年金

2019年06月14日

年金の財政検証の公表遅れ

昨日の日本所属のタンカーが攻撃された事件、米国はイランの革命防衛隊が仕掛けたとして、映像を公表しました。船体に機雷をつけて爆発させるリムペット・マインだと。しかし所有会社が機雷を否定、飛来物によるものとします。実は飛来物だと、あの海域に展開する米艦艇が探知していないはずがない。しかも機雷だと、もっと舷側に凹みがでているはずですが、公開された写真をみても船体に穴が開いているだけで凹みが少なく、まるで貫通弾の跡のようにもみえます。米側の公表の速さも気になりますし、もし安倍首相にイラン訪問を促した米側の真意がこれだとすれば、安倍外交は失敗以上の問題を抱えたことになります。

年金2000万円不足問題で、健全性を5年に一度チェックする財政検証の公表も遅れています。専門委員会の最終会合があってから、過去2回は3ヶ月後に公表しましたので、今年は3月7日に会合が終わっており、通例ならもうでてもおかしくない。それを参院選後に先送りするなら、よほど不都合な内容になると予想される。重要なのは、この財政検証を経て保険料や給付のあり方が見直される。そして今回、恐らくほぼ確実に給付水準が引き下げられることでしょう。そうなると、2000万円どころでは足りない、となってきます。
麻生財務相は「2000万円ないと生活できない、とは言ってない」としますが、それは爪に火を灯すぐらいに生活を切り詰めれば、生きていくことはできるかもしれない。しかしそれが文化的で健康な水準か? というと疑問があります。資産をもつ麻生氏はもらっているかどうか知らない、という年金ですが、年金だけで生活する人にとっては死活問題で、麻生氏に何らその厳しさが分かっていない、というのが問題です。

例えば18年度末は、日経平均だけをみれば250円安ですが、TOPIXをみると125pt安。10分の1以下の規模のTOPIXですから、その下落率の大きさが分かります。では13年度末と18年度末のTOPIXを比較してみると、390pt高です。プラスじゃないか、というと、その間の14年10月に基本ポートフォリオを見直し、国債51→35、日本株17→25、外国債11→15、外国株16→25としており、まさに高値掴みをしている。つまり単純計算するよりは、確実に増えていないということになります。そして最大の問題は、日銀によるマイナス金利です。
日本国債にマイナス金利がついたのは14年から、16年1月に当座預金にマイナス金利を導入。同年9月にイールドカーブコントロールを導入、日本国債はそれ以後、長短含めてマイナス金利になることが増えています。マイナス金利の問題は、償還まで保有すると価値が目減りすること。年金のように、一度買ったら満期まで保有する主体は確実に資産を減らすことになる。運用比率を減らしたとはいえ、35%の資産が削られていくのですから、たまったものではありません。しかも基本ポートフォリオの見直しで、海外の運用を増やしたタイミングは円安、円高になっている現状はここも運用が厳しいとみられます。

年金の財政検証は5年に一度、年間の上下動に一喜一憂するのではなく、長期の運用で何が最適かを見極める場であり、かつ給付と負担の割合についても見直される、大事なものです。その公表が遅れている時点で、これは大変なことが起きている、ということが明白なのです。参院選後に締結ともされる日米貿易協定もふくめ、参院選後の日本には火種ばかりがくすぶることは間違いないのでしょう。2000万円どころか、一体どれぐらい年金が足りなくなっているのか? 「足りない年金問題」は、自民党の脇腹を貫通するほどの威力がある弾丸なので、安倍政権は「嫌い(機雷)」だと言い張り、無視しようとするのでしょうね。

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2017年07月07日

日銀の指値オペと年金運用実績

稲田防衛相をはじめ、政務三役がそろって40分ほど席を外していたことについて「政務」と説明され、波紋が広がります。稲田氏は「15分ほどで戻れる場所にいた」「連絡はいつでもつく状態」だから問題ない、としますが、それを言い出せば、ずっと政務三役が一人も防衛省にいなくても問題ない、というのと同じです。「民間との防衛政策の勉強会」としますが、時間帯からみると、お昼をとっていたようにしか見えず、政務の内容が問われるといえます。内容はともかく、誰と会っていたかを説明する必要があるのでしょう。
特に今回、対応を難しくするのは広域で、被害が複数の県にまたがることです。つまり現地対策本部が複数ある、ということ。連絡体制を密にしないと、それこそ現場が動けない事態もあり得ます。むしろ、政務三役がいない方がいい、という判断が現場にあるのなら、早々に政務三役を罷免すべき、といえるのかもしれません。

日銀が10時、定例の国債買い入れオペを増額し、また2月5日以来の臨時の指値オペを発表しました。長期債利回りが0.105%で、指値オペが0.110%だったため応札はゼロでしたが、長期債利回りは0.085%まで低下しました。この一連の動きで、日銀はターゲットを1.110%においている、との見方が市場に広がり、市場ではこの動きに対する分析もすすみます。
ただ問題は、欧米ではここ2週間ほどで長期債利回りが0.2%以上の上昇であり、日本の0.04%とは桁が違います。特にECBのテーパリング観測が広がり、利回りに上昇圧力がある中、日本だけがより桁の低い水準で金利をとどめようとする。それが市場にとって、どんな影響があるのか? まだ完全には織りこめていません。例えば昨日、大枠合意と伝わる日欧EPAですが、細目の投資条件に入ると議論が紛糾してまとまらないだろう、とされます。それは日銀が債券市場は指値オペで、株式市場はETF購入で相場操縦のようなことをする、公平で開かれた市場ではない、ということからも調整の難航が予想されます。こうした動きがもたらす悪影響については、後に様々な形で現れるのかもしれません。

GPIFが昨年度の年金の運用実績を公表し、5.86%増の7兆9363億円の運用益です。構成は国債31.68%、国内株23.28%、外国債13.03%、外国株23.12%、短期債8.89%です。昨秋以降、トランプラリーにより株式は国内、海外とも10%以上の上昇であり、国内株は15年度末で30兆円程度、16年度末で35兆円程度、なのでほぼ売却していない、という形です。一方で、国内債は50兆円から48兆円に減らしており、これは国債価額の低下を意味するのでしょう。となると、日銀はほぼ売買せずに年をまたいだ、といっても過言ではありません。
つまり株式上昇局面でもGPIFは売らなかった、となる。しかし基本ポートフォリオからみてももう株式保有は限界に近く、3月末から現状まで上昇しているので、ここが目いっぱいの水準、だから上値が重い、という見方もできそうです。つまり今以上に上昇すればGPIFが売り方に回る。それを吸収して上昇させる主体がない限り、上に行かない。一方で日銀がETF買いにより、下げを拒否するために膠着が強まるのです。

しかし米国でも、見事にグロース、バリューと株式の買い材料が目まぐるしく変わる。市場が最良の条件を織りこんでしまっているため、それ以外の相場を動かす材料が見当たらず、日計りで値動きを出して稼ぐ、という展開になってしまっています。今ぐらいの金利上昇では金融機関の収益は改善せず、それなのに金利上昇を囃して上がる。相場がまったく現実をみていない状況であり、これは大相場が起きやすい地合い、ともいえるのです。年金は今の水準なら、多少下がっても下支えには動けないでしょう。日銀にかかる比率がますます上がり、それを避けるために指値オペをつかい、相場に圧力をかけたということなら、相場への指図オペともいえ、その悪影響が相場全体に広がりかねない、ともいえるのでしょうね。

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2017年03月05日

雑感。10-12月期の年金運用

安倍首相が、待機児童解消にむけた新プランを6月に策定、と発言しています。17年末までに待機児童ゼロ、の約束を果たせなくなり、期待をつなぎとめる必要を感じたのでしょうが、遅きに失しています。選挙のたびに公約にするのに、6月まで何の手も打たないのか? 今も尚、困っている人がいるにも関わらず、です。しかも6月にでてきた案も、あまり期待できません。なぜなら、安倍昭恵夫人が、森友学園の教育方針を礼賛するように、この政権は教育を、票集めや洗脳の場としか考えていない、としか思えないためです。
森友学園が、4月開校予定の小学校の説明会を開きました。ただし徹底した情報統制を布いて、メモをとることさえ許さなかった、と言います。情方公開の乏しい学校、しかも私学審議会で、愛知県の中学校に推薦枠を得ることで合意、と説明しましたが、その中学校は事実無根と否定する。どこまで虚偽、虚構で固められているのか、底なしになってきました。そんな学校法人が幼稚園を経営するのを、安倍氏は当初礼賛した。実情を知っていれば、まずそんな答弁はしなかったでしょう。本気で待機児童の問題にとりくむのなら、少なくとも虐待が疑われ、異常な経営方針をもつこんな学校法人を放置してはいられないはずです。子供を安心して通わせられなければ、待機児童も減らない。メディアの幹部連中と会食する、ゴルフをする暇があるなら、保育園を落とされた父母ともっと面談の機会をもつべき、とさえ言えるのでしょう。

年金積立金管理運用独立法人(GPIF)が、10-12月期の運用実績で約10.5兆円の黒字、と発表されました。トランプラリーが始まり、外国人投資家が3兆円以上も日本株を買い越しており、2000円以上も株が上がった。じまた円は対ドルで10円以上も円安になったので、黒字幅も大きくなりました。株式は約24%、外国株、債券は約34%も保有しており、株式も円安も10%以上すすんだのですから、評価益だけで10兆円は軽く越えます。
しかし問題は、国債で約5000億円の損失をだしていること。そしてこれは、恐らく今後も拡大していく方向とみられます。今はまだ、日銀のオペで食い止められていますが、債券は世界的にも金利の上昇圧力があり、米国は利上げ局面、日欧は緩和の限界、と事情は違うものの、債券から資金が逃げ易くなっている。これは年金や保険など、これまで国債で運用してきた主体にとって、非常に好ましくない状況といえます。

これまでのは、債先売り、株先買いを同時にしかける、といった景気の悪化と安全資産とのバランスをとった運用が多かった。そのバランスを崩したのも、中央銀行による超緩和です。今、運用を主体とするところは困ったことになっている。米国では、金利上昇で金融株買い、という短絡的な流れになっていますが、そう簡単ではありません。
どんな運用でも、端緒では大きな利益を得られる。GPIFが10-12月期で大きな利益を得たように、です。しかしこれから運用のサバイバルが始まる。トランプラリーが終焉し、世界が将来に大して期待できない、と気づいたときから、買い方のポジションしか組めない運用では、大きな損失を抱えることにもなるのでしょう。株式比率を多くしたことで、より損得が大きく出るようになった年金運用、安倍氏は長期政権を望んでいるようですが、年金の運用には安定は望むべくもない。単純に四半期の決算だけで評価もできませんが、少なくとも年金『飢饉』を今回は回避できた、というぐらいの評価しかできないのでしょうね。

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2016年11月25日

年金改正法案の強行採決

米国では感謝祭の翌日からブラックフライデーとして、大売り商戦が始まります。ただし最近では前倒し、ネット取引など販売も多様化しており、ブラックフライデーの文言自体が形骸化しています。日本でも『ブラックフライデー』と銘打ち、年末商戦に突入する小売もありますが、なぜ外国由来の名前をつかうのか? 日本でも東では酉の市、西では誓文払い、として江戸時代から年末にむけて取引が活発化していました。
しかし誓文払いは「駆け引きの嘘を謝罪する」という意味で、安売りをしてきた経緯もあってスジ悪です。酉の市も、現在の新酉の場所に移る前の酉の市は、賭場とも密接な関係にあった、とされます。酉の市は11月の酉の日に開催されますが、一月で3回あると火事が増える、とも言います。これも月3回も賭場に行かれたら家計が火の車、または賭場で負けた者が憂さ晴らしに火をつけた、など諸説あるようです。11月からのセール、米国は感謝からですが、日本にはどこか後ろ暗さもある。だから海外の名前を使いたいのかもしれません。ただ黒字の金曜日とも訳されますが、日本ではどうしても『腹黒い』とのイメージが拭いきれないのは、歴史的な経緯ばかりでなく、大して値引きするわけでもないのに『爆安セール』などと銘打つものが、あまりに多いせいかもしれません。

年金制度改革法案が、衆院の厚生労働委で強行採決されました。自公、維新が賛成していますが、一方的に審議打ち切りを通告するなど、より良い法案にしようというより、安倍首相のトラウマである年金法案はさっさと片付けたい、という与党の都合しか垣間見えない。この改正案は「年金延命法案」でしかない。すでに死に体である年金が、後数年ぐらい生き延びようと、将来世代がもらえる年金財源が残っているわけではありません。年金財源がなくなったら、年金の支払いは「終了!」というわけではないのに、与党は「将来世代にも公平に…」と述べます。要するに現在、未来、公平に減らすだけなら、日本は将来不安によって消費など増えるはずがありません。
そんな中、GPIFが7-9月期の運用成績を発表しました。2兆3746億円の黒字、内訳は国内株で2兆234億円、外国株で1兆455億円の黒字だったものの、国内債券で6000億円以上の赤字となり、相殺した形です。しかし不可解な点がいくつかあって、国内株はこの間、6%近い上昇ですから、運用比率からみるとやや良好なパフォーマンスというぐらいです。問題は外国株、代表的な米株、ダウは2%少々の上昇しかなく、かつやや円高ですから、ほぼ相殺している。ただNASDAをみると7%台の上昇です。つまり収益の大半はNASDAQ銘柄で上げたとみて間違いありませんが、NASDAQはトランプラリーでもほとんど上げていません。ダウも19000$をうかがう展開、といっても3%ぐらいしか上昇していない。そうなると、10-12月期は円安分ぐらいしか外国株に期待できない、となります。

さらに問題は債券です。外国債券の比率は低く、資産構成で12.5%しかありませんが、それでも急落中です。国内債券の比率は36.15%もあって、短期債も長期債も、金利が上昇中で価格は下落しています。それでも日銀の指値オペにより、短期債-0.1%、長期債0.0%辺りにはありますが、日銀に支えられなければ、さらに国内債券の運用が悪化してもおかしくなかった。7-9月期のマイナス分、思っていたよりかなり小さい。6月末に資産構成で39.16%もあったものが、9月末に36.15%と急減している。この辺りにカラクリもありそうです。
しかし4-6月期までに被った損失のうち、半分もまだ取り戻していないのであって、しかも日銀が買いを止めた途端に、年金運用も急落することが、ほぼ確実な情勢です。日銀がいつまで国債を買い支えつづけられるか? それによって一気に年金不安が再燃することが確実です。安倍政権では、日銀に損を被らせることによって、年金不安を抑えている。そんな中、日銀が役員給与の増を決めました。臭いものに蓋をしつつ、自分たちだけ甘い蜜を吸っている人々がいる。そんなことが、実は将来不安へとつながっていることが分かっていないようです。米国のブラックフライデー、日本ではやはり『腹黒の金曜日』になってしまった、というのが今日の一連の動きでもあったのでしょうね。

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2016年08月26日

4−6月期の年金基金の運用損

イタリア中部でおきた地震、未だに被害が拡大しており、心配されるところです。元々ギリシャからイタリアにかけては火山や地震が多い地域ではありますが、日本ほどではないせいか、耐震などの対策には積極的ではありません。被害地域をみても、レンガづくりの家があったり、鉄筋作りでも壁が崩れているところからみて、水を多く含んだ軟弱なコンクリのようにみえます。災害に対する備え、改めて意識させられます。
どうしても経済を通してみてしまいますが、イタリアの金融機関は今も不良債権の処理に苦しむところが多くあります。このような災害が起こると、金融機関には打撃となり、不良債権問題が蒸し返されるかもしれない。2重、3重に備えの大切さを感じます。

年金積立金管理運用独立法人(GPIF)が4-6月期の運用実績を公表しました。国内債券は9383億円の運用益、残りはすべて運用損で、国内株式は2兆2574億円、外国債券は1兆5193億円、外国株式は2兆4107億円となり、トータルでは5兆0463億円の運用損です。国内株式だけをみても、基準日となる3月31日の日経平均終値は16758.67円。6月30日は15575.92円。約7%の下落なので、やや成績が悪い程度です。しかし3月の昨年度末に比べ、損失が膨らんだのは4-6月期は配当をだす企業が少ないため、もあるのでしょう。外国株、外国債券もダウをみても3月末と6月末はほぼ変わらないので、為替の影響が大きいとみられますが、112円と102円なので、約8%の円高とみるとトントン。しかし逆に米国株などは4半期ごとに配当をだすので、運用成績が悪い、と見なした方がよいのかもしれません。
国内債券だけはマイナス金利の導入で、運用益となりましたが、日銀が9月の総括的検証を表明して以来、金利は上昇傾向にあるため、債券価額はマイナスの傾向が強まっている。株式は16000円台と、やや持ち直してはいるものの、日銀の6兆円砲の影響で下支えされているだけで、実体との乖離が大きいともされる。年金運用としては、こうした危うい状態であり、為替もさらに円高がすすむなら、株、債券、国内、外国ともすべて損失をだす期間が近いうちにでてくることも考えられます。

GPIFが損失の原因についてBrexitを挙げましたが、外国株はすぐに戻していますし、日本株だけ出遅れた、といっても英国選挙の前後で比べると株も為替も2〜3%の下落でしかない。影響があったとしても1千億円前後といったところでしょう。やはり運用方針の見直しで、リスク性資産の割合を増やし過ぎた。また株も為替も、年金は高値掴みをさせられた。つまり株も為替も、頭打ち感がでてきて、安倍ノミクスの成長戦略の一環としてダボス会議で打ち出されたのが、年金資産のポートフォリオの見直し、です。つまり年金がこれほど買うから、外国人投資家にもっと買って下さいね、というアピールだったわけで、年金資産が運用益をだすかどうか、は二の次だった。むしろそれで外国人投資家が日本株を買い、円を売ってくれれば年金も収益をだせるだろう、という甘い試算だったのであり、一言でいえばアテが外れた。政権の見通しの甘さが招いた運用損なのです。
しかもこの高値掴み、まだまだ底値がみえないことから、損失が拡大する恐れもあります。GPIFは「年金の受給には影響しない」と述べていますが、当たり前です。年金の受給はマクロ経済スライドによって変動するだけで、運用成績によって変わるものではないからです。影響があるのは、年金基金の原資が予定より早く枯渇する、ということ。つまり将来的には、年金として集める分だけでは足りず、税金の補填割合が高まる、ということ。そのときには運用に回す資金はなくなり、年金は自転車操業に陥る、となります。

もっとも警戒すべきは、まだ長期では1%以上の利回りのある米国債へ投資しても、大きな損をだしている点です。恐らく安倍ノミクスをつづけていれば、やがて社債や地方債などの利回りの高い金融商品へと手をだすよう、ポートフォリオの見直しが行われるかもしれない。そのときは安倍政権に忠誠を誓う企業の社債や、政権幹部の親族企業の社債など、露骨な利益誘導が行われるかもしれない。ナゼなら為替変動におけるリスクヘッジさえできない年金基金が、さらに市場規模が小さく、情報の少ない社債や地方債でまともに運用できるとは思えない。運用先が分からないから、政権の意向を『忖度』しやすくなる、とも考えられるからです。
米雇用統計も、Brexitも、年金基金のイイワケでも何でもない。そういう諸外国の変動要因によって、国民の資産ともいうべき年金が目減りした、が今回の結果なのです。そのうち年金基金のことを『燃金飢饉』と書くようになるのか。燃えてお金が焼け、国民が飢餓で苦しむように、懐からすべてのお金が毟り取られるのか。災害に対する備え、日本では別な意味でも必要となってきているのかもしれませんね。

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2016年08月05日

雑感。年金と働き方

年金積立金が4年ぶりに減少です。先に5.3兆円の運用損は発表されていましたが、厚生年金の納付が45兆円、給付が43兆円。国民年金の納付が4.2兆円、給付が4.1兆円になったことが判明し、トータルで3.2兆円の減少と判明しました。ここで問題になるのが、10月から年収106万円、勤務先の従業員が501人以上などのパート社員にも、厚生年金と健康保険の加入が義務付けられる、という点です。大手などは501人の従業員を越すところが多々あり、そうなると余計に105万円以下に抑えようとするか、年金受給者なら尚更、中途半端に働くぐらいなら退職する、という選択肢もとり易くなる。条件によって受けとり額が増える人、減る人、様々なので一概には言えませんが、年金が破綻しないよう、納付を増やすことばかりを優先しているのです。しかし納付は右肩下がり、給付は右肩上がり、という現状は何も変わらない。一方で、マクロ経済スライドとして物価が上がっても低成長なら実質的に年金は目減りしていく、という構造問題も抱える。今の安倍ノミクスではまさにそういったことが起きているのです。
厚労省は年金納付者を増やそうとすることを考えるあまり、景気へのマイナス面を意識していない点も問題なのでしょう。年後半から景気が上向く、という人も多いですが、こうした負担増になる家計が増えるのですから、どうしてそうなるのか? 理解に苦しみます。高齢者でも余裕のある人は株や為替などで運用してきた。それも、もう右肩下がりの悪循環に入りました。7月の米雇用統計がよく、円安にふれてはいますが、大きな流れは当面円高であって、株高局面になりにくい。日系が買わないと上がらない、という現状は極めて上値追いには厳しい状況なのです。パートの社会保険料負担、国内の消費には悪影響になることが確実です。

6月の毎月勤労統計がでてきました。現金給与総額は前年同月比1.3%増、ただし所定内0.1%増、所定外0.1%減、もっとも増えたのが特別に支払われた給与で3.3%増。12月までは円安がつづいていたため、2-3月に行われる春闘でもボーナスの妥結額が増えたことが影響しています。しかし企業業績は、東証1部の上場銘柄の平均では10-12月からマイナスに入っており、1-3月期、4-6月期とマイナス幅が拡大している。来年のボーナスは目減りが確実でしょう。気になるのは労働時間が減少していること。特に所定外が減っており、不景気に伴い、仕事がなくなってきている。そうなると雇用面にも問題が波及していきそうです。
しかも賃金の伸びは業種別でみると不動産、鉱業、建設業の順で伸びが高く、不動産などはちょうど建設ラッシュで販売が増えたタイミングでもある。要するに特需です。鉱業は原油高、建設業は公共工事、復興需要と考えると、今の成長がどこに偏っているかもうかがえる。景気敏感の業種が押し上げたわけでもありません。実質賃金指数も前年同月比1.8%と伸びていますが、こちらは消費者物価の悪化がプラスに寄与しただけ。景気が継続的に伸びて行く兆候は、まったくこの統計からはうかがえないのでしょう。

6月の景気動向指数も出てきましたが、一致指数が前月比1.3pt上昇、先行指数が前月比横ばい。生産や出荷はプラス寄与ですが、販売に関してはあまり芳しくない。どちらかというと、在庫を増やす方向で6月は推移したのではないか、とみられます。またこの統計はあくまでBrexitを完全には織りこんでいない、6月の指標だということです。今は落ち着いているBrexitも、長期的にみるとマイナスの影響があるもので、今後はどう織りこんでいくか、日本の経済指標でもそれを見ていかないといけないのでしょう。
これまで、家計調査でも伸びてきたのは配偶者の収入です。夫が退職したり、再雇用によって給与が削られる中、妻がパートにでることで支えられてきた。そこに降って湧いたのがパートへの社会保険料負担の拡大、です。一箇所で働くと、負担を強いられることになるので2社、3社と働き先を増やすことでそれを回避するなら、雇用としては改善したように見えても、賃金の低下はより鮮明になっていく。日本の陥っている現状は働き方の多様化どころか、働き先の多様化であり、政府がそれを社会保険料の負担という形で後押ししているのなら、今後はより働き方の複雑化がすすむでしょう。そして、その中のどこかが従業員の社会保険料の負担を怠っていたら…。将来、年金をうけとるとき、こんなはずでは…という人が増えることになるかもしれず、余計に不安が増してしまうのかもしれませんね。

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2016年07月03日

年金に関する間違った説明 by 公明党・太田前代表

公明の太田前代表が横浜の応援演説で「年金が潰れる、壊れる、と言われなくなったのは民主党政権で株安だったから。安倍政権で株価が上がったから。38兆円も運用益がでている。昨年度5兆円減ってもまだ30兆円以上の余裕がある」と述べましたが、大きな誤解と間違いがあります。かつて公明が「100年安心プラン」として喧伝していた年金制度改正により、国庫負担率が3分の1から2分の1に上がりました。これで年金は制度上、破綻しにくい仕組みになったものの、財源措置は為されず延期されたまま。それが民主党の野田政権時代に3党合意が為され、消費税増税が決まってやっと財源問題が片付いた。だから安定したのです。

GPIFの単年度の運用実績でみると、24年度が9.56%、25年度が8.23%、26年度が11.62%。これだけみるとすばらしい成績です。しかし積み上げても36.6兆円、38兆円は民主党政権の頃の23年度の上昇分を少し借りています。これが2つめの間違い。そもそも安倍政権は24年度の途中、12月から政権を担当するので、24年度分は含めるべきではありません。すると本来は25年度からの25.4兆円が、安倍政権の実績ということになります。巷間語られている27年度の実績が、5兆円強のマイナスというなら、安倍政権は20兆円の余剰でしかありません。
そして最大の間違いは、株高は年金運用において基本ポートフォリオを策定し、これが改定をくり返されてきました。22年度から26年度の10月まで、国内債券60%、国内株式12%、外国債券11%、外国株式12%、短期資産5%です。26年度の10月以後、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%です。逆にいうと、25年度までは株式より国債の価格動向が運用には大きく影響した。その国債は、黒田バズーカにより今やマイナス金利となり、価格は上昇、すでにバブルともされます。昨日、長期金利が-0.25を越えましたが、ここまで国債価格が上昇したことが、実は運用成績には最大に好影響を与えているのです。つまり25年度の8.23%の運用実績は、実は黒田バズーカによる国債価格が大半を占めるのです。

26年度後半から、というと株価は17000円オーバー、円は107円から一気に1120円越えまですすみました。それを促したのが、黒田バズーカ第2弾だったのです。つまり悪いことを言えば、黒田バズーカのタイミングで年金が国内株式、外国債券、外国株式を買ったので、非常に高値づかみをさせられたことになるのです。そして現在、株は15000円台、円は103円ほど。つまり年金運用の観点で見ると、国内株式も、外国債券、株も、どれも運用が悪化した、ということでもあり、27年度の5兆円超の運用損などかわいい方で、今年の6月末までですでに、それ以上の大きな運用損がでていることにもなる。安倍政権でえたバッファ分の25兆円など、もう飛んでしまう勢いで減っていることにもなるのです。
ちなみに、安倍政権の第一期、平成18年度から19年度にかけては、運用実績は-3.53%でした。この頃は株価は小泉政権のころの好調さを引きずっていましたが、逆に国債は売り圧力が強く、そのため運用成績が下がったのです。しかしその後、景気が悪化していることが顕著となり、やがて東日本大震災がおきて景気は低迷、国債も格下げなどもあって運用成績が下がった、ということになります。そして、安倍政権では国債が未だにバブルをつづけているにも関わらず、基本ポートフォリオを変えたため、その恩恵をうけられないばかりか、黒田バズーカ第2弾以後の好環境が潰えた今、その悪化分を一気に織り込み始めている、ということになるのです。

そしてこの傾向は、今後もつづきます。それ以上に問題なのは、国債のバブルが弾けた途端、年金はもう破綻まで一気に突き進むかもしれません。破綻、というと言葉は悪いですが、年金収支は収入が給付を下回る、常に原資を取り崩すような状況です。運用がマイナスになったらダブルで年金財源の枯渇がすすんでしまう。そうなるとさらに国庫負担割合を増やすか、給付を減らすしかない。実際、安倍氏は給付にも手をつけると、衆院予算委でも言及しているのです。その懸念が現実になる日も近いのでしょう。
今回、年金の運用が暴露されたのは、GPIFが財務諸表を厚労省に提出したから。厚労省絡みのリークだったのでしょう。官僚としてはダメージコントロールのつもりだったのでしょうが、この財務諸表が出たのなら、本来はいつ発表してもいい。それを先延ばしにしている時点で、年金問題は隠したいといった政府の思惑が見え隠れするのです。そもそも年金で、運用実績だけを積み上げて「余裕がある」などという公明の太田氏の認識、そのものが大きな間違いです。収入と給付の差額とふくめて、年金原資が増えたかどうか、その一点が、将来に亘って安定できるかどうか、という判断において必要なのです。年金について語ること、政治家の言葉に騙されてはいけないのでしょう。100年安心プランが1年と経たずに頓挫したように、自公の年金制度の設計は、100年後には影も形も残っていないほどに杜撰、ということだけは、今回からもはっきりしているのでしょうね。

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2015年07月11日

GPIFの昨年度末の運用比率

ギリシャが再建策を提出し、EU側も肯定的に評価している、とされます。ギリシャ議会も承認しており、後はEUの承認待ちですが、問題は支援したからといって再建できるかどうか分からない点です。これでギリシャから多くの国民が脱出し、経済規模が縮んでしまえば例えプライマリーバランスが改善しても、返済計画が滞ることになります。債権カットをどの程度EU側が認めるのか? ただでなくともこれまでの緊縮策で、規模が小さくなった経済で、今の借金を返すことはほとんど不可能でしょう。債権カットの問題となったとき、EU側も政治的な決断を必要とすることになります。明日にそれが決断できるか、その辺りがカギとなってくるのでしょう。

中国株も落ち着きをとりもどしたかに見えますが、今回は一旦の小康であって、問題は何も解決されずに先送りされただけ。シカゴ日経平均は2万円台を回復していますが、日本はギリシャ不安で株価が下げたわけではないので、週明けも中国株の動向に注視する展開がつづくでしょう。
そんな官製相場の日本市場で存在感を増す年金積立金管理運用独立法人(GPIF)が、3月末時点の運用比率を発表しました。14年度末の国内債券39.4%(53.4%)、国内株券22.0%(15.9%)、外国債券12.6%(10.7%)、外国株券20.9%(15.0%)。カッコ内は13年度末の数字なので、国内債券を大きく減らす一方で、国内、海外の株を大きく買ったことがうかがます。運用益は15.3兆円規模にふくらみ、これを成果と捉える向きもありますが、見方を変えるととても危険です。

外国株を大きく増やす一方、外国債券は微増の域です。これは外国債券を買うと、金利差が縮まって円安に誘導できない。またこれだけ外国に資金を移しているのですから、GPIFだけで円売り需要がかなりあった、ということになります。つまりGPIFは外国債券を買えず、外国株だけを買う、という構図には強烈な円安誘導をはかっていた、という疑いすら生じてしまいます。
甘利経再担当相などは「意図的に円安に誘導したことはない」と述べますが、GPIFの運用だけみても円安に誘導していたことは明らかです。安倍政権で運用比率を35%、25%、15%、25%に変える、と決めたのですから、まさに円安誘導をはかったのです。そして恐らくこの水準はさらに目標に近づいていて、夏場以後のGPIFは逆張り運用しかできなくなった、ということもわかります。

そしてこれは円安要因が一つ消えた、という為替市場の動きも読みとれるのです。目標まで残りの運用比率で考えると、外国債券は2.4%、外国株券は4.1%、つまりこれだけをみても、今までと同じ円安要因が生じ難い、ということもうかがえる。米利上げなども想定されますが、需給要因の一つが剥落した、という事実が円の下値を抑える要因ともなってくるのでしょう。
リーマンショックと同じ規模の株価の調整がおきると、GPIFだけで30兆円の損をだすといった試算もありますが、中国で400兆円が吹き飛んだ、という報道も対岸の火事ではありません。個人の損なら自己責任で済みますが、年金の損はさらに税金投入を促そうとする政治的圧力にもつながりかねません。2万円割れとなった日経平均、これが今以上の円安が見込めなくなり、業績の重しともなってくれば、さらに調整してもおかしくない。まさに悪循環に陥る懸念すら出てくるのです。GPIFがクジラから撤退した、この事実を短期で運用している主体がどう捉えるか? 木曜日には1日で700円以上の急変動をおこしましたが、下支え要因が消えつつある日本、ギリシャの年金カットも、明日は我が身と思っておいた方がよいのかもしれませんね。

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2014年03月11日

日銀会合と年金の財政検証

日銀の金融政策決定会合後、黒田総裁が会見していますが、若干不安の残る内容でした。輸出については下方修正したものの、設備投資、生産については上方修正するなど、直近の経済指標を正しく読み取っているのか? ということです。しかも輸出の下方修正も、米国寒波や中国春節の影響、など一過性としており、混乱する新興国経済の影響は、半ば無視している印象です。
つまり政府の景気見通しと極めて整合的であるものの、それは消費税増税を正当化するための口実なのですから、日銀があえてそれと同じにする必要はなかった。むしろ同じにしたことで、日銀の判断に不安を残す、という結果です。さらに昨日発表されたGDP2次速報でも、GDPデフレーターはマイナスのまま。つまり輸入物価の上昇を、価格転嫁できていない現状も浮かびますが、それも日銀は一過性で、自然と価格転嫁がすすみ、インフレに至るという見通しももつようです。

しかし消費の鈍化、さらに過剰供給の状態にあれば、価格転嫁すればさらに売れなくなるため、できるはずがない。こうした構造的な問題にまで日銀は踏みこんでいない。今日の総裁会見では、放っておけば輸出も、生産活動も回復し、日本経済はよくなる、と述べているようです。それらもすべて、政府が景気見通しを引き上げ、またインフレを是として政策をすすめることに整合し、その論理が崩れたときへの論理武装を何ももっていない、ということを示しています。
そこで気になるのが、始まった年金財政検証のための会議です。5年に1度、年金が持続可能かどうか、経済前提と給付などのバランスがどうか、を検証するための会議なのですが、その経済前提が政府の示す2%の物価上昇と、ここ10年の成長率が実質で2.1%というものなのです。すでに2013、14年度はこの見通しを下回る、とみられますが、この会議ではこれを用います。勿論、それより悪いモデルケースもありますが、数字を舐めればいくらでも年金制度の持続性について正当化できてしまうのは、従来からくり返されてきたことです。逆にいえば、上げ潮派が政権にある限り、ずっと経済成長して将来は安泰、と言う結果にしかならないことを示します。ナゼなら、これは結果に基づく反映ではなく、希望的観測に基づく推計になるためで、上げ潮派は自分たちの行動を正当化するため、常に経済成長をその希望的観測にすえる傾向があるためです。

これは昨今のベア議論にも関係します。ベアをすれば企業は年金の負担も増します。逆にいえば、年金財政自体には好材料です。今のように、為替差益による業績改善を賃上げの理由とした場合、為替差損がおきた際には賃下げの動きが起こりかねない。円高で年金財政の逼迫、などという事態も起きかねません。つまり経済成長と同様、ずっと円安を志向していないと苦しくなる、と何ともおかしな話になりかねない。将来的には、それを根拠として円安を正当化するような議論すら、起きかねないのが今の政府の態度には、含まれているといえるのでしょう。
さらに、政府の方針に従って、年金の運用弾力化が度々話題に上がります。しかしこれも経済成長する、という前提があってのことで、本当に経済が成長するなら、確かに株式など、成長を享受できる投資をすすめる必要がありますが、ここ2四半期の成長率をみる限り、それは必要ないレベルの成長しかしていないのです。逆に、ふたたび低成長に逆戻りするなら、運用リスクの方が高くなり、株式投資は不適ともいえる状況になるのです。政府が示す経済成長見通し、正当性すら疑わしい、そんなものが一人歩きして、経済、金融、財政政策を蝕んでいる。昨今はじまったいくつかの議論で、これまで抱えてきた日本の病巣が、さらに深刻化していることが示される。これが、潜在的に感じる不安として意識されるところなのでしょうね。

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2012年07月25日

企業年金の運用

関西電力の大飯原発4号機が出力120万kWに達しました。ただ、関電の供給能力は3号機のみ出力していた頃の2455万kWから、2952万kWに一気に拡大しています。関電の揚水発電の能力は500万kW程度とされ、200万kWは原発を稼動せずとも利用できる、と試算されていたため、今回の大幅な能力向上は、どうやっても計算が合いません。関電社長が、他の原発再稼動にエネルギー確保や、安全保障なども訴え、前向きな態度を示しましたが、理屈じゃない、とでも云わんばかりの態度です。

厚労省が企業年金の減額申請を『OBの3分の2の同意』と、『著しい経営の悪化』か『掛け金の大幅な上昇に伴う将来負担の困難さ』と、やり易くする提案を民主党部会に提出しました。この資料は、後に法案作成の際に参考にされるものです。ただ両者とも数値による基準はなく、経営者の判断に任されることは変わりないため、仮に法案や政令が変わっても、使いにくい制度となるでしょう。
米公的年金の運用機関が、運用利回り1%となっています。これは米長期債の利回りを下回る、つまりインカムゲインより低く、キャピタルロスの状態、運用に失敗したことを示します。米長期債の利回りが1.3%台に突入し、国債バブルとも称されますが、これが米国の低成長を示すなら、後に正当化される水準でもあります。つまり長期債は、経済成長との相関性をもっていますが、米国が1%台前半の成長に留まることを暗示する、世界全体が低成長時代に陥ることを示唆するものと考えられるのです。

以前から主張していますが、世界全体が低成長に陥ると、運用が利かないため年金や保険などにしわ寄せがきます。安全資産への逃避は、キャピタルゲインを得られない運用側にとって、インカムゲインだけでも得たい、という思惑も働いた上でのことです。これが日本化と呼ばれる状況の怖さで、年金の問題がじりじりと経済を苦しめる、負の連鎖が世界で始まるのかもしれません。
日本では、ミャンマー投資が活発です。ただ、賃金インフレを抑えない限り、ミャンマー経済はすぐ高インフレと格差問題で、国が不安定化するでしょう。軍政からの転換がすすむとはいえ、社会主義的労働形態をとった中国のように、賃金抑制政策をとり、雇用を優先する形で企業誘致をすすめる時間的余裕があれば、息の長い成長となりますが、そうでなければ短期の成長に留まり、企業は逃げ出さなければいけなくなるかもしれません。また軍政にもどる恐れが十分にあるからです。

日本の企業年金は、廃止した方がいい。それは運用、投資に適さない環境が世界全体に広がることが、現時点では確実だからです。損切りのタイミングを間違え、泥沼に陥ると、年金で企業が続々と倒産する事態となってしまうでしょう。企業の海外投資でも、明暗がくっきりと出るはずであり、それは現在の経済環境下で、投資する先を間違えることによって起こるのでしょう。世界は年金というシステムと、どう向き合うかを考える時期に来ているといえるのでしょうね。

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2012年03月23日

AIJ投資顧問に強制調査

愛知県東浦町が、市へ昇格できるよう居住実態のない住民の国勢調査票を作成していた問題で、統計法違反の疑いが浮上しています。世論調査でも同様ですが、統計にはブレ、クセがあるので、必ずその影響を差し引いたり、考慮したうえで最終判断をする必要があります。米国でも、原油・ガソリン在庫を示す、エネルギー省エネルギー情報局(EIA)の出す数字に不審が集まっています。意図的かどうかは別にして、アナリスト予測と毎回の乖離が大きく、実勢がわからないといった不満です。統計が信用できなくなると、世界経済にとっては悪影響と云えるでしょう。

AIJ投資顧問の問題で、証券取引等監視委員会が強制調査に入りました。分かってきたのは債券先物など、デリバティブ投資を行なっていたこと。当初から損失を出し、9年間で1092億円の損失に膨らんでいたこと。被害に遭った年金基金には、厚労省、社保庁のOBが49人天下りしていたこと、です。最後の、天下りの問題では「年金に詳しい」人は、年金基金には必要ありません。誤解してはいけないのが、年金基金が徴収、給付を行なっているなら年金に詳しい人材が必要ですし、その場合はもっと社保庁OBなどが必要です。しかしここは外部委託、のような形であり、運用のノウハウがある人間がいるべき場所です。ただ残念ながら、運用に詳しい人間は、年金基金に務めたがらないのです。設定が厳しい、成功報酬が見込めない、など様々な理由がそこにあります。
毎年数%の利回りを約束する、簡単なようでいて、今のように成長率がトントンの状況ではかなり難しいことです。それこそデリバティブか、株ならよほど銘柄選定がうまいところでないと、まず不可能です。しかも、1年利回りを下回ると、翌年からは2倍の利回りを確保しないといけない。解約されない限り、資金流出がないファンドとは、ここが大きく異なります。そのため毎年収益が出ている、といった誘惑に負けるところも出てきますが、それこそ翌年から更に条件が厳しくなります。

金融庁の監督の甘さ、そもそもこの仕組みにムリがある、など当局側の問題は多々ありますが、それでも損失補填はすべきでない、と考えています。問題発覚前、解約した年金基金は、情報を得て判断した結果であり、AIJが破綻を申請するか、監督官庁に問題を指摘されるか、どちらかという状況に置かれていることを、把握できた可能性もあるからです。年金基金は投資運用が主体なのですから、責任は年金基金側にもあるのです。利回りの高さも、労働者側と話し合いが必要でした。
その上で、連鎖破綻をどう防ぐか。例えば30年ぐらいかけた返済計画を、一緒に当局がつくる。合同で組織された年金基金なら、1社倒産でその損失が他社に及ばないよう、その部分は補填する。その場合も、利回りを引下げて年金基金の運用に支障が出ないよう、条件の変更を必須とする。今は担当者と相談しても、年金基金を解約するときはとにかく元本を返せ、というばかりで話合いできないと云います。そんな国の態度が問題の根を深くさせており、ここをまず改めねばなりません。

年金基金は二階建ての部分まで、運用を委託されていたとされます。であれば、これは年金制度全般の問題です。安易な救済ではなく、まず現在の年金制度の不備、少しでも損失が出ると回らない、その仕組みを変える必要があるのです。AIJ問題は幾つもの示唆、教訓を投げかけていますが、それを未だに議論すらせず、対応も後手である今の政府に、本気でこの問題に取り組む姿勢が見られない時点で、社会保障・税一体改革の、社会保障の改革に関する熱は、一切感じられない、ということなのでしょうね。

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2012年02月10日

民主党による年金試算

復興庁の発足に伴い、野田首相が記者会見しました。ワンストップ、縦割りの調整と並べますが、もし復興庁が調整役であるなら、まず上手くいかないと云えます。復興に関する限り、ここに絶対の命令権をもたせることが機能させる唯一の道です。逆に云えば、調整に時間をかけていると、復興に遅れを生じてしまいます。ただ、がれき処理に関しては地方自治体にお願いする必要があります。そこに調整は必要ですが、この問題は『安全』とされるがれきを、国がどうチェックできるか? という問題でもあり、そこは放射性物質の全点チェックをしない以上、お願いもできないところなのでしょう。

民主党の年金財政試算が発表されました。2075年に消費税で7.1%が増税となる、とのことですが、野田氏はこの試算の存在を「まったく知らなかった」と述べています。しかし厚労省の計算機を、民主党がタダで使えたわけではないはずで、これは党で了承された話だったはず。つまり11年3月に試算したのですから、これは当時の幹事長だった岡田副首相も了承していた話のはずです。逆に、もしこれを党で了承せず、一部の議員が勝手に厚労省の計算機を使っていたら、それは公共機関の設備をただで使わせた、という意味で厚労省側に瑕疵があることにもなりそうです。
平均年収260万円の人には、月7万円の最低保証年金を支給し、平均年収が690万円を超えると最低保証年金はない。言葉を変えれば、これは低所得者向け加算金という位置づけです。現状、年金の加入年数を10年でも、支払うかどうかの検討も始まっていますが、年金は賦課方式であり、積立でないことは明白です。つまりこれを財産権として認めるなら、例え一ヶ月であっても、それを支払う必要が生じるということであり、加入年数に達するということは、権利を買うということです。

財産権を外すと、実は色々と支給に制限をかけることが可能です。例えば、公務員として退職金を1千万円以上得た後、独法、財法で再び退職金を得たら年金は支給しない、と法律で決めることもできます。つまりそれを権利放棄、とみなすわけです。条件のつけ方は様々ありますが、40前後まで勤めて独法に移るのは、天下りとして年金の権利を放棄させれば、支払いは減ります。公務員は共済年金であり、一般人が加入する国民年金、厚生年金とは異なりますが、いずれ一体化の議論がありますから、加算に関する討議とともに天下り根絶に向けた、働きかけが年金からもできるのです。
最低保証年金は、高齢者の生活保護費対策の側面もありますから、これは年金という枠にとらわれない議論も必要です。100年安心プランで年金財源に国庫から2分の1が支給されるよう決まりましたが、生活保護の支給で減った分を回してもいい。それは財政の組み替えに当たることであり、逆にその試算はこの中に含まれていない。つまり消費税も7.1%も必要ないのかもしれません。

野田氏も、自らこの試算における推計がないことを認めており、基礎的な条件はまったく示されていない。この試算に資料的価値は皆無ですが、あえて云うならこの試算を、厚労省で行なった経緯を示すことで、与党と省庁との、なぁなぁの繋がりが浮き上がること、ぐらいなのでしょう。
政治家、政党が省庁の所有物をつかったら使用料を支払う。それは税金で賄われている設備を、一団体が勝手につかうことへの歯止めであり、税金を正しく使うための第一歩にもなります。これを許されるなら、どの団体でも利用申請すれば、無料で省庁の設備を使っても良い、となってしまいます。何のため、誰がこの試算をしたのか経緯を明らかにする、それすら出来ないのなら、ムダ遣いを洗い出すなんて、逆立ちをしてもできないとなってしまうのでしょうね。

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2012年01月21日

消費税増税にむけた全国行脚?

総務省が宝くじが1等当選金額の上限を、100万倍から250万倍に引き上げる方向で、法案を改正するようです。ロト6で、1等の当選金を2等が上回ることがありましたが、日本は富くじという伝統がある割に、宝くじなどにはネガティブな印象が強い面があります。しかし宝くじには運営時のコストの問題があり、それを減らして当選金額に回すよう努めた方が、よほど利があると云えます。見かけだけ、枠を広げて失敗する形が昨今、日本ではよく見られます。
東証が取引時間を延長してから、取引額が減りました。ロト6も月木と2回にしたことで、当選金が減っているようです。人気が低迷するとき、市場を拡大するのではなく、縮小した方が効果が上がります。宝くじも、数を減らして当選金額を増す、コスト減でその分を当選金に回す、という努力が必要です。その方が復興くじ、のような臨時のものも、より効果的に宣伝できると云えるのでしょう。

消費税増税に、国民理解を得ようと全国行脚、と称して政府要人が各県の経済界と話し合いをしています。その中で、広報基本方針として、消費税増税は「全額社会保障財源化」と明記されています。これまでは「原則として…」が付加されており、それが消えたことで、それ以外の出費に回す可能性がなくなりました。ただ、これは説明は分かりやすくしますが、理解が得られるとは限りません。
年金は特に、子育てにお金がかかる現役世代の負担増大を容認することになり、消費税だから、全世帯負担と云ってみたところで、基本的な支出の多い世帯に負担がかかるのは、火を見るより明らかです。住宅にかかる消費税は減免を検討、という話も、地方に多い建設業への配慮としか見えず、一生にそう何度も住み替えをする人は稀ですし、賃貸で暮らす人には一切の恩恵がない。消費税増税が、それこそ便宜供与のように、特定の業種のみを利することになっては本末転倒なのです。

特にこれが目的税化されると、特別会計と同じ構図です。消費税増税分が余ったら? 積み立てるのか、流用するしかありませんが、もし法律で規制すれば積み立てるしかありません。一般会計の、他の予算が足りなくても、です。それを赤字国債の発行のように、毎年特例法を可決して流用するのなら、それが政局に利用される恐れがあります。目的税化が万能薬ではないことを認識しなければいけません。
消費税増税を通すため、形振り構わない態度を野田政権は示し始めましたが、肝心の社会保障改革は一向にその姿が見えず、さらに全額を社会保障財源にすることで、益々ムダ削減が遠のく印象があります。予算がついてから、コスト削減の努力をすることは、人間の性質上ムリであり、それは特に国家の予算では不可能、とさえ指摘できます。消費税増税を先にすすめる野田政権は、そうした改革における稀代の最悪な政権、という言い方さえ出来るのでしょう。理解を求めるため、として色々と小細工を考えているようですが、すべてマイナスに作用しそう、ということを見ても政権担当能力を疑わせるのでしょうね。

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2011年12月14日

雑感。定年の65歳延長を義務化

厚労省が、2025年までに年金支給年齢が65歳に引き上げられることに伴い、希望する人間に対して定年を65歳とすることを義務付けるよう、方針を固めたようです。しかし若年層の雇用確保が難しい中、逆行する政策であり、若年層の雇用がないということは、現役世代が高齢者を支える賦課方式が崩れることを意味します。20代、30代という時期に就労経験が得られない、それは長期に亘って正規雇用への道を閉ざしてしまいます。
60〜65からの無収入世帯は減るかもしれませんが、臨時雇用や派遣、パートなどには適用されないため、そうした層に転落した人には恩恵がありません。むしろそうした労働者を削ぐ方向になるでしょう。やる気はないけど、給料が欲しいという人には都合よい制度となりますし、役職についていた人に回す仕事の内容にも気を使う。高齢者、主婦の労働力を使おうとしてきたのも安価に、パートタイムで使えるから、という企業の思惑もあったはずですが、義務化をすれば企業の負担も増す。結果的に、これは誰も救わない制度になるのかもしれません。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、7-9月期の運用実績を発表し、3兆7千億円の損失だったことが明らかになりました。GPIFは自主運用を始めた平成13年度から、19兆円の黒字、運用資金109兆円からすれば優秀、安心とします。しかし年率にすると2%弱、決して好調ではないばかりか、アジア通貨危機、ITバブル崩壊と続いて市場がかなり落ち込んでいた時期に運用を始めており、時期的なものを考えても、民間の運用側からみるとむしろマイナスです。
7-9月期の内訳をみても、国内株は11.61%、外国債は3.88%、外国株22.78%もマイナスであり、それを運用比率の高い国内債が2%で支えた構図で、決して褒められたものではありません。しかも、もし仮に日本の国債が売り叩かれるとするなら、年金も崩壊することになる。それは現在の欧州です。各国で年金の運用先に困り、金や資源、それに景気が堅調と伝わる米国へと逃避している。年金は世界全体で、崩壊の危機にあると云えるでしょう。

賦課方式をとる国も、リスクにさらされています。高い失業率が、過去の労働人口が多かった時代の高齢者を支えることが、難しいためです。日本は債券運用、賦課方式と二つの危険因子を抱え、尚且つ郵政民営化に伴う、公務員の縮減により共済年金のリスクも抱える。しかも加算が大きい共済年金は、年金統合にも難色を示すなど、この国の年金は小手先の改革では、もうどうしようもない段階にある、とは云えます。
定年を65歳に引き上げようと、基本制度が悪ければ何もなりません。またそれを前提にした改革、国庫負担の増大などは、年金制度を改悪するものだとさえ云えるのでしょう。長妻氏を追い出し、年金も知らない大臣が続いた結果、厚労省のやりたい放題が続いています。残念ながら、野田政権でも細川厚労相では、大して意味のある改正はすすまないと考えますが、来年あたりには年金でさえ、景気の波を受けてかなり危険な状態になることは確実と見ていますので、ここで改革を進めておかないとリスクを抱えるだけなのでしょうね。

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2011年11月08日

年金制度は大丈夫?

オリンパスが90年代の投資損失を隠し続け、それらを投資助言会社への報酬、企業買収などを巨額に膨らませ、相殺しようとしたことを発表しました。当然、これは粉飾決算ですから上場廃止ですし、監査法人の不信にもつながります。さらにこの仕組みを提案し、実行した指南役の存在も指摘されることから、問題はオリンパス経営陣にとどまらず、当時も第三者委員会がおかれて調査されていたので、そちらの責任という問題にも膨らみます。しかも20年近く、問題を引き継いできたのであり、経営陣のみならず、恐らくOBクラスに対してもかなり捜査の手が伸びることになるのでしょう。

上記にも関係ある話として、年金制度に関して、幾つか話題が上がっています。払い過ぎ主婦年金に対して、民主党が返還を求めない方針を決めました。記事の劣化が著しい読売は、これを有権者の支持をとりつけたいため、としますがそうではありません。元が申請主義であり、制度が理解されていないために起こる問題であり、誰も責任をとらないまま、たとえ返還でも手続きにかかる経費ばかりが膨らむことを、まず制限しなければなりません。返還しないと決めた長妻氏は、かねてより厚労省や年金機構の責任を唱えており、受益者ばかりが損することを容認していません。
つまり、こうしたものは年金機構職員や、厚労省の年金課の人間が損失補填をする必要があります。払い過ぎた分はその補填を、払い漏れで加算して給付する場合は、その手数料などをすべて職員の給与から差し引く。これは当然、暴論の類ですが、複雑な制度にしているために起きている問題で、責任を職員がかぶることになれば、現場から制度の簡素化を求める仕組みが生まれます。制度が複雑で年金機構職員でさえ、違う説明をすることはざらにあります。制度が簡素化されれば利便性が上がるのであり、制度の信用性を失わせたくなければ、現場が使いやすい、受益者が便益をうけやすくすることがまず必要なのです。失敗のツケを現場が負う、となればそれが仕組みとして機能します。

そんな年金の、昨年の運用実績は3000億円の赤字です。13年度からは23兆円の累積でプラスとしますが、年に直せば2兆円もプラスではありませんし、13年度はITバブル崩壊後の最安値付近だったので、それ以前からみると、実質的な運用は1.5%+程度の運用しかできていない計算です。しかも東電やオリンパスは、運用で組み入れていたはずであり、オリンパスの上場廃止は大きな痛手です。
しかも昨年のプラス幅のほとんどが国内債券の上昇分ですから、リスクOnで買われ、債券バブルとも云われる現状が変わると、状況もまた違ってきます。賃金上昇もマイナス、インフレは進まず、年金制度の改正のときに立てた試算と大きく乖離している状況です。給付年齢の引き上げ議論は、この試算が狂ったことから起きていますが、給付年齢を引き上げても制度としては機能しません。

見過ごされがちですが、1次補正で流用された年金への国庫負担分を、3次補正で補填します。しかしこの国庫負担分については、まだ財源が示されていないのであり、安定した給付とは云えない状況です。さらに自民党政権時代から、年金原資は年金行政の事務費に流用されてきました。これは年金原資を早く食いつぶす結果となりました。実に年金とは、行政がつくり上げてきた滅茶苦茶な仕組みの象徴でもあり、ここにメスを入れて抜本改正できないようでは、納付率55%がさらに下がる結果となり、安定しない制度のまま国庫負担ばかりが膨らむ結果となってしまうのでしょうね。

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2011年02月28日

年金切り替えの救済だけが年金問題ではない

衆院予算委では、専業主婦による国民年金への切り替え忘れの問題で、救済策を巡ってもめています。国民皆年金でありながら、申請主義という矛盾が生むツケを救済という形で国が支払うのか、不公平として受け付けないのか?という問題のようでいて、実は別の問題も存在します。
H22年度第3四半期の運用実績が発表されましたが、通年としては-0.91%と、プラス圏には浮上していません。原因は世界の債券安、株式運用益は拡大しましたが、インフレ懸念で利上げ局面にあり、日米も金利上昇傾向です。年金は67%を国債、8%を外債で運用すると決めているため、金利上昇の局面ではこの高い債券運用比率が、悪影響として利いて来ます。

運用利回りの中期目標は4.1%です。ここ数年の収益をみてみるとH18年度4.75%、H19年度-6.41%、H20年度-7.57%、H21年度7.91%です。リーマンショックを跨いだとはいえ、全体としては目標に届いていない状況で、しかも先にも述べたように、当面は金利上昇局面での運用は厳しい状況であり、マイナス推移が続くと見られます。ちなみに、経済の前提は物価上昇率1.0%、賃金上昇率2.5%など、明らかに前提と違ってきているため尚更、年金制度全体には不安がつきまといます。
年金はマクロ経済スライドが前提です。しかし物価上昇率は1.0%を上回らず、支給をマイナスに出来ないため、まだ発動されていません。簡単に言えば、物価上昇率、賃金上昇率が目標を超えてこないと、負担が増大されるだけになるため、マクロ経済スライドは導入できない。そんな矛盾を抱えて、収入と支出を均衡させるよう、バランスをとろうとしているのが今の年金です。

そこで先の問題、厚労省課長が立法措置ではなく、通達で救済を実施しようとしたのは当面の収入を確保する目的で、未払い分2年間のみで全額支給を決めた。そう想定できるのです。つまり将来の支払いが拡大しようと、今の収益を確保せんと厚労省が画策したのではないかと読めます。
そもそもの失敗は、経済の前提が日本の現状に合っておらず、その結果いつまでもマクロ経済スライドを導入できない、運用利回りが目標に達しない、等の厚労省側に大きな問題を含む点です。そしてポートフォリオ上から、安全運用であるはずの債券投資が今後はリスクとして懸念される。国民皆年金なら強制なので、税と同じように強制徴収をすれば良いのに、申請主義により国民は制度もよく知らないまま支払いをさせられる。実に多くの問題が年金制度には含まれるのです。

民主党の年金改革も、長妻氏が厚労省を去ってから停滞。何しろ省庁側と敵対せずに上手くやろうとすれば、今の年金制度を小手先のみ変更し、辻褄あわせしようと画策するからで、細川厚労相はまさにそちらで動いています。問題があると認識されていても、官僚側が抵抗するため年金に手がつけられない。自民党時代と同じ構図ですが、その下書きは昨年9月に菅政権が誕生したときの仙谷官房長官が、官僚と敵対しているとして長妻氏を更迭したときから始まった、といえるものです。失敗だった年金制度改正を引きずる限り、国民皆年金の理念は益々遠ざかり、国庫負担2分の1の財源もなく流浪するのみでしょう。
年金ほど、自民党時代からの宿題が多い課題はありませんが、菅政権では官僚に依拠しているため改正はムリ、次の政権に期待したいところですが、仙谷氏が裏でも実権を握れば、厚労官僚と結託して長妻氏を遠ざけようとするので、それも難しいのでしょう。年金制度を必死で研究していた民主党議員を遠ざける、こんな態度からして、年金制度の安心は得られないのでしょうね。

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2011年02月12日

年金に関する議論について

エジプトのムバラク大統領が辞任しました。総括は色々あれど、一つ云えるのは民主主義は、民衆の力によって成し遂げられるということです。今後、エジプトには国としての困難が待ち受けるでしょうが、民衆の選択により国が導かれることに、国民全体で責任をもち、国の行く末を見ていかなければいけないのでしょう。衆愚であろうと、大衆迎合であろうと、民主主義が如何なる欠陥を抱えていようと、これが大衆が導くダイナミクスなのだということですね。

共同通信の世論調査で、内閣支持率が20%をきりました。このままだと2月後半に10%前半、3月には1桁に落ちます。民主は元の基盤が弱い政党、連合とて上の統制が末端まで確実に及ぶほどではなく、地方の県連、市議団レベルも自民より圧倒的に少ない。世論の追い風を浴びなければ、多数派を死守することなど出来ない政党です。それがこの支持率ですから、統一地方選は大惨敗の目も出てきました。これまでの選挙を総括もしない執行部ですから、これは止むを得ない話です。
そんな中、俄かに社会保障と税制の一体改革で、年金制度に関する問題が持ち上がっています。与野党協議の前に、まずはっきりさせなければならないのは、今の年金制度は変更が必要だ、ということ。百年安心な設計ではない、ということです。そこで厚生、共済年金一元化の話もありますが、これは共済年金の側が制度的に破綻する、その仕組みを厚生年金の側につけ回す手法です。

公務員人件費の削減、地方への業務と権限の移管、いずれも現役世代の負担を増やします。また公務員はリストラを経ていないため、早期退職勧奨があっても、団塊の世代の退職が待ちうけます。しかも、給与引下げが遅れているため、支給の方が益々増える悪循環、これまで財務省の管轄として、共済年金を守り続けてきた公務員が負担に耐えられず、厚生年金とセットにしたいと言い出している。実は自民党政権時代からの、これは財務省主導による共済年金を守る議論に過ぎません。与謝野氏がテレビで発言していますが、要は自民党時代の議論に逆戻りさせ、与野党が歩み寄ることで財務、厚労が協議して公務員の既得権益を守る形ですすめるということです。
問題は最低保証のあり方で、それを確立させなければ年金か、生活保護か、という選択になるだけです。問題は歳入と歳出を均衡、もしくは黒字に貼り付けることではなく、国が保証する最低生活を国民に与えるには、収入減少型社会に陥るとリスクが高い、ということです。つまり働く者も、引退した者も、不安を抱えるような社会ではどんな制度でも、破綻を想起させる点をどう国民に、納得できるように説明し、解決の糸口を提示するかなのです。

インフレになれば、マクロスライドがあるから給付が上がる、という説明もありますが、コストプッシュインフレは賃金デフレと物価高の両面を担う可能性が高い。それでは歳入減、歳出増の仕組みに陥るだけです。持続可能性とは、時と場合に応じて成功するか、失敗するか分からない、という制度ではなく、如何なる変動にも耐えうる制度を構築できるかどうか、です。そのために日本年金機構は給付のみで、規模を十分の一に縮減、税と一体化させた方が有利であるなら、そうすべきなのです。
菅政権の持続可能性は最長でも4月、その間に与野党協議が進む道はまずありませんが、大切なことは中身を透明化した議論にすることです。今のままなら、大手メディアは官僚の流す表向きの議論ばかりで、国民がまた百年安心プラン、などのゴマカシに晒されます。小手先の改革で終わらず、国民に納得できる議論となるようにするために、議論のオープン化からまず始めねばいけないのでしょうね。

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2010年08月17日

厚労省の怠慢の責任と施設売却

昨日の悪化したGDP発表以降、菅首相が景気対策の検討を指示しました。ただ現状挙がるのはエコポイント延長、中小企業資金繰り対策など、既存の景気対策の延長であり、同じ対策を続けても効果は確実に弱まります。20日頃に景気対策の検討に入る、23日には菅首相と白川日銀総裁の会合、などの口先介入と思しきイベントは並びますが、効果のほどは甚だ疑問視せざるを得ません。
今日の株式市場では、法人?年金?と見られる実物買いが入り、取引中の年初来安値を拒否して引けています。一時はまさか政府の介入?ともされたほど、この水準で市場は疑心暗鬼になっており、予断を許しません。仮にイベント通過で失望が広がると、若干弱気に傾く可能性もあります。来週にかけ、海外のマインド変化と日本政府の対応は、短期の市場形成に大きな影響を及ぼすのでしょう。

年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)が、年金や社会保険料を使い建設した施設の売却を行い、簿価6562億円、時価2001億円とされた施設合計で、2185億円になったと発表しました。建設・維持費で1兆13百億円ですから、約2割の回収です。ただ赤字経営の穴埋めに年金・社会保険料が充てられなくなった分、ムダ削減には繋がるのでしょう。但し社会保険病院、厚生年金病院は地域医療への影響から売却を凍結されており、RFOは2年間延長することが決まっています。
地域医療では特に、民間参入が困難な場合、均衡状態を崩せば大きな痛手です。新たな独法をつくり、運営を任せる法案は廃案となり、2年間で新たな運営を模索する必要があります。地域の実情、一つ一つに合わせて廃止、存続するにしても売却か、新主体に移行するのかを決しなければなりません。福祉の増進、などの曖昧な目的で作られた施設とは、判断基準を大きく変えねばなりません。

これはエコポイントも同様。本来、効果が薄れた製品から、対象を新たに拡大したいところですが、生活に密着した部分でないと、税金投入して購入支援する意図が薄れます。病院も生活に密着したものであり、税金投入が許容される一方、甘い経営方針であればムダとの批判を招きます。実はこれが独法、公益法人を含め、必要性を論じる場合に必ずもたねばいけない視点であり、それは『国民生活への寄与度』という形で表されることになります。
長妻大臣が年金機構の事務所に業務の覆面調査を実施、正しい応答が全体の2割ほどしかなく、機構が対策に追われるとされます。しかし年金機構が年金照合作業に追われ、対策が後手などの説明は言い訳に過ぎません。準備期間は充分にあり、作業の遅さとサービス、マナーの悪さが指摘されたものは、通常の民間機関であれば昼夜を徹して改善を目指さなければいけないものです。特に、年金は国民生活に密着しており、納付を義務化された半強制的なシステムだからです。

所在不明の高齢者の問題でも、紙台帳のみならず、コンピュータ上のデータさえ照合が必要となっています。不正受給の回収作業まで大量に発生、これらも今までの通常業務さえ怠慢だった部分が、露呈したことで一気に作業量が増しただけの話です。これを大臣が余計なことをして仕事を増やす、などと述べるある幹部がいる時点で、組織的な改善は年金機構に移管しても進んでいないのでしょう。厚労行政は幅広い分野です。大臣の個人的な責任に押し付けようとする官僚が現れた、それをそのまま報道してしまうメディアの記事にも、要注意なのでしょうね。

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2009年10月27日

経済の話。世界の年金資産の減少

関門海峡で自衛隊の護衛艦くらまと、韓国コンテナ船が衝突しました。事情は分かりませんが、自衛隊関連で最近こうした事件が多く、不安に感じます。海自はこれからも国際貢献が期待される中ですから、どんな要因であれ、国民の安心に資するよう自らを律して欲しいですね。

米国から、地銀の破綻が今年106社を越えたと伝わります。また不動産投資を主体とするキャップマークも210億$の負債を抱え、破綻とのことです。米大手金融は政府保証がつき、投資銀行部門が好調。しかしリテール部門は負債が拡大する傾向にあり、体力の弱い地銀や、業態が限定される金融機関は厳しい環境が続きます。今月末のCITの結論まで、目が離せない状況が続きます。
また経済開発協力機構(OECD)が、年金資産の時価総額で08年に5.4兆$減となり、09年上期は1.5兆$回復した、との試算を発表しています。年金は運用利回りが±0になっても、総体としてはマイナスとなります。年金は運用利回りで4%以上を約束しており、今後日本でも企業会計基準が見直されると、企業年金の運用損を一括で損失処理せねばならず、年金関連の問題は大きくなりそうです。

財務省が09年7〜9月期の景気判断を上方修正しました。ただ雇用判断は据え置かれ、世界でも雇用なき景気回復、との言葉が聞かれます。雇用の減少とは、年金減資の縮小ともなり、投資運用資金の縮退を意味します。かつ3.9兆$の年金が消えた、という現実は企業負担となって跳ね返ります。この問題はいずれも関連しており、企業も2012年には確実に向き合うことになるのです。
米国では預金準備を積み上げ、市場に大量に資金を注入する形で、相場を下支えする姿勢を示した理由も分かります。ただ歪んだ市場が向かう先に、何が待っているかは冷静に見ておく必要があるのでしょう。企業年金の毀損は、JAL問題でもハッキリしてきましたが、すでに4%運用を維持することは難しく、低成長型の世界で大きな問題となって世界が考える必要が必ず出てくることになります。

日本の証券市場は、株先買いが一部で大量に積み上がっています。債先とのアビトラもありますが、欧米市場も高値警戒で上値が重く、商品市場も実態と乖離し過ぎて危険、新興国も中国の政策転換が出される文言から意識され、出遅れのイメージがある日本市場で仕方なく買った結果でもあるのでしょう。ただオプションとの兼ね合いで見ても若干違和感があり、継続性は今一つと感じます。
不浄なマネーの動き、それが相場の変動要因となり、益々年金などの公的運用に失敗するところが出てくるでしょう。日本の年金基金も同様ですが、運用における成否がそのまま企業、国家の継続に繋がる状況が、今後も出てきてしまうのかもしれませんね。

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2009年06月24日

OECDによる年金推計

与謝野財務相の政治団体に迂回献金か?と某紙が報じました。商品先物取引を扱っていた企業であり、通産相時代も献金を受けていることから、利益供与まで含めて疑惑となっています。資金集めの構図、資金の流れは西松献金事件と同様、ただ直接の利害関係者であることから、仮に陳情を受け付けていた、となると贈収賄まで適用になる事件となります。
現状、情報が少ないので何ともいえませんが、会社代表である人物の政治資金規正法違反は、第三者名義での献金として西松献金事件と同様に問えることになります。ただ検察は政治資金規正法に、金額という二段階の基準を設けており、この点が今後の事態の推移に関わってくるのでしょう。92〜05年までパーティー券を含め、5530万円は多いですが、すでに時効のものもあり、渡辺元行革担当相の3540万円と合わせ、検察の捜査が待たれるところです。

経済開発協力機構(OECD)が、日本の公的年金が現役時の所得に占める受給額の割合が33.9%、加盟30カ国中、英国に次ぐワースト2位(平均59%)と発表しました。同様に65歳の貧困層が22%と、OECD平均13.3%より悪いと指摘しています。この数字には幾つかカラクリもありますが、日本は高齢化が進み、一方で国民皆年金を進めるため現役世代の負担を考えると受給を低く抑えようとします。
また高度経済成長下で高い給与を受け取っていた人が、年金受給者となれば割合は低くなります。更に制度的に、マクロ経済スライドが導入され、給付自体は抑える傾向ですから、益々割合は引き下げられることになります。そして国民皆年金と言いながら、受給基準に納付年限が含まれ、このことが無年金者として貧困層を生み出すことに寄与しています。また夫婦で年金分割が可能となり、一人当たりの受給額が下がったことも、貧困層を生む原因となっている部分があります。

解決策の一つに、共同生活体の構築があります。老人ホームと個人生活の中間、と言った位置付けで、個々の負担を減らしつつ自由な生活を約束する。身体がある程度動くのなら、こうした生活で貧困を食い止めることが出来るでしょう。年金記録の回復認定が4割という記事もありますが、企業が年金を徴収しながら社保庁に納めない場合、負担は国庫を直撃することになります。
年金は徴収方法、運用方法、管理団体、そのいずれもが甘い査定の下で運営され、後に崩壊の火種を抱えています。誰もが安心して老後を迎えられる社会、という前提が崩れれば、国家を崩壊させる危機にもなります。OECDの推計を、単に数字上の手品と見るのではなく、真剣に日本の未来を考えていくことが必要でしょう。歪んだ制度は抜本対策が必要ですが、そこに手の入れ難い構造が霞ヶ関には存在する。この問題はそこを変えていく、という決意が必要なのでしょうね。

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2009年02月28日

年金基金の第3四半期運用実績が示される

年金積立金管理運用独立行政法人が、08年度第3四半期の運用実績を発表しました。懸念されていたように、運用利回りが-6.09%、6兆円弱の赤字です。08年末の資産構成は国内債券68.91%、国内株式12.02%、外国株式8.59%、外国債券10.08%、資産総額は116兆6299億円になります。
利回りは上記順番通りに、+2.49%、-21.11%、-34.05%、-11.25%になります。国内債券は利回りが低下し、その分の価格上昇が寄与した形です。海外資産の大幅な目減りは円高が主因と見られますが、持分が低いはずの外国株式の損失は、市場下落率よりも高く、海外でも債券利回りの低下と価格上昇がありましたが、その分を割り引いて考えても、かなりの損失を抱えた形となります。

この独立行政法人が掲げる基本ポートフォリオは、上記通りの順番で67%、11%、9%、8%、それに短期資産5%が加わります。基本的に、この水準からの乖離率が定められており、一定の値以下になると、自動的に他の持分を減らすか、追加で資本投入しなければなりません。
H19年度からの推移を見ると、62.37%、15.11%、11.94%、10.58%でしたので、国内債券比率は利回りの上昇とともに持分が上がり、他は相対的に下げた形ですが、一点のみ持分があまり変化していない項目があります。それが外国債券です。基本ポートフォリオより高く、また利回りがマイナスであるにも関わらず、常に10%台で推移している外国債券、言わずもがな、政府の意向が強くここに反映されている、ということになるのでしょう。

問題は今後、国内でも海外でも、株式の配当利回りは低く、債券利回りも低い傾向が継続してしまうこと。また政策金利が上昇局面に至ると、債券の価格下落が同時に起きてしまうこと。そして最大の問題点は、今後も大量発行される米国債で見られたように、一部に入札不調も起き始めていることによる、資産逃避による相場の急変動リスクを負うことなどがあげられます。
日本でも、日本売りのそもそものキッカケは10-12月期GDPが、年率換算で-12.7%が示されたことです。この数値がちらつき始めてからGDS市場が急騰、まだ債券にそれほどの影響はありませんが、今後はリスクがつきまといます。高い利回りでなければ資金調達が出来なくなれば、これは財務全般に影響を与えますし、こうして年金の利回りにも影響する話となるのでしょう。

年金の前提は出生率1.26%、長期の運用利回り4.1%、15年度以降の実質経済成長率を0.8%と見込んでいます。いわば、いずれも努力目標であり、日本の現状からはかなりの難題ともいえる形で、支払いを約束するものでもあります。運用にリスクはつきものですが、今回のようにリスクをそのまま被る形での原資の毀損、年金制度全般に亘る転換を目指す、そういう形であれば良いのですけれどね。

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2008年11月28日

厚生年金の記録改ざんは組織的との報告が提出

麻生氏と小沢氏の党首討論、見せ場は小沢氏が解散を迫り、麻生氏がかわしたところぐらいでしょうか。麻生氏はあくまで低姿勢、クリンチ戦術でしたので討論になりようがありません。ここで失言をすれば政権は死に体、その危機感が麻生氏に芽生えたのでしょうが、党首討論を強く要請していた割りに目立った部分もなく、双方共に甲乙はつけ難いのでしょうね。

舛添厚労相直属の調査委員会が、厚生年金の改ざんに社保庁が組織的に関与した、とする報告書をまとめました。関与した職員の懲戒処分を検討すべき、とまとめられていますが、これを受けた厚労省、社保庁の対応が重要です。なぜなら組織的関与が認められたからには、処分は一職員に留まらず、歴代の厚労大臣、社保庁長官にも及ぶものになるはずだからです。
唐突ですが、ツチハンミョウという虫がいます。孵化すると花の上によじ登り、オスのハナバチに取り付き、交尾のときにメスのハナバチに乗り移り、土の中に作った蜜の詰まった巣に卵を産むとき、その卵に乗り移ります。そこでハナバチの卵、集めた蜜を食べて育ち、やがて成虫になって土から出てきて交尾、土の中に卵を産むという一生を送ります。

この虫の話を聞いたとき、成虫になれる確率は低いし、危険は一杯だし、どうしてそんな生き方なのかと悩みましたが、それがふと官僚の姿と重なって見えました。省庁に入ると必死で上を目指し、その後天下り団体を渡り歩き、他人の作ったシステムの中で濡れ手で粟の安逸を得る。厳しい生存競争を勝ち抜くため、ハナバチに頼った生活は、一方でエサ探しなどの苦労がない人生です。
与党が不正経理防止法案、野党が会計検査院法改正案、どちらも不正を働いた公務員に罰則を適用する内容です。これまでのような言い訳、官僚の論理を突き崩し、どこまで不正摘発に資するかは不透明ですが、明瞭な罰則を設ければそれが心理的圧力になります。レールから落ちれば自らエサ探しをしなければならなくなり、人生設計にも影響する問題にもなるからです。

有効求人倍率が低下し、新卒者の内定取り消しも頻発しています。また非正規雇用者の失職が、社会問題化しようとしています。これだけ雇用環境が悪化する中、不正を行った者が失職を免れ、安定した生活が約束されるという状態の一部は、今回の報告で多少改善されるかもしれません。
正しいことをする者を評価し、不正をした者を除外する。これが組織の在り方、より良い組織を作るための第一歩です。そして省庁が正常な姿を取り戻し、自浄努力が働くようになれば、自ずと国民の信が集まる制度も生み出されるのでしょう。政治や官僚から相当の抵抗もありそうですが、この報告を生かすためにも政治のリーダーシップが試されることになるのでしょうね。

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2008年10月03日

年金記録改ざん件数が100万件超の疑い

今日、日経平均は11000円を割ってきましたね。米国でもワコビア買収がシティグループではなく、ウェルズ・ファーゴに決まったようです。金融混乱と今晩の金融安定化法の行方、また米雇用統計など重要指標もありますので、この点は明日まとめて考えたいと思います。

改ざんされた疑いのある年金記録、ついに100万件超との試算が出ました。検索条件が厳しすぎる、との指摘もありましたが、3つの条件の1つに該当する件数は約144万件、重複分を差し引いても100万件は下らないとのことです。しかもこれは昭和61年3月以降の記録しか調べておらず、また加入期間を減らす手法に対しては調査しておらず、調査そのものが片手間で、実際は更に改ざんされた疑いのある年金記録は増える方向にある、というイワク付きの数字です。
年金制度はその他でも、運用主体である年金積立管理運用独立行政法人(GPIF)から、07年度の運用損が約6兆円と発表がありましたが、これだけ株価が下落すると08年度の運用損は更に拡大するでしょう。4-9月のみで考えても日経平均は1割下落しているので、同じ程度毀損していると考えると、20兆円の運用なら2兆円が08年度の半期で消失したことになります。

年金は納付に比べて給付が多い、流出超の状態が続いています。納付率の悪化もありますが、納付実績を上げるためのこうした改ざんが恒常的に行われていた、とすると更に問題があります。仮に年金記録の改ざんが認められたとすると、給付額が跳ね上がり納められた年金分との間に乖離を生じます。つまり納付より給付が多い状態となり、年金原資は更に毀損する形となるのです。
年金原資は国債で67%の運用、と決めているため約束した3.2%の運用実績に足りず、ただでなくとも積立られた原資を毀損する形が続きます。代表質問でも、国庫支出分を今の3分の1から2分の1に引き上げる財源について、麻生氏は言及しませんでした。これらから見ても、年金制度は崩壊の一歩手前にあり、心ある人ならタイムリミットを示して結果を出すことを言明するべきです。そうしないと、破綻して終わりという事態も充分に考えられる水準なのです。

舛添厚労相を評価する人は、小泉元首相を評価したのと同じに感じています。大風呂敷を広げた発表をする場面がメディアに載り、この人はやってくれそうだと期待する。ですがその実、常に後日言質を変えて省庁寄りの態度を示し、問題ないと抗弁します。今回も後期高齢者医療制度で舛添私案なるものを披見しながら、マニフェストにも記載しないと述べ、何のために記者に発言したのかも分からない始末です。
年金も医療も今その制度を利用している人間がおり、過去も現在も未来もクリーンな形にしておくことが重要です。そんな時、口先だけの大臣では小手先の修正すら行えないことになります。麻生氏と仲が悪く、更迭の不安から先手を打ってメディア向けに色々と仕掛けているようですが、情報を小出しにする社保庁の体質すら問題視できないようでは、大臣の資質はないということを充分に認識して欲しいところですね。

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2008年09月18日

年金問題も汚染米転売問題も根は同じ

リーマン破綻の影響で、今日は日本の国債が発行できないという事態に陥りました。リーマン発行のサムライ債が紙屑と化し、他行のサムライ債発行が停止して資金繰り計画に支障が生じるなど、影響は拡大しています。MMFが基準額割れ、財務体質が健全とされていた米証券第2位のモルガン・スタンレーも金融再編の動きが急速に起きるなど、混乱は継続しています。
米政府管理下に置かれたAIGが、スプレッドが拡大して混乱する金融保証部門をどうするのか?最終的に金融機関を支えるか、どうするかを決められる米政府が、その部門に時限付きでコミットできる。リーマン破綻で拡大する影響、その知見を集めながら今後も米政府は動くことになりそうであり、まだ様々な形で何らかの問題が出ることは確実なのでしょうね。

国会閉会中にも関わらず、農林水産委が開かれ、汚染米の転売問題に関して審議が行われました。農水省の対応の杜撰さは云うまでもありませんが、重要なことはお米の産地偽装問題が噴出した時、ブローカーの存在も指摘されましたが、そこに何の手も当てなかったことです。
安く仕入れて高く売る仕組みがある、そこにブローカーが存在します。産地偽装にしろ、汚染米転売にしろ、この仕組みを利用した売買であり、ライスロンダリングと呼ばれる不正が生まれます。今回の件は消費者とともに、農家をも裏切る行為です。国産と表示されても、このライスロンダリングが存在する以上、仮に汚染米ではないにしても国産表示が信じられなくなります。混入されていないと保証するには、トレーサビリティ制度を導入するしか対応が出来ず、誰も表示を信用しなくなるからです。

年金問題も同様、標準報酬月額の改ざんは以前から指摘されていました。今回、舛添厚労相が「限りなくクロに近い」と認めましたが、国民の声ではなく社保庁側の見解を容れてきた政府は、ずっとそれを認めずにきました。以前は「証拠がない」とも述べていましたが、状況証拠を調べればこうして可笑しなデータはすぐに判明したはずなのです。
汚染米転売、年金問題、この二つで大事なことは、どちらも国民が先に声を上げていたものを、行政の検査、調査が不十分なために公表が遅れ、余計な被害を増やしてしまったということです。どちらの声を優先して取り上げ、対応するのか?ということを国民は見ているのであり、解散総選挙が近いとも言われますが、この二つの問題は投票行動にも大きく影響することでしょう。

国が自分の身を護るために対策の手を遅らせ、答弁でも責任逃れをするのは、結果的に国民を裏切る行為です。にもかかわらず、この国ではこうした対応が多いのも事実であり、またそうした対応を許してきた政官の態度、というものが甘えを許してきた部分でもあるのでしょう。
小泉旋風時の参院選挙と同じ、与党は2匹目のドジョウを狙っているようですが、時代が移り、川の流れが大きく変わった今、そこは川底も見えないような濁流なのかもしれません。次の解散総選挙、こうした問題の帰趨を見る上でも、とても大事なものになるのかもしれませんね。

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2008年08月10日

国民年金の納付率が2年連続低下

社会保険庁が7日、07年度の国民年金の納付率が63.9%となり、前年より2.3ポイント低下したと発表しました。国民年金の被保険者は役2千万人、納付率の目標は80%ですから、実に720万人が納付できない、もしくは支払い能力があっても督促に応じない人数となります。
記録漏れ問題などを受け、また様々な社保庁の不祥事の対応に追われ、督促に人員を割けなかったという説明ですが、そうなると舛添厚労相が述べていた「エンドレスの対応」に伴い、納付率は増やせないことになります。強制徴収の職員を1人、各事務所に配置して対応するともしていますが、人件費とのバーターで考えると、極めて非効率なやり方なのでしょう。

時代劇などを見ていると、長屋の風景が見られます。落語では熊さん、八つぁんになりますが、こうした人々は納税などの義務を負いませんでした。職人なども同様、仕事が安定せず、また住む場所も決まっておらず、幕府の監視も行き届かないため、徴税の手間を考えると最初から納税の義務を負わさない方が効率的との考えもあったのでしょう。
江戸時代に納税義務を負ったのは町名主以上、土地売り渡し証文である『沽券』をもつ者までが町民であり、長屋の住民などは町民とも認められていない存在です。武士や農民はまた異なる形式ですが、職人など江戸や大阪など、大規模の普請がある場所へ移り住んで、そこでしばらく働きながら生活し、また次の地へ移ることなどは当然のこと、だから管理から外されていたのです。

江戸の話をしたのも、今の日本がこれに似てきていると感じるからです。派遣労働など、職場に応じて住居を変える必要があり、また生活も不安定です。住民登録している場所で働かず、また名前の一字を変えて職についても、零細企業では改めて住民票など確認もしないでしょう。これは外国人労働者を受け入れている背景も、全く同じという面があります。
税方式に取り逃がしがないのも職場から徴収しているからです。つまり誰が働こうが事務所が固定された企業から一定金額を集めている、だから中央で厳しい管理の下で高い徴収率を誇ることができます。一方で国民年金は名前を変えられたり、加入者の居場所がコロコロ変わると対応できません。それは各事務所で年金番号や名前で管理されてきたからであり、現状のように働き方の多様化、正社員の減少、という社会の根幹が変化する事態への対応は人ベースでは難しくなっているのです。

江戸時代にも派遣業「人宿」、日雇い派遣「日傭座」というものがありました。それでも働く人に納税義務はなく、当然年金保険料の徴収もありませんでした。人を基準に管理し切れるのか?そうでなければ、やはり税方式などの導入を視野に入れるべきなのでしょう。政府が本気なら民間シンクタンクに頼めばすぐに試算もできます。人件費もタダではないのですから、厚労省が提出した試算など信じず、効率化という観点もいれた検討が必要なのでしょうね。

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2008年07月04日

年金積立金が5.8兆円のマイナス

年金積立管理運用独立行政法人(GPIF)の07年度の運用が、5.8兆円減となったことが今日発表されました。GPIFに関しては先週辺りから少しずつふれてきましたが、悪い予感が的中した形です。-6.4%という数字はGPIFが預かる91兆円分のものですが、まだ5年間の累積収益が7.4兆円ある、というのは間違いで、年金給付は複利計算されますから、利息に対して利息がのらなければ年金原資は給付水準が納付実績を越え、常に毀損していく形となります。

今年の4-6月期をみると、NYダウは-8%、日経平均は+5%という形ですので、証券市場の収益はあまり期待できないことになります。運用目標の割合は証券は国内、国外合わせて20%程度と低くとも、再び下落局面に入れば再びマイナスを計上する可能性もあります。日本でも配当利回りが上がっているので、インカムゲインまで含めると4-6月期はややプラスにも見えますが、それとて運用が目標に達しなければ原資を毀損していくことになります。
年金は通常の保険と元本に対する補償の考え方が異なるので、一概には捉え難いのですが、原資の毀損は結果的に国民が被る形になります。国庫からの支出は税金からの補填なので、給付を減らすか税率を上げて国庫負担分を増やすしかありません。そんな中、与党PTから出てきた10兆円の日本版SWF構想で、一つの考え方を示したいと思います。

与党PTが真に『プロの運用』でリスク管理が出来て、収益を上げられるというなら、国会議員の議員報酬から金融保証として、一定額を積み立てる案があります。仮に10%とすれば月13万円、ボーナスも含めれば200万円近い額が一人の議員から集まり、国会議員720名とすれば14億円が一年で集まります。それを運用の失敗に備えて積み立てる法案を作れば、仮にマイナス運用となってもその損失分の穴埋めに寄与します。
運用でプラスとなれば年金利回り分を除いた額の数%を配当として回し、マイナスになればそこから補填される。積立なので、議員が失職するときには一月単位で運用実績を出して、その分を相殺して支払う。当然、マイナス幅が大きければ受け取りがゼロということもあるわけです。

先にも書いたように、年金は本来国民の財産であり、強制的な資産運用でもあるわけです。資産運用の手法に国民の選択肢が用意されていない以上、運用損失をそのまま国民や国庫に被せるだけではダメなのです。10兆円の14億円では1%にも満たない額ですが、文書費などを含めて議員報酬から一年で5%が消えるかもしれない、という提案を議員がすれば本気度が分かります。
公益法人に関しても、幾つ削減するかで議論するのはムダで、幾つ残すのか?つまり削減に体力を使うようでは絶対にうまくいかず、残すなら理由を示させる、ゼロからの積上げにしなければ、無駄ゼロを謳おうと会議を幾つ作ろうと、結果が期待できないことになります。本気度を示したいなら、会議を複数つくることではなく結果に繋がる手法、そうしたものから見直すべきなのでしょうね。

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2008年06月30日

社会保険庁改革の最終報告書について

年金業務・組織再生会議で、社会保険庁解体後の設立組織「日本年金機構」(2010年1月設立)の最終報告がまとまりました。総職員数を17830人とし、そのうち正規職員を10880人、社保庁からのスライドを9880人とし、1000人は民間からという計画が示されています。
過去に懲戒処分を受けた職員は正規職員としてではなく契約職員とし、その後正規職員への是非を決めるそうです。ただ契約職員から契約を切られる職員は少ないはずであり、むしろ時期を見て正規職員にするための干渉的な位置づけなのでしょう。現業務をそのまま引き継ぐのであれば、15%減となった職員数では不足するという理由で、簡単には首を切らないはずですからね。

年金についていえば、05年から厚生年金は毎年0.354%、国民年金は毎年280円上昇しています。17年に厚生年金は18.3%、国民年金は16900円になることが決まっており、あまり話題にはなりませんが、着実に国民の負担は増えています。改正前の05年のレベルが13.58%、13300円ですから、負担増の大きさが分かりますし、国民年金は月額ですから、年に直せば相当のものです。
一昨日のコメント欄でも書きましたが、運用収益はH13〜H18までで確か2回乃至3回程度しか3.2%を超えておらず、それ以前はマイナス傾向が続いたので、収支状況を見ると毀損が続いている状態です。国民負担の増加でその毀損分を埋める計算ですが、特に給与水準が上昇しない現在、厚生年金の給与天引きからの収入は23兆円程度が予定されていても、それすら達成するかは不透明です。

社保庁の問題に戻れば、消費者庁の問題でも同様ですが、徴収と給付の部門、管轄官庁と摘発部門を別けないと、チェックのきき難い体質が継続してしまうことになります。つまり組織内で擁護、隠蔽体質を継続してしまう可能性があり、ダブルチェックのきかない組織となってしまうのです。
現体制をそのままスライドするなら、単に公務員を民間人へ改めるだけで、組織が改善されるかどうかは不明です。むしろ情報の消去であったり、引継ぎ不備の問題が今後は発生する可能性を否定できず、何のための新組織かが見えなくなります。国民の不満は年金機構がこれだけの不正、管理の不備があったことに対してどう手を打つのかで量れることになります。

年金は制度疲労と組織崩壊という重大な危機を迎えています。組織崩壊については、単純に社保庁をスライドするのみではなく、監視体制をどう構築していくのか、という点が大事になります。そうでなければ国家の監視の目を離れた、情報隠蔽体質をもつ新たな組織が出来るだけであり、ほぼ随意契約と同じ状況で業務が発注される以上、自浄能力の働かない、そんな組織になりかねないのですからね。

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2008年05月20日

年金が全額税方式だと消費税9.5%〜18%へ

総務省が電波利用料の一部を、出先機関職員のレクリエーション費に回していたことが判明しました。道路特定財源と同様の流れですが、毎回「法的に問題ないが今後やめる」と広報されます。行政は政令など、法律によらず自主規制も可能ですが、そうした態度もなく、バレればやめるという態度に終始します。これは出先機関出向者への手土産、程度の感覚なのかもしれません。
昨日、某番組で「与党には行政の監視能力がなくなった」と述べる方がいました。後期高齢者医療制度に関してもそうですが、こうした明らかに世論が納得しない問題が発生しても、問題なしとして庇う姿勢をとることで、まるで官僚の代弁者にしか見えないこともその理由には挙げられます。責任をとらない組織、行政とそのトップにある閣僚には今、そうした目が向けられているということも確かなことなのです。

昨日、政府の社会保障国民会議で基礎年金の税方式によるシミュレーション結果が公表されました。仝醜圓竜詆嫂綵(66000円)維持、¬で軸間分は減額、4霑断金の一律支給+納付実績に応じ増額、というパターンで考えて消費税を9.5%〜18%にする必要があるとするものです。
まずはあり得ません。従来の制度でも、今回の全額税方式でも年金は積み立て方式ではなく、支払いに関しては単年で算出されることになります。個別の積み立て分を受給者に渡すのであればでも良いですが、これは人口構成比が変わると支給が増えて年金制度が破綻する、その根拠なのですから、制度変更における根本をあえて変更後に採用する必要はありません。

△亡悗靴討論廼眦蠧分の振り分けをどう考えるかですが、未納者に生活保障を行うのであれば、消費税分と一般会計として組み込まれた税から払うのと、徴収方法が異なるのみで結局は同じことになります。特に未納の根拠とする社保庁の記録に不備があるのは明らかですから、算出根拠が曖昧なもので拒絶する姿勢を示す限りは、行政側への不信も消えないことになります。
9兆〜33兆円の支出が09年からかかるとしていますが、これまで納付された分を使い切っている訳ではありませんし、また国庫負担分をどの程度の割合とするのか、という議論が今回の会議では抜け落ちています。給付が増えるので国民の負担を増やす、そんなことばかりを行っていては、昨日の議論ではありませんが法人税が高いから企業が逃げる、という以前に日本の国民が外国に拠点を移し、日本には少し仕事をしに来るだけ、だから年金も日本では納めないという状況も今や起こり始めています。
例えば全額税方式とすれば、社保庁の解体よりも現実的に人件費が減らせることになり、歳出を減らせます。総体を見ず、単純に入りと出を議論しているだけでは、正常な議論とは呼べないのでしょうね。

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2008年01月23日

年金裏マニュアルについて

今日の日本の証券市場は一先ず一服しましたね。ダウ先物ベースでみると600$下落のはずが、130$程度の下落幅で済んでいるので、FRB緊急利下げの効果は多少あったということでしょう。日本政府の対応も無策ながら、この国の経済が外需依存を強めているために、世界のあらゆる市場を意識して日本市場が動かざるをえない、というところにこの国の脆弱さがあります。大きな変動はまだ覚悟しておくべきでしょうね。

年金特別便の記述が分かり難く、かつ裏マニュアルを用いて社保庁が窓口に訪れた相手に記憶を誘導するようなヒントを出さず、結果的に修正件数が極めて低い、という事実が明らかになっています。それが発覚し、今回は裏マニュアルを廃棄して年金特別便を再送付する、という如何にも官僚的な後手後手の対応となり、時間が空費して対策費も余計にかかるということになっています。
有識者の意見でも、与野党が一緒になって年金問題に当たってくれ、という意見があります。しかし年金問題には二つあり、ー卻歡の杜撰な管理、体質で訂正を余儀なくされた過去の清算と、∈8紊稜金制度をどうするのか、です。この二つに象徴的な動きを見れば、与野党が協調してできる範囲と、できない範囲が見えてきます。

,砲弔い討賄淒匹魃曚┐紳从が必要です。しかし今回明らかになった対応は極めて官僚的であり、政府や与党が面子にこだわって、対策を与野党で協議することなく持論を優先させた結果であることが明らかです。社保庁がナリスマシ防止を優先させたのは、自らの責任を過小評価して対策、対応の面倒を国民に押し付けた結果です。
年金問題とは、社保庁の長年の不作為が原因で起こったものですから、遜ってでも受給者に有利な方法にすべきです。今の対応では、記憶力が衰えた高齢者、ボケが始まった高齢者では訂正が難しいことぐらい、初めから分かっていたことです。舛添厚労省が当初曖昧な答弁をしたように、この裏マニュアルの作成、承認は社保庁内で承認された規定の対応ということです。ここに与野党協議の残滓は感じられません。

△詫震酖泙馬辰傾腓Δ戮ですが、この問題は意見の食い違いが甚だしく、すり合わせても良い法案はできません。国民は与党、野党どちらの年金制度案が良いのか、それを選ぶしか手がなく、その点で与野党の協調はありえません。年金制度を焦点とした選挙の後に、多数を得た政党の案をベースに調整するしか方法はないのでしょう。
つまり、年金問題で与野党が共同で当たらねばならないのはほぼ,良分であり、その中でも民主党の長妻氏の意見が群を抜いて素晴らしく、紙台帳の突合や人員のかけ方など、その意見を採用をすべきなのです。むしろそれが出来ていないので、今回も余計な手間、費用が後から後からかかるということなのです。そのことに早く気付き、”与野党で”この年金問題に取り組んで欲しいと思います。

analyst_zaiya777 at 22:55|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

2007年12月14日

年金問題への対応について

今日、越年国会が正式決定されました。来年の1月15日まで、60日規定で参院否決後にも再可決できるギリギリの日程を組みましたが、世論調査では衆院での3分の2で可決する手法については否定的であり、福田氏の本音も調整により参院可決に持ち込みたい、というところでしょう。
何より今国会が失言から年金国会の様相を呈しそうな、そんな気配が漂います。「縮めた」や「公約違反というほど大げさなことか」との発言が、この内閣で年金問題の解決は無理との認識を国民に広めました。年金問題には継続性があり、単発で熱気が冷める問題ではありません。それは受給者にとっても、納付者にとっても切実な問題であり、いい加減な答弁をされると国民の怒りの導火線に火がつくからです。

企業が労働者から年金を預かり、それを納めていなかった事例は別として、この問題はそのほとんどが国に過失責任があります。それなのに行政のトップにいる人間が自ら解決の意思を示さないことは、国民に対する背信としか思えず、居直りのようにも感じられ、盗人猛々しいとの印象を抱いてしまいます。
公約は安倍内閣のことで自分たちはそんな約束をしていない、という感覚で問題に対応するとしっぺ返しを喰らうでしょう。これは与党・自民党の問題と認識されており、長年社保庁の監視を怠り続けたことが問題を拡大させたのですから、与党党首である福田氏も逃れることはできないのです。

しかもこれが官僚らしい、ショックを緩和するため最初は甘い数値を示し、徐々に不明件数を拡大させるのではないか?との懸念は問題に継続性を生みます。危機管理において最重要のことは、現状を把握し、それを速やかに公表し、拡大を防止する対応策を打つことなのですが、官僚の対応はこれと逆です。国民感情を逆撫でしないよう、情報は後出しにしようとするのです。
薬害肝炎の問題も同様、こうした問題には政治決断が必要です。政治が判断しない限り、官僚は自分たちの立場、思惑を反映して対応を考えようとしますが、それは決して国民の意にはそぐわない内容です。誰もが感じる、悪いことをした人間が罰せられず、何の罪もない人間が被害を受けたり、苦労しなければならない構図は官僚の怠慢の温床にもなりうる問題なのです。

ここで官僚を庇えば自身の人気は確実に落ちます。また問題解決に時間がかかれば、リーダーシップの欠如を問われることになるでしょう。リーダーは時に非情と思える決断が必要です。それが国民に向くのか、官僚と対峙する方に向くのかで、今回の厚労省に関する二つの問題への対応、その評価は変わるといえるでしょう。新テロ特措法ではなく、この二つの問題が福田氏の真価を問うべきものなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:46|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加