2012年02月10日
民主党による年金試算
復興庁の発足に伴い、野田首相が記者会見しました。ワンストップ、縦割りの調整と並べますが、もし復興庁が調整役であるなら、まず上手くいかないと云えます。復興に関する限り、ここに絶対の命令権をもたせることが機能させる唯一の道です。逆に云えば、調整に時間をかけていると、復興に遅れを生じてしまいます。ただ、がれき処理に関しては地方自治体にお願いする必要があります。そこに調整は必要ですが、この問題は『安全』とされるがれきを、国がどうチェックできるか? という問題でもあり、そこは放射性物質の全点チェックをしない以上、お願いもできないところなのでしょう。
民主党の年金財政試算が発表されました。2075年に消費税で7.1%が増税となる、とのことですが、野田氏はこの試算の存在を「まったく知らなかった」と述べています。しかし厚労省の計算機を、民主党がタダで使えたわけではないはずで、これは党で了承された話だったはず。つまり11年3月に試算したのですから、これは当時の幹事長だった岡田副首相も了承していた話のはずです。逆に、もしこれを党で了承せず、一部の議員が勝手に厚労省の計算機を使っていたら、それは公共機関の設備をただで使わせた、という意味で厚労省側に瑕疵があることにもなりそうです。
平均年収260万円の人には、月7万円の最低保証年金を支給し、平均年収が690万円を超えると最低保証年金はない。言葉を変えれば、これは低所得者向け加算金という位置づけです。現状、年金の加入年数を10年でも、支払うかどうかの検討も始まっていますが、年金は賦課方式であり、積立でないことは明白です。つまりこれを財産権として認めるなら、例え一ヶ月であっても、それを支払う必要が生じるということであり、加入年数に達するということは、権利を買うということです。
財産権を外すと、実は色々と支給に制限をかけることが可能です。例えば、公務員として退職金を1千万円以上得た後、独法、財法で再び退職金を得たら年金は支給しない、と法律で決めることもできます。つまりそれを権利放棄、とみなすわけです。条件のつけ方は様々ありますが、40前後まで勤めて独法に移るのは、天下りとして年金の権利を放棄させれば、支払いは減ります。公務員は共済年金であり、一般人が加入する国民年金、厚生年金とは異なりますが、いずれ一体化の議論がありますから、加算に関する討議とともに天下り根絶に向けた、働きかけが年金からもできるのです。
最低保証年金は、高齢者の生活保護費対策の側面もありますから、これは年金という枠にとらわれない議論も必要です。100年安心プランで年金財源に国庫から2分の1が支給されるよう決まりましたが、生活保護の支給で減った分を回してもいい。それは財政の組み替えに当たることであり、逆にその試算はこの中に含まれていない。つまり消費税も7.1%も必要ないのかもしれません。
野田氏も、自らこの試算における推計がないことを認めており、基礎的な条件はまったく示されていない。この試算に資料的価値は皆無ですが、あえて云うならこの試算を、厚労省で行なった経緯を示すことで、与党と省庁との、なぁなぁの繋がりが浮き上がること、ぐらいなのでしょう。
政治家、政党が省庁の所有物をつかったら使用料を支払う。それは税金で賄われている設備を、一団体が勝手につかうことへの歯止めであり、税金を正しく使うための第一歩にもなります。これを許されるなら、どの団体でも利用申請すれば、無料で省庁の設備を使っても良い、となってしまいます。何のため、誰がこの試算をしたのか経緯を明らかにする、それすら出来ないのなら、ムダ遣いを洗い出すなんて、逆立ちをしてもできないとなってしまうのでしょうね。
民主党の年金財政試算が発表されました。2075年に消費税で7.1%が増税となる、とのことですが、野田氏はこの試算の存在を「まったく知らなかった」と述べています。しかし厚労省の計算機を、民主党がタダで使えたわけではないはずで、これは党で了承された話だったはず。つまり11年3月に試算したのですから、これは当時の幹事長だった岡田副首相も了承していた話のはずです。逆に、もしこれを党で了承せず、一部の議員が勝手に厚労省の計算機を使っていたら、それは公共機関の設備をただで使わせた、という意味で厚労省側に瑕疵があることにもなりそうです。
平均年収260万円の人には、月7万円の最低保証年金を支給し、平均年収が690万円を超えると最低保証年金はない。言葉を変えれば、これは低所得者向け加算金という位置づけです。現状、年金の加入年数を10年でも、支払うかどうかの検討も始まっていますが、年金は賦課方式であり、積立でないことは明白です。つまりこれを財産権として認めるなら、例え一ヶ月であっても、それを支払う必要が生じるということであり、加入年数に達するということは、権利を買うということです。
財産権を外すと、実は色々と支給に制限をかけることが可能です。例えば、公務員として退職金を1千万円以上得た後、独法、財法で再び退職金を得たら年金は支給しない、と法律で決めることもできます。つまりそれを権利放棄、とみなすわけです。条件のつけ方は様々ありますが、40前後まで勤めて独法に移るのは、天下りとして年金の権利を放棄させれば、支払いは減ります。公務員は共済年金であり、一般人が加入する国民年金、厚生年金とは異なりますが、いずれ一体化の議論がありますから、加算に関する討議とともに天下り根絶に向けた、働きかけが年金からもできるのです。
最低保証年金は、高齢者の生活保護費対策の側面もありますから、これは年金という枠にとらわれない議論も必要です。100年安心プランで年金財源に国庫から2分の1が支給されるよう決まりましたが、生活保護の支給で減った分を回してもいい。それは財政の組み替えに当たることであり、逆にその試算はこの中に含まれていない。つまり消費税も7.1%も必要ないのかもしれません。
野田氏も、自らこの試算における推計がないことを認めており、基礎的な条件はまったく示されていない。この試算に資料的価値は皆無ですが、あえて云うならこの試算を、厚労省で行なった経緯を示すことで、与党と省庁との、なぁなぁの繋がりが浮き上がること、ぐらいなのでしょう。
政治家、政党が省庁の所有物をつかったら使用料を支払う。それは税金で賄われている設備を、一団体が勝手につかうことへの歯止めであり、税金を正しく使うための第一歩にもなります。これを許されるなら、どの団体でも利用申請すれば、無料で省庁の設備を使っても良い、となってしまいます。何のため、誰がこの試算をしたのか経緯を明らかにする、それすら出来ないのなら、ムダ遣いを洗い出すなんて、逆立ちをしてもできないとなってしまうのでしょうね。
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この記事へのコメント
1. Posted by あらいぐま 2012年02月11日 00:04
総理も知らずに法案を閣議決定するとは恐れ入る所業ですね。
担当幹部だった岡田大臣は総理に知らせず党の会議を通したのでしょうか?
議論を尽くし開かれた会議を民主的に行うはずの与党・民主党とはどこに行ったものやら??
小沢氏が党首時代は小沢氏が大連立を幹部会にかけた為流れた様に看板通りでしたが…
今は官僚の振り付けを踊るだけの政権ですからこんなもんでしょうね。
ですから管理人さんのおっしゃられるような事は天地がひっくり返っても無いでしょうね。
ここ数日、大企業はTPPや消費税増税などが無くても破滅する道を歩むと宣言をしているようです。
明日は日本経済の行方の記事を是非お願いします。
担当幹部だった岡田大臣は総理に知らせず党の会議を通したのでしょうか?
議論を尽くし開かれた会議を民主的に行うはずの与党・民主党とはどこに行ったものやら??
小沢氏が党首時代は小沢氏が大連立を幹部会にかけた為流れた様に看板通りでしたが…
今は官僚の振り付けを踊るだけの政権ですからこんなもんでしょうね。
ですから管理人さんのおっしゃられるような事は天地がひっくり返っても無いでしょうね。
ここ数日、大企業はTPPや消費税増税などが無くても破滅する道を歩むと宣言をしているようです。
明日は日本経済の行方の記事を是非お願いします。
2. Posted by おるおる君 2012年02月11日 00:06
安住財務相は 咋秋のドル買いの手口を明かしたとかで…
批判されています。
どんなんでしょうか?
アメリカは TPP交渉で数的目標を提示したとか…
自由主義貿易ではありえないことです! 日本国民はいやでも
アメリカ車を買わねばならないのでしょうか?
批判されています。
どんなんでしょうか?
アメリカは TPP交渉で数的目標を提示したとか…
自由主義貿易ではありえないことです! 日本国民はいやでも
アメリカ車を買わねばならないのでしょうか?
3. Posted by 管理人 2012年02月11日 00:32
あらいぐま さん、コメント有難うございます。
今回の試算は、菅政権時代に仙谷氏、古川氏が関わって出されたとされています。
しかし野党、特に公明から突き上げをくらって、公表に転じていますが、それは記事で
指摘したように、試算を出した経緯を掘り下げられたくない、との思惑もあると考えます。
当時の財務相だった野田氏が聞いていない、つまり閣議に諮られてはいない、官房長官を
更迭された後の仙谷氏が代表代行として、突出して試算をさせた、のが真相でしょう。
当時の岡田幹事長すら知らされていなかった恐れもあります。
政治主導どころか、政治家がばらばらに行動していることを露呈するのでしょうね。
しかし自民が試算結果をもっていたのは、公明経由で流れたのか、厚労省が自民に渡した
のか、いずれにしろ隠し通すこともできない。
逆に、公にしてしまえばそれらの経緯もあやふやにできる。
それが公表を決断した理由だったので、確かに私が期待するような、経緯を明らかにする、
ということは、与野党ともに望んでいないのでしょうね。
日本経済、単体で考えることは正直難しい面もあるのですが、過剰流動性の向かう先と
して、日本経済がどう漂流するかについては、明日少し取り上げてみます。
しかし日銀も、マネーサプライを増やしてきており、これで世界の先進国は一斉に、
大量の資金供給策に頼っていることになりました。
これは、今は良いのですが、将来的には不幸な形になるのであり、その辺りのことを
中心にとりあげてみることにしたいと思います。
今回の試算は、菅政権時代に仙谷氏、古川氏が関わって出されたとされています。
しかし野党、特に公明から突き上げをくらって、公表に転じていますが、それは記事で
指摘したように、試算を出した経緯を掘り下げられたくない、との思惑もあると考えます。
当時の財務相だった野田氏が聞いていない、つまり閣議に諮られてはいない、官房長官を
更迭された後の仙谷氏が代表代行として、突出して試算をさせた、のが真相でしょう。
当時の岡田幹事長すら知らされていなかった恐れもあります。
政治主導どころか、政治家がばらばらに行動していることを露呈するのでしょうね。
しかし自民が試算結果をもっていたのは、公明経由で流れたのか、厚労省が自民に渡した
のか、いずれにしろ隠し通すこともできない。
逆に、公にしてしまえばそれらの経緯もあやふやにできる。
それが公表を決断した理由だったので、確かに私が期待するような、経緯を明らかにする、
ということは、与野党ともに望んでいないのでしょうね。
日本経済、単体で考えることは正直難しい面もあるのですが、過剰流動性の向かう先と
して、日本経済がどう漂流するかについては、明日少し取り上げてみます。
しかし日銀も、マネーサプライを増やしてきており、これで世界の先進国は一斉に、
大量の資金供給策に頼っていることになりました。
これは、今は良いのですが、将来的には不幸な形になるのであり、その辺りのことを
中心にとりあげてみることにしたいと思います。
4. Posted by 管理人 2012年02月11日 00:52
おるおる君 さん、コメント有難うございます。
安住財務相は、75円63銭で介入し、78円20銭で介入を止めた、と述べました。
示された資料をみて説明した、と後付けで言い訳をしていますが、もしこの水準を目安と
すれば、投機スジがこの水準に近い位置で株や債券などを買い溜め、そこから円安にして
為替介入させ、儲けをえるという作戦を立てることを可能とします。
つまり、以前も少し述べましたが安住ラインとして、76円が意識されてきましたが、それを
自ら裏付け、投機スジに投資機会を与えるほどの、マヌケな発言だったのですね。
米国では、オバマ大統領が自動車業界への利益誘導ではないか、という話で政権が
火消しに躍起となった、という話もあるように、以前から数値目標という話はありました。
米国が、本当に自由な市場を望んでいると考えられる人は、かなり幸せでもあります。
米国は、米国の利益のためなら市場を歪めることを厭いません。
だからTPPで、まともな交渉など出来るはずはない、と断言できる点でもあります。
日本国民が買わなければ、行政機関の保有する車は、すべて米車になるのかもしれませんね。
それでも消費できなければ、日本は米新車を買って、他国に中古として売る、なども行う
必要が出てくるかもしれません。
いずれにしろ、日本にとってはムダでしかありません。
某氏が実名で、経産省の官僚がTPP推進で説明にやってきて「推進する発言をしてください」
とお願いしていった、との話も出てきています。
しかもそれが、野田政権が賛否を決める前に、省庁が独自判断で動いたということです。
TPPは、まだまだ裏がある話であり、しかも日本にとって得は何もない、ということは
より鮮明になってきたたのでしょうね。
安住財務相は、75円63銭で介入し、78円20銭で介入を止めた、と述べました。
示された資料をみて説明した、と後付けで言い訳をしていますが、もしこの水準を目安と
すれば、投機スジがこの水準に近い位置で株や債券などを買い溜め、そこから円安にして
為替介入させ、儲けをえるという作戦を立てることを可能とします。
つまり、以前も少し述べましたが安住ラインとして、76円が意識されてきましたが、それを
自ら裏付け、投機スジに投資機会を与えるほどの、マヌケな発言だったのですね。
米国では、オバマ大統領が自動車業界への利益誘導ではないか、という話で政権が
火消しに躍起となった、という話もあるように、以前から数値目標という話はありました。
米国が、本当に自由な市場を望んでいると考えられる人は、かなり幸せでもあります。
米国は、米国の利益のためなら市場を歪めることを厭いません。
だからTPPで、まともな交渉など出来るはずはない、と断言できる点でもあります。
日本国民が買わなければ、行政機関の保有する車は、すべて米車になるのかもしれませんね。
それでも消費できなければ、日本は米新車を買って、他国に中古として売る、なども行う
必要が出てくるかもしれません。
いずれにしろ、日本にとってはムダでしかありません。
某氏が実名で、経産省の官僚がTPP推進で説明にやってきて「推進する発言をしてください」
とお願いしていった、との話も出てきています。
しかもそれが、野田政権が賛否を決める前に、省庁が独自判断で動いたということです。
TPPは、まだまだ裏がある話であり、しかも日本にとって得は何もない、ということは
より鮮明になってきたたのでしょうね。