日銀短観と5月の経済指標ダッカにおけるテロ事件

2016年07月03日

年金に関する間違った説明 by 公明党・太田前代表

公明の太田前代表が横浜の応援演説で「年金が潰れる、壊れる、と言われなくなったのは民主党政権で株安だったから。安倍政権で株価が上がったから。38兆円も運用益がでている。昨年度5兆円減ってもまだ30兆円以上の余裕がある」と述べましたが、大きな誤解と間違いがあります。かつて公明が「100年安心プラン」として喧伝していた年金制度改正により、国庫負担率が3分の1から2分の1に上がりました。これで年金は制度上、破綻しにくい仕組みになったものの、財源措置は為されず延期されたまま。それが民主党の野田政権時代に3党合意が為され、消費税増税が決まってやっと財源問題が片付いた。だから安定したのです。

GPIFの単年度の運用実績でみると、24年度が9.56%、25年度が8.23%、26年度が11.62%。これだけみるとすばらしい成績です。しかし積み上げても36.6兆円、38兆円は民主党政権の頃の23年度の上昇分を少し借りています。これが2つめの間違い。そもそも安倍政権は24年度の途中、12月から政権を担当するので、24年度分は含めるべきではありません。すると本来は25年度からの25.4兆円が、安倍政権の実績ということになります。巷間語られている27年度の実績が、5兆円強のマイナスというなら、安倍政権は20兆円の余剰でしかありません。
そして最大の間違いは、株高は年金運用において基本ポートフォリオを策定し、これが改定をくり返されてきました。22年度から26年度の10月まで、国内債券60%、国内株式12%、外国債券11%、外国株式12%、短期資産5%です。26年度の10月以後、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%です。逆にいうと、25年度までは株式より国債の価格動向が運用には大きく影響した。その国債は、黒田バズーカにより今やマイナス金利となり、価格は上昇、すでにバブルともされます。昨日、長期金利が-0.25を越えましたが、ここまで国債価格が上昇したことが、実は運用成績には最大に好影響を与えているのです。つまり25年度の8.23%の運用実績は、実は黒田バズーカによる国債価格が大半を占めるのです。

26年度後半から、というと株価は17000円オーバー、円は107円から一気に1120円越えまですすみました。それを促したのが、黒田バズーカ第2弾だったのです。つまり悪いことを言えば、黒田バズーカのタイミングで年金が国内株式、外国債券、外国株式を買ったので、非常に高値づかみをさせられたことになるのです。そして現在、株は15000円台、円は103円ほど。つまり年金運用の観点で見ると、国内株式も、外国債券、株も、どれも運用が悪化した、ということでもあり、27年度の5兆円超の運用損などかわいい方で、今年の6月末までですでに、それ以上の大きな運用損がでていることにもなる。安倍政権でえたバッファ分の25兆円など、もう飛んでしまう勢いで減っていることにもなるのです。
ちなみに、安倍政権の第一期、平成18年度から19年度にかけては、運用実績は-3.53%でした。この頃は株価は小泉政権のころの好調さを引きずっていましたが、逆に国債は売り圧力が強く、そのため運用成績が下がったのです。しかしその後、景気が悪化していることが顕著となり、やがて東日本大震災がおきて景気は低迷、国債も格下げなどもあって運用成績が下がった、ということになります。そして、安倍政権では国債が未だにバブルをつづけているにも関わらず、基本ポートフォリオを変えたため、その恩恵をうけられないばかりか、黒田バズーカ第2弾以後の好環境が潰えた今、その悪化分を一気に織り込み始めている、ということになるのです。

そしてこの傾向は、今後もつづきます。それ以上に問題なのは、国債のバブルが弾けた途端、年金はもう破綻まで一気に突き進むかもしれません。破綻、というと言葉は悪いですが、年金収支は収入が給付を下回る、常に原資を取り崩すような状況です。運用がマイナスになったらダブルで年金財源の枯渇がすすんでしまう。そうなるとさらに国庫負担割合を増やすか、給付を減らすしかない。実際、安倍氏は給付にも手をつけると、衆院予算委でも言及しているのです。その懸念が現実になる日も近いのでしょう。
今回、年金の運用が暴露されたのは、GPIFが財務諸表を厚労省に提出したから。厚労省絡みのリークだったのでしょう。官僚としてはダメージコントロールのつもりだったのでしょうが、この財務諸表が出たのなら、本来はいつ発表してもいい。それを先延ばしにしている時点で、年金問題は隠したいといった政府の思惑が見え隠れするのです。そもそも年金で、運用実績だけを積み上げて「余裕がある」などという公明の太田氏の認識、そのものが大きな間違いです。収入と給付の差額とふくめて、年金原資が増えたかどうか、その一点が、将来に亘って安定できるかどうか、という判断において必要なのです。年金について語ること、政治家の言葉に騙されてはいけないのでしょう。100年安心プランが1年と経たずに頓挫したように、自公の年金制度の設計は、100年後には影も形も残っていないほどに杜撰、ということだけは、今回からもはっきりしているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 00:17│Comments(11)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 年金

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この記事へのコメント

1. Posted by 反新自由主義   2016年07月03日 01:34
管理人さん、細かいようですが
1120円になってます
ハイパーインフレです(笑)

あのバズーカ
あれで僕は見切りをつけたんです
ゾッとしました
中小が材料費でもう限界だといっていたのに一切躊躇せず、政府も
日銀もニヤニヤと楽しそうに……

もともと製造業移転は円安下でも行われていて、それで雇用を作る
ということ自体、半信半疑でしたが
あれで、上流層以外は自分たちのために干上がらせる気だと確信しました
2. Posted by 管理人   2016年07月03日 02:24
反新自由主義 さん、コメント有り難うございます。

1が一つ余計でしたね。申し訳ございません。今日は少し帰宅が遅くなり、慌てて書いていたのと、資料をひっぱりだしながらだったので、読み返す時間がありませんでした。また、未だにWindows7のパソコンをつかって記事を書いているのですが、10へのアップグレード告知に邪魔されて…。実はもうタブレットで10はもっているのですが、使い勝手が悪く、メインパソコンを10にアップする気もせず、時折おかしなタイミングで告知が出てきて、書いていたデータが消えたり、何かと悪さをします。無料アップグレード期間は後1ヶ月、悩ましいところです。

黒田バズーカはもう副作用の方が多いのですが、未だに市場関係者は期待する向きが多いですね。年2回の追加緩和、などという人は、もう言葉は悪いですが、緩和中毒ではないか、と考えています。緩和しても円安になることもなく、ただ国債のマイナス幅を広げたり、日銀の資産を増やすペースを加速するだけで、景気がよくなるはずもないのに、体面のために追加緩和をする、そう言っているように感じますね。

為替の推移と、製造業の工場移転は必ずしも一致していないことは当初から分かりきっていたことで、それでもそんな理屈で押し通したのは、1つには新自由主義を信奉する人間にとって、マネーフローがもっとも景気に影響するものだ、という盲信があったこと。その正当化のための理屈づけで、為されたものでしょう。しかし結果がみるまでもなかったのですね。マネーフローを潤沢にすればインフレになる、というのも盲信です。鎖国でもすれば別ですが…。結果、溢れた資金で金余りとなった市場だけが潤った。今、市場はその溢れていない状態が怖くて仕方ないのですね。安倍政権の残念ぶりで、様々な問題がおきつつあるのが現状なのでしょうね。
3. Posted by ジニ―銀河   2016年07月03日 05:02
民進党が参議院選挙の争点をアベノミクスではなく憲法改正にしたいのは、アベノミクスに対する具体的な経済政策がないからだと思います。
4. Posted by 通りすがり   2016年07月03日 10:11
「好きなだけ食べて運動もしないで、すぐ痩せらて、しかも副作用も無い魔法のダイエット薬だよ」といってあやしげな薬を売る業者に
「その薬はインチキだ、全然効果じゃないか
 『これから痩せる』『痩せている途中だ』『飲む量が足りない』とか、ごまかすばかりで」と批判したら
その業者
「インチキだというのなら、かわりに好きなものを好きなだけ食べれて運動もせず、すぐに痩せられるダイエット法の代案を出せ。
出せないというのなら、この薬が正しいと認めろ」と逆ギレ

つまり「対案が〜」と言っているのはこれと同じなのです。
そもそも複雑化した経済において、簡単に説明できるような単純な解決法ってありえるのでしょうか?
具体的なといえば、聞こえはいいですが。それって「単純で簡単ですぐに説明できるもの」に過ぎないのでは?
結局のところ、どのような経済政策にも効果と副作用があり、その影響を見つつまた、調整したりまた別の政策をする、このはてしなく地味な作業の繰り返ししかないのでは?
単純な簡単な解決法を求めること自体が間違っているのでしょうか?
5. Posted by 通りすがり   2016年07月03日 10:31
そもそも対案を出せ」というのはイラク戦争時
ネトウヨやその背後にいる極右団体が良く使っていたレトリックですよね
「イラク戦争協力に反対するのなら 対案をだせ」って
「対案を出せ」事態が実に簡単なしろもので
政府に政策に何でも賛成すれば、それを言うだけでたります反知性主義の影響下にある人にとっては都合のよい理屈です。

たとえば「同一賃金は野党の掲げていた政策」といっても反知性主義の影響下にあるひとはそれだけで「具体的な対案になっていない」と反発します
それだけでももはやややこしい理屈になってしまうのです。
そもそも対案を出すには
「アベノミクスが間違っている」という前提が必要ですその前提にそってデータを集め分析することで、はじめて対案は可能になります。

「アベノミクスは成功している」という前提のもとではいくら対案を出そうが、「アベノミクスにより経済は性良くなっているのだからその対案は間違っている」で終わります
「アベノミクスが間違っているというと」
「では対案を出せ」という論理の袋小路です

ゆえにますアベノミクスは間違っているという前提がひ必要であり、それを議論しなくてはいけないのです



6. Posted by いろはのい   2016年07月03日 17:16
不思議なのは、自民党自身も自分たちの改憲案が
「異常な」ものだと認識していることです。
国民に不人気=国民を苦しめるもの、だとわかっているなら
そんなもの改めればいいのに、それをしない不思議。

結局、自民党の改憲案は国民から自由と権利を奪い、
隷属させるためのもの、だと自ら明かしているのですが。
私としては、経済問題より遥かに重要な争点だと思います。
なにしろ「自由と命」がかかっているのですから。

7. Posted by いろはのい   2016年07月03日 17:39
年金は制度的に破綻しているのは明らかですね。
データによると、2015年では現役世代(15〜64歳)
2.3人で
高齢者(65歳以上)ひとりを支える比率だそうです。
つまり、もらう年金額の約半分を自分で負担しなくてはいけないわけですが、
健康保険が3割負担なのを考えると、異常に高い比率なのがわかります。

それを考えると、年金支給開始年齢をできるだけ遅らせて、
約3人程度でひとりを支える比率になるよう持っていくしかないと思います。
当然、日本は少子高齢化ですので、黙っていると老人比率がどんどん高くなります。
それに合わせて、支給開始もどんどん遅らせるしかないでしょう。
8. Posted by 通りすがり   2016年07月03日 19:17
「失敗が明らかになったとき、それを止めれるシステム」というのは大切ですね
今の安倍政権のもとでは議会においてマスコミにおいても
失敗があきらかになったとき、いや現実に失敗しつつあるのですが、
安倍総理が「失敗してないこれからが本番」「対案がない」と言い張り続ける限り
ちょうど太平洋戦争末期の日本のように、決定的な破滅までストップをかけることができないようになっていますから
9. Posted by 管理人   2016年07月03日 23:39
ジニー銀河 さん、コメント有り難うございます。

以前も指摘しましたが、安倍ノミクスの対案の前に、どう終息させるか、発散した日銀の資産をどう収束させるか、それだけで数年から十数年は容易にかかってしまうものであり、対案どころかその間にまともな経済政策を打てるのか? という話なのですね。つまり景気の下押しがかなり強く、財政出動しようにもその頃には恐らく反動で、国債は上昇基調にある。赤字国債を…などという理屈も通用しないですし、自民の語る財政投融資ですら、景気には大した寄与もありません。安倍ノミクスをふかす、どころか、もう終わりに向かわないといけない。そのときにどう終息させるかは、自民も何も示していないのですね。つまり、この道はいつか終わる道、そしてそこでは崖から落ちる、では落ちた後どうするのか、という論法でないと上手く説明できませんが、そこまで国民が理解するのは相当に大変なのです。だからどこも、その説明を避けているに過ぎないのですね。

選挙でこんな小難しい説明をしても、誰も聞いてはくれないでしょう。記憶にすら残りません。人間は実際に体験するまで、それがどんなものかを想像するのは困難ですからね。しかし古い人間ならバブル崩壊後の状況、といったら少し理解し易いかもしれません。景気には強烈な下押しがあり、浮揚できない状態。しかも今度は世界全体でそうなる可能性が高いので、尚更深刻なのですね。正直、未だにこの答えを出している経済学者も、政治家もいません。それをみつけたら画期的ですが、だからといって野党に対案をだせ、と迫る自民とは一体…? 逆に、その方が不誠実に映ってしまうのですね。
10. Posted by 管理人   2016年07月04日 00:17
通りすがり さん、コメント有り難うございます。

ダイエットの例えは分かり易いですね。安倍政権ではまさに腕回りや首回り、といった数字をだしてきて「ほら痩せているじゃないか、ダイエットは上手くいっている」というようなものですからね。しかし運動せずに筋肉量が落ちて、それで腕回りが細くなっても仕方ないですし、その一方で腹回りが増えていたら本末転倒です。体重だけ落ちても仕方ない、健康的に痩せなければ意味がないのですね。

失敗や過ちを、まずそれとみとめないことには何も始まらない。これまでは、曲りなりにもメディアがそれを指摘し、政権も渋々とみとめてきましたが、今はメディアがその役割を放棄しているため、政治がそれをみとめることがない。これが大きな問題ですし、国民にも伝わらない一因なのでしょうね。気づいたときには焼け野原、そんな状況に近づいているのでしょう。しかも今度も、荒廃した後で立て直すときには今の戦犯たちはいない。政治家は、政治の場から退けばもう責任をとらなくてすみますからね。戦犯として罰せられることもない。だから油断して、安心して「ふかす」などといえるのでしょうね。しかしふかせばふかすほど、失敗の色を濃くしていく。早くそれに気づかないと、国民の不幸も濃くなって行くばかりなのでしょうね。
11. Posted by 管理人   2016年07月04日 00:25
いろはのい さん、コメント有り難うございます。

日本会議などは日本人の手で憲法をつくる、と言いますが、自民の改憲案をみても、かなり米知日派の意向を汲んでいることは分かりますね。そこにエッセンスとして、戦前の日本の姿をもりこむ、といった程度の関わりだとしか思えない。本当にこんな自民の改憲案で押し通す気なら、反対が増えることは容易に予想もつきますが、知日派の意向を汲んでいるので、簡単に変えられないのでしょうね。

年金は、将来的には税負担の割合を増やすしかないでしょうね。つまり年金の収入と、給付を均衡させるためには税負担を8割、9割ぐらいにしないといけないかもしれません。今後、数年は世界全体が低成長に陥ることが必定なので、運用面では期待できないばかりか、赤字額を増やしていく方向でしょう。運用しない方がマシ、といわれるかもしれません。デフレの時代は、実はそれでもよいのです。何しろ現金の価値が上がっていく中で、マクロ経済スライドもデフレをおりこんで給付を減らすことができるのですから。年金制度は、今の形では必ずいずれ破綻します。10年先か、20年先か、ぐらいの差でしょうね。制度を抜本的に見直すしかないタイミングは、いずれやってきます。その間に、安倍政権が誕生したことは、むしろ年金改革を促すキッカケにはなるのでしょうね。

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