衆院予算委について雑感、児童虐待に対する国の姿勢

2010年08月04日

円高と、長期金利の1%割れ

円高が止まりません。売買の観点から見ると、夏休み前に投機筋の円買いが止み、手仕舞い売りで7月は少し戻しましたが、FXのレバレッジ規制が導入。日本の個人投資家は円売りが多かったものの、取引量が激減。そのためもう一段の円買いが出て、85円台に突入した形となっています。
投機筋が円買いを入れる理由、そこにあるのが米経済の失速です。デフレ経済では、設備投資も製造ラインを作って雇用を増やす方向ではなく、固定費を削減し、安価な商品を提供するように動きます。工場の海外移転や外国企業の買収など、企業は豊富なキャッシュをそうした方面で用い、国内経済に還流しない。これがジャパナイゼーションとされる日本型デフレです。米国は現在、間違いなくこの方向に進んでおり、更なる流動性供給策が囁かれることも、ドル売りに傾き易くさせています。ただ実際、金融緩和にしろ効果は限定的となる公算が高まっています。

欧米、新興国まで陥る流動性供給策。日銀が乗り遅れたため円の価値は上昇、更にそうした日銀の態度から、益々円買いを入れ易い傾向も指摘できます。ただボリュームが拡大しているため、これが80円を切るまで、買い進まれるということは、現状想定できません。ただ利益確定を出しながら、一段の上昇を目指す手口はヘッジファンドの常套であり、欧米で新たな材料が出ないとも限らない中、注意が必要であることは言うまでもありません。
一方で、過剰流動性の負の側面は、日本の長期国債1%割れにも見られます。自己資本比率の見直しにより、安全資産を逃避先として、資金が流入しています。つまりリスク資産を保有する際、自己資本比率を保つため、国債を組み入れて賄っている構図です。金融機関にとってこうした取引はコスト増、しかしそれを可能とさせるもの。それが過剰流動性で、大量に溢れた現金なのです。

しかもドル安を見ての資源高。これは基軸通貨が揺らぐことにより起こります。米株市場もドル連動性を強めており、ドル安で上昇という形を指向し易くさせる。昨今は個別の材料で動く為替と、それに連動する市場という眼で透かして見れば、多くの動きが説明できてしまいます。現状の日本の株式市場が弱めに見えても、円ではなくドル、ユーロなら強い市場との見方ができるのです。
為替で仕掛けて、市場を動かす試みも出ているようです。当然、市場は連動するものですが、為替依存度が強すぎる、これも実体経済の弱さから来るものです。それでいて資金は溢れている。今は最も危険が高い時期とも云えます。ここでリスクをとった運用をし、失敗すれば金融機関の経営基盤を危うくさせる。そうした原因もまた、国債買い入れが増加する理由となっています。

各国の国債も、歴史的な低水準にあり、すでに貸出しには回り難くなっています。経済が低成長で、倒産リスクがあり、低金利での貸付となる企業へは、資金が流れないことが経済全体のパイをさらに縮めます。こうした様々な要因の中、経済がダウンサイドリスクに晒される。この構造にメスを入れる手法を新たに構築する必要性が、経済政策には求められるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29│Comments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

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この記事へのコメント

1. Posted by おるおる君   2010年08月04日 23:55
日本型のデフレ経済不況は…

これまでの経済理論では、考えられない新しいモデルなのでしょうか?


アメリカ政府もドル安容認なのでしょうか?

こんな円高では…輸出企業の決算にも影響が出るでしょうね?
2. Posted by 管理人   2010年08月05日 00:45
おるおる君 さん、コメント有り難うございます。

経済の教科書通りにいけば、流動性供給策により通貨安と同時に、企業の資金繰りが改善し、
それが経済成長を促すとします。ただ現状起きていることは、実体経済改善に寄与する貸し
出しではなく、金融商品への投資。また資金繰りが改善した大手企業も、雇用には慎重になる
など、単なる流動性供給では改善できない問題が起きています。しかも各国が同時にそうした
施策に舵を切り、実体経済の改善はないという現状が、既存の経済理論とは切り離して今回の
動きを捉えるべきと示している。米国が本格的にジャパナイゼーションに陥れば、そうした
方面の研究も進むかもしれませんね。
米政府はドル安指向です。オバマ政権の輸出倍増計画の中には、当然ドル安が含まれています
からね。企業も為替感応度が低い、つまり現地生産を増やした企業もありますが、そうした
企業は逆に、国内寄与度が高くない企業、という意味で株価とは別の評価であまり好感され
ないかもしれませんね。円高方向で張り付けば、当然企業決算に影響も出てきますが、為替
予約などの手法を用いるか、通貨を固定にする契約で売買するなど、企業の手腕が試されて
いるとも云えます。勝ち組、負け組が業種別の株価にも現れ始めていますが、そんな色分け
が更に企業を苦しめることも、今から想定しておくべきでしょうね。

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