米国FOMCによる追加緩和策について雑感。企業の話題について、など

2010年08月12日

円高に関する動き

進む円高に対し、菅首相が調整との話が昼過ぎに伝わり、急激な動きは緩和されました。ただ口先介入が利くのは数回程度、口だけ介入と見縊られれば売り叩きの材料を与えます。といって、為替介入には高いハードルがあります。中国を為替操作国認定するかどうか?と揺れる米国や、欧州も主要国であるドイツが輸出で潤うように、ユーロ安容認姿勢です。日本が介入などすれば、中国への圧力を高めるために、真っ先に制裁措置が課される可能性があります。内需が弱い日本は、欧米から見て魅力的でなく叩き易い、ということは意識しておく必要があるのでしょう。

しかも今回、FOMCによるドルよりユーロの動きの方が急です。113円後半から109円に、一気に4円も動きました。欧州不安の背景には、アイルランド銀行への100億ユーロの追加支援。ECBのドル資金供給を2つの銀行が受け、自力でドルを調達できない金融機関への不安、という面も重なっています。むしろこちらの方がユーロ安を招いた、との見方が正しいのでしょう。ストレステスト後の楽観が、再び悲観に巻き戻された形です。銀行間調達金利など今後上昇が懸念され、それが欧州全体の景気動向に不安を与え、ユーロ安を招くという構図はしばらく改善の見込みもありません。
米国では複数の金融機関が、4-6月期に自己売買による損失が10日以上に達した、と明らかにしています。市場が右肩上がりでなければ、トレーディングで常に利益を上げるのは、難しい環境です。米国はここ数年、金融で拡大し、個人消費を増やす好循環を保ってきましたが、それが崩れると更に消費が減速し、厳しい状態に置かれることになるのでしょう。

政府・日銀は好調な見通しを示す日本でも不安材料が出ています。現在、ハイテク関連が活況を呈してきました。テレビ買替え需要や、パソコンやモバイル端末に新製品が投入され、買い需要が出ていたからです。しかしここに一巡感が出ており、見通しが悪化しています。先に鉄鋼が減産という話題が伝わり、景気鈍化が意識されましたが、ハイテク関連まで崩れると、産業界には大きな痛手です。ITバブル崩壊時の水準を意識しつつ、金融不安がない現在の方が多少は良い環境ですが、国内製造業にとっては、円高と低消費社会の進行はダブルパンチになるかもしれません。
日本でも量的緩和、という話題は対応策として常に上がるところです。しかしほぼ無意味でしょう。確かにマネタリーベースの伸びは、欧米に比べて群を抜いて低いのが日本ですが、金融機関、企業に滞留し始めた資金は、すでに行き場を失い流浪する状況です。バブル懸念がある市場に投資したり、無駄な設備投資を行えば、過剰投資に陥り、景気低迷を長引かせるのみです。

上記の内容を踏まえ、打つべき対策を検討中ですが、長くなるので機会を改めます。ただ現在は場当たり的な対応では意味を為さない水準まで、景気不安は進んでしまっている、と云えます。楽観に傾いていた欧米。まさか最悪の事態に陥っても、神の救済を期待していたわけではないでしょうが、気付いてみれば箱舟に乗れる人間はごく僅か。アイルランドもギリシャもスペインも、ジャブジャブの資金の中で溺れ掛けています。流動性供給策とは、箱舟に乗れない人、享楽の宴に浸った人を押し流してしまう愚策である、ということは今回更にハッキリしてくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:38│Comments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

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この記事へのコメント

1. Posted by おるおる君   2010年08月13日 00:14
日本の為替介入につきましては、ドル ユ―ロ対策というよりも、元 ウォン 対策と説明すれば欧米も納得するという意見がありましたがどうでしょうか?
日銀はこういう時にも動かないのでしようか?

今回の円高は日銀の責任を問う意見もありますが…どうでしょうか?

まぁ…見送りの三振で良いなら誰でもできます!

たしか…民主党のごり押しの白川さんでしたよね?

イイとこ見せて欲しいですね!
2. Posted by 管理人   2010年08月13日 00:54
おるおる君 さん、コメント有り難うございます。

人民元にしろ、韓国ウォンにしろ、取引が少ないですし、最大は何のために?という理由が
つけられないので、欧米は無視するかもしれませんが、アジアの関係は悪くなるでしょうね。
中国のように通貨バスケット制なら、複数の通貨を束ねるので、取引量の少ない通貨でも
対策をとる意味があるかもしれませんが、恐らくそんなことをすれば、金融政策全般に対し
懐疑的な見方が広がり、日本の信用はがた落ちするでしょうね。
日銀の責任は、マネタリーベースの拡大幅が低いことが挙げられます。通貨供給をすれば、
当然自国通貨の価値が下げられます。景気対策とともに、欧米はマネタリーベースを拡大、
欧州では若干引き締め方向に入り始めていますが、米国は今回更に維持する方向にしてい
ます。日銀はこうした動きの常に逆をとったため、円高を促し易かったのですね。
確かに、量的緩和にしろ経済効果は低いと指摘できます。持続不可能性、変動リスクの高い
相場形成を促す、などの批判もあり、欧米がとった対策に背を向けることも、一面では理解
できる部分はあります。ただそうした具体的な説明もなく、独自路線を貫いたことで政府と
の間で綱引きが始まった。景気の現状認識は良い、とする説明で対策を見送ってきたこと、
それが現状を招いています。更に国際舞台で、日本の経験を生かす好機は幾らでもあった
のに、その機会を放置して過剰流動性相場の形成を赦してきた。情報発信力、という点での
日銀は、明らかに落第でもあるのでしょうね。

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