民主党の動きTPPに反対する理由

2012年11月19日

亀井氏が新党立ち上げ

各社世論調査が出ましたが、内閣支持率など上昇、下降が各社によって異なり、政党支持率でさえ維新に対するものでは違いが出ており、内容がまったく信じられません。各社、自分たちに都合がいい回答がでるよう、A群、B群などの電話をかける相手を使い分けたようであり、数字に意味はなく、傾向すら不鮮明となりました。各社で、戸別に世論調査をする意味があるのか? 番組制作費の削減が叫ばれる昨今、なぜ統一した調査によって、結果を各社が分析する手法をとらないのか? 結局、世論調査は自分たちが世論をいかに誘導したか、それを知るのが目的なのでしょうね。

亀井氏が新党『反TPP・脱原発・消費増税凍結を実現する党』(反TPP)を立ち上げました。ネーミングセンスはありませんが、小政党なので、存在感を出したかった。そして自らの主張で突出することにより、利を得るのは意外と生活です。現状、自民、民主、維新までがこの反TPPとは対立する主張となっています。そして、生活と反TPPが組むことにより、生活もこの主張を強く訴えることができる。つまり、自民、民主、維新が争点化するつもりのないこれらの政策に光が当たり、改めて対立軸とすることで第三極の中心に生活・反TPPが立とう、という亀井氏の戦略がみてとれます。
既得権益との関係は、原発政策をみれば一目瞭然です。民主は2030年までにゼロを目指す、と原発再稼動ですでに関係を結んだため、曖昧です。自民は10年かけて議論、ただそんな悠長なことをしていても、使用済み核燃料がたまり、使い物にならなくなりますので、これは逃げです。維新は石原氏に配慮したのと、関西経済界からの圧力で態度が不鮮明になりました。つまり民主、自民、維新とも既得権益とは、それなりに上手くやっていきたい、との思惑から国民に選択権を与えていない。逆に、反対やゼロと打ち出せる政党は、それだけ利権団体の圧力は受けていないことを意味します。

TPPも、実体としては景気にマイナスです。細かくやると長いので割愛しますが、TPP交渉もある段階までは、交渉の内容、経過について政府がつかんだ内容が公表されていました。ただ交渉が止まったためか、日本にとって都合悪い条件になったか、ある時から情報が止まっています。これはすでに、日本が交渉に参加できる余地はなく、反対派を勢いづかせるとの判断から情報が止まった、とも推測でき、仮にそうであるなら、最早日本にとって参加する価値は皆無ともいえます。
消費税増税も、安倍氏が「無制限緩和」などという、無茶な提案をするのも財務省の肩書きであり、遮二無二経済を上向かせ、何としても計画通りに消費税を上げたい。そのための金融緩和とも読みとれます。すでに、三党合意で特例公債法案を、2015年まで国会審議を経ることなく通してしまう。財務省に都合のいい法案が通り、憂いはすでに後退局面に入った景気です。財務省は、安倍詣でをくり返しているとされ、そこで刷り込まれたのが財政出動せず、金融緩和によって景気回復のシナリオだと推測できます。つまり、これらも官僚利権と密接に絡みついた内容だといえます。

メディアはTPP、原発、消費増税ともに利権と結びついており、反対はしない。そこで矮小化してきましたが、発信力のある亀井氏が、そこに対立軸として明確に打ち出した。これで、イヤでも政局の俎上に三大争点はならざるを得なくなった。これが、小沢氏の無罪確定の日と重なったのは、偶然なのか、亀井氏の戦略なのか。いずれにしろ、これが第三極Aチーム、とされる維新側と、第三極Bチームとなる生活・反TPPという構図で戦いやすくなったことで、新たな展開が予想されます。
国民が、最大に関心あるのは原発政策であり、80%が反対ともされます。亀井氏が郵政の後、新たな材料を探しているとは見ていましたが、この構想のために石原氏の誘いを蹴ったとすれば、本気度も高いのでしょう。メディアが如何に自分たちの都合いい意見を集めるため、世論を勝手に区分けしようと、国民の最大意見を集める政党が勝てるようでないと、国民のストレスが最大化されるだけです。亀井氏の読みが、成功するかどうかは、大いに注目を集めるところなのでしょうね。

このエントリーをはてなブックマークに追加
analyst_zaiya777 at 23:29│Comments(8)TrackBack(0)政治 | 一般

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by tora   2012年11月19日 23:41
金融緩和では景気回復は今ままでも緩和政策でもこうかも薄く、積極的な財政出動がなければ底上げも無理でしょう。
外需はだめ内需も景気後退期に入り期待できない、来年はさらに世界経済は各国の財政出動による財政の悪化により破綻危機が本格化するでしょう。
安部氏は前の政権時に役人・マスコミに足を引っ張られた教訓を学んでいなければ財務省の罠にはまるだけで国民の失望・怒りを受けて短命政権に又なるのかも知れませんね。
2. Posted by 管理人   2012年11月20日 00:03
tora さん、コメント有り難うございます。

金融緩和を訴える人の中に、欧米と同じ…と使う人もいますが、欧米はインフレで、
人口減社会にもなっておらず、そこで打たれる金融緩和と同列に、日本の状況を
扱っている時点で、経済をよく知らないのでしょうね。

需要を生み出すには、特に先進国では今までなかった市場、ニッチでもよいですが、
そこを狙うしかありません。
そういう意味でも、タブレット市場など、日本企業が優位性を打ち出せる可能性も
ありましたが、完全に出遅れて、今ではお荷物な事業になりつつあります。
そうして、需要の創出に知恵を生かし、そこに政策、資源を投入する。
そういう形であれば、財政規模に関わらず、大きな成果も得られますが、そうした
政策を打ち出すでもなく、カネをばら撒けば上手くいく、などはどんなリフレ派か、
マネタリストか、といったところですね。

来年は、世界経済の矛盾、ほころびによって、有効需要が著しく低下すると
予想されます。
共産の意見がこの点では正しく、日銀は金融機関との資金調整はできますが、
民間に行き渡り、需要を生み出すのは政府の責任です。
日銀は、2000年代の量的緩和の結果、何が起きたかを知っている。
新自由主義によって、日本は新興国化することになり、需要が減退していく中で
デフレは悪化、マネタリーでは本来、突出していたにも関わらず、日本は長期の
経済の低成長を迎えてしまった。
金融緩和では、それが限界なのですね。

安倍氏が、本当に財務省に唆され、無理矢理日本を泥沼の金融緩和による経済に
陥れるなら、その効果、実験的な手法により、日本は経済が破綻することも想定
しておくべきなのかもしれませんね。
3. Posted by そふぃあ   2012年11月20日 04:21
亀さんは一座の座長みたいに芝居がかってますが何時も本気なんです。時に座長を外されたりしますが……(笑)。
石原に誘いを掛けたのは大芝居でしたが、身勝手な石原が載って来なかったのは幸い。その後の石原の誘いを拒否したのは正解でした。今回山田とともに新一座を立ち上げた心情は理解できます。新旧犇めく座長の中で面白い立ち回りを演じてくれるものと期待します。
それにしても「反TPP」の幟幡は何とかならないだろうか?
4. Posted by 秋田太郎   2012年11月20日 09:52
日々の時事解説ありがとうございます。

TPPは農業関係者だけの問題のようにあつかわれてますが、実は医療、保険など幅の広い協定なのですね。

この中にISD条項というのがあって、例えば地方の行政が、関税障壁になりかねない条例をつくることが困難になると聞いています。

これはグローバル化の名のもとに地方の権利を奪う協定のような気がしますが、維新の会の主張と矛盾しないのでしょうか。

民主党のTPPの話は、言後同断です。
協定には、労働市場の開放もあると思いますが、民主党の支持団体はTPPを容認しているのでしょうか。
5. Posted by RALLY NEW WAVE   2012年11月20日 14:28
こんにちは。今まで知りませんでした。有難う御座います!!よい情報を期待しています!
6. Posted by 管理人   2012年11月20日 23:39
そふぃあ さん、コメント有り難うございます。

そうですね、反TPPの旗は、一見して主張は分かりますが、政党名とはとても
思えないものなので、そのこと自体はマイナスなのでしょうね。
政党要件を充たし、各局の討論番組に出れば、イヤでもその存在感で、マイクを
奪い取っても浪曲ばりの亀井ブシを吟じてくれますが、二人しかいないと、
存在感も薄くなってしまいそうですね。

石原氏とは、そもそも政策面では遠かったので、最初に石原新党の話がでたとき、
首を捻りましたが、今回は二人だけなので主張がしっかり出ましたね。
亀井氏にとっても、小沢氏にとっても、選挙に強いとされる人物は、明らかに
これが争点として、選挙に有利とみている。
それだけ、目を背けてはいけない内容であり、それを無視して他の党に投票し、
失敗した、という意識をもたせないよう、先鋭化させたのでしょう。
今回の亀井一座、大立ち回りを演じてくれると、選挙の風向きを一変させて
くれそうですが、ここから次の戦略がカギになるのでしょうね。
7. Posted by 管理人   2012年11月20日 23:52
秋田太郎 さん、コメント有り難うございます。

TPPは基本的に、すべての金融、サービスに関するものまで障壁をなくす協定
なので、時限的に例外品目は認められても、いずれは障壁撤廃が各国で必要に
なりますね。
そしてそれが紛争、つまり国家対投資家、業界団体などの調停を行うのが、
ISD条項に規定された、裁判形式の調停となります。
このISD条項の問題点は、欧米の政治、制度、仕組みを最善と認め、その中で
生きてきた審判員により、決められてしまうこと。
つまり交渉力、訴訟能力に関わらず、欧米の仕組みの方が有利な状況にある、
という状態にあることです。
残念ながら、日本が有利な条件を勝ちとることは困難で、さらにそれはTPP交渉の
段階からそう、と云えるのですね。

維新の会のブレーン、竹中氏はCIA日本支部、と云われるほどの親米家です。
そして生粋の、市場原理主義であり、改革、開放路線の急先鋒であるため、
TPPに参加しない、という判断は皆無です。
地方ばかりでなく、日本のあらゆる面で構造改革を迫られますが、竹中氏に
とってそれは『良いこと』なのでしょうね。
一方で、民主の支持母体である連合にしても、この効果について、過小評価
している面と、よく分からない、という面が影響しているのでしょうね。
正直、項目は多岐にわたりますので、よほど精通していない限り、すべてを
網羅し、影響を分析できるのは困難ですからね。

一方、官僚がこれを推進するのは、知日派との連携をはかる官僚の一派がおり、
米国には逆らわない機運が、官僚にもあるためです。
それが自治労などにも波及し、TPPにも反対していないのでしょうね。
ただTPPは、日本にとって厳しい現実を突きつけるのであり、決してただの開国で
日本が成長できる、といった類の話にはなりません。
それを知らず、日本は同じ失敗をくり返すなら、とり戻せないほどの停滞を
生んでしまうのかもしれませんね。
8. Posted by 管理人   2012年11月21日 00:00
RALLY NEW WAVE さん、コメント有り難うございます。

日本の政治家、政党も、今は色がよく分からないですからね。
保守でも自由主義、新自由主義と近い人や、そうでない人もいますし、
石原氏は憲法改正など、保守? という位置づけとはかなり異なりますが、
戦後からの脱却、という強い意志のある保守、という形です。
橋下氏も、竹中氏をブレーンに迎えてから、かなり市場原理主義、新自由主義
に近づいていると感じますが、恐らくその色が出るのは、維新が政権をとって
からで、それは今回の選挙では、曖昧としたままになっていますね。
何しろ、竹中氏と平沼氏らは仇敵で、どちらにとっても不都合な関係ですから。

もう少し政治家が、色分けされる形が、政界再編なのですが、今回は自民が
大勝しそう、という感触があり、そこまでの動きがおきそうにありません。
既成政党 対 第三極、という構図には、政界再編を促す意図が含まれるの
ですが、残念ながらそこまで第三極が伸びるか? 後一ヶ月弱で、風が吹いて
第三極が躍進するなら、その次の選挙では、政界再編による棲み分け、
政党と主義、主張がはっきりとリンクしてくるのかもしれませんね。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
民主党の動きTPPに反対する理由