GDP改定値と個人マインドの悪化雑感。うそと安倍首相と新聞

2013年09月10日

中国経済に回復の兆し?

安倍首相が9月中に経済対策パッケージをまとめ、消費税増税による落ち込みへの対策とする方針を、閣僚に指示したと伝わります。しかしここには大きな矛盾があり、増税できるほど景気が強いことが、増税の前提であるはずです。新たに景気対策が必要なほど、回復が脆弱なら、本来は増税すべきではありません。しかも復興需要、五輪需要、国土強靭化計画と財政出動は目白押しで、逆にいえば景気対策が利きにくい環境であることも、このパッケージに懐疑的にならざるを得ません。特に、低所得者に1人1万円? なる案で、何が景気対策かもさっぱり分かりません。
読売が、消費税増税に反対の社説をうちましたが、理由は軽減税率の導入が間に合わないこと、です。しかしこれも大いに矛盾しています。増税だけ先に決め、中身は後で決めるからあのときは賛成でした、は通りません。こういう形でなければ賛成できない、それが正論の主張です。スケジューリングは決まっており、議論が間に合わないことも予想できたことです。自分たちのロビー活動が上手くいかず、新聞に軽減税率適用がないから反対、といっているようにしか聞こえません。

最近、中国の経済指標に好調なものが目立ちます。今日の8月鉱工業生産指数も10.4%増と市場予想9.9%増を上回ってきました。1-8月固定資産投資は前年同期比20.3%増、不動産投資は19.3%増でした。さらに広義の資金調達である社会融資規模は1.57兆元と、前年同月比25%も上回っています。
しかし警戒も必要です。習体制になってから、一時期は不動産投資などに規制をかけ、投機を抑制した結果、想定以上に景気が落ち込んでしまったため、今はその巻きなおしの動きが起きている、とみるのが一般的です。しかし一度落ち込んだ景気が、そう簡単にもどることがないのは、経験則です。中国のような共産主義体制に当てはめるのは危険ですが、今回は中央からの号令で、地方の統計局が好調な数字を報告した結果である、という公算も強い。本当に鉱工業生産が伸びたとすれば、在庫投資の側面が強く、消費の弱さからも国内外において過剰在庫の懸念があります。

もう一つ気になるのが、社会融資規模の伸びです。シャドーバンキングは、個人や中小などが一度手をだせば、通常の金融機関の融資対象とはならない、それが鉄則です。シャドーバンキングの実態はつかみにくいですが、仮に100兆円程度としても、1月で25兆円も伸びれば、融資対象が被っている可能性が高い。つまり金融機関が資産の劣化を覚悟で、ムリして融資したとしか思えないのです。
数字の信憑性が低いので何ともいえませんが、不動産投資にしろ、価格の伸びは一部の回転取引によって押し上げられている側面もあります。いくつかの主体が、買いをくり返して値を吊り上げている。鬼城のように、無人の都市ができている現状で、相対的に価格が押し上げられているとすれば、投機対象としての価値しかなく、値を飛ばすことで双方が資産を増やしている。これは金融取引としては、極めて危険なやり方です。ここもとの中国経済は、回復というより終わりの始まり、としか見えず、実態がみえたときの中国経済は、矛盾だらけで修復不能になりかねないのでしょうね。

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analyst_zaiya777 at 23:25│Comments(2)TrackBack(0)経済 | アジア

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この記事へのコメント

1. Posted by けやき   2013年09月11日 13:50
一昨日東電福島原発事故をめぐり告訴告発された東電幹部らに対し、東京地検は42人全員を不起訴としました。津波は予測困難で、また対策を始めても間に合わなかったと、不起訴理由に挙げています。事故は津波の前に地震によって引き起こされたという説もあるのに検証されず、対策をとってもどうせ間に合わなかったということで、対策が放置されたことを容認しているわけです。東京地検は家宅捜索、現場検証、拘置尋問もせず放免したわけで、権力の番人の面目躍如というところでしょうか。それにしても一貫して他人事のような東電の対応を見るにつけ、3・11地震、原発事故の背後には、とてつもない闇があるようですね。一方原発再稼働を進める安倍首相は、ベトナムや中東で原発を売り込む際、核燃料廃棄物を日本が引き取ると言っているそうですが、これでは福島が国際的な核のゴミ捨て場にされるのではないかと憂慮されます。今政府やマスメディアは東京オリンピックで盛り上げようとしていますが、日の出を象徴する前回と違って、次回は落日前の夕映えになりそうな気がしてなりません。
2. Posted by 管理人   2013年09月11日 23:29
けやき さん、コメント有り難うございます。

検察が、裁判所でもないのに罪であるかどうか、公の場で検証することを放棄し、
国策として司法の場の活用を渋った、その一例なのでしょうね。
陸山会事件のとき、司法の場で明らかにすることが大事、と報じたメディアが、
この件ではまったく逆で、淡々と事実だけの報道でしたからね。
原子力ビジネスの背後には米国があるので、彼らも強気です。
司法とて昔から、ロッキード事件のように米国に都合の悪い人物をつぶすことに
手を貸してきましたし、陸山会事件もそうした一面を指摘されています。
残念ながら、日本の司法は決して誇れるような姿はしていないのですね。

日本で核廃棄物を引き受けることは、ほぼ不可能であることは、低レベル廃棄物の
一時保管施設でさえ、困難であることでも明らかですが、政治家はどうせ廃棄物を
受け入れるとき、自分たちは政治家じゃない、という甘い試算があるのでしょうね。
以前から指摘していますが、安倍政権はやること為すこと、今だけ良ければ…と
いった姿勢がめだちます。
うそをついても、とりあえず実をとれればいい、将来的な批判をうけても、そこで
政治家である人間は、ほとんど残っていないでしょうね。

日本は「おもてなし」をキーワードに五輪をかちとりましたが、これは『表なし』。
上っ面だけはよいことを言う、表に現れることに真実はない、という意味でとる
なら、裏にあるどろどろとした闇に、うんざりする人間が今後も増えてしまう
ことになるのでしょうね。

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