2017年11月13日

NHKの世論調査とTBSひるおび

NHKの世論調査、色々と興味深いことがあります。日米首脳会談について評価12%、ある程度評価51%、あまり評価しない24%、まったく評価しない8%。しかしこの質問には枕がついていて「北朝鮮に核やミサイルを放棄させるため、圧力を最大限まで高めることで一致」と聞いた上で回答を求めた。これでは評価する側にバイアスがかかった状態であり、まったく純粋な形で評価したのでないことが鮮明です。
また衆院選で与党が3分の2の議席を獲得した方が、良かった28%、良くなかった28%。などともしますが、人は通常どんな質問をされても「良かった」と答える方にバイアスがかかります。過去を否定するほど、今に失望していたなら否定的見解も増えますが、まだ衆院選後1ヶ月も経っていない。野党の景色は大きく変わりましたが、与党の議席は若干減った程度なので、このタイミングで良かったか、と聞けば、そう答える人が増えるのです。しかし他社の世論調査で「与党が増えた方がよかった」「野党が増えた方がよかった」という選択を示すと、後者の方がダブルスコアで多い、といったものもある。統計は質問の仕方で答えを誘導することが可能です。

これは例えば「野党に多く配分されている質問時間を…」として質疑の時間を聞いたものでは、現状を維持すべき26%、野党多めで与党の配分を増やす14%、与野党半々38%、議席数に応分11%です。これは行動経済学のフレーミング効果といって、「多く…」とつくと、バランスをとらなければ…と考える回答者が増える効果を狙っています。しかし質問を「自民が野党時代に要求して、野党に配分を多くした質問時間を…」と変えると、結果は大きく違ってくるでしょう。NHKが意図的にこうした質問の仕方をしたとすれば、それは統計学や行動経済学の悪用であり、結果を恣意的につくり上げたかった、となります。
TBSの「ひるおび」という番組にレギュラー出演している八代弁護士が、山尾氏を「気持ち悪くて」と発言しました。「公私のライン」について説明した後のコメントで、前後は「今の長々と山尾さんの主張を紹介したことが気持ち悪くて。こんなに丁寧に紹介しなくても…」ですが、これはアンカリング効果と呼ばれるもので、最初に示された意見が印象深く残ってしまう、というものを狙ったのでしょう。そもそも番組構成を出演者が知らないはずがなく、「長々と…」説明することは了解済みだったはず。つまり「気持ち悪い」という印象を最初に視聴者に植えつけておく、そのためだったのでしょう。

しかも「『公私のラインを引かせていただく』というのは、だったら政治家は辞めるべき」とし、「全人格、投票のための情報は知る権利の対象」「『プライベートは答えません、見せません』は、政治家は務まらない」とします。ならば、安倍首相がプライベートで加計氏と行ったゴルフの会話の内容も、すべて詳らかにする必要がある、と述べていることになる。安倍氏が記者とオフレコで行う懇談も、すべて報じて然るべきです。これは八代氏の論なので、同意できない面も多いですが、山尾氏の『公私のライン』に対してそう主張するなら、返す刀で自民党議員も斬らないとおかしな話なのです。
最近、八代氏のことを『ちんちん八代』とする声を耳にしました。これは下ネタではなく、自民に言われたら、どこかの選挙区で尻尾をふって立つ、という意味なのだそうです。小池氏が希望の党を立ち上げたときも「都民として許せない」と述べるなど、自民応援団と化している。NHKにしろ、人を誘導する術に長けている側がそうした手法をとったとしても、検証可能な現代では効果も限定的。しかし一次情報としてそうしたものが流れると、それだけで効果が高い、としてあえてするのでしょう。しかしその結果、メディアやコメンテーターとしての評価を落としていく。それでも安倍政権に阿っておけば仕事は安泰、ということなのでしょう。そういう態度がむしろ「気持ち悪い」ということでもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:01│Comments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 政治

この記事へのコメント

1. Posted by いろはのい   2017年11月14日 00:11
面白いですねぇ。

>圧力を最大限まで高めることで一致
最大限のレベルとは、具体的にどういう内容ですか?
→わかる人、ゼロ

拉致被害者問題は進展すると思いますか?
→そう思う人、ほとんどゼロ

トランプ氏がツイッターで「金氏と友達になれる」と
呟いていることを知っていますか?
→初めて知った

正しく質問していれば、回答もまた違ってきたのに。
NHKにも困ったものだ。
2. Posted by 管理人   2017年11月14日 00:49
いろはのい さん、コメント有り難うございます。

圧力を最大限、の意味を分かる人はいないでしょうね。むしろ『北朝鮮が崩壊するかどうか』というレベルなら、それは北朝鮮の暴発を誘発させかねない、ということでもある。そんな状態を国民が本当に望んでいるのか? 言葉の使い方でも、うけるイメージが変わってしまうのですから、政府の言い方を踏襲するばかりではなく、きちんとどういう意味かを国民に伝えるのも、メディアの役割のはずなのですけれどね。

拉致問題に関しては、誘導がないレベルだったので、見事に結果は期待しない、となりましたからね。そもそも、世論調査では最初に聞いた回答の方が、どうしても答える人数が増えてしまう傾向があります。面倒くさい、早く次の質問に移って欲しいから、といった面もあるのですが、そういうことも考慮して結果は伝えないといけないのかもしれませんね。

今回は、あれだけ日米蜜月をアピールした上でとられた結果なので、政権支持率も上がっていますが、臨時国会の終盤に結果がどうなっているか? 政権支持率が上がったのに、自民党総裁選で安倍氏が3期目になるのは嫌、そう答える人が多い。その真意について、きちんと報じないといけないのでしょうね。
3. Posted by payoku   2017年11月14日 21:38
日本は他国に比べてシェルターの普及率も低く、北朝鮮から距離も近いので、ひとたび北朝鮮が暴発したら、相当の被害が予想されるのに圧力を評価するとは空恐ろしいですね。少なくも、圧力をかけるなら、相応の準備をしてからするべきだと思うのですが、自分は死なないと楽観視しているのか、所詮ひとごとと思っているのか、そういうところでもメディアのコントロールが良く効いている気がします。
4. Posted by 管理人   2017年11月14日 23:44
payoku さん、コメント有り難うございます。

日本の場合、米国などと違って核発射の兆候をつかんでから対処できる、というのが難しいですからね。米国がキューバ危機を起こしたのも、キューバが核武装したら、核防衛も間に合わないことが自明だったからで、中露のような距離のある相手とは異なっていたから。

日本の場合、中露は隣国であり、昔から発射されたら準備すら間に合わず、日本に核が落ちることが自明だった。そういう諦観もあって、昔からシェルターも普及はしてこなかったのでしょうね。なので、北朝鮮でバタバタしても本当は仕方ないと思いますが、核管理能力のなさ、で問題視するならまだしも、逆にそういう国に対して「圧力を最大限まで高める」というのですから、愚かなことをしている首相、としかならないのですね。

ただし、今の安倍支持者にしろ、考えているのは米国と親密にしておけば、どうせ攻撃されることはあるまい、という奇妙な楽観が支配しているような気もします。危険な賭けにベットしているのはどこか? 冷静に判断しておかないと、日本全体の凋落のきっかけになりかねなくもあるのでしょうね。

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