FOMCと日銀の金融政策雑感。骨太の方針は今年も骨密度が低い

2019年06月21日

雑感。中東の緊張と安倍政権

昨日の中銀の動きで、日米で異なる反応がでています。米株はS&P500が史上最高値。日本株は大きく下落しました。円高が大きく影響した、ともしますが、気になるのは「G20、日米貿易協議が終わるまでは日の丸為替防衛隊は動かず、円高を容認するのでは?」との噂が流れたことです。当然、為替に関しても協議に含まれるのであり、日本は円高にして少しでもその圧力を逃がしたい。為替条項は必要ないというために、円高にしておく必要がある。そして円高となればCPIが下落し、日銀が追加緩和をせざるを得なくなる。日銀に何ができるかも分かりませんが、日本でも緩和期待という不自然な株価上昇を生むかもしれません。
ただ、今は多くが間違えているのは予防的措置の緩和が、成功した試しはないということです。ギリシャ国債の金利低下など、各地でバブル的動きもおき、日本国債も長期金利が-0.2%に近づく-0.195を一時つけました。景気後退の直前で緩和をし、バブルを起こせば底が深くなる恐れがある。利下げと米中貿易戦争が丸く収まる、という二兎を追う米株をはじめ、金余りでお金の流れが変化しており、注意も必要です。

ホルムズ海峡で米軍の偵察機が撃墜され、米軍が攻撃寸前で止めていた、と報じられました。ここ最近の米軍発表はまったく信じられませんが、米軍もイランも無人偵察機の軌道において、わずかな差しかない。つまりGPSの僅かなズレでも起きかねないほど、ギリギリの航路で飛んでいたことが、そもそもの発端です。逆にいえば、不測の事態が起きてもよい、という覚悟で米軍が偵察機をとばしていたのが問題といえます。
原油価格も急騰していますが、ただOPEC会合が開催時期も決められず、やっと来週に開催されるなどの原油安要因も依然として残る。OPECが供給を絞ると、米国のシェールガスが増産され、市場を食われるとの恐れもあり、またサウジとイランの対立など、OPECも一枚岩でなくなった。露国の思惑もからみ、まさに原油市場が混沌とする。この時期、わざわざ米軍が緊張を高めるような嘘や行動をとるのも、米経済支援との見方もある。中東産原油に頼る日本のような国が、米シェールガスの輸入を増やすことになるから。米国内は安定供給ができるので価格高騰は免れる。中東の緊張は、米国にとって願ったり叶ったりなのです。

『得意な』外交でイランを訪問し、大恥をかいた安倍首相ですが、仮にここで原油高になるとCPIも下がりにくくなり、日銀の追加緩和期待も萎む。それどころか、円高を志向する中で参院選を迎えてしまうことにもなり、企業業績の悪化も見据えて株価が調整局面に入るかもしれない。日米貿易協議を先送りし、年金問題も封印して参院選に不安要素を取り除こうとしてきましたが、その結果として円高、株安、原油高というこれまで自慢してきた安倍ノミクスへの懐疑的な見方が増えてしまった。二兎も追わず、目先のことに追われてきた結果が、日本のリスクコントロールの欠如という致命的な欠陥を浮き彫りにしてしまった形です。
思えば、『得意な』外交でメイ英首相と会談した際、ハードブレグジットは望まない、というばかりで他に提案がなかった安倍氏。その英国は、米軍発表の機雷説に真っ先にのっかるなど、EUから米国へとシフトしている様子がうかがえる。一方で、日本はホルムズ海峡での米軍発表に乗り切れていない。米依存という軸足を失った安倍政権、外交ではすでに撃墜寸前であり、それは米軍からの攻撃の可能性がでてきた。日本タンカーへの攻撃然り、日の丸外交部隊は危険水域での飛行を余儀なくされており、来週のG20でその手腕が疑問視されれば、一気に『得意な』外交から『幼稚な』外交へと評価を変えざるを得なくなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23│Comments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 中東

この記事へのコメント

1. Posted by 阿吽   2019年06月22日 10:25
どうも西側主流メディアのプロパガンダに惑わされて状況判断が難しいのですが、主導権を握っているのはトランプではなくてイランではないですかね。
トランプがJCPOAを勝手に離脱して1年あまりですか。現時点ではっきりとトランプに味方しているのはイスラエルとサウジアラビアだけ。
イランは前から、何かあればホルムズ海峡を封鎖すると断言していますし。
トランプは自ら仕掛けた罠に嵌まって打つ手が無く、窮地に陥っているんじゃないでしょうか。
2. Posted by 管理人   2019年06月23日 00:22
阿吽 さん、コメント

主導権を語るのは、今は難しいでしょうね。ケンカを売ったのは明らかに米国ですが、今はどちらが次の段階へと踏み出すのか、そしてそれが国際社会でどう受け入れられるのか、まだ分からないのですね。

例えば、恐らくここで米軍が攻撃をしたら、国際世論はイランへとついたでしょう。そもそも日本タンカーへの機雷、という話は明らかに偽りでしたから、米軍の発表には信がおけない、というムードがあります。ただ、もしこの無人機撃墜が米軍の発表通りだとすれば、そのときは分からない。つまり今、どちらがどれだけ国際社会から受け入れられるか、それを試されている状況でもあるのですね。

悪い観測は、トランプ氏自身も騙されていて、米軍とユダヤ系の近さとも相まって、イスラエルの思惑で米国が動かされている、というものです。直近の選挙で薄氷の勝利を得たネタニヤフ氏ですが、イランへの攻撃はネタニヤフ氏への支援となります。一体この動きを誰が主導していて、どんな結末を想定しているのか? 今はそれすら不明なのが、不安でもあるのでしょうね。

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