雑感。日経の世論調査資金需要とスーパー売上高

2015年04月20日

メディアが政権批判をすることの意味

今日の東京株式市場は落ち着いた取引でした。19日、中国人民銀行が預金準備率を1.0%引き下げ、市場に融和的な態度を示し、上海市場が落ち着いていたことも影響するのでしょう。先週末の空売り拡大も、機関投資家など一部にその権限が与えられるだけなら、これらはヘッジの空売りをしても、市場を暴落させるような売りは出さない、と推測されます。それ以上に、預金準備率を下げたことで余剰マネーが市場に流れ易くなる、との思惑が先行した形です。
なぜか、ギリシャ懸念についてはほとんど材料視されませんでしたが、もう食傷気味なのかもしれません。しかしEU再編など、ギリシャ問題の影響がどこまで拡大するか、実はまだまだ不透明な部分が多いものです。7月までにギリシャ政府が折れるのか、EUが見放すのか、いずれにしろ答えが出るのでしょう。そのときは今融資をしているIMFふくめ、不良債権下するのかも考慮して、経済の影響を考えていかなければいけないのでしょう。

あるブログでNHK、テレ朝が自民から呼び出された件を取り扱った記事で、『メディアが政権批判をすると国民にウケる。人気が出る』と述べられ、それを前提に論理が構築されている点が、少し気になりました。実はこの『メディアが政権批判を…』の論調は、安倍政権支持の方に多いのですが、まったく論拠がありません。むしろその背景を考察すれば、簡単に論旨が覆ります。
政権批判がウケるのは、国民が相応しくない、政治家の資質も劣っている、と思っているからこそ、その意に添う論調には同調が集まるのであって、逆に政治家としての力量もあり、かつ国民の声に応える政権なら、メディアが批判するにもリスクが伴います。つまりメディアが政権をどう評価するか、ではなく、国民が政権をどうみているか、が政権批判が国民にウケるかどうかに、深く関係するのです。そしてそれは政権に携わる政治家の行動、言動によって決まるのであり、決して批判のための批判が面白いから、国民がそうした番組、記事をみるわけではないのです。

例えば、山場を迎えたといわれるTPP交渉。中国主導のAIIBが、交渉加速の流れをつくったともされますが、本質は安倍氏の訪米前、手土産にしたいからこそ今ここで焦って交渉しています。貿易協定と、投資銀行ではその中身があまりに違い過ぎますし、環太平洋とアジアと、多少の地域的な重なりはありますが、枠組みも目的も異なる。それに双方へ参加する国も多く、AIIBとあえて重ねる必要はありません。それこそ『粛々と』交渉し、双方のメリットを話し合えばよく、安倍政権の焦りは国益を損ねかねない、妥協の産物になりかねない懸念の方が強くなります。
安倍政権に外交手腕があるなら、AIIBの流れを読み間違えることもありませんし、また国民の声を聞くなら、TPPには参加していません。しかもこのタイミングでTPPを加速させても、米議会ですら大統領貿易促進権限(TPA)が提出された段階で、まだ成立はしていないのですから、どうなるかは不明です。日本側の事情、特に安倍政権の未熟さが露呈した結果として、このTPP交渉をここでまとめようとするなら、国民はその不誠実さに批判的な気持ちを抱くのです。そしてその意を汲むからこそ、それをズバリと言ってくれる人間、番組、記事に称賛を与えるのです。

卑近な例をあげれば、小泉政権のときに政権批判が力をもち得たか? と考えれば分かり易いでしょう。今でも特に、小泉政権が特に優秀で、すばらしい政策を打っていたとは考えていませんが、当時は国民がすばらしい、と思っていたからこそ、その意に反する報道はできなかったのです。世論調査でも、暮らし向きが悪化した、は過半数を大きく超えます。それなのにメディアは景気が好調や、安倍政権を称賛する記事ばかりを垂れ流し、国民が悶々とした気持ちを抱くのです。今こそ、政権批判が力をもつのに、それを人為的、無理やり止めているような状態です。
G20でも、麻生財務相が香港紙の記者を嘲り、笑ったと報じられます。財務省としては既得権であるADBの脅威となるAIIBなどができて、中国が不倶戴天の敵にみえるのでしょうが、国際社会からみて麻生氏の態度は、非常に危惧されるもの、と映ります。そしてそれらは国民も見ているのです。この政治家たちでいいのか? 日本の代表として相応しいのか? 自分たちの暮らしを託せるのか? それがNOであった場合、『メディアが政権批判をすると国民にウケる。人気がでる』のです。少なくとも、そうしたことを必然と誤解してしまうのは、日本の政治が劣化し、国民からみてNOである政権がつづいている、ということが影響しているのでしょう。少なくとも、安倍政権も国民からみてYESではありません。それを人為的に、特定の層により守られているのが、今の安倍政権です。国民の不満の高まり、鬱屈した気分が高まっているからこそ、その流れを変える何かがあると、がらりと変わってしまう予感もしています。それが海外から来るのか、国内で芽生えるのか、その差でしかないのかもしれませんね。

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analyst_zaiya777 at 23:02│Comments(6)TrackBack(0)政治 | メディア

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この記事へのコメント

1. Posted by ジニー銀河   2015年04月20日 23:31
政権批判もそうですが…明らかに反日で商売しているかのようなメディアが二三あると私は思いますけどね…。
日本がアジアインフラ投資銀行に入っていいことがあるでしょうか?
投資はしたけれど…落札は中国の国営企業ばかりとならないでしょうか? 日本が入らないと貸し付ける利率が高くなるというのは本当でしょうか?しかし中国が勝手に低い利率で貸し付けることはありませんかね?
高い利率だとどこも借りないと思いますけどね…。
2. Posted by 管理人   2015年04月21日 00:29
ジニー銀河 さん、コメント有り難うございます。

反日かどうかは別にして、自虐的価値観が染み付いている部分は散見されますね。ただ、これは日本人の文学作品でも散見される、内省的で、自己洞察をした結果、自己を否定することがかっこいい、といった風潮とも似通うので、何がそうさせるかは、よく確認した方がよいのでしょうね。

今のところ、AIIBはデメリットの方が多いですね。あくまで個人的な推測ですが、米国が寝返らないという前提なら、中国が好条件をだしてくるまで待つ、というのが得策です。一方、米国が靡くなら、その前に日本が参加していないと、孤立化します。この辺りは難しい駆け引きになるでしょう。

問題は、日本より中国の格付けが低い場合、保証する国の格付けにより、貸付の利率が決まってくるため、日米が入らないと利率が上がるのは、至極当然の話でもあります。中国が低い利率で貸し付けるケースはあるかもしれませんが、その場合は返済期間を短くしたり、担保に土地やその国の資産を充てるよう、契約を交わしたケース、などが考えられます。実際、中国は土地の利用を複数年にまたがって認めてもらう代わりに、開発をすすめるといったこともしています。ただし、こういったケースは特殊で、また国際機関としてのAIIBなら、国際基準に準拠しない取引があれば、出資国が逃げだすでしょう。サブプライム問題ではありませんが、格付けの低い債券を集めると、格付けが高くなって安い利率で貸付ができる、などというとんども商品さえ出てこなければ、国際基準は満たすと思いますが、高い利率でも成長が期待できるならそうしても良いですが、これからの世界経済の不透明感から考えると、中々難しい面があるのでしょうね。
3. Posted by 通りすがり   2015年04月21日 04:37
今はネトウヨみたいなことを言って商売しているところのほうが多いと思いますが?
4. Posted by いろはのい   2015年04月21日 17:30
政治家は、国民を幸せにするのが仕事のはずです。ならば上手くいって当たり前、失敗したら滅茶苦茶批判されるのは当然でしょう。
批判されるのが嫌だったら、さっさと政治家をお辞めになればよろしい。それでも政治家になりたいという人間は、他にいくらでもいるのですから。そのほうが国民にとっても良い事です。

だいたい自分の政策に自信があるのなら、批判されても堂々と国民の前で反論すれば良いだけです。それをこそこそと党本部に呼んで、誰にもわからないところで話をしようなんて、自らにやましいところがあるのではないかと疑われても仕方がないでしょう。
5. Posted by 管理人   2015年04月21日 23:23
通りすがり さん、コメント有り難うございます。

読売、産経など、一体どこを向いているのか、分からないときがありますからね。しかしその結果、元々部数の少ない産経は別にして、読売が大きく部数を落とすなど、朝日とともに信用を失ったメディアは、最近では敬遠される傾向を、見事に踏襲していますね。

以前、コメントには書きましたが、昔は「新聞を読まないとバカになる」と云われましたが、今は「新聞を読むとバカになる」という方が、よほど的を射ているのでしょうね。ネトウヨ、という別け方はあまり好きではないのですが、強引な論調と、自説を補完するための材料集めには必死であるものの、それを否定する材料や論説は無視する、もしくは攻撃して封殺する、という行動が目立つものは、所詮は大多数の意見にはなりえないのですね。少数なので、余計に攻撃的になり、議論が先鋭化していく。その悪循環で、突出した行動をとる人を助長するように、メディアも動いている点が問題なのでしょうね。世論は意識しなければいけませんが、迎合する必要はない。間違っているなら間違っている、と正しく言えないメディアは、いずれ凋落して行くことになるのが必然なのでしょうね。
6. Posted by 管理人   2015年04月21日 23:59
いろはのい さん、コメント有り難うございます。

政治が将来をつくるものなら、むしろ批判の矢面に立ってでも、それを推進して行くことも必要ですが、安倍政権は隠れるばかりか、メディアに圧力をかけ、批判の声を封じた上で政策をすすめる、という明らかにひ弱な態度をみせていますからね。以前から指摘していますが、安倍政権の閣僚は、何かの政策をすすめるとき、それをすすめようとする理由を一つしか語らず、くり返ししかしません。結局、政策立案能力もなく、官僚のうけうりでしかないため、自分の口で複層的に検討した結果ではないために、そうなってしまうのですね。それで国民を説得できるはずもなく、その結果、陰に隠れて、こそこそと…という行動ばかりになってしまうのでしょうね。

残念ですが、今の政治システム、選挙制度ではこうした状態から脱却もできませんが、それに依拠して当選してきた政治家が居座っている以上、変革も難しいのでしょうね。どうして安倍氏が保守のホープ、などと言われるのか? 不思議でしたが、安倍氏の周りにいる人材の劣悪さを見せつけられるにつけ、その中では安倍氏がまだマシ、ということなのだろう、と分かります。そんな政権だからこそ、人前にも出られない、ということなのかもしれませんんえ。

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