長野県知事選と世論調査米国FOMCによる追加緩和策について

2010年08月10日

日韓併合100年に対する首相談話

人事院が国家公務員一般職の給与を月平均0.19%、期末・勤勉手当(ボーナス)を0.2ヶ月分引き下げる勧告を出しました。昨今の公務員批判を踏まえ、また各政党が打ち出す公務員人件費2割減、こうしたものに配慮し、小手先の調整でお茶を濁した形です。しかし本給以外の手当てや、福利厚生面で民間レベルと乖離した多大な優遇があり、特にリーマンショック以降、大きく減少した民間企業の給与水準との格差は、まだまだ大きな開きがあります。
消費税増税のように、法律を通さなければ出来ないものと異なり、人事院勧告を無視すれば公務員給与は変更が可能です。これまではそれをして来なかったのであり、強制力を伴わない勧告が、最終決定として採用されてきました。財務省発表の「国の借金」は、6月末時点で904兆円と3月末時点から21兆円の増加です。国債発行は13兆円増の734兆円、この借金を返すために、何から始めねばいけないかは自ずと知れるはずです。後は政治主導で踏み込めるかどうか?だけです。

日韓併合百年という節目に、首相談話が出ました。「痛切な反省と心からのお詫び」を盛り込み、村山談話の踏襲という形です。「これからの百年を見据えた未来志向」という文言の後に、人道的協力と朝鮮王朝儀軌を「渡す」とする内容に、戦後賠償の話が蒸し返される、という指摘もありますが、恐らくその動きはこの首相談話とは絡まないでしょう。ただ問題は、何のために「渡す」のかが、単なる親近感の演出というのでは、外交的には落第です。
北朝鮮への圧力、という側面は確かにありますが、現状の朝鮮半島は緊張が高まっています。今この時、日本から韓国に近づく必要は皆無であり、むしろ朝鮮半島で戦端を開いた場合、日本が傍観すると、立場を危うくする可能性を高くします。米韓連合で戦闘は行うとしても、日本にも後方支援。物資調達の依頼は親近感が増せば増すほど、強く出されることになるでしょう。

輜重輸卒が兵隊ならば、蜻蛉、蝶々も鳥のうち。これは昔の言葉ですが、自衛隊が輜重輸卒となれば、北朝鮮から狙い撃たれる可能性が出てくる。今この段階で、日本から韓国に親密さを求めることは、否応なく朝鮮戦争を意識せざるを得ないのです。仮に「渡す」としても見返りを得る必要があり、例えば日韓のFTA締結の際、為替操作をしている韓国ウォンとは、実効為替レートを基準にして取引するなど、幾つも引き出しは開けられるはずだったのです。
仲良くなってから交渉する、これまでも日本の外務省が描いてきて、失敗してきた外交上の構図です。時の政権が変われば、国の態度が変わっても文句が云えない。国際的な常識であり、李明博政権の長期化を見据えたとしても、ここで単なる仲良し外交で終わるなら、また大きなものを1つ失う結果となるのでしょう。それが譬え、戦時の混乱で得た品物でも、それを返す段で何らかの合意を得る材料にすることは、外交上往々にして存在することなのですから…。
しかも北朝鮮は勢いづくでしょう。むしろ今年も深刻な打撃を受けた農業、食料事情による国内の不満を、日本に振り向けてくるでしょう。戦後賠償は国際関係上、ほぼ相手に請求する権利はありません。ただ日韓は基本条約が結ばれていますが、北朝鮮と日本に、外交上の取り決めはない。北朝鮮が戦後賠償を訴えるのは、理由ないことではないのです。韓国と同じレベルを迫られた際、拉致被害者の問題も含めて折り合えるのか?日本の戦略上、重要な課題を突きつけられるのでしょうね。

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analyst_zaiya777 at 23:26│Comments(4)TrackBack(0)政治 | 一般

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この記事へのコメント

1. Posted by おるおる君   2010年08月10日 23:47
日韓併合は韓国国民の意に反して行われたのでしょうか?賛成派は本当にいなかったのでしょうか?
次の100年も謝罪は続くのでしょうか? なぜ日本国民の全てが菅談話と同じ意見でなければならないのでしょうか?
菅首相は日本の国益を考えず、韓国の国益を考えたように見えます!
本当にどっちを向いて政治をしているのでしょうか!

さて次は韓国が、日本国民の期待に応えて竹島をお渡しする番ですよね!
2. Posted by 管理人   2010年08月11日 00:51
おるおる君 さん、コメント有り難うございます。

当時の困窮や、アジア諸国が欧米列強に呑まれた歴史を踏まえれば、韓国側にも賛成派が
いたことは確かですね。ただ日韓併合は日露開戦の歴史と重なり、軍事的制圧をどちらが
為すか、即ちロシア側に朝鮮半島を押さえられては不味い、との理由で早急に推し進めた
面があります。顧問政治、保護国化、次官政治と、3年の間に瞬く間に進められ、その間
義兵闘争も起きるなど、複雑な経緯も存在します。ただ当然併合したのですから、搾取の
面があっても、インフラ整備などは日本が責任をもって実施した部分もあります。つまり
植民地ではない、という概念が欠落すると戦後賠償などの話になるのでしょうね。
首相談話は日本国民の総意、と捉える必要はなく、これは公式に現政権の方向性を示した
だけのことです。ただ日本外交は、立場や態度の変更には消極的であり、これも外務省の
サボタージュと見ることも可能ですね。
韓国の国益、というより韓国民に阿りたい、良い顔したいという仙谷氏の意向が強く反映
された形ですね。国益がぶつかる場で、手を繋げる関係がいつまで続くか?日韓基本条約
では竹島を先送りしており、また反日教育を続けてきた国と、そういう見直しさえない
中で「お渡し」し、さも当然と言わんばかりの態度をとられれば、国の威信に関わる問題
になります。今後、両国の関係と結ばれる諸条件などを含めて、きっちりチェックをして、
今回の決着をどうつけるかを見ていかなければいけないのでしょうね。
3. Posted by ジーン   2010年08月11日 22:09
向こうが返して欲しいと言ってるのをすんなり返してしまうのはもったいない気がします。
返してほしければ竹島を返せと言ってみるのも外交のテクニックだと思うんですが…

ちょっと卑怯ですかね?
4. Posted by 管理人   2010年08月11日 23:35
ジーン さん、コメント有り難うございます。

仮に竹島を持ち出しても、卑怯とは思いませんが、問題の質が少し異なるために交渉材料と
しては向かないでしょうね。理不尽な要求、態度など外交上は至るところで行われており、
返せ!と云われても最善のタイミングを計り、合意に至れば戦術面では合格です。
ただ今回はこれに繋がる日韓の協約等で、日本が有利な展開を得られるかどうかは、微妙と
考えています。何より、韓国の態度は4千点返せとしており、日本の回答は宮内庁保管の千点
にも満たないのですから。北朝鮮が韓国に全て返されては困る、朝鮮半島は元々一国であり、
韓国のみが正当継承権を持つものではない、と抗議してくる。そこで交渉再開の糸口とする、
という戦術がないことはありませんが、菅政権、外務省にそこまで腰の座った外交ができる
人材は、残念ながら皆無です。外交テクニックは難しいですが、日本のメディアのように、
すぐ中国が…、北朝鮮が…、など何を代弁しているのか分からない指摘をし、日本の利益の
最大化を議論できない国では、尚一層戦術面での難しさは残るのでしょうね。

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