雑感。企業の話題について、など日本の4-6月期GDPと経済政策

2010年08月15日

戦後と日韓関係

終戦の日、菅政権の閣僚は政務三役に至るまで靖国神社参拝を自粛しました。アジア迎合主義、信教の自由など、否定的な意見も見られますが、本質は政教分離の原則に神道参拝が合憲か?ということです。プロテスタントが作った米国のように、何事も新約聖書に手を置いて宣誓する国と違い、日本は政治と宗教は厳密に区別され、関わりを持たないよう憲法が規定しています。
これは靖国のみならず、伊勢神宮も同様であり、創価学会も同じです。政治家が特定の宗教団体と関わりをもつこと、それが違憲と判断されます。これまでは私人、公人と使い分けてきましたが、それが可能ならば、プライベートな問題に関する全ての報道は規制できます。これは原理原則論に反するからこそ、従来から問題視され、それをアジアに利用されてきたのです。寡聞にして靖国参拝肯定派が、憲法改正して政教分離を外せ、と主張するのを聞いたことがありませんが、この条項を自らの主張に沿う場合のみ外す、という都合よいことは出来ません。靖国を公益法人化しても良いのですし、憲法との不整合を縮める努力は最低限必要なことなのです。

菅談話で、韓国側で誤訳があったようです。お詫び→謝罪、渡す→返還する、と駐日韓国大使館で誤訳したまま本国に送信、韓国政府がそれを日本から渡されたもの、と発表したとのこと。いずれも1段階上の表現であり、都合よい解釈とされ、また責任転嫁する姿勢も問題視されています。
韓国では、光復節で李大統領が「謝罪した」と述べたようですが、お詫びは悪いと認めていなくてもでき、謝罪は字面通りに罪を謝る、ということです。日本が用いる「お詫び」という言葉に謝罪は含まれず、「反省」という内的要因に含まれる。この辺りの微妙な表現が、戦後賠償を認めないという日本の態度としてあり、対外的に罪を認めたわけではないことを、正しく表現し切れない部分でもあります。むしろ、こうした玉虫色の決着を図る日本と、自分たちに都合よい解釈を「誤訳」という形で国民に喧伝する韓国、という構図をこの談話でも鮮明にするのでしょう。

李大統領は「歴史を忘れず…」とも述べますが、歴史認識は両国で異なり、忘れないことに大した意味はないのです。中国や韓国とは、歴史認識を同じにする活動も始まっていますが、政治利用が鮮明になる中、歴史の前に互いに結んだ条約、共同文書に至るまで正しく理解し、双方ができる範囲を確認した上でないと進まないのでしょう。未来志向と言っても、その前段階さえ双方に誤解があるのですから、どちらかが妥協する以外にこの問題が解決する方法はありません。
菅談話を条約化し、朝鮮王朝儀軌などの返還に応じるとしていますが、その前に国会審議を経なければならず、菅政権ではこれがまず第一関門です。何のために?という説明がつかない中、与党内をまとめ切れるかさえ分かりません。更に、仙谷官房長官肝煎りで差し入れられた人道支援の強化も、何をどうする?と具体的になれば、反対派が増えるでしょう。菅政権は例え9月を乗り越えられても、党内基盤は脆弱のままと予想されており、党内配慮のない政権運営は考えられません。
今後も大戦が起きず、いつまでが戦後なのか?は人により様々な、認識上の問題だけのことです。過去を引きずったまま未来を考える、など到底不可能です。そんな中で共通認識を正しくする努力は、百年というスパンではなく、まず直近の戦後から始めなければならないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24│Comments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

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この記事へのコメント

1. Posted by おるおる君   2010年08月15日 23:52
いつのまにか…首相が靖国参拝しないのが当たり前のようになりました!
政教分離が理由ではなく、中韓への配慮ですよね?
日本のマスコミも伊勢神宮参拝は無視ですよね…
小泉さんの靖国参拝に対する中韓政府の態度は異常であり、内政干渉は明らかです!
仮に政教分離に問題があるとしても、それは日本国内の問題です!何故なら靖国神社は東京にあるからです!

李大統領は…菅談話を評価しつつも また未来志向と言いつつも
次の百年も謝罪すべきと言っていたように私は受け取りました!
日本の首相が靖国参拝をしても…謝罪要求しないアメリカ!
日本も、言いたいことはありますが…アメリカに謝罪を求めません!
私はこれが…成熟した外交関係だと思います!

過去を忘れようとしない中韓は…
ハッキリ言って
後進国そのものですよ!
過去を忘れたくなければ…
日本と国際条約は結ぶべきではなかった! と思いますけどね…
2. Posted by 管理人   2010年08月16日 00:39
おるおる君 さん、コメント有り難うございます。

古い時代、靖国問題はむしろ政教分離が主眼だったのですね。それを中韓が殊更強く反応し、
今や日本叩きの口実にしています。以前は情報自体が報道されていなかった面はありますが、
靖国反対派による喧伝が、国際問題にまで発展させた例ですね。ただこれを内政干渉とする
と、政教分離とバッティングしてしまいます。政治家の靖国参拝が政治活動、と自ら認めて
しまうからですね。このため公人、私人の使い分けや信教の自由に逃げますが、国外の意見
など無視しても、最低限の憲法を遵守する姿勢を示せないと、国内向けに説明がつかないの
でしょうね。個人的には、公益法人、財団法人という形とするのが国内で問題視されなく
なり、対外的にも堂々と説明できるようになります。宗教法人でなければ格が下がる、優遇
措置が消える、などという意見で宗教法人格を得ようと考える時点で、靖国の意味を貶めて
いるだけなのですけどね。中韓の態度には、確かに必ずしも迎合する必要はなく、これは
国内問題として処理すれば良い話です。政治的に説明がつけば、内政干渉と主張することが
可能となり、つけ込まれる隙も与えません。国際関係でカードとなりうる、と考えるから
こそ、彼らが殊更拘るのだと理解できれば、法律を改正するか、より良い形で靖国を存続
させる道も見えるはずですが、形式に拘ったりする人間が話をややこしくしている、という
意味でこの問題は継続的に、諸外国に利用され易い形となってしまうのでしょうね。
3. Posted by ケーイー   2010年08月16日 14:58
この間、テレビで強制連行された韓国人の個人賠償についての番組をチラッと見たのですが、相手は日本政府。国際条約からしたら韓国政府に請求すべきなんですよね?
仙石官房長官の発言は見識不足で許せないが、これを奇貨としてハッキリ日本にではなく韓国に請求すべきだとマスコミも大々的に報道すべきですよね。
広島の原爆被害者がアメリカに賠償請求したのを聞いたことないし、日本政府もキチッと対応している。何故韓国、中国とりわけ韓国政府は賠償義務はコチラにあるとハッキリ言わないのか?
それもせずに靖国問題がどうのこうの言われても、右翼でない私でさえも腹が立ちます。
4. Posted by 管理人   2010年08月16日 23:46
ケーイー さん、コメント有り難うございます。

国際的な関係から、戦後補償は自国にすべきものです。日本は朝鮮半島を植民地化して
いましたので、若干変わりますが、日本と韓国の間には日韓基本条約があり、ここで戦後
補償は個人に至るまで全て解決済みです。最近、やっと日本のメディアも日韓基本条約が
存在し、個人補償の必要がないことを報道し始めました。韓国では当時が軍政下、と仙谷
官房長官が述べていますが、当時も国が戦後補償を国家経営にのみ用いることに反対して、
大きな運動が起きています。決して国民に周知されていないことはなく、また声を上げられ
なかった訳でもありません。韓国政府は現在に至るまで、個人補償を日本に求めることは
条約違反、と知りながらそれが国家への不満として高まることを恐れ、口を噤んでいるの
ですね。そんな国と外交関係で遜って親密さを演出する必要はなく、互いの国益をきちんと
図るよう、外交交渉するべきですね。靖国問題を国内問題として処理し、宗教団体と切り
離せば、首相が戦没者慰霊として堂々と参拝し、国外から批判されれば内政干渉である!
とハッキリ主張できるようになります。日本が政教分離を抱える限り、参拝自体が宗教
活動となるのは、どんな都合よい解釈をしても覆せません。胸を張って、正しいことを
海外に向けて発言、主張できる国が最も信頼される国になる、という意味ではこの問題
でも、まだ課題が多いということなのでしょうね。

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