雑感AKB総選挙と国政選挙2つの裁判所の判断について

2012年06月08日

大飯原発再稼動に関する会見

野田首相が、大飯原発3、4号機の再稼動について記者会見を開きました。15%の需給ギャップについては、早い段階で臨時発電機を導入しておけば、ほぼ賄えたとの試算もあります。つまり関電は、原発再稼動を促すために、あえて電力不足を煽った。ギリギリまで引っ張って、仕方ないから…と、野田政権では、お決まりパターンをとったわけです。電力不足が、事前にわかっていて、どうして臨時の発電機を手配しなかったのか? その答えは会見でも聞かれませんでした。

経産省で、東電の値上げ申請についての公聴会が開かれました。その中で、従業員の給与を下げるとモチベーションが下がる、人材・技術が流出する、との発言もありますが、ならば低い給与でもモチベーションの高い社員に入れ替えればよい話です。また、東電は技術畑ではなく、管理が主な業務なので、特殊技能のいるものではありません。例えば原子力安全委が、安全指針に全交流電源喪失に関して、対策を盛り込まないでいい理由を東電に作文させた、という件がありました。しかし東電が作文したのではなく、メーカーに作文させ、それを東電が添削したとの事情が伺えます。
発電所などは設計、建設したメーカーが、その後の定期点検などを受注する構図が多いので、東電に技術力は要らない。これは車を買って運転していても、構造を知らないのと同じ、しかも東電はその運転すら直接には下請けメーカーに投げている可能性がある。その場合、東電に技術がないのは当然で、東電社員でなければできない作業は、ほとんどありません。モチベなどを持ち出すのは、よほど東電に阿りたいか、事情を知らない人間でしょう。下請け、孫請けの人間なら、給与の下がった東電に移ったとしても賃金は上昇し、意欲高く作業してくれることを忘れてはいけません。

帝国データバンクが発表した5月全国企業倒産集計が、前年同月比5.1%増となりました。西日本が増加しており、復興が動き出した東北より日本全体へ震災の影響が波及している印象です。さらに問題は、中小企業金融円滑化法をうけた企業が、24件の倒産。これは先に、リーマンショック以降の緊急措置として、信用保証協会が金融機関の融資に、100%保証をつける制度を、今年度で廃止方向となる際の理由であった、役目は終わったとの説明と真逆の状況にあることを示しています。
ただし、この緊急措置は4兆円程度の焦げ付きを生み、すべて国費で賄わなければいけないため、早めにやめるべきです。そもそも、金融機関は融資する際、健全な中小企業までこの保証をつけさせ、倒産リスクを回避するなどモラルハザードが起きていました。一方で、一旦この制度をうけると、経営に不安があるかも…との見方をされ、その後の融資がうけ難くなる、との弊害も指摘されます。これは目的はいいが、手法が誤りなのであり、この措置がなくなると倒産件数も増加します。

金融庁が、地銀に対して有価証券の評価損を組み入れなくてよい特例を、今年度末から2年延長すると発表しました。これも誤りです。スペインの貯蓄銀行も、不良債権をためて破綻懸念が生じ、資金繰りがつかなくなりました。自己資本規制を先送りしても、不透明感が強まり、連鎖倒産を起こし易くします。一つ、破綻すると次の破綻する地銀探しが始まる、悪いパターンに陥るでしょう。
一方で、電力会社などの大企業を優遇するのも間違いです。中小企業は国を支える基であり、大企業はその上にのった上澄みです。上が消えれば、下から新たな企業が伸びる余地を生み、それが市場を活性化します。中小を切り捨て、大を生き残らせる手法が、社会の停滞を生むひとつの要因だからです。正しく生き残る大企業を切る必要はありませんが、失敗した産業、つまり電力業界のような、多様性を失ったものは早晩、改革が必要なところです。電力不足を起こさないことが責務、と盛んに述べていましたが、原発でない電力供給手段もあったはずなのに、その行動をとってこなかった責任は、一体誰がとるのか? その説明から必要だった、ということになるのでしょうね。

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analyst_zaiya777 at 23:17│Comments(4)TrackBack(0)政治 | 経済

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この記事へのコメント

1. Posted by おるおる君   2012年06月09日 00:33
大方のプロの市場関係者が上がると思っていたのに…東京市場は大きく下げました!
なぜ読み誤ったのでしょうか?
2. Posted by 管理人   2012年06月09日 01:18
おるおる君 さん、コメント有り難うございます。

日本特有の事情ですが、今日はメジャーSQ算出日でした。
以前、8750にポジションをつくる層がいたことを指摘しましたが、期先で買いを入れ、
オプションの持ち高整理をすすめたため、買いが重くなっていた部分が、かなり
今日の下げに影響しましたね。
欧州は上昇したものの、ギリシャの総選挙が延期になる、との弱い材料も語られた。
これは一部、売りスジから出た話のようですが、実際は下げに、下げを重ねる材料と
なり、それにはまってしまったのですね。

日本市場のもう一つの要因は、やたらと上昇に対して強いアドバンテージをかける、
といったこともありますね。
これも特殊要因として、日本ではデリバティブなどを駆使して、取引する主体が
それほど多くなく、信用などの売り建玉も積極的に運用に取り入れているところが、
少ない、ことがあります。
どうしても買い、でしかとれないことが影響して、買いに強い推奨をしやすいのですね。
ただ、これが日本の強みでもあり、アクティブが少ないため、相場の急変動でも
極端に損をするところは少ない。
ただ、相場が下がれば評価損などの影響はうけるので、結局そうした方向への
政府の手当ても多くなりますし、またそれに頼って抜け出せない運用も多い、という
悪循環みたいなものですね。
昨日も指摘しましたが、中国の利下げは景気の鈍化で、年後半にはインフレ率が
再び上昇する懸念があっても、やってきたというのは相当、景気が悪化している、
そうした認識をもつべきなのでしょうね。
残念ながら、今の市場は壊れていて、噂話での上げ下げが、異様に大きく膨らみます。
ヘッジファンドが自己資本規制などで、資金の出し手が減るのを警戒し、大仕掛けを
する可能性もあり、日本市場ではないかもしれませんが、何かおかしな動きがないか、
警戒する水準には来ているのでしょうね。
3. Posted by けやき   2012年06月09日 09:50
シロアリ退治が先決と大見得を切っていたのが、シロアリの部隊長になっていては、もはや誰も野田首相の言うことなど信じるはずがありません。このところ立て続けに大学、高校の同窓生たちと集まる機会があったのですが、皆いろいろ実によく知っていて、この点から見ても、マスメディアはすでに情報の面でもその主役の座を失っているようです。東電に限らず大手企業はいまや部品や労働者の流通管理業者に過ぎないものが多いと聞きますが、その低度故東電なども虚勢を張っているのかもしれませんね。
4. Posted by 管理人   2012年06月09日 23:30
けやき さん、コメント有り難うございます。

野田氏は明らかに、政権発足した時点で、寄る辺を間違えてしまったのでしょうね。
様々な利権団体、官僚、その上にまで立とうとした。
その結果、官僚やメディアからの支援は受けられても、国民の望みとは大きく乖離
してしまい、支持率が低下した。
結局、メディアも国民の世論の代表、と胸を張っていた時代から、今は単に利権団体
の一つ、むしろ言論を操り、日本を恣意的に扱おうとする組織、としか見られて
いないことの、証左でもあるのでしょうね。

建設業などでも、今は下請け、孫請けを多く抱え、その管理をするだけで高い利益を
上げるため、見せ掛けの価値を付加するだけ、というものも多いようです。
商品力、という大事な点は、管理の側からは中々出てこない、出てくるのは業務改善、
などなのですから、こうした点にも最近の日本企業が、どうして魅力的な商品を
出せないのか? それが見えてきますね。

東電にしろ、発送電分離などがあれば、大きく業態を改善することになりますし、
発電のみとなれば、競合する企業が出てきて、給与も自然と低くせざるを得ない。
そうなって、初めてモチベや人材の流出、という問題と直面することになります。
個人の契約にのみ頼って、値上げしてそれを防ぐ、という発想でいる限り、東電に
自己を律する力はないと断言できますし、そういう形であるなら、益々倒産させろ、
という声が大きくなることに、早く東電も気づくべきなのでしょうね。

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