雑感。日本人3名がノーベル賞を受賞経済対策は打ち出せないのか?

2008年10月08日

経済の話。6中銀による協調利下げの発表

ノーベル化学賞に下村脩氏が選ばれました。クラゲから取り出した緑色蛍光たんぱく質(GFP)の発見による受賞であり、今でも医療や生化学の分野で応用が盛んに行われています。どうやら今年は、後世に貢献する研究に対しての評価が高いようですね。応用は得意でも発見は下手、と言われ続けた日本人がパイオニアとしての研究で評価されるのは、嬉しい限りですね。

世界同時株安の波が続いています。この水準に来て日経平均が1000円近い下落、というのは正直驚きました。ヘッジファンドの解約が相次ぎ、解散売りも出たのでしょうし、昨日10000円台で買い支えたポジションが開始当初から崩れた、という部分も大きかったようです。すでに水準を語れるような状況ではありませんが、そんな中で欧米から新たな材料が出てきました。
英政府が250億£(4.4兆円)による公的資金を大手8行に注入(この内HSBCのみ注入を拒否)、追加で250億£も準備し、銀行間取引の際2500億£を保証として用意するとの発表です。またFRB、ECB、英、カナダ、スウェーデン、スイスの6中銀による、0.5%の協調利下げの発表です。

英政府の対応は増資としては充分ですが、銀行経営を安定させるには不十分です。銀行間取引に保証がつけば、一定程度の取引は回復するでしょうが、国の信頼度次第という面もあるでしょう。アイスランドが非常事態宣言を出しているように、金融主導の国家経営に転じた国ほど痛みが大きく、危機的状態にあることは間違いありません。国家規模を超えて金融機関が肥大化した今、公的関与が最終アンカーとして下支えできるかどうかは、非常に不透明です。
協調利下げの方は現状の効果は限定的、長期的には効いてくるでしょうが、金利の政策誘導が効き難い今は負の効果にも注視する必要があります。特に今回の株価下落で企業破綻が増えれば、CDSを抱えた保険会社や保険をかけずにCPを抱えた金融機関の破綻が相次ぎます。
英政府のように銀行間取引に保証をつけるような形でない限り、短期的には高止まりしたVIX指数やLIBORなど、銀行間取引が復活することはありえません。といって、各国の事情の違いで保証などつけられるはずもなく、この辺りは金融機関が破綻しない、というお墨付きを政府が与えられるようにならないと、銀行間取引が緩和することはないのでしょう。

今年何度か相場予測を出していますが、当たったものと当たらないものがあります。今回春先と夏頃に示唆した下限10000円を割るには、相当抵抗もあると見ていましたが、その水準をあっさりと割ってきました。先物やオプションが調整機能を果たせなくなった、と以前述べましたが、こうした動きも大幅な下落を招いた結果でもあるのでしょう。売りと買いのバランスが崩れている今の相場は、投げが投げを呼び易い環境ともいえます。
世界恐慌を意識し始めた、とも見られる今回の動き。負の連鎖が続くようだと、反転のきっかけを掴めないまま、ズルズルと下方に引きずられることになります。米国はずっと対応を間違えてきましたが、世界が新たな枠組みで動けるようにならないと、今回の混乱を収める術は見出し難いのかもしれませんね。

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analyst_zaiya777 at 23:13│Comments(2)TrackBack(0)経済 | 

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この記事へのコメント

1. Posted by サムライ   2008年10月09日 06:52
4 言われるように、協調利下げも発表直後は効果あったようですが、結局はズルズルでしたね。

国によっては取引市場のクローズなんかもしていますが、長期的にみると 今買うと逃げれないかも、、、という思いが市場参加者を減らしてますますの下げになっていくだけなのかもしれませんね。

それにしても日経の1万割れどころか9000も割れそうな状況まで一気にいくとは、、、流れって怖いですね。

日本も火曜日あたりから信用の買いもきているのでしょうが、ここらが投げ出すと益々下への勢いがでてきたりするのでしょうか。。
2. Posted by 管理人   2008年10月09日 23:19
サムライ さん、コメント有り難うございます。

協調利下げは各国固有の事情に基づいてバラバラの利下げ幅で、かつそれだけではなく
何らかの付加的価値をもって発表しなければいけなかったのでしょうね。後手を踏んだ
部分も有り、規模も明確、効果は推計できますし、またLIBORの高止まりも解消されま
せんでしたから、相場も嫌気してしまいましたね。

日経平均の水準は、経済混乱が長引くと意識されればもう少し下へ向かうことにはなる
のでしょう。今は外国人投資家の売りのボリュームが高いので、当然信用買いも一緒に
なって売ってくるようなら下方圧力が強まりますが、この外国人投資家の動きがより
重要でしょうね。SQもロールは済んだようですが、高いポジションでは相当に痛みも
出たようです。05年から外国人が買い上げた水準を抜いてきたので、更にポジション
整理が続かなければ良いのですけれどね。

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