日経平均の反発と政治とお金7月の経済指標について

2015年08月27日

橋下氏が維新の党を離党

日経平均は反発しましたが、いつもの日系1社の先物買いだけで追随がなく、現物株はぎりぎり3兆円の売買代金を維持する程度の盛り上がりです。この日系1社、コール市場でヘッジをかけていますが、どれほど先物を買っても上げ幅が限定的となるのは、異常な水準まで先物の買いポジションを溜めていた米系の反対売買により、打ち消されてしまうからです。まだこうした海外勢の買いポジションは、完全には解消しきれておらず、期待が剥落した市場が適正水準を見出すまで、まだ時間はかかりそうです。

維新の党から橋下大阪市長、松井大阪府知事が離党しました。柿沢幹事長が山形市長選で、公認を見送った候補を応援した…というのは口実で、11月の大阪府知事、市長のW選挙を維新の党の看板を背負って戦わない、そんな戦略が橋下氏側にあったのでしょう。来年の参院選も大阪維新として戦う。橋下氏は大阪市長選に出馬せず、代わりを立てることになりますが、全面支援した上で、自身は衆院選にむけて準備をすすめる。そして将来的には自公、大阪維新の連立政権を狙っているものとみられます。その頃まで安倍自民がつづいている確証はありませんが、むしろ安倍首相の後継者をアピールしつつ、自民に食い込んで行く腹でしょう。
つまり自社さ時代と同様に、第2党が総理の座につく。今回の安保法制を通せば自民の議席が減るのは自明ですから、そこに隙が生まれます。憲法改正には3分の2を維持する必要があり、自公と大阪維新の連立政権が必要との算段です。その計算を狂わすのは、以前も指摘したように自民の都合なのでしょう。安倍政権は後半年、総裁選が無風となることでその公算が高まります。

しかし橋下氏、政界の壊し屋としてくっついては離れる、をくり返す。それでも隠然たる力をもち続ける理由は、相手を悪し様に言わない点です。日本維新の会として石原氏と組んだ後も、悪く言わない。今回も松井氏に批判を任せ、自身は一歩ひいた調整役のような立ち回りを演じた。橋下氏が裏で糸をひきながら、黒子に徹する。橋下氏はこれほど政党をつくり、壊しており、決して風をよむのが得意なのではない。立ち回り方が上手いことを、この一事が示します。
トップが前面に出て引っ張る、というのは勢いがある内はまだしも、衰えると一気に支持者、身内も離れます。特に感情的になったり、威圧的な態度をとるとそうなりますが、今回も橋下氏が抗議すれば、角がたったでしょう。次にその攻撃をうけるのは自分かもしれない、との疑心暗鬼すら生じるからです。松井氏に悪役を任せ、自らは物分りのいいトップとして君臨する。手腕としては正解ですが、コンビとしての一体感が崩れると終わりですし、何より有権者を騙し続けられるか? というと疑問です。大阪都構想のように必ずしも有権者は橋下信者ではありません。松井氏の不人気は、W選挙で誰を市長候補に立てるのか、でも結果は変わってくるはずです。

安保法制は自民党の多数で何とかなりそう…というのが、国政から離れる、の真意であるなら、上記のシナリオを目論んでいるのでしょう。しかし自らの思惑通りにいかないのが政治です。安倍政権の支持率下落で、安倍氏が幸せなうちに政権運営をつづけられなくなると、それが橋下氏にも波及する。安倍夫人の問題など、醜聞が増えてきた安倍政権。二代目壊し屋として政界を渡り歩く橋下氏が、次に寄りつく相手がぐらぐらしつつあり、すでに壊れかけている点が最大の懸念でもあるのでしょうね。

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analyst_zaiya777 at 23:12│Comments(6)TrackBack(0)政治 | 一般

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この記事へのコメント

1. Posted by ストロン   2015年08月27日 23:26
GPIFの運用比率が発表されましたが6月末時点で23.39%というのは思っていたよりも低い数字で少し驚きました。
もっとも今回の暴落の買い支えで比率がかなり上がりそうですが。。。

橋下氏は引退宣言を誰も信じていなかったとおり今後も政治活動を続けていくわけですが、これからも有権者の期待を集められるのか疑問に感じます。
大阪市長としての橋下氏は今でも高い支持率を維持しているのでしょうか?
2. Posted by 管理人   2015年08月27日 23:45
ストロン さん、コメント有り難うございます。

株価が上昇しただけで達成しそうな数字でしたから、確かに驚きましたね。年金機構が何もしなかったはずはなく、売買も観測されていましたから、単純に売りもよく出していたのか? 何か釈然としません。むしろ余力はある、という含みをもたせるために、数字をいじってきたのかもしれません。辻褄さえ合わせられればいいので、年間通した数字のとき、最終的な比率が分かるのかもしれませんね。

橋下氏は、そこそこ支持はうけていますが、かつての勢いは衰えましたね。今回も、安倍政権との近さ、というのが積極アピールになるはずです。どの地方選でもそうですが、公共工事を引っ張ってきたり、地元に有利なよう中央に取り計らう、というのが一定の支持につながりますからね。そのとき、野党再編をめざす維新の党の看板が邪魔になった、というのが、今回の離党劇だと考えています。そこで数字をえて、大阪での人気をアピールしつつ、さらに中央政界へと働きかける。ただその間に、安倍首相が交代して、自分たちの勢力拡大が間に合わない、ということに今のままならなりそうですね。

政治家の口は、ウソをついてもいいようにできているようです。今回の件で、橋下氏も骨の髄まで政治家に染まった、そう感じます。純粋な理想を追いかけていた頃に比べ、政治家・橋下氏に期待する人もいれば、離れていく人もいるでしょう。残念なのは、そういう政治家に改革は期待できなくなった点、なのでしょうね。
3. Posted by ジニー銀河   2015年08月28日 00:09
結局維新の党は民主党離党組に乗っ取られたということでしょうか?
4. Posted by 管理人   2015年08月28日 00:21
ジニー銀河 さん、コメント有り難うございます。

のっとられた、ということではありませんが、多人数になれば必ず意見の衝突も生じる。それを許容できるか、できないか、という問題です。政治の世界で、自分のやりたいことができる人間なんて、ほんの一握りしかいません。それは一般社会でも同じですが、数名のベンチャーなら、自分のやりたいことを通すこともできますが、大企業になればやりたくない部署にも飛ばされ、やりたくない仕事をする。橋下氏ら、大阪組とよばれる人たちには、それが我慢できない面があるようです。日本維新の会から分裂するときもそうですが、旧太陽の党に上を握られ、やりたいこともできなくなった。はい、やめます、という形が、今回も露呈してしまった、ということですね。

これは橋下氏にとって、マイナスの影響を生じます。巨大な組織を率いられない。数が増えると、意見の対立もでてきて、それを上手くまとめることもできない。自分都合が多すぎる、といった点で、ネガティブに働く恐れもあります。それをうまく転化するには、指導力だったり、行動力をアピールする必要もありそうですが、そのためには大阪市長候補に、かなり知名度のある人物をもってくる必要もでてくるのでしょうね。

のっとられた、なんて話は政界では日常茶飯事です。それこそ自民党の改憲派にとって、今回の安保法制における解釈変更は寝耳に水、意見を頭ごなしに否定されたも同然です。なので答弁も覚束ないのが現状ですが、仮に自民党が少数なら、この意見で一致団結して行動することにもなったでしょう。結局、数に頼って政治をするには、橋下氏の実力不足が露呈している、というのが今回なので、のっとられる程度の実力としか言えないのが現状なのでしょうね。
5. Posted by 快晴   2015年08月28日 01:35
黒田総裁が『中国経済の減速』を否定したとの報道がありました。
思わず笑ってしまいましたが、どのような根拠の発言なのでしょうか?日本国内での発言『物価上昇2%達成時期』にしても疑問だらけですが、この人達(安倍氏含む)は海外に行くと何かから解放された気持ちになるのでしょうかね・・・

GPIFの運用比率ですが、確かに???です。
発表は市場への影響を避ける為に3ヶ月ごとになるらしいですが
おっしゃる様に帳尻があえば問題ないということなのでしょう。

余談ですし、古くさいかもしれませんが企業は株主の為にあるのでは無く社員とその家族の為・・・という時代が再びくるといいなと最近思ってしまいます。

給料袋を誇らしげに母親に渡す父親、それを『ご苦労様でした』とねぎらう母親・・・

そんな記憶が最近懐かしく、羨ましく感じます(笑)
6. Posted by 管理人   2015年08月29日 00:20
快晴 さん、コメント有り難うございます。

前後の文脈が分からないので、もし黒田総裁が中国経済の原則を本気で否定したとすれば、根拠もなく楽観をばら撒く、といったことなのでしょうね。それはデフレ脱却、という意味不明な政策目標を掲げる点からも、能力不足と指摘できます。アジア開発銀行の総裁についていたことからも、国際的な振舞い方には慣れているようですが、経済の専門家としての知識は拙い。といったところなのかもしれませんね。

GPIFに関しては、今日の記事でも示したように、年金が売っていた、という事実はほとんど確認されていません。確かに、年金は上がると売るのが常ではありましたが、運用比率の見直し、また信託経由の買いもかなり入っていたとみられることからも、実際は売っていたというのが意外です。そしてもしこれが事実なら、今後年金の下支え、というのはダミーでしかないということにもなりそうです。鯨は深海まで潜るといわれますから、4頭の鯨も何をしているのか? もう少し精査する必要もありそうです。

個人的には、企業は社会的責任を果たすためにある、と考えています。それは現在の株主偏重ではなく、環境や従業員、そして地域まで含めて貢献していく、ということです。コンプライアンスは語られますが、地域貢献について最近ではほとんど見向きもされなくなりましたが、昔は組合活動として清掃や、地域の見回りを従業員が担ったりしていました。それがウィンウィンでもあったのですね。治安が悪くなってきた現在、給料手渡しだと犯罪が増えそうです。ただ紙一枚、メール一つで済ますのではなく、もっと実感のある形になると、父親の威厳も回復するのかもしれませんね。しかも正規と非正規が混在する職場など、妬みも増えそうですから、最低でも労働条件を同じにし、同一賃金とするところからはじめないといけないのかもしれませんね。

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