雑感。フジテレビと日韓関係雑感。ちょうへいとちょうよう

2015年07月06日

ギリシャ国民投票はNO

今日は安倍政権が期待していた、2つの出来事が裏切られた日です。まずなでしこJAPANの敗退。安保法制を覆い隠すため、また国内のムードをよくするため、優勝を期待していたとするもの。そしてギリシャの国民投票です。即日開票され、緊縮財政に反対61%、賛成38%となり、チプラス政権は勝利宣言、財務相を交代して新たにEU側との交渉に挑むことになりました。麻生財務相や黒田日銀総裁は「直接的な影響はない」と火消しに躍起ですが、間接的にはいくつも影響があります。安倍政権はどうせ賛成が勝つ、として政権よりのメディアも「賛成が広がる」といった書き方で楽観を煽ってきましたが、まさに梯子を外された株式市場は急落しています。

チプラス政権は資本規制で賛成に傾く国民を引き止めるため、国民投票明けには資本規制を解除、公共交通機関は乗り放題、といった発言で国民を安心させ、尚且つこれはユーロ圏離脱を決めるものではない、と争点を国内問題にすり替えた。反対に投じれば強い力となり、EUとの交渉が上手くいく、とも述べて反対すれば明るい未来、とのすりこみに奏効しました。国内問題であれば、失業率の高さと年金カットへの不安が、老年層ばかりでなく親の年金に頼って生活している若者にまで、反対へ傾く動機となった。予想外、意外という声も多いですが、むしろ当たり前の帰結として反対が優勢となり、今回の結果を導いたともいえるのです。
次の山場は7日のEU財務相会合や、20日のECBへの返済期限、ともされますが、いつのまにかIMFへの返済期限は先送りされたかのようです。当然、見守るという選択肢しかないようですが、それではギリシャ破綻を指をくわえてみていなければならない、日米などIMFへ多額の出資している国は面白くありません。次の危機は、IMFが融資基準を厳格化し、かつてのアジア通貨危機のように、厳しい財政運営を課すよう転じることです。すると、EUでも苦境にある国はIMFではなく、ユーロ内での安全網に頼らざるを得ず、見せ掛けに積み上げた資金が枯渇する恐れすら出てきます。
解決策は、ギリシャをデフォルトさせ、債務を減免した上で経済を再生させるしかありませんが、それではEU各国が合意できない。この問題は政治マターと、経済マターの判断が複雑に入り混じる点で、解決を遠くしています。楽観論の人は、ほとんどどちらかしか見ていない、とも言えます。チプラス政権はこれまでも、国民ウケのいい政策をとってきて支持率も高い。そんな政権だからこそ、世論誘導も極めて効果的に利く。そんな政治的考察と、経済的な合意を得るにはこれしかない、という道が必ずしも整合しないのですから、答えなき道をすすむようなものです。

またギリシャと同時に、中国株が朝高後、すぐに弱含んだことも懸念を高めました。ありとあらゆる株価対策をしても、ギリシャ不安が襲った面はあるとしても、3割も下落した先週までの流れを食い止められなかった。日本に対する間接的な影響は、中国経由がもっとも深刻なのかもしれません。中国が崩れれば、内需も外需も総崩れ、それが今の日本の実態です。
さらに先週末、日銀の買いがない中で株式市場が切り返した主因、とされる大量の先物、オプション買いを入れた某日系の証券会社が、今朝にシステム障害をおこし、売りをださせないようにするためか? ちょっとした話題になりました。楽観にかけた買いが、一転して売りに回ると大きな下落になる。中国の下落もそうですし、日本の下落もそうです。中国を対岸の火事と笑えないのは、日本の官製下支え相場が機能しなくなったとき、中国以上の下落がおきる可能性を捨てきれない点です。安倍政権の支持率がますます落ち、世論誘導も利きにくくなってきた日本。それは未来の楽観をふりまいても、誰も信じないということでもあります。政治マターと経済マター、遠いようで実は密接であるこの二つが波乱要因になりつつあるのは、世界共通なのでしょうね。

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analyst_zaiya777 at 23:04│Comments(4)TrackBack(0)政治 | 経済

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この記事へのコメント

1. Posted by ジニー銀河   2015年07月06日 23:28
なでしこは、この四年間若手が成長していませんでした。その証拠はINAC神戸の低迷です。日本の期待の若手が入団していましたが…成績は振るいませんでした。ですから苦戦は想定内でした。しかしその割りには…良く準優勝できましたしアメリカから2点とれたと思います。早く若手を育てないと…ますます成績は悪くなると思います。 結局ギリシャは…借金し続けるしかありませんよね…。
2. Posted by 管理人   2015年07月06日 23:59
ジニー銀河 さん、コメント有り難うございます。

残念ながら、見ているといいことがない、と気づいてから日本のためにも試合は見ない、と決めているので試合内容はよく分かりませんが、ただ最近気になるのはやたらと「負けたけど、よく頑張った」という意見です。敗者でも努力した者を讃える、というのは日本の美徳ですが、行き過ぎるとそれは選手にも負担になりかねませんからね。準優勝が悪い、いい、という話ではありませんが、時には厳しく接することもしないと、甘えや逆にプレッシャーにもなりかねなくなるので、注意も必要なのでしょうね。

ギリシャは借金し続けるしかない、というか、返済計画をしっかり立てる、ということだと考えます。つまり経済規模をこのぐらい、財政負担をこのぐらい、その中から返済に回すのはこのぐらい、という本来の破綻、再建計画であればあるべき内容が、国民にはまったく伝わっていないため、いつまで我慢すればいいのか、そのことで将来的に明るい展望が描けるか、それが国民にもよく分からないから、現状を耐えることに不満があります。そこをはっきりさせない限り、どんな形であれ国民の合意を得ることは難しくなるのでしょうね。

それがまた、目の前で夢を語るチプラス氏を、とても魅力的にみせています。それが幻想でも、緊縮財政をNOと言ってくれる強い政治、という印象が今回の勝利の原因でしょうね。それが幻想で終わるのか、現実にしてしまう力が本当にあるか、これから山場がいくつもあるのでしょうね。
3. Posted by いろはのい   2015年07月07日 17:33
ギリシャ国債にはCDSという保険が掛けられていて、それをドイツの銀行が大量に売っていたという記事を見かけました。で、このCDSは国がデフォルトしてしまうと、莫大な保険金を支払わなくてはいけないとか。支払うのはドイツの銀行です。
 ギリシャはそれを知っているから、デフォルトなんかさせられないだろうと、タカをくくっているのでしょうか。ギリシャの対外債務は40兆円規模だそうですから、支払う保険金も倍率しだいでは100兆円を超えるとか。日本の国家予算規模以上なので、どんな銀行でもひとたまりもないでしょうね。
 そういえば最近マスコミは、ユーロ離脱、と言って、ギリシャ・デフォルト、とは言わないようですが、何か関係があるのでしょうか。
4. Posted by 管理人   2015年07月07日 23:11
いろはのい さん、コメント有り難うございます。

確かにそうした噂もあるのですが、正直にいうと懐疑的にみています。そもそも、ギリシャ国債にクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)がつけられるか? という問題もあって、もしCDSが可能だとしても、恐らくそれは二社間の取引上の契約の問題であって、表には出てこないようなもの、という認識でいます。一度、債務減免になったギリシャ国債に、ふたたびCDSをつけていたとすれば、独銀の手法はECBの規制にも引っかかってくるのかもしれません。表にでてくるようなときは、金額以上に問題が拡大するのかもしれませんね。

本来、IMFの返済期限はすぎているのでデフォルトで間違いないのですが、IMFは「慎重に」判断すると述べており、EUとの合意さえあれば返済される、という考えでいます。それを慮って、メディアもデフォルトとは用いませんが、一般の方はデフォルトと用いても一向に問題はありませんね。ただ日本人はデフォルト、というともうダメ、という意識も強いですが、海外ではもう少しソフトな受け止め方もされます。ただ、デフォルトと使ってしまうと、それで取引しているギリシャ銀への影響もあって、今は欧州もそれを使いたがらない、という事情もあります。EU、ECBともデフォルトになってもらっては困る、そうであっても無条件に債務減免は認められない、そんな思惑でデフォルトを使わないということ、そのものがこの問題がそう優しくない、拡大すれば世界経済をも揺るがしかねない、ということを示しているのでしょうね。

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