経済の話、ARS証券について総合経済対策の骨格について

2008年08月10日

国民年金の納付率が2年連続低下

社会保険庁が7日、07年度の国民年金の納付率が63.9%となり、前年より2.3ポイント低下したと発表しました。国民年金の被保険者は役2千万人、納付率の目標は80%ですから、実に720万人が納付できない、もしくは支払い能力があっても督促に応じない人数となります。
記録漏れ問題などを受け、また様々な社保庁の不祥事の対応に追われ、督促に人員を割けなかったという説明ですが、そうなると舛添厚労相が述べていた「エンドレスの対応」に伴い、納付率は増やせないことになります。強制徴収の職員を1人、各事務所に配置して対応するともしていますが、人件費とのバーターで考えると、極めて非効率なやり方なのでしょう。

時代劇などを見ていると、長屋の風景が見られます。落語では熊さん、八つぁんになりますが、こうした人々は納税などの義務を負いませんでした。職人なども同様、仕事が安定せず、また住む場所も決まっておらず、幕府の監視も行き届かないため、徴税の手間を考えると最初から納税の義務を負わさない方が効率的との考えもあったのでしょう。
江戸時代に納税義務を負ったのは町名主以上、土地売り渡し証文である『沽券』をもつ者までが町民であり、長屋の住民などは町民とも認められていない存在です。武士や農民はまた異なる形式ですが、職人など江戸や大阪など、大規模の普請がある場所へ移り住んで、そこでしばらく働きながら生活し、また次の地へ移ることなどは当然のこと、だから管理から外されていたのです。

江戸の話をしたのも、今の日本がこれに似てきていると感じるからです。派遣労働など、職場に応じて住居を変える必要があり、また生活も不安定です。住民登録している場所で働かず、また名前の一字を変えて職についても、零細企業では改めて住民票など確認もしないでしょう。これは外国人労働者を受け入れている背景も、全く同じという面があります。
税方式に取り逃がしがないのも職場から徴収しているからです。つまり誰が働こうが事務所が固定された企業から一定金額を集めている、だから中央で厳しい管理の下で高い徴収率を誇ることができます。一方で国民年金は名前を変えられたり、加入者の居場所がコロコロ変わると対応できません。それは各事務所で年金番号や名前で管理されてきたからであり、現状のように働き方の多様化、正社員の減少、という社会の根幹が変化する事態への対応は人ベースでは難しくなっているのです。

江戸時代にも派遣業「人宿」、日雇い派遣「日傭座」というものがありました。それでも働く人に納税義務はなく、当然年金保険料の徴収もありませんでした。人を基準に管理し切れるのか?そうでなければ、やはり税方式などの導入を視野に入れるべきなのでしょう。政府が本気なら民間シンクタンクに頼めばすぐに試算もできます。人件費もタダではないのですから、厚労省が提出した試算など信じず、効率化という観点もいれた検討が必要なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:01│Comments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 年金

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この記事へのコメント

1. Posted by ろっし   2008年08月11日 07:34
5  歴史を振り返るとは、よくご存知ですね。現在の問題は、肯定している点です。否定から入らないとゼロベースの議論が出来ません。

 厚生、共済と違い、国民年金は、貧しい層ガ多いわけです。つまり、将来、年金の必要性のある人が払えない。

 年金制度創設は、雇用労働者が困るからという理由だったようです。当時は、自営や農業、漁業などの第一次産業が条件が良く、同様に定年が無いことから、想定外でした。故に、後で国民年金基金が創設されたのです。

 人口構成比、賃金格差、就労体系など創設時と全く状況が違っても見直さない。これが、問題なのです。
2. Posted by 管理人   2008年08月11日 23:28
ろっし さん、コメント有り難うございます。

福田政権は見直しを求められても、後期高齢者医療制度も制度としては良い、としており、
この辺りが官僚主導、制度変更には消極的との認識を国民にはもたれています。変革による
痛みを、本来は行政側がもっとも感じるべきであるのに、それを国民につけ回した小泉政権
のような例もありますが、猥雑な手続きや複雑な年金支給額の調整など、国民の不信を買う
ことばかりをしており、これらも年金未納問題には顕著に現れているのでしょうね。
現状の年金制度の根幹とは現行就労者による扶助であって、受け取る総額の確定しない
不安定な資産です。しかし国民にそう説明してこなかった、安全資産、相互扶助の精神
ばかりを主張してきたこともまた、年金制度の不信には繋がっているのでしょうね。
3. Posted by ろっし   2008年08月12日 08:18
 後期高齢者医療制度について、根幹は良いでしょう。負担増の方々には心苦しいですが、高齢者が増え、財源問題は生じます。勿論、かつてのままにする事は可能ですが、他へのしわ寄せか現役層へのしわ寄せになります。また、病院が集会所になっている部分も考慮すれば、少しの負担は致し方ないでしょう。ただ、強引な手法(財源重視、説明不足)などは、見直すべき点であります。

 ただ、ご指摘の通り、役人不信、政治家不信の影響は強いです。特に社会保障という根幹部に不満、不信が多いのは、問題ですね。
4. Posted by 管理人   2008年08月13日 00:13
ろっし さん、コメント有り難うございます。

後期高齢者医療制度は大元の考え方が可笑しいとの指摘があります。つまり保険とは本来、
相互扶助的側面があり、医療費が拡大する層だから切り分けて別の徴収法を採用すること
自体、極めて問題があります。また高齢者層だけに限ってみても、高所得のある層から
の負担は低くなり、低所得者層は高い負担率となっています。これでは考え方が逆なの
ですね。病院に老人が通うのはむしろ当たり前なのですから、病院の一歩手前、つまり
未病の段階でかかれる、医療ではなく簡易的な診断を可能とする場を作るなど、対策の手は
幾らでもあります。負担増を減らす手法に予算という面でしか考慮できない点で、政府が
考える高齢者対策というものには限界があるのでしょうね。

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