MAGNA HISTORIA

The Life and Opinions of Ando Rei 安藤麗の生活と意見

2015年04月




マリー・アントワネット(と中黒を入れてしまうとアントワネットが苗字みたいに見えるが、実際これは一つの複合名である)の伝記。最近の中公新書はオスカー・ワイルドの伝記も面白かったが、マリー・アントワネットの面白い本も出た。

最初の方はルイ16世との夫婦関係に関する俗説への反論がしっかり書かれているところが印象的だった。どうもシュテファン・ツヴァイクはアントワネットの味方をしていて、国王の評価が低いようだ。

全体通してみると、アントワネットは自身の旧時代の価値観を変えることはできなかったし、ちょっとおバカっぽいところもあちこちあるように思った。誇り高い決意を持っていたと捉えるにも、それが何か良い結果を生む行動へとつながっていないし、感性があてにならない。

私の読後感としては、むしろルイ16世の方が立派な人間に思えてきて、本書はアントワネットに焦点を当てた本なのだが、彼の改革派として国民に向き合おうとした姿はもっと評価があってしかるべきではないかと感じた。結局、反対派の貴族連中から協力を得られず、破綻した財政を再建する税制改革も進められない。これではもう絶対王政ではなくて、その前の2代の国王のツケを悲惨な形で払わされている。

この本の最後はアントワネットの処刑でスパッと終わる。処刑してどうなったのか、直後のフランスの様子についての記述が無い。この時のフランスの反応はどうだったのか、気になるのだが、アントワネットの伝記ということで、死ぬまでに焦点を絞って潔くまとめたのだろうか。

ギロチンだけに「スパッと」終わるのかな。
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ヘンリー・パーセルの音楽は好きでそれなりに聞いてはきたが、まだ色々聞いていない曲があるようだ。これはアンセム集。いい曲が色々ありますね。パーセルの音楽に感じる魅力というのは、言葉にすればどういうことなんだろうかと考えてみると、どうもそこには切ない美しさを感じるように思う。明るく軽快な曲ももちろんあるし、器楽曲ならトランペットと弦楽のためのソナタなどは品があって楽しい。けれど、声楽曲のメロディというのは切なく品があって美しく繊細なものが多く、それがたまらない。バッハもいいのだが、この切なさはバッハにはなく、バッハはもっと線の太い悲しみや忍耐力を感じるのだ。また、リズムが独特な崩しを見せるところも面白い。

こういう特徴は言語が英語であることも旋律を生み出す上で影響するのだろうかね。
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ハイドンの交響曲というのは結構快活で実験的で面白いのに、なんだかいつもモーツァルトに隠れているのが残念だ。

これは鈴木秀美指揮オーケストラ・リベラ・クラシカのライブ録音。古楽器のオーケストラである。大変みずみずしい演奏。

協奏交響曲のようにたくさんの楽器があちこちにソロで登場して面白い。特に木管楽器の音色が鮮やかに輝く。弦楽器のソロにはコントラバスも登場するという珍しさ。曲の展開も躍動感が溢れている。モーツァルトよりもハイドンの方が曲の展開ははるかに型破りだと思うのだがなあ。それは弦楽四重奏を聞いていても感じること。
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