経済の話。世界が陥っている罠経済の話。日本、欧州のGDP

2011年08月14日

民主党代表選、各候補について考える

民主党代表選に出馬を表明した野田財務相が、大連立に関し「責任を持ち合う形」を提唱しました。ただ国民にとっては、責任の帰趨はすべて与党にある、とみられます。当然、多数党がより主導権をもつ立場ですし、そうでなければなりません。代表になる前は、自分がやれば上手くいく、という慢心が支配していますし、そうでなければ手を挙げられないでしょうが、こういう慢心が一度の失敗で焦燥を貯めると、結果としてすべてが上手くいかない、負の連鎖に陥るのみとなります。

野田氏以外の候補を見てみます。樽床氏、馬淵氏、小沢鋭氏は五十歩百歩、中堅クラスですが政治姿勢も方針も見えず、安心感、安定感がありません。こういう中堅は、ベテランに後見になってもらわないと弱い。これは小沢元代表に限らず、輿石氏、鳩山氏、菅氏など、人と金を集められる人間がバックにいないと党内基盤が弱く、また国政をどう導くか不明、といった懸念が強まります。
鹿野農水相は、農水族という実績とともに、小沢氏にも近いとされます。ただ選挙基盤が弱く、ここが小沢氏に嫌われる点でしょう。首相になるような人物は、選挙に負けてはいけない、という小沢氏の方針に合うか? また放射能汚染問題では、農水省を積極的に動かして何かを為した、という点は皆無であり、場当たり的対応にとどまっています。また、農業者戸別所得補償制度が、岡田幹事長による三党合意で検討が盛り込まれており、これは菅政権後も政策をしばる枷です。これを農水族としての鹿野氏がどう受け止めるか、それによっては与野党間の新たな火種となります。

前原前外相は、野田氏とのダブル出馬は得策でないため、出馬の可能性はないでしょう。それぞれのグループがもつ議員数、支持層の重なりからみて、票が割れば共倒れです。国民の支持が高いと言っても、国交相、外相と立て続けに政治家としての弱さ、脆さを露呈し、ここは仙谷氏というバックがいるものの、それが赤さや強権主義であるため、保守層に支持が高いといっても、このバックにしてどこまでその態度が貫けるか? 極めて不安も残すところなのでしょう。
海江田経産相は、もう首相の目はありません。泣いたことそのものより、経産省を統率できなかったという実績が残り、将来に禍根を残しました。選挙区でライバルだった与謝野氏は、菅政権後は野田氏で財務省主導、という組閣でなければ民主党から見放されるだけです。しかしもう選挙には立てないので、選挙基盤は強まりましたが、政治家の立場は弱まった、それが菅政権と海江田氏、という関係の中で鮮明になったことなのでしょう。鳩山前首相のように、政治の機微が読めない楽天家以外で海江田氏を推そう、と考えるような人間はいないので、票も集まりません。

代表選は本命不在、というより対抗すらいない、大穴ばかりです。仏国の宰相だったド・ゴールは、大臣にはからず直接国民に政策を訴えたので「大臣は毎日何してる? 将軍の靴をみがいている」という言葉が生まれました。菅政権の下、大臣は菅首相のちゃぶ台返しと手柄の横取りに怯えましたが、それが終わった途端、誰がどうなっても明るい未来が描けない、では笑い話にもなりません。
仏国の諺に「岩の下にうなぎがいる」というものがあります。日本では「柳の下にどじょう」というと良い意味ですが、これは得体のしれない危険、という意味で、うなぎとは元々ヘビだったのです。そして仏人はあまり、うなぎに良いイメージがなかったらしく、「うなぎの皮をしっぽから向く」は事を逆にする意味ですし、「うなぎを膝で折る」は不可能なことをする、という意味です。日本の首相が『事を逆にし』たり、『不可能をする』と思われたり、『得体のしれない危険』と思われるのなら、それはやはり力量不足と云えるのでしょう。うなぎの卵が発見され、養殖の道が開けたという話もありますが、日本の政治家がうなぎのように官僚から飼い慣らされ、生存競争にさらされないよう培養され、そんな人物たちがリーダーになるというなら、それもまた問題が多いのでしょうね。

明日は一日、お休みしたいと思います。

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analyst_zaiya777 at 23:32│Comments(0)TrackBack(0)政治 | 一般

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