2015年08月08日
マネーの流れ
昨晩発表された7月米雇用統計ですが、市場の受け止めは早期利上げ、だったようです。為替はやや円高にふれていますが、これは織りこみ済みの内容だったためで、発表後、瞬間的に125円にのせたものの、追随する売りがないとみるや一転して円高にふれました。先に123円台から125円まですすんだ円安が、9月利上げを織り込んだものだった。黒田ラインと呼ばれる125円突破を狙った動きが失敗し、すぐに手仕舞うといった慌しい動きとなりました。
米株はダウが7日続落、年初来安値に接近しています。米株安は、個人が運用することの多い米国では、逆資産効果が強く意識されます。日本の自動車業界をみても、ほとんど米国でのみ業績好調、といった歪な状況にあり、米国の消費が崩れたら日本も総崩れ、となってしまう。
これまで新興国不安が台頭、資金が還流することで潤ってきた米国が一転して弱含む状況は、かなり深刻です。それは投資マネーが行き場を失った、ということだからです。資源価格の下落も需要の弱さを映したものだとしても、投資マネーで押し上げることもない。むしろ売り、でとることを投資マネーが模索し始めています。これは売り浴びせが起こる兆候かもしれません。
中国を初め、ブラジルなど経済が不安定な国は山ほどある。売り崩せる市場は山ほどある、と言い換えてもよいかもしれません。中国は擬似資本主義なので、海外マネーは届きにくいですが、それ以外はマネーの量で潰せるほどの国の経済規模もあって、かなり危険です。米国で、住宅融資の条件緩和という話が出てきたのも、マネーがダブついている証拠なのでしょう。
中国では、上海株の急落の原因を反習近平派の策動とする記事があります。しかしもし反習近平派なら、捜査されたらすぐにバレるようなことをするのも考え難いですし、社会混乱を引き起こしたら一気呵成にいかないと、捜査されたら自分たちが危険に陥ります。そんな中、証券会社幹部が逮捕、党籍剥奪と伝わります。癒着、賄賂などの多い中国では、こちらの方が信憑性が高い。つまり一部の大口投資家や仕手系と組んで、相場操縦をしている可能性が高い。情報を横流しし、証券会社の人間が儲けようとしていることが想定されます。個人投資家を蔑ろにし、自己利益のみ追求する社会で、売り浴びせをして儲けようとする輩が跋扈していても、何の不思議もありません。反習近平派というより、自己利益のみ優先する個人の性向が、今後も中国では株式の急変動などの不安として襲うことにもなるのでしょう。
日本の株式市場は、日系の大手証券が下落時の買い方として活発に動いていましたが、ここ1週間ほどはその座を下り、変わって欧州系、米系などが日替わりで買い方上位に浮上する構図です。買い支えマネーの出元は変わらないものの、発注先を多様化したような印象ですが、行き場を失ったマネーが少しでも有利な日本市場に流れているだけ、かもしれません。しかし業績が伴っていない小売株の状態など、日本の歪みも相当に溜まってきました。外国人投資家が本格的に夏休みに入る中で買い始めるといった不思議。世界のマネーの流れが変化しつつある中で、安倍政権の支持率下落や、日本の経済状況をみて日本へと流れてくるマネーも変化するのであれば、買いが溜まっている分、それは上より下を試しやすい、ということにもなるのでしょうね。
米株はダウが7日続落、年初来安値に接近しています。米株安は、個人が運用することの多い米国では、逆資産効果が強く意識されます。日本の自動車業界をみても、ほとんど米国でのみ業績好調、といった歪な状況にあり、米国の消費が崩れたら日本も総崩れ、となってしまう。
これまで新興国不安が台頭、資金が還流することで潤ってきた米国が一転して弱含む状況は、かなり深刻です。それは投資マネーが行き場を失った、ということだからです。資源価格の下落も需要の弱さを映したものだとしても、投資マネーで押し上げることもない。むしろ売り、でとることを投資マネーが模索し始めています。これは売り浴びせが起こる兆候かもしれません。
中国を初め、ブラジルなど経済が不安定な国は山ほどある。売り崩せる市場は山ほどある、と言い換えてもよいかもしれません。中国は擬似資本主義なので、海外マネーは届きにくいですが、それ以外はマネーの量で潰せるほどの国の経済規模もあって、かなり危険です。米国で、住宅融資の条件緩和という話が出てきたのも、マネーがダブついている証拠なのでしょう。
中国では、上海株の急落の原因を反習近平派の策動とする記事があります。しかしもし反習近平派なら、捜査されたらすぐにバレるようなことをするのも考え難いですし、社会混乱を引き起こしたら一気呵成にいかないと、捜査されたら自分たちが危険に陥ります。そんな中、証券会社幹部が逮捕、党籍剥奪と伝わります。癒着、賄賂などの多い中国では、こちらの方が信憑性が高い。つまり一部の大口投資家や仕手系と組んで、相場操縦をしている可能性が高い。情報を横流しし、証券会社の人間が儲けようとしていることが想定されます。個人投資家を蔑ろにし、自己利益のみ追求する社会で、売り浴びせをして儲けようとする輩が跋扈していても、何の不思議もありません。反習近平派というより、自己利益のみ優先する個人の性向が、今後も中国では株式の急変動などの不安として襲うことにもなるのでしょう。
日本の株式市場は、日系の大手証券が下落時の買い方として活発に動いていましたが、ここ1週間ほどはその座を下り、変わって欧州系、米系などが日替わりで買い方上位に浮上する構図です。買い支えマネーの出元は変わらないものの、発注先を多様化したような印象ですが、行き場を失ったマネーが少しでも有利な日本市場に流れているだけ、かもしれません。しかし業績が伴っていない小売株の状態など、日本の歪みも相当に溜まってきました。外国人投資家が本格的に夏休みに入る中で買い始めるといった不思議。世界のマネーの流れが変化しつつある中で、安倍政権の支持率下落や、日本の経済状況をみて日本へと流れてくるマネーも変化するのであれば、買いが溜まっている分、それは上より下を試しやすい、ということにもなるのでしょうね。
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この記事へのコメント
1. Posted by ジニー銀河 2015年08月08日 23:37
日本企業の好調さが東証の堅調さにつながっていると思いますが…アメリカの利上げ後もこの好調さは続くでしょうか?
世界で安保法案に反対しているのは…中国と韓国と日本の国民の半分ぐらいだそうです。
ちょっとおかしな状態ですよね…。
非常に多くの国々が賛成しています。
ヤフーニュースによれば 中国ネットでも話題になっていました。
世界で安保法案に反対しているのは…中国と韓国と日本の国民の半分ぐらいだそうです。
ちょっとおかしな状態ですよね…。
非常に多くの国々が賛成しています。
ヤフーニュースによれば 中国ネットでも話題になっていました。
2. Posted by 管理人 2015年08月09日 00:06
ジニー銀河 さん、コメント有り難うございます。
小売業など、業績が好調でないにも関わらず、東証での今年のパフォーマンスがかなりいい。インバウンド消費も斑で、実は業績の悪い小売の方が多いのが現状なのですね。なので、実態に近づけば調整するのは間違いなく、今年の業績発表はここまで60%近い上昇率、と言う話もありますが、実は在庫積み上げが寄与している部分も多いのが現状です。これは年後半、相当に下押し要因ともなるので、業績が決して株価を押し上げているわけではない、ということには注意が必要です。
各国が安保に賛成するのは、日本が軍事力を行使すれば自分たちの負担が減るのですから、当然です。日本がムダ遣いしてくれる、ということに反対はしないのですね。中韓の反対は、自国が行ってきた反日教育、抗日の行動の結果として必然ですが、それ以外の国はむしろ自国の負担軽減を喜んでいます。しかし国内で反対が増えるのは当然で、自衛隊を危険にさらすこともありますが、戦費負担による財政圧迫になるのですから、これは二重、三重にも反対して当然なのですね。その分、海外では喜ばしいことに、自国の部隊を展開せず危険にさらさずに済みますし、戦費負担もない、というバランスの下に成り立っています。
海外から喜ばれるからやってしまう、というのは全く異なります。それこそ国益の最大化を考えなければなりません。安倍政権は、安保法制を改定しないと国が守れない、と述べますし、その原因を中国の伸張で説明します。しかしどうして東南アジアの国々は、日本と同じ議論を始めないのか? 日本だけが突出してそんな議論をしている、ということでもあるのです。海外との関係をみるときは、国益の最大化、という視点をもたないと、単に日本が負担するばかりで相手に喜んでもらって終わり、というこれまで日本がくり返した外交の失敗をつづけることにもなるのですね。
小売業など、業績が好調でないにも関わらず、東証での今年のパフォーマンスがかなりいい。インバウンド消費も斑で、実は業績の悪い小売の方が多いのが現状なのですね。なので、実態に近づけば調整するのは間違いなく、今年の業績発表はここまで60%近い上昇率、と言う話もありますが、実は在庫積み上げが寄与している部分も多いのが現状です。これは年後半、相当に下押し要因ともなるので、業績が決して株価を押し上げているわけではない、ということには注意が必要です。
各国が安保に賛成するのは、日本が軍事力を行使すれば自分たちの負担が減るのですから、当然です。日本がムダ遣いしてくれる、ということに反対はしないのですね。中韓の反対は、自国が行ってきた反日教育、抗日の行動の結果として必然ですが、それ以外の国はむしろ自国の負担軽減を喜んでいます。しかし国内で反対が増えるのは当然で、自衛隊を危険にさらすこともありますが、戦費負担による財政圧迫になるのですから、これは二重、三重にも反対して当然なのですね。その分、海外では喜ばしいことに、自国の部隊を展開せず危険にさらさずに済みますし、戦費負担もない、というバランスの下に成り立っています。
海外から喜ばれるからやってしまう、というのは全く異なります。それこそ国益の最大化を考えなければなりません。安倍政権は、安保法制を改定しないと国が守れない、と述べますし、その原因を中国の伸張で説明します。しかしどうして東南アジアの国々は、日本と同じ議論を始めないのか? 日本だけが突出してそんな議論をしている、ということでもあるのです。海外との関係をみるときは、国益の最大化、という視点をもたないと、単に日本が負担するばかりで相手に喜んでもらって終わり、というこれまで日本がくり返した外交の失敗をつづけることにもなるのですね。
3. Posted by ひまわり 2015年08月09日 06:59
こんにちは(^-^*)/
アメリカの7月チャレンジャー人員削減予定数が4年ぶりの水準へ増加らしいです。この先、どうなんでしょうね。
最近、CRB指数の下落を気にしているようですが。世界はデフレに向かっているとか。いずれ、株式市場にもこの影響はおしよせるのでは。
アメリカの7月チャレンジャー人員削減予定数が4年ぶりの水準へ増加らしいです。この先、どうなんでしょうね。
最近、CRB指数の下落を気にしているようですが。世界はデフレに向かっているとか。いずれ、株式市場にもこの影響はおしよせるのでは。
4. Posted by 管理人 2015年08月09日 23:28
ひまわり さん、コメント有り難うございます。
米国ではシェール革命により、エネルギー調達コストが下がり、労働の効率性が上がり、国際競争力がついた、という話もあります。新興国には敵いませんが、先進国では群を抜いて米国に産業が集まりやすい構図、とも。しかしこうした報道が出てくるときは、大抵は米経済の人員計画が、斜陽に入ってきたことを示します。一部ではドル高もありますが、むしろシェール革命では掘削コストが高く、それを無理やりWTIなどの資源価格と連動させているため、ムリが来ているのでしょうね。シェールオイルの設備投資で潤ってきた部分が、今は剥落しかけていて、またシェール関連企業もコスト低減を狙って人員をしぼる。米自動車産業も中国向けで潤ってきましたが、中国も減速が鮮明となってきて、自動車も売れない。米国もこれから調整局面入りになるのかもしれません。
デフレに向かうことは間違いないのでしょうね。供給サイドは、一時の需要に応えるために設備を増やした一方、その需要が今は萎んでしまいましたから、淘汰がすすむまで、需要不足による価格下落がすすむことになります。株式市場も、デフレというより、世界の景気減速が直撃することは、ほぼ間違いないでしょう。先週の日本の株式市場は、説明のつかない異常な強さを示しましたが、そのツケはいずれどこかで払わなければなりません。今、一部では日本株の下落が一番激しくなるのでは? とも囁かれています。それは官製相場で支えられてきた中、実態との乖離が大きくなってしまっているからなのですね。米株も、高PERを維持できなくなり、下落局面に入っていますが、日本もいずれ織りこまざるを得なくなるでしょう。いつそれが起こるか? は分かりませんが、実態から離れた株価はいずれ調整するのが大原則であるので、これはもうタイミング次第、といったところなのでしょうね。
米国ではシェール革命により、エネルギー調達コストが下がり、労働の効率性が上がり、国際競争力がついた、という話もあります。新興国には敵いませんが、先進国では群を抜いて米国に産業が集まりやすい構図、とも。しかしこうした報道が出てくるときは、大抵は米経済の人員計画が、斜陽に入ってきたことを示します。一部ではドル高もありますが、むしろシェール革命では掘削コストが高く、それを無理やりWTIなどの資源価格と連動させているため、ムリが来ているのでしょうね。シェールオイルの設備投資で潤ってきた部分が、今は剥落しかけていて、またシェール関連企業もコスト低減を狙って人員をしぼる。米自動車産業も中国向けで潤ってきましたが、中国も減速が鮮明となってきて、自動車も売れない。米国もこれから調整局面入りになるのかもしれません。
デフレに向かうことは間違いないのでしょうね。供給サイドは、一時の需要に応えるために設備を増やした一方、その需要が今は萎んでしまいましたから、淘汰がすすむまで、需要不足による価格下落がすすむことになります。株式市場も、デフレというより、世界の景気減速が直撃することは、ほぼ間違いないでしょう。先週の日本の株式市場は、説明のつかない異常な強さを示しましたが、そのツケはいずれどこかで払わなければなりません。今、一部では日本株の下落が一番激しくなるのでは? とも囁かれています。それは官製相場で支えられてきた中、実態との乖離が大きくなってしまっているからなのですね。米株も、高PERを維持できなくなり、下落局面に入っていますが、日本もいずれ織りこまざるを得なくなるでしょう。いつそれが起こるか? は分かりませんが、実態から離れた株価はいずれ調整するのが大原則であるので、これはもうタイミング次第、といったところなのでしょうね。
5. Posted by いろはのい 2015年08月10日 16:56
このところのNY株の下落は、利上げをおり込んだもの、という説があるのですが、どうなんでしょう。石油や金などの現物が下がっているのも、そこから資金を引き上げてドルを買う為というのですが。。。
実際に利上げしてNY株がさらに下がったら日本株へも影響しそうですが、円安に振れる方向なので日本株への影響は軽微と考えられるのでしょうか。
実際に利上げしてNY株がさらに下がったら日本株へも影響しそうですが、円安に振れる方向なので日本株への影響は軽微と考えられるのでしょうか。
6. Posted by 管理人 2015年08月11日 23:27
いろはのい さん、コメント有り難うございます。
利上げを織りこみつつあるのは間違いありませんが、むしろそれを引き金にして起きるマネーの流れの変化が、金融市場では警戒されている面がありますね。実際に、米企業の高PERも警戒されており、今は米経済のみ好調という一本足の状態で、さらに成長鈍化による影響が世界へと波及すれば、株価も妥当な水準へと調整せざるを得ません。現状でもダウは16000$台へと下がってもおかしくありませんし、それがマネーの流れの変化でどうなるか? そこが読みきれないのですね。
利上げをしたら円高、という観測もあります。すでに1度の利上げは織りこんでおり、そこで材料出尽くしとなるか。むしろ方向性の違いとはいっても、円売りは相当に溜まっているので、どこかでそれを吐き出さなければなりません。最大に警戒するのは、円買いと株安が同時に起こることですが、何かきっかけがあるとそういったこともあるでしょう。金融機関の巨額損失や、不正取引により金融市場がシュリンクする。パリバショックのようなことが起こるなら、そうした日本株の逆風が一気に吹くことになります。今日の市場でも、中国の人民元の基準額が引き下げられたことで大きな動きとなりましたが、金融で肥大化している市場だけに、金融面の不安材料には敏感となります。理屈が分かるまで、不意の変動には脆い相場つきになるのは仕方ないのでしょうね。
利上げを織りこみつつあるのは間違いありませんが、むしろそれを引き金にして起きるマネーの流れの変化が、金融市場では警戒されている面がありますね。実際に、米企業の高PERも警戒されており、今は米経済のみ好調という一本足の状態で、さらに成長鈍化による影響が世界へと波及すれば、株価も妥当な水準へと調整せざるを得ません。現状でもダウは16000$台へと下がってもおかしくありませんし、それがマネーの流れの変化でどうなるか? そこが読みきれないのですね。
利上げをしたら円高、という観測もあります。すでに1度の利上げは織りこんでおり、そこで材料出尽くしとなるか。むしろ方向性の違いとはいっても、円売りは相当に溜まっているので、どこかでそれを吐き出さなければなりません。最大に警戒するのは、円買いと株安が同時に起こることですが、何かきっかけがあるとそういったこともあるでしょう。金融機関の巨額損失や、不正取引により金融市場がシュリンクする。パリバショックのようなことが起こるなら、そうした日本株の逆風が一気に吹くことになります。今日の市場でも、中国の人民元の基準額が引き下げられたことで大きな動きとなりましたが、金融で肥大化している市場だけに、金融面の不安材料には敏感となります。理屈が分かるまで、不意の変動には脆い相場つきになるのは仕方ないのでしょうね。