雑感。経済指標と景気『桜を見る会』から見える怪

2019年11月11日

景気の弱気ムード

10月の全国企業倒産件数が前年同月比6.8%増となりました。小売業が5ヶ月連続で増、インターネット販売に押された、などとしますが、ここでは明らかに消費税増税と、それに伴うキャッシュレス決済の導入のコストを賄いきれず、継続を諦めた店舗の影響も大きいのでしょう。以前から指摘しているように、キャッシュレス決済の導入自体、店舗にとってはお客を逃がさないためで、増える見通しがあって行うことではありません。導入しなければ客数減がみえる。経営の厳しい店舗が廃業を決断するキッカケになり易いのです。

10月景気ウォッチャー調査は、かなり衝撃です。現状判断DIは36.7と前月比10.0ptの下落です。9月に駆け込みで跳ね上がった小売りが50.0から31.8に急落、飲食もサービスも落ちて、企業関連も前月比4.6pt減となり、雇用も前月比3.8pt減など、よいところがありません。唯一、住宅関連が前月比0.8ptの落ちこみで幅は小さいですが、住宅関連は低位安定という感じで、上下動が少なくなっていることが影響するのでしょう。
先行き判断DIは43.7と前月比6.8%の上昇。9月までは3ヶ月先の12月も悪い、とみていた小売り、飲食などが1月になったらよくなる、と急に考えたわけではなく、9月から始まった米中貿易協議の進展をうけた株高を、素直に織り込んだのが真相でしょう。家計も企業も改善を見せる中、唯一悪いのが雇用関連で前月比0.7pt減です。すでに雇用はピークアウトしていて、省人化投資の効果からも人余りの傾向にあるのでは? との指摘もあります。高齢者や女性などは、企業がバッファとして雇うパートや臨時雇用が多く、早い段階ではここにダメージがくるのかもしれません。毎月勤労統計でも、正社員は伸びたもののパートの伸びは小さかった。景気ウォッチャー調査とも整合的といえ、雇用関連は今後荒れるかもしれません。

現状判断も先行き判断も、6月に一旦回復の兆しをみせたものの、その後は下落する傾向がみられます。実は、その6月は株高だった月、つまり何となくムードに流されて景気が改善する、との思惑が広がっていたときでもあります。そして10月もほぼ同じ、何となく米中貿易協議が部分合意でもして、景気が回復するとの思惑が重なり、株は野放図に高くなってしまっています。今や、強気派の市場関係者でさえ「下落した方がいい」というほど、企業業績の悪化は米国よりひどい中で株高となっており、日本株が割高に見えてしまっています。ただそれがマインドを押し上げていることは、景気ウォッチャー調査からも顕著です。
安倍政権は、雇用と景気を安倍ノミクスの成果としてきた。しかしその2つとも、ここ最近は揺らいできました。「駆け込みの影響は軽微」と政府系の経済関係者などから、しつこく発表されますが、指標からはそこそこ悪いことが顕著で、決して軽微では収まっていない。いい加減、虚言でマインドを維持しようとする動きは、逆効果にもなってきたのでしょう。株高、という分かり易い形でさえ、実体を映さないだけに継続性は疑わしい。9月の機械受注の民需の落ち込みが前月比2.9%減と、3ヶ月連続のマイナスとなったのは、示唆的といえるのでしょう。ベア(弱気)ノミクスとなってきた日本経済、安倍政権のメッキが剥がれると、アベがベアに変わるのなら、時間が経つとそのメッキが剥がれるのは必然、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:27│Comments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

この記事へのコメント

1. Posted by いろはのい   2019年11月12日 21:15
共産党が「桜を見る会」の参加者名簿提出を求めている件で、
内閣官房長が、資料は1年保存なのですでに廃棄した
などと答弁していますが、実は内閣府以外にも資料は残っていて
それは保存期間が3〜10年です。だいたい1年で廃棄なんて
よほどどうでもいい文書だけで、参加者を決める資料が
そんないいかげんな管理でいいはずがありません。
共産党は、総務省や文科省などの他部門にも資料提出を求めるべきでしょう。
(いま必死で廃棄してる最中か?)
しかし本当に1年で廃棄してしまったら、翌年の参加者を選ぶさい
参考に出来る資料が何も無いので、困るのは内閣府のほうですけどね。
2. Posted by らむ   2019年11月12日 22:44
アベノミクスとは、病気の根本的治療はせずに、それが本来は悪い影響しか与えないとしても、たとえば熱を下げる、咳を止める、鎮痛効果で節々の痛みを無くす、外側の事象だけを無理矢理改善させる、そしてあたかも病気が治ったようにみせかけるだけの代物でしかないと思います。その騙しももうじき終わりが近づいています。ジムロジャースが酷評しています。
戦争に負けた直後の日本人の方がまだ元気とやる気と骨があったのに、今の日本は本当に情けない限りです。
3. Posted by 管理人   2019年11月12日 23:11
いろはのい さん、コメント有り難うございます。

今日の記事でも示しましたが、参加者名簿を残さないなんてありえない話で、もしそれが事実なら安倍政権は即刻退陣した方がいいぐらい、リスク管理がずさん過ぎるとなるのでしょうね。安倍政権では、法律で決められた文書も早めに廃棄するケースがめだちますが、後に「発見された」ということもしばしばです。今回も、いずれそういう形になるでしょう。明らかにおかしく、嘘をつくつづける官僚の負担を考えると、今は嵐が収まるまで待って、それから名簿公開、などと考えているはずです。

残念ながら、自民党議員には推薦枠などが割り当てられているように、内閣府としては名簿を保存する必要性はあまりないのでしょう。なぜなら、自分たちは選んでいないから。有名人、著名人なども、時の人として選んでいるだけで、いわば客寄せパンダです。なのでトレンドだけ追いかけていればいい。過去のデータなど、興味はないのでしょう。

むしろ、名簿提出によって影響するのは、毎年同じ一般人が呼ばれている、それが一部の政治家の後援会の会員だった、ということがバレると大変です。なので、だしたとしても今年のみ、といった形でしょう。それ以上の過去のデータをだすと、大変なことになるからで、過去データを必死で廃棄している最中かもしれませんね。
4. Posted by 管理人   2019年11月12日 23:21
らむ さん、コメント有り難うございます。

著名投資家のジム・ロジャーズ氏だけでなく、今や外国人アナリストからは、日本はバカにされるレベルですからね。だからこうした声は、日本では報じられない。ジム氏ぐらいの大物でないと、その声が届かなくなっているのですね。

それなのに、これから外国人投資家が買う、などといって投資を煽る證券アナリストなどが、未だに日本では多い。世界的な株高で、先進国投資の比率の面からも日本株も買わないといけない、程度のことであって、日本株を積極的に買う外国人投資家は、今はほとんどいないのですね。PERは急上昇、EPSは急低下、来年度にも改善がみえてこない日本企業の業績、それを映す株、という構図で何を期待しているのか? その説明がないのですね。

まさに安倍ノミクスとは、お金をばらまいて、それでメッキをかけたようなものです。しかし日銀の限界がみえてくると、メッキが剥がれてくる。日本の病巣もそこでみえてきます。労働人口の減少を、高齢者と女性の労働参加で賄ってきた現状、それを成果だと愚かなことを言ってきた安倍政権。抜本的な成長戦略は何もなく、カンフル剤としての金融緩和が切れてきたら、結局あらゆるものが給付を減らす、国費の負担を減らす、ということにしかならなくなってきた。そんな中で、安倍政権の無駄遣い、一部の者への利益誘導、という形が『桜を見る会』でみえてきたので、影響が大きくなってきたのでしょうね。

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