G20とモラトリアム法案雑感、モラトリアム法案について

2009年09月26日

G20が閉幕。日本に対して何が?

国連からG20、鳩山首相の外交デビューは成功に終わりそうです。就任したて、戦後日本で初の政権交代を達成し、議会も大多数を占める勢いのある国家元首に、各国も一先ず笑顔で近付いた、というところです。詳細な国家間交渉は、国連ではなく別の場で、というのがほぼ慣例ですので、今後諸問題の詳細に移ったとき、各国の態度がどう変化するかが注目されます。

そのG20、米国がホスト国で注目が集まりましたが、不均衡是正という米国の主張が盛り込まれ、日本にも内需主導の経済成長を求めてきました。これは重要な問題を含んでおり、非常に難しい対応を迫られます。罰則や義務はありませんが、各国が評価、監視することで、新たな外交圧力カードを各国に対して与えた形ともなるからです。
日本は世界でも最悪の少子高齢化社会です。しかも生活必需品は行き渡り、買換え需要しか掘り起こせない、新規需要が成立し難い環境です。更に給与水準は下がり、購買力は益々低下する状況であり、当然内需により経済成長に移行するのは数年、数十年先のことになります。

つまりその間、内需主導型経済かどうかを常に世界各国から監視され、達成度が低ければ圧力がかかる。この不均衡是正には、日本の産業構造の大転換が含まれる、ということになるのです。この記事の扱いが各メディアで低いのは残念ですが、政治家や政党が目標として掲げたことではなく、G20により世界の同意事項として、日本の転換を促す内容が合意されたということなのです。
これは円高容認とも見られる、藤井財務相発言とも整合します。輸出ではなく輸入、現在の輸出依存型の産業界ではなく、個人に直接給付をして需要喚起する、これが民主党のマクロ経済政策、ということなのでしょう。これは長期的な視野では間違いありませんが、短期では大きなリスクを孕みます。先にも触れたように、日本が内需主導型になるための社会構造、産業構造には、未だ転換していないためです。

各国の評価、監視。この影響はすぐには出てきません。よって気づき難いかもしれませんが、いずれ外交カードとなり、ことある毎に市場開放の圧力となる可能性もあります。一つはFTA交渉の推進という形で、一つは輸入数量の拡大という形で。ただ日本製品が優秀、という認識のある日本人が、たとえ輸入数量が増えたとして外国製品を買うかどうかも分かりません。
今回のG20における不均衡の是正、昨日の米国でも述べたように、仮に日本の貿易黒字が減少すれば経済成長における借金返済、という形に日本が移行せねばなりません。民主党政権における国の形は、これだけを見てもこれまでとは全く異なることは確実であり、それをこのG20でも内外に示した、ということになってしまうのでしょうね。

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analyst_zaiya777 at 23:35│Comments(0)TrackBack(0)政治 | 経済

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