内閣支持率と株価雑感。東京五輪のエンブレム問題

2015年07月29日

安保法制をめぐる公明の動き

6月の小売業販売額が前年同月比0.9%増となりました。しかし季節調整済みで前月比0.8%の低下と、インバウンド消費が乗ったにしてはかなり弱い数字です。最低賃金を全国平均で時給18円上昇、と厚労省の小委員会で決まりました。おトモダチメディアはトップ記事の扱いですが、定昇とベアをあわせた正規労働者の賃上げ率2.2%より、0.1%高い2.3%の達成率で、非正規に手厚いとの印象操作がしたいのでしょう。内閣府は最低賃金レベルで働く労働者は約300万人、20円上がれば700〜900億円の効果、としますが、甘くて杜撰な試算です。そもそも、本当に雇用環境が逼迫していて、労働者有利の状況であるなら、300万人も最低賃金レベルで働いていること自体に、矛盾を感じます。もっと条件のいい職場に移っていてもおかしくないからです。
最低賃金で働かせる企業は、基本的には業績が悪く、高い賃金を支払えないか、もしくはブラック企業です。前者は仕方ない面もありますが、後者はサービス残業や労働者に自己負担を押し付けたり、教育や研修と称して働かせたり、などを平気で行います。これまでも企業の監視、監督ができているなら、これまででも効果は労働者に還元できていたでしょう。正規、非正規とも労働分配率が上がり、恩恵が行き渡らなければ決して好循環などは生まれてこないのです。

最近、安保法制に関して公明の動きが注目されています。平和を希求する党が、安倍政権と一体になって安保法制を通そうとしている。反対、抗議デモに創価学会員が参加していることで、圧力になっているというものですが、ここに来てもう一つ、創価学会員の感情を逆撫でするのが、安保法制の必要性をとく敵性国家として、中国を名指しするケースを安倍政権が増やしている点です。創価学会は、池田名誉会長が中国と昵懇で、それこそいくつも賞や勲章をもらっている。中国と対抗することを明示する安倍政権と協調路線が歩めるか、微妙になっています。
参院選挙制度改革でも自民と対立し、またIR法案についても審議入りを拒否するなど、公明も独自色を打ち出そうとしている。そんな中、今日の国会で重要な話がでてきました。自衛隊の武器使用に関して、罰則規定がないというのです。中谷防衛相は「不断の検討」とし、今回の法案とは別途としましたが、それこそ安保法制が施行され、武器使用が未整備のままなら、自衛隊が海外で大量に住民を殺しても、処分すらできないという事態に陥ります。自衛隊の内規には違反するので、自衛隊としての処分はできても、国としては手出しできないという不可解なことにもなりかねません。法的安定性どころか、制度の安定性すら損ないかねない重大な瑕疵です。

労働法制にしろ、これまで弱者の味方を謳ってきた公明にとって、ここ最近の安倍政権との距離感により、明らかに変質が意識されている。そして安保法制が、さらにトドメのように創価学会の公明離れを引き起こしているのです。政権与党の旨みを知り、離れられないと思われて公明が、ここ最近みせる抵抗は、創価学会婦人部の活躍がない限り、埋没、消滅すら意識されかねない党勢であることが大きいのでしょう。学会員以外、公明に投票する理由すら失いかけているのであって、それは選挙応援で各家庭を回る、婦人部にとっても負担となりつつあるのですから。
創価学会は、その布教活動を『広宣流布』とも称します。広く宣伝し、活動を知ってもらうという程度の意味ですが、今は公明と一体化することで『好戦流布』と看做されがちです。中国を敵に回す自民、安倍政権との距離感、それが問われると参院採決、60日ルールによる衆院再可決でも、公明の動きが変化してくるのでしょう。国民の反発の声、自衛隊が海外にいくと法的には武器制限のないまま、可決してしまうという危うさ、これらを勘案したときの公明の判断は、平和を掲げた党是を守るのかどうか、という意味でも重要となってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12│Comments(13)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

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この記事へのコメント

1. Posted by ジニー銀河   2015年07月29日 23:43
中国が日本の仮想敵国というのが気に入らないのなら…公明党なり創価学会が中国に大人しくするように働きかけるべきだと思います。 まぁ人の言うことを素直に聞くような相手なら…安保法案なんか必要としないと思いますけどね。
翁長氏は辺野古埋め立ての許可に関して瑕疵があったとして 埋め立て許可を取り消すようです。しかし誰がどんな瑕疵をしたのでしょうか?
またどんな処分をしたのかを…翁長氏は語るべきだと思います。
2. Posted by 管理人   2015年07月30日 00:46
ジニー銀河 さん、コメント有り難うございます。

創価学会とて、中国の国政に意見できる立場にない。しかし日本の国政になら意見できる。それは連立与党の枠組みに、公明がいるからです。この議論をすると、憲法改正が難しいから安保法制改定で、集団的自衛権を通すのと、同じ議論にもなりそうですが、難しいところは避け、簡単な方を変える、という意味では公明を動かす動機になりつつあるのですね。

しかし安倍政権は仮想敵国を中国、としますが、実は米軍にとって仮想敵国は、中国ではありません。度々指摘しているように、まだ中国の海軍力は、米軍の足元にも及びません。今、米国が意識しているのは露国とISILなどの、米国が話し合いすらできない国です。イランとは核協議で合意できたように、話し合いができる国なので、今のところ脅威ではない。これは中国も同じです。米国が、露国のプーチン大統領と安倍氏が会談することを快く思わなかった。それは、知的レベルの高いプーチン氏に、安倍氏では対抗すらできないから、ともされています。米国は、それほどプーチン氏を恐れており、現在の仮想敵国は露国なのです。
国民理解をすすめるために、中国をもちだしますが、実は中国に対しては防衛力、抑止力ではなく外交力、警察力が問われる事態について、想定しておくべきとも云えるのですね。

沖縄については、すでに公表されているか、もしくはいずれ公表されるでしょう。第三者委員会の報告が出ていますから、国民理解を得るためにも公表するはずです。それを見ないと、瑕疵がどういったものかは分かりませんが、少なくとも国と交渉できるレベルというのですから、自信があるということなのでしょうね。
3. Posted by ジニー銀河   2015年07月30日 01:28
中国の公船が尖閣の近海で度々我が国の領海を侵犯しているのは事実ですし…南沙では近隣諸国と対立しています。現在中国こそがアジア最大のリスクだと思います。ですから…日本政府の対中姿勢に問題は無いと思います。公明党や創価学会が不満を持っているなら…少しがっかりです。
4. Posted by 通りすがり   2015年07月30日 02:58
領土問題とはそういうものでしょ
極端な話、北方領土だって「我が国の領海を毎日のように侵犯しているのは紛れもな事実」と煽ることは可能ですし

南沙諸島にしても「中国による眼も覆わんばかりの恐るべき怒涛の侵略」と眼をグルグル回して強調するけど実態は

ベトナム:1975年、サウスウエストケイに埠頭と建造物を建設(ベトナムはスプラトリー諸島の29の島と環礁を占有)

マレーシア:1983年、占領したスワロー礁を埋め立て海軍の拠点を設営

台湾:1995年、占有したスプラトリー諸島のなかで最大の島タイピン島にレーダー基地を建設し守備隊を派遣:2008年に滑走路を完成

フィリピン:スプラトリー諸島の10の島及び環礁を実効支配し、バグアサ島に滑走路と飛行場を建設、今後埠頭も建設する予定


もともとが大日本帝国が占領していた地域で区分けが曖昧なままなんですよね。
これで煽れるのは ちょろいものですね。

5. Posted by けやき   2015年07月30日 11:02
尖閣諸島は日本の固有の領土という前提で論が建てられることが多いですが、矢吹晋の「尖閣問題の核心」という本を読むと、いろいろのいきさつがあったようです。発端はアメリカのグラント前大統領が、世界漫遊旅行の途中清国に立ち寄った時、日本の琉球王朝併合(1872)に反発した清国の李鴻章の依頼を受け、調停した(1879)ことに始まります。琉球王朝の高官が清国に亡命していたことも、背景にあったかもしれません。グラント前大統領が明治天皇や伊藤博文に示した清国の提案は、1、奄美諸島は日本がとる 2、沖縄本島は中立の独立国とする 3、宮古、八重山は清国に割譲する というものでした。翌年開かれた日清の交渉で、井上薫が1,2は日本のもの、3は清国に譲渡するという日本案を示し、仮調印まで行きましたが、譲歩しすぎという清国内部の強硬意見により、李鴻章が日本案を拒否、調印は流れましたが、やがて日清戦争がはじまり、下関条約で台湾割譲ということになっていきます。ちなみに尖閣諸島は下関条約の数か月前「無主地先占」という欧米列強が作った法理をたてに、日本の領土に編入されました。こう見ていくと尖閣問題は確かにいわくつきの問題で、日中国交正常化交渉で、棚上げとされたのもやむを得なかったのでしょうね。何事であれ歴史の知識もなくあれこれ論じるのはよくないこただと、この本を読んで思い知らされました。
6. Posted by ジニー銀河   2015年07月30日 12:11
領土問題において…どこまで歴史をさかのぼることができるのか?これが問題です。イスラエルとパレスチナの問題が典型的な問題です。聖書の時代にまでさかのぼる!
中国は明の時代までさかのぼる積もりです。それが中華民族の夢だとか…。 中国のこういう身勝手な夢は周辺国がすれば迷惑そのもので…百年遅れの帝国主義と言えると思います!
私は戦勝国アメリカが尖閣を含む沖縄を日本に返還した!この歴史的事実を大切すべきだと思います。
日本人なのに…中国の帝国主義の味方をする人の気持ちが理解できません!
7. Posted by 通りすがり   2015年07月30日 14:20
いや領土問題はいくらでも煽ることができる便利なものと
馬鹿な政治家は考えがちですが、しかし同時に後戻りできなくなる
危険なものであることには気づかないものですね。
8. Posted by いろはのい   2015年07月30日 20:12
北方領土はどうなっているのでしょうか?
ロシア国防省は、2016年までに択捉、国後、両島に軍事拠点を整備すると言っているのですが、北方四島は日本の領土ではないのでしょうか。
仮に日本の領土うんぬんは置いておいても、日本のごく近くに外国の軍事拠点ができることを政府はどう考えているのでしょう。中国が南シナ海でどうのこうのなどよりもずっと重大な問題だと思うのですが。
結局、中国や韓国には強く言えても、ロシアには頭が上がらないのでしょうか。だとすれば日本政府としてかなり情けないことなのでは。
9. Posted by ジニー銀河   2015年07月30日 20:37
北方領土は言うまでもなく日本の固有の領土です!
ロシア(ソ連)は第二次世界大戦後占領しました。戦争による領土拡大は帝国主義です!ロシアは欧州ではナチスの被害者面をし アジアではナチスと同じ帝国主義なのです! 中ソ対立時代は…中国も北方領土は日本領土と言っていました!
10. Posted by 管理人   2015年07月30日 23:52
ジニー銀河 さん、コメント有り難うございます。

それこそ中国公船の問題は海保であって海自の対応ではなく、集団的自衛権の議論の最中に喧伝されるような話でもありませんね。中国のリスクは、今も昔も変わりないのであって、情勢の変化というほどのことが起こっているわけでもありません。

領土問題に関して、現在の主流は最初に旗を立てた国が占有権を得る、というものです。なので中国は明の時代まで遡り、その頃には発見していた、という論調をとります。しかしそれが事実か? 本当に尖閣のことを指しているのか? その辺りは中国も弱い。なので嫌がらせ、といった形をとることにつながります。南沙諸島にしても、歴史的経緯に喰い込める、と思ったからこそ、中国が埋め立てをすすめるのであって、それほどあの海域は複雑なのです。簡単に日本が出て行ける場所でもありませんね。

北方領土にしても、樺太と交換で露国から千島列島を手に入れたはずなのに、今や千島列島と樺太と、双方を露国に押さえられ、千島列島との交換交渉に入っていなかった四島のみ、返還交渉をしている。この時点ですでに首を傾げますが、昔の教科書には、樺太の南半分を白塗りしていた時期があります。つまり、グレーだとしていたのですね。今の教科書の地図がどう書いているかは私にも分かりませんが、日本の外交力の弱さをこの一事でも理解するなら、まず安倍政権でも一向に変わらない外交戦術の不味さ、を指摘するところから始めないといけないのでしょうね。
11. Posted by 管理人   2015年07月31日 00:18
通りすがり さん、コメント有り難うございます。

南沙諸島の問題は、本当に難しいですね。中国が最近、出しゃばってきてさらに複雑化している面があるとしても、日本が中国軍の監視のために出ていけば、それこそ集団的自衛権でもない、深刻な問題を引き起こしそうです。安倍氏は国会でも南沙諸島のことをもちだしていましたが、日本はどういった行動をとるのか? 単に監視だけなら、各国から恨みすら買いそうな中で、さらに中国だけを敵視するようなことをすれば、それこそ国際問題になるかもしれません。

領土問題は、国威発揚には都合よい。クリミア半島でも露国が強引に接収してみれば、露国内でのプーチン人気が不動のものとなったように、国際社会で嫌われても国内の政権基盤が磐石となれば、政治的には成功ですからね。安倍氏がここに来て、中国を敵性国家として名前をだすようになったのも、領土問題という微妙な点、また安倍政権をこれまで支持してきた層への遡及、という意味でも重要なのでしょう。しかし自民の基盤が弱くなる。公明の選挙応援が得られなくなれば、支持母体頼みで選挙をしてきた自民党議員など、極めて厳しい選挙戦となりますからね。

そもそも公明が、安保法制を飲むといった時点から、創価学会との亀裂が生じはじめていたのでしょう。ここに来て、国民の反発が強くなるにつれ、創価学会も黙っていられなくなってきた。安倍政権が、安保法制を通そうと焦れば焦るほど、周りから人が去っていく状況なのでしょうね。
12. Posted by 管理人   2015年07月31日 00:30
けやき さん、コメント有り難うございます。

尖閣も難しい問題ですね。仮に日本が強気でいられるのなら、国際裁判所への提訴を求めてもよいのですが、それができない、あくまで実効支配をつづける方向性なのも、様々な事情があってそうしている、ということなのでしょうね。社会に広く喧伝されていることが、必ずしも正しいとは限らない。特に、領土問題に関してはどの国でも同様に、自国に都合よく報じられがちです。仮に事実であっても、国益に反することを報じた場合、メディアとしても大きなリスクを負いますからね。特に安倍政権になってから、そうした報道をすると非国民扱いで、日本から追い出せといった論調も目立つようになっています。事実の報道が、国民の利益から外れたことはないはずですが、事実を捻じ曲げた報道が、国益だといった誤った認識が広がっている点が心配です。

安倍政権になってから、日本がこれまで避けてきた領土問題が、より広く語られるようになりました。それはそれでよいことですが、政治利用になると、話はまた変わりますね。情報を鵜呑みにするのではなく、自らも調べておくクセをつけないと、後悔することも増えそうです。安倍政権になってから、特にそうしたことに気をつけなければいけなくなりましたが、情報を操作する政府と、領土問題が絡むとより深刻なのでしょうね。
13. Posted by 管理人   2015年07月31日 00:41
いろはのい さん、コメント有り難うございます。

露国と中国への対応の差は、軍事力の差といっても差し支えありません。少なくとも中国の人民解放軍は、空軍力と海軍力が弱く、日本にとっての脅威は少ない。だからここで名前を出しても、対応可能だとみている点が、今回の中国名指し批判の、根底には流れています。一方で、露国が衰えたとはいっても、露軍は米国と対応するために整備されてきた面もあり、未だに軍事力は強い。それこそ、かつてはスクランブルと言えば露軍であり、日本は北方での対応を迫られてきました。

北海道に米軍基地が少ないのは、ソ連を刺激しない意味もありましたが、一番は距離が近いため、一瞬で部隊が全滅させられる恐れもあり、米軍をおきたくない事情もありました。北方領土はあくまで外交的対応で、というのも、軍事力では露軍と対抗できないからなのですね。露国も問題意識は感じていますが、今は日本に返還などをすれば、露国内での支持を落とすことが明確であり、交渉はしても返す気はない。それこそ安倍氏が何度も外交交渉を重ねたものの、いいように使われただけで、今や北方領土の軍事化がすすむのは、さらに露国が高いハードルを準備していることにもなりますね。

今後、露国がどう動くのか? 今や安倍―プーチン路線が細くなってしまい、森元首相もいいように使われてしまうだけで、交渉の糸口すらありません。北方領土を安倍政権のうちに解決するのは、ほぼ不可能となっているのでしょうね。

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