雑感。安倍ノミクスの問題3月景気動向指数の「悪化」

2019年05月12日

米中貿易戦争は長期戦か

米中貿易戦争に関して、トランプ大統領が「建設的だった」と語ったため、米株は上昇して引けています。ただその後、大統領選まで中国が譲歩することはない、との見通しが広がり、「2期目で取引すれば中国にとってはるかに悪い内容になる」とTweetするなど、トランプ氏には焦りもみられます。当然、関税引き上げの影響、コストを支払うのは米国民も同じ。1年以上もそれがつづけば、支持率は急落することになります。
以前も指摘しましたが、時間は中国の味方です。まともな選挙もなく、支持率そのものが操作できる。気にするのは共産党内部の権力構造だけですから、貿易戦争の長期化は怖くありません。問題は景気減速により、第二の天安門事件のようなことにまで発展すれば、習近平体制が崩れることになります。ただ中国共産党の支配が変わることはなく、国益とバーターすれば習体制がつづくことより米国に妥協し、長期で国益に対して悪影響をうける方が問題なのです。だから平気で長期戦をしかけてきます。トランプ氏は習氏との電話会談も匂わせますが、習氏が決断して何かを変えることはない、それが中国という国の物事の決め方です。

トランプ氏は「約束を破った」と述べますが、その約束自体が何をさすかも分かりません。交渉途中の合意であるなら、文書として残していない以上は約束破りではありません。外交交渉での口約束など、何の価値もない。途中経過など意味がないのです。最終的に何を合意できるか? 恐らく今のトランプ政権と交渉しても、米経済が好調で強気が崩れないので、中国にとって意味がないと考えているので、中国はこのタイミングで態度を硬化させた。最終合意が、中国にとって気に食わないものとしかならないからです。
一方で、中国が交渉継続に意欲をみせるのは、中国経済にとって打撃が大きいから。交渉しているとのアピールは国内向けにも必要で、打撃が大きくなると交渉決裂の責任は米国にあり、と転嫁するためでもある。先に日本バッシングもありましたが、国内の不満、怒りを米国に向けさせ、反米デモなどによりガス抜きさせるためでもあります。ただし、反日デモのコントロールが難しくなったように、反米デモが国家統制を離れて中国共産党に向かうかもしれない。だからぎりぎりまでその手は使わないでしょう。

以前も指摘しましたが、相場が急落するのではなく、時おり反発を織りこみながら徐々に下げ相場で
値を下げていくのでしょう。昨年の10-12月の下落相場も、日経平均が800円以上下げたのは3回、逆に500円以上上げたのも2回あるなど、こういう相場の特徴は値動きが荒くなることです。悲観はあれど、楽観にふれる日もあるなど、思惑が強く影響するからです。そして売り方の動きが強まり、売りの買戻しの動きがそうした幅をもたらします。今回、交渉が長期化することが確実となり、売り方に有利となります。
米中貿易戦争の要諦は、行動対行動を要求する中国と、行動の結果に対して判断しようとする米国です。つまり米国の行動が重要であり、中国はそれを得られない限り、長期戦にもちこむでしょう。そしててそれを促すとしたら、株式市場の下落や景気悪化という実害が、トランプ政権の支持率に悪影響を与え始めたとき、となる。逆に言えば、株価が下げない限りは米国が強気のままで、交渉はいつまでたっても決着しない、といえるのです。だから売り方が元気になる。その間は自分たちが安心して動けるのですから。それがいつ転換点を迎えるのか? それこそ大統領選まで引っ張るとしたら、世界的に経済は大変なことになっているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:52│Comments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

この記事へのコメント

1. Posted by Pasta   2019年05月12日 23:37
トランプ政権による影響を考えると、FRBに低金利と緩和継続を要請、移民労働者を制限、中国輸入品に25パーセントの関税実施、米国内インフレ進行、ドル円相場は円高ドル安、というのが最も有力な見立てになるのだろうか。

日本への影響は、対米貿易黒字は縮小、貿易収支は赤字、経常収支は黒字縮小、国内株価には下落圧力、本邦金融機関のポートフォリオの資産は縮小、となれば、これまでの投資に対する巻き戻しが起る、という見立てもできるだろう。

海外においては、外需依存の高い韓国には深刻な影響、中国にはまだ内需振興策を行える余裕があり韓国ほど切迫していない、あるいは、経済規模の大きさが衝撃を緩和する、と考えることもできるのではないか。今回は日米中いずれの国も韓国を助ける状況にないことから、次の危機も韓国発なのかも知れない。

日米中いずれの国も経済危機の責任を韓国が負ってくれるのであれば、それで良しとする雰囲気はあるだろう。どの道いずれは世界的に過剰の整理再編が行われるだろうが、国として次善の策の議論すらないという状況で、果たして我が国が生き延びられるのか甚だ疑問である。

2. Posted by 管理人   2019年05月13日 00:17
Pasta さん、コメント有り難うございます。

恐らく米中の見立ては、そうなるというのが大多数の意見でしょうね。ただFRBはインフレが昂進すると金融政策の余裕をなくし、むしろ利上げが見えてくる。利上げ観測が高まれば、円安ということも考えられますが、世界経済の減速による円買い需要の高まりが、どの程度それを相殺できるか、でしょうね。

韓国、というより新興国が不安を増大させ、それが先進国まで波及するのかどうか? 先進国でも個人債務の行方など、不安なことはありますし、資産縮小という問題がどの程度、景気を下押しするのか? もありますからね。韓国、ブラジル、トルコなど、一時期よりは多少持ち直してもいますが、この辺りが崩れてくると、そこにどう先進国が関わるか? IMF、OECD、世銀などの動きをどう先進国がバックアップするのかも関係しますね。

問題は日本も、国の債務の大きさと金融政策の行き詰まり感で、世界経済の減速によりマイナス成長がつづくのなら、いずれ破綻懸念がでてくるでしょう。かつては日本の金融業界が強く、それこそ海外の売り建てに反発する力もありましたが、金融機関が弱体化した現状、さらに高齢者層が貯蓄を取り崩しながらでないと生活できなくなったとき、国力全体が下がってしまっていることになり、支える力が著しく低下してるのが問題なのでしょうね。バブル崩壊がどこ発になるのかは分かりませんが、日本の打つ手のなさが日本人としては一番気がかり、となるのかもしれませんね。
3. Posted by payoku   2019年05月13日 20:40
3月の景気動向指数で景気の基調判断がとうとう悪化になりましたね。中国経済の減速が響いている、と報道されていますが、五輪特需、増税前の駆け込み需要の中、これでは、米中貿易戦争が長期化すると日本としては絶望的ですね。
4. Posted by 管理人   2019年05月13日 23:31
payoku さん、コメント有り難うございます。

しかも今回の3月景気動向指数は、質の悪い悪化という見方が多いですね。景気後退期の初期のような感じもうけます。4月は意地でも指標を上向かせ、「悪化」の言葉を解除しようとするかもしれませんが、5月にはふたたび悪化することが確実なので、ちょっと深刻かもしれませんね。

秋には崖、と書いていますが、世界経済の減速がそこに重なると、その崖の深さは深刻でしょうね。かといってこれまでも指摘していますが、増税を止めたところで致命的。特に、昨年度の税収見通しすら悪化する可能性が高く、今年は景気対策としての予算すら枯渇するかもしれません。これまでとて、安倍政権の補正予算には、本来は本予算で通すべき内容が含まれており、それは官僚がどうせ毎年補正を打つから、としてそちらに予算を回してきた思惑もあります。それすら失うのですから、さらに深刻な事態といえるでしょう。

早くも年金の運用に対する不安、などを報じるところもありますが、それ以上に国内での運用に見切りをつけて、金融機関がヘッジもかけずに海外投資をおしすすめてきた、という問題も根深い。金融機関の不良債権問題が、海外資産という形で再燃するのかもしれませんね。本気で安倍政権がとりくまないと、日本は絶望の淵に立たされるのが、ほぼ間違いない状況といえるのかもしれませんね。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
雑感。安倍ノミクスの問題3月景気動向指数の「悪化」