ギリシャ支援延長で合意?西川農相の辞任

2015年02月22日

雑感。使用済み燃料棒の中間貯蔵に関する提言

福島第一原発で、港湾へとつながる排水路に、高濃度の放射性物質が流れる警報が鳴りました。一部は流出した恐れがあるとされます。東電は上流で泥をとりのぞく清掃をしたことが原因、としますが、そうなるとそこの泥には元々高濃度の汚染があったことになります。作業計画はどうなっていたのか? 被曝の管理からも明らかとなるはずですが、そうした情報は出てきません。それに、泥にそれほど高い汚染があるなら、施設全体のサーベイをもう一度やり直す必要があるのではないか? 線量管理の杜撰さによって、毎回こうした排出騒動をおこすようでは、漁をする人もたまったものではありません。外海に洩れたかどうかは確認できませんが、風評被害ばかりでなく、実害としても放射性物質が度々漏れ出しているのですから。

日本学術会議の検討委員会が、使用済み燃料棒を電力会社ごとに一箇所以上、保管場所を確保し、当面は地層処分を見合すよう、提言しました。事実上、地層処分については再処理すらめどが立っていない状況ですが、使用済み燃料棒を50年、空冷で管理するという提案も、若干の不安を感じます。燃料棒の被覆管も劣化しますから、空中で湿気にさらされると、その分酸化がすすみ、脆くなります。水中なら酸化は遅いので、被覆管の劣化という面では有利です。また燃料棒の間を広くとらなければならないなど、施設の大きさも問題となってくるでしょう。
一方で、水冷だと福島と同じように汚染水の問題が残ります。トラブルがおきて漏洩した際の影響は甚大です。空冷だと揮発する可能性もなくはないですが、フィルターを設置すれば防げるなど、トラブルの対応は楽になります。一長一短ありますから、慎重にする必要があるのでしょう。ただ問題は、原発の敷地以外で保管施設をつくれば、地方自治体への補助金も大量に必要となるでしょうし、それ以上に安全な立地があるのか? という問題があります。原発よりリスクは高くない、といっても未だに明らかとなっていない活断層があったり、噴火の危険が高まったり、とどこも安全を担保しつつ設置できる場所がありません。

また地元の理解が得られるか、という問題がつきまとうでしょう。原発なら関連産業で街の活性化が図られても、保管施設ではそうした恩恵は微々たるものです。福島原発からでた汚染土の中間貯蔵施設でももめたように、単なる貯蔵施設にはリスクに見合うだけの補助金がないと、受け入れるメリットがない、という問題がつきまといます。結局、そうした施設をつくれば、原発はさらに高コストの発電方法となり、続ける意義も失われます。そうまでして原発を使い続けるのか、という問題との兼ね合いから議論しなければならないのでしょう。
原油安で、火力を使う方がメリットも高まりました。原発の再稼動を急ぐ必要性も薄れたのです。安全対策をすればするほど高コスト、という現状を考えると、安全をほどほどにして動かさなければいけないほど、日本のエネルギー需要が逼迫しているわけでもなく、兼ね合いで考えるなら、今は火力で十分という話になります。福島原発で度々おきる漏洩の問題を考えると、安全対策をきちんと行った上で作業するより、ほどほどの対策で少し洩れるぐらいなら仕方ない、という考え方が透けてみえます。原発のコストが低いのは、安全性が低いから。そうしたバーターで発電を正当化するなら、リスクの高騰によって、原発関連施設の建設は、住民から拒絶される原因ともなってくるのでしょうね。

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analyst_zaiya777 at 23:20│Comments(2)TrackBack(0)原子力 | 社会

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この記事へのコメント

1. Posted by いろはのい   2015年02月24日 17:13
原発の価格メリットがなくなり、今度は地球温暖化を強調する記事が多くなってきたようです。しかしNYは65年ぶりの寒波とかで、温暖化の実感もありません。都市部は暖かくなっているかもしれませんが、CO2とは別の要因でしょう。
 経済発展のために原発が必要、と言っていた評論家の人たちが今どんな意見なのか、聞いてみたい気がします。
 核廃棄物を空冷、となると大気中に漏れ出す危険も増えますが、そのうち少々の放射能汚染は健康に問題なしというデータが、どこかから出てくるかもしれませんね。
2. Posted by 管理人   2015年02月25日 00:19
いろはのい さん、コメント有り難うございます。

二酸化炭素の排出も、原発は直接の排出はありませんが、ゼロではありませんし、結局は長い間保管、管理という経済活動を必要とするなら、その間ずっと二酸化炭素を排出する計算になりますから、短期間でだすのと、長期間がいいか、その選択ともなりますね。

寒波も温暖化が影響、とされますが、要するに寒気の蛇行が大きくなり、南へと北極海の寒気が下りてくることが原因のようです。ただ、温暖化の原因そのものが二酸化炭素とは断定できず、今となっては欧州の排出権取引も、下火ですからね。そもそも二酸化炭素よりも、他の要因で温暖化がすすんでいるという説が正しいようですし、米中などが大気汚染を止めない限り、日本で微々たる量を議論しても大した意味がありませんから、原発の議論にからめることがおかしいのでしょう。原発は、経済発展のためというより、経済を担う財界の人間のため、という方がよりシンプルで、的を射ているのでしょうね。

燃料棒を空冷しても、被覆管が大丈夫なら、大気汚染も防げるのでしょうし、フィルターはとりつけるでしょう。ただ、東電が実は外海に放射性物質が洩れていた、という件をずっと公表しなかったように、その安全性が担保される保障は、どこにもありません。洩れたら、健康には問題ない、という怪しいデータを元にしたものがメディアから垂れ流されるのでしょうが、その前に汚染物質を垂れ流さないよう、全力を尽くすものでない限り、どこも受け入れてはくれないのでしょうね。

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