いのかもしれませんね。
9. Posted by 管理人   2008年07月06日 00:14
LAN さん、コメント有り難うございます。

運用は債券が3分の2近くを占めるとはいえ、どうしても景気に影響されますから、
中々リスクヘッジが出来ないのが現状です。そんな手法があれば、多くの企業が
先に導入しているはずですしね。
例えば自動車産業と石油資源に関していえば、原油が上昇しても賃金上昇の伴う
インフレであれば、自動車産業の落ち込みはそれほど極端ではないでしょう。
これは上昇の背景と程度の問題ですし、基準が曖昧だと法案にもなり難いです
から、スワップという考えは国をまたぐ産業の場合は特に難しいでしょうね。

仮に今回の混乱がマネーサプライの減少に及ぶ場合は、世界で運用に資する
資産のほとんどはマイナスになります。世界の資金量が総じて減少するときは
それをヘッジする策はほとんどないのが、現在の経済学の限界なのでしょうね。

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