自民党総裁選の焦点は?米大統領選が本格的に始まる

2008年09月05日

世界同時株安(9/5)

先週の土曜日、今週の株式相場は12500を試してきそうだと書いたところ、随分と深く突っ込んでしまいました。買い方の負けが続いていたため、下押し圧力は先週から高まっていました。同様に、為替相場にも急変動が起き、円/ユーロは一日で6円近く動いています。
原因を米民間雇用統計という人もいますが、これは欧州中央銀行(ECB)が定例理事会で金利据え置きを決めた際、担保条件の厳格化を発表したことにより起きたと見た方が良いでしょう。これまで欧米の中央銀行は金融機関に優しいハト派と目されていましたが、この決定により金融機関の資金繰りに不安が出て、欧州経済に急速に悲観が強まったことが売りの背景だったのでしょう。成長見通しも引き下げられていますが、円/ユーロの動きから見ても欧州経済不安が世界を席巻した形です。

一方で、世界経済の減速を織り込む流れもあります。以前から指摘していたアジア通貨安であり、韓国ウォンはドルに対して年初来17%下落、その他のアジア通貨も売り込まれており、市場介入により自国通貨安を食い止める対策が打たれています。通貨安は深刻な輸入インフレを生みます。韓国の例でいえば、原油WTI価格は年初96$/バレルで、現在108$/バレルですから、10%以上上昇しています。単純に見ても原油輸入価格はウォンベースで20%後半の上昇となっていますので、これは深刻な状態です。原油価格は最高値から下落していますが、年初から見ればそれでも上昇しており、影響は通貨安を抱えた国に大きく出てきます。
韓国では国債の一部償還時期が迫り、9月危機とも言われますが、本質は新興国からの資金逃避の動きです。通貨安が更に経済に打撃となり、それを見越して売る。その流れの中で、各国中央銀行も利上げを模索しているようですが、政策金利が外為市場の主要議題ではなくなって来ており、下手な利上げは自国経済の更なる打撃となるでしょう。

米国でも、中央銀行の態度で状況が一変する流れがあります。政府系住宅金融機関(GSE)支援策がまとまりましたが、巨額支援が必要とも云われます。米連邦預金保険公社(FDIC)は後数行の破綻で自己資本不足に陥り、増資の必要に迫られます。つまりどちらも政府支援を受ける一歩手前、という水準にまで至っており、住宅市場の回復が見られず、資金繰り悪化が続く米地銀の破綻も更に増えるものと思われます。
ECBが担保条件の厳格化を決めたのも、ECBそのものが安易な資金供給に応じられなくなってきたことを示します。米国は果たして、一体いつまで金融機関に対してハト派でいられるか?は政府保証の規模と時期、国債格付けへの影響などで決まってくるのでしょう。

今回の明らかになってきた、各国中央銀行の問題対応に関する余裕という点では、どこも同じです。欧米では信用市場の悪化が続く金融機関を支援する余裕、アジアでは通貨安を食い止める介入に対する余裕。その余裕がなくなったとき、本当の意味で世界経済の後退、という現実が突きつけられることになるのでしょうね。

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analyst_zaiya777 at 23:14│Comments(2)TrackBack(1)経済 | 

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1. 国有化しかないのか?米政府系住宅金融機関  [ ハズレ社会人 ]   2008年09月06日 23:55
オツカレです。 遂にアメリカ連邦政府が動くことになった。 [ワシントン 5日 ロイター ] 米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は5日、関係者の話として、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)(FNM.N: 株価, 企業情報, レポート)と連邦住宅貸付抵当公社(...

この記事へのコメント

1. Posted by おるおる君   2008年09月06日 00:44
莫大なカネを動かす個人投資家・投機家の人達にとっては、久し振りの大チャンスの到来なのでしょうか?
この人達のマネーゲ―ム?で新興国が潰れる危険性もありますよね!アメリカがやったような先物取引の規制だったでしょうか?そんなことはできないのでしょうか?
2. Posted by 管理人   2008年09月06日 23:35
おるおる君 さん、コメント有り難うございます。

4日辺りから急速に邦銀の売りが加速しましたが、確証はありませんが、2F支援策との
絡みで情報が米系ファンドの一部に流れた、と推測しています。邦銀所有の2F発行の
債券の価値がどの程度になるか、邦銀がどの程度保有しているか、来週の株式の動き
は少し心配ですね。

投機規制は為替では難しいでしょうね。元々、投機と投資は厳密に別けることが難しく、
ルールもない取締りは混乱の元になります。一部には新興国への投資資金の引き上げと
いう側面もありますから、規制をかけると資金が流動しなくなり、その国の経済には
更に深刻な打撃となるでしょう。為替に関しては誰もが共有するバイアスを生じた
時点で規制をかける以外手がなく、そのバイアスが不用意なドル高誘導だったので
しょうね。なので、この流れを転換させる必要がありますが、資源、ユーロなどドル
高を好感する向きもありますから、難しい局面にはあると思いますね

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