自民の景気対策?日銀短観と五輪の日程

2020年03月31日

年度末の株価

年度末、株式市場は比較的平穏でした。先週までの動きで、16000円台水準から19000円まで戻し、小康といったところなのでしょう。夜間取引でも下げる機会が多くなったように、日系の動きも細ってきましたが、溜まった買いを今後どうするか? ここから一段安になると、見切り売りも増えるかもしれません。
一部に、米国株は4月が上昇の特異月、という話があります。ただこれは日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が新年度入りで資金をつぎ込む流れも寄与した、とみられますが、来年度はそれがでない可能性がある。大きな損失を抱え、新規で買いに回せる資金があるかどうか。むしろ現金保有を強める流れを、GPIFでさえすすめざるを得ないのかもしれない。企業の社債(CP)発行が急増という話もありますが、GPIFとて2ヶ月に一度の給付だとしても現金を抱えざるを得ない。何より今後、株高シナリオが描けるなら早く投資しておく、という戦略もありますが、米国はまだ感染症の影響がつづき、投資先として不適格といえます。

3月中国のPMIが52.0となり、急回復です。しかしこれは製造業購買担当者景気指数、とされるようにあくまで製造業に勤める担当者のマインド、中国共産党が回復をアピールする最中、悪化していると言いにくい雰囲気もあり、ここまで戻したと見られます。実働としては全くコロナ禍の前にもどっておらず、また各国で移動制限、買い物制限などがある中で、製造業に明るい兆しはない。少なくとも最悪期は脱した、ということを示すだけで、景気判断の別れ目である50を上回ったからといって、大した中身はありません。
一方で2月の一般職業紹介状況で、有効求人倍率が0.04pt悪化の1.45倍となりました。深刻なのは、前年同月比でみると有効求人数が10.2pt減、有効求職数が1.0pt増、就職件数が15.6pt減。仕事を探してもみつけられない、就職もできない率が上昇している。これはまだ中国のみで世界に蔓延していなかった2月の数字です。3月はもっと急速に悪化する可能性がある。安倍政権やトランプ政権がどれだけ滅茶苦茶で、政治手腕がなくとも、支持率に影響しなかった要因であった雇用が崩れる。仕事があって、何となく生活が成り立つので現状維持、としていた層が一気に政権離れを起こすでしょう。週末の3月米雇用統計もまだ影響を反映しきれない、とされますが、来月月末辺りから数字としてでてくると、一気に政権批判へと向かう可能性もあります。

株価は2年連続で下落、率は今年だけで10.8%です。ただ、まだこの程度で済んでいる、というレベルです。来年度は日経平均が1万円を割れても決して驚くことではない。そういうこともあり得る、ということは頭に置いておく必要があります。以前から指摘しているように、リーマンショック級のことが起こるとしたらこれから、まだ数ヶ月先の話です。それまでに具体的、きちんとした対策がでてくれば防げますが、むしろ先の余裕はどんどん失われている。使い物にならない経済指標、使い物にならない業績予想、使い物になるものが出てくるのは来月半ばから、今は何をどう語ったところで数字の裏付けは何もない、単なる予想です。
1万円割れ、という話も今は単なる予想です。ただ数字がでてきたとき、日本がはっきり景気後退に陥った、などということが確認されたら1万円割れに裏付けができます。世界全体が長期の停滞に陥るなら尚更です。今はまだ焦るタイミングではなく、政治の動きとカネの動きと、その両方をみて先々の流れを予測すべきときです。年度末、買い過ぎた日系、ポジションを軽くした外国勢、こうしたことも短期のカネの動きとして、注目しておいてよいかもしれません。30日の取引でも、配当の再投資の動きは大きくなかったように、4月からのカネの動きは過去のものとちがった形になるはずです。そうしたものを確認してからでも、十分間に合うということでもあるのでしょうね。

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analyst_zaiya777 at 22:59│Comments(2)経済 | 

この記事へのコメント

1. Posted by payoku   2020年04月01日 22:21
森元総理と安倍総理が五輪についての打ち合わせで、森元総理は2年の延期を主張したけど、安倍総理の1年後との主張で、来年になったとの報道がありましたが、1年で終息にまでもっていく覚悟がある、というより、単純に楽観視してそうなところが怖いですね。正直、コロナ、経済について、きちんとした対策をとれるとは、全然思えないです。
2. Posted by 管理人   2020年04月01日 23:00
payoku さん、コメント有り難うございます。

安倍氏の頭には、来年の五輪を「希望の象徴」で、コロナ禍から救ったのは自分だ、アピールをするためでしょうね。ただ、第一段階である春開催に失敗、夏開催となったことで、総裁4選には黄色どころか赤信号がともった。安倍氏はすべての発想、考え方が自分本位ですから、五輪もうまく利用してやろう、ぐらいのことだと思いますが、その発想自体が失敗を招く要因になりはじめてきた、ということでもあるのでしょうね。

経済とて、60兆円の事業規模で、本当に足りると思っているのか? もし思っていたなら、ただの無能な楽天家という以外の評価もないのでしょうね。米国とて4-6月の2QはGDPで30%ダウン、との予測もある。さらに1兆$規模の、景気対策第4弾の検討、との話もある。高い成長を示していた米国でさえ、GDPの10%を越える対策を打っているのに、すでに景気後退に陥っていた日本が、全くそこに見合わうような対策もだしてこない。これで来年までに回復しているとしたら、何かの奇跡でも起きているしかないでしょうね。

今回はあまりに悪化の速度が速いので、恐らく4月辺りから不測の事態が少しずつ、起き始めるでしょう。もしかしたら医療崩壊の前に、経済の崩壊の情報がでてくるかもしれません。緊急事態、日本においてはそれが別の意味で襲ってくることになるのかもしれませんね。

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