民主党代表選に向けた動きが活発化雑感。東西冷戦とスパイ戦争

2010年08月20日

経済の話。日銀の対策について

今日の日経平均は大きく下落しました。背景には、今週中に日銀が緊急決定会合を開き、追加金融緩和策を発表するという某紙の記事で、高まった期待の剥落という面があります。昨年末と同じ構図、菅‐白川会談の前に対策を打つ、という思惑ですが、新型オペの拡充で金利を更に引き下げ、円高に対応するという期待で今週、株式、為替市場は下支えされた面があります。
しかし流動性供給策では、低すぎる金利をこれ以上低金利に誘導することは不可能です。更に日銀は今月10日に決定会合を開き、企業業績は堅調との見方を示しており、同時に円高警戒は示しているものの、楽観的見方を続けています。それを1ヶ月ともたずに覆すことになる。当時のドル/円相場は85円台、今と特段変化率が高い訳でもなく、対策を打つにも大義がない状態です。今回はむしろ、市場関係者が某紙の先走りを促し、日銀の対策を催促した。先物には怪しげな買いも走っており、こうした一部米系の動きに右往左往した一週間、ということが云えるのかもしれません。

すでに日銀は金利誘導の術を失っています。更に、米国が中間選挙を控えてドル安容認姿勢に傾く中、これを覆して円安に導くのは並大抵の規模では済みません。ここで日銀・財務省が対策に失敗すると、今後も政策期待が起きなくなり、円高期待が進み易い状況が醸成されてしまうことになるのです。そう簡単に対策の中身を詰められるほど、現在は単純な環境ではありません。
昨今、中国がポートフォリオの多角化から日本国債、韓国国債や、南欧などに手を広げ始めています。通貨バスケット制に戻し、一時的に人民元高に誘導したものの、昨今は再び元安に戻しています。元高になれば、外貨準備として蓄えた米国債の価値が目減りするため、比率を変える間は何としても元安に導こう、という強い意志の表れです。景気減速が見え、再び刺激策を打つ必要性に迫られており、その原資を稼ぐ意味でも、外国の短期国債を買い漁る構図は当分続きそうです。

そうなると、日銀の国債買取も有効な策ではない。これ以上バランスシートを膨らませることは、日銀の信用にも関わってくるため、よほど厳しい見通しを示さない限り難しいのです。八方塞、これが2番底懸念に陥る中で、もっとも恐れる政策空白区における景気減速となります。
株式市場は夏枯れ、ともされますが、売り方を規制したため収益性が低下、市場参加者が減ったことも問題です。更に昨日、保険会社に適用する新しい会計基準の草案、が公表されました。時価会計の全面導入により、日本の生保は保有株式の削減を迫られます。最近、公的買いともされる動きが見られますが、受給は将来に向けて確実に悪化することになり、政投銀が保有する株式も当分売却できなくなるのでしょう。株式、為替、いずれも多面的に支える必要がありますが、景気対策も打てない財政事情では、効果も限定的なものにならざるを得ないのでしょう。
これまで、世界経済は新興国に悪材料があっても、先進国が支える構図で落ち着きを得ていた部分があります。今後、新興国リスクが直接世界経済を揺さぶる。パキスタン洪水や、ロシア火災など、新興国で不測の事態が起きるたびに、景気が大きく変動し、その度対策をとらねばならなくなります。そんな世界が、今後も順調に拡大すると考えるのはただの夢想であり、日銀、政府も短期の下支えに終わらない、腰の据わった景気対策を、今こそ真剣に議論すべき時に来ているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26│Comments(4)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

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1. FXで税金を0円にする方法  [ FXで幸せな金持ちになる方法 ]   2010年08月23日 20:14
通常、FXで儲けたお金には税金が掛かります。もし、そのお金を0円にすることができたら・・・

この記事へのコメント

1. Posted by おるおる君   2010年08月20日 23:48
しかし…円安誘導をドル安を望むアメリカが許してくれるでしょうか?

日米関係は政権交代してから悪いですからね…

2. Posted by 管理人   2010年08月21日 00:09
おるおる君 さん、コメント有り難うございます。

米国は円安誘導に策を講じれば、口先介入してくる可能性は、大いにあるでしょうね。
日米関係が悪いという面より、米国経済がそれ以上に悪化していると考え、今の水準を
日本が動かすことに同意するとは思えません。何しろ実効為替レートで見ても、円高とは
いえない水準です。まずデフレを脱却し、実効為替レートで見たときに円高、そういう
主張が出来なければG8で中国の為替操作国認定をどうすべきか?と議論している間です
から、風当たりも強まります。フィリー係数も悪化し、雇用の弱さを裏付ける製造業の
弱さが示されました。ドル安を裏付ける材料は益々揃う中で、日本が単に利を得るための
動きでは、逆に日本が世界の中で立場を失います。
今回の動きも、財界に後押しされたメディアが殊更早急な対策を煽りますが、もっと長い
目で見て、日本経済を復調させる術、として打ち出した方が市場の信頼も高まるはずです。
株式市場は現物の取引が1兆円そこそこ、先物のボリュームはSQ算出日並に膨らむ日もあり
ます。こうした不透明な取引が増えるのも、歪んだ市場の結果です。日銀にしろ、政府に
しろ、バタバタと慌てる印象を与えるのではなく、日本の進むべき道とそれに対してどう
予算措置をするのか?という視点で物事を捉えた方が良いのでしょうね。
3. Posted by ケーイー   2010年08月23日 18:50
最近テレビ、ラジオでリフレ論を良く耳にします。
いろいろ読んでインフレになると良い事があるのか と考えているんですが(よく理解していないせいか?)余りないように思うんです。インフレになれば借金は実質目減りするように思いますが、その分材料費、税金も増えて相殺されます。インフレになったら、さも消費が上向くみたいに言う人がいますが、そんなことないでしょう。
デフレの根本的な原因は、少子高齢化による内需の落ち込みと、新興国の製品との価格競争ではないんですかね?
$対円は実効的には適正らしいですし、むしろ元安が世界経済で中国一人勝ちにしている元凶なのでは と思います。
既存の産業では新興国に太刀打ちできないし、エコ産業もまだまだ需要が少ない。
このままではじり貧なのは判っていても、有効な手がないんですよね。どうしたらいいんですかね?

4. Posted by 管理人   2010年08月23日 23:38
ケーイー さん、コメント有り難うございます。

経済が成長し、結果的にインフレになるのは正しい形ですが、ムリにインフレ誘導するのなら
リフレーションなど、かなり強引な手法も必要です。インフレにも物価面と、賃金面があり、
賃金が凹むのに、為替を円安に誘導するために強引なインフレ政策をとれば、国民は困窮する
でしょう。デフレの根本的な原因は、全くその通りですね。それと景気刺激策が公共工事に
頼り過ぎ、つまり古い経済理論による波及効果を期待し過ぎたために、国の財政問題が頻繁に
取り沙汰されるようになり、国民が逆に消費にお金を回さない、という傾向も生みました。
複合的要因、ともいえるのでしょうね。実効為替レートで見ると、03年に介入した段階と
比べても、かなり円安です。当時の円高と、今の円高、という理屈は必ずしも整合しないの
ですね。購買力平価で見ても、単純な為替の価格だけで円高と判断しない方が良いのです。

日本は構造転換が必要です。年金、医療保険、あらゆる制度が信用を失い、結果として国民が
防衛意識を強めてしまう。財政赤字を削減するのも歳入拡大ではなく、歳出見直しで達成しな
ければなりません。民主党は、こうした抜本改革を期待され、政権を発足しましたが、今は
物足りないですね。既存体制を大きく変え、国民が安心、安定して消費に回す。そのことで
内需が育ち、国際的な立場も強くなります。ムリをする必要はありませんが、中国と競争し、
米国を抜くような経済発展を目指す。そのために少子化対策を打ち、日本を成長軌道に乗せる
という、長期的な視野で日本育成を考えていくような理想、夢を訴えることも大事になるの
でしょうね。

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