田中法相の辞任と、輿石戦術石原都知事が新党立ち上げへ

2012年10月24日

貿易統計とさくらリポート

22日、24年度上半期の貿易統計が発表されました。3兆2190億円の赤字であり、輸出では自動車が伸びる一方、電子部品や鉱物性燃料の減少が大きく、トータルでは2%の減。輸入は液化天然ガスの伸びが24%に達し、非鉄金属は28%も減少していますが、トータルでは2.6%も伸びており、これで差し引きの赤字額が拡大しました。非鉄金属の輸入が減少したのは、日本でレアメタルなどの利用を減らす流れが加速するなど、一面ではよい部分もありますが、消費の減少で一部企業が生産を抑制している面もあり、これは世界的な傾向ともいえるのかもしれません。

Windows8が明後日発売されますが、それによるパソコン需要の減退が起きています。しかし発売されても、需要は強くないとされます。価格が上がる一方、未完成との噂もあること。及び法人需要が強くなく、Windows7でできることが引き継がれるなら、買い換える必要性が薄いことなどが挙げられます。電子部品や半導体の輸出に、この辺りも影響しているかも知れず、注意が必要です。
さらに自動車の輸出は、予想以上に伸びていますが、米国需要の強さが寄与しています。米国経済は低位でも堅調、とされてきましたが、業績悪化でふたたび従業員削減を計画する企業が増えており、今後の消費の伸びは期待できないかもしれません。米企業が示す見通しの引き下げは、明らかに今後の世界経済に対する不安であり、それは日本にも波及すると認識した方がよいのでしょう。

地域別でも、この傾向は鮮明です。輸出は、米国:16.6%増、EU:16.1%減、中国:8.2%減、アジア:4.7%減と、米国が減少に転じれば総崩れ、といった状況です。日本の消費は海外よりも堅調であるため、輸入はどの地域でも微増しており、これが貿易赤字の主因という見方もできます。
日銀がさくらリポートをだしました。7月が総じて判断を引き上げたため、10月は東北を除く8地域で景気判断を下方修正しました。中身でやや心配なのが、設備投資は増加している、と米国とは少し異なる動きがみられることです。個人消費が3地域から『底堅い』とされるものの、横ばいから弱含みとされるなど、国内需要は決して旺盛ではない。海外がこれほど減速傾向を示す中での設備投資ですから、これが過剰投資や在庫の積み上げにつながり、長期的な景気を冷やす要因になりかねません。

さくらリポートをうけ、30日の日銀政策決定会合で緩和策がでるとの期待が高まりました。政府は、日銀法改正を脅しに、資産買入れ基金を20兆円ほど積み増し、100兆円規模に増額するよう求めています。ECBは無制限に国債買入れ、FRBは無期限にMBS買取り、と上限を撤廃しており、20兆円を積み増しても焼け石に水です。それに買取額が増えても、これまで景気浮揚効果がなかった対策が、閾値を超えていきなり景気に寄与するとは到底思えない面もあります。やらないよりマシ、というぐらいです。
しかし市場の期待値がこれほど上がると、やらないと売り叩かれる懸念も生じます。最近の欧州CTAスジは、日経ミニ、TOPIXミニに大きな傾きをつくる傾向にあり、それが買い上がる要因となってきましたが、今日辺りからポジション整理の動きもみられたようです。残念ながら、これからしばらくは企業業績に期待できず、市場の上値追いは厳しいところです。貿易統計やさくらリポートから分かること、それは中央銀行の対策にも限界がみられ始め、今後はより厳しい政策による対応が必要だ、ということです。しかし米中がトップ交代の過渡期にある中、日本も政局が混迷に陥り、野田氏が政権を続けることが市場のリスクとなってくるでしょう。冬にむけて、諸課題をこなす世界とともに、日本の政治リスクにも目配せが必要となってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:18│Comments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

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この記事へのコメント

1. Posted by tora   2012年10月24日 23:29
米企業業績が著しくなくNYは大幅な下げが加速してる中で日本が総じて強い動きをしてるのは違和感がありますね。
すでに世界経済は景気減速が顕著になっているので中央銀行による緩和も飽和状態でしょう。
中央銀行の緩和により財務状況が痛んでいるのは不安です。
EUもすでにモルヒネが利かなくなっている中で対策は打ち尽くしているのでここからはいつまで経済が持つか?というところですね。
リーマンショックほどの悪影響がすぐに来るのではなくじわりじわりと悪化しているのが問題ですね。
これに有効な対策が今の政府では打てないことも危険です。
2. Posted by 管理人   2012年10月25日 00:01
tora さん、コメント有り難うございます。

米株市場からの資金引き上げ分、その一部を日本に向かわせている、という話も
あるようですが、米国は財政の崖で、株取引の税額が上がる可能性もあり、
そうした面も日本の上昇には多少、寄与しているのかもしれませんね。
無期限、無制限の上、というサプライズは狙いにくく、仮に中央銀行が何らかの
対策をうつとしても、今後は効果を吟味する必要も生じるでしょう。
残念ながら、特効薬も免疫もない病にかかっている中で、一生懸命に栄養剤だけを
点滴しても、病気が改善することはないのでしょうね。

病気とは、即ち不良債権であったり、国家債務の拡大であったり、解消にかかる
資金を、空手形で調達するのでない限り、かなり経済を痛めることになる。
それを避けてきたばかりに、今や健康と呼べる箇所はどこにもなくなり、病気の
悪化を招いている、ということになるのかもしれませんね。
日本のことを学んだはずの欧米が、日本が一時期の苦境から脱したときは、
国家が不良債権をひきうける、という大胆な措置をしてからであり、欧州では
銀行監督の一元化も叫ばれますが、本質的には、ではそのバッドバンクにどう
資金を手当てし、一部を破綻させ、整理統合させるかのプロセスを示し、実践して
いくぐらいの気概をもたせないとダメなのでしょうね。

中央銀行も、FRB連銀が指摘するように、出口戦略をえがくことが相当に難しく
なり、仮に経済が順調にいっても、どうやってこの過剰流動性時代を終わらせるかは、
世界的な研究課題になるのかもしれません。
その前に破綻してしまえば、その方が問題ですが、もう世界は以前と同じ状態に
もどるためには、相当の時間がかかることを、覚悟するときに来ていると、言える
のでしょうね。

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