安倍政権と官僚との付き合い方安倍政権は短命になるのか?

2013年06月17日

雑感。G8が開幕

安倍首相がG8に参加する前、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー(V4)の首脳と会談、共同声明を発表しています。エネルギー分野の協力を謳いましたが、日本がよほど革新的技術を提示しない限り、原子力にしろこの地域からの受注は難しい。それはEU圏内であり、西欧との結びつきが強いこと。またODAという手法が使えず、日本製を受注するインセンティブが低いためです。
安全保障面での協力にしろ、EUとしての姿勢と大差ない。かつての共産圏時代、中国や北朝鮮と近かった、といっても、今はもう重要情報をやりとりする間柄ではありません。北朝鮮からの出稼ぎ、留学を受け入れるぐらいで、EUに情報が洩れることを怖れた中朝側から、深い関係を築こうとも思えない。関係を深めておく、ぐらいの成果と考えておけばよいのでしょう。

G8が始まります。初めに、日米首脳会談は開かれない。オバマ大統領は相変わらず、安倍氏が嫌いなようです。電話会談をしたから、ではなく、電話会談で済まされた、というのが正しい認識です。本来、十分でも会談し、握手するのが日米同盟を伝える意味でも必要なのですが、それすら拒まれた。日本は立ち話でも…と食い下がっていますが、待ち伏せして偶然を装う、といった手をつかっても…が日本側の本音です。米国の仏心がどの程度かを、このG8で知ることができます。
図らずも注目されるのが情報分野です。昨年後半だけで、米政府からFacebookに約1万件の情報提供を求めていた。さらに元CIA職員による、他国の情報をハッキングしているとの証言もあり、世界全体で情報の扱い方が議論されます。そして多国籍企業における、課税の問題。これは声明の草案がすでに洩れており、国別で課税額を当局に報告することを、義務化するとの内容までは踏みこまない、となっており、どうも今回のG8では結論が出そうにない問題となっています。

オバマ氏は日本とは懸案がない、としますが、実はこの情報に関しても調整が必要です。例えば、日本が米政府の意に反して動いていないか、監視する目的で、日本をハッキングしていたら? 仮に中国をハッキングして、重要情報が分かった場合、日本と共有してくれるのか? もう確認している可能性はありますが、今後も米政府は情報収集をやめないでしょうし、それが極秘裏に行われるからこそ、トップが会って確認しておく必要があります。今はそんな信頼感すら、日米では築けていません。恐らく米民主と日本の自民は、今後もこうした関係が続くのでしょう。
課税の問題にしても、日本ではすぐ法人税減税の話になりますが、欧米はむしろ逆で、企業の租税回避を防いで税収を上げる方向です。民間でも、租税回避をしていた企業の不買運動を行い、企業を徹底的に糾弾する。社会的責任を果たすよう、働きかけていく流れです。今回は結論が出そうにありませんが、将来的には差額分を納税させる、といった方向性になるかもしれません。

注目はされても、今回も決めきれない国際会議に終始するのでしょう。チェコでは昨日、内閣官房が首相の妻を、軍を使って監視したとの醜聞により、首相が辞任しました。情報の扱い方一つが、国や政府の信頼感にも直結する。安倍首相のFacebookでさえ、米国の監視対象かもしれない。そう考えると、今はIT戦争の真っ只中にあり、日本が出遅れていることに危機感をもつべきなのかもしれませんね。

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analyst_zaiya777 at 23:11│Comments(2)TrackBack(0)政治 | 一般

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この記事へのコメント

1. Posted by tora   2013年06月17日 23:20
現代戦争は情報戦が主役ですから。
情報がザるナニホンニマトモナジョウホウはださないでしょう。
今スマホが売れてますがあれは情報保持がザル過ぎて被害が頻発してるので今だ自分は買ってませんね。
憲法改正よりもはやくスパイ防止法を作るべきでしょう。
2. Posted by 管理人   2013年06月18日 00:41
tora さん、コメント有り難うございます。

日本は、どうしても情報戦の分野では遅れますね。
恐らく平和ボケ、と呼ばれる部分の、最たるものは情報統括機関がないこと。
メディアは独自の価値観に凝り固まり、官僚と組んで恣意的に情報を扱いますし、
政府の情報の伝達方法、海外における宣伝工作などは平時そのものですからね。
常に世界の警察として有事体勢をとる米国、朝鮮戦争という現実から情報局を
もつ韓国、中国も軍内に情報戦を仕掛ける部隊がいますし、英国もイスラエルも
諜報機関が発達している。

かといって、日本に今から秘密警察をつくる、などとすれば、抵抗も強いので、
政治決断もできないのでしょうね。
個人的には、自衛隊を廃止し、警察権の一部にするという提案の中には、警察が
情報戦のプロとして、犯罪抑止と同時に、海外との情報のやりとりをキャッチ
する仕組みがあれば、機能するという部分もあるのですが、それすら議論も
されないような国ですからね。

iPhoneにしろ、Androidにしろ、基本はネットとの接続を簡便にし、権限はユーザー
が決める、という手法ですから、権限の中に不正なプログラムがあっても、見抜く
のは容易ではないですからね。
セキュリティソフトを入れても、使用者が許諾したものを否定することもなく、
情報のやりとりで可笑しい部分をチェックしてくれるだけ。
基本は、もたないが無難ですね。
日本の場合、スパイ防止法をつくろうとすると、そこに余計な権限を加えよう、
という動きが出てきます。
個人情報保護法など、まさにそれで、官僚が体のいい隠れ蓑にするため、法解釈を
ゆがめてしまいました。
スパイ防止法も、法律を見抜く政治家が増えない限り、個人を制限するもの
でもあるので、中々通ることはない法律の一つなのでしょうね。

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