2016年03月22日
雑感。為替と不動産と中国
ベルギーで同時多発テロがおきました。仏国同時テロの犯人が逮捕されたことへの報復とみられますが、どこの国であろうと公共交通機関を狙われると脆い。多くの人の出入り、モノが流れる中でチェック体制も整いません。これは日本でも同じ、全日空のシステム障害などもありましたが、1つのシステムをダウンさせれば大混乱を引き起こせる。世界の脆弱さを垣間見せられます。
オバマ大統領が現職の大統領としては88年ぶりにキューバ訪問をしました。ただ会談の内容は米国にとって芳しいものではなく、会談後の会見はかなり荒れました。米株市場はダウだけをみれば7連騰、一見すると好調にみえますが、安易な妥協をしてキューバに恩典を与えるわけにはいかない。すでに政権末期のレガシー作りとはいえ、後世の評価に耐えられる合意をめざしていることが、この辺りからも窺えます。日本のようにメディアが『公平』の名の下に評価を歪める国とは違い、一方的に政権を攻撃するメディアも存在する以上、安易な妥協もできないのです。
米国経済は堅調、というのも怪しくなっています。中古住宅販売は年率換算で7.1%減、しかも全地域で減少しています。原因は販売価格の中央値が前年同月比4.4%上昇と、バブル的な価格上昇もみられる点で、すでにふつうに働いても都市部では家賃やローンを払えません。それでも成り立つのは価格が上がり、資産価値が上昇しているから。ただ、それが2月に減速したのは、10月から導入した新規制の影響というより、ドル安局面に入ったことが影響するのでしょう。つまりこれまでのドル高局面は、海外から米国へ投資しておけば不動産価格ばかりでなく、ドル高によって利益が上乗せされました。ドル高で輸出企業には打撃でも、内需が堅調だったのは、サブプライムローン前の水準までもどす不動産価格の上昇が影響していたことは否めません。
日本でも公示地価が発表され、8年ぶりに前年比0.1%上昇となっています。ただし、三大都市圏は0.5%の上昇、地方都市は0.7%下落、と二極化。商業圏の上昇もめだちますが、問題は大阪心斎橋の45.1%上昇、というようにバブルが発生していることです。マンションは暴騰、戸建ては低迷、と海外からの不動産投資、投機の流れで価格が押し上げられている面が否めず、ふつうに働いている人では中々手がだせなくなっています。そこに今後は円高という要因も加わる。海外からの投資、投機がすすみ易く、それがバブル的な価格の高騰を生みだす要因になっているのです。
不動産価格だけはリーマンショック前並み、しかも今回は米国のサブプライムローンではなく、中国の不透明な資金調達手段によるものなので、いつ弾けてもおかしくありません。中国国営銀行の不良債権比率も徐々に上昇しており、個人の債務も膨らんでいる。借金して投資する、それが当たり前になっている国で、米国や日本、中国国内でもふたたびバブル化を始めた不動産市場で、不意の変動により連鎖的に悪影響をもたらす懸念を、中国マネーは抱えているのです。
人民元安でもまったく製造業が復活する見込みのない中国。これは中国経済がすでに変容していることを示します。モノづくりからカネづくり、錬金術へと大きく経済の成長ドライバーを変えた。なので中国は、低成長に陥っても命脈を保っています。ただ、そんな中国が経済運営に失敗すれば、世界へと影響が波及するでしょう。今の世界経済の脆さは、中国という横車を押すような国が投資、投機という世界経済で、大きな地位を占めている点に重大な問題を抱えているのです。各国の不動産市場の歪みをみるにつけ、中国の存在感と危うさ、その両端が垣間見えるのでしょうね。
オバマ大統領が現職の大統領としては88年ぶりにキューバ訪問をしました。ただ会談の内容は米国にとって芳しいものではなく、会談後の会見はかなり荒れました。米株市場はダウだけをみれば7連騰、一見すると好調にみえますが、安易な妥協をしてキューバに恩典を与えるわけにはいかない。すでに政権末期のレガシー作りとはいえ、後世の評価に耐えられる合意をめざしていることが、この辺りからも窺えます。日本のようにメディアが『公平』の名の下に評価を歪める国とは違い、一方的に政権を攻撃するメディアも存在する以上、安易な妥協もできないのです。
米国経済は堅調、というのも怪しくなっています。中古住宅販売は年率換算で7.1%減、しかも全地域で減少しています。原因は販売価格の中央値が前年同月比4.4%上昇と、バブル的な価格上昇もみられる点で、すでにふつうに働いても都市部では家賃やローンを払えません。それでも成り立つのは価格が上がり、資産価値が上昇しているから。ただ、それが2月に減速したのは、10月から導入した新規制の影響というより、ドル安局面に入ったことが影響するのでしょう。つまりこれまでのドル高局面は、海外から米国へ投資しておけば不動産価格ばかりでなく、ドル高によって利益が上乗せされました。ドル高で輸出企業には打撃でも、内需が堅調だったのは、サブプライムローン前の水準までもどす不動産価格の上昇が影響していたことは否めません。
日本でも公示地価が発表され、8年ぶりに前年比0.1%上昇となっています。ただし、三大都市圏は0.5%の上昇、地方都市は0.7%下落、と二極化。商業圏の上昇もめだちますが、問題は大阪心斎橋の45.1%上昇、というようにバブルが発生していることです。マンションは暴騰、戸建ては低迷、と海外からの不動産投資、投機の流れで価格が押し上げられている面が否めず、ふつうに働いている人では中々手がだせなくなっています。そこに今後は円高という要因も加わる。海外からの投資、投機がすすみ易く、それがバブル的な価格の高騰を生みだす要因になっているのです。
不動産価格だけはリーマンショック前並み、しかも今回は米国のサブプライムローンではなく、中国の不透明な資金調達手段によるものなので、いつ弾けてもおかしくありません。中国国営銀行の不良債権比率も徐々に上昇しており、個人の債務も膨らんでいる。借金して投資する、それが当たり前になっている国で、米国や日本、中国国内でもふたたびバブル化を始めた不動産市場で、不意の変動により連鎖的に悪影響をもたらす懸念を、中国マネーは抱えているのです。
人民元安でもまったく製造業が復活する見込みのない中国。これは中国経済がすでに変容していることを示します。モノづくりからカネづくり、錬金術へと大きく経済の成長ドライバーを変えた。なので中国は、低成長に陥っても命脈を保っています。ただ、そんな中国が経済運営に失敗すれば、世界へと影響が波及するでしょう。今の世界経済の脆さは、中国という横車を押すような国が投資、投機という世界経済で、大きな地位を占めている点に重大な問題を抱えているのです。各国の不動産市場の歪みをみるにつけ、中国の存在感と危うさ、その両端が垣間見えるのでしょうね。
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この記事へのコメント
1. Posted by ジニー銀河 2016年03月23日 00:18
イスラム系移民の二世がテロをすることで…イスラム系難民が迷惑を被るワケです。そういうことは…テロリスト達は考えないのでしょうね…。 トランプ氏が結局共和党の代表になるのでしょうか?
2. Posted by 通りすがり 2016年03月23日 03:00
考えているからこそやっているですよ
移民排斥を叫ぶ向こうのネトウヨさんたちが活気付きますから
そうなればテロリスト側のほうに正当性が生まれてくるわけです。
移民排斥を叫ぶ向こうのネトウヨさんたちが活気付きますから
そうなればテロリスト側のほうに正当性が生まれてくるわけです。
3. Posted by ジニー銀河 2016年03月23日 05:32
世界の先進国の国民の本音は…シリア難民は自分達の国には来て欲しくないと思っている?
4. Posted by 管理人 2016年03月23日 23:46
ジニー銀河 さん、コメント有り難うございます。
移民二世や難民が迷惑を被る、という発想ではなく、そういう人も自分たちの活動に賛同し、参加しろ、という発想です。つまり、逆から見れば過激思想に染まっていない人がどれほど迷惑や厄介を被ろうと、自業自得だ、という考えがテロリストにはあるのですね。そんな一方的な意見…と、ふつうの人なら考えそうですが、テロを起こす動機を鑑みれば、一般人がどうなろうと関係ない、自分たちに協力しない人間がどうなろうと知ったことではない、という考えが支配してしまっているのですね。
シリア難民の受け入れについては、各国とも渋っているのが現状です。それは雇用がないから。受け入れても職がなければ、将来のホームグローンテロリストを育てるようなものです。それこそ、雇用は堅調という日本や米国に、受け入れろとの要請が苛烈になってくるのかもしれませんね。
トランプ氏はもう少し紆余曲折はあるでしょうが、共和党の代表になることはほぼ間違いないでしょう。問題は民主の代表に勝てるのか? だと考えます。伝統的に民主の支持層は中間層、共和は富裕層、という区分けがあります。富裕層にとって、富の簒奪がはじまりそうなことに敏感で、むしろ移民、難民に厳しいトランプ氏を支持する傾向も強い、とされますが、民主の支持層にまでそれは通用しないでしょう。どこかでトランプ氏が、民主支持層なのか、どちらでもない層へ向かって票をとりにくる発言、態度に切り替えてくるでしょう。それをみてから、大統領選の帰趨が読めてくるのかもしれませんね。
移民二世や難民が迷惑を被る、という発想ではなく、そういう人も自分たちの活動に賛同し、参加しろ、という発想です。つまり、逆から見れば過激思想に染まっていない人がどれほど迷惑や厄介を被ろうと、自業自得だ、という考えがテロリストにはあるのですね。そんな一方的な意見…と、ふつうの人なら考えそうですが、テロを起こす動機を鑑みれば、一般人がどうなろうと関係ない、自分たちに協力しない人間がどうなろうと知ったことではない、という考えが支配してしまっているのですね。
シリア難民の受け入れについては、各国とも渋っているのが現状です。それは雇用がないから。受け入れても職がなければ、将来のホームグローンテロリストを育てるようなものです。それこそ、雇用は堅調という日本や米国に、受け入れろとの要請が苛烈になってくるのかもしれませんね。
トランプ氏はもう少し紆余曲折はあるでしょうが、共和党の代表になることはほぼ間違いないでしょう。問題は民主の代表に勝てるのか? だと考えます。伝統的に民主の支持層は中間層、共和は富裕層、という区分けがあります。富裕層にとって、富の簒奪がはじまりそうなことに敏感で、むしろ移民、難民に厳しいトランプ氏を支持する傾向も強い、とされますが、民主の支持層にまでそれは通用しないでしょう。どこかでトランプ氏が、民主支持層なのか、どちらでもない層へ向かって票をとりにくる発言、態度に切り替えてくるでしょう。それをみてから、大統領選の帰趨が読めてくるのかもしれませんね。
5. Posted by 管理人 2016年03月23日 23:58
通りすがり さん、コメント有り難うございます。
テロリストでも何でもそうですが、発言が過激で目立った行動をとる人、組織の方が良かれ、悪しかれ、注目を集めますからね。自爆テロなんて…と眉を顰めようと、それがニュースになり、報道されればまたよい広告になってしまう。既存の政治、世界秩序に失望した人間たちにとって、そうしたものに抗う組織というアピールになれば、参加したり、寄付金を集め易くもなりますからね。この辺りは環境保護団体や、何とか団体の資金集めの手法とも似ています。100人が100人にみとめられずとも、100人のうち2、3人に共鳴してくれれば大きな力になる。そうやって支持を広げて行くのが、こうした組織なのですね。
当然、それに過剰反応する相手がいれば、それもまた注目を集めることになりますからね。結局、各国政府が「テロとの戦い」などと前のめりになり、欧米、露国なども中東への関与を強めれば、ますます思うツボなのでしょうね。恐らく、テロにしろ、何とか団体の活動にしろ、人間が本質的にもっている少数でももっている意見、それが達成されないとの不満をすくい上げる仕組みであるからこそ、これらはなくならないということもいえるのでしょうね。
テロリストでも何でもそうですが、発言が過激で目立った行動をとる人、組織の方が良かれ、悪しかれ、注目を集めますからね。自爆テロなんて…と眉を顰めようと、それがニュースになり、報道されればまたよい広告になってしまう。既存の政治、世界秩序に失望した人間たちにとって、そうしたものに抗う組織というアピールになれば、参加したり、寄付金を集め易くもなりますからね。この辺りは環境保護団体や、何とか団体の資金集めの手法とも似ています。100人が100人にみとめられずとも、100人のうち2、3人に共鳴してくれれば大きな力になる。そうやって支持を広げて行くのが、こうした組織なのですね。
当然、それに過剰反応する相手がいれば、それもまた注目を集めることになりますからね。結局、各国政府が「テロとの戦い」などと前のめりになり、欧米、露国なども中東への関与を強めれば、ますます思うツボなのでしょうね。恐らく、テロにしろ、何とか団体の活動にしろ、人間が本質的にもっている少数でももっている意見、それが達成されないとの不満をすくい上げる仕組みであるからこそ、これらはなくならないということもいえるのでしょうね。
6. Posted by ジニー銀河 2016年03月24日 00:03
日本にも在日二世や三世がいますが…欧州よりは住みやすいということでしょうか?
しかしシリアやアフガニスタンから歩いてドイツに行こうという発想はすごいと思います。世界史でいくつかの大移動を教わりましたが…本当にあったのだとわかりました。
しかしシリアやアフガニスタンから歩いてドイツに行こうという発想はすごいと思います。世界史でいくつかの大移動を教わりましたが…本当にあったのだとわかりました。
7. Posted by ジニー銀河 2016年03月24日 06:55
トランプ氏を推すアメリカの民意は正しいでしょうか?
8. Posted by 管理人 2016年03月24日 23:41
ジニー銀河 さん、コメント有り難うございます。
欧州より住み易い、ということはありませんが、むしろこれまでも固まって生活する、ということは少なかったので、まとまりとしても弱かった。在日、というと朝鮮半島から移住してきた人をさすことも多いですが、併合時は同じ日本なので、日本国内でコミュニティーをつくることはなかったのですね。むしろ戦後の方が、朝鮮学校などの民族主義が優位になり、対立を深めていく流れもありましたからね。また戦前は、隣組制度で地域の住民を相互監視させる必要もあったため、地区全体の住民をバラす傾向があった点も、地域性を弱めることにもなったのでしょうね。ただ、昔から在日の方がヤクザや暴力団に入るケースが多かったように、決して生活が楽で、日本が住みやすかったわけではありません。ただ、20世紀頃までは総中流社会で、過激思想というよりアウトローの世界が、人の流れが主流だった、というだけですね。
日本でも今後は過激思想をもつ若者が増えるのかもしれません。貧困は深刻ですし、何より格差が固定する傾向もつよまっており、社会から阻害されている、と感じる人が増えてきているためです。日本も対岸の火事と言っている場合ではなくなっているのでしょうね。
民意が必ずしも正しい方向を示す、とは限りません。その際たるものは独国のナチスであったことは、歴史の証明です。問題は時流にのったり、過激な発言で注目を集めるような人間には、根本的に大きな過ちを抱えている、ということです。国として、多くの人を抱えるのに、そのリーダーとしてはふさわしくない、との認識をもつことが大事なのでしょうね。
欧州より住み易い、ということはありませんが、むしろこれまでも固まって生活する、ということは少なかったので、まとまりとしても弱かった。在日、というと朝鮮半島から移住してきた人をさすことも多いですが、併合時は同じ日本なので、日本国内でコミュニティーをつくることはなかったのですね。むしろ戦後の方が、朝鮮学校などの民族主義が優位になり、対立を深めていく流れもありましたからね。また戦前は、隣組制度で地域の住民を相互監視させる必要もあったため、地区全体の住民をバラす傾向があった点も、地域性を弱めることにもなったのでしょうね。ただ、昔から在日の方がヤクザや暴力団に入るケースが多かったように、決して生活が楽で、日本が住みやすかったわけではありません。ただ、20世紀頃までは総中流社会で、過激思想というよりアウトローの世界が、人の流れが主流だった、というだけですね。
日本でも今後は過激思想をもつ若者が増えるのかもしれません。貧困は深刻ですし、何より格差が固定する傾向もつよまっており、社会から阻害されている、と感じる人が増えてきているためです。日本も対岸の火事と言っている場合ではなくなっているのでしょうね。
民意が必ずしも正しい方向を示す、とは限りません。その際たるものは独国のナチスであったことは、歴史の証明です。問題は時流にのったり、過激な発言で注目を集めるような人間には、根本的に大きな過ちを抱えている、ということです。国として、多くの人を抱えるのに、そのリーダーとしてはふさわしくない、との認識をもつことが大事なのでしょうね。
9. Posted by ジニー銀河 2016年03月25日 00:38
しかし移民二世の失業率は以前から日本と比べて異常に高いとか…。こういうのもテロリストになる原因の一つでしょう?