雑感、最近の覚せい剤犯罪について中国経済指標に対する不安

2009年08月10日

自民、民主の経済政策について考える

21世紀臨調が自・民のマニフェスト検証大会を開きました。焦点を絞って私も分析したいと思いますが、まずは経済分野です。一部で自民党に成長戦略がある、という言い方もありますが、それは間違いです。今後数年は財政出動を行い、10年度後半に2%成長、3年間に40〜60兆円の需要創出、と謳うのみで具体案は少なく、これは成長目標を掲げたというに過ぎません。
気になるのが、自民マニフェスト内に散見される官僚主導と見られる文言です。『真に必要なインフラの整備』など、必要でないインフラに予算がつくはずもなく、何をもって『真に必要』と判断するのか?全く見えません。細かい部分を除き、全体像を示すのであれば、外需依存を継続するのか、内需充実なのか、は最低限マニフェスト内で示すべき事柄でもあるのでしょう。

普通の国家であれば、2%成長など目標にもならない低い数値です。高齢化とはいえ人口が増加傾向にあれば、全体の所得のパイが増加して消費が拡大するからです。しかし日本は賃金を抑制し、増える就労人口を低賃金で使える非正規、外国人に置き換えたことにより、国内で資金が循環する社会が作り出せなかったのです。非正規は最低水準以下の低賃金も多く、また外国人労働者は仕送りを行い、国内での浪費は多くない。その結果、成長寄与度の高い分野は外需となり、それをマイナスの内需、公共投資が下押しして2%にも満たない低成長に喘いできたのです。
戦略であれば、この構造にどうメスを入れるか?に言及せねばなりません。一方で自民は企業、民主は個人と指摘されるように、民主は個人に手厚い施策が目立ちます。子供手当て、最低賃金の引き上げなど、個人に資金が行き渡れば確実に消費には影響してきます。一部は貯蓄に回るので、確実ではありませんが、民主は内需主導の経済成長を描いていることが読み取れます。

しかし民主の経済戦略は好悪両材料があり、悪い材料は一時的にマクロを下押しすることです。減る公共工事、大企業の収益も悪化するので設備投資計画も減少します。中小企業支援や個人への還付で収益の移転は促進できても、内需がその他の落ち込み分をカバーできなければマイナス成長に陥るでしょう。ただし、金融政策は現在のような、超緩和的状態を続けても経済成長しないという矛盾から、脱却できる可能性は高くなります。つまり国内がメインの経済成長に至れば、金融政策の機動性が経済に直結し易くなる、というメリットが想定できるのです。
両党ともバラマキという指摘も出来ますが、ばら撒けばその分内需には寄与します。問題はバラマキのための財源と、その後の経済運営です。財源議論は後に回しますが、経済運営面で自民の政策には目新しいものがなく、効果は従来型の低成長時代のものが予測できます。

つまり日本では本来成長産業であったはずの医療、介護の分野を点数制にして、成長を阻害したのは従来型の社会、外需依存の企業収益を確保したい、という財界・政界の一致した思惑があり、そこに未だに依拠した部分が自民マニフェストに見え隠れするのです。民主マニフェストによれば、最低限その部分は脱却できますが、後は経済の下押し圧力にどう目配せできるか?なのでしょう。評価としては、効果が限定的の自民と、効果が読み切れない民主、変化の期待という点を加味すると、民主がやや勝る部分でもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27│Comments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

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この記事へのコメント

1. Posted by おるおる君   2009年08月10日 23:37
民主党の子育て支援が各家庭にバラまかれたら、遊興費に使われるという懸念がありますが、どうでしょうか?まぁ遊興費も内需かも知れませんが…

それに非核三原則を法制化する意向だとか?
民主党は北朝鮮の核を脅威と感じでいないのでしょうかね?
2. Posted by 管理人   2009年08月11日 00:26
おるおる君 さん、コメント有り難うございます。

子育て世帯の大多数が恩恵を被るのであれば、一部の不心得者によって政策を
止めるべきではありませんが、祖父母に任せて自分は遊び回る親がいることも
現実であり、これは虐待と同様、監視を強めていくべきなのでしょうね。
受け取り難い制度ではいけませんが、児童相談所との連携を強め、支給を決める
などは必要なのかもしれませんね。

非核三原則の法制化は、社民党への配慮と思われますが、撃つ能力と実際に保有
するかは別の判断も可能です。例えば常時日本に核搭載艦がなくても、日本が
米国の傘の下にいないわけではなく、反撃能力が失われるわけではありません。
ただ法制化すると、米軍には厄介な問題が生じ、それが日米関係の懸念とはなる
でしょうね。日本が米艦艇を立入り検査できるわけではなく、法の意志と現実の
米軍の主張との乖離が大きくなるため、これは悪材料でしかないのでしょうね。
3. Posted by Sean.   2009年08月11日 15:13
自民への不満、民主への不安(PHP研)−言い得て妙

民主党には大局的国家経営観がない.
子供手当・出産支援、最低保障年金等は、所得再配分政策です.岡田幹事長は「子ども手当などで個人所得を増やし内需主導型経済を実現する」と言いますが、大項目で経済政策を取り上げるべきです.
中国の安価大量の労働力が市場に投入され、日本の製造業や労働者が打撃を受けています。製造業は海外進出なり強みのある分野への集中等で転換中ですが、労働者は対応できていません.労働者にとって産業空洞化に伴う雇用不安も問題です.長期の生活設計が出来ない以上、諸手当で大きく消費拡大するとは思えません.中位所得者は貯蓄を増やすでしょう.経済的に不幸になるかもしれない子供を産む気持ちは薄れるでしょうね.所得再配分政策だけで成長戦略が描けるとは到底思えません.

民主党に、マクロ経済運営についてリーダシップをとれる人がいるのか不安に思います.
4. Posted by 管理人   2009年08月11日 23:55
Sean. さん、コメント有り難うございます。

不満と不安の尺度で言うと、不安の背景には変化への期待も含まれる、として
民主へ軍配を上げました。ただ確かに不安もありますね。
例えば私はこう考えます。米国では共和・民主が政権交代しますが、その功罪の
一つは大企業、高額所得者優遇で高い経済成長を目指す共和、中小企業、個人に
手厚い民主、この循環が経済を安定させることです。無理な高成長により痛んだ
経済を、民主が基底層を安定させることで支える。つまり民主政権は予備的段階で
あり、次の成長を促す契機として捉える点が、政権交代の必要性としても意識され
ます。無理やり高成長を続けようとしても弊害が目立ち、空洞化は訪れます。
日本は特に自民の高成長路線で財政出動を続け、矛盾を抱えたまま次のステップに
いけません。今が準備期間とすれば、不安はあっても基底層を支える段階を作る
ことが長期の日本の成長に資するものだと。
当然貯蓄に回る分もありますが、国の格付けでは貯蓄率の高さが有利な面もあり
ます。文中でも民主党では低成長、という書き方をしていますが、右肩上がりを
やめ、休憩しつつ次に備えることが必要な時もあるのでしょうね。
5. Posted by Sean.   2009年08月12日 00:45
管理人さんのお考えも一つの見識だと思います。そのようなことを民主党が認識し、マニフェストに記載し、国民に訴えているのなら、不安は感じないでしょうね。マクロ経済運営について何も触れていないのが小生の不安の原因です。民主党にそのような国家運営の観点を持った人がいないのか、それともまとめきれないのか、何故あのようなマニフェストになったのかよく分かりません。

自民党は、特にポスト小泉の3内閣が長期低落経済を立て直すことをサボったので、今更成長戦略と言っても信用できないのですが、問題意識があるだけ、まだましだと思います。

このマニフェストでは、PHP総研が言うように「苦渋の選択」です。
6. Posted by 管理人   2009年08月12日 23:53
Sean. さん、コメント有り難うございます。

こういう見方も可能だと思います。自民は政権与党として財務、経産、金融など
各省庁と内容を詰めることも可能です。それに委員会や諮問会議などを積極的に
立ち上げ、経済に対する見方が多極的になります。一方で民主は経済の専門家に
意見を求めているとはいえ、それほど多くの見方が盛り込めていない。こうした
政権政党に有利な部分が、特に経済分野では顕著に現れるのでしょうね。日本は
政治家になるような経済学者、金融出身者は少なく、このため竹中氏のように
数字を駆使して理路整然と経済を語る、稀少な存在の主張に、得失もよく考えず
一斉に靡いてしまった部分もあるのでしょうね。政治家に限らず、日本は経済分野
の教育が遅れており、そうしたものもマニフェストや、政策に現れてきているの
かもしれませんね。

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