2019年12月05日
26兆円? の経済対策を閣議決定
安倍政権が26兆円規模の経済対策を閣議決定し、16年8月以来の大型で、GDPを1.4%押し上げる、だのと景気のいい話が聞こえてきます。むしろ景気が悪いからこれだけの規模に膨らみましたが、気をつけないといけないのは、これは15ヶ月の変則補正予算、ということです。つまり、まず19年度の事業規模は4.3兆円ですから、昨年度の3.9兆円をやや上回る程度。これは、昨年はこれぐらいの補正予算を組んだから、今年もそれと同じぐらいの補正予算にしないと、それだけで景気の下押しになってしまうから行われるものです。つまり安倍政権では同程度か、昨年より多くの補正予算を組まないとGDPを押し上げられないのです。
国・地方合わせて13.2兆円としますが、財投が4兆円近くあり、それが5G通信関連なのですから、経済対策なのか? との指摘もあります。公共工事に6兆円近くで、国土強靭化のための防災・減災、台風被害の支援、などとしますが、五輪特需が終わった後の建設業を多少は潤すとしても、一時的なGDP押し上げにしかならないでしょう。さらに、小学校で一人一台のタブレット、などという段に至っては、複数年にまたがった話で、規模を押し上げるために入れられたに過ぎない。しかも小仲学生の使い方では恐らく寿命も短く、数年たてば二人に一台、やがて教室に一台しかなくなるでしょう。そのたびに買い与えるのか? そうなると毎年予算が必要となり、ますます単年度の予算措置ではおかしく、歴年の負担として圧し掛かってきます。
そもそも、小中学生のころからIT教育を行って、人材育成といったところで、それを教える側のスペックが低い。ただでなくとも足りないIT人材、単に教師にその負担をかけるというなら、OECDの調査でも示されたように、ますます他の分野の教育が疎かになるだけです。安倍政権では教育を充実させる、などとしていましたが、やっていることは改悪ばかり。一方で目に余る教師の醜態まで起きる始末です。教師一人一人の負担を軽くし、心の余裕をもって生徒に当たれるように配慮するところから始めるべき、といえます。
多くの識者から1%も押し上げ効果はない、と指摘されるのも、本来は毎年きちんと手当されるべき予算まで、ここに含まれているから。これは経済対策ではなく、一般会計から押し出されている事業への手当、という人もいます。そんなことだから、日本は5Gなど最先端技術の導入が遅れてきた。硬直した一般会見の無駄遣いに、まったくメスを入れることもなく来たため、新しい事業や技術の開発に予算がつけられない。だから毎年、補正予算を組む。ここに安倍政権の重大な問題があります。日本の技術は遅れる一方で、経済対策が経済対策になっていない。安倍ノミクスが加速どころか、自分から砂をかけて消し回っている状況です。
麻生財務相が「財源は決まっていない」というように、15ヶ月の変則補正予算のため、来年度分は今年度の税収上振れ分、という技がつかえません。また今年度はすでに税収下振れが意識される。法人企業統計でも示されたように、2019年度上期は従業員の給与、賞与ともにマイナスで、所得税収も落ちる。業績悪化で法人税も減ることを考えると、歳入不足に陥るのです。結局、赤字国債に頼るならますます経済効果には期待できなくなるでしょう。金利上昇を日銀が強烈に抑え込めるか、それが試される局面といえます。
しかもこの補正で最低賃金引き上げを促す支援事業、という政策が入ったら、厚労省がさっそく最低賃金算出のための統計手法を見直す、といいだしました。今回の経済対策も泥縄なら、対応する省庁も泥縄です。経済対策の実質的な財政規模を『真水』と称しますが、この泥縄の泥を落としきれないほどにしか、その水の量は足りません。はじまった消費不況、ここに何の手当もないのは消費税増税は失敗だった、と言いたくない。泥をかぶりたくない、という卑屈な考えがそうさせるのでしょうが、早く泥を吐いて正しい経済状況と、その対策を打たないと日本全体が不況という泥沼にひきずりこまれるだけなのでしょうね。
国・地方合わせて13.2兆円としますが、財投が4兆円近くあり、それが5G通信関連なのですから、経済対策なのか? との指摘もあります。公共工事に6兆円近くで、国土強靭化のための防災・減災、台風被害の支援、などとしますが、五輪特需が終わった後の建設業を多少は潤すとしても、一時的なGDP押し上げにしかならないでしょう。さらに、小学校で一人一台のタブレット、などという段に至っては、複数年にまたがった話で、規模を押し上げるために入れられたに過ぎない。しかも小仲学生の使い方では恐らく寿命も短く、数年たてば二人に一台、やがて教室に一台しかなくなるでしょう。そのたびに買い与えるのか? そうなると毎年予算が必要となり、ますます単年度の予算措置ではおかしく、歴年の負担として圧し掛かってきます。
そもそも、小中学生のころからIT教育を行って、人材育成といったところで、それを教える側のスペックが低い。ただでなくとも足りないIT人材、単に教師にその負担をかけるというなら、OECDの調査でも示されたように、ますます他の分野の教育が疎かになるだけです。安倍政権では教育を充実させる、などとしていましたが、やっていることは改悪ばかり。一方で目に余る教師の醜態まで起きる始末です。教師一人一人の負担を軽くし、心の余裕をもって生徒に当たれるように配慮するところから始めるべき、といえます。
多くの識者から1%も押し上げ効果はない、と指摘されるのも、本来は毎年きちんと手当されるべき予算まで、ここに含まれているから。これは経済対策ではなく、一般会計から押し出されている事業への手当、という人もいます。そんなことだから、日本は5Gなど最先端技術の導入が遅れてきた。硬直した一般会見の無駄遣いに、まったくメスを入れることもなく来たため、新しい事業や技術の開発に予算がつけられない。だから毎年、補正予算を組む。ここに安倍政権の重大な問題があります。日本の技術は遅れる一方で、経済対策が経済対策になっていない。安倍ノミクスが加速どころか、自分から砂をかけて消し回っている状況です。
麻生財務相が「財源は決まっていない」というように、15ヶ月の変則補正予算のため、来年度分は今年度の税収上振れ分、という技がつかえません。また今年度はすでに税収下振れが意識される。法人企業統計でも示されたように、2019年度上期は従業員の給与、賞与ともにマイナスで、所得税収も落ちる。業績悪化で法人税も減ることを考えると、歳入不足に陥るのです。結局、赤字国債に頼るならますます経済効果には期待できなくなるでしょう。金利上昇を日銀が強烈に抑え込めるか、それが試される局面といえます。
しかもこの補正で最低賃金引き上げを促す支援事業、という政策が入ったら、厚労省がさっそく最低賃金算出のための統計手法を見直す、といいだしました。今回の経済対策も泥縄なら、対応する省庁も泥縄です。経済対策の実質的な財政規模を『真水』と称しますが、この泥縄の泥を落としきれないほどにしか、その水の量は足りません。はじまった消費不況、ここに何の手当もないのは消費税増税は失敗だった、と言いたくない。泥をかぶりたくない、という卑屈な考えがそうさせるのでしょうが、早く泥を吐いて正しい経済状況と、その対策を打たないと日本全体が不況という泥沼にひきずりこまれるだけなのでしょうね。
この記事へのコメント
1. Posted by らむ 2019年12月06日 06:46
もはや何のための消費税増税だったかわからない結果となっていますね。26兆円の経済対策も次の選挙のためでしょうか。安倍政権の唯一の成果は、消費税増税5から10パーセントをしただけで、あとは何もない、改悪のだらけですから。嘘と虚偽に満ち満ちたこんな政権が憲政史上最長したというのだから、日本の政治システムと国民の政治に対する意識自体が問題を抱え地に落ちているのだと思えます。
2. Posted by いろはのい 2019年12月06日 20:50
前回の増税は4月だったので、ウソでも「給料も上がりますから大丈夫ですよ」
と言えば、落ち込みはそれなりに避けられたでしょうけど。
本来、増税は給料アップとセットで行わなくては意味がなくて
今回のように10月じゃ給料も上がるはずはなく、
前回以上に落ち込むのは、当然の話でした。
しかしIMFが、消費税は15%から更には20%へ、などと言ってますが
ほんと「なに馬鹿なこと言ってんの?」状態ですね。
10%でもこれだけ酷くなったのに、これが12%とかになったら
その時点で、日本経済は終了でしょう。
おそらくこの先に、食料品10%が待ってると思いますが、
それ以上の増税は、日本をぶっ壊すつもりならやってくれ、
としか言いようがありません。
と言えば、落ち込みはそれなりに避けられたでしょうけど。
本来、増税は給料アップとセットで行わなくては意味がなくて
今回のように10月じゃ給料も上がるはずはなく、
前回以上に落ち込むのは、当然の話でした。
しかしIMFが、消費税は15%から更には20%へ、などと言ってますが
ほんと「なに馬鹿なこと言ってんの?」状態ですね。
10%でもこれだけ酷くなったのに、これが12%とかになったら
その時点で、日本経済は終了でしょう。
おそらくこの先に、食料品10%が待ってると思いますが、
それ以上の増税は、日本をぶっ壊すつもりならやってくれ、
としか言いようがありません。
3. Posted by 管理人 2019年12月07日 00:20
らむ さん、コメント有り難うございます。
何のための消費税というより、明らかに景気が失速傾向を示している点をみても、大失敗だったといえるのでしょうね。キャッシュレス決済などで崖対策をとった、と自慢していましたが、そもそもキャッシュレス決済の問題点も解消せず、ただ普及策を打ったところで、一度は初めてもすぐに現金払いにもどるだけでしょうね。
明らかに選挙のための経済対策、という匂いがぷんぷんします。身の丈発言で英語民間試験は先送りされましたが、学生向けにタブレット端末を一人に一台、などと若者向けアピールをしていますが、記事でも指摘したように、短期的には政府の財政出動という形でGDPを押し上げても、プログラムまですすめるなら、教師のIT知識も試される。むしろIT教育用の教師を準備しないといけないでしょう。その予算は? ついている様子もない。結局、見かけだけ、中身スカスカ、でも早めに選挙をすればそれがバレない、ということなのですね。
政治、メディアの仕組み、権力というモノの考え方から何から、安倍政権は多くのものを壊してしまった。それは自民党という政党そのものも同じでしょう。今、安倍氏が恐れているのは、石破氏が急に次の総裁でトップに上がったこと。こうなると、安倍氏にとって冷遇してきただけに、安倍氏とその周辺まで石破政権で冷遇されかねない。それどころか、安倍氏とその周辺の悪事を暴けば、政敵を凋落させることができるのです。そのとき、野党がどれぐらいの支持か、それ次第では大政局が訪れるでしょう。ますます、選挙をして総裁4選に向けた形をつくりたい、と考えているところでしょうね。
何のための消費税というより、明らかに景気が失速傾向を示している点をみても、大失敗だったといえるのでしょうね。キャッシュレス決済などで崖対策をとった、と自慢していましたが、そもそもキャッシュレス決済の問題点も解消せず、ただ普及策を打ったところで、一度は初めてもすぐに現金払いにもどるだけでしょうね。
明らかに選挙のための経済対策、という匂いがぷんぷんします。身の丈発言で英語民間試験は先送りされましたが、学生向けにタブレット端末を一人に一台、などと若者向けアピールをしていますが、記事でも指摘したように、短期的には政府の財政出動という形でGDPを押し上げても、プログラムまですすめるなら、教師のIT知識も試される。むしろIT教育用の教師を準備しないといけないでしょう。その予算は? ついている様子もない。結局、見かけだけ、中身スカスカ、でも早めに選挙をすればそれがバレない、ということなのですね。
政治、メディアの仕組み、権力というモノの考え方から何から、安倍政権は多くのものを壊してしまった。それは自民党という政党そのものも同じでしょう。今、安倍氏が恐れているのは、石破氏が急に次の総裁でトップに上がったこと。こうなると、安倍氏にとって冷遇してきただけに、安倍氏とその周辺まで石破政権で冷遇されかねない。それどころか、安倍氏とその周辺の悪事を暴けば、政敵を凋落させることができるのです。そのとき、野党がどれぐらいの支持か、それ次第では大政局が訪れるでしょう。ますます、選挙をして総裁4選に向けた形をつくりたい、と考えているところでしょうね。
4. Posted by 管理人 2019年12月07日 00:31
いろはのい さん、コメント有り難うございます。
IMFの指摘は、それこそ賃金上昇率などまったく考慮していない、ただの表面的な話ですからね。こういうのを経済オンチ、というのかもしれませんね。
家計調査で深刻なのは、食料品まで急減している点です。だから台風の責任にしよう、との意見もありますが、いくら何でも広域被害といっても、これまでの台風などの被害などを鑑みても、そこまで落ちるはずがないのですね。商品別にみると、何だか奇妙な傾向もみえる。イートイン脱税、などという言葉もありますが、それに関連する部分も落ち込みがある。生鮮食品以外でも、加工食品への影響をどうみるかは、かなり難しくなっているのですね。
コメントでは記しましたが、法人企業統計をみると従業員に支払う給与が減っている。働き方改革で、残業が規制されて減った面があるとしても、結局そうなると消費に回せない。賃金減少と、出費増が同時に襲っているのですから、働き方改革と増税を同じ年にはじめたことが、すべての問題なのかもしれません。もう食料品に10%を課すのは難しいでしょうね。後は、贅沢品の税率をさらに上げるか? 日用品にしろ、結果的に負担が増えるのなら、消費の落ち込みが激しくなり、それだけ景気がおちこむことを、いい加減財務省も学ぶべきなのでしょうね。
IMFの指摘は、それこそ賃金上昇率などまったく考慮していない、ただの表面的な話ですからね。こういうのを経済オンチ、というのかもしれませんね。
家計調査で深刻なのは、食料品まで急減している点です。だから台風の責任にしよう、との意見もありますが、いくら何でも広域被害といっても、これまでの台風などの被害などを鑑みても、そこまで落ちるはずがないのですね。商品別にみると、何だか奇妙な傾向もみえる。イートイン脱税、などという言葉もありますが、それに関連する部分も落ち込みがある。生鮮食品以外でも、加工食品への影響をどうみるかは、かなり難しくなっているのですね。
コメントでは記しましたが、法人企業統計をみると従業員に支払う給与が減っている。働き方改革で、残業が規制されて減った面があるとしても、結局そうなると消費に回せない。賃金減少と、出費増が同時に襲っているのですから、働き方改革と増税を同じ年にはじめたことが、すべての問題なのかもしれません。もう食料品に10%を課すのは難しいでしょうね。後は、贅沢品の税率をさらに上げるか? 日用品にしろ、結果的に負担が増えるのなら、消費の落ち込みが激しくなり、それだけ景気がおちこむことを、いい加減財務省も学ぶべきなのでしょうね。
5. Posted by いろはのい 2019年12月07日 16:56
補正予算で5G関連とか、露骨にソフトバンクへの支援でしょうか?
そのSBが東大のAI研究に投資とか。
東大といえばAI研究の某准教授が、中国人は能力がないので雇わない
とか、人種差別発言して炎上しましたが、
孫さんの援助を受けたいんだったら、こういう先生は
さっさとクビにすべきでしょう(笑)
そのSBが東大のAI研究に投資とか。
東大といえばAI研究の某准教授が、中国人は能力がないので雇わない
とか、人種差別発言して炎上しましたが、
孫さんの援助を受けたいんだったら、こういう先生は
さっさとクビにすべきでしょう(笑)
6. Posted by 管理人 2019年12月07日 23:03
いろはのい さん、コメント有り難うございます。
5G関連は、明らかに出遅れる日本、という批判への危機感でしょうね。米中がもう一部ではサービスを始めている中、日本はまったくすすめられていない、では恰好もつきませんからね。ただ、そんなものはしっかりと予算措置すべきで、補正予算で対応するものではないのですね。それに、SBより菅氏関連の楽天支援、という意味もあるのかもしれません。あれだけ派手にぶち上げておいて、ほとんど携帯料金が下がっていませんから、5Gをメインにして4社体制を早く構築しないと、公約未達といわれかねませんからね。
東大がAIでリードしている、とはまったく思えませんし、日本の場合、AIそのものの基礎的な部分が遅れているので、どこまで挽回できるか? ということで、むしろ安倍政権からの要請もあって、東大への投資に舵を切ったのかもしれません。それは昨年度の税金の話とも重なりますが、SBのあんな手法をみとめていたら、日本の税が抜け穴だらけとなります。それを認めてしまう見返り、と言ったことだと考えています。
東大の教授としては、安倍政権に寄り添ったつもりなのかもしれませんね。安倍政権、というよりその背後にいる米国。華為の締め出しからはじまり、5G関連でも米国が主導しようとしている中、中国にその技術を盗まれたら大変、米国と方針を一にします、ということだったのかもしれませんね。
5G関連は、明らかに出遅れる日本、という批判への危機感でしょうね。米中がもう一部ではサービスを始めている中、日本はまったくすすめられていない、では恰好もつきませんからね。ただ、そんなものはしっかりと予算措置すべきで、補正予算で対応するものではないのですね。それに、SBより菅氏関連の楽天支援、という意味もあるのかもしれません。あれだけ派手にぶち上げておいて、ほとんど携帯料金が下がっていませんから、5Gをメインにして4社体制を早く構築しないと、公約未達といわれかねませんからね。
東大がAIでリードしている、とはまったく思えませんし、日本の場合、AIそのものの基礎的な部分が遅れているので、どこまで挽回できるか? ということで、むしろ安倍政権からの要請もあって、東大への投資に舵を切ったのかもしれません。それは昨年度の税金の話とも重なりますが、SBのあんな手法をみとめていたら、日本の税が抜け穴だらけとなります。それを認めてしまう見返り、と言ったことだと考えています。
東大の教授としては、安倍政権に寄り添ったつもりなのかもしれませんね。安倍政権、というよりその背後にいる米国。華為の締め出しからはじまり、5G関連でも米国が主導しようとしている中、中国にその技術を盗まれたら大変、米国と方針を一にします、ということだったのかもしれませんね。