ハイドン、テレジア・ミサ、聖ニコライ・ミサ

MISSA SANCTI NICOLAI
J. HAYDN
DGGAR
1999-07-01



ハイドンのテレジア・ミサと聖ニコライ・ミサを面白く聞いた。前者の名前はウィーンの宮廷礼拝堂で奏されてから付いたのではないかと推測されている。後者はパトロンのニコラウス・エスターハージーから付けられたのではないだろうか、とのこと。

特に前者はハイドンの活力みなぎる力強い曲調で、トランペットとティンパニが華やかに加わっている。後者の方はその点抑えめだけれど、元気があってよい。最後のアニュス・デイはしっとりしているけれども。

ハイドンはこれだけ華やかで力強くて、モーツァルトよりも激しく情熱的で、聞いていて面白いところがたくさんあるのに、それでも一般にモーツァルトほど親しまれないのは、結局のところメロディがモーツァルト程印象に残らないからなんだろうかね。口ずさみやすい印象的なメロディという点になると、全体的にモーツァルトに軍配が上がるのかもしれない。けれども、ハイドンは好きなんだが。

からかい上手の高木さん 5




読んだ。以前よりずっと好きで読んでいる。

主人公の西片は同級生の高木さんにいつもからかわれるばかりで、逆にからかってやろうと考えても全てその考えはことごとく読まれて失敗するのだが、今回は最後にこの流れを変えてしまう。からかおうと考えるのではなく、不意にこぼした一言が高木さんの胸のうちを少し乱すのだ。計算しても読まれてしまうが、高木さんの予測不可能な範疇の、計算に基づかない発言が西片から発せられることで、どうやらこれからこの作品に新たな流れが始まろうとしているかのようであり、また新たなるときめきと悶絶を予期させる。

ちょっといっぱい! (1)




読んだ。高校生が居酒屋でバイトすること自体はどうなのかな、と思うところはあるが、高校進学のために一人暮らしをしている主人公、宮原もみじが温かい仲間に支えられて得意な料理をふるまい、お客さんも本人も笑顔になる温かい話である。

美味しそうな料理を作っていて評判もよく、店の雰囲気も安らげるいい感じで、嗚呼、美味しいお酒と料理を食べに行きたいものだ、という気分になる。

主人公の祖母の話や、何やら寂しい事情を抱えている同じ学校の友人との関係とか、今後どうなっていくのか、諸々期待させる。

秋田妹! えびなちゃん 1





『干物妹! うまるちゃん』のスピンオフ作品。秋田から一人東京の高校に行くため、戸惑いながらも上京して暮らし始める海老名菜々の心温まる話だった。秋田のローカルネタ(ババヘラ・アイス、アベックトーストなど)やほんわかしたギャグを随所に交え、日常的ではあるがしかし、先に上京した兄を探すという大きな目的に向かって展開していく。

登場人物たちのローカルな常識が東京に来た時に通じない時に見せる反応が愛らしく面白い。そういう楽しみ方は都会的な感覚に浸り過ぎているからかもしれないけれど、実際この世代の秋田県民はどう思うのか、聞いてみたくはある。

最近、各地の方言に興味があって、ともすればどんくさいとか田舎臭いとか隠すべきものと見られてしまうこともあるが、語彙もイントネーションも私は聞いていて楽しい。意味が通じないレベルになってしまうと、確かに困る場面は出てくるけれども。

そういえば、最近好きな『くまみこ』もちょっと系統的に近い要素があるな。

ハイドン「天地創造」

ハイドン:オラトリオ「天地創造」Hob.XXI:2
ガーディナー(ジョン・エリオット)
ユニバーサル ミュージック クラシック
2002-06-26



『アマデウス』にも登場してお馴染みのスヴィーテン男爵が、ミルトンの叙事詩『失楽園』に基づいてドイツ語で執筆した台本によるハイドンの壮大なオラトリオ「天地創造」をガーディナー指揮のモンテヴェルディ合唱団、イングリッシュ・バロック・ソロイスツの演奏で聞いた。

長大なミルトンの『失楽園』を演奏時間約100分で収めるにあたり、第1部から第2部にかけて神によって一通りの世界が創造される6日間が描かれ、最後の第3部でアダムとイブの二重唱を中心に祝福が歌われる。ガブリエル、ウリエル、ラファエルといった天使も歌うが、ガブリエルはソプラノ、ウリエルはテノール、ラファエルはバス、と声部が異なる。天使によって声の高さが違うのかといえばそうなのかもしれないが、これがいい色を出して重唱を奏でる。ちなみに、エヴァはソプラノ、アダムはバス。

1799年の初演の時から大評判なのもなるほど頷ける感動的で壮大な音楽。混沌から天と地が分かれて光が現れる一曲目から凄みのきいた金管の大音量、大胆な不協和音など、迫力が凄まじい。ベートーヴェンを聞いているかのような印象さえ受けるところがある。もっとも、大きな音を鳴らしても旋律や和声が古典派的な品を損なわないところはさすがハイドンだと思う。

パーセルのアンセム




ヘンリー8世時代にイギリスがローマ・カトリックと別れて国教会が成立し、イギリスではラテン語歌詞の「モテット」に代わって英語歌詞の「アンセム」が作られるようになり、以後ヘンデルの時代まで続く・・・・・・という旨はCD付属の解説書に書いてある。

ヘンリー・パーセルによるそのアンセム集がこのアルバム。Te DeumやJubilate Deoは聖セシリアの日前夜のために作られた曲ということで、トランペットも入って華やか。さすがにメアリー女王の葬儀のための音楽はしめやかなのだが、それだけに葬送行進の強い太鼓の音が悲劇性を増している。

それ以外に収録されているアンセムはポリフォニーの合唱曲という感じが強いので、同じパーセルでもオードのような楽曲の派手さ、華やかさとはだいぶ違う。英語の発声も柔らかな印象を受けた。

おたく神経サナトリウム




去年の9月から読み続けて、ということは4カ月近くかかって読み終わった。斎藤環氏が『月刊ゲームラボ』に14年間連載していたコラムを厳選し、半分くらいの数に絞って単行本化したもの。

時事的な話題を交えて種々多様なマンガやアニメ、その実写化作品などがくだけた文体で語られる。最近ほとんどアニメを見なくなっているので、読んでいるうちに幾つか見てみようかなという気が起こるところもあった。

私もゼロ年代の頃は深夜アニメをちょくちょく見ることはあったのだが、最近はめっきり。多分、日常系アニメが多くなったころから興味が失せていって今に至っている。ある程度は話題になっている作品の名前と絵柄はわかるけれど、中身をちゃんと見ていないものばっかりだ。

本書の連載記事は2001年から2014年に及んでいるので、私がアニメをよく見ていた期間が含まれるのだが、なぜか、私が見ていた作品はほとんど出てこなかった。1頁2段組で結構ボリュームはあったのだが、好みが違うのだろうか。斎藤先生のご著書は折に触れ幾つか読んできたのだが。

Vivaldi: Concerto per violino II 'Di sfida'




Naiveという独立レーベルから出されているヴィヴァルディ・エディションの中の一枚。トリノの図書館に所蔵されている膨大なヴィヴァルディの自筆譜を録音することを主目的にしているとのことで、世界初録音となるものもたくさんあるようだ。 ジャケットはどれも海外のファッション雑誌の表紙みたいな感じ。

これはヴァイオリン協奏曲RV 232、264、325、353、243、368を収録したもので、大変な超絶技巧を駆使した楽曲が集められている。聞いたことのない曲ばかりだった。重音、アルペッジョ、跳躍、左手のハイポジションなどが次々と繰り出される。バロック時代のヴァイオリン協奏曲なら超絶技巧といってもたかが知れていると思われるかもしれないが、パガニーニを聞いているかのような、実にド派手な難曲で、既にこの時代にこれほどの技巧が探求されていたのかという驚きを感じる。それでこのCDのタイトルにある 'sfida' は「挑戦」という意味である。アントン・シュテックの独奏ヴァイオリン、モード・アンティクオが情熱的に生き生きと演奏していて、充実感のある内容だった。

謹賀新年

明けましておめでとうございます。細々と続けているブログですが、細々としているからまだ続いているのかもしれません。古い記事は2008年5月までしかないものの、昔、それ以前の記事を消したことがあったので、実際に開始したのがいつだったか。

今年も読んだ本の感想や聞いたCDの紹介などを細々と綴ると思いますが、よろしくお願いします。

さて、最近よく聞いていたのがこちら。
Chromatic Fantasy & Fugue
Bach
Polygram Records
1991-06-14



バッハが20代の頃に作曲したトッカータニ長調BWV 912、ニ短調BWV913、ホ短調BWV 914、ト長調BWV916、そして半音階的幻想曲とフーガニ短調BWV903、及び幻想曲ハ短調BWV906を収録。

半音階的幻想曲とフーガが期待していたよりも柔らかくゆったりしている。昔、カール・リヒターの硬派で力強い演奏を聞いていたからというのもあるかもしれないが、他に収録されているトッカータなどと比べてみても、ちょっと穏やかかなあと。トッカータは若き頃のバッハのエネルギーが溢れ出すような派手さがある。トッカータだからなおさらそうなんだけれども。

今年読んだ本のうち、特に良かった3冊

そろそろ今年も終わるので、今年読了した本を振り返ってみた。特に良いなと思った3冊を絞ってみると、以下の通り。以下の番号は順位ではなく、順番を振っているだけ。


1.



ヴェールに隠された真理、というお決まりの表現は昔からずっとあるのだけれど、その起源から時代を経て変遷していく流れが簡潔に分かりやすく論じられ、ヴェールと真理の関係はとても興味深いテーマだと感じた。色々な分野と繋がる問題で、凄く示唆に富む一冊だった。


2.



これを書店で見つけて、中を開いた時はわくわくした。装丁が衝撃的なのはもちろんそうだが、中身も知的興奮を覚える作品が収められていて、同時に趣味的に合うところ多々あった。


3.



イギリスの小説というと18、19世紀の作品を読むことが多いのだが、珍しくロレンスの短編集を読んだところ、その時代の小説には望めない細やかな描写が多く、感心した。波乱万丈の大冒険が展開するわけではないが、現実的な生活の中にあり得る感情的な起伏が、ちょっとした言葉のやり取りや動作によって細やかに伝わってくる。その巧みさを改めて感じた。こういうのはやっぱり20世紀以降の文学にならないと難しいな、と感じた。だから、読んでよかったと思う。

他にもまあまあ面白かった本とか、考え方になるほどと思う哲学系の本などもあるのだが、面白さや知的満足感など総合的に判断して特に印象的な3冊を上げてみた。

さて、来年は何が読めるかね。
livedoor プロフィール
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

最新コメント
最新トラックバック
ギャル曽根の大食いHAPPY道 (人気急上昇中の情報ならこちらで♪)
coxa その笑顔の裏には