雑感。2022年の冬季五輪は北京。礒崎補佐官の参考人招致

2015年08月02日

安保法制と自民党総裁選

新国立競技場で、政府はサブトラックを常設しない方針を固めたようです。近隣にもサブトラックをもつ施設がある、建設費が上がる、がその理由のようですが、今ここでそれを断念してしまうと取り返しがつきません。一つの提案としては、トラックを上げて二層とし、サブトラックを地下化する。観客席はあえて低いまま、つまり相撲の観戦と同じように前列を『砂かぶり』とし、すわったときの目線を地面と同じにしてしまうのです。選手が落ちたら大変なので、透明な板で仕切るか、ワイヤーのような目立たない柵をつくるなりしなくてはいけませんが、日本的な観戦方法として、新国立競技場の目玉としてもアピールできる。一番いいのは、トラックを上げれば風通しがよくなり、芝生の生育にも有利な点です。砂かぶりで見たくない人は、後ろの席をとればいい。スポーツを上から見るもの、という固定観念を外せばこんな提案も可能です。
元々、地下をサブトラックにする計画があったようなので、ちょっとした工夫さえできれば金額も低く抑えられる。相変わらず国は知恵もなく、建設費の高騰を恐れて萎縮しているようですが、お金がなければ知恵をだす。お金のかかる設計にするのではなく、知恵と工夫で日本のよさを伝える。そうでなければ、新国立競技場の負のイメージは払拭されないのでしょう。

3日、礒崎首相補佐官の参考人招致が行われますが、15分だけではまともな質疑ができません。謝罪して幕引き、というのではこの問題、幕が引けない可能性も高い。安保法案に賛成の識者でさえ、この発言は疑問視していますし、何より公明が「進退はご自身で…」と述べるなど、自公連立にヒビさえ入りかねなくなっています。安倍氏は辞任ドミノを恐れているようですが、新国立競技場の問題でも文科省官僚1人の首を切って幕引き、としたことが不評であるように、長引かせることで逆に問題閣僚が滞り、ドミノになりかねない事態に陥っている、とも言えます。
最近、週刊誌でも安倍政権退陣、次は谷垣氏? 石破氏? という記事が並ぶようになりました。こうなると、もう党内の箍が外れます。安倍政権は長くない、となれば、安倍政権に阿ったりすることもなくなり、また反対意見が噴出し易くなる。礒崎氏を更迭しなければ、党への風向きが強くなるのですから、党内からも更迭論がでてきます。しかも創価学会の支援がなければ当選が危ない、という議員はより強く更迭を求めるでしょう。礒崎氏をめぐって安倍政権は四面楚歌になりつつありますが、それはまるで項羽にとっての虞夫人のような状況かもしれません。

9月の党総裁選は、もう安倍政権ではもたない、と判断されるでしょう。何より支持率が急落する中、反対が根強い安保法制を通してしまえば、国民の怒りが参院選を襲う。総裁選が安保法制の採決後になれば、ますます安倍政権をつづける意味を党内で失います。安倍氏は、安保法制を今国会中には通さず、継続審議とする中で自民党総裁選を戦うしか、生き残りはできません。しかしそうなると米議会での約束がウソになる。また衆院は一度通過しているので、継続審議といっても次の国会では出し直し、一からの審議となります。そうなると臨時国会はムリ、一年後の通常国会まで待つ形となり、それこそ参院選に直撃するでしょう。どの道、安倍氏が党総裁選を勝つことは、かなり難しくなっているのが現状なのです。
つまり礒崎氏か、下村氏から始まる辞任ドミノ、最後に倒れるのは安倍氏になりそうなのが現在の政治情勢なのです。安倍氏は、もう安保法制を通すしか名を残す、実績を残す術はありません。しかしそれが美名なのか、悪名なのか。項羽は「書は以って姓名を記すれば足る」といって、字を書くことに熱心ではなく、勉強といえば戦術を学ぶことしかしなかったそうです。彼の名は、歴史には残りましたが、漢に敗れた将という屈辱的な面が強くなりました。安倍氏がもし安保法制を通して討ち死にすれば、やはり屈辱的な面を強くすることになるのでしょう。国民はそれをただすわって、砂かぶりで見ているだけではない、声をあげている点が、今回は大きな違いとなっているのですからね。

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analyst_zaiya777 at 23:30│Comments(11)TrackBack(0)政治 | 一般

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この記事へのコメント

1. Posted by ひまわり   2015年08月03日 00:06
安保法案反対のデモは、増えているようですね。今日も、シールズに参加した高校生が、ネットで呼びかけ渋谷でデモをしたようで。創価学会の婦人部も各地でデモをやっていますし。若いママさん達も子供達を守る為、安保法案反対やってますよね。女性の支持が激減です。安倍政権吹っ飛ぶ?
2. Posted by いろはのい   2015年08月03日 00:26
法を破ってでも、国民の安全を守る?
本当に馬鹿げたことを言うものです。
法律を破ったら、国民の自由も安全も生命も守れません。当然の話です。
その場合、国民を守るのは政治家の「口約束」だけですが、まさかその「口約束」を信じる国民はいないでしょう。破っても、何の罰則もないのですから。
 だから、破ると罰則のある「法律」で国民を守るしかないのですが、磯崎氏はそんな基本的なことさえ理解できないのでしょうね。それだけでも、政治家になる資格はない、すぐに辞職すべき人でしょう。
 なぜマスコミが理詰めで追求しないのか、まったくわかりません。
3. Posted by 管理人   2015年08月03日 00:29
ひまわり さん、コメント有り難うございます。

18歳まで選挙権を拡大すれば、若者に支持されている安倍政権は安泰、と考えていたようですが、まったく逆のことがおこりつつありますね。むしろ、若者が保守? というのは初めから違ったのかもしれません。中韓への対抗心、という話にしても、そんなことを意識しているのは若者ではないかもしれない。むしろ、若者は社会の不平等感や、劣等感をいだく前であり、これから社会に出る層に保守層は、元々少なかったのかもしれません。

それは女性も同じで、実は安倍政権は、軍事に興味のある中高年男性層や、不平等感を抱く層にのみ、遡及していただけなのかもしれませんね。よくよく安倍政権を擁護する人をみると、ほとんどがそうした人物像が当てはまり、女性や若者はほとんど見かけません。それが今回のことで、中立から反対に回ったことで、安倍政権への反対運動として広がりつつある。そんな状況なのかもしれませんね。

しかし安倍政権は、自ら作り上げた状況により、苦境に陥ったといえます。それを覆すため、北朝鮮への接近を画策しているようですが、金正恩氏が完全に掌握しているならまだしも、父親である金正日時代のコトを否定するような、拉致問題の解決を提案してくるか? かなり疑わしいところです。安倍氏の外交が行き詰るのは場当たり的だから、ですが、安保法制も場当たりをくり返した挙句、ということになるのなら、そもそもの資質から問題があった、と言わざるを得ないのでしょうね。
4. Posted by 管理人   2015年08月03日 00:37
いろはのい さん、コメント有り難うございます。

法的安定性は関係ない、発言は完全アウトですからね。前後の文脈をみても、またくり返し発言していること、Twitterでの発言をみても、確信犯であることがはっきりしています。いくら庇っても、この問題は安倍政権のキズを深くするだけなのですね。しかし逆に、礒崎氏を切れば、自公での安保法制の合意ですら価値をなくすかもしれない。公明はそれを狙って、辞職するよう促している面もある、と考えています。つまり、公明はどこかの時点で、安保法制の態度を変えるのかもしれません。創価学会系に、それで納得してもらうしか手がないからです。つまり礒崎氏を切る→自公での調整時、礒崎氏の立場が大きかった→自公合意を白紙にもどす。安倍政権にとっては痛手で、公明への恨み骨髄になりますが、安倍政権の終わりが近づくなら、公明は強気に出られる。選挙協力が必須の自民議員の方が多いのですから、安倍政権の支持率が下がると、ますます公明頼みになる自民党議員と組めますからね。

しかも、安保法制に海外での武器使用に罰則が入っていない点も、法的安定性という面からみてマイナスですから、尚更どうしてそれを抜いたのか? 礒崎氏の口からも述べるべきでしょう。それなのに、参考人招致の時間が短すぎる。今回、逆に礒崎氏への不信感が高まり、辞任まで追い込まれていくことでしょう。長引けば、礒崎氏が次の選挙で当選できる見込みすら失います。それだけ、今回のことは国民に強く印象付けられたのですから、後は誰かの決断次第で、崖を転がり落ちるように様々なことがおこってくるのかもしれませんね。
5. Posted by ジニー銀河   2015年08月03日 08:35
今朝の新聞に…中国が西太平洋の制空権を狙っているとの記事がありました。中国に西太平洋の制空権を握られたら日本はどうなるのか?
国会でしっかり議論をして欲しいと思いました。
6. Posted by 右も左も大嫌い   2015年08月03日 16:25
対中戦争の軍備などお笑い。原発付近にミサイルで
威嚇射撃されて、降伏勧告されて1時間で終戦。
防ぐ手段なし。

まともな神経なら威嚇砲撃で白旗あげるけど、そこで
狂った判断したら永遠に住む国土を失って終わり。

戦争はルールはありません。ケンカとは違う。勝つ
ためには何でもあり。これはやって来ないだろうと
言う暗黙の了解はなし。

ミサイルで決まるのに制空権など無意味。ミサイルの
打ち落としは不可能。通常兵器は小競り合いのための
お遊び。

結局、日本は本格戦争は出来ない国。やれば負けて
賠償か領地を取られるか、意地張って滅亡。

外交しかないのに小さな砲弾のドンパチで何とかなる
と思ってるのは、お花畑。

政府の思考はインパール作戦や特攻隊を生み出した
太平洋戦争末期の大本営と同じ。やることは考えても
やられることは考えない。少し頭の良い高校生以下。

7. Posted by ジニー銀河   2015年08月03日 20:06
日本の原発にミサイル攻撃する国にも原発はある!
核攻撃には核攻撃で対抗する…それが核の抑止力であり核の均衡です。
だから日本も敵国の原発を攻撃するミサイルを保有することが…抑止力になるのです!
8. Posted by 管理人   2015年08月03日 23:30
ジニー銀河 さん、コメント有り難うございます。

中国は西太平洋の制空権どころか、米国と太平洋を分割統治しよう、と提案するぐらいですから、今さら制空権の話をすること自体、奇妙ですね。今の中国軍が空と海において、軍事力を世界的に行使できることはほとんどありませんが、10年後は分かりません。工業技術の導入が一気にすすんだように、軍事技術も欧米のものが導入されれば、一足とびに発展することでしょう。しかしそういう事態になることは、ほとんどあり得ませんし、今はそうした話に踊らされず、現実の中国軍と、将来的な動きを見据えた方がよいですね。

一つ、原発にミサイル、という話にしても、相手が全滅をのぞんでいる場合、それは防ぎようがありません。これはどの国でも同じ、米国であっても自爆的に攻撃をかけられたら、防ぐ術はほとんどないのですね。何十発の核ミサイルを撃たれ、すべて撃墜できる技術でもあれば別ですが…。核攻撃も、基本的に同じ類の話です。相互確証破壊で、核を互いに保有すれば撃てない、という話にしても、核を保有していない国の方が多い中で、核保有国のゲームのようなものに過ぎません。それに日本の場合、中長距離ミサイルを保有していない。これは今回の安保法制を改定しても、保有が認められないのですから、先に日本国民が全滅、もしくは反撃不可能な攻撃をうけてしまえば、そこで終わりです。つまり抑止力にすらなりません。今回の安保法制の見直しは、仰るような事態にはまったく対応していないのですね。

あくまで今回の安保法制の改定は、米国と一緒に戦争するためのものです。そうなると、日本はそれこそ核ももたず、米国と同じ行動をとるのですから、相互確証破壊すら成立しません。何も日本を守れない、という事態にすら陥りかねないのですね。
9. Posted by 管理人   2015年08月03日 23:42
右も左も大嫌い さん、コメント有り難うございます。

核ミサイルであれば、原発の近くなどという攻撃をせずとも、威嚇で最大の効果を発揮するのですから、撃つぞ、との脅しに屈するかどうかしかありませんね。結局、他国を全滅させても構わない、という攻撃を防ぐ術は、米国でさえもち得ていないのであって、その議論を始めると堂々めぐりになるのでしょうね。対応できる、できない、という…。

基本的に今回の安保法制は、米国の小競り合いに付き合うことができるようにするためのものであって、恐らくそのことすら知らない人が多いように感じます。テロ対応、治安維持、今米国が世界で行っていること、今後はやりたくないことを、日本が肩代わりすることで、米国に守ってもらう、というだけの話なのですね。なので、日本の軍事装備すら改善される見込みもなく、軍事費すら増えない、と政府は答弁する。自衛官の犠牲で、米国から守ってもらうという、何とも自衛官を貶めるようなことを平気でしているのですが、それを保守層が指摘しないのは、騙されているのか、本当に知らないのか? 安倍政権のやっていることは、まさに国防上は逆にすらなりかねない動き、ということになりそうです。

残念ながら、それを国民が知るころには、安倍政権は退陣していて、後始末を多くの国民がせざるを得なくなるのでしょうね。それは新国立競技場と同じ、多くのムダを経ないと、真実が伝わりにくい、ということになるのかもしれませんね。
10. Posted by ジニー銀河   2015年08月04日 00:05
第二次世界大戦も戦争で後方支援も機雷掃海も戦争とか…。 ちょっと違和感がありましたが
アメリカの小競り合いに付き合う程度に納得します。
しかし最近のアメリカは小競り合いも起こさない雰囲気があります。
中国・北朝鮮が大人しくしていたら…日本の出る幕は無いと思いますけれどね…。
11. Posted by 管理人   2015年08月04日 00:17
ジニー銀河 さん、コメント有り難うございます。

その小競り合いに付き合う程度、でそれこそ日本は領土内に攻撃をしかけられそう、というのが今回です。中国や北朝鮮が、米国と小競り合いを起こしたときにちょっかいをだしたら、日本も参戦したとして、日本の軍事基地を攻撃してくることは十分に考えられます。小競り合いが拡大すれば、それこそ一般の住民が暮らす都市にも爆撃がおきるかもしれない。小競り合いで済むのか、それこそ核を突きつけあって交渉するような事態になるかは、軍事力ではなく外交力で対応しなければならない問題で、相互確証破壊による抑止力は、日本では機能しないということでもあります。これは米軍とて、日本を守るために核を突きつけあうことはしないでしょう。それこそ米国の国内に核の射程が向くことになれば、米国内で大問題になりますから。日本だけが、なぜか小競り合いに付き合います、という法律を通そうとしているのが、今なのですね。

米国が軍事に消極的なのは、オバマ政権だからです。今後、大統領戦後に共和党政権ができれば、どう変わるか分かりませんし、民主党政権でもそれは同じです。もしかしたら再び軍事に頼る面がでてくるかもしれません。今、を考えるのではなく、法の継続性を考えても、未来に起きることを予見していなくてはなりませんからね。それこそ北朝鮮に先制攻撃をかけてしまえ、などという米政権ができたら、否応なくこの安保法制の改定で、日本は戦争突入です。どちらが始めたか、は関係なく、同盟国の軍が攻撃されていたら、と改定するのですから。それこそ必要最低限が、北朝鮮の占領に加担、となるのかどうか? 国の態度としても問われる事態になりかねないのですね。

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