野田政権から離れていく人々雑感、日本の集団的自衛権について

2012年04月07日

経済の話。米雇用統計と日本市場

米労働省が発表した3月雇用統計が、予想の20万人増を大きく下回る12万人増でした。しかしこれは暖冬で、本来は落ちるはずの雇用が先食いされたこと、が主因です。小売業が33800人減、これは冬物衣料や、人々が出かける機会も多かったことで、買い物も増えたことで増えていたものが、春となり通常の態勢に戻ったということです。ただそうなると緩和観測が広がるのが米国です。
米製造業も、米国回帰の流れがあります。これは新興国に工場を移しても、一旦は人件費安で業績が好調になっても、次の年には人件費増が業績悪化に繋がる。つまり工場移転とは、それでシェアを拡大する戦略がない以上、とるべき施策ではないことに、米企業は気づき始めている。さらに、ドル安によって見かけ上、米企業は堅調にみえても、海外に工場を持ちすぎると米国でモノを売る際は、高くなってしまう。国内回帰は、ドル安を志向する米国政府と協調するには、米国産を増やすしかない。それが、米企業の国内回帰であり、雇用統計にも貢献していたのです。
さらに、オバマ民主党と、米共和党はこの企業の海外に対する考え方が、真逆です。オバマ民主党は課税強化し、国内回帰をすすめる。ロムニー氏が候補として有力な共和党では課税を緩和し、企業の成長を促進しようとする流れです。現在、オバマ民主党が優勢であり、こうしたことも企業は国内回帰をすすめる要因です。大統領選で、オバマ氏が勝利した暁には海外利益に課税が強化されるのだから、先に国内に戻る。人件費も下がり、戻りやすくなった米国、特にドル安もあり、かつての住宅バブル期より半分近くまで下がっているので、こうした流れになります。

日本の市場は、実は先週から変調が始まっていました。ただ期末の買い支えもあり、見えにくかったのですが、これは上値が重くなり、また期が変わることで戦略を変えてきた可能性がある。豪州の貿易赤字で、中国の景気鈍化が意識され…はキッカケに過ぎません。リスクでオン、オフする相場は、何かのタイミングを待って行動する、ということです。欧州のLTROをキッカケとして、3ヶ月上げてきたものの、これが上昇相場の一時的な調整なら1ヶ月程度の調整で済みそうですが、単にオン、オフの切替えだけなら3ヶ月調整する可能性が強い。そういう状況だと見ています。
日銀総裁と野田首相の会談が話題です。野田氏はストレートな手法が多いので、恐らく緩和を要請したとみられます。ただ日銀の対応が問題で、円の不足感がない中で緩和すればバブルになるか、海外に資産が持ち出されるしかありません。先の量的緩和では、米不動産バブルに寄与しましたが、野田氏はそうしろ、と云いたいのかもしれません。ナゼなら米国の不動産市場は、回復の遅れが目立ち、それが景気に悪影響を与えている。少しぐらいバブルにしても…それが望みかもしれません。

決して、このまま楽観市場になるわけではない。それは欧州の国債利回りが、再び高騰を始めているのでも分かります。LTROにより、欧州の金融機関は国債を買った。しかしヘッジファンドは国債を売り、インフレ連動債を買い、リスクをヘッジした上で利回り格差をとる手法で、資金を稼ぎ始めている。その戦略を転換させたとき、またリスクのオン、オフが変わるのでしょう。そうした思惑が、今の景気を決めているのであり、政府、中銀による施策をキッカケにした思惑相場の様相は、もうしばらく続いてしまうのでしょうね。

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analyst_zaiya777 at 23:22│Comments(2)TrackBack(0)経済 | アメリカ

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この記事へのコメント

1. Posted by おるおる君   2012年04月08日 22:59
野田政権が自民党顔負けの公共工事を容認するとか…
これも支持率アップの為でしょうか?
2. Posted by 管理人   2012年04月09日 00:12
おるおる君 さん、コメント有り難うございます。

経団連に阿る態度が鮮明であること、および国交省関連の予算が、これまで絞られて
きたため、そうした官僚の巻き直しに、こうし切れない面と、結局は地元を束ねる
土建屋に金を流すことにより、選挙を有利に戦いたい面もあるのでしょうね。
復興事業の一部も、大手に発注がされているようですので、野田政権絡みの事業の
発注には、どうしても癒着の匂いが強くしてしまいます。
広告宣伝費も同様ですが、野田政権はかなり悪い形で国民が嫌う、こうした資金の
不透明な流れ、が目についてしまいますね。
自民が政権交代前に、硬直した予算配分しかできなくなっていたのと、同じ構図です。

一部で、みんなの党と橋下維新の会で100議席、とする予想がありますが、現時点では
確実に200議席はいきそうな気配です。
小選挙区、比例、今のままの選挙制度では、総取りが可能ですし、よほど選挙に強い
政治家でないと、この両者の勢いには負けるでしょう。
結局、選挙制度改革も、既存政党にとっては自分たちが生き残るための施策を模索する、
そうでないと自滅する、という危機感の方が先にたつのでしょうね。

野田政権は、なりふり構わず支持率アップに動き出した。
若者との討論会もそうですが、恐らく最初に発言する人間は、決められていたかの
ように、消費税アップを容認する意見が出ました。
これはよく議論の場で行われる、会議の空気を決めるためにする切り出し方であり、
こういうことをしているから、政治が機能していない、と国民から見限られている
ことに、早く気づくべきなのでしょうね。

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