消費者態度指数

2007年02月13日

需要と供給について考える

今日、日銀の方から1月の企業物価が発表され、前年同月比2.2%上昇しましたが低い伸びに留まりました。一方で内閣府から消費者態度指数が発表され、前月より2.2ポイント高いものの、前年同月比では1.4ポイント低下しました。どちらもインフレが低いことを示す数値であり、日本経済の弱さを示しています。

よく需要と供給と言うと個人と企業の状態を思い浮かべますが、今や企業でも全ての部品を内製し、最終製品まで組み立てるような企業は製造業では少なくなりました。大企業は部品を購入し、それを組み立てて最終製品として販売する。長い不況の時代にそうした形態に変化し、企業間にも需要と供給が存在することになっています。
需要と供給のバランスが物の価値を決める、というのは昔から言われていますが、現在はこれが圧倒的に需要の側に価格決定力があるのが問題です。つまり、部品購入側の大企業が強く、供給する側の中小、零細企業は疲弊しているのが実態です。

その結果、今の日本企業の収益は極めてバランスの悪い構図になりました。大企業のみが高い収益を確保し、中小企業は赤字に転落する企業も増えています。日本の根幹を支えているのは中小企業ですから、これでは多くの人が働いても報われない、そんな状態が続いても当然です。中小企業は賃金アップなど無理だからです。
それでいて大企業では最高益が頻発しています。某番組で放送していましたが、公共事業でゼネコンが請求する、トラック運転手の報酬は5万/日なのに、実際に支払われるのは3万/日だそうです。2万がピンはねされ、個人に回らない構図であり、諸経費を除くと儲けは出ない。それが今の需要と供給だという訳です。これを是正するには管理、監督が必要ですが、事後対応なのでそれも出来ていません。

更に今日の国会で安倍氏が「成長してこそ、格差は解消される」と述べていましたが、これは少し違います。竹中氏の言葉を借りれば、「正規社員の給与はまだ高い水準にあるので、パートタイム労働者や非正規雇用の待遇を改善する代わりに、正規雇用の人間の待遇を低下させる」というのが、今の政府の方針だからです。
つまり格差是正は下の底上げと同時に、上を抑えることで成し遂げよう、それを政府は目指しています。これで需要の側、つまり多くの日本人が満足するのですか?という疑問に政府はきちんと回答しなければなりません。内閣支持率が低下していますが、国民は満足していない、ということが確かに数字で現れているのでしょうね。

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analyst_zaiya777 at 23:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)