TPP、紛争解決について経済の話。イタリア、米中緩和期待

2011年11月08日

年金制度は大丈夫?

オリンパスが90年代の投資損失を隠し続け、それらを投資助言会社への報酬、企業買収などを巨額に膨らませ、相殺しようとしたことを発表しました。当然、これは粉飾決算ですから上場廃止ですし、監査法人の不信にもつながります。さらにこの仕組みを提案し、実行した指南役の存在も指摘されることから、問題はオリンパス経営陣にとどまらず、当時も第三者委員会がおかれて調査されていたので、そちらの責任という問題にも膨らみます。しかも20年近く、問題を引き継いできたのであり、経営陣のみならず、恐らくOBクラスに対してもかなり捜査の手が伸びることになるのでしょう。

上記にも関係ある話として、年金制度に関して、幾つか話題が上がっています。払い過ぎ主婦年金に対して、民主党が返還を求めない方針を決めました。記事の劣化が著しい読売は、これを有権者の支持をとりつけたいため、としますがそうではありません。元が申請主義であり、制度が理解されていないために起こる問題であり、誰も責任をとらないまま、たとえ返還でも手続きにかかる経費ばかりが膨らむことを、まず制限しなければなりません。返還しないと決めた長妻氏は、かねてより厚労省や年金機構の責任を唱えており、受益者ばかりが損することを容認していません。
つまり、こうしたものは年金機構職員や、厚労省の年金課の人間が損失補填をする必要があります。払い過ぎた分はその補填を、払い漏れで加算して給付する場合は、その手数料などをすべて職員の給与から差し引く。これは当然、暴論の類ですが、複雑な制度にしているために起きている問題で、責任を職員がかぶることになれば、現場から制度の簡素化を求める仕組みが生まれます。制度が複雑で年金機構職員でさえ、違う説明をすることはざらにあります。制度が簡素化されれば利便性が上がるのであり、制度の信用性を失わせたくなければ、現場が使いやすい、受益者が便益をうけやすくすることがまず必要なのです。失敗のツケを現場が負う、となればそれが仕組みとして機能します。

そんな年金の、昨年の運用実績は3000億円の赤字です。13年度からは23兆円の累積でプラスとしますが、年に直せば2兆円もプラスではありませんし、13年度はITバブル崩壊後の最安値付近だったので、それ以前からみると、実質的な運用は1.5%+程度の運用しかできていない計算です。しかも東電やオリンパスは、運用で組み入れていたはずであり、オリンパスの上場廃止は大きな痛手です。
しかも昨年のプラス幅のほとんどが国内債券の上昇分ですから、リスクOnで買われ、債券バブルとも云われる現状が変わると、状況もまた違ってきます。賃金上昇もマイナス、インフレは進まず、年金制度の改正のときに立てた試算と大きく乖離している状況です。給付年齢の引き上げ議論は、この試算が狂ったことから起きていますが、給付年齢を引き上げても制度としては機能しません。

見過ごされがちですが、1次補正で流用された年金への国庫負担分を、3次補正で補填します。しかしこの国庫負担分については、まだ財源が示されていないのであり、安定した給付とは云えない状況です。さらに自民党政権時代から、年金原資は年金行政の事務費に流用されてきました。これは年金原資を早く食いつぶす結果となりました。実に年金とは、行政がつくり上げてきた滅茶苦茶な仕組みの象徴でもあり、ここにメスを入れて抜本改正できないようでは、納付率55%がさらに下がる結果となり、安定しない制度のまま国庫負担ばかりが膨らむ結果となってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10│Comments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 年金 | 行政

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この記事へのコメント

1. Posted by おるおる君   2011年11月08日 23:26
オリンパスの粉飾は東京市場全体の不信に繋がるでしょうか? 混合診療は なぜ日本の健康保険制度の崩壊になるのでしょうか?
2. Posted by 管理人   2011年11月08日 23:52
おるおる君 さん、コメント有難うございます。

オリンパスの件は、相当の禍根を残すことでしょうね。
海外からの投資も多かったこと、このため裁判が長期化し、その報道がでる度に
『日本企業の粉飾決算』という印象が脳裏に過ぎります。
ギリシャも、最初は粉飾決算から始まりましたが、監査法人に対する不信までいくと、
日本企業の決算報告書は信頼できるのか? との目で見られがちになります。
残念ながら、幕引きをはかるにはこれがオリンパス、という企業特有の問題、つまり
足切りをするぐらいでないと、早期の解決を示したことにはならず、オリンパスが
上場維持に全力を傾けようとすれば、問題の根を深くしてしまうのでしょうね。

混合診療にはいくつかの見方が可能ですが、診療が適切かどうかの線引きが難しく、
保険の不正利用が増える、等の問題は出てくるでしょうね。
また現状でも健康保険は予算不足が露呈しており、混合診療に保険適用が認められると、
制度全体の予算が足りるか? との懸念もあります。
健保は毎年赤字で、雇用者の保険料を上げているのが現状ですし、国保はその健保に
頼らないと運営はままならなくなっています。
また一部を負担するよう、制度改正もされていますしね。
混合診療は、今後も拡大が予想されるものですが、財政的にみると、社会保障費の
増大にしか見えない、という点では崩壊と指摘する人もいるのでしょうね。
3. Posted by ケーイー   2011年11月09日 02:56
混合診療は実はすでに歯科の分野では使われています。歯科に行って差し歯を作る時、保険の歯にするか自費の歯にするかコンサルされたことがあると思います。医科では未承認の新薬等を使い出すと、通常の保険給付適応の処置も自費扱いなってしまい、膨大な医療費を患者は負担しなくてはなりません。
混合診療を認めると、今まで自費扱いの処置が保険適応となり、新薬や先進医療を受けても患者負担は軽減できます。
患者にとっては良いことですが、逆に言えば保険財源はほぼパンクしてしまうので、政府としては保険適応の範囲を狭めていくしかないのです。
つまり混合診療を認めると、今まで保険で受けれた治療が自己負担になることが多くなる、高所得層しかまともな治療が受けれなくなるということなんです。
ついでに言いますと、管理人さん指摘している通り、財源はこれからますます厳しくなるので、混合診療はTPPに関係なく導入されて行くでしょう。すでに厚労省では検討されています。
医療費で破産する人が多くなるなんて、想像したくないですね。
4. Posted by あらいぐま   2011年11月09日 07:11
2008年にOAされたNHKのドラマ「監査法人」を思い出します。
実際に粉飾決算を目の当たりにした経験も有り、違和感無く楽しんだ記憶があります。
日本の企業という物は経営者とそれに連なる者が自己の利益を求めトコトン不正を働く物です。(大王製紙も同様ですね。)
もちろん官庁もです。
このような事は主に発展途上国に見られることですが先進国の日本で、特に上場企業に多いのは日本ならではなのでしょう。
日本企業の国際競争力の低下は監査法人などの存在で企業の不正にお墨付きを与えるシステムが問題なんでしょうし、有能な人材が活躍の場を奪われた所為かと考えられます。(実力者は打開する能力を持つが、無能な者は権謀術中を持って勝利を得ようとする物です。歴史を少しでも勉強すれば分ることですね。今の欧米の金融工学はまさにこれですね。)


>1次補正で流用された年金への国庫負担分を、3次補正で補填します

未だ被災地の復興は全く進んでおらず、ようやく3階建ての仮設住宅が出来た記事が先日報道されたぐらいです。
震災直後から指摘して来ましたが、菅・野田政権は被災地を見捨てるのでしょう。
平野復興担当相(参院岩手選出・小沢G)がいてもこの状況です。
これは官僚の?(宗主国かも?)恫喝がきいているのでしょう。
小沢氏の今置かれている状況は、「流れに逆らう者は如何様にも出来るのだから黙っていう事を聞け!
小沢ほどの大物でもこうなるのだ。いわんや貴様ら塵屑は大人しくしているのが身の為だ。判ったな!」とでも言うぐらいの警告であるのでしょう。
命を賭して小沢氏のグループに組する国会議員がいかほどいるのか?
2度の代表戦の結果をみると微妙な結果が待っており悲惨な結末になるのかとしか推測出来ません。
5. Posted by 管理人   2011年11月09日 23:43
ケーイー さん、コメント有難うございます。

健保の財源に余裕があれば、混合診療を認めても保険適用範囲を狭める必要はないの
ですが、そうせざるを得ないため、医療の格差が生じてしまう、ということですね。
個人的には、私はここ10年ほど歯医者に通ったことがないのですが、歯科ではもう
取り入れられていることは、初めて聞きました。
眼科では一時期、保険の不正申請が相次ぎましたが、保険の仕組みに電子カルテが
導入されても、やはりこうした不正申請などを減らしていかないと、健保の財政は
破綻寸前、ということになってしまうのでしょうね。

毎年、健保は赤字、補填という話が出ています。これが企業業績にも影響を与えて
おり、例えばOBにも健保と認めている仕組みもありますが、医療保険、介護保険などの
仕組み全体をきちんとまとめることが必要なのでしょうね。

一時期、厚労省は病気でもないのに、病院に通う高齢者を目の敵にしていたことも
ありますが、高齢者なら体調が悪くなることも多くなるのですから、どこまでそれを
認めるか? も国の政策で変わってくるのかもしれません。
医療費の高騰は抑えるべきですが、だからといって医療を受けられれないような
保険制度にしてもいけませんし、この問題は本当に難しいですね。
6. Posted by 管理人   2011年11月09日 23:56
あらいぐま さん、コメント有難うございます。

日本は家社会で、お家の一大事には配下の者は我を捨てて尽くす、という形で不正に
流れてしまうのは、悲しいですがよくある現象ですね。
結果的に、日本企業の統治者選任システムでは、派閥争いに勝ち残った者、即ち権謀
術数や人集めに勝った者であり、実績はあまり関係ありませんからね。
それを破った人事だったからこそ、前前社長は期待されたのですが、それを追い出す
企業では、ガバナンスを問われても仕方ないのでしょうね。
気になるのは東証の対応の遅さです。
残念ながら、こんな不正をした企業がいつまでも市場に残っていると、それだけで
日本企業全体の問題と捉えられてしまいます。
オリンパスが出直せば再上場の目もあるのですから、上場を維持したまま再生を、
という企業や、裏では政治家も動いているかもしれませんが、そんな不透明なやり方で
いつまでもこの問題を長引かせてはいけないのでしょうね。

枝野経産相が答弁で「ただちに…は一度や二度、食品を口にしても問題ない、という意味」
と発言し、話題になっています。
被災者を見捨てて、そこで生活する者をバカにしたような発言を平気でする。
これが菅政権であり、今の野田政権でも残滓としてみられるところなのでしょうね。
野田氏から積極的に、被災地支援を急ごうとする前向きな態度は見られません。
残念ながら、財務省という内にいて、外をみない省庁の上に載っている野田氏は現場を
知らない、という評価が定着してしまいそうです。
財務省は現場など関係なく、予算を付ければ終わりなのですから、そういう省庁の
言に従っていると、国民の心は離れていってしまうのでしょうね。
7. Posted by おるおる君   2011年11月10日 06:07
健康は結局医者に頼らず 自分でなんとかするしかありません。かって厚生省が一日一万歩歩きましょう!とキャンペーンしましたが…
これは大正解です。
私は本格的にウォーキングを始めて 約一年になりますが…
ダイエットに成功しましたら 血液検査の全ての項目が正常になりました!もちろん薬の効果もあったでしょうが…。 国民特に肥満者に1時間のウォーキングを義務付けて実行できたら …
国や国民の医療費負担が激減すると思いますけどね…
8. Posted by あらいぐま   2011年11月10日 06:20
>残念ながら、こんな不正をした企業がいつまでも市場に残っていると、それだけで
日本企業全体の問題と捉えられてしまいます。

果たしてそうなのでしょうか?
オリンパスの技術力と収益力は世界に冠たるものがあります。
ニコン、キャノンとともに本業以外の収益力が強くミノルタ、ペンタックスなどのかつてのライバルが身売りした事を考えるとその底力が伺えます。
そんな企業の上場が廃止されない理由は他に有ると考えられます。
絶対需要を持つ優良企業を狙う企業が有りその企業の国籍やその企業の株主の比率(隠れた国籍が重要かも知れません)まで注視すべきです。
オリンパスは自ら上場を止め債権を目指すべきだと私は思います。
9. Posted by 管理人   2011年11月10日 23:36
おるおる君 さん、コメント有難うございます。

歩くのは、メタボ対策のみならず、健康全般に良い、とされますから実行は必要ですね。
例えば通勤、通学時に一つ前の駅、停車場で下りて歩く、そのことに対して助成する、
などの支援は国がしても良いのでしょうね。
自転車も良い、とされますが、今はルールつくりでごたごたしています。
街中で、歩行者とぶつかることが多いので自転車は車道を通れ、ということですが、
車道を通ると、今度は車と、自転車とが事故を起こすことも増えるでしょう。
国の制度は、どこかちぐはぐですね。

私も震災のとき、行きと帰りの電車を考えて、駅を変えるために自転車を使ったり
していましたが、そのときだけの中途半端で終わったので、結局疲れただけでした。
こういうものを習慣にし、健康に生きることも大事なのでしょうね。

地方では一部、高齢者にスポーツ施設をつかってもらって、健康増進に努めて、
医療費削減を達成したところもあります。
健康になって、医療費が削減できるのですから、これほど良いこともないでしょう。
こうした成功体験を、もっと全国的にすすめていっても良いのでしょうね。
今は健保でも、財政が懸念されている折、打てる手は何でもチャレンジする、という
ことで、こうした健康に関してはすすめていって欲しいですね。
10. Posted by 管理人   2011年11月10日 23:48
あらいぐま さん、コメント有難うございます。

オリンパスには海外の年金、投資組合なども株を保有していたので、確かにこうした
面からの圧力まがいのことは、含まれるでしょうね。
自己資本比率の低さ、有利子負債の多さ、など企業の体力も問題視されますが、
技術力も、収益もある企業なのですから、規模を縮小して出直し、ということは
充分に有り得ます。
買収という可能性もあるので、一旦上場を廃止して再建してから再上場をめざす
形が、やはり健全という見方になってしまうのでしょうね。

昔は政治家にお金を積むと、東証の審査がスムーズにすすむ、とも言われていました。
オリンパスには大株主に日生、東京三菱UFJ、三井住友が入るなど、今回の影響は
金融機関にも波及してくることは確実です。
また国家ファンド、それに日経225採用銘柄として組み入れていたファンド、なども
含めて、とにかく影響は大きいので、東証の動きのにぶさ、捜査当局の遅さも含めて
どういう圧力があったか、は想像にかたくありませんが、優良企業とみられていた
からこそ、逆に身の処し方にも気をつけないと、再建も難しくなります。
恐らく、株主からの訴訟の嵐が吹き荒れるでしょう。
20年近く損失を隠し続けていたのですから、実に色々な問題が、このあとも噴出する
ことになります。
今の社長を粉飾決算とは切り離して、影響を最小に抑えようとしていますが、
今はもうそういう段階ではないことを、早く理解すべきなのでしょうね。

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