雑感。ケンカが下手な国や人たち安倍首相の玉串料

2019年08月15日

米長短金利差の逆転

米10年債利回りが、2年債利回りを逆転する逆イールドが起こり、米株は大幅安となりました。トランプ米大統領は「FRBは利下げしろ!」と迫りますが、そんなことをすれば逆イールドがさらに深まるだけです。今、イールドハンティングと呼ばれる僅かな利回りでも求める層が、リスクの高いギリシャやイタリアの国債を買いまくっている。一方で、日米など先進国ではキャピタルゲイン狙いで、マイナス金利でも国債を買う。国債市場ではすでにバブルが起きており、もし現状を変えたければ、市場にじゃぶじゃぶに溢れている資金を吸収しないといけません。米国はFRBがバランスシート改善を再開、つまり引き締めするしかありません。
現状は、景気後退だからと債券市場への資金流入が止まらない。そして問題は、このバブルが崩壊するとき金利が上昇、そのときに果たして景気が浮揚しているのか? もしまだ景気後退のままだと、金利上昇が景気の溝をさらに深くしてしまう点にあります。市場の資金移動が速くなり、儲かる市場にはわっと資金が集まってしまう。それは逃げ足の速さにもつながります。結果、バブルとその崩壊を引き起こし易いともいえ、それが安定しているはずの国債市場で起きるのが世界にとっても致命的であり、回復を難しくしてしまうのです。

しかも逆イールドを起こした米国より深刻なのは、日本です。日銀のイールドカーブコントロール(YCC)は長短金利を一定の範囲内におさえ、そのカーブを一定の傾きに保つというもの。しかし10年債利回りは0.2%を突破し、金利低下をつづけていますが、これを食い止めるためには日銀が国債を売るしかありません。オペの規模を縮小するなどしていますが、まったく対応が利いていない。YCCがすでに崩壊しかかっている。日銀が新たな戦略をうちだすしかありませんが、どう考えても引き締め方向にならざるを得ないのです。
安倍政権は「緩やかな回復基調」とする景気、日本はすでに斜陽とみられています。6月機械受注は鉄道車両などの大型受注が影響し、13.6%増と好調で、4-6月期も前期比で7.5%増と、一見堅調でした。しかし元々15.7%増の見通しが半分程度だったのであり、かつ7-9月期は減少の見通しです。しかも米中貿易戦争の悪化と、世界景気の後退見通しが強まったことで、今後はますます設備投資も手控え傾向でしょう。マインド系の経済指標はすでに分かれ目である50を大きく下回る傾向がつづいており、企業活動も停滞するなら、即リセッションというほど脆弱なのです。そこに来て日銀のYCCが崩れたのですから、下支えが何もなくなります。

株式は資金流出がつづくも、下支えが利いています。何より欧州系が下がると買う、というスタンスであり、むしろここは将来の円高を見越して今のうちにバーゲンハントしておこう、との算段とみられます。一方で、日系大手がこれまで手を出さなかったTOPIX先物で、市場操作を狙ってきた。別の日系による時おり入るTOPIX先物4000枚買い、といった特殊要因でも市場は支えられている。どちらも、戦略的には日銀と同じで、市場インパクトによる買い支え効果を狙ったものでしょうが、今一つ成功していない。20000円割れを狙う層はいませんが、米株の仕上りで水準をブレイクしてしまう日本株では、その戦略に限界もあるのです。
なので日経平均が2万円を割れるかどうかは、米株次第です。つまりいくら下支えしようと、米株が下がると無意味なのです。ふたたび売買代金も2兆円割れが増えた。国内勢がお盆休みの中で、頑張っている方ではありますが、下支えがあっても上値を抜こうとする動きが出てこない以上、米株の弱気を引きずるしかありません。

今日は終戦の日で、全国戦没者追悼式も行われました。今の経済戦争が、実際の戦争までつながる可能性はまだ低いですが、この経済戦争は確実に敗者をうみだします。緩和負けをうみだし、日銀の政策にも齟齬が見え始めた日本は、間違いなく敗者への道をひた走ることでしょう。安倍首相は式辞で、「歴史と謙虚に向き合う」という文言を外し、未来志向の姿勢を強調しましたが、経済と謙虚に向き合えない人が、果たしてどんな未来を夢想しているのか? むしろ歴史と事実に向き合わないと、未来すら描けないことにもなり、この政権では負け戦になることだけは、確実なことになってしまいそうですね。

analyst_zaiya777 at 23:19│Comments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

この記事へのコメント

1. Posted by らむ   2019年08月16日 04:25
もともと超低金利やマイナス金利で財政を補助することが目的なので、2%の物価上昇や国民が豊かになることが目的ではないので、声高に宣伝される成果はあがらないのは当然なのでしょうが、企業がかかえた内部留保はどこにどういう形で溜まっているのでしょうか。矛盾がどこでどういう形で炸裂してくるのか、とっても興味深いです。
2. Posted by payoku   2019年08月16日 21:39
自分はRPGなどでエリクサーなどの貴重アイテムは温存して、最終的に使わないままクリアしてしまうタイプですが、今の日本は使い尽くしてしまってますね。最近のゲームならラスボスで詰まることはないようにゲームデザインされてますが、現実だと全く考慮されてないので怖いですね。今度の経済の負け戦で得られる教訓が、奥の手は最後までとっときましょう、という小学生のゲーマーでもわかることを多くの国民の人生をかけて知ることになるというのも情けない限りです。
3. Posted by 管理人   2019年08月16日 23:40
らむ さん、コメント有り難うございます。

基本、内部留保は現金か、預金という形になりますが、例えば企業の約款で『資産運用』『投資』などの文言が入っていると、それはどういう使われ方をしているかは分かりません。そうした企業は、例えば本業で儲けていても、不意に運用損などをだして業績が悪化するケースもあるので、投資家からはあまり好まれませんが、上場している企業は、この約款に書かれていること、それ以外をすると株主総会などで追及されることになり、運用などはできないのですね。

もう一つは、例えば自社株買いに充てることです。これも約款の変更で、そういう方針で内部留保を活用することを明記すればよく、株価対策としても有効です。よほど株価が下げない限り、評価損などによる業績への悪影響も少ない。運用先が分かっているので、基本は株主にも嫌気されない。むしろ一株当たりの利益が上昇したり、配当が増えたりするなど、内部留保の活用として米国などでは活発に行われていますね。

これは企業ごとに異なるので、一概にいうことも難しいですが、結局今の低インフレ、低成長の時代では、企業は現金としてため込む方がよい、との判断が働く。自社株も、今の水準が割安なのか、割高なのか、の判断もあるでしょう。結局、今はPBR1倍割れで下支え、などと盛んに喧伝されますが、日本企業の自社株買いが増えないところをみても、もっと下にならないと、中々内部留保を自社株買いなどの方向にはふりむけられない、というのが現状なのでしょうね。
4. Posted by 管理人   2019年08月16日 23:49
payoku さん、コメント有り難うございます。

私も、出来る限りアイテムは温存したいタイプですが、今の世界はどこにもエンドロールがでるような、ラスボスもいないのが問題なのでしょうね。特に、日本は敵でもないモブに最大限の攻撃をしかけ、すでに魔力もつき、アイテムも使い尽くしてしまっているような状況であり、余計に深刻といえそうです。それでもゲームオーバー、やり直しができませんから、その魔力ゼロ、アイテムゼロ、で次のステージにすすむしかないのでしょうね。

私は、左右の視力がちがうせいか、ゲームをやると気持ち悪くなってしまうため、ほとんどやっていませんが、最近ではeスポーツなどもあり、活況ですが、安倍政権に関わる人たちは、恐らくゲームもやったことがないのでしょうね。魔力、体力、アイテムの大事さをまったく分かっていませんからね。むしろ自分たちの間に使い尽くして、後は野となれ、山となれ、というのが安倍政権の態度なら、国民はそのとき初めて、安倍ノミクスはチートだったと気づくのかもしれませんね。そして強敵ばかりがでてくる次のステージで、同じ敵にやられつづける惨めな姿をかみしめるのかもしれません。残念ながら、今のところこのRPGに、ハッピーエンドが用意されていないように感じてしまうのが、極めて深刻な問題といえるのでしょうね。

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