GDP2次速報と景気ウォッチャー調査春闘と蠢動

2014年03月11日

日銀会合と年金の財政検証

日銀の金融政策決定会合後、黒田総裁が会見していますが、若干不安の残る内容でした。輸出については下方修正したものの、設備投資、生産については上方修正するなど、直近の経済指標を正しく読み取っているのか? ということです。しかも輸出の下方修正も、米国寒波や中国春節の影響、など一過性としており、混乱する新興国経済の影響は、半ば無視している印象です。
つまり政府の景気見通しと極めて整合的であるものの、それは消費税増税を正当化するための口実なのですから、日銀があえてそれと同じにする必要はなかった。むしろ同じにしたことで、日銀の判断に不安を残す、という結果です。さらに昨日発表されたGDP2次速報でも、GDPデフレーターはマイナスのまま。つまり輸入物価の上昇を、価格転嫁できていない現状も浮かびますが、それも日銀は一過性で、自然と価格転嫁がすすみ、インフレに至るという見通しももつようです。

しかし消費の鈍化、さらに過剰供給の状態にあれば、価格転嫁すればさらに売れなくなるため、できるはずがない。こうした構造的な問題にまで日銀は踏みこんでいない。今日の総裁会見では、放っておけば輸出も、生産活動も回復し、日本経済はよくなる、と述べているようです。それらもすべて、政府が景気見通しを引き上げ、またインフレを是として政策をすすめることに整合し、その論理が崩れたときへの論理武装を何ももっていない、ということを示しています。
そこで気になるのが、始まった年金財政検証のための会議です。5年に1度、年金が持続可能かどうか、経済前提と給付などのバランスがどうか、を検証するための会議なのですが、その経済前提が政府の示す2%の物価上昇と、ここ10年の成長率が実質で2.1%というものなのです。すでに2013、14年度はこの見通しを下回る、とみられますが、この会議ではこれを用います。勿論、それより悪いモデルケースもありますが、数字を舐めればいくらでも年金制度の持続性について正当化できてしまうのは、従来からくり返されてきたことです。逆にいえば、上げ潮派が政権にある限り、ずっと経済成長して将来は安泰、と言う結果にしかならないことを示します。ナゼなら、これは結果に基づく反映ではなく、希望的観測に基づく推計になるためで、上げ潮派は自分たちの行動を正当化するため、常に経済成長をその希望的観測にすえる傾向があるためです。

これは昨今のベア議論にも関係します。ベアをすれば企業は年金の負担も増します。逆にいえば、年金財政自体には好材料です。今のように、為替差益による業績改善を賃上げの理由とした場合、為替差損がおきた際には賃下げの動きが起こりかねない。円高で年金財政の逼迫、などという事態も起きかねません。つまり経済成長と同様、ずっと円安を志向していないと苦しくなる、と何ともおかしな話になりかねない。将来的には、それを根拠として円安を正当化するような議論すら、起きかねないのが今の政府の態度には、含まれているといえるのでしょう。
さらに、政府の方針に従って、年金の運用弾力化が度々話題に上がります。しかしこれも経済成長する、という前提があってのことで、本当に経済が成長するなら、確かに株式など、成長を享受できる投資をすすめる必要がありますが、ここ2四半期の成長率をみる限り、それは必要ないレベルの成長しかしていないのです。逆に、ふたたび低成長に逆戻りするなら、運用リスクの方が高くなり、株式投資は不適ともいえる状況になるのです。政府が示す経済成長見通し、正当性すら疑わしい、そんなものが一人歩きして、経済、金融、財政政策を蝕んでいる。昨今はじまったいくつかの議論で、これまで抱えてきた日本の病巣が、さらに深刻化していることが示される。これが、潜在的に感じる不安として意識されるところなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:43│Comments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 年金

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
GDP2次速報と景気ウォッチャー調査春闘と蠢動