日米首脳会談について10−12月期GDP速報値について

2017年02月12日

安倍首相がはまる罠

日米首脳会談、異例の厚遇でトランプ大統領と安倍首相が満面の笑みで、顔を寄せ合って納まる写真も流れます。しかしこれは両国の親密ぶりを示すことで、米国に貢物をすると、こんなに歓待してくれる、と世界に喧伝するためのものです。ゴルフもくり返される食事会も同じ、トランプ氏は親しみやすい君主である、と喧伝のためにそうしています。
トランプ氏が用いている手法はマッドマン・セオリーと指摘されます。最初に高いハードルを掲げる、何をしでかすか分からない、との幻想を相手に与える。そのことで相手は何をするか怯え、有利な状況をひきだせる、というものです。そして今朝、そんなマッドマン・セオリーを効果的に用いる国、北朝鮮がミサイルを発射しました。日米会談のこのタイミングで撃つ、北朝鮮は何をしでかすか分からない。なので世界的な枠組みでの制裁はできても、誰も北朝鮮に手をだせない。核ミサイルのボタンを押されたら困るからです。
しかも今度は、米国が核ミサイルのボタンをにぎるのがトランプ氏。世界はトランプ氏に怯えることになりますが、一方で安倍氏とのにこやかな写真を拡散し、恐怖一辺倒でないと伝える。すでに一度、入国制限で世界にミソをつけているので、安倍氏の訪米はトランプ氏にとって都合よかったのです。しかし忘れてはいけないのが、昨年のAPECで大統領就任前のトランプ氏に会った安倍氏が、ノリノリで皆に自慢話をしていたところ、急にTPPの不参加を明言したことです。つまりトランプ氏は厚遇した相手、褒めちぎった相手でも、1日経つと真逆なことをする可能性がある。なぜなら、それもマッドマン・セオリーだからです。また手土産たくさんもっていかなきゃ、と恐怖に駆られる、その効果を最大にだすためには、数日後に円安牽制発言などを繰り出してくるかもしれません。

その原因は、経済対話のリード役を麻生財務相とペンス副大統領が務める点です。安倍政権は日本の事情もよく知るペンス氏が願ったり叶ったり、と思っているでしょうが、ペンス氏は経済については弱い、と自身も認めており、交渉の主体になるのはトランプ政権に多数いるGS出身者となるでしょう。彼らは日本の事情もよく知るからです。
つまりペンス氏は伝令役に過ぎず、日本にとっての防波堤ぐらいの役目しかない。しかも内容が分からないので、日本にどう不利かもペンス氏は判断できない。ペンス氏とて米国第一のトランプ氏に選ばれた副大統領であり、日本の擁護ばかりはしてくれないでしょうから、実は交渉の実務者が前面にでてきてくれた方が、日本としては交渉し易かったはずです。表の交渉でどう話がすすもうと、裏でトランプ氏が円安牽制なり、突飛な発言をすれば交渉過程が水の泡となる、そんな懸念がつきまといます。

しかも日本の弱みは、これまでトランプ氏が発言していた駐留米軍経費の全額負担や、それこそ円安などの、いわゆる不都合な部分を封印して、今回の友好さを演出されたことです。そういえば、あれはまだ交渉していないよね。と言って、続々と日本に不都合な交渉を仕掛けてくる可能性がある。そのたび、安倍氏は貢物をもって訪米しなければいけなくなるでしょう。ナゼなら、トランプ氏は最初からこれらの主張しており、急にちゃぶ台をひっくり返すわけではないからです。つまり日本はその主張を封印した状態で蜜月にはなりましたが、米国がそれらを繰り出してきたとき、再交渉を余儀なくされます。
北朝鮮に対してさえ、有効な手を打てない安倍政権が、主従関係にある米国のくりだすマッドマン・セオリーに対抗できるはずもありません。下手をすれば心の弱い安倍氏がそれに疲れ果て、退陣してしまう可能性すら滲みます。そして新たな政権になれば、またトランプ氏はそれを仕掛けてくるのでしょう。ナゼなら安倍政権を退陣させた強面政権として、さらにマッドマン・セオリーが使えるのですから。安倍氏は成功した、などと考えて意気揚々と帰国の途につくのでしょうが、APECの場と同じように得意気に話していたら、顔が青褪めるような発言が米国からとんでくることでしょう。相手が一番、調子付いているときに叩く方が、マッドマン・セオリーに有効なのですから、その息まで青くなり、青息吐息になるのも時間の問題、なおかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:07│Comments(12)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

この記事へのコメント

1. Posted by ジニ―銀河   2017年02月12日 23:36
トランプ大統領はあまりアジアのことは知らないと思いますから
今年の終戦記念日に安倍首相は、靖国神社を参拝したら面白いと思います。
私は彼は非難しない可能性もあると思います。当然事前に靖国神社への思いを、トランプ大統領に知ってもらうのですけどね。

2. Posted by hayate   2017年02月12日 23:45
なんとも絶妙なタイミングのミサイル。

米国は情報を全くつかんでいなかったのでしょうか?

NHKでも報道していましたが、米国は昨年の北朝鮮で起きた災害に人道支援を決めたとの報道もあり、そのタイミングでミサイル...
2度目の同時会見でのトランプ氏の表情やコメントの短さなど、怒りはなく、何故?今...と困惑してたように見えましたが。
一方、貿易の結果報告を出せない安倍氏にとっては、絶好のタイミング。日米同盟の強固さの再アピールの場となった好都合のミサイルだったでしょう。なんだか出来過ぎのようにも思いますけどね。
3. Posted by 管理人   2017年02月13日 00:34
ジニー銀河 さん、コメント有り難うございます。

わざわざ米国に、対日強行論を促すような材料を与えることが得策とは思えませんが、確かにトランプ氏はまだアジアについて不勉強でしょう。しかし周囲は対中強硬論で占められているように、アジアについて不勉強ということはない。今回、洩れ伝わるところでは南シナ海のことを安倍氏が話題にだしたとき、トランプ氏は「だったら日本が対応しろ」と述べた、と伝わります。そして、米国は対中強硬の矢面に、日本を立てたい、とも。つまりそんなことをすれば、日本を武装化させて中国と衝突させようと画策するかもしれません。尖閣は安保適用範囲でも、日本が勝手に中国を挑発し、散発的な戦闘がおこっても、米国がのりだす必要もないのですね。

日本が変な動きをすれば、これまでと違う米国の対応を想定しなければいけない。トランプ氏は米国第一なのですから、あえて自分たちが戦争し、国力を落とす必要はないのです。代理戦争をさせて、自分たちは武器輸出で稼ぐ。そういう想定もできてしまいます。その前に、色々と動くこともあるでしょうが、元々安倍氏がそこまで靖国に思い入れがあるようには思えないことからみても、そうした手はとらないでしょうね。そんな思い以上に、恐らくトランプ氏のことが怖くて仕方ない、となるのが必定でしょうね。
4. Posted by 管理人   2017年02月13日 00:45
hayate さん、コメント有り難うございます。

いつ撃ってもいい状態、とは伝わっていましたから、いつ撃つか、までは把握していなかったでしょうね。恐らく、今回の北朝鮮のミサイルは、色々と試したかったのだと推測します。それは日米が本当に蜜月なのか? またトランプ氏の反応は? などです。

トランプ氏のコメントなどをみても、確かに自分の無理解の部分に対して相手が何か行動をおこすと、途端に借りてきた猫になる、原稿を読み飛ばしたのではないか? とみられる短さや、その表情や抑揚からもまるでロボットのようでもあり、不測の事態に対応しきれない部分を露呈しました。恐らく、人道支援への対応まで含めて、北朝鮮は米国の出方をみたかったのでしょうね。そして恐らく、今後もミサイル発射、核実験などをしても、米国は動けないと確信したと思われます。ただ今後、数日して米国が戦略を練ってくるでしょうから、そのときトランプ氏ではなく、トランプ政権で対北戦略を誰が練ってくるか、を読み解くことができるでしょう。強硬論なら、対中強硬論者が北朝鮮もまとめて、アジア戦略を練ってくるとみて間違いない。そのとき、北朝鮮も改めて出方を変えてくるのでしょうね。

一方で日本は、日米同盟をアピールできたようにみえて、米国の出方次第では北朝鮮をカードにもつかわれます。米軍撤収をチラつかせ、駐留経費の増額を求めたり、さらには対北用の戦闘部隊を要求してくるかもしれません。先制攻撃を可能とするよう、安保法制の改定を迫ってくるかもしれない。今後の動きはまだまだ不透明でもあるのでしょうね。
5. Posted by 通りすがり   2017年02月13日 10:35
なんで一宗教法人への優遇を国際問題レベルで優先しなければいけないのだろうか? リスクをとってまで
6. Posted by ジニ―銀河   2017年02月13日 18:51
靖国神社は日本の東京にあり、100パ―日本の国内の問題でしょう。すなわち反発する中国・韓国がおかしい!まぁ内政干渉だと思います。
こう言えばトランプ大統領は理解してくれると思いますけどね。
7. Posted by 通りすがり   2017年02月13日 23:09
それむしろトランプかトランプ以上じゃないと理解できないと思います
8. Posted by いろはのい   2017年02月13日 23:14
なぜ、靖国に参拝するのかが問題ですけどね。
靖国に眠るA級戦犯の霊を慰めるため?
つまり、米国に負けて悔しいでしょうが、
我慢してください、とでも言うつもりでしょうか。
中国韓国の言う通り、太平洋戦争を正当化するつもりなら、
アメリカを攻撃した日本が正しかったということになって、
アメリカとしても黙っていられないでしょう。

日本を正当化すると、今度は原発を2発も落とした
アメリカが悪になってしまうので、
そんなことを許せるはずがありません。
9. Posted by 通りすがり   2017年02月13日 23:26
内政干渉か否か大いに疑問がありますが
内政干渉(であるとの主張)をもって「正しい」とするのは二重の錯誤だと思います
10. Posted by 管理人   2017年02月13日 23:35
通りすがり さん、コメント有り難うございます。

これはくり返し述べていますが、まず靖国神社に行くことを内政干渉だ、とした途端、政教分離の憲法違反となり、内政問題になります。今でさえ、靖国参拝は私人として、というイイワケを政治家はしていますからね。ただし、安倍氏は『内閣総理大臣』との役職名を記載しており、すでに違反していますが、お得意の解釈変更によって問題ない、との立場をとっているだけですね。

よく伊勢神宮は批判されないのに、靖国神社に参拝することのみ批判するのはおかしい、という人がいますが、厳密には伊勢神宮とて参拝は赦されません。政教分離に違反しているからで、ただ中韓が騒ぐので注目される靖国とちがって、メディアが報じないため、一般人には政治家がいつ参拝しているか、が分からないだけなのですね。

そもそも日本会議に深く関与する、神道政治連盟などの要請もあって、靖国神社には行きたい、というだけで、安倍氏がそれほど思い入れがあるなら、オバマ政権のときでも必死で説得しているはずです。オバマ政権も後半は対中強硬路線でしたし、熱意さえあれば説得できた可能性もあるからです。しかしできなかった、というよりやっていない。安倍氏に、本当に思い入れがあるか? 誰も分からないのに、勝手にそう思い込んでいるだけなのですね。以前から指摘していますが、安倍氏は保守を利用しているだけ、当人にそれほど強く、保守的思想があるわけではないのですね。安倍氏はその誤解がつづく間は政権も安泰、と思い描いてはいるでしょうけれどね。
11. Posted by 管理人   2017年02月13日 23:50
ジニー銀河 さん、コメント有り難うございます。

靖国批判が内政干渉ではない、という理由は上記していますので、トランプ氏がそれを認めるケース、を考えるなら、昨日も記しているように、日本が勝手に中国との関係を悪化させるなら、勝手にしろ、という立場をとるでしょう。その場合、小競り合い程度の戦闘なら、米国は日本に協力しないでしょう。ナゼなら、その方が米国にとって都合いいからです。そもそも日中が本格的な戦争ができるか? と考えたら、できるはずも、する理由も今のところありません。なので小競り合いぐらいにしかならないのですが、それなら日米安保があっても、戦闘がおこっても、米国の協力は期待できません。

あくまで中国が理不尽な行動によって戦端を開くようなことがあれば、それは米国に限らず、国際的な合意によって反撃し、中国に圧力をかけることができます。しかし日本がその材料を与えた場合、その限りではありません。わざわざそんな材料を与えてまで、靖国に行く価値があるか? が多くの人が疑問に感じているところです。

安倍氏にはそんな強い思い入れもないでしょう。ただ支持層である日本会議で、神政連が強いからそう見せているだけ、でしかない。本当にそんな強い思い入れがあったら、もっと積極的に動いていないとおかしいのです。その態度をいつまで信じられるか? 安倍氏の支持率はそんなところにかかってくるのでしょうね。
12. Posted by 管理人   2017年02月13日 23:59
いろはのい さん、コメント有り難うございます。

トランプ氏は靖国のことをあまり知らないと考えますので、行きたければ行けばいい、後は知らないけれどね、という態度を貫くと考えます。本当に思いいれがあって、中韓の態度を封じこめても行きたい、というのならそうすればいい。恐らく、それで批判が高まるのは日本でしょうが、安倍氏は日本の首相なのですから、やる気になればいつでもできます。しかし安倍氏にそれはできないでしょうね。どうしても思い入れがあるようには見えないからです。

恐らく知日派は、ご指摘のように靖国に参拝することは日本が第二次大戦を正当化する行為ですから、そんなものは認められない、という立場でしょうし、妥協して献花ぐらいまでと考えているでしょう。だから安倍氏もそこに乗っかっている。支持層離れを防ぎ、知日派の意も汲むには、それが絶好だからです。なので現状はバランスがとれている状態であって、安倍氏はそれ以上も、それ以下も望んでいない、が本音でしょうね。しかし例えば知日派が、米国でのプレゼンスを落としてトランプ派の勢いが強まるなら、知日派の意向をふりきって参拝することも可能でしょう。しかしそのときは、別の形でトラブルが起こることになり、米国から距離をおかれた状態を体験することになるのでしょうね。

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