雑感。インドのモディ首相を別荘に招待雑感。韓国最高裁と米移民問題

2018年10月29日

中国との3原則と入管難民法改正案

独国ではメルケル首相率いるキリスト教民主同盟が、州議会選挙で大敗しました。これでメルケル氏が12月の党首選への出馬を断念し、長きにわたったメルケル政権が幕をひくことになります。移民政策の違いで連立与党に亀裂を生じた辺りから、凋落の一途だったように感じます。鉄の女とも称されましたが、その強さが逆に脆さとなってはね返ったのでしょう。
ブラジルでは「ブラジルのトランプ」と称されるジャイル・ボルソナロ下院議員が大統領選を制しました。世界は協調から対立へ、という構図が鮮明になるような出来事が、欧州と南米でおきた。日本はいち早く『対立型』の安倍政権が誕生しましたが、6年経って行き詰まりが鮮明であるように、『対立型』では様々な問題を解決することが難しい。ただ、世界の人々がそれに気づくまでには、日本と同じように時間がかかることになるのでしょう。

日本では代表質問が始まりました。その中で、日中首脳会談で3原則(1.競争から協調へ、2.隣国同士として互いに脅威にならない、3.自由で公正な貿易体制を発展させる)について、安倍氏は確認した、と質問にも答えていますが、中国はそれを認めていない。「首相の表明を歓迎」とするだけであり、またこれも安倍氏の嘘なのでしょう。外務省も「内容について取り上げたが、『3原則』という言い方はなかった」としており、「確認」とすらも使わない。そうなると公的な合意事項としても入っていないはずで、確認していないことになります。
そもそもこの3原則、日本で中国との協力関係を築く上で…という前提の条件だったもので、中国としては何の制約もない話です。日本側がもちださない限り、絶対に交渉の場にもでてこない。特にこの1.や2.など、国際関係ではほとんど不可能といえる内容です。もし1.のようなことが起こるとすれば、どちらかが妥協し、この分野はゆずってこの分野はうちが…というしかないのですが、そんなことを国主導で行うことができるのは共産圏や社会主義の国だけです。2.も『脅威』の捉え方ですが、自国が発明し、世界をリードするような分野があった場合、脅威になるからやめてくれ、もしくは一緒にやらせてくれ、などとしてそれを受け入れるのか? 『軍事的』がつかない『脅威』など、実はあらゆるところで起こっているのです。民間が競争する以上、どちらかの国が有利、不利になるのは摂理としても起こりえる話であり、それを国が制約をかけることがおかしいのです。

自民法務部会で入管難民法の改正案が了承されました。国会審議に影響しないよう、党内の議論はすっとばされた、というのが実情でしょう。そこまでして急ぐ理由は、もしかしたら中国の景気失速で大量にあふれる労働者を、日本側が受け入れることも含まれるかもしれない。中国で失業率が高まれば、それは国内の政情不安を招きます。経団連からもそうした労働力を受け入れたい、という要請があって、そうしているのなら急ぐ理由もあるのでしょう。なにしろ、表には出さなくても、国民には黙ってそうした密約を結んでも、安倍政権では決して不思議はないほど、多くの嘘をこれまでもついてきたのですから。
大体、この3原則は3.を実践すると、1.も2.も実現不可能なのです。なぜなら自由で公正な貿易体制を築けば、どちらかの国で産業が衰退したり、逆に隆盛になったりするでしょう。それを脅威ではない、と無視すればそれまでですが、国内情勢からも認めにくい話です。自由で公正であることと、協調や脅威にならない、は成立しない。もしそれを強引にすすめるなら、それは自由で公正でもなくなる、矛盾でしかないのです。パンダの貸与について協議入りすることはしっかりとすすめたのに、3原則の確認は忘れた安倍氏。むしろこの矛盾まみれの3原則をもちだすのが恥ずかしい、そんなまっとうな感覚をとりもどしたのだとしても、国内にもどってはクロをシロと言い張ってしまう、パンダのような愛嬌はとれない、対立型にもどってしまうということなのかもしれませんね。

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analyst_zaiya777 at 23:10│Comments(5)政治 | 一般

この記事へのコメント

1. Posted by 自公国維希から懲罰動議出されそうな立憲民酒党代表   2018年10月30日 08:41
与党の代表質問…する意味あるんですか?私は無いと思います。時間の無駄です。予算委員会も同じです。よいしょなんて必要ありません。与党でも政府に注文をしないとダメです。
国民民主党とかいう邪魔しかできない党の代表・タマキン…玉木の質問が与党から評判が良かったという話を聞きましたが…何がどう良かったのか解りません。採点するなら5点ですよ!あんな質問
2. Posted by 自公国維希から懲罰動議出されそうな立憲民酒党代表   2018年10月30日 08:47
 森友加計事件・日報問題…なんの反省もなし!許せない!
 ブラジル国民もアホな奴を大統領に選んでしまいましたね…新しいブラジルの大統領もトランプ・安倍みたいな幼稚で愚かなアホだろうね
3. Posted by 管理人   2018年10月30日 23:21
自公国維希から懲罰動議出されそうな立憲民酒党代表 さん、コメント有り難うございます。

国会はあくまで行政府に、各政党から質問をぶつける形ですので、委員会でも与党の発言がみとめられています。しかし通常、与党の中で審議されたものが政府提出の法案になるのですから、与党が質問する意味はほとんどないのですね。正直、昔から茶番とはいわれてきましたが、政党内対立が大きいと、かつては鋭い質問が浴びせられることもあった。今は必要ないのでしょうね。

国民民主の玉木氏に頑張ってもらった方が、与党にとって都合いいから評判を上げたい。党首討論でも、与党から評価され、与党系メディアなどから称賛されたのも、ほぼ同義でしょう。その与党系メディアは、早速社説で『野党は建設的な議論を』なるものをだしてきましたが、その建設的な議論を妨げているのは安倍政権なのですから、何をかいわんや、というところなのでしょうね。

森友問題は、まだまだ暴露があり、籠池夫妻がそろって出版する、という話もあります。もう妻の淳子氏は出版しているようですから、今後も自民党がどうやって口封じをしようとしたか、暴露があるのでしょうね。反省どころか、犯罪的行為にまで手を染める自民党、問題の根は深いので、逆にボロがでたら芋づる式になる恐れもあって、必死になるのでしょうね。
4. Posted by いいじゃん   2018年10月31日 20:57
取り上げていただき、ありがとうございます。
言葉遊びで嘘ばかりの自民党は懲りました。

移民受け入れて良いことなんか、少しもありません
5. Posted by 管理人   2018年10月31日 23:30
いいじゃん さん、コメント有り難うございます。

自民党が本気でこの入管難民法改正案に抵抗しなかったのは、当初からの予定通りなのでしょうね。支持者向けに一応、やりました感だけだして受け入れてしまった。自民党はこういう政党なのですね。

移民も上手く利用すれば、それは戦力になります。ただ安倍政権のようなやり方では、間違いなく失敗しますし、後に禍根をのこすでしょう。移民は国を捨ててもよい、というほど自ら動くことで現状を何とかしよう、という積極性のある人々です。利益を約束してくれるなら、その自主性は労働意欲となって利用できますが、利益を約束しないと、国内で不満を溜めて暴徒化したりもします。

本当に人手不足で、必要な人材なら集めてくることも国益となるでしょう。しかし今の安倍政権はそうではない。賃金が低く抑えられているように、日本で働きたい、というのはある程度、国の経済規模が低いところが考えられます。そうなると高度技能は望みにくいでしょう。結果的に、介護や看護、保育など国内でも専門技能のいる職種に外国人材を充てるのなら、日本で取得する技能は、日本人でも働きながら得てもよい、となるでしょう。そうであれば、日本人のなり手ももっと増えるはずです。そういう制度をつくるのではなく、安易に移民を受け入れてそこに充当する、という考えでは、結果的にその職にあぶれた外国人労働者が、いずれ大きな問題を引き起こすことになるのでしょうね。

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