年金に関する議論について10-12月期GDPについて

2011年02月13日

雑感、企業統合と破産の話

米商務省が発表した2010年貿易収支の赤字額が、前年比32.8%増の約5千億$に達しました。要因はリーマンショック後、順調に回復する経済、消費関連が押し上げているためですが、一面ではドル安により輸入物価が上昇していることも挙げられます。この数字から、日本より米国の方が持続可能性も低いことが分かります。オバマ大統領の輸出倍増計画は失敗し、米国は金融資産を膨らませ、財を輸入するしか不足分を補うことが出来ないため、対外的な悪材料があってもダウは上昇を続けます。2月はヘッジファンドの45日ルールで下げも多い月ですが、それすらカバーします。
米書店大手が破産しましたが、電子書籍に押された結果です。米ニューズ社が週99セントでiPadに配信を始めましたが、運送、配達、紙代などを抑えた結果、値下げを断行したとされます。しかしそこに紐づいていた労働者は切り捨てられる形です。これは米国で、単純労働の縮小を意味し、この動きは労働人口の減少を招くことが明白です。FRBは失業率の改善を社是としたかのように、発言を繰り返しますが、産業構造は確実に単純労働を締め出しており、答えのない状況です。逆に、それが金融市場にとっては流動性が継続される、と好感される面が市場を押し上げます。非常に矛盾に満ちたまま、チキンレースのように上げ続けるしかないのでしょう。

日本では2月SQを10561円で通過、もう少し売りが嵩むと見ましたが無難な着地です。売買も少なく、メジャーSQである3月まで持ち越した形が多かったと見ています。投信設定や、銘柄入れ替え等もありますが、1月末に態度を変えた外国人投資家も、ここ最近は買いに回っているようです。
日本でも新日鐵と住金の統合話を皮切りにして、サッポロとポッカの統合話が持ち上がりました。ただやや違和感があるのは、ポッカは先にMBOにより上場廃止をしており、直近でも再上場の噂が出ました。ゴタゴタした背景には、ポッカの主要株主アドバンテッジパートナーズによる戦略変更が想定されます。先にサッポロへの投資からはスティールパートナーズが撤退しており、現在は憶測を交えた話ばかりで何とも云えませんが、前向きに捉えれば手元資金で株主還元を求められていた状態から、攻めの経営に転じたと見ることも可能です。ただ統合効果に関して、前向きな話が聞かれない中、資金の流れが変わったことによるのみの統合なら、これは後ろ向きと捉えられます。ポッカは海外展開が活発、といってもそれに乗って、スケールメリットで出て行くのみでは経営としては失格です。

非上場の林原が破産しましたが、会計監査人を置いておらず、売上高の架空計上が発覚する事態となりました。メインバンクでさえ、その事実を知らなかったとのこと。これは由々しき事態です。異常なのは貸付審査の方法であり、これは銀行の劣化であるとともに、他の貸付案件さえ疑いをもたれるほど、中国銀行の問題は地銀に対する不審につながりかねない事態です。
米国でも単純労働が減少し、金融や設計・開発などの部門への移行が顕著です。しかしその部門が存立基盤さえ揺るがすような、甘い体質でいれば今の経済環境で、企業は生き残っていけないでしょう。企業が金余りと、世界市場での活躍を目指して統合する、一方でその資金の調達方法に疑義を生じさせる。上記2つの話はそういうことです。上場して市場から資金調達なのか、メインバンク頼みなのか、いずれにしても経営判断という話で括れない、存亡に関わる話に直結してきます。今の世界が益々不透明感を増す中で、先見の明をもつ会社選び、というのはより慎重にならざるを得ないのでしょうね。

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analyst_zaiya777 at 23:40│Comments(0)TrackBack(0)企業 | 経済

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